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彼女はどこに・・・不城 鋼編
「助けてください、先生!」
今にも泣き出しそうな声で縋られて、響カスミは戸惑いを隠せなかった。いきなり人気のない校舎裏に呼び出して、一体どんな目に遭わされるのだろう・・・と、内心ビクビクしながらやってきた彼女としてはいささか拍子抜け、でもあった。
「ち、ちょっと落ち着いて、野々宮さん!ね?いったいどうしたの?何があったの?」
まさか今流行のイジメだったりしてしまうのだろうか。それとも、家庭内で何か問題が?けれど目の前の少女・・・野々宮紫(ののみや・ゆかり)の体には殴られた痕などもないし、そもそも彼女はクラスでも一、二を争う人気者で有名だ。どちらの線も可能性は薄そうである。
とにかく、錯乱気味の少女をなんとか落ち着かせようと何度も頭を撫でてやり、根気良くなぐさめてやる。どれくらいそうしていたであろうか、彼女はやっと、声を震わせながらも「実は」と呟いた。
「昨夜・・・梓と七海と三人で、肝試ししようって話になって、いろいろ噂がある高等部西館に忍び込んだんです・・・」
「忍び込んだって・・・どうやって?」
「そ・・・それは・・・」
口ごもる紫。先生には話せないような、ちょっと危ない忍び込み方だったのだろう。
「そんなのは今関係ないんです!大事なのはその後で・・・。私たち、一番奥の音楽室の床に隠し扉みつけて・・・それで、おもしろがって中に入ったんです」
なんとなく、背中が寒くなってきた。彼女の言葉には、カスミが最も苦手とする類の匂いがプンプンする。嫌な予感がする。そして、確実にその予感が当たる気がする。
「・・・お願い、先生・・・。梓を探してください。梓を、助けてください!」
とうとう彼女の瞳から大粒の涙が零れた。
「探してって・・・。でも、松平さんなら私今日見たわよ?普通だったと思うけど」
カスミの言葉に、紫は必死で首を振る。
「あれは梓じゃない。梓のフリしてる別人なの!」
「別人って・・・」
「紫っ」
不意に、誰かが野々宮を呼んだ。彼女の肩が強張る。向こうにいたのは、たったいま話題の主役だった少女・・・松平梓だった。
「松平さん」
梓はふわふわとした栗色の髪を揺らしながら軽やかに駆け寄ってきた。別に普段の彼女と、何も変わらないように思う。けれど紫はあからさまに怯えてカスミの背中へと隠れてしまった。
「ちょっと・・・どうしたのよ、紫?どうして隠れるの?」
「あっちへ行って・・・!」
「紫・・・どうして?」
梓が悲しそうに言う。二人の間に挟まれて、カスミは困惑してしまった。どう見ても今目の前にいる梓はいつもどおり、普通だと思う。けれど紫の怯え方も尋常ではない。ただの演技だとは思えない。
どう対応したものか・・・。
「・・・・!」
ギクリとした。
一瞬、ほんの一瞬だったけれど、梓の瞳が醜く歪んでいた。憎悪とも、殺意ともとれる、とても醜い感情に彩られた瞳だった。
『この子・・・松平さんじゃない・・・?』
「松平さん、ごめんなさい。今ちょっと大事な話してるから・・・外してくれる?」
「カスミ先生・・・。わかりました」
梓は素直に去っていく。瞳は普段の彼女のものだった。けれど、どことなく雰囲気が禍々しい。どうして昼間は気づかなかったのだろう?
「野々宮さん、あなたの言うこと・・・よくわかったわ。松平さん、探してみましょ」
「ったく、俺はもう一般人だって、何度言ったらわかるんだよ・・・」
足元に転がる、汚い顔をした不良少年たちに眉をひそめ、不城鋼は苦々し呟いた。できれば普通に、平和にまったりと暮らしていたいのに、街中に知れ渡った異名とその(無自覚な)おせっかいな性格が未だにそれを許してはくれない。たった今も一つ、面倒なケンカを背負ってしまったばかりだ。学園の生徒が他校の汚い顔をした不良少年たちに絡まれているところを見てしまったのが運のツキ。他の気弱な生徒達のように放っておけばいいものを、またもや口を出しておせっかいにも助けてしまった、というわけである。生徒を助けたことはもちろん後悔していないけれど、これでまた「神聖都学園の不城鋼」の名が裏社会に広がるのは必至。また面倒なことにならなければいいけど
・・・。
そう思いつつ校舎の裏(そんなところをいつも通るからケンカと出会うわけだが)から戻ろうとしたとき、彼は2人の人影を見つけた。困った顔の音楽教師と、そんな彼女に半泣きで縋っている女生徒。その2人の女性に、鋼は見覚えがあった。
教師の方は自分も担当されている響カスミ。この学校に怪奇現象は数あれど、彼女ほどその事件に巻き込まれる率が高いものは1人もいない。こんな場所に彼女がいる時点で「また厄介ごとに巻き込まれたな」とは想像がついた。
それより問題は、泣き縋る生徒の方だ。一つ下の学年にいる、可愛いと評判の三人娘。その中の1人である野々宮紫だった。鋼が知る不良グループの中でも彼女達は有名で、結構密かにファンをやっている者もいるという。そんな少女が、どうしてカスミに縋っているのだろう?
またも、おせっかいと好奇心が疼きだした。
紫はその可愛らしい眉をひそめて、一部始終を話してくれた。思い出すのも怖いのか、時折言葉を詰まらせながら。
一緒に話を聞いているカスミが、今にも悲鳴をあげそうになっていることに笑いそうになりながらもなんとかそれを抑えた。
「なるほど、な。事情は大体わかったぜ。そんじゃあまずは聞き込み、だよな」
軽く手を叩いて鋼がそう言うと、二人の女性は目を丸くした。
「・・・なに」
「手伝って、くれるの?不城くん」
「は?」
ためらいがちに確認されて、思わず間抜けな声が漏れる。
「だって、ホラ。前に言ってたじゃない?もう厄介ごとはごめんだ〜って」
「それじゃあ、カスミ先生1人でなんとかできるのか?できないだろ?だからしょーがないから手伝ってやろーって言ってるんじゃんか」
厄介ごとはごめんだけれど、頼りない教師と困っている後輩女子を見捨てるなんてことは、男として許されないだろう。
おせっかいに好奇心、それにわずかな正義感も重なって・・・鋼はトップクラス並の厄介ごとに首を突っ込むことになってしまったのだった。
「よぉ、元気か?」
鋼がまず向かったのは、いつも化学室でたむろしている連中の下。一番職員室から遠いから・・・という理由でそこを選んでいるらしいが、彼らの化学の成績が他の教科に比べるとマシであるあたり、ここが好きなのかもしれない。
数人いた不良たちの中の1人が鋼を見て目を丸くし、吸っていた煙草を消して携帯灰皿に押し込むと(なかなか感心な男である)駆け寄って一礼した。
「不城さん、おつかれさまです!」
体もごつく、怖そうな男が小柄な美少年に礼儀正しく挨拶する姿はなんとも奇妙だ。何度か見たことがあるカスミでも慣れないのに、紫は状況すら理解できず目を白黒させている。
「なぁ、ちょっと聞きてぇんだけど。松平梓って1年、知ってるだろ?」
「松平、梓・・・」
その名を聞いた途端、男の顔がひきつった。人気者の名を聞いた反応とは到底思えない。
「おい?」
「不城さん・・・あの女、ヤバイですよ」
「ヤバイ?」
「何かに取り付かれてます。昨夜、俺の舎弟たちが道であの女を見たらしいんですよ、他校に絡まれてるトコ」
「・・・それで?」
男は苦い顔をして、部屋の中の連中を顎でしゃくる。良く見ると全員、体のあちこちにいくつも怪我をしていた。
「ウチの学校のアイドルの1人なんでね、助けようと近寄ろうとした瞬間、この有様です。他校の奴らは全員病院送り・・・。その後、妙な笑い方をしながら去っていったって話です」
「それ、いつの話ですか!?」
紫が横から口を出した。男はいきなりもう1人のアイドルを見て驚いたような顔をしたがすぐに真顔になって答えた。
「昨夜の・・・十時くらいか」
「やっぱり・・・私たちがはぐれた後だ」
梓の体を乗っ取った化け物が出てきて、その不良たちを倒したということか。しかも、一瞬で。相当の力を持っていると見て間違いないだろう。
「とんでもねー奴みたいだな・・・その化けモンは」
「いったいどんな化け物なのかしら」
「調べてみるか」
カスミの呟きに鋼が軽く答える。その辺の心当たりもしっかりあるらしい。
「きゃあ、不城さん!」
今度は黄色い声が彼を迎えた。不城鋼私設ファンクラブの一つ。ここのファンクラブにはどういうわけか情報通の女の子たちが集まっている。鋼に関する情報量も他のファンクラブの倍近くはあるらしく、時折裏取引も行われているらしい。
そんな情報通の少女達は、大好きな鋼に頼まれて舞い上がりながらも、いくつか資料を持ってきてみせてくれた。
その資料には女性の絵が書かれており、横に朧と文字がある。それが、その化け物の名前らしい。
朧という名のその化け物は、元は普通の人間だった。元々霊力に優れており、彼女自身が歌を好きだったためか、彼女の歌声には不思議な力があった。それは動物を集めてみたり小雨を呼んでみたり、そんなささいな力でしかなかったが、己にない力を持つ者を恐れ拒むのが人間である。彼女は村人達に魔女だと罵られ蔑まれ、最後には強引に西端の洞窟へと連れ込まれ、逃げられぬようにと両手両足を杭で打ちつけられてしまった。
何か悪いことをしたわけでもない、ただ生まれつきささいな力を持っていたというだけで暗い洞窟へ幽閉された朧。その痛み、悲しみ、憎しみはどれほどのものだったか・・・。とにかく、その気持ちが彼女自身を正真正銘の魔女へと変じさせてしまったのだ。
村人達へと復讐を果たすべく魔女となった朧はひたすらに暴れた。己が受けた痛みを返すために。
全滅を恐れた1人の村人が、高名な僧侶を呼び彼女の封印を依頼した。僧侶の力は凄まじかったが、彼女を封印することまでは叶わなかった。彼の力さえも、彼女の苦しみは上回っていた。だがそんな時、1人の男性の声が響いたのだ。
朧を唯一、救おうと努力した人・・・唯一、彼女の力を恐れなかった人。名前も記されておらぬその一人の青年の歌声が、彼女に残る人間としての心を揺さぶった。彼女が人へと戻った、その一瞬のスキを突いて僧侶が彼女を封じた。
青年が何を思いそのとき歌ったのか。彼女を救うためか、封じるためか・・・真相はわからない。しかし、結果的にはその人の声が、歌が彼女を封じた。
「なーるほど。ある意味悲劇だな」
「そうね。根本的な原因は彼女自身じゃないもの」
朧自身が何かをしたわけではない。ただちょっとだけ普通と違っていただけなのに・・・。彼女が憎しみに囚われて、魔に心を染めてしまったのも、少しだけわかる気がする。
「でも」
紫がギュッと両手を握り締めながら小さく呟いた。
「それでも・・・梓をこんな目に遭わせるのは・・・許せないよ」
「その通りだ。早いトコ助けてやろうぜ」
自分よりほんの少しだけ低い位置にある彼女の頭をポンポンと叩いて、そして優しく囁いてやる鋼。こちらを見た彼女の瞳は少し潤んでいたけれど、それでもちゃんと微笑み帰してくれた。
三人は事件の発端でもある隠し扉へと向かった。
隠し扉への入り口は音楽室の音楽室の黒板の下・・・正方形にひび割れた壁紙にあった。そっと押してみるとそれはあっさりと動き彼らを内部へと導く。穴の奥には階段があり、ずっと下の方へと続いていた。岩を切り出して作ったような原始的な怪談で幅も狭い上にひどくかび臭く、暗い。
怪談の終点は、意外と広い空間だった。岩で作ったかまくらのようなそこの壁に、古びた鉄でできた頑丈そうな扉が付けられていた。これが隠し扉・・・梓の中にいるモノが、本来いるべき場所。
「・・・あれ?」
扉に近づいた鋼は、右手で何度もこすりながらその扉を観察する。彼の目を引いたのは、扉に刻まれた古ぼけた文字だけではなく、そのシミ。ちょうど、鋼の目線の辺りにある赤黒いシミ。まるで煙草か何かを押し付けた後のようにも見える。それにしては少し、大きいけれど。
「まだちょっと温かい・・・。誰か、俺たちより先にココに来たみたいだな」
「きっと七海だ!草間興信所に行くって、言ってたもの」
「それじゃあ楠田さんはこの先に行ったってことかしら・・・?」
しっかりと閉じられている鉄の扉は、どこか不気味さが漂っており開けることをためらわせる。けれど、開かなければ進まない。鋼が扉に手をかけゆっくりと開いた。
ギィィ・・・と嫌な音を立てて扉が開いていく。扉の奥はやっぱりかび臭く、暗い。
「行くか」
そう言ってから鋼はそっと右手を差し出した。目の前に差し出されたその手に、紫は首をかしげこちらを見つめてくる。
「怖くないなら、別にいいけど」
怖いなら、手を握っていてあげる。そういいたいのだ。
さっきからずっと、静かに扉の奥への恐怖に震えていた彼女に、鋼はちゃんと気づいていた。
紫は頬を綻ばせると、両手でその手を握った。
「不城くぅん・・・私も、怖いんだけど〜・・・」
「先生はオトナだろ。ちゃんと何かあったら守ってやるから、一人で歩けよ」
「何かあってからじゃ遅いわよ〜!」
情けない声でカスミが文句を言うけれどそれは無視して。とにかく奥へと進んでいく。どんどんかび臭さは強くなり、息苦しいほどになってくる。時折、ねずみや蝙蝠が通り過ぎていく度にカスミの悲鳴とも雄たけびともつかない情けない声が上がった。
「先生、オトナのくせにうるせーぞ!」
「うるさいわね、オトナでもコドモでも、怖いものは怖いのよっ!」
そうやって言い返してくる内容にもすでに、教師の威厳というものは形をひそめている。彼女の場合、元々あったのかどうかは・・・微妙なところではあるが。
「・・・・!!」
不意に、紫が足を止めた。驚いて振り返ると、彼女は視線を彷徨わせて突っ立っている。
「・・・野々宮?どうした?」
「あの、聞こえませんか?声」
「声?」
その単語に、ますますカスミが泣きそうな顔になる。
「いや、別に・・・何も聞こえないけど」
「でも確かに聞こえたんです。誰かが歌ってる、小さな声が」
言われてもう一度耳を澄ましてみるけれどなんの音も聞こえない。ただ時々、どこかから水滴が落ちる音がするだけだ。
「やっぱり何も・・・」
聞こえないじゃないか、と言おうとしたまさにその瞬間。耳に、それは飛び込んできた。
「!」
微かだけれど、歌声。
か細い少女の声がハミングしていた。紫を見ると彼女もうなずいてみせる。
「この声・・・梓の声です。あの子が歌ってる」
しっかりと力強い声でそう言って、紫はそのまま奥へと走っていく。鋼とカスミもその後を追った。
奥へ向かえば向かうほど、その声はどんどん大きくなっていく。最奥の広い空間へ出た頃には、彼女のその声ははっきりと聞き取れるほどの音量になっていた。
「梓・・・いるの?」
その広い空間の中へ足を踏み出すと、何かが足先当たって転がった。よく見てみると、それは銀色に輝く管楽器だ。
「フルート・・・?」
「なんで、こんなところにこんなモンが・・・」
拾い上げてみる。つい最近持ち込まれたものなのか、それはどこにも傷や汚れはなく煌々と輝いている。紫がそれを手に取った瞬間、梓の声がますます大きくなった。
「ど、どういうこと?」
「・・・もしかして、ソレを吹けって言いたいんじゃねーか?」
「えっ・・・私が?」
紫が困ったように言った。けれど鋼のそんな言葉を肯定するかのように、声はまた大きく流れる。
「ホラ、やっぱりそうだ」
「で、でも」
「大丈夫だって、俺がついてるだろ?何かマズイことが起きたら、俺がちゃーんと助けてやるから」
励ますように肩を軽く叩いてやっても、紫はまだためらっているようだ。
「松平を助けたいんだろ?だったら、どんなことでもやってみようぜ。あんたのことは、ちゃんと守るから。俺を信じろよ」
「・・・本当に、守ってくれる?」
不安そうに上目遣いで問われて、鋼は力強くうなずいた。そして大丈夫、と笑ってみせると、彼女もやっとうなずいた。そして大きく息を吸うと・・・優しい音楽を奏ではじめた。いつも梓と七海と三人で演奏している、大好きなアーティストの曲。紫がフルート、梓がピアノ、そして七海が歌った。何度も何度も奏でているから、何も見なくてもわかる。柔らかな音色が、岩の空間中へ満ちていく。
「あっ・・・!」
ボンヤリと、梓の姿が浮かんできた。彼女は嬉しそうな悲しそうな、複雑な表情を浮かべている。
「松平さん・・・ホンモノの、松平さん、ということ?」
「多分・・」
ただ呆然と彼女の透き通った姿を見つめていると、今度はどこからか歌声が聞こえてきた。紫のフルートに合わせて、清涼感のある声が響いてくる。岩壁の空間に、二つの清らかな音が満ちていき、気がつけばかび臭さや息苦しさが消えていた
「この声は・・・楠田さんだわ!あの子がどこかで歌ってる・・・!」
不意に、梓の姿が動いた。ゆっくりと出口へと向かって飛んでいく。どこへ向かおうとしているのか・・・。
「追いかけよう!」
鋼はそう叫んで、また紫の手を引いて進みだした。
廊下に出ると、遠くの方に人影が見えた。男性が1人と、少年が1人。そして、床に横たわる栗色の髪の少女と、彼女に駆け寄るショートカットの少女。
「梓、しっかりして!」
七海の声だ。梓の姿は真っ直ぐに、そちらへと飛んでいったはずだ。ということは、梓は助かったのだろうか?
「あずさーっ!」
紫はフルートを放り投げて、二人の下へと駆け出した。七海の腕の中で目を閉じている梓を確認すると、七海の隣に膝をつきその名を呼んだ。
「梓、梓!!」
少女の瞼が、微かに痙攣した。あっと思い見つめていると、長いまつ毛に縁取られた瞳がゆっくりと開かれる。自分を覗き込む2人に、彼女はそっと・・・けれどしっかりと微笑んで見せた。
「七海・・・紫・・・ありがと・・・」
「梓ぁ・・・っ!」
「どーやら、無事解決!って感じみたいだな」
嬉しそうに抱き合っている三人を眺めつつ呟く鋼。その横で、カスミがなにやら意味深に笑っている。
「何笑ってんだよ?先生。あの隠し扉が怖すぎて、とうとうおかしくなったのか?」
「失礼ね!不城くんがあんまりかっこよかったから、ちょっと感動してたのよ!」
「俺が?」
怪訝そうに問い返すとカスミはまた不気味に笑う。
「『あんたのことは、あんたのことは、ちゃんと守るから。俺を信じろよ』なーんて・・・カッコイイこと言っちゃって〜!」
「んなっ・・・!!」
にや〜と笑われて、鋼の顔が一気に真っ赤になる。勇気を持てない紫をなんとか励ましてあげたくて、夢中で思ったことをそのまま口に出していたけれど、いまさらながらに自分が言ったクサイ台詞が恥ずかしくなる。「俺を信じろ」なんて、元総番の言葉とは思えないほどに正義に満ちている。
「不城くんって、やっぱりヒーローくんだったのね〜!感激しちゃったvこれからは私も不城くんに守ってもらおうかしら?何かあったら不城くんを頼らせてもらうわね?」
「じょっ・・・冗談じゃねーよ!俺はっ、厄介ごとなんてごめんだからなっ!!」
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
【2239/不城 鋼/男/17/元総番(現在普通の高校生)】
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■ ライター通信 ■
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初めましてコンニチハ、叶遥です。
今回はオーダーいただきありがとうございました!
不良さんが、なんだか時代錯誤な奴になってしまいましたが(私の中の不良像はあんな感じ/笑)滅多に書かないキャラクターだったので楽しかったです。
またご縁がありましたら、よろしくお願いします!!
叶でした。
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