|
雷光寺
放課後のコンピューター室。
櫻紫桜は、いつものようにメールチェックを済ませ、いくつかのサイトを巡回する。趣味のサイトや、古武術に関するサイトを一通り回った後、紫桜は有名な怪奇現象サイト、ゴーストネットOFFにアクセスした。
とある事件以来、紫桜にはこのような世界がごく身近なものになっているのだ。掲示板を開き、ざっと画面をスクロールさせて、紫桜はふと手を止めた。
――――――――――――――――――――――――――――――――
◆助けて!
うちの周りの怪奇スポットで、鬼が出るって有名な有名な雷光寺で、友達と5人で百物語したの。2周したところで、いつの間にか1人増えてて、「お前ら全員食うてやるぞ」って。
びっくりして慌てて逃げてきたんだけど、次の日、そのうちの1人が転んで怪我して。それから次々みんな怪我するの。
2人目は階段踏み外してねんざ。3人目は、バイクで転んで骨折。そして4人目は昨日、ひき逃げに遭って、まだ意識が戻らない。
怪我がだんだんひどくなっていってるの! 次はあたし……?? このままじゃ、あたしはどうなるの?
お願い、助けて、助けて!
――――――――――――――――――――――――――――――――
よっぽど怯えて、切羽詰まっているのだろう。整っていない文面は、パソコンの前で震えながらキーボードを打つ少女の姿を思わせた。
「……」
何か自分にできることはないかと、しばしの間、紫桜は考えを巡らせた。検索サイトを立ち上げ、雷光寺の場所と行き方を確認すると、端末の電源を落とす。
問題の雷光寺は、紫桜の高校からさほど離れてはいなかった。一時間もあれば到着するだろう。紫桜は椅子を立つと、すぐに学校を後にした。
閑静な住宅街を歩いていると、やがて古い民家が多くなり、時に手の入っていないような空家が混じる。そんな中に、忘れ去られたような一角があった。
腰ほどの高さにまで茂った雑草の向こうに、古びたお堂が見える。どうやらこれが雷光寺らしい。知らずに前を通っても、寺とは思わないだろう。それほどまでに荒れ果てていた。
それでも皮肉なことに、怪奇スポットとして伝わることでかえって人は来るものらしい。お堂までの道は踏み固められて地面が露出していた。
紫桜は迷うことなくお堂の前に立つと、今にも崩れ落ちそうなその建物を見上げた。すっかり汚れて斜めに垂れ下がった看板の文字は、そうとわかっていれば、かろうじて「雷光寺」と読める程度だ。
紫桜は注意深く、周囲に意識を張り巡らせた。ここに書き込みにあった「鬼」が本当にいるのだろうか。書き込み主が嘘を書いたとは思わないが、その内容を鵜呑みにするわけにはいかない。ひょっとしたら他に原因があるのかもしれないし、それを確かめるためにここに来たのだ。
もし、本当に鬼がいたなら、できれば説得して事態の解決をはかりたい。それでダメなら……、と紫桜は手のひらを握りしめた。できれば使いたくないが、切り札はこの手の中にある。
そんなことを考えた時、ふと人の気配に気付いて紫桜は後ろを振り向いた。そこには、灰色に近い銀髪と、赤みの差した瞳を持った、小柄な少年の姿があった。日本人離れしたその風貌のせいだろうか、紫桜がかいま見るようになった世界に生まれた時から住んでいるような、どこか不思議な印象を覚える少年だった。
「失礼ですが、このお寺の方ですか?」
紫桜は少年に声をかけた。この廃寺に人のいる可能性は限りなく低いとは思ったが、念のためだ。勝手に入るのはやはり気が引ける。
「……いいえ。インターネットの書き込みを見て来た者です」
少年は、紫桜の問いに丁寧な口調で答えた。
「ひょっとしてゴーストネットOFFの?」
もしかしたら、彼も自分と同じ目的で来ているのかもしれない。紫桜の能力からいえば、協力者がいてくれると万一の時にも非常に心強い。
「鬼と対決するのですか?」
紫桜に頷いた後で、少年は問い返してきた。
この少年は問答無用で鬼と対決するつもりなのだろうか?
「俺は、できれば話をして説得したいと思っているけど、どうしてもダメなら……」
「僕も同じように思っています」
紫桜の答えに、少年は安堵にも似た表情を浮かべ、軽く微笑んだ。
少年は尾神七重(おがみななえ)と名乗った。聞けば紫桜よりも1つ年下の中学生ということだった。掲示板の書き込みを見てから、ここに来るまでに郷土資料館に寄って雷光寺の由縁を調べて来たという。このような調査には慣れているのだろう。その手際の良さに、紫桜は素直に感服の念を抱く。
七重によれば、今から300年程前、空から落ちて来た雷様をこの辺りの村人が祀ったのが雷光寺の謂れらしい。それがいつしか、「鬼さんお入んなさい」と言って百物語を始めれば、最後の1話は鬼が語るという伝承の場へと移り変わったという。
そんな話に耳を傾けながら、紫桜は七重と共に寺の敷地内を探索した。敷地と言っても、あるものはお堂1つ。あとはただ草が茂り、空き缶やらお菓子のくずといったゴミが捨てられているくらいで、大したものは見つからなかった。
「やっぱり、お堂の方か……」
一通り回った後で、紫桜は呟いた。
「そうですね」
七重が相づちを打つ。
2人は腐りかけた木の段を注意深く上がり、お堂へと足を踏み入れた。天井のそこここに穴があいているらしく、薄暗い建物の中に、幾筋かの光が差している。
「これは……」
中を見て、紫桜は眉を寄せた。
「鬼が怒っても仕方ありませんね」
七重も溜息をつく。
お堂の片隅には、いくつものビールやチューハイといった酒類の空き缶や空き瓶、スナック菓子の袋やチョコレートの箱、そしてタバコの吸い殻が散乱して、悪臭を放っていた。
「これは、彼女たちが?」
紫桜は呟きながら、空き缶の1つを注意深く拾い上げた。あの書き込みはどう考えても大人のものとは思えなかった。そして、このゴミを見ても、たしなみある大人の酒宴の跡とはとても思えない。
「多分、そうだと思います。ここでいつ集まったのかは書いてありませんでしたが、そんなに前のことではないでしょう。ここ数日は雨が降っていましたから、その間、ここで宴会があったとは思えませんし」
言って、七重は雨漏りし放題の天井を見上げた。
もし、彼女たちが酒を飲んでいたのだとしたら、そしてもしも酒よりももっとタチの悪いものまでやっていたとしたら――今は溶け出したニコチンの、あの独特の強い臭いのせいでその痕跡があるのかどうかわからないが――、彼女たちが見た「鬼」は何らかの見間違いや幻覚だった可能性も出てくる。
「とりあえず、これは片付けておくか……。鬼と話をつけるにしても、これは掃除しておいた方がよさそうだ」
紫桜はやれやれと溜息をついた。
近くのコンビニでゴミ袋と金ばさみを調達し、2人はお堂の中のゴミを拾い始めた。一応、缶とプラは分けて袋に入れる。不思議なもので、一度腹を決めて拾い始めたら、お堂の中の分だけでは物足りない気分になってくる。第一、袋にもまだ空きがある。
「ついでだから外のも拾うか」
紫桜が言うと、七重も頷いた。
そのまま外に出て、腰まである草をかき分けながら、落ちていたゴミを拾う。紫桜は、ついでにお堂の縁の下にもゴミがないかと覗き込んだ。
「……おや?」
お堂の土台の部分を支える板にも、大きな割れ目ができているのだが、その向こう、ちょうど床下にあたる部分に何かの気配を感じる。犬や猫が入り込みそうな場所ではあるが、そういった動物の気配ともまた違う。耳を済ませば、寝息のような音も聞こえてくる。
紫桜の呟きを聞きつけた七重も寄って来て、2人で目を凝らして覗き込む。が、暗くてよく見えなかった。
「床下ですね」
「上から回るか」
2人は頷き合い、再びお堂に戻った。お堂の床板はところどころ腐って抜けかけ、穴も空いていたが、2人が入り込めるほどの大きさの穴はない。
「床板……、はがしても良いものでしょうか……。もっとも、そのための道具もないのですが」
七重が床に目を落とし、小首を傾げた。
「後で元通りはめれば許してもらえるんじゃないかな。道具なら……」
こんなところで能力を使うのも罰当たりな気がしないでもないが、他に使えるものもないのだから仕方ないだろう。それに、床板を後ではめるなら、これ以上適したものもないはずだ。
紫桜は両手を合わせ、ゆっくりと手の中から刀を引き抜いた。周囲の者の気を糧に切れ味を増す、一種の霊刀。どうやら紫桜を気に入ったらしく、今は紫桜を鞘として収まっている。
「それ……」
刀にただならぬものを感じたのだろう。七重がそれをじっと見つめたまま呟く。
「周囲の気を糧に切れ味を増す刀……。どうやら俺を鞘にしているらしい。だから俺が持っても全然切れない。気を吸うと言ってもある程度はコントロールできるから……」
つまりは、七重にこの刀で床板を切ってもらいたいわけなのだが、幸いにも七重はすぐにその意図を解してくれた。気が進まないような顔をしながらも、紫桜の手から刀を受け取ると、床板をきれいに1メートル四方切り取る。用の済んだ刀を受け取れば、たちまちのうちに元通り、それは紫桜の体内に収まった。
「さて……」
改めて、2人して穴を覗き込む。さほど深さのない穴だ。本来なら小柄な七重の方が下りるには適任なのかもしれない。けれど、見るからに華奢な彼に、それをさせるのは酷なようにも思えた。
「俺が行こうか」
紫桜が言えば、七重は素直に頷いた。紫桜はそれに頷き返すと穴に飛び降り、床下へと潜った。
床までの高さは紫桜の胸元くらいまでしかない。その中を腰を屈めて進むのは、いかに紫桜といえど、なかなか骨の折れるものがあった。始終警戒を怠らないのだから、なおさらだ。
破れた床板からは、ところどころ薄明かりが差し込んでいて、それを頼りに紫桜は周囲を伺う。と、先ほど外から見えたとおぼしき生き物の姿が目に入る。
人間の幼児くらいの大きさと形をしたそれは、地面に転がり、どうやら眠っているようだった。ゆっくりと紫桜が近づいても、目を覚ます様子もない。
「もしもし?」
そう話しかけるのもなんだか間抜けな気がしたが、とりあえず、声をかけてみる。が、それはやはり眠ったままだった。
「もしもし?」
万一寺に迷い込んだ子が床板から落ちてそのまま眠っているのなら、かなりまずい。紫桜は再び声をかけ、揺さぶろうと手をかけた。
途端、それはびっくりしたように飛び起き、勢い余って傍らの柱に頭をぶつけた。
「痛てて……」
ちょうどその上の床板に穴が空いていた。そこから漏れる光に浮かび上がり、頭を抱えたその姿がはっきりと紫桜の目に映る。
「小鬼?」
そのもしゃもしゃと巻いた髪の合間からは確かに小さな角が覗いている。
「小鬼とは失礼きゃ。おいらは雷来(ライキ)。雷様きゃ」
それは生意気そうな口調で言うと、膨れっ面で紫桜を見上げた。
「……ん? ひょっとして客きゃ?」
ふとその表情がゆるみ、小鬼は小首を傾げる。
「いや、客というか……」
「まあいいきゃ。とりあえず上に上がるきゃ」
言いよどんだ紫桜を遮ると、雷来は、ぴょんと飛び跳ねてちょうど穴が空いていた床板の縁に手をかけ、そのままよじ上る。仕方なく紫桜も、元来た穴へと戻り、そこからお堂の床上に上がった。
暗闇から解放されてみれば、身体中、埃やらクモの巣だらけだった。手入れもされていないお堂の、しかも床下に潜ったのだから、仕方ないのだが、これは後が大変そうだ。苦笑しながら紫桜は身体中の埃を払った。
「2人とも、とりあえず座るきゃ」
紫桜が戻ったのに気付いたらしい。七重と言葉を交わしていた雷来が主人よろしく2人に座を勧めた。とても掲示板にあった「鬼」のイメージとはそぐわない。2人は顔を見合わせながらも、勧められるままに染みだらけの床に座った。
「聞きたいことがあるのですが」
おもむろに紫桜が口を開く。
「数日前、ここで百物語をした女の子たちがいたと思うのですが、彼女たちに何かしましたか?」
「ん?『鬼さんお入んなさい』と言われたから入ったきゃ」
雷来はこともなげにそう答えた。
「そうじゃなくて、怪我させたりとか、呪いをかけたりとか……」
「どうしてそんなことするきゃ?」
続く七重の問いにも、雷来はきょとんとした顔をした。
「みんな喰ってやる、と言ったのは?」
「百物語は恐い話をするきゃ? 今までで一番怖がってもらえたきゃ」
「……」
どうもこの雷小僧が嘘を言っているとも思えない。となると、あの百物語のメンバーが相次いで怪我をしたのは、「鬼」とは無関係ということになる。
そういえば、最初の2人の怪我はごく日常的な不注意によるものだ。バイクにしても、あの酒盛りの跡を思えば、とても安全運転を心がけているような人間だとは思えない。まして、ここ数日雨続きだったのだ。
ひき逃げという大きな事件が不幸にして起こってしまったために、前3人の怪我をそれに結びつけてしまった、というのが真相なのだろう。
となると、この事態に収拾をつけるには、書き込み主本人が自分の思い違いだったことに気付く必要がある。怯えてしまうことで、本当に事故を呼ぶことさえあり得るのだから。
けれど、それを本人にどう伝えれば良いのだろうか。どんなに言葉を尽くしたところで、疑心を完全に振り払うのは難しいだろう。
2人が無言で考えを巡らせているのに構う風もなく、久しぶりに話し相手を得たらしい雷来は、空からうっかり落ちて来たこと、村人が自分のためにこのお堂を建ててくれたこと、最初は子どもたちがよく遊びに来ていたが、それもしばらくしてなくなったこと、いつの頃からか、ここで百物語をする人間が出て来たことを、次々に話した。
「そんなことより遊ぶきゃ。百物語するきゃ。今度は初めから入れるきゃ」
ひとりはしゃぐ雷来に押されて、3人で車座になって座る。と、それぞれの前に鬼火が現れた。ろうそくの代わりということだろう。いつの間にか夕闇の迫って来ていたお堂の中に、鬼火に照らされた影がゆらゆらと妖しく揺れる。
乞われるままに七重と紫桜が怪談をし、雷来の番になった。
「お前らみんな喰ろうてやるぞ」
先日の時もこうしたのだろう、それまでのキンキン声とは打って変わり、地の底から響くような声で雷来が言う。それに合わせて鬼火が揺れ、お堂の壁に大きな鬼の影を映し出した。
と、その時。
「いやああっっ!」
突如、お堂の外から金切り声の悲鳴が上がる。紫桜も、七重も、思わずそちらに気を取られたその一瞬。2人の間を1つの人影が走り抜け、雷来に向かって拳を振るう。
「え?」
咄嗟のことで、紫桜も七重も、そして雷来も動けなかった。
「ふぎゃっ」
一瞬、驚いた顔をした闖入者は、自らの拳を止めようとしたようにも見えたが、その努力も虚しく、気合いの入った一撃をもらった雷来はお堂の床へと転がった。
「……」
紫桜も、七重も、そして神聖都学園高等部の制服に身を包んだその闖入者も、言葉を失ってただ呆然とその場に固まっていた。時間が止まっていたかのようなその場に、今度は銀髪の小柄な少女が駆け込んでくる。
「あーっ。可愛いっ! 雷さんだぁ」
少女は、転がっている雷来を見て、実に嬉しそうな声をあげた。
「……痛いきゃ! いきなり何するきゃ!」
やっとのことで起き上がった雷来が、キンキン声で文句を言う。
「ね、こっちおいでよ」
そんな騒ぎに構うことなく、少女はお堂の外に向かい、手招きをした。
彼女に呼ばれてお堂に入って来たのは、どうやら今回の書き込み主らしい少女と、彼女を支えるように付き添っている金髪の青年だった。
銀髪の少女は海原みあお、金髪の青年はモーリス・ラジアルと名乗った。どうやら2人は、既に七重と知り合いだったらしい。そして、先ほど乱入してきた男子高校生は早津田恒(はやつだこう)と名乗った。
3人はやはりゴーストネットOFFの掲示板を見て、書き込み主とコンタクトをとり、ここに来たのだという。
いきなり殴られてすっかりへそを曲げた雷来に代わり、七重と紫桜が事情を説明する。話を聞いて自分の早合点を悟った恒は、困惑顔で頭をかいた。
「じゃ、2周目の終わりってのは?」
みあおの問いに、雷来はちらりと視線を戻し、膨れっ面のままで口を開いた。
「最近の人間は99までやらないきゃ。たまーに来たらいっつも2周で終わるっきゃ」
確かに、怪談のネタなど2つもあれば良い方だろう、一般人にとっては。
「『喰ってやる』というのは、言ってみれば彼の持ちネタだそうです。さっきもそうですが、決して悪意はなかったはずですよ」
「でもっ! 次の日からみんな怪我して……」
七重の言葉に、少女はうわずった声をあげた。
「ひき逃げに遭った友達には気の毒なことに不幸な事故だったと思うけど……。あとはみんなちょっとした不注意で起きた怪我じゃないかな? 怖い怖いと思っていると、つい注意がおろそかになって、本当に怪我してしまう。後ろめたいことがあるなら、なおさらね。ここでしてたのは百物語だけ?」
紫桜が静かに言うと、少女は小さく息を呑む。やはり、あの酒類の缶やタバコの吸い殻は彼女たちのものだったらしい。
「済んだことを今ここで責めるつもりはないけど、これから先、同じことを繰り返すのはやめた方がいいと思うけどね」
「……」
紫桜の諭すような言葉に、少女は唇を噛んで俯いた。
「あー、久しぶりに入れたと思ったら、とんだ災難きゃ。おいらが人間に怪我さしてるなんていいがかりもいいとこっきゃ」
横目でじっとりと恒を見ながら、雷来はぷんすか怒っている。
「わりぃ、わりぃ、この2人が襲われてるように見えたもんだから、つい……。俺が悪かった。すみませんでした、許して下さい」
困惑顔で頭をかいた後で、恒は勢い良く頭を下げた。その清々しいまでの潔さに、雷来も責め手を失ったらしく、ぶつぶつ言いながらもそっぽを向く。
「でも、雷来さんは遊びのつもりでも、彼女たちが怖がってしまったのも事実です。やっぱり相手を選ぶなりしないと」
その傍らで七重がしっかり釘を刺す。
「……おいらだって遊びたいきゃ。めったに人が来ないのに、そんなのつまんないきゃ」
雷小僧はふたたびぷうっとふくれて、口をへの字に曲げた。
「ね、お友達になろうよ」
そんな雷来にみあおはにっこりと声をかけた。雷来は、驚いたような顔をしてみあおの顔を見る。
「みあお、また遊びにくるよ。だから、もう寂しくないよ、ね?」
さらに微笑みかけるみあおに、雷小僧はこっくりと頷いた。
「じゃ、みんなで記念写真ね!」
みあおはデジカメを取り出すと、少し離れたところでモーリスの横に呆然とたたずんでいる少女を手招いた。他の面々も、何となくみあおの言うままに固まる。
「はーい、タイマーかけたよ」
全員が入るようにデジカメをセットし、みあおは列に加わった。数秒後、シャッターと共に、この人騒がせな事件の幕も下りた。
<了>
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
【5432/早津田・恒/男性/18歳/高校生】
【1415/海原・みあお/女性/13歳/小学生】
【2557/尾神・七重/男性/14歳/中学生】
【2318/モーリス・ラジアル/男性/527歳/ガードナー・医師・調和者】
【5453/櫻・紫桜/男性/15歳/高校生】
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■ ライター通信 ■
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
こんにちは。ライターの沙月亜衣と申します。
この度は、『雷光寺』へのご参加、まことにありがとうございました。
そして、こんな軟派なオチで申し訳ないです……(汗)。OPで「バイクで事故」を「自転車で転んで○針縫う」くらいにしておけばよかった、とか雫に疑念の一言を言わせておけばよかったと密かに反省しております。
とはいえ、事件(?)の方は皆様のおかげで無事解決とあいなりました。ありがとうございます。
このお騒がせ小鬼、もしかしたらまたどこかで騒動を起こすやもしれません。またお会いすることがありましたら、よろしくお願い致します。
櫻紫桜さま
初めまして。この度はご発注をありがとうございました。
見れば、文章作品ではこれが初の納品になるようで、緊張しております。
なのに、隠し能力をあのような形で使ってしまい、お叱りを受けるのではとドキドキしてもおります。面白い設定なので、うまく活かせればよかったのですが……。
とまれ、少しでも楽しんで頂ければ幸いです。
ご意見等ありましたら、遠慮なくお申し付け下さい。できるだけ真摯に受け止め、次回からの参考にさせて頂きたいと思います。
それでは、またどこかでお会いできることを祈りつつ、失礼致します。本当にありがとうございました。
|
|
|