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<東京怪談ウェブゲーム あやかし荘>


河川敷の花火大会 2005

|Д゚) 回覧板〜
 いつもの小麦色が恵美に回覧板をわたした。
「あ、どうもです」
|Д゚) かわうそ? これで失礼する
「でも、普通は近所の…」
|Д゚) あーあのおばちゃんはダンス同好会で忙しいと言うから、かわうそ?がお駄賃貰って届けてきただけ
「そうですか、ありがとうございます」
|Д゚)ノ では、かわうそ?はこれで♪ また後ほど

 かわうそ?は軽やかに屋根に飛びのり屋根伝いで何処かに消えた。

 恵美は回覧板の内容をみる。廃品回収日のことや地域コミュニティの情報など…。
 そして…『河川敷花火大会』の広告。
「そうね…梅雨が明けたら…花火大会よね」
 この地域の川は結構大きく綺麗で有名だ。
 そこで花火が催される。一寸大きなお祭りである。
「みんなで見に行った方が面白そうよね」
 そう言って、友だちを誘うことにした恵美である。



1.準備
 いつものことになるので、さほど準備に気合い入れることはない。気合い入れる人は既にその用意は出来ているだろう。
「かわうそ? さん、お手伝いお願いしますね」
|Д゚)ノ あい
 と、因幡恵美さんが小麦色にあやかし荘住人のお弁当やレジャーシートなどの準備をして貰う。これが既に数名に教えているのは分かっているのだろう。
|Д゚) 場所取り……
「熱中症は怖いですからね……」
|Д゚) うみ
 と、小麦色はスポーツドリンクなど入った段ボール箱をいっぱいに用意していた。

 では、他の方々は何をしているだろう? 抜粋ではあるが一部の行動を見てみる。


1−4.鹿沼デルフェス
 鹿沼デルフェスは毎年恒例と言うこともあり、気を引き締めて花火大会に参加するらしい。
 河川敷の花火大会自体は、街の至る所でポスターが貼られているし、レジャー関係雑誌に花火特集として載るのだ。どこから情報を入手してもおかしくはない。
 デルフェスのことだから、暇さえあればエヴァと遊ぶため、あやかし荘に来ているだろう。
 たとえ、
|Д゚) ←これがエヴァの隣で茶をすすっていても、である。

「デルフェス。いらっしゃい」
 元気よく、出迎えるエヴァ。
|Д゚)ノ いよう。二股ゴーレム
 相変わらずのナマモノ。
「かわうそ?様、わたくしは二股ではないですわよ〜」
|ДT) いたいー、いたいー
 額に青筋立てて、小麦色に“うめぼし”をするデルフェス。
 ついでに小麦色の毛皮を伸ばすデルフェス。
「暴力はダメ!」
 と、かわうそ?を分捕るように抱きしめるエヴァ。
 こういう事は日常茶飯事。さほど問題はないことだ。問題があるとすれば、デルフェスの心のほうだろう。今回、決意らしきモノがある。
 もう、エヴァがIO2から離れ、一般生活に向けて生きている。それ以外変わっているというと分からない。デルフェスはかなり前からエヴァに何かしら特別な感情があるのだ。
 故に、
|Д゚) ←これのおちょくりに、彼女が激しく反応する理由に繋がるのだ。
 本人は否定しているが……。
 しかしこれは背水の陣。
「エヴァ様、今度、花火にいきませんか?」
「うん、私も行こうと思ってたんの!」
「よかったですわ」
 明るくなるデルフェス。
「メグミにキリに……アマチとも!」
 分かっているが、二人きりで行けるわけがなかった。
「は、ははは」
「どうしたの? デルフェス。顔、引きつっているよ?」
「な、なんでもありませんわ」
|Д゚) ←何かあると思っているナマモノ
 とかく、当日になれば分かることだろう。


2.集合
 当日になった。
 すでに、櫻紫桜はいつの間にかやってきていた。
 天薙姉妹と恵美さんは、厨房でワイワイと料理を作っている。
 それ以外には何とも暇そうだ。
 すでに、三下忠が場所取りに向かっているし、彼1人だと心配なので、櫻紫桜やエルハンドも向かっていった。
「あら、お酒が足りないですね」
「そうですね。どうしましょう?」
 と、気がついたのは恵美と撫子。
 考えてみれば未成年が多いのだが、トラとかザルとかいるので、関係がないものだ。
|Д゚) ←これも飲むだろうし
 エヴァやSHIZUKU、さらには響カスミと茂枝萌もあつまっており、女性陣の殆どが浴衣姿になっている。これは、亜真知の提案であり、エヴァには特別に浴衣を作ったそうだ。
 和気藹々と浴衣が似合うとか綺麗とか話でもりあがる。
 当然、デルフェスは茂枝萌やSHIZUKU、エヴァの浴衣姿に萌えて鼻血で倒れて――、
「何故そうなるのですか!? いきなりリタイアは致しませんわ! でもいいですね〜」
――しかし、萌えているのは変わりない。

 あやかし荘の池で、肌が乾くために太夫がいるのだが……
|Д゚)ノ いよー
「おお、かわうそ? ひさしぶりじゃな」
|Д゚) ……じゅるり
|Д゚) 食材!
「まて! まて! わしは食い物じゃないぞ!」
 と、“こっち”のかわうそ?がみた太夫は“食い物”と認識されているようだ。

「お待たせしました〜」
|-_-|ノ
 と、小さい女の子が、いきなり軽バンをあやかし荘に止めた。
 謎のクダモノ、いよかんさんも一緒だ。
 しかし驚くことなかれ、彼女は本谷マキ、これでもれっきとした大人である。この際、何処かのバンドとかは抜きである。因みに軽バンの中にかなりの量の酒だ。
|Д゚) ……!
|Д゚) 他は?
「皆さん仕事なんです」
|Д゚) あの女は?
「あの人ですね……「おいかけっこ」ってと言ったきり倒れちゃったんです。その代わりせめてこの子達を」
 と、6匹のいよかんさんを連れてきたのであった。
 そのいよかんさんはよじよじ、マキの肩やら頭に乗ろうとしている。
 あ、一匹が落ちた。
|Д゚)ノ
「かわうそ? さん! たべちゃだめ!」
|Д゚) ちっ
「心底悔しそうですね」
|Д゚) ……

 そして空から、轟音が聞こえると、
「まにあったー!」
 銀野らせんが浴衣姿ドリルガールで現れた。
「もう、事件に巻き込まれて! で、でも……」
|Д゚) いや、間に合った
「よかった かわうそ?ちゃん」
|-_-| ……
 らせんの肩に柑橘生物が乗っている。
|Д゚) !
|Д゚) らせん
|ДT) うわきもん〜
「ああ! かわうそ?ちゃん!」
 嫉妬で何処かに去っていく小麦色に、ショックを隠しきれないらせんであった。
――かわうそ? お前の方が浮気者だ。

 櫻紫桜というと……。
 場所とりの忠とぼうっと、人が来るのを待っているのだ。
「ああ、良い天気ですねぇ」
「ですね」
 手ぬぐいを頭にかけて、日よけにしている三下の声に、相槌を打つ感じの紫桜。
 まったく平穏で、コレといって特筆すべき事はなく、ただ時間だけが流れる。
 エルハンドもそろそろ人が来るだろうと遠くを見ていた。
 ふと何か目にうつる。
 川に何かが浮かんでいるのだ。
「?」
「何か川から……小舟?」
 そう、小舟である。
「エルハンドさん」
 と、隠居の名を呼ぶ声がする。
 小舟自体は何も変わったところもなく、川に小舟があること自体はおかしくはない。つまり、エルハンドが気になったのは、見知った顔がいると言うことだった。
「焔寿?」
「?」
「ああ、知り合いだ」
 と、ゆっくり近づいてから小舟にひらりと乗るエルハンド。
「風流なことをするのだな」
「はい♪」


 ゾロゾロ参加する者達が集まり、挨拶を交わしたり花火が始まるまでお弁当を食べていたりする。 色々世話をするのは撫子と亜真知、そして紫桜、デルフェスである。小舟が珍しいのかマキ達が乗って遊んでいるのも見えるのだが、
「だめですよー! 未成年がお酒飲んでは!」
 とかマキが怒っている。
|Д゚) 何を言う、マキ。マキ子供じゃないか……! 酒飲んでいいの?
「かわうそ?さん! 免許証見て下さい!」
|Д゚) まじ! うそ!
「こらー! かわうそ? 態と言っているでしょ!」
「私はてっきり……」
 かわうそ?にからかわれ、紫桜は本気にとり、その他大勢に“れっきとした大人”と信じてもらえていない本谷マキ。

「あ! だめ! かわうそ?ちゃん 7匹のいよかんさんを食べたら!」
|Д゚) ガジガジ
|Д゚) なつにいよかんってあった?
「だめです〜!」
 一匹犠牲になるいよかんさん。
 らせんの肩に乗ってやってきた奴だ。幸い、らせんがいよかんを(季節柄在るのか?)持ってきていたのでそっちに乗り移ったので事なきを得た。

 相変わらず大人数集まれば、騒がしくなるのは道理なのだ。
 そんなことを考えもせずただまったりしている者は、この騒ぎをただぼうっとみているだけであろう。

 花火が始まった。


3−4.デルフェスの決意
 デルフェスはエヴァと一緒に花火を見ている。
 告白というものは勇気の要ることだ。
 曰のない普通の団扇をエヴァに持たせて、一緒に屋台のタコヤキや綿飴などを買って食べるふたり。
 河川敷の屋台街にある脇道を通り抜けると神社がある。
「どうしたの?」
 首を傾げるエヴァ。
 丁度角度的に、エヴァが花火を眺めるところにたっている。デルフェスの顔が花火の光によって影になり見えない。自然とデルフェスの手に力がこもっていた。そして、意を決し……
「エヴァ様、初めてお会いした時から1人の女性としてお慕いしておりました。好きです」
 と、今までにない真剣さで、今までの想いをエヴァに向けていった。
 その言葉に、目を丸くしているエヴァだった。
 花火はその時、最大の見せ場になっているが……、
「えっと……デルフェス……」
 エヴァが少し困ったように答える。
 デルフェスは、エヴァの困った顔を直視していた。先ほどの告白から、自分の心との聞くに徹している。
「いいよ」
「え?」
 にっこり微笑むエヴァ。
 直後、花火が鳴り響く。
 そして、デルフェスの腕に抱きついた。
「エヴァ様」
「うん、これからもよろしくね。デルフェス」
「ええ、此方こそですわ」
 と、お互い顔を見合わせて、微笑んだ。
 この境内の裏手は格好の花火スポットだ。しかし、此処にはデルフェスとエヴァしか居ない。2人は、最後まで花火をその場所で見ていた。
 花火が終わったあと、皆が集まるまで思い出話などで話が盛り上がった。デルフェスは嬉しさのあまり、今にも泣き出しそうだった。エヴァもデルフェスと仲良く楽しくやっていきたい事も分かった事が何より嬉しい。

 過去にあった過ち。守ろうとして守れなかった事。封印し復活してからの自分。
 様々な空白があったが、この現代に彼女は――

 再びかけがえのない人を彼女は得たのだ。


4.花火大会が終わって
 最後の花火を各々が気に入った場所(見る場合ではなかったモノもいるだろうが)
「大きな荷物はマキさんの来るまで良いのでしょうか?」
 紫桜が訊く。
「いや、男の力が必要になりそうだな」
「え?」
 エルハンドの声で、首を傾げる紫桜。
|Д゚) あ! なんちゃって大人、マキ
|Д゚) 酒、飲んでた!
「うう、これじゃ車出せないですね」
 なんと、マキは車で来ていたのに酒を飲んでいたのだ。
 ビール瓶ケース半ダースを彼女1人で飲み干したとかそう言うレベルではない。
 既に行きが歩きの大人は酒が少しでも入っていることが普通であろう。しかし、やってくれたのはマキ。車に乗ってきたら、飲まないのが普通ではないか?
「空き瓶等不燃物、資源ゴミはその中に入れて貰って、生ゴミ、ペットボトルなどは各自で収集ですよ」
 恵美さんが言う。

 大失敗したマキに沢山の資源ゴミが手渡され、いよかんさんも連れて帰られるところも何とか阻止したが、ショックはかなりデカい。
 自分の馬鹿さ加減に、だ。

 そんなことは知らぬ。自己管理を怠った本人の所為だと言わんばかりに、皆はそれぞれの帰路についた。


おわり

■登場人物
【0328 天薙・撫子 18 女 大学生・巫女・天位覚醒者】
【0461 宮小路・皇騎 20 男 大学生・財閥御曹司】
【1098 田中・裕介 18 男 めいどまじん】
【1305 白里・焔寿 17 女 神聖都学園生徒/天翼の神子】
【1593 榊船・亜真知 999 女 超高位次元知的生命体…神さま!?】
【2181 鹿沼・デルフェス 463 女 ミスリル(ハーフ)ゴーレム】
【2206 銀野・らせん 16 女 どりるがーる?】
【2213 御柳・狂華 12 女 中学生・禍】
【2868 本谷・マキ 22 女 スティルインラヴのドラム】
【2276 御影・蓮也 18 男 高校生】
【3071 九条・真夜 22 女 守護者】
【3670 内藤・祐子 22 女 めいどのあくま】
【4037 大山椒・太夫 999 男 おおさんしょううお?】
【4766 秋築・玲奈 15 女 ぼくっ子】
【5453 櫻・紫桜 15 男 高校生】

■ライター通信
 滝照直樹です。
 色々ご迷惑をおかけしました。まことに申し訳ございません。前回の事から、ずっと色々考えた末に、結果を変更させて頂きました。