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<東京怪談・PCゲームノベル>


具現化協奏ファントムギアトルーパー――testee2

 ――燦燦と輝き照り付ける陽光。
 雲一つ見当たらない澄みきった青空。小波の音と共に揺れる紺碧の水面。ジリジリと熱を帯びた気温と焼ける砂浜――――
 歓声を響かせながら幾つもの足跡を残して砂浜を駆けて行くのは少年少女達だ。はしゃぐ声が時折流れて来る心地良い潮風に運ばれて行く。
 ここは貸し切り状態の楽園そのものだった‥‥。

■testee2:臨海学校の中で
「おい? 月見里だったか?」
 月見里千里が深い溜息を吐く中、不意に飛び込んで来たのは男の声だ。聞き覚えはある。ショートヘアの少女はゆっくりと顔を向けると、小麦色の肌が陽光によく似合う精悍な風貌の男が瞳に映った。
「藍原、先生」
「よぉ、名前は覚えてくれてたみたいだな」
「はい‥‥それより何か用ですか?」
「いや用って程じゃないけどよ。折角の海だぜ? 月見里は泳がないのか? 水着忘れたのか?」
 確かに千里はビニールシートの上で膝を抱えており、細い身体を包むのは軽装の私服だ。あれこれと詮索する藍原和馬に、少女は不機嫌そうに片眉を跳ね上げる。
「気にしないで下さい。担任には許可してもらっているんですから」
「まあ、担任が良いって言ってるなら仕方ないが‥‥臨海学校だぜ? それとも具合でも」
「藍原先生?」
 声は彼の背後から聞えた。咎めるようなキツイ感じの声だ。和馬が視線を流すと、瞳に映ったのはシンプルなワンピースの上にパーカーを羽織った、中性的風貌の女だった。腕を組んで仁王立ち。切れ長の青い瞳が男を射抜く。
「エマ先生‥‥な、何か?」
「何かじゃありません! 体育教師なら準備運動させたり、事故が無いかもっと周りを見るべきじゃありませんか? 月見里は私が見ますから大丈夫です」
 やたらと大丈夫を強調した声だった。これは退散した方が良さそうだ。茶髪をポリポリと掻いてバツが悪そうに周囲を見渡す。
「分かりました分かりました、月見里はエマ先生にお任せしますよ。じゃな、気が向いたら俺に相談してくれよな」
 軽く手を振って和馬はその場を離れた。しかし、行き先はまたしてもビニールシートで腰を降ろす生徒の元だ。見れば、ハーフパンツ風の膝までの長さの水着にフード付半袖パーカーを羽織った少年ではないか。灰色に近い短めの銀髪がサラサラと潮風に揺れていた。
「ったく、どいつもこいつも、パラソルの下に潜りやがって、太陽と海が泣いてるぜ。お」
 ――おい! 尾神。
 そう口に出そうとした矢先である。和馬の視界に映ったのは、流れるような銀髪を揺らして横切る少女だ。
 ――鎮芽‥‥グリーペル‥‥。
 彼等を霊駆巨兵へと導いた少女。学園の最高管理者――――。
「尾神クン」
 鎮芽は少年の顔を覗き込むように名前を呼んだ。尾神七重は端整な風貌の中で大きな暗紅色の瞳を見開いた。咄嗟にパーカーの前を手で合わせ、弱々しい笑顔で口を開く。
「鎮芽‥‥さん?」
「浮かない顔してますわね。泳ぎませんの?」
「鎮芽さんこそ泳がないのですか?」
「‥‥これでですの?」
 少女は覗き込む姿勢から半身を戻すと、黒いワンピースの短いスカートを広げて見せた。別に中が見える程あげた訳ではないが、七重は無意識に顔を逸らす。そんな彼の仕草に鎮芽は妖しく微笑むと、ふわりと少年の隣に腰を降ろす。
「ねぇ、どうして泳ぎませんの?」
「僕が運動苦手なの知ってるじゃないですか」
「そうでしたわね。でも、泳がなくても海に入るだけでも気持ち良いかもしれませんわよ?」
「今は泳ぎたくないだ‥‥な、なに覗き込んでいるんですか!?」
 少女に顔を向けると少年は慌てたように膝を抱いて身体を丸めた。
「だって必死で隠しているようにしているのですもの」
 クスッと少女が笑う。七重は自分の細すぎる痩せた身体にコンプレックスを抱いていたのだ。本当は水着じゃなく私服で来れば良かったなんて思ったのは、千里を見た後の祭である。恥かしさに顔を赤く染める彼だったが、これ以上鎮芽はからかわなかった。
 暫しの沈黙の中、言葉を洩らしたのは少年だ。
「‥‥僕が乗って、いいんですね?」
「乗りたくありませんの?」
「違いますよ‥‥だけど、本当に僕でいいのかなって‥‥」
「まあ☆」
 少女は口に掌を当てて微笑む。
「何を仰いますの? あの能力、素晴らしいですわよ。どうすれば力を防げるのかしらね」
 鎮芽は七重の特殊能力である『重力操作』の事を言っているのだ。少年が独り言のように呟く。
「妖怪機もまた、誰かが何かの目的で製作したはず。一体何故ですか?」
 ――突如出現する古の妖怪を模る戦闘メカ。
 機械であるなら誰かが何らかの目的で作った筈――――。
「さあ? 分かりませんわ。宇宙人の侵略かもしれませんわね」
 少女は立ち上がり、肩越しに少年の顔を見下ろして笑った。

●誘われた夜
「なあ、肝試しなんだけどよ」
 狭い部屋に入るだけの男子生徒が詰めており、中央の少年が静かな声で話し出していた。皆、彼に注目し好奇心に満ちた瞳を輝かす。
「ここ最近の心霊騒ぎあんだろ?」
「あの海岸で男が行方不明ってやつかぁ?」
「波に攫われたんじゃねーの?」
 男子の反応に中央の少年が天を仰ぐ。
「浪漫がねぇなぁ」
 ――心霊スポットが浪漫でしょうか‥‥。
「で、話なんだけどよ、高等部の先輩達が肝試しを計画しているって事なんだよ。しかもよ、男女ペアだってよ!!」
 ペアの部分で力を込める少年に、囲む男子達も雄叫びをあげる。高等部女子と出会える機会なぞ、そうそう有るものではない。
「よぉ、尾神。おまえも来るよな? 感謝しろよ、同じ部屋だから話に混ぜてやってんだぜ」
 急に話を振られ、銀髪の少年は興味なさそうに顔を向ける。
「‥‥止めた方がいいと思いますけど」
 赤い瞳を伏せたまま、七重は言い難そうにポツリと零した。後に待っていたのは罵声と怒りを露にした少年の洗礼だ。
「うるせーんだよ! 人が誘ってやってんのによ! ぜったい来いよ! 尾神!!」
 男子達が解散する中、七重は口元を拭うと、ゆっくりと半身を起こした。
 困りましたね――――。

■肝試しの中で
「それじゃ集まった皆さん、これから中等部と高等部男女混合による肝試しを開催しまーす!」
 教師達の防衛ラインを潜り抜けた少年少女は、真夜中の浜辺に集まっていた。発端は、進行役を務めている彼女――らせんが「肝試しをやらない?」との発言だ。夏の宿泊イベント恒例でもある肝試しの提案に、面白くないと思う連中は少ない。
「えーと、先ずは籤引きしてパートナーを決定ね☆ 男女ペアにならない場合もあるからそこは勘弁! それと肝試しコースは‥‥」
 真夜中の海岸をペンライト一つで往復するというものだった。ネット等で行方不明騒動は知っている者は少なくない。況して曰くもない宿泊施設にネタもなく、水場は心霊現象としても多いものだ。海岸が肝試しに打って付けと考えたのだろう。
「渡したモノに名前は書いて来たわね? これをペア同士で突き当たりの岩場に置いて来るのが目的よ♪」
 こうして海岸往復肝試しは開催されたのである――――。

「さ、行こっか☆」
「は、はい‥‥」
 眼鏡を掛けた茶髪の後ろ髪を三つ編みにした少女が明るい声を投げ掛けた。小柄な銀髪の少年は困惑しながらも返事を返す。‥‥が、らせんは不満そうな瞳で七重を見下ろした。
「キミ、折角なんだから手くらい握りなさいよ。だいじょーぶ☆ お姉さんが守ってあげるから怖くないわよ♪」
「‥‥はぁ、よろしく、お願いします」
 七重は差し出されたしなやかな手を握ると、2才年上の少女が口元に手を運んで笑った。
「やだ、キミ震えてない? 女の子の手、握った事ないの?」
「ち、違いますよ! でも」
 ――なんかドキドキする。
 頼りはペンライトと月明かりのみ、静寂の中に聞えるのは小波の音。闇に包まれた真夜中の海岸ほど不気味なものはない。そんな暗がりで年上の少女と手を繋ぐ行為に、少年は胸の高鳴りを感じた。
「悪いわね、あたし言いだしっぺだから最初なのよ。ま、籤で当っちゃった不運を悔やみなさい‥‥ん? 不運? なんかヤダな。こんな美人のお姉さんとペアになれた事を感謝しなさいよね♪」
「‥‥そう、ですね」
 少年は苦笑する。幸いかペンライトは僅かに前方を照らすのに精一杯で、七重の表情がバレる事はない。
 それにしても、暗闇で会話するのは不思議な感覚だ。相手を確かめられる手段は声と繋いだ手の暖かさのみ。彼女は明るくて元気な声で話してくれたから肝試しの感覚は鈍るが、もし、無口な少女だったりしたら、意外と怖いかもしれない。
「もし?」
「え? なに? 尾神くん」「なんですか? 銀野さん」
 ――えっ?
『もし?』
 その切ない声は背後から聞えていた。小波の音に交じり、ポタリポタリと雫が零れる音も聞える。二人は立ち止まり、固まった。不意に少女の手が七重の手をキツく握る。
「お、尾神くん、じゃない‥‥みたいね‥‥尾神くん?」
 らせんに彼の表情は分からない。その時、少年は赤い瞳を研ぎ澄ましていた。
『もし? 少しの間だけ子供を抱いていてくれませんか?』
 少年は意識を集中させ、瞳を閉じる。見えないモノを見ようと能力を発動させたのだ。脳裏に浮かぶは美女の背後に映る蛇のようなシルエット。
「‥‥現れましたね、妖怪濡れ女。いえ、妖機怪!」
 七重はポケットの中で、懐中時計のようなデザインの装置に指を掛け、スイッチを押し込んだ。刹那、響き渡る轟音。慌てたのは、らせんだ。
「なになに!? 地震!?」
 ――霊波動確認 パイロット照合・尾神七重
 霊駆巨兵ファントムギアトルーパーリフトアップ――――
 突如砂浜が大きな山の如く盛り上がり、頭上から砂飛沫が降り注ぐ中、月明かりに照らされたのは鋼鉄の輝きだ。
「離れていて下さい!」
 少女に告げると少年は体育座りの巨兵へと駆け出した。
「ファントムギアトルーパー、起動します!」
 立ち上がる巨兵。視界が上がる中、赤い瞳に少女を捉える。彼女の傍に映るは闇の中でも姿がハッキリと浮かぶ銀髪の娘。
「‥‥鎮芽さん? そうか、彼女にも機体を。‥‥!!」
 人の顔を模ったようなメカニカルな蛇が、身体から次々と人の子供を模った塊を投げて来る。七重は機敏に機体を動かし、予想していた攻撃を躱した。
「身体は思うように動かないのに、皮肉かも‥‥!!」
 刹那、大きな津波が吹き荒れた。違う! 巨大な水牛のようなシルエットが海中から飛び出して来たのだ。
「はやり濡れ女と牛鬼ですか!? うわッ!」
 突然地面が揺れ、機体は足元をグラつかせた。ここは砂浜、僅かに隙が予期せぬ事態を引き起こす。まして、この状況で2体を相手にするのは厳しいものだ。
「避けるのが精一杯ですか! 技が出せない! あれは?」
 回避行動を続ける中、視界に駆けて来る巨兵が映った。
「銀野さんですか? 僕です。濡れ女の方をお願いします」
『了解よ!』
 どうやら通信はキャッチしてくれたようだ。七重は視界を牛鬼へと向けると、スティックを握る指に力を込めた。
 突き出した腕の上腕装甲が展開し、蛇の如く青白いエネルギーがのたうつ。
「‥‥ケージ・オブ・グラヴィ‥‥!? あれ?」
 少年は赤い瞳を見開いた。腕が動かず、足さえも動かない。否、正確に言えば操縦桿が硬くなり、ペダルが固まった感じだ。
 ――牛鬼には、凶眼という能力がある。
 じっと見つめられた人間は死ぬとか、影を飲まれ黒焦げになったという話が伝わっているのだ。これを『影を飲まれる』と言ったそうである。
 様々な説の中で、凶眼が相手の影を縛り、身動きを止めるとしたら――――。
「月明かりに映る影‥‥ですか」
 牛鬼は巨大な口を開けると、紅蓮の炎を吐き出した。動けない巨兵はまともに炎の洗礼を浴び、コックピットに熱が伝わり、操縦桿が焼けるように熱い。
「うあぁぁぁッ!!」
『尾神くんッ!』
 ドリルの右腕を持った女のシルエットが飛び込み、巨体を抉る。妖機怪は悲鳴のような声を轟かせると、凶眼の効果が消滅した。
 ――今なら!
「銀野さん下がって下さい! ‥‥ケージ・オブ・グラヴィティ!!」
 巨兵の腕がエネルギーに一瞬押されながらも、見えないパワーが空気を巻き込んで放たれた。砂が竜巻のように渦巻き、海面が大きなトンネルを描き出す中、重力操作の能力により、水牛を模ったメカがゆっくりと前方から押し潰されてゆく。次々と破片が粒子と化して吹き飛び、牛鬼は悲鳴のような声を響かせた。
「‥‥あなた方は、一体何者ですか? はっ!?」
 牛鬼のシルエットが粒子と化して流れる中、その巨体の中に人影を捉える。一人、二人‥‥。
「あれは、行方不明の方達?」
 牛鬼が完全に消滅すると同時、男達が落ちる。或る者は海面に飛沫をあげ、或る者は小さな砂煙を舞い上がらせた。いずれにしても、大怪我の心配はなさそうだ。
『やったね♪ 尾神くん☆』
「ありがとうございます。おかげで助かりました」
『言ったでしょ♪ お姉さんが守ってあげるって☆』
 少年は視界にドリルガールと化した巨兵を捉え、微笑みを浮かべた。

●格納庫にて
「皆様、お疲れ様でしたわ☆」
 胸元で手を組み、鎮芽は満面の笑みと共に霊駆巨兵ファントムギアトルーパーのパイロット達を迎えた。皆、後部ハッチを開くと次々と咳き込んだり、顔を顰めたり、リアクションは様々だ。何故なら機体は砂浜や浅瀬で戦いを繰り広げた為、砂と潮に塗れていたのである。
「まあ☆ 大変でしたわね。後でFGTも洗ってあげなきゃですわ」
 あまり大変そうに聞えない。
「それは兎も角として、まあ☆ 沢山集まってくれましたのね♪」
 瞳を輝かせてパイロット達に視線を流す。ずらりと並ぶ人数は11名の生徒に教師だ。
「では、折角ですから自己紹介でもしませんこと?」
 両手を合わせ小首を傾げての笑顔に、小麦色の肌が健康的な青年が苦笑してみせる。
「まあ、共に事態を収めた仲間だからな。俺からいくぜ? 藍原和馬だ。知ってる奴もいるだろうが、麗刻学園の体育教師を務めている。ま、ヨロシク頼むわ」
 次に口を開いたのは、切れ長の瞳が落ち着いた雰囲気を醸し出す中性的な女だ。
「シュライン・エマよ。外国語講師を務めているわ。ヨロシクね」
「では、教師ですので、わたくしが」
 丁寧で何処か、おっとりとした口調の和服姿の淑女がお辞儀する。眼鏡の奥に浮かぶ瞳は優しげだ。
「古典補助教諭の天薙撫子と申します。皆様、宜しく」
「えーと、撫子お姉様とエマ先生に藍原先生‥‥これで先生方は終わりね☆ わたくしから始めます♪」
 長い黒髪の美少女が手をあげる。
「高等部の榊船亜真知ですわ☆ 皆様、頑張りましょうね♪」
「次はあたしでいいかな?」
 茶髪のショートヘアを掻きながら、背の高い少女が微笑む。
「あたしは高等部の月見里千里だよ。誕生日は8月12日。身長166cm、体重50kg。3サイズは秘密ね☆ ゲームが好きで、コスプレが趣味。あのパイロットスーツはあたしがデザインしたんだ♪」
 気に入ってくれた? と訊ねるものの、数名は苦笑いだ。千里は、「ま、いいか☆」と笑うと次へバトンを回す。流石に年頃の女には抵抗があるかもしれない。
「レディファーストよね。クミノちゃん、どーぞ」
「私は、別に‥‥」
 流れるような優麗な黒髪に、赤いリボンをあしらった小柄な少女が溜息を吐く。
「‥‥ササキビ・クミノ。中等部よ‥‥よろしく」
「‥‥えっと、それじゃ僕かな」
 簡単な挨拶に終わりなのかと戸惑いながら、灰色に近い銀髪のショートヘアの少年が口を開く。
「尾神七重です。あ、中等部です。よろしくお願いします」
 これで前回の妖機怪小豆荒いの時から参戦したメンバーの紹介が終わった。
「次、誰から? あたしから始めよっか?」
 丸眼鏡を掛けた少女が元気な声を響かせた。彼女が顔を左右に向ける度に、長い三つ編みの後ろ髪がブンブンと揺れる。
「お先によろしくてよ」
「私はマスターの後で構いません」
「レディファーストで来たなら、俺は一番後で構いません」
 三人の少年少女が先を譲った。
「そう? こほんっ☆ 銀の螺旋に勇気を込めて、回れ正義のスパイラル! ドリルガールらせん、ご期待通りに只今見参! ドリルガールこと銀野らせんよ☆ ヨロシクね♪」
 大きなドリルを召喚し胸に抱くと、らせんはウインクして微笑んで見せた。‥‥なるほど、確かにドリルガールだ。
「では、わたくしですね〜」
 ニッコリと微笑んだのは、金髪の少女だ。ほがらかな雰囲気を漂わせ、何処かノホホンとした印象を与える。
「ファルナ・新宮と申します〜☆ キャッチフレーズは、いつも笑顔でマイペースにです〜♪ 宜しくお願いしますね」
「私は護衛メイド・ファルファと申します。マスターであるファルナ様に仕えております。皆様、お見知り置きを」
 青い髪のシャギーヘアの少女が丁寧にお辞儀する。確かにメイド服を纏った彼女は、護衛は兎も角、紛れも無くメイドだ。
 最後に残った、整った風貌に精悍さを漂わす少年が、組んでいた腕を下ろして背筋を張る。
「俺は櫻紫桜です。偶然、ササキビさんに乗せてもらっただけの、普通の高等部生徒です」
「‥‥普通? 紫桜さん、妖機怪が見えてたでしょ?」
 クミノが冷たい視線を流してポツリと洩らす。すると話に割って入ったのは、和馬だ。
「妖機怪が見えるのかよ! 俺と同じ能力じゃん。謙遜するんじゃねーぞ? 少年は、自己主張も大事な勉強だからよ」
「勉強、ですか。覚えておきます」
 総数11名の挨拶が終わると、鎮芽が締め括る。
「頼もしい方々ですわ☆ もっともっと増えると部隊編成が出来て楽しそうですわよね? 次もお願い致しますわ♪」
 結局、新たな情報は見つからなかったが、戦いは始まったばかりである。妖機怪とは? 作られる目的とは何なのか?
 ――不明な点は多々ありますが、戦い続ける事で真相に近付けると信じています――――。

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号/PC名/性別/年齢/担当】
【5453/櫻紫桜/男性/15歳/高等部学生】
【0165/月見里千里/女性/16歳/高等部学生】
【1533/藍原和馬/男性/920歳/体育教師】
【1166/ササキビ・クミノ/女性/13歳/中等部学生】
【2557/尾神七重/男性/14歳/中等部学生】
【0086/シュライン・エマ/女性/26歳/外国語講師】
【0158/ファルナ・新宮/女性/16歳/高等部学生】
【0328/天薙撫子/女性/18歳/国語・古典補助教諭】
【1593/榊船亜真知/女性/999歳/高等部学生】
【2885/護衛メイド・ファルファ/女性/4歳/完全自立型メイドゴーレム】
【2066/銀野らせん/女性/16歳/高等部学生】

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■         ライター通信          ■
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 この度は御参加ありがとうございました☆
 引き続き参加して頂き、嬉しく思っています。切磋巧実です。
 牛鬼を任せてもらいたいとの事でしたので、濡れ女は他の方に担当して頂きました。苦い青春や甘い青春の一片を演出させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?
 他のPCの活躍と視点が違っていたりする部分もございますので、お時間があれば読んで頂けると嬉しいかも。
 楽しんで頂ければ幸いです。よかったら感想お聞かせ下さいね。
 それでは、また出会える事を祈って☆