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神の剣 異聞 古本屋の姉妹 １ お約束な出会い
織田義明、又の名を“影斬”。
とはいっても、剣技が人並み以上とか性格がどうこう言う点では、普通なのかもしれない。
その力は人に見せるものでなく、最悪な事態になる前に封じる力。“弱き”を助ける力と迄は行かないが。
それはそうと、彼もまた学生である。色々資料を調べ、レポートを書かなければならない。
「どこかに民俗学やら神秘学が無いものかな？」
と、ぼやく彼。
彼が角から歩いて……
いきなり人とぶち当たった。
「いたた……。大丈夫？」
「え、え、だ、大丈夫です！」
いつも気を引き締めているのか、義明は倒れず、豪快に体当たりした少女を抱き留めていた。
「あ、ありがとうございます！」
「急いでどうしたの？」
尋ねる義明。
少女は長い銀髪に赤い瞳。
少女は、普通ぶつかるとお互いしりもちをつくというのに、抱き留めてくれたこの少年に……。
「いま、本屋が大変なんです。……早く手伝いに行かないと……」
「……ふむ」
慌てている事は分かった。
「何かの縁、手助けしよう。俺も本屋に用事があるし」
「え、ええ！？」
少女は驚いた。
驚き半分、少し嬉しい半分の複雑心境である。
その少女は佐伯紗霧。
元・吸血種と現役超越者の出会いであった。
〈田中裕介〉
隆美は凄く厭な顔をしていた。
目の前に変態が居る。
過去散々恐ろしい事をしていた、メイド魔神が居る。
分厚い百科事典で追い払ったあの悪魔が今其処にいるのだ。
いっそ、本の角で脳天をかち割れば良かったとか思うほどの憎悪が、彼に向けられている。
「お久しぶりです。隆美さん」
「な、何のようですか！」
「今日はこういう本を探しに来たのですが……」
「あなたに売る物はないです」
「いや、アレは違うと……」
過去の事が行きすぎだったため、未だ禁止令は解かれていないらしい。
客商売だが、今は自分の身が安全だ。
寄りによって、別の客からまとまった本の買い取り作業をしなくては行けない時なのに。こんなのが来たのだ。気分は最悪である。因みに古本は、仏教の歴史をかなり詳しく書いたもの２５冊セットだ。相場では８００００円はいくだろうか？ 保存状態なども調べなくてはならない分時間がかかるのだ。そんなときにこんな男が来るとは困ったものである。
この男が来たのは記憶が新しくて２件ぐらいかそれ以上。
無理矢理服に着せ替えられたのは１回、メイドにされたのは１回。あの事件でもうメイド嫌いになったとも言う。目の前の細目の男はそんな事も忘れて……カウンターに陣取っているのだ。
「今は忙しいのです。帰って下さい」
「いや、あの時は済みませんでした……そのお詫びに……」
「結構です」
|Дﾟ) あ―ほ―
|Дﾟ) 節操なしだから
|Дﾟ) あほのメイド魔神〜
と、入り口に何か変な生き物が笑って言っている。
「……」
「ナマモノ……過去まで飛んできて、知っている、口ぶりを……」
|Дﾟ) 事実
「……」
隆美もその変な生き物を見て固まっている。
獺の妖怪が居るのは知っているが、これは全く違うものだと直ぐに認識出たのだ……。
「腹話術？」
隆美が裕介を睨みながら聞く。
「違います！？」
「時差や、衛星中継？」
「だから違います……」
項垂れる裕介。
談笑したい裕介だが、まだ許して貰っていない。
隆美が思った事は、あの辺な小麦色と、目の前の魔神が同じ質の気配だという事だ。
|Дﾟ) ナマモノ
|Дﾟ) ナマモノの気配――♪
彼の足下に、当然の事ながら例のトランクがあった。
一方……。
「すみません」
「ああ、買い取りで査定するから忙しくなって……、代わりの店番なんだね？」
「はい、未だ本の価値などが分からないので」
「古書レベルだと、俺も分からない事があるね」
と、佐伯紗霧と織田義明は会話しながら文月堂に向かっている。
「先ほど言ったように、俺も古書など必要だから」
「はい」
まあ、悪い気はしない。
と、紗霧は思った。
別に下心があるわけでもないようだし。
――ただ、ぶつかった時、しっかり抱き留めた義明が不思議でならないが。
「……」
「どうかしたの？」
ふと、紗霧が身を震わしたので、義明が訊いた。
「会いたくもない、人がいそうな気がするのは気のでしょうか？」
何故かぽろりと口にする。
「？ 虫の知らせ？」
「見たいなものですね……はい」
頷く紗霧。
まさか、今一番遭いたくない存在が文月堂に侵蝕しているとは思うまい。
そして文月堂。
(ﾟДﾉ|
紗霧は、店の前に立っている謎のイタチのようでそうでないものを見て固まった。
「……！」
「大丈夫、噛みつく事はないし」
「だって！ あれ……」
口をパクパク開けて返答しようにも声が出ないようだ。
恐怖でそうなったのか、分からない。
「大丈夫。危険なものじゃないから」
「え？ 知っているのですか？」
「ああ、腐れ縁だね……アレがいると言う事は……誰かをからかいに来たのか？」
と、考える義明。
アレがからかう様な人物を即座に頭に思い浮かべる。
「佐伯さん、後ろから付いてきて下さい」
「え？ あ、はい」
義明が、紗霧にそう言って、向かう。
判断が付いた。いやアレしか居まい。
あの、独特の服用防虫剤がするのだ。
本の匂いの中に混じっている……独特の匂いがそう告げた。
「似合うと思います。いえ似合いますから」
「いやです」
文月堂では、メイド魔神が隆美を口説いているように見えた。
「このキャミソールもステキですよ」
また、何か押し売り紛いな事をしていそうな気配。
――またやっているよ、メイド魔神……
義明はどん底のためいきをついた。
――相変わらずだなぁ
この正確は死んでも治らないだろう。
いや、既にナマモノ化しているので無理な話だ。
義明は、かわうそ？の上から覗いて思った。
「何をしている？」
と、少しだけ口調を、裕介の元・師匠エルハンドのものにしてみた。
びくっと、なる裕介。
「え……えっと！ 義明君ですか……驚かせないでください」
と、安堵して振り返ると溜息をついた。
「あの、お知り合いですか？」
と、隆美がそこの男２人（必然的に裕介ではあろうか？）に訊く。
「ええ、まあその……」
裕介は言葉を濁している。
反面、義明は恐ろしい気迫だ。
「え、いや、そんなに怒らなくても〜。ねえ、義明君」
苦笑するメイド魔神。
義明の後ろにはメイド魔神を見てから怯えている紗霧。
「あ、あの人！ あのときの変態さん！」
義明の後ろで怯えながら叫ぶ紗霧。
「変態って？ 変態じゃないです！」
「じゃあ、あのメイド服事件は何だったのですか？！」
|Дﾟ) ナマモノだし
「お前に、ナマモノと言われたくない！」
思わず、反論する裕介。
紗霧は、今にも泣きそうだ。
隆美が爆発する前に、義明がメイド魔神の襟首を掴む。
「人の趣味を押しつけるなよ、あんたは！ かわうそ？ あの人を呼んで！」
義明が、メイド魔神を引っ張り……外に出た。
|Дﾟ) らじゃ
「あの！ 弁明の余地は？！ 義明君！」
|Дﾟ) 無い
「ひどい！ って、お前に言われたくない！」
|Дﾟ) サラバメイド魔神
|Дﾟ) 死なないけど
|Дﾟ) また来るだろうけど
暫くしてから、姉妹の耳にメイド魔神の絶叫が聞こえた。
神の鉄槌なのだろうか？ 何とか危機を脱出できたようである。
――馬鹿は死ななきゃ治らないとあるが
――メイド魔神は死んでも治らないだろう
あの人も何か犠牲になったのだろうか？ と、思う佐伯姉妹だった。
残されたトランクを怖々開ける隆美。
「うわ、やっぱり……」
「いやあ」
中にはメイド服が一杯これでもかと入っている。
とりあえず、自分に似合いそうな普通の服も入っているが、余り着る気がしない。
――メイド魔神の魔手に落ちたような気がするからだ。
|Дﾟ) それはそれ、これはこれ
|Дﾟ) と、考え方ある
と、いつの間にかなじんでいるかわうそ？に言われた姉妹は……。
「私この服、欲しいと思っていたんだけど……？ お姉ちゃん」
と、前から欲しかった物らしい、可愛らしい洋服を見せる紗霧。
おねだりするときの上目遣いのようにしている。
「……うーん」
悩む隆美。
窃盗になりそうだし、いや、其れは何というか……
「すみません、ウチの知り合いが飛んだご迷惑を……」
と、礼儀正しく謝る義明。
「はあ、ええ、助かりました」
歯切れの悪い返事をする隆美さん。
「そのトランクと中身は破棄しても構いませんし」
と、言う義明。
|Дﾟ) 何気に酷い
紗霧は手をポンと叩いて、
「あ、そうだ。お姉ちゃん。この人、織田さんって言うの。本を探しているんだって」
「あ、お客さんなの。いらっしゃい」
「ええ、何かとんでもない事になっていましたが……じつは民俗学などの本を探していまして」
と、徐々にメイド魔神の事を忘れていくのであった。
そのころのメイド魔神は、ある人の手によってボコボコにされて、ゴミ箱に捨てられていたのだった。
|Дﾟ) 燃えない
|Дﾟ) 萌えない
|Дﾟ) 救われない
続くのか？
|Дﾟ；) え、つづくの！？
■登場人物
【1098 田中・裕介 18 男 メイド魔神】
【NPC 織田・義明 18 男 学生・天空剣師範代（装填抑止）】
【NPC 佐伯・隆美 19 女 大学生・古本屋のバイト】
【NPC 佐伯・紗霧 16 女 高校生】
【NPC かわうそ？ 謎の小麦色】
■ライター通信
滝照直樹です。
『神の剣異聞 古本屋の姉妹』に参加していただきありがとうございます。
かわうそ？がコメントお届けするようです。
|Дﾟ)……
|Дﾟ) メイド魔神キタ━━━━━━━━━━━━ !!!!!
|Дﾟ) ゴミ行きー
|Дﾟ) 過去の出来事、印象最悪
|Дﾟ) ４話ずっとこんな状態かもよ？
|Дﾟ) まあ、がんばれ
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