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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


■オンライン伝染病■

 最近、巷では「オンライン伝染病」というものが「流行って」いるらしい。
 これだけ噂になっていても誰も詳細を知らないのは、その伝染病というのが、「突然前触れもなしにあるネット喫茶が襲われ、嵐のような突風と共にその場にいた客達や係りの者も含め全員が一人残さず、激しい痙攣と共に意識を失い、仮死状態になる」という恐ろしいものであるのに、誰も「何故そうなったか」を教えてくれたりもしないからだった。なんでも、被害者の家族も、どうでもいいといった感じで全員が全員、その被害者をベッドに寝かせておいたまま、普通の生活を続けているのだという。
 無論、考えたりはするのだが───最近ではネット喫茶だけでなく、ネット喫茶に行かなくなって家でネットをするようになった人間、その家を囲む範囲にまで被害が及んでいるという。
 そしてこの日───ついに、このゴーストネットOFFにも「それ」は訪れた。
「!? なにこれ!?」
 急に吹いてきた突風に、かすかな桃の香りを含んでいる、と思いつつも瀬名雫は痙攣し、意識を失った。
 そして全員が倒れ付した後、「その青白い玉」は店内にいつの間にかいて、全員に何か黒いものを入れ込んだのだった。



「雫! おい、しっかりしろ!」
 偶然そこを通りかかり、どうも店内の様子が変だと気づいた草間武彦が、雫の身体を揺さぶるが、瞳孔が開いたまままったくビクともしない。
「? このにおい……桃?」
 どこからするのだろう、と武彦は気づいて店内を見渡す。
 だが、何も見つかる気配はない。
 武彦は急いで、調査を開始したのだった。



■夢うつつ■

 ───私は決してこんなことは望まなかった。
 ───私はただ、
          ただ───



「遅いな、桐生」
 武彦はゴーストネットOFFの中で身を潜めながら、腕時計を見た。
 腕の中には、被害に遭ったセレスティ・カーニンガムの身体がある。
「セレスティさん、ネットする機会が多いし───雫ちゃんとも仲がいいし、偶然居合わせたってところでしょうね」
 武彦に続いて店内に入ってきて、こちらも声を潜めながら、シュライン・エマ。
「わたくしがもう少し来るのが早ければ───」
 店内の惨状を見渡す、鹿沼・デルフェス(かぬま・─)。
 彼女は雫とはオカルト友達で、オフラインで怪奇情報を一緒に検証に行く仲だったのだが、この日もここで待ち合わせをしていた。が、なかなか店を抜けられなくて遅れてきたのだ。
「駄目だ。俺の言霊も効かない」
 武彦から連絡を受けてやってきた、物部・真言(ものべ・まこと)が、被害者達に自分の言霊の力が通じるか試していたが、かぶりを振ってこちらへやってきた。
「桃の香り、ですか」
 手に包みを持ち、立ったままでいた一色・千鳥(いっしき・ちどり)は暫く考え込むようにして、ようやく口を開いた。
 彼もまた、残暑見舞いと称して今度店で出す新しいメニューを差し入れにと興信所に行った折、零から連絡を受けてそのままこちらへやってきたのだが。
「本当に、遅いわね。桐生さん」
 シュラインが、些か心配になりつつ自分の腕時計を見下ろす。
 雫と共に店内にいて、何故かこちらはセレスティと違い、無事にすんだ桐生・暁(きりゅう・あき)は、武彦に後を任せて、とりあえず気になる点の一つだと言い、被害者の家族に被害者の話などを聞こうと、そこらを巡回していた警察官ひとりを捕まえ、抑揚のない感じで被害者のリストを読み上げた、その住所と名前をメモに書きとめて出て行ったきりなのだ。
「わたくしの術は効きましたのに、物部様の術は効かないのですね……何かそこら辺にも鍵があるのでしょうか」
 とは、デルフェス。
 彼女は自体を把握してすぐに、雫を始め意識を失った人間達を『換石の術』で石化して時間を止め、死に至る事を防いでいた。
 そこへ、ようやく暁が戻ってきた。
「はあ、なんだかワケわかんね、この事件。つか、もうひとつ気になる点ってのがあってさ、これって被害にあったやつしかわかんなくね?」
 どうやら収穫はなかったらしい。だがその後半の言葉に、店内のPC履歴や現URLを書きとめたメモを見ていたシュラインも賛同した。
「私も同じことを思っていたの。現場に居た人達が皆仮死状態になってるのに噂で突風について出ているのは何故か。犯人が噂流して……? 釣餌かもだけど、噂の出所も調べておいた方が良いみたいね」
「そうそ、ソコなんだよね。全員仮死状態になるのに、少ないながらもなんで内容わかってんだって。嵐のような突風部分なんて特にだろ? まあ、誰がその情報源なのかってのは洗ってみたいね」
 暁とシュラインの言葉に、なるほど、と武彦含めた4人───意識を手放しているセレスティ以外───は頷きあう。
「被害者のほうはまるで駄目だったのですか?」
 デルフェスの問いに、暁はため息と共に頷く。
 なんでも、家族は放心状態のように目が虚ろで、かといって強引に家に入ろうとすればおよそ人間とは思えない力で阻む。
「どっちかっていや、何かにとりつかれてるってより、力を貸されてるって風に受けたよ、俺は」
「何かに力を、ですか───それにしても、この香り」
 気になりますね、と千鳥。
 まだ、全員の鼻腔を桃の香りがくすぐっている。
 ふと、物部がその千鳥の持っている包みを目視した。
「一色さん───だったよな。その包みからも気のせいか、桃の香りがするけど」
「ああ、これは先ほども言いましたとおり、お店に出そうと思っていた新メニューで、確かに桃を使ってはおります」
 和風洋風とりあわせたデザートの一種なのですけれどね、と、包みを開いてみせる。
 その見た目の美しさにだけでも食欲を誘われ、思わずごくりと全員は唾を呑み込む。
「桃の香りって……皆、何を連想する?」
 気を取り直すように、武彦が全員に質問する。セレスティは未だ目覚めない。
「桃の香りの風だろ……桃源郷と何か関係あんのかって思う。流行るって行為自体、何か関係あるんじゃないかってさ。このニオイ消せばいいのかな?」
 とは、暁の意見。
「桃ではなくスモモなら、物騒ですが青酸ガスに関係するのかと思いましたが違う気がします。物理的なものが原因ならば、不可思議な事態は起こらないでしょうし。ネット喫茶をやめて家でネットをする方にも被害が及んでいるとのことですが、最初からネット喫茶に行かずにネットをしている方には被害が及んでいないのでしょうか……」
 とは、千鳥の意見。
「よく分からないが……“桃の香り”は場所によるものだろうか?」
 とは、真言の意見。
「桃の香り……脳裏に浮かんだのは青酸ガスだけれど……。元々日本では神聖な果物として神話にも出てたけれど……うぅん───それとも、倒れた人達から香りが?」
 とは、シュラインの意見。
「わたくしも、よく分かりませんけれど。『桃の香り』が鍵を握っているのは確かだと思いますわ」
 とは、デルフェスの意見。
 それからは、手短に、セレスティを抜かした全員が意見を交わし、行動を決めた。
「よし───全員、一応空気感染のことも考えて、零に怨霊を利用して応用したヤツ───膜みたく身体に包んでもらってあるよな? くれぐれも無茶だけはするなよ」
 武彦は言い、その場に待機する役目をひとり、負った。
 石化しているとはいえ、少しでも水を飲ませて黒いものを取り出せないかやってみていた暁は、はあ、と大きく無駄だったことにため息し、パソコンのひとつに向かう。
「やっぱり、───被害者の人たちから強く桃の香りがするみたい」
 確認していたシュラインが言い、危険でもネットでこの騒ぎ調べている人間達と情報交換をしこれら現象の分布経路や他情報収集を始めた。
「……俺が治せれば一番なんだろうが、こういう事にも無力さを覚えるな……。感染者と接してみて、俺も感染するかどうか、というのも分かれば原因が何なのか真相に近付きそうだが」
 真言は妙なところで心配性である。一度気にかけたものに対しては、とことん面倒を見てしまう。彼は今自分が言った、「そういう気配の有無」の確認をしていたが、感染者から感染することはないようだった。確かに、仮死状態に間違いはないようだ。
「ネットにはあまり詳しくないが、電話回線に乗ってウイルスが流れるのか? ともかく調査か」
 真言は気を取り直し、パソコンのひとつに向かう。
「青白い玉は実は何かの果実で、黒い物と言うのはそれの種子、そしてその種子が育つことによって、死に至らしめる可能性があるのでしょうか。関係者達が原因に興味を示さないのは、被害者を通じて何らかの作用が家人や警察などの方々に働いているからかもしれませんねぇ。被害者から漂う香りの様なものが」
 言って千鳥は、昏倒している人間のひとり───手近なセレスティの手を取り、能力でもって「見させて」もらおうとした。
 ───が。
「───!」
 ぞっとするようなガサガサという葉擦れの音がすぐ耳の近くでしたような気がして───そして、真っ黒なものしか脳裏に写ってこない「何か」に背筋を震わせ、思わずセレスティの手を離した。
「大丈夫か?」
 武彦が聞いてくる。
「───ええ。……なんとか。……私も万が一のため、待機することに致します」
 『何か』があった時、囮でない人間が武彦一人というのでは心許ない気がした。
「では、わたくしも」
 言って、デルフェスも形だけでもパソコンに向かう。
 デルフェスには精神攻撃は効かないので、恐らく「桃の香り」でどうにかなることはないはずだ。意識を失ったフリをすれば雫やセレスティ達の意識を刈り取ったモノが現れるかもしれないし、何かをされる前に換石の術で石化し、捕獲を試みてみるつもりだった。ネットの妖精みたいなモノの悪戯だとしても、少々度が過ぎるのでお仕置きが必要ですわね、と心の中で密かに思っている。
「一色さん、これ……」
 シュラインが、情報収集したものをとりあえずいったんプリントアウトしたものを、千鳥に渡した───その時。
 突風はなくとも、どこからか───甘い桃の香りがしてきて、暁、シュライン、真言は一瞬くらりとめまいを起こした。
 何故───零の能力の応用、「膜」で防いでいるはずなのに。
 空気感染では、ないのか───?
 そして三人は其々に、セレスティや雫が今いるであろう場所へと、まるで夢に堕ちるかのように意識を手放した。



■まやかしの桃源郷■

 やはりネットを介しているものだけを「探知」できる「モノ」なのだ、あれは。
 千鳥は、シュラインから渡されたばかりの資料に目を通しながら、それで知りえたことを確信する。
 何故なら証拠として、精神攻撃の効かないというデルフェスはともかく、ネットをしていなかった自分や武彦は無害のままだ。
 否、正確には。
 「狙いのつけられたパソコン」に一度でも触れた者が対象となるのだ。
 三人が倒れ付したあと、桃の香りを放ちながらゆらゆらと空中に現れた青白い玉を見据えながら、千鳥は汗のかいた手を握り締める。
 玉は、石化している被害者達に少しばかり困惑しているようだった。
 シュラインの調べた情報とは、以下の通りだ。
 昔、この場所に実在したという「夢人」という不思議な伝説の人物がいた。
 彼は菅笠で常に顔を隠しており、夢を現実にしたい、そのためなら一生を捨ててもいいという者だけを選び、魚になることを条件に、決して強制ではなくその人間達に竹筒から薄桃色の不思議な味のする甘美な飲み物を飲ませ、桃源郷の池に放したという。
 無論、そこで辞退した者には桃源郷への道への記憶を失わせ、多少の日数を必要としても故郷に帰した。
 夢人は、現在にもい続けたという噂が、ネットでは既にあったらしい。
 そして、つい最近になって夢人になりたいと願ったひとりの男が、桃の香りの飲み物をと研究を進めるあまり狂気に堕ち、青酸カリに手を出し、自らが実験台となって───それでも青酸カリと合成された研究結果の不思議な偶然の産物である液体により、人を仮死状態にし、男が望んでやまなかった、男が作り上げた桃源郷へと誘うことが出来たのだ。
 男の誤算は、自分が狂気になっていたこと、そして本物の夢人が男の目を覚まさせるため、現れたこと。
「続きは、ありません」
 小さく読み上げていた千鳥はそこで読むのをやめた。
 武彦とデルフェスが、何故という顔をする。
 千鳥は、ぺらりと紙束を示す。
「情報はここで途切れたようです。ですから───私がこれから、あの玉を探ります」
「よせ!」
 小さく、だが強い口調でとめる、武彦。
「これしか方法はありません、多分……ですけれど。私は、私の友人達を仮死状態にして放っておくことはできません」
 千鳥は目を閉じ、青白い玉に意識を集中させた。
 流れ込んでくる───かつて男にあったこと全てが。夢人の言葉が。
「お仕置きが必要ですか?」
 汗をびっしょりかいた頃に千鳥を現実に引き戻してくれたのは、デルフェスのその言葉だった。
「───ええ。
 男はそれから……夢人に毒の果実に姿を変えさせられましたが、逆にそれを利用して夢人そのものを自分の中に取り込んでしまったのです。夢人の声で、男が『偽者』であることを言うのが唯一、この被害者達を現実世界に戻す手立てです」
 警察や被害者の家の者が無関心だったのも、そのくせ調査しようとして阻み、あまつさえ人間にあるまじき力を持っていたのは───全て、それもこの「偽夢人」の仕業だった。噂が流れたのは、儚いまでの本物の夢人がとった、唯一の手立て───。
「シュラインさん、桐生さん、物部さん、聞こえますか」
 セレスティの手をぐっと握りながら、千鳥は声をかける。聞こえるはずだ───意識はこの辺を確かに漂っているはずなのだから。
「返事はいりません、私の言うとおりにしてください、シュラインさん、桐生さん、物部さん!」
 千鳥が声を荒げたのが、玉の意識をこちらへ招いた。
 だがその時には千鳥は、
「セレスティさん、シュラインさん、桐生さん、物部さん、聞こえますか!? 夢人は別にいます、その元凶の果実を消してください! 鹿沼さんがお手伝いをしてくださるそうですから、皆さん手を離さずにいてください!」
 と、喉もかすれる思いで言い、次いでそれこそ嗄れ声で、果実を消すための決定的な鍵であることを言った。
 デルフェスが、手を玉のほうにかざしている。
「残念ですわね」
 『換石の術』───玉を石化する。
「わたくしには、精神攻撃は一切効きませんの」
 コトリ、と青白い玉は床に落ち、ひびが入り───割れた。
 そこから、一気に今まで魚にされていた魂達が肉体に戻り始めたのだった。



■夢人(ゆめびと)■

 その後、デルフェスの術をもってしなくても息を吹き返した雫達に、武彦達は真実を伝えなかった。
 ただ、夢人という存在がひと時の夢を見せたんだろう、ということにした。
 そのほうが、かえって混乱を招かないと思ったのだ。
「なにしろ、不思議なコトが理解できないって人間もいるからね」
 暁の言うことも、もっともである。
「ええ。確かにね」
 暁の隣を歩きながら、シュライン。
 セレスティの足の具合を見ていた真言も、もう大丈夫だと判断し、それでも肩を貸しつつ武彦やシュライン、デルフェス、そして千鳥のあとを追って歩き始める。
 とりあえずは一度興信所に戻り、コーヒーででも一息つこうということになったのだ。
「あー、でも生きて帰れてよかったよ」
 暁は興信所のソファに身を沈めるなり、うーんと笑顔でのびをした。
 夜はすっかり更けている。
「桐生さん、あなたはしかし───」
 セレスティが何か言いかけ、暁が「ん?」と無邪気な顔をして振り向いたので、やはり言うのをやめた。
 桃源郷からひとり見ていたセレスティには、暁が思っていたことも分かったのだ。
 もちろん、同じようにネットに向かっていたシュラインや真言の思ったことも、桃源郷という世界をネットで介していたおかげで分かりたくなくとも分かったのだが。
(あなたは、賭けで皆さんがどうなっているのか分かるのか知ろうとしました、無謀だと分かっていても。大丈夫だと、言い聞かせ。もしものことがあっても少しは哀しんでくれる人がいたらいいな、という程度の人間だと自分を思っていた───)
 だが、それを言うほどセレスティは親切でもなく、まだ暁という少年にそれほど関心もなかったので、
「いえ、なんでもありません」
 と、いつもの笑顔で返し、
「美味しいです、ロイヤルミルクティー」
 と、淹れてくれたシュラインにその笑顔を向けた。
「ふうん?」
 なんとなくヤバいかな、とこちらも思った暁だが、素知らぬふりを装って珈琲を口にする。
 カタン、と真言が驚いたように腰を上げたのはその時だ。
 彼の目に、はっきりと───いつの間にか興信所のデスクの後ろに佇んでいる、菅笠をかぶった男が写っていた。
 彼の様子に気づき、次いで同じ人物を発見する、武彦とシュライン、暁にセレスティ、千鳥にデルフェスである。
「迷惑をかけた。そして、お礼もしなければ」
 貴方達には、と、本物の夢人は低く滑らかな声でそう言った。
「本当に、いらしたのですね」
 まだ、この世に。
 デルフェスが、何か自分に似たようなものを一瞬感じた気がして、そうつぶやく。
「礼など、いい」
 ついつっけんどんな言い方をする真言だが、悪気はない。
 それを分かっているのか、夢人の口元が少し、笑みを浮かべた。
 そして、竹筒を持っていた片手をサッと翻した。
「「「「「「「!」」」」」」」

 サァ───………
 
 見る間に薄桃色の霧が立ちこめ、全員を包んだかと思うと、すぐに消え去る。
「今のは───」
 セレスティが問いかける前に、夢人は少し菅笠をあげ、全員をひとりひとり、自分に覚えこませるように見ると───、
「まだ、貴方達のような人間もいたのだな」
 と、どこか救われたような声で言い、するりと次元の狭間にでも入るように姿を消した。
「ねえ、……見た?」
 シュラインが、なんとも痛む胸を知らず抑えながら、つぶやいた。
「あのひと───とても綺麗な顔をしてた。でも、とても───哀しい瞳をしていたわ」
 人に夢を見せる、夢人。
 望むのであれば、桃源郷の魚に姿を変え、その者が本当に望む夢を「現実として」見せてくれる。
 それは、なんと哀しいことだろう。
 そのことに気づき、少しばかり沈黙した一同だったが、その後。
 数日に渡って、夢を見ることのできる者は睡眠という形で其々の持つ本当の幸せな夢を見ることができ、また、一生枯れることのない、不思議な薄桃色の、見たこともない小さな花束がいつの間にか、其々の寝床に添えられてあったという。


 ───私は、夢人。
 ───私は、ただ。
 ───ただ、
       ───本当に人という生き物を、愛しているだけなのだ───


《完》
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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
4782/桐生・暁 (きりゅう・あき)/男性/17歳/高校生アルバイター、トランスのギター担当
1883/セレスティ・カーニンガム (せれすてぃ・かーにんがむ)/男性/725歳/財閥総帥・占い師・水霊使い
2181/鹿沼・デルフェス (かぬま・でるふぇす)/女性/463歳/アンティークショップ・レンの店員
4471/一色・千鳥 (いっしき・ちどり)/男性/26歳/小料理屋主人
4441/物部・真言 (ものべ・まこと)/男性/24歳/フリーアルバイター
0086/シュライン・エマ (しゅらいん・えま)/女性/26歳/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員
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■         ライター通信          ■
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こんにちは、東圭真喜愛(とうこ まきと)です。
今回、ライターとしてこの物語を書かせていただきました。また、ゆっくりと自分のペースで(皆様に御迷惑のかからない程度に)活動をしていこうと思いますので、長い目で見てやってくださると嬉しいです。また、仕事状況や近況等たまにBBS等に書いたりしていますので、OMC用のHPがこちらからリンクされてもいますので、お暇がありましたら一度覗いてやってくださいねv大したものがあるわけでもないのですが;(笑)

さて今回ですが、元ネタを遡れば遥か昔、「夢人」という短編を東圭が書いたことに始まります。いつかこれを生かしたものを書こう書こうと思って何年が経ったのか数えたくはありませんが(笑)、このような形で半分は実現できたかなと嬉しく思っています。
また、今回は「現実側(一色・千鳥さん&鹿沼・デルフェスさん)」と「桃源郷側(セレスティ・カーニンガムさん&シュライン・エマさん&桐生・暁さん&物部・真言さん)」とに「■まやかしの桃源郷■」の章だけ分けて書かせて頂いております。どちらかだけでは分からないようになっていますので、お暇がある時でも是非、もう片方の側も読んで下さると嬉しいです☆ また今回、うまくいけば、ラスト皆さんのところに届けられた夢人からの贈り物がアイテムとして追加されている筈ですので、そちらもお暇なときがありましたら、是非見てやってくださいねv

■桐生・暁様:続けてのご参加、有り難うございますv 今回、ビシッと核心を突いてきてくださった方の一人で、ちょっと嬉しい悩みを抱えながら書かせて頂いておりました(笑)。最後、セレスティさんに心の中を知られて、それをまた暁さんも知っているというのは、でも暁さんにとってはまた「笑顔」に変えてしまうのだろうな、と少し先行きを心配してしまう東圭です(お節介です(爆))。
■セレスティ・カーニンガム様:いつもご参加、有り難うございますv 今回はいつもと違うセレスティさんが少しだけでも書けた気がして、一番そこが嬉しかったりします、あくまでも東圭的にですが(笑)。巻き込まれた形になったので、最初のほうこそ出番はありませんでしたが、まやかしの桃源郷でひとり頑張っていらしたのだと、裏話も書きたい衝動を我慢しております。
■鹿沼・デルフェス様:初のご参加、有り難うございますv 精神攻撃が効かない、という点で千鳥さんと現実世界に残って頂き、また、能力を発揮させて頂きました。仮死状態の雫さんやセレスティさんをすぐに石化する、というプレイングに陰ながら救われておりました、有り難うございます(笑)。
■一色・千鳥様:いつもご参加、有り難うございますv 果実、というのが一番の核心でしたので、内心ドキッとしながら書いていました(笑)。種子こそありませんでしたが、ある意味「ニセ夢人」がしたかったのはそういうことなのかな、と改めて思ってみたり。最後、桃の和洋風新デザートを披露する場面を考えていたのに、どうしてもラストの空気にあわず;次の機会には是非!
■物部・真言様:初のご参加、有り難うございますv 陰陽の術に関して一時期調べていたこともあったので、存分に使いたかったのですが、設定によれば肉体疲労を共にするというようなことが書かれてあったので、後に備えて極力抑えさせて頂きました。口調等、違う部分などありましたら、奇譚なく仰ってくださいね。今後の参考にさせて頂きますv
■シュライン・エマ様:いつもご参加、有り難うございますv 今回、暁さんと共に核心を突いてきてくださったもう一人のお方です(笑)。空気感染ではない、微妙なところで違うところだったので結果、囮は囮でも危険な役でしたが、攻撃の中では恐らく一番「ニセ夢人」には効いたはずです。最近振り返ってみると、シュラインさんの耳のよさを活用しまくっているなと再確認する東圭です。

「夢」と「命」、そして「愛情」はわたしの全ての作品のテーマと言っても過言ではありません。今回はその全てを入れ込むことが出来て、本当にライター冥利に尽きます。本当にありがとうございます。今回は、「人間」として生きていくにあたり、色々な哀しみと、そして乗り越えなくてはいけないものがあり、また、それから時々は目をそらして立ち止まってもいいんだよ、ということを書きたかったのではないかと思います。

なにはともあれ、少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。
これからも魂を込めて頑張って書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します<(_ _)>

それでは☆
2005/09/03 Makito Touko