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<東京怪談ウェブゲーム 神聖都学園>


真夜中の・・・



・雨宮信彦、侵入・
 怪奇現象が多いと「その道」でも噂の神聖都学園。「その道」の人間が興味を
抱かないわけがないわけで。
「こりゃぁ調査するっきゃないでしょ!」
 素人怪奇探偵・雨宮信彦は、意気揚々と真夜中の学園に忍び込んだ。
「・・・あれ?」
 遠くで話し声がする。小さな明りも見える。
 季節も季節だ、他にも誰かが肝試しに忍び込んだのだろう。
「や〜れやれ。んじゃ、せっかくだから突撃インタビューでもやってみますか」
 そんな軽い気持ちでそちらへ近づいていったのが運のつき。
 彼の身にあんな災難が降りかかろうとは・・・まだ誰も知らない。


・織田晶、仕事中・
「ったく、忘れモンぐらい自分で取りに行けっての…」
ブチブチと文句を垂れながら、長い長い廊下を進む金髪の少年。「なんでも屋」
なんて仕事をやってはいるが真夜中に叩き起こされて何事かと思えば「学校に忘
れ物を取りに行ってほしい」だなんていわれるとムカつきもする。断ってやろう
かと思ったけれどどこのお嬢様なのか大金を目の前に差し出されてしまったらそ
うもいかなかった。とりあえず、仕方なく彼…織田晶は真っ暗な道を歩いていた。
「・・・・・あん?」
一瞬、廊下の向こうに何かが見えた気がした。幽霊だろうか?ここの学校はそう
いう噂が絶えないというし。
「・・・・・・・・・・・」
オバケを怖がっていては「なんでも屋」は勤まらない。意を決してその何かを追
って走り出した。何かが曲がった角を曲がった・・・途端。
「っ!?」
「うわっ」
誰かにぶつかった。
「痛た・・・・・・」
線が細い、少年だった。ここの制服を着ている。
「あ、悪ィ・・・」
晶が手を差し出すと、彼は不思議そうにこちらを見てきた。
「あんた、誰?ここの生徒?」
「いや、俺は・・・」
「そこの君たちっ!」
「!!」
突然、強い光を浴びせられて面食らうニ人。光を向けているその人の顔はよく見
えないが、警備員というわけではなさそうだ。
「ちょーっと話、きかせてもらっていい?」
雨宮信彦だった。



・桐生暁、企み・
なんだ、こいつらは?と思った。
ただなんとなく散歩がてら学校に忍び込んでみたら、二人も遭遇した。紺やは何
かイベントでもあったかな?と思ったが記憶はない。ないけれど・・・。
「君たちはなんでココにいるんだ?あ、俺雨宮っていう探偵見習いなんだけど」
「俺は・・・織田晶。なんでも屋で、仕事でちょっと」
『こーんなおもしろそうな状況、楽しまなきゃ暁くんじゃないよね〜♪』
ニヤリと笑ったけれどその笑みは暗闇のおかげで気付かれなかった。
「なるほどなるほど。で、君は?」
「えっと・・・俺は・・・」
ちょっとためらって伏目がちに呟く。元々、色が白く「黙って何もせずいれば」
儚げに見えなくもない暁だ、こんな暗い場所で、初対面の人間にそんな印象を与
えることなど簡単だ。
「桐生・・・暁・・・・」
「暁くんか。それで?君はどうしてここに?」
「・・・・・っ」
もちろん、正直に「散歩してました」なんて言うつもりはない。わざとらしく肩
を震わせ、そしてうつむいた。雨宮が心配そうにこちらを見つめている視線を感
じる。
「・・・・・・・」
「・・・ま、無理に言わせることもないだろ。それより、こんなトコでボーッと
つったっててもしょーがねぇ。俺としては仕事すませたいんだけど」
晶が呟き、目的地がある方向を指す。
「じゃあ皆で行こうよ。どうせ俺はココを探検に来ただけだし。暁くんもいいだ
ろ?」
「え、うん」
晶が指していた方向には特別教室が多く集まる棟の方だ。
『これは・・・イケちゃうかも』


・イタズラな夜・
真っ暗な化学室で、ボンヤリと懐中電灯の灯に照らされている人体模型やがいこ
つの姿はベタだけどやはり不気味だ。晶が机を一つ一つ探っている間、雨宮はド
キドキ半分、ビクビク半分でその部屋を眺めていた。特別、変わった様子もなく、
どこにでもある教室だ。
「お、あったあった」
引き出しからペンケースを取り出して晶がニヤッと笑う。
「よっし、仕事終了!・・・・・・あれ?暁は?」
振り返ってみると、確かにそこにいたはずの暁の姿がない・
「暁・・・くん・・・?」
不安になって教室を飛び出すと、ボンヤリ外を見つめている背中があった。ずっ
と遠くを見る、そのまま遠くへ行ってしまいそうな、そんな儚げな背中。
「暁くん!」
振り向くその瞳も儚げで・・・どこか不安になる。
「・・・なに?」
「いや・・・そんなトコでなにしてるんだ?」
「・・・・・・知ってる?」
「は?」
「この学校の言い伝えの一つ」
「・・・・・・・・・」
「暁の時が来る前にその名を持つ者は・・・」
「・・・・・持つ、者は?」
「・・・・・・・・・」
恐る恐る先を促す雨宮。けれど暁はその先を続けることなく、急にニッコリと笑
ってみせた。
「まぁ、作り話だと思うけどね」
「お、おいその先は・・・?」
「わざわざ話さなくても、俺と一緒にここで夜明け・・・暁を待てばいいんだよ。
そしたら・・・・何が起きるか、わかるだろ」
「・・・・・・・・・」
時計の針は3時10分を指している。夜明けまで、あと3時間ほど・
「・・・・・・・・・・・」
悩む。なんとなく、暁の態度を見ているとここにいればナニかが起きそうな気が
する。そういうものを調査したくて忍び込んだのだから、むしろそれは歓迎すべ
きことなのだけれど。
――――暁の時が来る前にその名を持つ者は・・・――――
『・・・死人出たりしないだろーな・・・?』
「俺帰るぞー・・・っと!?」
のそりと二人に背を向けて返ろうとした晶の服の裾を、暁が引っ張った。
『こんなところで帰られてたまるか!まだこれから(俺が)楽しむのに!』
そんな彼の心の声は二人に届くはずもなく。まるでか弱い少年がすがっているか
のように見える。
「・・・・暁・・・?」
「ダメだよ・・・。暁を、見なきゃ」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・怖い、んだ」
「・・・・・・・・。わかったよ。しょーがねーから付き合ってやる。雨宮サン
も付き合えよ」
「え?あ、ああ・・・」



校舎内に、三人の足音だけが響く。特に変わった所はない、ただの学校だ。晶が
持つ懐中電灯の光が照らす先も真っ暗で、何もわからない。

―――――――・・・・・・・・・

「!!」
三人の体が、不意に強張った・
「な・・・何か、きこえない・・・?」
暁が不安そうに問う。雨宮がぎこちなくうなずいた。
オルゴールの音色だ。かすかに、けれど間違いなく聴こえる。哀しげな切ないメ
ロディーが闇の中から、確かに聴こえる。
「・・・・・・・・っ!」
暁の手が、晶の服の裾をしっかりと掴む。雨宮も晶も、まるで魔法にかかったか
のように動けなかった。

――――――――――・・・・・・・・

パリ――――ン
大きくガラスが砕ける音が響いたかと思うと、音が止んだ。再び静けさが戻る。
三人はおもわず互いに顔を見合わせた。
「・・・・・・・・・・・・・・」
「雨宮さん、ちょっと見てきてくれよ」
「ええっ!?」
突然の晶の言葉に雨宮の声が裏返る。
「な・・・・ななななんで俺が!!」
「だってあんたはそーゆうの調べるために忍び込んだんだろ?」
「ま・・・まあそう・・・だけど・・・」
「じゃあ俺が見てくるよ」
渋る雨宮を尻目に一歩進み出たのは、意外にも暁だった。あんなに怖がっていた
のに、彼は気丈にも前へ進んでいく。
「お、おい暁・・・」
「大丈夫。大丈夫、だよ・・・」
暁の背中が闇に溶けていく。二人は呆然とそれを見送った。
「大丈夫かな」
「・・・・・だと、いいけど」
そんな二人の心配をよそに。
「うああああっ!!」
「!?」
悲鳴が聞こえた。
「暁っ!?」




・暁の空と、笑顔と・
それから先は、とにかく傑作だった。
二人が自分を必死に探し回っているのをイイコトに、こっそりとイタズラし放題。
音楽室でピアノを弾いてみたり、化学室の薬品を使って作った火の玉を飛ばして
みたり。晶は半分、暁の仕業ではないかと気付いていたようだったけれど、雨
宮はかなり想像通りの反応を返してくれていた。
ひょっこりと顔を出した時の、彼の表情といったら。
「暁くん・・・お前、無事だったんだな!」
「う、うん」
「よかった・・・お前が消えてから、すごい怖いことがたくさんなったから心配
してたんだぞ!何もなかったんだな?」
「あはは、何もあるわけないよ。だって全部俺のせいだもん」
「・・・・・は?」
「謎の音も火の玉も。みーんな俺がやったんだ」
「・・・・・・・・」
ポカンと固まっている雨宮の隣で、晶が盛大なため息を吐いた。
「やっぱり、な。そうじゃねーかと思ってた」
「さすが、美形は勘が鋭いね!」
ニッコリと笑う彼の表情には、最初に会った時のような儚さの欠片もない。そこ
にいる少年は、日の光が似合う明るい表情をしていた。
「で、でででも、じゃああの・・・教室からきこえた、あの音は?」
「ケータイだよ。俺、二つ持ってんだよね。ちょうど一個学校に忘れてきてたみ
たいだったから鳴らしたんだ」
「ガラスの音は!?」
「バイブのせいで机から落ちたケータイのちょうど下に、試験管が転がってたみ
たいでさ〜。俺も正直、ガラスの音にはドキッとしたよ〜」
「・・・・・・。俺・・・・本気で心配したんだぞ〜!?」
そして、本気で怖かったらしい。涙目になっている。
「太陽出てきたし、お前が『暁の時に・・』とかなんとか言ってたから、マジで
何か起きるんじゃないかって〜!!」
「ゴメンゴメン、悪かったよそんなに怒るなって〜」
「怒るわ〜っ!!」
「ホントごめんって!・・・・でもさ、楽しかっただろ?」
屈託のない笑顔で言われると、おもわず言葉に詰まってしまう。からかわれて怖
い思いして、ムダなしんパイたくさんさせられて、このやろう!とは思うけれど。
それでもそうやって微笑まれると仕方ないな、なんて思えてきてしまう。
「ったく・・・。もうゴメンだからな、こんなのは」
「わかってるよ。次はもっと、ちゃんとした霊体験しに行こうな♪」




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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
【4782/桐生・暁/男/17/高校生アルバイター、トランスのギター担当】

NPC
【NPC3137/織田・晶/男/18/始末屋】

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■         ライター通信          ■
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こんにちは、叶遥です。
この度は発注ありがとうございました!

今回、私のNPCである織田・晶くんも一緒に参加させていただきました。

どんなイタズラをさせようか・・・とか、考えるのは楽しかったです。
ありがとうございました!!