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巫浄霧絵を殺す為兄と妹は殺しあう
私には名前がありました。
草間零という名前です。
零とは、何も無い事で、そうだ、そうだ、本当は私なんて意味のない。生きている事に意味が無い、だから、
名字が、好きで。
あの人の妹という意味だから。だから、
名前があるから生きていけた、名字があるから生きていた、殺しあいがひどくなっても、興信所に舞い込む事件の終りが、何時も、誰かの死であっても、私は生きていた。名字が、あるから、
兄を、待つ事が出来て。
三年間、ずっと、ずっと、
ずっと待っていた――
「兄さん」
興信所の前の路地で、
兄は妹の肩を撃ち抜いている。
痛い――
再会の感動が、苦痛で歪んでしまう。ああ、けれど、見失うな、やっと会えた、やっと戻ってきてくれた、兄さん、
二発目の銃弾が、零の耳を削ぎ落とす。痛い、怖い、痛い、怖い、
、
「兄さん」
それでも名前を呼ぶんだ、妹だけが唱えられる言葉を。この人の、妹だから。
義理だけど、
優しい兄。
「……強く、なったな」
声が聞こえる。ツギハギの肩を抑えて、ツギハギに耳を抑える私に、声が聞こえる。
「待っていたんですよ、兄さん」
「草間零に依頼する」
「ずっと、ずっと、待っていたんですよ」
「俺を殺せ」
「ずっと」
けれど、もしお前が優しくて、俺を殺せないなら、
お前を殺そう――
「妹を殺せたなら、きっと、あいつも殺せるから」
けして望まない事を呟く。
「お帰りなさい、兄さん」
「……俺は、草間武彦じゃない」
「煙草」
「草間零」
「買っています」
三発目の弾丸は、零の眼を奪おうとして、
「吸い過ぎないでくださいね」
零は笑って、実体化させた怨霊で弾丸を叩き落した。
泣きながら。
私には名前がありました。
草間零という名前です。
◇◆◇
たった一つの言葉で人は。
◇◆◇
日向龍也が目を覚ました。とても暖かい日差しを受けてだ。
服を身に着けていなくて、直接に、光温はシーツから出た半身に感じられて。
太陽の光は、透明な癖、色彩はきっと穏やかだと思えて。季節は春だろうか、それならば、眩しさに目を細めながら外を見れば――
桜は無い。良く考えてみればこの寝床の窓からは、木々というものは臨めないか。
とても穏やかな日差しを受けて、朝、何を食べるか考える。眠りから覚めた瞬間に、空腹を覚えるのは健康的な事だ。目を閉じて、ほう、っと息をつき、そして、
隣で横たわる彼女を見る。
大切な人――
天使の羽毛にくるまれたような、そんな、安らかな笑みを浮かべる彼女、
龍也はそっと手を伸ばして、
指先が罅割れるような痛覚が起こった。
次には脳の裏側が、灼熱に融けるような感覚。
それによって、眠りの夢は覚める。
目を見開いたのは暖かい寝床などでなく、今にも雨が降りそうな空の下の、瓦礫の中。
ついには夢の中にすら侵食し始めた痛覚、空腹に構う事すら許さぬ激痛は、無音をもって彼の身体を。ああ、
大切な人が、居たのだ、
痛みの中でも、思わずには居られない、痛い、苦しい、だけど、
大切な人が浮かぶから。
命が極限まで削れている体が、ゆっくりと歩きだした。
今にも雨が降りそうな空の下で。
◇◆◇
両の手首からは、声が響いてるはずなんだ。だって彼女は大切な姐さんだもの。けれど、時折恋人の距離に匹敵するくらい近くなるのに、声は彼女へ辿り着けない、
、
聞こえない。
届かないのです、声が、前鬼と後鬼という、ブレスレットに擬態した、彼女の得物からの声が。だってそれ以上に、滝が如く響いているから。己という存在が。己、自分、
私の音がしている。鼓膜を無視して、脳にとうとうと流れている。
零れる音。
欠けていく音、失っていく音、自分から、自分が剥がれていく音、けれど拾う事も出来ず、ただこの喪失の感覚に浸かりながら、痩せ衰えていく存在の力で思う事は。
変りやしない、
、
会いたい。
会いたいのです、相変わらず、せつに、せつに。きっと流れ星を認めたら、不様に浅ましく三回喉奥から吐き出している願い、会いたい。父、に。
鬼と。
少女は、人である母と、鬼である父の子だった。そして父に会いたくて生きていた、こんな世界で、殺し合いの互いから奪う者の立場に在り続けて、ひたすらに。
ただそれだけで生きていたのだ。たった一つの事だけで、生きていかれた。死ねないと思い、死ねなかった。一心に、強く、固く。捜していた、追っていた、鬼の影、
鬼を求めていた、
求めてた、
けれどそれは、自分でした。
角の無い鬼は、全部自分でした。
追っていた、鬼を求めて、彷徨っていた。全く馬鹿な童だ、鬼ごっこを、
一人ぼっちでしていたのだから。
自作自演。
鬼を求めて、戦い続けて、けれどその姿こそ、その戦う姿こそ、他の人間から見れば鬼の姿、その情報を父だと思い、けれど、
人であろうと人じゃなかろうと、破壊し続ける私の姿こそ、ヒトの目には鬼と映る。これは滑稽な物語、今の今、鬼を求めた鬼が居ました。
その事に途中で気付けた私は、幸いなのだろうか――
……違う。
違う、だって、だって、
会えない。
(水上操は、気付いてしまった)
この世界に、きっと、父は居なくて。
あの世だろうか、それとも、異なる世界とはまた別の異なる世界に。ここには居ない事に気付いて、嗚呼、
会いたくて。
夜空の星を全て撃ち落し、濁流のように流して、三度唱えられるならばそうしたくて。会いたくて、会いたくて、会いたくて。ここに居ない父と、会いたいって。会いたい、会いたい。
会いたい、と、彼女は強く願った。ブレスレットから響く、二つの関西弁も、空気のように透明にして。そして、
まるで、その声に応えるように、小さな子供が、操の前に居るのです。
少女の生首をしかと抱えた、小さな男の子が居るのです。
◇◆◇
ぼんやりと考えるのだ。ぼんやりと、
何故霧絵が、草間武彦に対して、恋愛感情のような物を抱いているというのか、ぼんやりと。そもそも彼女が、虚無の境界へ入った理由についても、ぼんやりと。ぼんやり、その事に草間武彦が関わっていたとしても、その後の彼の生き方をみていてたら、それが理由とは思えず。ぼんやり、と、傍に置きたいのは、片腕という意味合い? ぼんやり、と、
考えながらの買い物からの帰路である、彼女の。
ビニール袋の中身は大抵、日常へと続くストーリーみたいに機能して。例えば揺られるエリンギは、マーボー豆腐の豆腐の代わり、万能なの、マーボーの素。
豆板醤があったら最初から作れる事はそうなのだけど――ひき肉を用意するよりも、手間の味方なのだ、何かの素。餡だけを、シャキシャキのキャベツの上にタマネギと一緒にカリカリに焼いた豚コマにのせても、立派な一品になるし。まだ試した事は無いけれど、何かのスープにも使えるって。そんな風に、
ビニール袋の中身は大抵、日常へと続くストーリー。ねぇ、きっと、子供が居れば、プラスチックの集まりで、原価が極限に薄いけど、大人が真剣に考えた、純粋なる子供だましによる、お菓子のオマケ――エリンギの隣に揺れているかな。
、
子供は居ない。
シュライン・エマに子供は、居ない。
生まれるはずだったのだけど、
堕胎。
……その事が切欠なのか、色々と、彼女は《失われている》。それは欠落というよりかは、虚無への変化と言う方が相応しいのだけれど。……それでも、
日常へと続くビニール袋の中身を、歩行と供に揺らしていた。
今日のご飯はマーボーキノコ、それに、大根と豚肉の炒め物、お味噌汁の具、何が余っていた。さぁ、
シュライン・エマは、住処の前で、
興信所の前で。
妙な光景。
ビニール袋の中身からは、続かないストーリーへ、
零ちゃんが居て、
探偵さんと、殺しあおうとして。
それは確か、依頼だった。以前、研究所での円卓で。草間零に依頼しろ俺を殺せって、けど、その依頼は受けて、いない。だって、
一度草間零は、妹を手にかけている。
第三次世界大戦、モンゴルの大地。エヴァという名の妹を。あの思いを、いいえ、
目の前の彼を殺させるという事は、それ以上の辛い思いを。
止めなきゃ、と思う。
絶対、絶対、止めなきゃ、って思う。
止めなきゃ――
草間武彦の弾丸は、
兄を殺したくない妹の喉へ、喰らい付こうとして。
けれどその弾丸は、
氷と、檻に阻まれた。
けれどその弾丸は、氷と、檻に阻まれた。
まずは壁となる、アスファルトから生えた氷柱、けれど、それを貫くくらいの威力、されば次は捕獲の、小さな小さなミニチュアの檻。その中に仕舞われる萎えた弾速。
氷と檻をそれぞれ携える者は、一度目はすれ違い、二度目は対峙して、三度目は、
今、協力している。共通の目的、
ディレクター、と声が響いた。
ディレクター! と怒声がした。
見下げたぞ、見下げたぞ! 己の妹を殺そうとするとは、地に落ちた物ですね! とんだ畜生だ、カスだ、糞だ、それどころか誰に断り、
妹に、命を狙わせているのかと、
女の声が、響いたのだけれど。それの正体が、何であるか、ディテクターは、
煙草を吸いながら推理する、理解した。(ディテクターをディレクターと呼ぶのは)
それはかつて、立花正義と呼ばれた男。
今はナギと自称する女。
貴方を殺すのは私のみのはずです、と女は言う。それに対して、何も答えない彼に、ほう、と息を吐き、
ナギは、隣の少女を見る。
かつて利用しようとした――彼女を見る。
ディレクターを殺したいのでしょう、だけど彼は、私の獲物です。と言う。
対して少女は、そういう訳じゃない、と答える。
それならば何故、銃弾を阻んだのか?
……、
許せないのだ。
◇◆◇
少女にはかつて姉が居た。それは本当の姉ではない、けれど、自分を本当の妹のように愛してくれた。
居酒屋の、お姉さん。
三年前から会えなくなっている、けれど、今でも、雪のように慕いを積もらせている。会いたいという思い、募らせている。
……だから、
許せないのだ。
――三年間ずっと待っていた
草間零を、殺そうとする兄を。
ディテクターを許せない、彩峰みどり。
◇◆◇
仮初の兄と妹だったとしても、ずっと、ずっと待っていた彼女。大好きだ、と思う。零の事を大好きだと、みどりは思う。だから、味方する。ナギみたいにディテクターを殺したい訳じゃない、けれど、
だけど、
(ディテクターが煙草を足元に落とし、踏み潰した。その瞬間彼は銃を再び構えた)
本当は、それだけが零を守る理由じゃなく、
(歪な笑みを浮かべるナギ、手錠を出し、その手錠に別の手錠を連結し、一つの鞭のように構成するとその侭銃を持つ手首を狙い)
きっと、心の何処かで、
(ディレクター、いや、ディテクター、銃弾で手錠の軌道を弾くと三発の弾丸。ナギへ、みどりへ、そして零へ)
恨んでいるのだ。
(みどりは零の立つ道路を氷で舗装し、彼女を転ばせ強制的にかわさせた。背面を打つ少女をすぐさま抱き起こし、スケート、周囲を旋回しディテクターから彼女を守り)
殺されたから、あの場所で、神隠し事件と呼ばれたあの場所で、
(ナギが、錠前を持って、直接心臓にかけようと飛び掛る。ディレクターは単純な精神力でそれを覆す)
親友を。
(殺しあいをしている)
殺されたから。
(殺し合いを)
小さいけれど、きっと、憎しみはあって、だから、
(、)
だから。
(……光景を、見ているのは、二人)
(止めなきゃと、思っているシュライン、そして)
(何時もみどりの傍らに居る、茂枝萌)
(だけど)
◇◆◇
数分(1〜9というよりは、3〜4か5〜6があてはまるであろう)後、雨が、降り始めた。そんな中、
シュラインが探偵の名を、武彦さんと呼ばない理由は。
◇◆◇
雨が降る降る、雨が降る。音をたてて、雨が降る。もしもこれが殺意だったら、傘無き人はひとたまりも無いけど、
日向龍也の場合、どうだろう。いいえ、以前までの彼でしたらきっと、その殺意も殺せてしまったのだろうけど、
今の彼は、死に掛けているから。
ジーンキャリアの負。
以前、流浪の中引き寄せられた殺意は、北海道、鬼鮫との戦い。結末は龍也が、その左腕で喰らうた。よって、鬼鮫の身体能力、トロールの遺伝子を宿したゆえの無双の怪力と不死性を丸ごと重ね書きしたのだが、
ジーンキャリアは、遺伝子の拒否反応を抑える為の薬を、常備しなければならない。
日向龍也には、無い。
……本来ならば一時間ともたずに、発狂の末死に至る程の苦痛だ、脳が罅割れるような、骨が全て灼熱の棒となるような、肉の悉くが悪鬼の電流と化すような、
それでも、もっていた。もともとの龍也の不死性で、けど、だけど、
そろそろ身体が、そして心が保てなくなってきていた。身に降る雨すらうまく知覚できないのだ、吐き気が常時である、眠りさえも許されない、苦痛、苦痛、
……誰かに助けを求めるような、人生を送っていない彼。
三年前からいっそう、孤独であった彼。けど、
かつて、大切な人は居て。
けれど、今は居なくて。
肩が爆発して裂ける衝撃、けれどそれは錯覚だ。腹に穴が開き風が通り抜ける、それも錯覚。痛みという現実は次々と幻を繰り出して、嗚呼、
その時右目が映した物は。
……ここではない、場所が映った。
それは幻覚だろうか。いや、違う、
龍也の右目は、ほんの少しだけなら未来を見れて――目の前の数秒後を知れて、けど、今の光景は違う場所で、幻覚だろうか、
現実だ。
数秒後じゃない、絶対の未来。
草間零がディテクターに殺されようと。
雨が、降る降る、雨が降る。
日向龍也が走り出して、痛みにうずくまって、だが立ち上がり、また走り出して、うずくまって、立ち上がって、走り出して。
◇◆◇
きっと、降雨は等しかった。だから彼女にも雨は降る。
だけれども、それを意に介さない水上操である。そんな日常の中の小さな違う事よりも、もっと非日常がある。普通は無い、有りえない、
目の前に、少女の首を抱えた、少年が居るだなんて。
でも驚きはしなくて。……感情の起伏が、薄くなっているらしい、彼女。ぼうっとしている表現を、この対峙に対しても使わなければ、今の状態を説明出来ない。
水上操は、ぼうっとしていて。
少年は、笑って、
首を差し出して。
水上操が少女の首を受け取った瞬間、少年は一瞬、S三下へとまるで膨れ上がり、そして砂のように崩壊し、中から、三下忠雄が出てきて、
その侭膝をついて、絶命した。
水上操は、
ぼうっとしている。
ぼうっとしているんだ、三下忠雄の死体の前で。
幾つ、関西弁が響いても、聞こえないで、首を抱えて。
少女の首、瞳を開かない首、ねぇ、別に、
お願いした訳じゃなくて、ただ、ぼうっとしながら、
(会いたい)
そう思っただけで。
レイニーの首は反応する。
――もしもこれが歌だとすれば
◇◆◇
三年前には、兄と妹が揃って居た。彼女もその輪の中に居た。
旅行に行ったりしたし、煙草の騒動に走り回ったり、少しくらい悲しい事件だとか、もこもこだとか、
唐突に消えたあの人が、今、こうやって帰って来ている事は、その意味くらいは解って。これは兄と妹の再会、本来なら祝われる事。けれど、
呪われたように殺しあう、
推理の権化は森羅万象を、その一瞬どころか前後の時まで、ただ人間の知能により把握する。
探偵は神だと誰かが言う。全知と全能の象徴である、けれど、
それが、煙草に狂った、情けないおっさんだというのも確かなはずで。解っているはずなのだ、シュライン・エマは。目の前の人が草間武彦だという事は。だったら何故、
探偵さん、と、彼を呼ぶのだろう。
武彦さんと、呼ばないんだろう。
余りにも変ってしまったから? そんな理由? あまりにも、あまりにも、
あまりにも、殺そうと動けない、ただ盾であるしかないみどりの攻撃を、推測と推論でかわし続け、ナギのなんでもありの捕獲能力を、身の動きと精神力によって跳ね返して。
あまりにも、草間零を撃つ。
零にとっての苦痛は、身体的なものと合わせて、何よりも心にかかってしまう。絶望で呼吸が止まるくらいには、嗚呼、
第三次大戦から数日後、モンゴルから帰還した興信所で、
シュラインに彼女がぽつり、私には意味なんてないって、漏らした事があって、
義兄さんの居ない私なんか、って、
その時には随分と彼女の虚無化は進んでいたけど、
三年前と変らず、笑ってくれて、零ちゃんの名前は、
始まりって意味だと思うの、って。
だから、私好きよ、って。
自分と同じ、武彦さんが好きな少女の頭を撫でてあげた。だから、だから、
草間零に辛い思いはもうして欲しくない。けれど、だけど、
それと同じくらい探偵さんの願いも――けれど、
今。
ナギは、彼をディレクターと呼ぶ。
◇◆◇
実の妹を手にかける事を、地に落ちたと表現した、ナギ。
かつての名前は正義だった、けれど、それに相応しくなく、彼は悪人の類で。とても小さな問題ばかりを、積もらせて、雪の像を築けるくらいの量を重ねた時、ディテクターはナギが、彼の頃に現れた。
心を容易く捕獲する能力は、ディテクターの心の強さに破れた。
以後、彼を殺す為に、彼の傍らに出来るだけ居て。
そういやって生きてきたのだ、立花正義の人生は、何かを間違ってしまい今女に身を変えたとしても、その目的だけは変らない。
変らない、許さない、
だから、別にいいはずである、別に、
彼が殺さなければ、妹を殺そうと。ナギは悪人の類で、
けれど、
それじゃ何故、名前を叫ぶんだろう。
間違った名前を。ディテクター! と、張り裂けるように叫ぶのだろう。まるで、
妹を殺させるのを、止めるように。
厭だから?
◇◆◇
彩峰みどりは、他人である草間零を守っている。兄に殺されそうな妹を守っている。理由は既に、語る必要も無いから。彼女の口から声は漏れない、せいぜい掛け声、気合らしきもの、
全てを滅すのが灼熱の力ならば、全てを固定するのが凍結である。だから、
雪女の全力は、それに向かい機動する、ディテクターの手足を縛り、そして、砕く。
それが非人道であろうと――妹を殺させない為には、兄に殺させは、だから、
無尽蔵の連射を、氷の壁で受け止めた後、
唇を噛みつつ彼女の氷撃は、氷柱は、吹雪は、絶対凍土の世界は、ディテクターという個の手足全てへ、
そしてそれは直撃して――次には背後から急襲する萌、ブレードの一撃はまず銃を持つ右手へ、
砕かれる。
けれど氷を砕いたのは、
乱射により熱を帯びた、彼の銃。
トリガーを引けるくらいは。
なんとなく萌は解っていた、この男は単純に殺せないって。まるで、
それが運命かのように。
肉体が不死でもないのに、ただの人間なのに、生きてしまう。嗚呼、この男はきっと、
それすらも推理してるのか、運命よりも強く、だから、こうやって、
解放された凍傷の手を器用に使い、銃弾を右足の氷を砕ける角度に撃ち、それによって自由になった半身でブレードをかわし、瞬時左腕を、そして左足を、
まるで服を着替えるみたい、氷の戒めを脱いだ彼は、そうやって、
――全てを繰り出したみどり越し、零の心臓へ
人は、
たった一つの言葉で、
死んだりする。
◇◆◇
「死ね」と、
草間武彦は。
◇◆◇
死ね、とディテクターは言った。
それだけで草間零のあらゆる力は、心神喪失という形で失われた。
ただの銃弾で死んでしまう少女へ、そして、そうやって、
銃弾、
ナギはディレクターと叫ぶのだ、何故だろう、厭だから?
少なくとも、みどりは厭だ。許せない、こんな、
許せるはずなんて、
涙を流して、そう思うのだけど、
だけど行動は、その思いで止まらないから。言葉にして語り掛けないかぎり、伝わらないから。だから、だから、言葉を人は手にしたのだけど、けれど、
もうみどりも、零も、何かを言う時間も無いくらい、まっすぐと銃口、
引き金だ、引かれる。
弾丸は射抜いた――
◇◆◇
人は、たった一つの言葉で、
「ごめんな」
日向龍也の言葉で、生きたりする。
◇◆◇
それはディテクターが推理した事であったのか、
突然現れて、氷の壁よりもっと現実的な、人の壁となった龍也。世界を流浪する怪異の一つ、何一つ解れない男が。
それは突然現れたのか、
、
シュライン・エマは見ていました。走ってきたのです、彼は。
走って、走って、ここまでやってきたのです。ただ走って、空を渡ったんじゃなく、冷たい雨に打たれる、痛みが疼き続ける身体で。何の為、
ごめんな、と、龍也は言った。痛、喉を奮わせるも辛そうに、けれど、はっきりと、銃弾を身体で受けながら、振り向いて、
草間零に。
瀕死の草間零に。
きっと彼の瞳はひたすらに、この未来を見続けていたはずである。おそらく自分が走った事なんて、知らないの事くらいに。自分がここに現れたのは、瞬間の移動みたいに、
心が、瞳が、熱くなる光景を、ずっと右目は映していた。兄に殺される妹、という未来。
だから、きっと、
右手の、剣は、
醜くなく、血にも塗れていない、
白銀の剣は、守る為にあって。
この世界になってから、携えてきた剣と違って、それは神話のように美しく、いや、神のように崇高な。これがこの現在に誕生した武具だとしても、物語として未来に語り継がれる、けれど、
それを手にする彼の表情は悲痛で、感情の色は暗くて、ああ、
一瞬が、始まった。ディテクター、
少しだけ、笑って、
剣が振るわれたのは一度、
呪物である銃から放たれた弾丸を、ただ一回弾いて、それからは、
日向龍也の左腕が脈動して、
大きく触れ上がり、
ディテクターを、食べたのだ。
彩峰みどりが一度みた、彼と、鬼鮫の殺しあいの終着。けれど、
けど、
それは優しさなのだろうか、彼の左腕が、“全てを喰らう左腕”が喰らったのは、
ディテクターの、殺意だけ。
草間零やその他のあらゆる――
だから、
コートは着ていても、サングラスをかけていても、
そこに居るのはあの頃だって、妹を殺そうなんて思いもしないはずのあの頃のあの人だって、
零も、
シュラインも、解って。
◇◆◇
お父さん、
お父さん、
会いたい、
会いたい、
お父さん。
どうすればいい、
どうすれば、
お父さん、
どう――
、
もしもこれが歌だとすれば。
◇◆◇
これは優しさなのだろうか? ディテクターが草間零を殺す気力を失い、たたずむ事になったのは。けれど、それは、同時に、
ディテクターが、殺されるという事のようで。もう零を殺す人が居ないのなら、死ぬのは。……そう考えるけど、
彩峰みどりは、優しいと思った。
涙をはらはらと流しながら、そう思った。
喰らった後、その場に倒れた日向龍也へ、顔を近づけるように座り込み、声をかけて、名前を呼んで、
彼女の顔を見上げた瞬間と、
雨があがり、雲の切れ間から暖かい日差しが差したのはきっと、偶然だろう。
偶然なんだろう、世界は全て、そんな事のあつまりで、
偶然なんだ。
暖かい日差しの中で、大切な人の顔を見るのも。
それが北海道の地でみた、みどりの、無意識の演技だという事も。それを見て、
龍也は、少し笑った。
ありがとう、と言った。
それだけの事が出来るくらい、痛みは無くなっていたのだ。それは治まったんじゃなくて、死ぬから、
もう、命が消えかけているから、痛みを含めた、あらゆる日向龍也が、この世界から消えていくから、残す物は、白銀の剣と、
力強く優しい、笑顔。
そして文字通り消えていく、龍也の身体。
光の粒子となり、空へと昇っていきました。晴れた空へ、
光の粒子は翼の形をとって。
ああきっとそれは神話で、神話のようなもので、これが現実の出来事だとしても、残された白銀の剣と供に物語になる、そんな、物語の中。
吐血の音がする。
草間武彦の吐血の音、まるで、
臓器に直接、手錠をかけられたような――
行いである、ナギの、行い、
倒れ伏し、苦悶の表情となるディテクターにくつくつと笑うナギの行い。
みどりが立ち上がり、萌も続き、何よりも零が止めようとしたけど、具現化された鎖が足元に絡み、それ以上の歩行を許さなかった。そして、ガラスのケースで踏み入れられぬ領域を作り出す、
この時をどれ程待ちわびていたか、とナギは言う。
サングラス越しでも、虚ろな色であろう瞳、草間武彦。見下ろしながら彼女、蹴りを一ついれて、やめて、やめて、という場外の声も聞こうとせず、
さぁ、肺を捕らえて呼吸困難、脳を捕らえて災厄の痛み、神経に繋がる器官を捕らえて痺れさせ、
緩んでしまった精神力は、やすやすとナギの支配下である。だいたい、今ナギの精神力は、宿願を果たす為に高まっていて。潰された蟻を、楽しげにみつめる童、か、
待ちかねていた、時だ。殺す為に、生きていた。ディレクター、
そして、
懸命に立ち上がるが、すぐに背中をまるめてうずくまる者に、心臓に最後の錠をかけようと、殺そうと、さぁ、
さぁ。
◇◆◇
……ナギがその時見た者は、
草間武彦の背後から、一歩、また一歩、歩いてくるシュライン・エマ。
それで、その所為で、
ディテクターを殺せなかった訳じゃない。
殺せなかったのは、
見た者とは、別の者の所為で。
IO2の刺客、
それは遠い距離から、狙撃したけれど、その遠い距離を埋めて、刺客の首を手錠で絞め殺した。
、
撃たれながらも。
……何をした、自分は、
何故、
こんな奴を守った?
腹部に受けた銃弾は、余りにも守る事に必死だったという、信じられない行動の所為で、直撃し、致命傷となり、ナギの口の端から血をつうと漏らす。
何故、こんな奴を守った。
シュライン・エマが、歩いてくるその間、ナギはその場に崩れ落ちて、
捕獲の能力から解放された、ディテクターに抱えられた。
腕の、中だ。
体温、
……煙草の臭い。
ディレクター、
何故守った、他に、殺されたくなかったからか、何故、守った、そんな理由か、何故、
何故。
抱えられている、背後から、
女の身丈は、ディテクターの胸に、顔が近くて、女、
ナギ、
……嗚呼、糞、クソ、くそ、
ふざけるな、なんだ、それ、そんな、
私は、
――かつては立花正義という名の男
ディテクターの傍に居た、
ナギという女は、血と、涙を流す。
「私は、お前の事を……」
ああ、ああ、と声を漏らすのは、絶命の縁でありながら、子供のように声をあげるのは、何故だ、
解って、単純な理由で。ああ、と、
ああ、
……ああ。
女に身を変えた者は、死ぬ瀬戸際で、心すらもそう。
ああ、と。
◇◆◇
「兄さん」
◇◆◇
腕の中で死んでいく命、
三年前からは、何度か有った。今も、そういう事だ、だけど、
推理も出来なかったけれど、
彼女の気持ちは。
……だんだんと、変り始めるディテクター、万象を推理できなくなっている彼、けれど、
後ろから近づいてくる彼女は、解って。
シュライン、って、
一歩、一歩、歩いてくる。瞳が少し虚ろだけど、ゆっくりと微笑む女。ねぇ、
シュライン・エマが、ディテクターを、草間武彦の名じゃなくて、探偵さんと呼ぶ理由は。
、
妬けるわね、とシュラインは言った。
ディテクターは、……草間武彦は、煙草の火付けにはならなかったと言った。
そのちょっとかっこ悪いけど、かっこいいセリフ、良く言うようになったわね、と。
見てたのか、と。
何時も貴方の生きている姿を、研究所のレポートで読んで、ほっと安心していたわ、って。
プライバシーもあったもんじゃないな、って。
、
それは二人の会話、たった一つの言葉を、幾つも連ねる二人の会話、
零にすら介入出来ぬ会話、ただ、見る事だけしか叶わない会話、まるで、
読むだけの、
、
今日のご飯、結構自信あるんだけれど、食べてからじゃダメ? シュラインは立ち止まる。
急いでるんだ、ああだが、煙草は一本吸いたいよ。草間武彦はナギを、優しく地面に横たわらせてから、振り返る。
私の料理より煙草をとるなんて、……相変わらず。彼女は武彦に、そっと抱きつく。
安心したか? そう言って、彼は煙草をくわえ、……火をつけたら彼女の顔に煙がかかるから、つけないで。
、
読むだけの、会話、読む事だけしかかなわない会話、
たとえ、結末を知っても、予想の通りだったとしても、みどりは、萌は、
零は。
、
心から死を望んでいるのね。
ああ。
私の手でいい? 零ちゃんには、あの時以上の辛い思い、させたくないもの
(彼女の手には、簪。武彦は、うなずいて)
すまないな、君には迷惑ばかりかけて。
いいのよ、何時もの事だから、……だけど、お願い、していい?
(先を首筋にあてる、ちょっと触れて、血が粒のよう少し浮かび)
最近、感情を保てないの。自分が消えていく感じ、今も、精一杯。本当に残り少ないのかも。
(目を閉じる、草間武彦を抱きしめて、簪を彼の首筋にあてて)
ふわふわして、ぼうっとして、……零ちゃんに心配かけて、けど、ねぇ、
(煙草を吸いたい武彦、だけど、火を点けるのはやめて、ただくわえるだけで)
ねぇ、探偵さん、……探偵さん? 最後に、もう一度だけ、
(シュライン・エマ、残り少ないから)
もう一度だけ、
(呼んじゃいけないのだって思って)
「武彦さんって、呼んでいい?」
シュライン・エマが、ディテクターを探偵と呼ぶ理由は。
名前が、響いた。
すると彼女は、きっと微笑んで、――簪を首筋に突き立てる。
けれど、女性の力じゃ、男の筋肉は厚くて、えい、えい、と強く、強く突き立てるけれど、なかなかうまくいかず、
その手にそっと、手が添えられる。
協力する手、彼の手、二人分の手、
簪は。
刺されながら、晴れた空の下、首筋を簪で刺されながら、
それが死に作用する箇所に届く少し前、草間武彦は、二人の名前を呟く。
シュライン、
……零。
零は、身体中で泣く。咳き込みながら、震えながら、激しく、滝のように。けれどけして目はそらさず、いくらその光景が滲んでも、泣いて、泣いて、
妹だけが唱えられる、兄さん、という言葉。
抱きながら、抱かれながら、
草間武彦はシュラインに殺された。
義妹の言葉を、背に受けながら。
それが、異界の法則の終りである。
殺しあう異界の、殺しあいの終りである。
◇◆◇
墓を、作ろうとしたのだ、彩峰みどり。遺体を永久凍土に埋めて、そこに、墓を。草間武彦の亡骸を。けれど、断られた。
兄さんの事は、私がやります、って。
それもそうかと、思う。だいたい興信所は、あれだけの戦闘があったのに崩れておらず、今もほら、住居としての役割を。シュライン・エマと、草間零は、興信所へと戻っている。草間武彦の遺体と一緒に。
どうするのだろうとか、死亡届を出すのだろうかとか、未来を思いはするけれど、思った所でどうにもならず、とりあえず、これからどうすると、萌に聞くみどり。
……萌ちゃん? と、みどりが、疑問に思った理由は、彼女のただ、みどりを見据えるだけの表情。どうしたのだろう、
何か言いたい事とか、
萌、
「母を殺さなければいけない」
……突然はとてもよく、みどりを固まらせた。
無言の像となったみどりに、萌は淡々と続ける。
IO2に、あの男が長のIO2に戻るつもりは無かった、けれど、彼は言いました。巫浄霧絵を殺す責任が、貴方にはある、と。そうしなければ、
ディテクターが死んだとしても、この異界は死へと向かうから、だから、
ヴィルトカッツェの二つ名は。
……みどり、彼女、
はた、と、気付く。だから、ごめんねと謝る。
――十四歳の少女に、一筋だけ涙を流す彼女に謝る。
ああ、みどりは彼女の事に、構いも何もしていなかった。自分の目的だけを追って、彼女の運命について考えず、
少女なのだ、目の前の存在は。
私以上に。こんなにも傍に居るのに。
寂しくしてしまった。
……IO2に、戻らなければならない、と。そう言って少女は、ステルス迷彩のスイッチをいれた。少女が透明になっても、彼女を見続けるみどり。最後に響いたのは、こんなセリフ。IO2に私は戻る、
みどりは、どうする?
選択肢を残してから萌は、鳥が飛立つように、行って。
また一人残されるのは彼女。
……決断は、しなければならない、己か、彼女か、己と彼女か、
今は新たな道を探さなければと歩こうと逡巡、
気配である。
何かが訪れたような感覚に、みどりはゆうくりと振り返った。そこにあったのは白銀の剣、アスファルトにささった、
気配は、二つ。
……日向龍也の遺体があった場所から、競りあがってきたのは、まるで、
人の様な形をした、黒い、闇。みどりは震える、脅える、これは、
これは殺意の塊だ、きっと、
龍也の左腕が食った、草間武彦の、
、
それだけじゃなくて、
気配は、それだけじゃなくて、
みどりは知っている――
知っているはずである、そのはずである、けれど、その姿は、
その姿、は。
歩いてくる、水上操でした。みどりの仮の姉の、友達の、
けれどまるで鬼のような。そして、
鬼は、黒い人のようなものを、後ろから抱えた。
己に染み込ませた。喰らうた。
レイニーの首はもう、とうに喰っている。
殺意を手に入れた願いは。
◇◆◇
もしもこれが歌だとすれば、
きっと、きっと酷い歌。廃墟と化した教会で、永遠に歌い続けるみなしごの歌。
喰らえ、喰らえ、喰らってしまえ、
お前の全ては失われたとしても、澱のように残るもの。本質、
鬼、ヒトと対極の。
独楽や凧を子供の為に、作り出す人間とは違う、壊すだけの、
鬼の本性。
水上操に衣服は無い、
鬼の肌が発現する。
解き放てと声がする、解き放てと歌が聞こえる。
手首のブレスレットの声は、どうしたのだろうか、それさえも、喰ったのか、
壊したか、
破壊の権化。
解き放て、解き放て、解き放てと声がする、もしもこれが歌だとすれば、
殺しあうどころじゃない――
一方的な殺戮は。
殺す異界は、水上操以外、いや、水上操を含めた、
鬼以外の全て。
途端、
水上操という鬼の身体から、何か、黒い人の形をした物が、花火のように飛び散った。そして、空を黒雲で覆う。天候操作、雷、馬鹿げている――
終末の光景。
……え、と。
え、と思う。そして、
絶望という言葉が、脳裏に映し出されるみどり、
なんだろう、これは、目の前の人は、目の前は、
殺しあう法則が終わったのに、どうして、
どうして、
操、
否、
鬼は。
◇◆◇
空は黒く、雷が轟き、大気は苦しく、水不味く、
この世界の染色者は、操は、
もう自分の面影すら、保てなくなった彼女は、
「お父さん」
そう呟いて、壊すのです。
東京中で人の形をした鬼が、殺し始める。殺し始める。殺し始める。
逃げる犬を、雷が撃った。
◇◆◇
絶望という言葉は、
地獄という言葉に繋がって。
……なんとなく、みどりは、察知した。それは本当になんとなくだ、
なんとなく、だって、
あの人が生きていたら、目の前の人は、
こんな事になってないと、思いたいから。
居酒屋の人の死。
鬼を、前にして、
地獄の、中で、
もう殺しあわなくてすむ世界で、
……鬼に、殺される、世界で、
地獄で、みどりは、
選択するしかない。
彼女は歩いた、
手を出して、そして、
白銀の剣を抜いた。
守る為の剣を。
こんな世界――
「もう、終わらせないといけない」
誓いの剣が彼女の手に携えられた時、水上操の一撃で、みどりは彼方へと、遠く遠くへと吹っ飛ばされる。
距離にすれば700メートルの、操は、
追わない。
破壊の権化はただ、そこに立つ、忌み子は、鬼と人の子は、
鬼は、
お父さんに会いたくて、お父さんの居る世界に行きたくて、
この異界を殺し始めた彼女は、
◇◆◇
もう、何がしたいのかも……ワカラナイ。
切欠すら失い、何処までも堕ちていく彼女によって、
殺しあう異界は、地獄へと変り始めました。
お父さんの居ない地獄です。
瓦礫の中に着弾したみどりは、思う。終わらせないといけない。
巫浄霧絵は、外を眺めている。
八百万の霊団が、世界に解き放たれた。
◇◆ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ◆◇
0086/シュライン・エマ/女/26/翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト
2953/日向・龍也/男/27/何でも屋:魔術師
3057/彩峰・みどり/女/17歳/女優兼女子高生
3461/水上・操/女性/18歳/神社の巫女さん兼退魔師
3786/立花・正義/男性/25歳/警察庁特殊能力特別対策情報局局長
◇◆ ライター通信 ◆◇
速めに仕上げるといったのに、十月入ってすいまへん_| ̄|○(平身低頭
とりあえずなんだかびっくりするようなプレイングが多かった回でございました。ナギの告白だとか、シュライン簪だとか、水上操の鬼化だとか。……いや一番びっくりしたのはナギ告白なんですが、思っていたのですねぇナギちゃん……。(ちゃんづけはやめなさい
水上操のPL様、……いや、ぶっちゃけ異界地獄化はWRの判断なんですが、ちょっとやりすぎて、逆に次回からのプレイング困るような事でしょうか; 強制ではないのでプレイングは自由にしてください。解除、だとか。
シュライン・エマのPL様、武彦さんと呼んでいい? ってプレイングを見て、あんな殺し方になったです、というか、プレイング事態の解釈がうまくできてるか不安ですが……。遺体に関しては後日、零が弔うとかで。
日向龍也の白銀の剣、彩峰みどりへの贈呈は、前々依頼と今回のプレイングによります。龍也の長い孤独な物語が、他者の為の行動での決着というのは、なんか感慨深いものがありました。
萌のIO2帰還は、今回、みどりが行動に前回の萌の状態をふまえたプレイングが無かった事によるリサルトです、が、選択肢事態はあります。
というわけでご参加おおきにでございました、残り二回ですがよければまたよろしゅうお願いします。
[死者]
日向龍也、立花正義、死亡。
[異界更新]
龍也、銀の剣を残し死亡。ナギ、心が女になった所で死亡。ディテクター、シュラインの手によって死亡。
萌、IO2に帰還。みどりには彼女との選択が与えられる。
ディテクターの死によって異界の殺しあう法則は消えるが、水上操の破壊の願いが、三下から捧げられたレイニーの首によって、空は黒雲で雷、大気や水が淀み、殺意の塊である鬼が跋扈する地獄への変化。くわえ、霊団の一部が解き放たれた模様。操、S三下に及ぶくらいの戦闘能力は保持か?
[特別連絡事項]
地獄化及び水上操の戦闘能力は、レイニーの首というなんでもあり装置を水上操が喰らってるので、PL様の一存ですが、これは別に必ず残り依頼参加してきめてくれやオラーって訳やないので、記述されない場合や参加されない場合はWRの判断によります。残り二話参加されない場合は、適当な決着となります。
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