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<五行霊獣競覇大占儀運動会・運動会ノベル>


かわうそ?とばし

オープニング

 とんでもない事になった。
 魔都東京で大きな運動会が行われる。
 占いの一環で競い合うという話だ。
 
 なぜか、国際競技場クラスのグラウンドに、飛び込み台。そして、バットやテニスラケット、卓球のラケットなど、球技でモノを打ち飛ばす道具が山と積まれていた。
 その飛び込み台の上には……あの、謎生物かわうそ?が立っている。しかし、青ざめているのはどうしてだろう?
「かわうそ?がどれだけ飛ぶかの競技だ」
 草間が煙草を吹かしていった。
「なぅー」
「兄さん……」
 そう、草間が考案した、あまり危険でもない競技。かわうそ?飛ばし。落下してくるナマモノを、何らかの方法で、どれだけ飛距離を出すかというものだ。弾がナマモノな為、何が起こるが分からない。しかし、草間とのある条件で渋々承諾したようだ。
「やさしくして……」
 かわうそ?は泣きながら訴えた。

 どういう事なのだろう?



 さあ始まった。意気揚々とあの小麦色を飛ばすために集まった者から複雑な思いでやって来ている者まで、様々だ。とはいうものの、アレは理不尽極まりないナマモノだ。普通にかっ飛ばすだけでどれぐらい飛ぶか分からない。記録では14光年やら世界を6〜7週ぐらいはしているそうだ。一寸した衝撃でもかなり飛ぶようである。
「さて、どれぐらい飛ぶのかしら?」
 シュライン・エマが飛び込み台の上でガクガク震えている小麦色を見ていった。
「今日は良い天気だから。結構飛ぶかも! シュラインさん」
 天慶律が意気揚々とバットの素振りをしている。やる気満々だ。
「よっし。いつも野球部の助っ人しているから腕が……ブッ!」
 目の前でシオン・レ・ハイがクネクネ踊りをしていたのでその異様さに吹き出してしまった。バットがすっぽ抜け、ナマモノの顔面にクリーンヒットする。
|Д`) 痛い!
「おーすまんすまんナマモノ」
「可哀想です〜」
 飼っている(?)ウサギが見守る仲シオンは可哀想と言いながら踊っている。延々続けるつもりなのだろうか?
「大丈夫ですか? かわうそ? さん」
「だ、大丈夫っすか?」
 セレスティ・カーニンガムと陸誠司が飛び込み台で蹲る小麦色の元に近づいた。
 バットは痛そうにめり込んでいる。
「ぬ、抜けるかな?」
 と、怖いと思いながら陸誠司が……其れを
 あの、脛に張った湿布がなかなか取れなくて乾いた剥がす音がする。如何にも痛いあの音が、セレスティや陸をブルーな気持ちにさせた。
|Д゚) ……いたい
|Д゚) 優しくして
 最後にシャンパンの栓が飛び抜ける様な音がしてバットが取れる。
「ハイ大丈夫ですよ」
|Д゚)ノ さんきゅー
|Д゚;) こわい
「でさ、何でこんなコト、思いついたんだ? 武彦?」
 梧北斗が呆れていった。
「企業秘密だ。なに、日頃のストレス発散にはもってこいだろう」
 ニヤリと笑う草間武彦3X歳。
 溜息をつくしかない。

 くじ引きで順番が決まった。
 1.セレスティ・カーニンガム
 2.天慶律
 3.シュライン・エマ
 4.梧北斗
 5.陸誠司
 6.シオン・レ・ハイ

 の順である。
 ただ、シオンがずっと敵チームが打つときに踊る様な気配だ。何故かあのクネクネ踊りは笑いを誘う。流石今回登場したナマモノ認定証所持者。
「そうだ、セレスティさん」
「何ですか?」
 シオンがおもむろに、うささん鞄から何かを取り出した。
 ラベルには成分すら書かれていない、栄養ドリンク剤っぽい瓶だ。
「飲んで下さい。力が出るかも知れません」
 後光を発しながら、目は輝いてのシオンの援助。
 垂れ耳ウサギもなんとなしに、セレスティを見ている。
「う……」
 断れそうにない予感のセレスティ
|Д゚) ……
|Д゚)ノ 飲んだ方がいい
 ナマモノが言った。
「仲間を信用するべきだろうな。クックック。エルハンド、あれはなにか分かるか?」
「成分が書いていないのは気になるが、普通のドリンク剤だな。超常の力は感じられない」
 草間が笑っている。
 ついでにエルハンドも苦笑している。
 如何にも“自腹です。飲んで下さい”という懇願にしか見えないシオンの瞳。流石のセレスティも彼に従うしかなかった。セレスティに優しさがあるというなら、此処は……。
「仕方ありません。戴きます」
 と、溜息をついてセレスティはシオンから瓶を受け取って飲んだ。

 そして競技に入る。
 セレスティはかわうそ?を抱っこして耳打ちしていた。
 バットを持つ身体はよろよろ動いている。
「おねがいしますよ」
|Д゚;) ……
 一寸頼りない構えで、ナマモノが落ちてくるのを待つ。
 そして、落ちてきた瞬間……可能な限りの力を込めて……打った。
|ДT) いや――!
 何か鈍い音がした。
「え? どうしてでしょうか?」
 セレスティ、唖然。
「うわー思いっきり、頭打っちゃいましたよ! 痛そう!」
 ナマモノを追いかける陸が、符を使って肉体強化して走る。捕まえる人の邪魔をするようだ。
 その瞬間、あれが落ちてくる。
「え? わわわ!」
 しかし彼は戸惑っていた。
「うりゃあ!」
 天慶律が、ナマモノを捕まえようと突っ込んできたのだ。チームは別なのだが、あの小麦色の毛並みは極上らしい。同じチームなら譲り合いが起きるのだが……そうは行かない。
 しかし、流石道士修行中、無意識の“蹴り”が天慶に炸裂する。
「あああ! ご、ごめんんさい!」
 その言葉も聞こえないまま、天慶ノックダウン。
 ナマモノ、そのまま急降下して、陸の頭にクリーンヒット。
「ぎゃーす!」
 2人の死体(?)を放っておいて、ナマモノは転がっていった。
 ただいまの記録:1736.6m。
「良く飛びましたねぇ……打ち合わせ通りに行きませんでしたが」
 と、総帥呟く。
 心なしか体が軽く感じられるのだが、気のせいという事に自分で思っているようだ。

 エルハンドが、伸びている2人を起こして、暫く休憩。その後天慶律の番となる。
「さて、いっちょ星になってくれ!」
|ДT;) お星様なる いや!
「今日は良い天気だ、綺麗に星様になるぞ」
|ДT) 律ちゃんこワイ!
 と、会話もならない状態だ。
 純粋にナマモノを飛ばしたい天慶律は、バットを選んでいる。助っ人選手で良く安打や本塁打を打っているらしい。
|Д゚) !
|Д゚) ←何か思いついたらしい、ナマモノ
「さあ! 来い!」
 と、振りかぶったのだが……
 ナマモノが落ちてくる先に、思わずシオンの奇妙な踊りを見て……
「ぶっ」
 力が入らなかった! しかし、気持ち良く飛ぶ!
「星狙ってたのに! 低い!」
 指を鳴らして悔しがる天慶。
 ナマモノは……そのまま……かなりの速度でシオンにぶち当たり、シオンは鼻血を出してその場で伸びた。そしてナマモノは角度が変わる。シュラインとセレスティは邪魔しないようだが、陸と梧がナマモノを追いかけている。
 ナマモノ、捕まえようとする2人に捕まらないように、跳ねるスピードが上がった!
「わ! うそ!」
「ま、まて! このやろ! 陸はなれろ!」
 梧、思わず弓を構えてかわうそ?の進行方向に矢を放つ!
 矢は地面に刺さってかわうそ?の進行を防いだ。ギリギリナマモノは躱わしていたようだ。
|Д゚;) こ、こわー!
 ただいまの記録:2015.00m
 取り敢えず、シオンはそのまま放置となる。順番が最後な為と、 ナマモノ化している彼を起こす術が見あたらないとも言う。取り敢えず危険な競技になりつつあるため、彼の友だちの垂れ耳ウサギさんだけは避難させた。因みに、シオンのドリンク剤を飲んだセレスティは、いきなり二日酔いと同じ気分の悪さによれよれだった。
「しばらく……休ませて下さい」
「あらら」
「次はシュラインだ」
「そうね」


 シュラインは、バットを軽く素振りをして……
「お願いね〜」
 と、小麦色に声を掛ける。
|Д゚;)))) ガクガク
 おそらく、天慶や梧に次いで、やる気のある人なのかも、知れない。
|Д゚) こわい
「無効に好みの美人さんが居るかもよ〜」
|Д゚) な、なにゅ!
|Д゚) そ、それはそれ。これはこれ……
 本気で悩んでいそうだ。
「当たった衝撃を飛ぶ力に変えて痛くならないように飛んでね〜」
|Д゚)ノ にゃ
|Д゚) 本当に美人さんいるかさておき……
|Д゚) 悩む
「本気で悩んでいるぞ、おい」
 梧、呆れかえる。
 さて、ナマモノ飛び降りた。
 シュラインさん其れを思いっきり打つ。
「ああ、しまった!」
 悔しそうだ。
 バットの当たりが悪かったらしい。低く打ちたかったようだが、ナマモノは咄嗟に身をかわそうとしたのだろうか? 打ち所が悪化した。
「セレスと同じく、頭を打ったか……」
 草間はニヤニヤしながら傍観中。
 ナマモノは……かなり高く飛んでいき、本当に星になった。
「あ……」
 唖然とするのは起きている人々。3分ほど待ってみる。
 いきなり、轟音と共に、地面が爆発した。
「うわ!」
 振動で、
 何かが落下したためなのかも知れない。
 6メートル一寸のクレーターの中心部には、ナマモノが突き刺さっている。
「い、いたそう……」
 陸ぽつり。
 おそらく頭を打ち、更にこの状態だと“普通は”死んでいる。生きているはずがない。
|Д゚) ……ヘルプ
 ナマモノは生きていた。
 ただいまの記録:1050.63m
|Д゚) 地球は茶色になりつつある……げふ……
 ――大丈夫なのかしら?

「な、何があったのです?」
 シオンが起きたようだ。


 次は梧の番、彼もまたバット。
「さて思いっきり打つか……」
|Д゚) きゅーきゅー
「そんな泣き方したって、存分に打つ!」
|Д゚) めぇー
「……」
 シオンの不思議な踊りに力が入らない梧。幾ら冷静に打とうとしても、あのナマモノパワーは計り知れない。
「や、やめてくれ……その踊りはやめてくれ! わ、笑いが……」
 梧の叫びに対し、シオンは
「踊りたい気分なんですが?」
 何となくだが返す言葉もない。
 本気でシオンは思っているのだ。
 そして、梧は落ちてくる小麦色を打つ。
「あ、背骨! に!」
|Д`) いやー!
 当たりの音はかなり良い。低空で飛んでいくナマモノ。
 地面を滑っていく感じだが、陸が其れを捕まえようとする。天慶も走る。シオンは踊りつつける。
「邪魔すんじゃねぇ!」
「これもルールです!」
「そうそう」
「白虎は3人、多いだろう!」
|Д゚) いやー
 などと、叫びあっているが、まあ、小麦色にしてみれば其れは瑣末事だ。一番災難は彼である。
 流石に護符による肉体強化した陸に天慶は為す術がないかもしれないだろうが。しかし、
|Д゚) ……
 なかなか追いつかない。何故か追いつかない。2人、走り損。
 ナマモノは、そのままボール状態になって止まった。
 ただいまの記録:1836.14m
|Д゚) 縺れた
「……ぜいぜい」
|Д゚) ほどけ
「……」


 今度は陸誠司だ。
 バットを使わず、肉体のみでアレを飛ばすらしい。
「え? 投げは出来ないのですか?」
 一寸ショックうける
「捕まえたら、その場が“飛距離”になる、というのがルールにあると、投げはムリだろう……」
「矛盾した言い回しになったな……」
「これも著者のいい加減さが産んだ……」
 草間とエルハンドが悩んでいる。
「では蹴りで行きます」
 即決したようだ。
「なんか、蹴りの方が痛くないか?」
 梧や天慶は言う。
「大気圏突入しても無事ならOKでしょう……それに……悪戯されたし」
 少し、翳りを見せる陸……。カラースプレーの怨みがあるのだろうか?
|Д゚) いたそー。
|Д゚) 威力+10?
|Д゚;)))) ガクガク
 取り敢えず、蹴り飛ばす方向になった。ので、陸は定位置に付いた。
「いきますよー!」
|Д゚) ……
|Д゚) とうっ!
 飛び降りて陸に蹴りを入れようとするかわうそ?
 シオンは単に踊りたいだけなので、また踊っている。しかもかなり微妙な類を……。
「集中! 集中!」
 小麦色が、迫っていく。
「とんでいけー! あれ?」
 なんと、彼の素晴らしい蹴りが、二ナマモノに躱された! 否……、彼はタイミングを思いっきり外し蹴りは空を切り、豪快にズッコケタのだ。
「ぐはあ!」
 ひらりと体操選手のように着地する小麦色。
|Д゚) ……10.00
 ただいまの距離……0m


 シオン・レ・ハイの番。最後である。
「可哀想なので、これで」
 と、テニスラケットにトランポリンの布地をつけた改造ものだった。いつの間にかこさえたらしい。
「これで痛くないですよー」
|Д゚) ……にゅう
「どうしたんですか?」
 と、ドリンクを飲んで構えているシオン。テニスラケットなのに何故か卓球の構えである。
「どう打つのかしらね……」
 シュライン達がじっと見ている。
「照れますよ」
 と、また妙な踊りをし始めるシオン。
|Д゚) ……痛いからとっとと始める
「あ、そうでしたね……では」
 と、少し時間が経って準備が出来た。
 また妙な構えで待ちかまえる。
 ナマモノが飛び降りる。シオンが改造ラケットで打つ。
 弾力性のある独特の音と思いきや……果物が地面に叩き潰されたような音がした……。
「え? 何故? そんな音?」
 ナマモノがラケットにへばりついて……そこから一気に……飛んでいった。
 ぽーんと、そのまま高く飛んでいくナマモノ。フライのようにゆっくりと飛んでいく。
「おー高い……」
 天慶が遠くを見るように起動を追う。
|Д゚) ……
 梧が、大体の目星をつけて、落ちてきそうなところに向かう。
「よっしゃ! 戴き!」
 と、何か同じモノが飛んでいる。
 なんと、かわうそ?が2体居るのだ!
「え? どっちだ? どっちだ? うごぉ!」
 悩んでいるウチに、ナマモノが梧に蹴り入れて跳ねた。
「させるか!」
 と、梧が、ナマモノの足を掴もうとする!
 かわうそ?は豪快に顔面から地面に激突。梧は後頭部を強打した。
「うぎゅ〜」
|ДX) ぶきゅう……
「つ、捕まえた」
 もう一個は、シオンが咄嗟に投げたかわうそ?ぬいぐるみだったようだ。
 距離:1700.63
「あーおしいです!」


〈とばされまくって〉
 かわうそ?とばし競技は終わった。
「また他の競技に参加する方は此方に来てくださいね」
 と、カスミ達が放送で言う。
|Д゚) 痛い
|Д゚) 何故にこんな目に……
「大丈夫?」
 シュラインがやって来てかわうそ?の頭を撫でる。フカフカの毛並みが心地良い。
――あれだけあったのに傷1つ無いわね……?
|Д゚) 痛いにゅ
|Д゚) ぐきゅるるる
Σ|Д゚)
|Д゚*) 
「お腹もすいたのね。はい、サンドウィッチ」
 シュラインはランチボックスからサンドウィッチを取り出した。
|Д゚)ノ わーい
|Д゚) いただきます
「はい、どうぞ」

 さて、いつも人をからかうナマモノを飛ばす競技は終わったが。まだまだ続くだろう。
|Д゚)ノ うまい
 すでに、飛ばされた事に対して何も怨みも持ってないような顔つきのナマモノであった。
|Д゚) ……
|Д゚) ニヤリ

 終わり

■登場人物
【1380 天慶・律 男 18  天慶家当主護衛役 青龍 1位】
【1883 セレスティ・カーニンガム 男 725 財閥総帥・占い師・水霊使い 朱雀 3位】
【0086 シュライン・エマ 女 26 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員 白虎 5位】
【3356 シオン・レ・ハイ 男 42 びんぼーにん(食住)+α 白虎 4位】
【5096 陸・誠司 男 18 学生兼道士 白虎 6位】
【5698 梧・北斗 男 17 退魔師兼高校生 玄武 2位】


■獲得点数    

青組:30 / 赤組:10 / 黄組:0 / 白組:0 / 黒組:20


■ライター通信
滝照直樹です かわうそ?とばしに参加して下さりありがとうございます。如何でしたでしょうか?
能力値振り分け、判定致しまいた。
|Д゚) ……みんな。かわうそ?は大切に
皆さんのプレイングに腹を抱えて笑って書きました。かわそ?には災難でしたでしょうけど。
天慶律さんノベル初参加ありがとうございました。

では、機会が有ればお会い致しましょう。
|Д゚) とばしっこ、なしで