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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


【草間興信所 咎人への涙】


 そこは深い闇の中。
 どろりと冷たく澱をなした闇の中で、そのしじまはその闇よりも昏い声で壊される。
「やれやれ。案外と平家の怨霊とやらも不甲斐ない。まさかたかが人間に殺されるとはね」
「まあそう言うな。あのセレスティ・カーニンガム。それを相手にしていたのだからね。あれを相手にすれば、ただでは済まないさ」
「セレスティ・カーニンガムね。あのリンスター財閥の総帥。殺すには惜しいよね。その政財界への繋がりはなかなかに魅力的だ。国を潰すのにさ」
「そうだね。我ら【黄泉】も政財界のパイプを持っていて、いつでも国一つをひっくり返す事もできるけど、でも我らが持つのはあくまで闇のパイプ。それではスマートにはできないからね。その点リンスター財閥、これを使えばスマートに第三次世界大戦を起こすのも難しくは無い」
「戯言が好きだね、君は」
「ゲーム好きだと言ってくれないかい? ゲームマスターにとってはリンスター財閥は魅力的さ。これを使えばスマートなゲームシナリオが書けるんだから。後の世の教科書にだって、このシナリオを使えば矛盾無く第三次世界大戦が起きた経緯を記載できるんだぜ。もっともらしく」
「おやおや。あなたは何を言っているのかな? 人間などは私たちの食料兼奴隷でしかないのだから、教育なんかさせる訳が無いでしょうに。おもちゃに知識は要らないさ」
「だからさ、僕ら闇の存在の者が学ぶ教科書に、って事」
「本当に君は戯言が好きだ」
「じゃあ、殺すの、こいつも?」
「誰がやる?」
「僕がやるよ。僕が、セレスティ様に僕ら【黄泉】の一員となってもらう」
「くすくすくす。それこそ戯言。彼が私たちの仲間に? ならないでしょう、あれは。人間に毒されているよ、完全に」
「ええ。あの方もまた蜻蛉が街頭の光に戯れるように草間武彦という異能の者たちを引き寄せるその圧倒的なカリスマに引き寄せられている。だけど、だったらそのカリスマなる草間武彦を殺せば、セレスティ様もお目をお醒ましになられる。昔のような孤高で非情なあの方にお戻りになって、こちら側へと来てくださる。あの方の性は僕が一番誰よりも知っているんだからね。そう、僕が一番セレスティ様を理解しているんだ。愛しい愛しいセレスティ様をね」
「執着。いえ、妄執ね、それは。じゃあ、やればいいわ。ストーカーの吸血鬼君」



 そして闇は、蠢く―――



「兄さん」
 草間武彦がサングラスの奥で目を見開いたのは、草間零が泣きながら抱きついてきたからだ。その華奢な体は小さく震えている。
 ―――まるで、夕暮れ時の街中で、母親とはぐれて泣いていた幼い子どもに声をかければ、その子に抱きつかれたかのように、そんな怯えきって、悲しみのあまりに世界から消えてしまいそうな………。
 武彦はそっと零の頭を撫でた。
 彼女をこの世界から消してしまわないために。
「どうした? 何があったんだ?」
 零は涙に濡れた顔をあげ、そしてとつとつと語る、彼女が知り合いとなったとある母娘の身に起きた悲劇を。


 興信所すぐ近くの公園。
 そこで零はまだ幼い女の子、風間唯と友達となった。
 唯の家は母子家庭で、母親である風間綾子はデザイン事務所のデザイナーとして忙しい日々を過ごしていたのだ。
 零の目から見てもその母娘はとても幸せそうだった。
 しかし唯は心臓に持病を持っており、そして唯は病院に入院してしまった。
 零もできる限り綾子の手伝いをし、仕事の忙しい彼女に代わって唯の看病をしていた。
 だが最近、綾子が来なくなったのだ。デザイン事務所に連絡をしても、事務所の方も彼女と連絡が取れないと困っている始末で、探偵である武彦に相談しよう、と想っていたその時に病院の中庭から唯の病室を見上げている綾子に気づいた。
 零は中庭へと駆け下りて、綾子に話し掛けた。
 しかし気づいてしまった、零は。
 綾子が人外のモノ、吸血鬼となっている事を。
「どうして、綾子さん?」
 必死に声を押し出す。
 綾子は泣き笑いの表情を浮かべた。
「車に轢き逃げされて、死にそうになっているところをマスターに助けられたの。でも私は、私は………どうすれば…………こんな手では、唯を抱けない。唯だって心臓に病気を持っているのに。私しかいないのに…」
「綾子さん」
 零は叫んだ。悲壮な声で。
 綾子は顔を両手で覆い隠して叫び声をあげて、世界は彼女に怯えるように、もしくは哀れんでいるかのように一陣の強き風を起こして、そしてなびく髪に零の視界が一瞬隠れた間に、綾子の姿は無くなっていた。
「私、聞きました。綾子さんが唯ちゃんを今夜一緒に連れて行く、って行ったの。それ、一緒に死ぬ、って、そういう意味。兄さん、私、私はどうすればいいですか?」




 そこは暗い闇の中。
 マスターヴァンパイアは酷薄に笑う。
「やはりこうなったね。忌々しい怪奇探偵、草間武彦。おまえは我らが【黄泉】の敵。来るがいい。必ず殺してやるよ、おまえをね。そしてセレスティ様は今度こそ、僕の物」



 くすくすくす。




 ――――――――――――――――――【草間興信所 咎人への涙】




【シーンT 病院近くの国道】



 国道の脇に黒塗りのベンツが停車していた。
 その運転手は、瞼を閉じて、運転席に座っている。
 助手席の少女もまた、その運転席で瞼を閉じてじっとしている青年に語りかける事も、また不満そうな素振りも見せる事はない。
 青年は寝てはいない。
 それは断言できた。彼が発する気の様なモノが、そう感じさせたのだ。
 彼は瞼を閉じて、何かを待っている。
 そして助手席の少女はおそらくはそういう青年の事を理解しているのだろう。沈黙とはそれを説明する必要が無いからか、今はまだ、その時ではない事の証だという事を。
 警視庁の刑事である亀田香織はその二人の事を訝しげな目で見ていた。
 青年の方は女性である彼女から見てもとても美しいと想う。ただその美しさに同時に冷ややかな物も感じている。それはまるで彼女がよく趣味で非番の日に足を運ぶ美術館の彫刻かのような美なのだ。金属の結晶を削って作ったかのようなその彼の美しさはどこか人間の美を超えているような気がして………
(やだ、あたし。あの人に気後れしているのかしら?)
 この月の初めに刑事課に配属された彼女はまだ自分が刑事としての気構えができていないような気がして少しショックを覚えたが、しかしそれは彼女が刑事としては合格点である事の証であった。セレスティ・カーニンガムは、人では無いのだから。
「どうしたの、亀田さん?」
「あ、左京さん」
 亀田香織は上司の左京に硬い表情を向けた。
「あそこの二人、何なんですか?」
 彼女がそう言うと、上司は少し難しい顔をした。
 キャリアではない自分にはわからない何かがあるのだろうか、あの二人には。
 そう、ここでは確かに事件が、交通事故が起こったらしい形跡はあるが、しかしそれは事件にはなってはいない。被害者の報告が入っていないのだ。
 事件にはなってはいない物に対して警察が動く事は無い、という事を嫌ほどわかっているのは警察官であり、その無力さに泣いた事のある自分だ。だから彼女は、警察組織に囚われない捜査が出来る、この左京というキャリアだが、上官たちには嫌われている彼女の部下となった。
 だがそれでも彼女は己の無力さに泣いた事は何度もある。
 しかしその警察を彼らは動かしたのだ。聞けば警視総監からの命令だとか。
 では彼らはそれだけの権力を背後に動いている? それは、国家規模の権力だ。
(何者なの、彼らは?)
 彼女の表情に左京はため息を吐いた。
「あの人はリンスター財閥の総帥よ」
「リンスター財閥? リンスター財閥って、あのリンスター財閥ですか、左京さん?」
「ええ。あの、リンスター財閥よ。そうじゃなきゃ、あの狸が動くものですか」
「そうですね。でも、それじゃあ、この事故って、一体?」
 彼女は鑑識が調べている方を見た。
「さあね。ただ、こんな噂を聞いた事があるわ。いえ、都市伝説かしら? 警察が動けない、法では裁けない事を調べ、解決してくれる探偵が居ると。それは怪奇探偵と呼ばれ、ネットや様々な方法で助けを求めれば、何処から現れて、助けてくれると」
「その怪奇探偵が彼だと?」
「さあ、わからないわ。ただこういう事はこれが初めてではなく、そしてそういう事がこれまで内密に動いて調べてきた事の裏で起こっているのよ」
 亀田は背中を汗が流れるのを感じた。
 戦慄していた彼女は。
 では、この事故は、一体本当に何なのだ?
 彼女はもう一度鑑識が調べている方を見た。
「左京さん」
 鑑識の班長が上司を呼び、そして左京は報告された結果を、リンスター財閥総帥に報告しに行った。
 亀田は、そこから動けなかった。



 +++


 隣でくすりと綾瀬まあやが笑った。
 セレスティは瞼を開き、横目で彼女を見る。
「どうしましたか、まあや嬢?」
 いえ、とまあやは笑いながら肩を竦める。
「あの刑事さん、少しかわいそうだな、と想って。それは戸惑いますよね。事なかれ主義の警察が、事も起こっていないのに動いているんですから。いえ、起こっているんですけど、でも明確な被害者が居なければ、警察は動けないでしょう?」
「そうですね。被害者は居ますが、しかし風間綾子は被害者として警察には認識されていませんからね。警察が彼女のために動く事はありません」
「ええ。だからセレスティさんは警察を動かした」
 セレスティは頷く。
「それに関してはキミも私に訊ねたいことがあるのでは?」
 笑うセレスティに、まあやもにこりと頷く。
「ええ。でもセレスティさんは時が来れば教えてくれるか、それともそうでなければ、それはあたしには関係の無い事なのだと想って、だから、聞きませんでした」
「では、彼女の報告を聞いたら、説明しましょう」
「はい」
 セレスティは左京からの報告を受けた。
 確かにここで事故が起こった事。
 そして事故車両の目撃証言が警察に入ってはいたが、しかし事故があったと報告が無かったので、そのまま放置されていた事。
 その車両とは、ここら界隈を拠点としているカラーギャングの物で、十中八九その被疑者はカラーギャングであるという事。
「そしてここがそのカラーギャングのアジトです。警察をまわしましょうか?」
「いえ。私が行きます。あなた方警察にはまた後から協力を頼む事にもなるでしょうから、その時はお願いします」
「はい」
 セレスティはキーをまわして、エンジンをかけ、車を発進させた。
 そして報告されたカラーギャングたちのアジトである廃工場へと向かう車中で、セレスティはまあやに自分の考えを述べた。
「確かにただの轢き逃げ犯を捕まえるだけなら、それは警察に任せていればいいでしょう。しかしこれはおそらくはただの轢き逃げではありません」
「そう想われる根拠は?」
「偶然と片付けるにはあまりに話が出来すぎているからですよ。怪奇探偵と呼ばれる草間武彦の妹である草間零の知り合いが吸血鬼となるなんてね。そしてそうなったら必ずや草間武彦がその事に絡んでくる。その因果、草間武彦の業はそこまで深いというのですか? いえ、そうなのかもしれません。しかし私は、今この世界で何やら蠢いている闇を知っています。ええ、この世に偶然は、ありませんよ、まあや嬢」
「【黄泉】、ですね」
「ええ。どうにもこの敵は性質が悪い。だからこれぐらいの事はやりかねません。風間綾子が草間零の知り合いだと知って、轢き逃げさせ、その死にかけた彼女の下に舞い降りて、誘惑した。人ならざる者の世界へと。もしもそうだとすればそれは本当に………」
「性質が悪いですね、本当に」
 まあやはきゅっと唇を結んで、前方を見据えた。
 そこには廃工場がある。
 元はマネキンを製造する工場であったそうだ。
 セレスティは車を停車させて、エンジンを切る。
「一雨きそうですね」
「はい。嵐が、来るみたいです」
「ええ。では、行きましょうか。まあや嬢」
「はい」



【シーンU 廃工場】


 閉め切られたその廃工場の空気は暗く淀んでいた。
 鼻を突くこの臭いは何であろうか?
 胸が悪くなるような、そんな頭がおかしくなりそうな、そんな何かが腐った臭い。
「行儀が悪い」
 セレスティは小さく呟いた。
 そして前方を見据える。そこには奇怪な形に歪んだ異形なモノが居た。
 その足元には全裸にされ、血を吸われて殺された女のミイラが何体も転がっていた。
「まあや嬢。後ろに下がっていただけますか? 彼らからはやはり情報は引き出せそうもありません。そうであるならこんな場所に長居は無用。即刻草間氏と合流した方が良いでしょう。やはり、ええ、そう。この敵は性質が悪い。これであの吸血鬼は確信犯である事が確定しました。よって彼らの目的はやはり草間武彦です。彼を守らねば。風間綾子。吸血鬼の手の平の上で躍らされていますね」
「そうですね。ではあたしは、楽をさせていただきますね」
「はい」
 くすりとセレスティは微笑み、そして冷たく細めた瞳を全身を戦慄させ、すぐにでも自分たちに襲いかかってこようとしている吸血鬼たちを見据えた。
「さあ、来なさい。下等な者どもよ」
 その言葉で、幕が切られた。
 吸血鬼たちがセレスティに襲い掛かる。
 しかし彼はそれを見据え、口の片端を吊り上げ、ただそれだけで、彼の周りに浮かんだ水珠が縦横無尽に飛び交い、襲い掛かってきていた吸血鬼たちを打ち滅ぼした。
 それらは、身体をずたぼろに撃ち抜かれて、灰となって、消え去る。
 圧倒的な強さ、それがセレスティ・カーニンガムが誇る最大の美。
 その美の前にそれらはあまりにも儚く。
 そしてその冥界の美かのような黒衣の男は、しかしそのセレスティの美しさに真っ向から挑むかのように笑う。どろりと、心に絡みつくかのように。
「キミは。そうですか、キミがマスターヴァンパイアですか?」
 闇から浮き上がるようにして現れたその吸血鬼にしかし、セレスティは油断はしなかった。
 ただ不思議がるように小首を傾げる。
 その吸血鬼はセレスティを見て、鼻血を流したから。
 まあやはあからさまに引いて見せた。
「変態?」
「これ、まあや嬢。そういう事は想っても口にしてはいけませんよ。男色の変態吸血鬼などと」
 ゆらり、とその吸血鬼が揺らぐ。
 金髪に縁取られた美貌を片手で抑えて、彼は大仰に残念がるのだ。
「懐かしいですね、セレスティ様。あなたのそういう所はまったくお変わりになられてはいない。でも、そこの女。おまえは邪魔なんだよ。そう、邪魔だ。どうして僕がこんな薄汚くって、臭い場所に居たと想う? それは僕のセレスティ様なら簡単にここに僕が居る事を推理して、僕に会いに来てくださるとそうわかっていたからさ。それをおまえのようなお邪魔虫がのこのことついてきて。いい加減にわかれよ、このドブス。おまえは僕とセレスティ様の二人の時間に邪魔だって。失せろよぉー」
 癇癪を起こした子どものように吸血鬼は叫んだ。
 まあやは綺麗に微笑む。
「あら? あたしはセレスティ様の女よ? そのあたしがどうして、去らなきゃならないのかしら? この変態さん」
 セレスティの片腕に両腕を絡め合わせて、挑発的に微笑む。さらりと嘘を吐いて。
 そうすれば、
「おまえぇー。たかが女如きが僕のセレスティ様に絡みつくなー」
 そう叫び、そして猫科の肉食獣かのようなしなやかさと跳躍力で一気にまあやとの間を突き詰めて、鉤詰め状に伸びた手をまあやの顔めがけて振り下ろしながら、飛び掛る。
 しかし、
「スパイダーネット」
 セレスティは小さく呟いた。
 ―――吸血鬼が無様にまあやとセレスティが居る空間の少し前に張られた蜘蛛の素のように張り巡らされた粘性を持つ水の網にかかった瞬間に。
 そしてどうやらそれは同時に酸性をも有しているようだ。
 吸血鬼の身体が焼け始める。
 追い詰められていた、その吸血鬼は。
 しかし………
「ああ、やはりセレスティ様だ。僕の大好きで大切なあなた。その強さが、何よりもあなたのお美しさに華を添える。また一段と、あなたの事を好きになりました。セレスティ様。ええ、大好きですよ。愛していますよ。大大大大大大好きですよ」
 まるで耳元で愛のポエムを囁かれたかのように顔を赤くしながらそう詠う吸血鬼にセレスティはいい加減とため息を吐いた。
「先ほどから気になっていたのですが、キミは随分と私の名前を気軽に口にいたしますが、キミは誰なのですか?」
 転瞬、空気が一変した。酸性の水の蜘蛛の巣で悶えていたその吸血鬼の表情がどす黒いモノへと変わる。
「おい、こら。てめえ、それは冗談で言ってんだよな? この俺様の事を忘れているなんて、そんな………はっ、セレスティ様、ごめんなさい。汚い言葉を使ってしまって。でも、その、それは本当にご冗談ですよね? ね? ね? 僕のセレスティさまぁん」
 それはまるで地獄の血の池で、天に向かい、蜘蛛の巣を懇願するが如く。
 しかしそれをセレスティは鼻先で笑った。
「いえ、すみませんが冗談ではありませんよ。私の記憶の中には、キミの記憶は一切ありません。以前にどこかでお会い、していましたか?」


 ぷつん。


「うるぅわぁ――ぁ」
 吸血鬼の犬歯と呼ぶには鋭すぎる牙が剥き出しにされて、身体が酸性の水が絡みつくことで焼けるのもかまわずに彼は身を前に乗り出させる。
 髪を手で触れて、
「ねぇー、セレスティ様。どうして僕の髪が金色なのか知っていらっしゃいますか?」
「いえ」
「それはね、あなたがあいつをお傍に置いている訳は、あいつの金色の髪を愛していると想ったから」
 吸血鬼は眼球を眼窩から取り出し、それを手の平の上に置いて、笑う。
「ねぇー、セレスティ様。どうして僕の瞳が金色なのか知っていらっしゃいますか?」
「いえ」
「それはね、あなたがあいつをお傍に置いている訳は、あいつの金色の瞳を愛していると想ったから。あなたは金色がお好きなのでしょう? だから僕は。それでそのドブスをお連れになっている理由は何ですか? 声ですか、セレスティ様」
 涙で濡れた美貌に笑みを貼り付けて、吸血鬼が出した声はまあやの声だった。
「それとも黒髪に紫暗の瞳がお好きになられましたか?」
 吸血鬼の髪が黒に、眼窩に戻した瞳の色が紫暗になる。
「それとも女の身体がお好きですか?」
 吸血鬼の服が燃え上がり、曝された全裸が、男の身体から女の身体へと変わる。
 顔、すらもまあやの物に変わる。
「うふふふ。これで私はそのドブスと一緒。あなたがお傍に置くそのドブスと。それなら私の方が。私の方が、お好きでしょう、セレスティ様」
 仔猫が甘えるようにそう言う。
 セレスティはふっ、と笑う。
「作り物の美の何が美しいのか。キミは誰よりも、何よりも、醜い」
「ぜれずでぃぃぃぃぃぃぃ―――――ぃっ」
 吸血鬼はセレスティに肉薄する。
「水なる蛇」
 セレスティは口にする。その眷属の名を。
 空気中に漂う水分子は、水の蛇を象って、それを迎え撃たんと。
「炎の蛇」
 吸血鬼が口にしたのは炎の蛇の名。
 紅蓮の炎は蛇となって、水の蛇を相殺する。
 いや、水の蛇を蒸発させ、セレスティに襲い掛かる。
「水の鞭」
 縦横無尽に振られた水の鞭が、炎の蛇を打つ。
 掻き消された炎の蛇にしかし、彼はうろたえなかった。
 水の鞭を、しかし炎の鞭が打ち、相殺する。
 吸血鬼は甘やかに微笑む。
「わかりますか、セレスティ様。火は、水を消すのです。これは私があなたのために身に付けた力。私はあなたよりも強い。強いのです。さあ、言いなさい。お願いしなさい。私に居ろと。自分の隣に居てくれ、と。愛している、と。愛されたいと。泣いて、喚いて、懇願しろよ、セレスティぃぃぃぃぃ――――ぃ」
 こめかみに血管を浮かべて、その吸血鬼はまあやの顔、姿でエキセントリックに喚いた。
 だがそれを見据えるセレスティの目は冷め切っていた。
「だからキミなどは、いりませんよ」
 見開かれる、吸血鬼の目。
「ウワァァァぁ―――」
 そしてその瞬間、吸血鬼の姿はセレスティの姿となる。
「もういい。あなたはここに居る。今から僕があなただ。だからもう、あなた………おまえは要らない」
 背筋がぞっとする程に酷薄な表情を浮かべて、それは炎の蛇を放った。
 そしてセレスティも同時に水の蛇を撃ち、それらはぶつかり合って、水蒸気爆発を起こした。



【シーンV 病院】


 草間武彦は病院の窓から空を見上げていた。
「ついに降り出したな」
 鉛色の空からは雨が降り出した。
 それを武彦は不安げな瞳で見つめている。
「セレスティ」
 彼が呟いたのは協力を求めた相手の名。
 彼が知る限り、セレスティは冷静沈着、そして無敵の力を持つ男だ。その彼が、敵に負ける訳がない。
 しかし何だ、この不安は?
 武彦は乱暴に頭を掻いた。
「兄さん」
「ん?」
 武彦は零を振り返る。
 眠った唯に、しかししかっりと手を繋がれている零が小首を傾げる。
「セレスティさんなら、大丈夫です」
 そう笑う零に武彦はわずかにサングラスの奥で目を見開き、それから苦笑した。
「そうだな」
「はい」
 それから武彦はズボンのポケットの中に手を突っ込んで、じゃり銭を手で確かめると、零に笑いかけた。
「喉が渇いただろう? ジュースを買ってくる」
「はい」
 武彦は病室を出ていき、
 零はもう一方の手も、自分の片方の手を握り締める唯の手に重ねた。
 小さな手の感触が強くなる。
 零は泣きそうな表情をした。
 そしてがちゃり、と扉が開く音がして、零は慌ててその表情を消して、そちらに、顔を向けた。
 ………。



 +++


 自動販売機の表示ランプを見つめ、武彦は苦笑を浮かべた。零に何が飲みたいか聞くのを忘れていた。
 どうしようか? いらない気を使わせないためにも病室に戻って聞くべきか。
 数秒逡巡して、返金レバーを回す。
 落ちてきた硬貨を手に取り、そこで廊下にぽたぽたと水を落とす誰かに気づく。
 武彦はかがんでいた身体を伸ばし、その誰かを見た。
「セレスティ・カーニンガム」
 いつも優雅な立ち振る舞いで決めている男が、しかし今はボロボロの姿をしていた。
「その格好はどうした? 綾瀬は?」
「彼女は、車の中です。だいぶ無理をさせてしまったのでね」
「そうか」
 武彦は頷き、それから煙草を口にくわえると、それに火をつけた。
「それはきっと大変だったのだろうな。水霊使いのおまえが雨に濡れるほどにダメージを受けるのだから。普段のおまえならば、雨に降られても濡れはしない。その繊細な能力をコントロールする神経が磨耗してしまうほどに相手は強力だったのか?」
「何が仰りたいのですか?」
 武彦は肩を竦める。
「珍しいな。おまえが俺にそう問うなんて。おまえは本当にセレスティ・カーニンガムなのか? その姿は似せられても、その完璧な水霊使いの能力まではコピーできなかったか?」
 紫煙を吐き出す武彦の顔をほとんど見えぬ目で見据え、セレスティは口元に微苦笑を浮かべた。
「そこまで過大評価していただき光栄ですね」
 肩を竦め、それからセレスティは俯いたままこちらにやってくる零に視線を移す。
「どうした、零?」
 武彦が問う。
 他には誰も人が居ない廊下に響き渡っていた零の歩く靴音が、途絶える。
 零が顔を上げる。
 その瞳は武彦を見てはいない。怯えた顔で、セレスティを見ている。
 セレスティは優しく微笑む。
「兄さん。私の事を信じてくださいますよね?」
「あ?」
 武彦が口を開きかけたその瞬間、零は武彦の隣に居るセレスティに襲い掛かった。
 零の戦闘能力は、そのかわいらしい容姿とは異なり、高い。
 しかしその繰り出された拳をセレスティは容易に避けた。
 避けざまに彼の指が動き、転瞬、零の前にある空気が、爆発する。
「――――っ!」
 両目を零が見開いた時には遅かった。
 彼女の身体は、後ろへと吹き飛び、背中から自販機に激突して、そして自販機の缶ジュースの取り出し口からは大量の缶ジュースが零れ出て、やがて止まる。
「貴様ぁー」
 武彦はそれを見て、セレスティに、いや、セレスティの姿をした何者かに蹴りを放った。
「ぼん♪」
 くすりと笑って、おどけた声音でそいつはそう言う。
 武彦の前でやはり空間が、爆発した。
 武彦は強烈な一撃を腹部に叩き込まれたように空中で身体をくの字に曲げる。そしてそいつは武彦の顔を鷲掴みにし、そうして、その首筋に牙を突き立てた。
 身体の中に異物が入るその感覚に武彦はうめき声を漏らす。
「兄さん」
 悲痛な零の叫び声がした。
 そしてそいつは、口の周りを武彦の血でべっとりと染めて、笑った。
「大丈夫。まだ血を吸っただけさ。致死量ぎりぎりまでね。ここで輸血をすれば、まだ彼は助かるよ。でももう少し僕が血を吸うか、それともいっそ頚動脈を切り裂けば、死ぬね。それとも僕の血を飲ませようか? そうすれば彼もまた、吸血鬼だ。ねえ、妹の君としてはどちらがいい?」
 笑う吸血鬼を零は睨んだ。
「どちらも、ごめんです」
 零はかまえる。
 その彼女に吸血鬼は優しく微笑んだ。
「そうだね。じゃあ、風間綾子。彼女を助ける方法を教える、と、この草間武彦を助ける、という二つの交換条件を僕が君に持ちかければ、君は僕のお願いも聞いてくれるのかなー? ねえ、草間零ちゃん♪」
 悪魔は助けを請う人の前に舞い降りる時、その姿は天使を装う。
 ―――零は何時だったかセレスティに教えられたその言葉を思い出し、そして…………



 +++

 それより少し、前。
 武彦が出て行ったばかりの風間唯の病室。
 零は開いた病室の扉の所に立つ人物を見て、驚いた。
 そこには風間綾子が居たからだ。
「綾子さん」
 零は悲壮な声を出す。
「そんな、顔をしないで。零ちゃん」
 綾子は顔面蒼白で、それでも零に微笑みかけた。くしゃくしゃの顔。枯れた花を包んだ花束のように。
「駄目なんですか、綾子さん。唯ちゃんを殺すしか、道は無いんですか? あなたは、あなたが幸せになれる…唯ちゃんと二人でまた母娘、幸せになる道は無いんですか?」
「駄目よ、零ちゃん。私は吸血鬼。でも私は吸血鬼にはなりきれない。だから………」
「殺すのですか、娘を」
 病室の中へとじりじりと入ってきていた綾子の後ろから声がした。
 零は弾かれたようにそちらを見る。
 そして泣きそうな表情に顔をゆがめた。
 そこにはセレスティが居た。
「セレスティさん」
 その声に応えて、セレスティは優しく微笑んだ。
 それから戦慄の表情で自分を見る綾子に視線を向ける。
 そこには、零とは違い、哀れみの色は無かった。
「別に私は、ギリギリの選択肢を迫られて、キミが吸血鬼となって生き延びる道を選んだ事に関しては何も言うつもりはありません。また元人間であるキミが嫌悪感を持って当然である吸血行為、しかし吸血鬼であるキミが人間の血を吸う事に関してだって、私はそれを責めるつもりは無い。弱肉強食は自然の摂理ですし、人間が家畜や魚を殺して食べる行為とそれは同じなのですから」
 綾子は震えた。それから耳を手で押さえ、幼い子がいやいやをするように顔を横に振る。
「全てが、キミの自由だ」
 セレスティは淡々と言葉を紡いでいく。
 そこにやはり同情は無く、
「ただ、キミが自分の事をやるのは良いとして、キミが娘の唯嬢に手をかけるというのであれば、私はそれを阻止します」
 超然たる目で見据え、切り捨てる。綾子の想いを。
「どう………して…………? 唯は、娘は私の子よぉ。私が何をしようが私の勝手だわぁ!」
 ヒステリックに叫ぶ綾子だが、すぐに怯むように後ろに下がった。セレスティに見据えられたからだ。
「愚かですね、キミは。唯嬢を殺す行為はキミのエゴに他ありません。キミは忘れてはいませんか? 唯嬢がひとつの命である事を。彼女はキミとは、別の命です」
 綾子は、セレスティを睨み、しばらくずっとそうしていて、そして、「うぅぅぅぅ」、とうめき声をもらして、それから彼女はその場で地団太を踏んで、泣きじゃくった。
 セレスティはそんな彼女から零に瞳を向ける。
 もう、大丈夫、そう唇を動かして。
 零は泣き笑いの表情で頷き、
「兄さんを、呼んできます」
 そう言って病室を出て行った彼女は、しかし俯いて、独りで病室に戻ってきた。
 セレスティはその彼女に優しく微笑む。
 それは大丈夫、と零に語りかけているようで、
「セレスティさん…」
 零は泣きながら既に自分の身に何が起こったか理解しているような彼の名前を呼び、
「大丈夫。零嬢、私を信じてください。私は死にませんから」
 そう囁きかけるセレスティに、零は抱きつき、泣きながら彼の首に注射器を刺した。
「ごめんなさい、セレスティさん」
 意識が闇に飲み込まれる瞬間に聞いたその声に、セレスティは…………



【シーンW 吸血鬼城】


「…………」
 瞼を開くと、そこは見知らぬ場所だった。
「お気づきになられましたか、セレスティ様」
 セレスティはキングサイズの丸いベッドに寝かされていた。
 上半身を起こし、寝乱れた髪を掻きあげる。
「ああ、お美しい御髪が乱れて。もしもよろしければ僕に、櫛で梳かせていただけませんか?」
 櫛を手に持ち、そう笑いかける吸血鬼に、セレスティは鼻を鳴らした。
「冗談でしょう」
 笑うセレスティに、椅子に座っていた吸血鬼は櫛を握り潰し、椅子の肘掛を叩き壊した。
「あなたはぁー。あなたは、一体何時までそんな………。僕はこんなにもあなたを愛しているのに。セレスティ様」
「迷惑ですよ、その愛は」
 さらりと切り捨てるセレスティに、吸血鬼は口を開き、しかしそれは声にならぬ声しか零せず、だけどすぐに彼は奥の手だ、という感じで微笑んだ。
「そんな事を仰ってもいいのですか? こちらには人質が居るのですよ?」
 指をぱちん、と鳴らすと、天井から檻が降りてくる。その中には武彦、零、唯、綾子が居た。唯は、どうやら意識が無いようだ。
 それを見据え、
 そしてセレスティはその瞳を吸血鬼に戻し、とても冷ややかな声を出す。
「キミは零嬢に約束をしたのではないのですか、何かを?」
「ええ、しましたよ。兄を、哀れな母を、助けてあげる、と。その気も無い嘘ですけどね」
 舌を出して笑うその吸血鬼の身体が大きく震えたのは、おそらくは背筋を何とも言えない悪寒が走ったからだろう。
「そ、そんな顔をしても駄目ですよ、セレスティ様。あ、あなたが悪いんだ。僕の愛を受け取らないから。それに草間武彦は我らが【黄泉】の第一抹殺対象だったんだ。だから僕は」
 しかしそんな事はもう、セレスティは聞いてはいない。
 ベッドから降りると、頬にかかる髪を耳の後ろに流して、冷たい表情を、吸血鬼に向ける。絶対零度の永久氷壁を削って作ったかのようなその美貌が示すのは、怒りだ。
「ああ、こんな気分は何時以来ぶりでしょうか? 今の私は、道端の名も無き枯れた花を手折るよりも尚、気軽な想いでキミの首を手折る事ができる。キミは少々悪ふざけが過ぎましたね。その事は、あの世の果てで反省なさい」
 吸血鬼は後ろに下がり続ける。その怒りに恐れをなして。
「は、あはははは。だ、ダメだぞ、セレスティ様。どんなに粋がろうが、あなたに刺した注射の液体は、あなたの能力を封じるウイルスなんだ。今のあなたはただの足が不自由な人間だ。僕にだってあなたは敵わないんだからな!」
 ありったけの矜持を振り絞って虚勢を張った吸血鬼に、しかしセレスティは、
「それが?」
 ただ首を傾げて、笑うばかり。さらりと揺れた前髪の下にある美貌の温度が変わる事は無い。
 吸血鬼は震える唇を閉じる事もできず、
「うわぁぁぁぁぁぁ――――――」
 恐怖に満ちた叫び声を迸らせて、炎の蛇をセレスティに放った。
 セレスティは能力を開放しようとする。
 しかしどうやら吸血鬼が叫んだ事は、本当だったようだ。
 能力を発動できない。
「セレスティさん」
 零が泣き叫んだ。
 その零に、しかしセレスティは優しく微笑む。
 転瞬、炎の蛇はセレスティのすぐ目の前で、氷へと変わった。
 そして彼は、その力の名を静かな声で紡ぐ。
「ウンディーネ」
 それは四大精霊がひとつ、水の精霊の名前だ。
 セレスティの前に浮かぶは、神隠しの狐の仮面。その仮面は隠しの神の力と、そして五大聖獣の加護を受けて、究極の兵器となっているのだ。
 狐の仮面が姿を変える。
 そこに現れたのは美しき水の精霊。
『マスター。オーダーを』
 無機質な声が響く。
「あれは私が倒します。私の中に流れる血液、赤血球が私の全身に運ぶウイルスを破壊しなさい」
『オーダーを確認いたしました、マスター』
 ウンディーネはセレスティに両手を向けて、そしてその姿が輝いたかと思えば、セレスティの全身がびくん、と震える。
「そ、そんな馬鹿な。何だ、その力は………」
「いえ、キミの敗因はウンディーネという私の新たな力を知らなかったからではありません。キミの敗因は私を、怒らせた事だ」
「あが、わ、あぁ…あ……あー」
 吸血鬼は檻に向けて、炎を放つが、しかしそこにはもう既に誰も居ない。
「ご苦労様です、まあや嬢」
「いえいえ」
 何時の間に? 
 人質たちはまあやによって助けられていた。
「うわぁ――――」
 吸血鬼は炎の蛇を放つが、
 しかし、
「水は確かに火で消えますが、しかし水は火を消す」
 炎の蛇はまるで哀れな仔鼠が丸呑みされるように水の蛇に飲み込まれ、消えた。
 そして吸血鬼は火の鞭をセレスティに放つ。
 その鞭をセレスティは水の鞭で打ち落とし、そうしてその鞭は縦横無尽に飛び交い、吸血鬼を打つ。
 左腕が、
 右腕が、
 右足が、
 左足が、
 鞭の一撃によって消し飛ぶ。
 そして、最後の一撃が、吸血鬼の首を消し飛ばした。
 最後に彼の言葉が空間に響く。
「ねぇ、セレスティ様。僕の名前………」
「知りませんよ。キミの名前なんて」
 セレスティは静かに瞼を閉じた。
 口元にぞっとするような美しい笑みを浮かべて。



【ラスト】


「綾子さん」
 零は口を両手で隠して、泣き叫んだ。
 しかし足の、手の先から灰へと変わっていく綾子本人は微笑んでいる。
「泣かないで、零ちゃん。おばさん、零ちゃんに感謝してるんだから。あなたが居たから私は、唯を殺さずに済んだ。ありがとう、零ちゃん」
 武彦は泣きついてきた零をぎゅっと抱きしめる。
 セレスティは手の平を天井へと向けた。そこに水の円盤が出来上がり、その水の円盤の上にウンディーネは右手の人差し指の先をあてる。
『マスター。記録準備完了です』
「ええ」
 セレスティは灰へと変わりかけている彼女を腕で抱き上げて、微笑む。
「声を、言葉を残しましょう。唯嬢に。あの娘が誕生日を迎える毎に贈る言葉を」
 零は祈る。
 神様、どうか綾子さんを助けてください。
 綾子さんの時間を永遠にしてください。
 綾子さんの言葉を…言いたい事を全部言えるまで………神様…………
 城には綾子の娘へのメッセージが響き、そしてやがて、最後のメッセージの途中で、彼女は消えてしまった。
 零は泣き叫び、
 そしてセレスティは手の平の上の彼女の灰をぎゅっと握り締めた。
「私はどうやら【黄泉】を全滅させなければ、気がすまないようだ」
 闇が、震えた。
 セレスティの心の奥底からの怒りに。


 【END】
 


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【1883 / セレスティ・カーニンガム / 男性 / 725歳 / 財閥総帥・占い師・水霊使い】


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■         ライター通信          ■
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 こんにちは、セレスティ・カーニンガムさま。
 いつもありがとうございます。
 このたび担当させていただいたライターの草摩一護です。


 今回はご依頼、ありがとうございました。^^



 やや、プレイングに実はそもそもこの交通事故でさえ、マスターヴァンパイアの仕掛けた罠だった、という事を案じさせる文章があって、ものすごく嬉しかったです。^^
 そう、その通り! という事で前回のお話、対黄泉戦2ラウンドという事で、このように書かせていただきました。
 いかがでしたか? 前回のお話は優しさ故にピンチ! という事でしたので、今回は圧倒的な強さで敵をぶち倒してもらいました。しかも変態吸血鬼。
 この吸血鬼さんはでも本当に過去に何があったのでしょうか? それはこの吸血鬼さんだけが知る一方的な想い出。運命の出会い。ストーカーとはそういう物ですよね。(^^;
 でもこういう敵を作ったのは、阿呆な敵に凄まじく切れたセレスティさんを書きたかったからなのですが、本当に書いていて楽しかったです。
 でも少し零には悪い事をしちゃったかな?
 優しさ故に切れたセレスティさん。たとえウンディーネがいなくっても、吸血鬼を倒していたでしょうね。^^



 それでは今回はこの辺で失礼させていただきますね。
 ご依頼、本当にありがとうございました。
 失礼します。