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<東京怪談・PCゲームノベル>


神の剣 異聞 Invisible Blade 4 回想 橘穂乃香編

 衣蒼未刀。彼との出会いは私にとって楽しくそして大切な時間だ。今でもハッキリと覚えている。
 出生が異なりや力のあり方、心のあり方ではなく、論理的に説明できないが、私たちは何か似ていた。
 元々、論理的に説明できるほど私は賢くない。が、これだけは自信持って言えるだろう。
 魂の友であり、兄弟だ。
 其れが何かは今でもわからない、柱であり抑止の座に付き、あらゆる危機を斬る刃になった今でも。
 私は未刀と共に過ごしたかけがえのない友人の事を一生忘れることはない。
 抑止の一、光刃の柱になっていようとも。

                               影斬・現世名 織田義明

 これは、織田義明はまだその“名”を持っていたときの手記か誰かに伝えた言葉である。
 短い時間だったか、それとも長い時間だったのか……。
 彼にとって、衣蒼未刀は未来永劫、心の友で、親友であり兄弟であると言ったのだ。

 彼のこの言葉を聞くか読むのは、かなり先の話。   
 あなたは、義明と未刀と共に過ごした一番の思い出を、残していく。
 それが、『何処か』に記されるだろう。
 彼らと友人としてか仲間としてか、それ以上の存在としてかを過ごしてきたのかを。 



〈橘穂乃香〉
 心安らぐ一時を与えし2人。
 少女は思う。
 強く優しく、そして寂しい人と。
 大事な人であるのは変わりなく。
 そのお礼を 思いを込めて作る。


――何が良いでしょうか?
 と、橘穂乃香は思った。
 幼いながらも色々な事件に関わる彼女は、あの2人にお礼をしたい気持ちでいっぱいなのだ。淡い恋心というのかそれは彼女にハッキリとした自覚はない。大切な人という漠然とした思いだ。女の子らしいお礼を考える穂乃香は、1つ思い立った。
 既に親は居ないが、愛しかった母親の部屋に入り、裁縫道具を持ち出す。
「何か作りましょう♪」
 と、可愛らしく意気込んでみる。
 裁縫箱には沢山の糸や針、ハサミがある。
「ぬいぐるみが良いですね。マスコットみたいな」
 ウンウンと頷く穂乃香。
|Д゚) ……
|Д゚*)
 後ろ姿に見とれているのは相変わらずの小麦色。いつの間にか居るというのはごく自然の事なのだが、御都合主義にも程があると言うべきか? そんな事より、穂乃香が少し秘密のお稽古を彼は見ているだけなのだろうか?

「穂乃香ずっと1人で引きこもっているな……何かあったのだろうか?」
 衣蒼未刀は心配している。
 過去の彼なら嫌われたとか何とかで、ションボリして何処かに消えるだろう。しかし、今の彼は違う。心も成長しているのだ。おおきな成長とはいかないだろうが、事あるごとに、自分の所為にしなくなっただけでも成長と言える。
「お年頃なんだろうね」
 平然と、紅茶を飲む織田義明。
「なんだよ? そのお年頃って?」
「なに、昔幼なじみの茜が同じような事をしていた。いつになく愛想が悪かったりとか拗ねていたりとか」
「むぅ?」
 未刀は首を傾げるばかりだ。
「体の調子でも悪いのかな? 見てくる」

 と、穂乃香の私室に向かってドアをノックする。
「え? だ、誰ですか?」
「俺だ。未刀だ。身体大丈夫なの?」
 穂乃香はドアを開ける。
「え? だ、大丈夫です♪ えっと、一寸着替えようと思いまして」
「え、ご、ごめん。……分かった」
 偉いタイミングにノックしたものだと、赤面する未刀。謝ってその場を去っていく。
 穂乃香が少し頬を染めているので余計に恥ずかしかった。

 ノックがして、誰だと思ったら未刀だった。
 慌てて、裁縫箱と裁縫の本を棚の中にしまって、適当に思いつく言い訳でなんとか退散させる穂乃香。
「ふぅ どうなる事かと」
 と、安堵の溜息をつく。
 その気持ちが植物に伝わっているのか、少し花々が笑っている。
「一寸ドキドキしますね」
 と、また裁縫箱と本をとりだした。
 棚の中には、毛玉が沢山ある。布も沢山あるのだった。
 それよりも、彼女は必死に本を読んで、針と格闘している。
「痛!」
 間違って針を指に刺してしまったようだ。
 穂乃香は裁縫をするのは全くのはじめてであり、それからマスコットを作り始めるというのは難しいものだ。時間の許す限りじっくりやってみたいのだが、そんな事ではあの2人に申し訳がない。其れに織田義明は未刀と違って“嘘を見破る”事に長けている。そうそう、言い訳や嘘で通せるものではないだろう。幼い少女であるが、感覚的に本能的に彼らの力を感じているのだ。
「さて、どうしよう」
 と、絆創膏を貼って、練習と実践を繰り返す。茶色の毛玉が転がってくるのに気が付く穂乃香は。
「?」
 穂乃香はぽむぽむと其れを触る。
 其れはびくりと動くので
「きゃ!」
 驚いた。
 またじっと見ていると。
 毛玉は勝手に動き出した。毛並みは良く、抱っこした時にあの柔らかく極上の毛皮を思い出す。あのフカフカである。
|Д゚)ノ ほのかー
 そう、毛玉の正体は小麦色なのだ。
「かわうそ? ちゃん!」
 小麦色を抱きしめる穂乃香。
|Д゚*)
 懐く小麦色。
「あのね、かわうそ? ちゃん。お裁縫教えて欲しいのだけど?」
|Д゚) おやすい御用
|Д゚*)

 暫く彼女は部屋に閉じこもる事が多くなった。
「病気なのかな?」
「それなら花が教えてくれる」
「心配じゃないのか?」
「……何大丈夫だ。そんなに心配する事でもないだろう」
 顔に出る未刀に、含み笑いする義明。
「穂乃香、どうしたんだろう?」
 ティータイムに穂乃香の指を見る未刀はとても不安になった。
 彼女の指が絆創膏だらけなのが痛い。何をしているのか分からない。聞いても、惚けられてかわされるのだ。かわうそ?も
|Д゚) 
 こんな顔つきで何も言わないのだ。

|Д゚) ここは、こうやって
「こうですね?」
|Д゚) うみ うみ
 と、個人授業は進む。
 どんどん目的のモノが出来上がる。



 とある日。
「あの、義明さんに未刀さん……」
「?」
 と、長谷神社での出来事。
 本日は稽古日故に来ているわけでさしたる問題はない。
「穂乃香ちゃん可愛い〜」
(穂乃香様、いつ見ても美しく可憐です)
 長谷茜が穂乃香を抱きしている事も実のところ不思議ではない。
 ――目には見えないが静香も穂乃香にメロメロであったりする。流石常花の姫君。

「妹にしたいよ〜」
 と、茜は穂乃香を抱きしめて放さない。彼女に出会ったらこの状態がいつも続く。
「あの、えっと……」
 と、そんな事はお構いなしに、穂乃香は話を続ける。
「コレを一生懸命作りました……お気に召したらいいのですが」
 と、ボロボロの指で紙包みを二つ取り出した。
「?」
「いつも助けて貰っているお礼です」
 穂乃香は包みを2人に差し出す。
「え? 俺に?」
「ふむ」
 2人は紙包みを受け取って、中を開ける。
「おお」
 未刀と義明は驚いた。
 少し歪だが、義明と未刀、穂乃香が一緒のマスコットキーホルダー。心がこもっているため其れは暖かく感じる。
「大事にするよ。穂乃香」
 義明が彼女の頭を撫でた。
「ありがとうございます♪ これからもずっと一緒にいてください」
 ニコリと笑う穂乃香。
「あーいいなー。モテモテだー。衣蒼君もよしちゃんも」
 茜が笑っている。

 長谷神社の天空剣道場。
 その屋根には、かわうそ?が丸くなって眠っていた。
|Д-) 穂乃香……ありがと
|Д-) Zzzz
 彼にも彼女からの贈り物があった。
 自分のマスコットだった

 平穏な日々。
 その平穏な日々の記念がそのマスコットなのだ。
 何時か離れる事があるだろうとしても、コレが絆を繋げるものだと確信して。


 其れは夢のような物語。
 常に花は咲き乱れる世界に姫が居る。


End

■登場人物
【0405 橘・穂乃香 10 女 「常花の館」の主】

【NPC 織田・義昭/影斬 18 男 天空剣士/装填抑止】
【NPC 衣蒼・未刀 17 男 妖怪退治屋(家業離反)】
【NPC 長谷・茜 18 女 学生・巫女・長谷家継承者】
【NPC 静香 ? 女 精霊】

【かわうそ? いつもの小麦色】

■ライター通信
 滝照直樹です。
 『神の剣 異聞 Invisible Blade 4 回想』に参加して下さりありがとうございます。
|Д゚)b 乙女チック!
|Д゚) 穂乃香、乙女だけど
|Д゚) どこぞのハリセン娘とは、大……
(ぱこーん)
(ノД`)・゚・。 いやー
茜「4話参加ありがとう♪ もう抱きしめたくなるぐらい可愛い♪ っと、参加記念品として粗品があります〜」

|Д゚*) かわいいの

 小麦色とハリセン娘がなにやら漫才(?)しておりますが、記念アイテム『穂乃香の鞄』をどうぞ。心おきなく「青薔薇さん」を持ち運べます。
 では、またの機会に。