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神の剣 異聞 古本屋の姉妹 ２ 追いかけっこ
文月堂は、虫干しと棚卸しを始める時期になった。
その日は臨時休業となる。
ひょんな事から知り合いになった織田義明と文月堂の佐伯姉妹。
|Дﾟ) ←でもって謎の小麦色
「お願いできるかしら？」
「？ いいよ」
と、力仕事になるので、何だかんだとかり出された織田義明。
「これは多いなぁ」
と、小麦色と一緒に本を運び出す。
何だかんだと言って、この文月堂には謎の書物が多い。
そろそろ冬支度。大掃除と考えれば其れにこした事はない。
その時、一冊の封印が解けた書物を見つける小麦色。
|Дﾟ) うわさのうさみみ本？
「あら？ 残っていたのかしら？」
「何々？」
「姉さん、これ表紙が違いますね……」
前に『人中魔妖』によりうさみみ騒動が起こったために何かと開けるのに抵抗がある。
「『人中魔妖』の何バージョンなんだろう？」
「下手に読むと……呪いでけもの耳に」
|Дﾟ) もう遅いかも……
「え？」
と、３人は小麦色を見ると
かわうそ？の耳が無くなり、かわりに狐の耳が生えていた。
「私たちだい……良かった」
急いで、佐伯姉妹は耳を確認するが何ともない。
「『人中魔妖』の狐版？ ……って遊ぶな」
首を傾げる義明。
小麦色から玩具の狐耳を外す。
「もう！ 驚かさないで！」
|Дﾟ) そーりー
しかし……
「きゃあ！」
紗霧が驚いて義明に抱きついてしまった。
|Дﾟ) ！
「どうしたの？」
棚の隅の方で……
怪しい妖気を隠して逃げる狐をみつけたのだ……。
「やばい感じがするね……」
結構落ち着いて“見る”義明。
「はやく封印しないと！」
隆美は急いで本を持って、追いかける。
義明は紗霧に抱きつかれたままなので動けない。
「此処も楽しいことが起きるんだね」
「いつもじゃないですけど……あ！ ごめんなさい！」
と、急いで紗霧が離れる。
「いや驚いたら其れは仕方ないことだよ」
にっこり笑う義明。
「お、追いかけましょう」
「そうだね」
と、２人は隆美の後を追った。
|Дﾟ) ……
かわうそ？はお留守番のようだ。
さて、どうなることだろう？
〈本は鬼門なのか？〉
黒崎狼です 近頃、運気下降中の黒崎狼です。
俺はいま狐を追っているとです。
理由は何にもない。あるとしては知能の低い獣の分際で俺様を踏み台にしたぐらいだ。いや、考えれば考えるほど数が多くなるので考えない。
とにかくだ。俺は夏に文月堂で姉妹に出会った。そして義明と。それはよい。しかしあの時の本騒ぎは何とも言いようがない。しかし、文月堂には罪はないよ、な。
義明と愉快な仲間達が言うには、
「力を持つ者は惹かれ合う」
とか、俺もそんな宿命を持っているんだろうかと。
確かに、俺は死を司る獣だ。うん。しかし、このとこと義明に絡むとシリアスにはなってないような気がする。
話がそれたか。
先日は偶々なのだろうと、思い、文月堂に寄ってみた。
「ごめんください〜。臨時休業？」
しかし、
「人中妖魔の狐版？」
とか、物騒な事を言っているじゃないですか？
「きゃあ！」
あ、佐伯妹さんが義明に抱きついた。役得じゃないかあいつ。
しかし、俺の目の前に（実は結構離れているんだけど）、狐が居る。
如何にも“狐”薄い橙色の毛皮。つぶらな瞳。生物学的には哺乳類肉食目イヌ科キツネ属キツネ西か見えない。
其れがこっちに寄ってくる。否、逃げようとする。
「早く捕まえないと」
佐伯お姉さんが本を持って狐を追いかける。
シークタイム０．１秒 俺が捕まえればこの事件は此処で終わる！
|Дﾟ) あ、狼
「狼！ 侮るな！ 其れは厄介だぞ！」
「へ？」
おい、助言ッてものはタイミングが居るって！
紗霧ちゃんに抱きつかれたままの対応其れは見事としか言いようがないが、俺は捕まえようとして……、 狐に頭を踏み台にされて飛び越えられてしまった！
「この野郎！ すばしっこい奴め！」
追いかけようとする俺なのだが、皆の反応がおかしい。
どうしたんだろう？
「あ、く、黒崎さん……か、かわいい」
「ご、ごめんなさい……あまりにも……」
|Дﾟ) おーかわいい
佐伯さん達もそこのナマモノも、なんと笑い出す。
何がおかしいのか！
|Дﾟ) 鏡、みる
鏡を持ってきてくれたのは良いが、何故から出してきたんだその姿見。
「！？」
俺は驚愕した。
狐耳に尻尾が生えているじゃないか！
「『人中妖魔』という、人に獣耳をつける呪いの本なのよ。呪いと言ってもしっかり、使い方さえ間違わなければ……」
笑いを堪えて佐伯姉さんが説明してくれる
|Дﾟ) お得なコスプレ様ギミックになる
「そんなものいらない！ 捕まえるぞ！」
と、俺はそのまま駆けだしたのだった。
「面白い人ですね」
「ああ、いろんな意味で。見てて飽きないよ」
と、紗霧ちゃんは未だ義明に抱きついたままだったようだ。
よほど俺の狐耳狐尻尾姿に……いやそういうことだ？
これをつけていても恥ずかしいだけで俺の身体能力は別に章はないようだ。そのあとからお姉さんが追ってくる。隆美お姉さんはリーディングをつかった関節的接触によるテレパスが可能らしい。其れに併用して封印も可能とか。今回は単に本に御閉じこめ直せば住む事なのだろう。
やっと、離れたのか義明もやって来ているが、流石神格を使いこなせるほどになった奴だ。あっという間に俺に追いついた。
「そこか分かるか？」
「匂いはあっち行っている」
「アレを挟み撃ちします。隆美さんは其の後に」
「あ、はい」
と、２人で追いかける。
「この呪いは解けるのか？」
と、訊いてみる。実際扱っている隆美さん達に訊いた方がいいのだけど。
「付与というか変成とおもうからなぁ。封印できれば勝手に解けるかも」
走りながら義明は考えた。
「今思いっきり俺が君を殴れば解ける」
「天空剣で解くつもりか！ それならあの狐自体を始末しろ！」
「えー可愛いから封印だけで良いじゃないか」
何を考えているんだコイツは！
あんな厄介なもん放置か！？ 封印だけで済ますのか！？
いやまて。むやみやたらに力を使いたくないんだ。うむ。なら……
「封印した後に普通に解呪して貰う……」
「その方が正解だ」
「殴って解呪って乱暴よね……」
隆美姉さんナイス。
「俺の技って壊して何かするものだから……そんなに器用じゃないんだ」
義明が苦笑している。
まあ、暴走仕掛けのあの力を此処まで制御できるので一生懸命だったのだろう。俺も元々そう言う力を持つ存在だからな……。
はて？ たしか紗霧さんは微妙な気配はするけど……彼女もなにかの力のある存在だったのだろうか？
あの狐野郎は、稲荷神社で眠りこけていやがった。俺の気配を感じる力で素早く察知、義明の身体能力で先回りし常備持っている結界符などでアレを留めて、隆美お姉さんに封印して完了という事になった。
しかし、俺はこの後恥ずかしい事が……
「呪いが解けるには数日ぐらいかかるみたい……」
と、何となく死刑宣告……
そんな失意の中でも、俺は義明と美人姉妹とで虫干しと大掃除をするのでした。
「何か付いてない……」
溜息をつく、俺。
|Дﾟ) 付いていないのは元から
「小麦色ぉ！」
|Дﾟ)ﾉ きゃー
こんな事もありながら結構楽しくやっている。
「うーんこの本はここで……」
と、隆美さんがハシゴに登って本を閉まっている。俺はその下のクソ重たい本を持ち運んでおいた。
「これでいいのか？」
「は、それで、いい……きゃぁ！」
脚立が揺れて……いや……折れた！？
ボロかったのかこのハシゴ！
「あぶない！」
と、本がどうなっても言い大けがしたら大変だ。
と、俺は咄嗟に彼女を抱き留めた。
「お姉ちゃん！？ あ……」
「狼……格好いいなぁ」
俺は所謂お姫様抱っこで、隆美お姉さんを抱いていたのだった。
「あ、そのこれ……」
「た、助けてくれてありがとう」
と、一寸ぎこちなくなる俺。
「け、怪我、な、無くて良かった」
と、ゆっくり彼女を下ろした。
多分俺の顔は顔面真っ赤っかだろう。
もちろん狐耳などの呪いは解けたので問題ない。問題ないけどトラウマになりそうだ……。
と、お人好しというか俺の性格に問題あるのかなぁとか思いながら今日は文月堂で過ぎていったのだ。
|Дﾟ) 平和だ
「かわうそ？ 何となくお前が言うと、全て其れで終わりそうで怖い」
|Дﾟ) ふみゅ……
２話終わり
■登場人物
【1614 黒崎・狼 16 男 流浪の少年（『逸品堂』の居候）】
【NPC 織田・義昭／影斬 18 男 学生・天空剣師範代】
【NPC 佐伯・隆美 19 女 大学生・古本屋のバイト】
【NPC 佐伯・紗霧 16 女 高校生】
【NPC かわうそ？ かわうそ？】
■ライター通信
滝照直樹です。
『神の剣 異聞 古本屋の姉妹』に参加して下さりありがとうございます。
一寸趣向を変えまして、一人称で書いてみましたが如何でしたでしょうか？。
役得らしいものを盛り込んでみたり笑い（？）のイベントを書いてみたりしましたが、如何でしたでしょうか？
また、機会が有れば宜しくお願いします。
滝照直樹拝
20051124著
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