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<東京怪談ノベル(シングル)>


決戦のクリスマス【死闘編】

聖夜。其れは恋人達にとっては仲深まる日。
子供達にとっては、夢とプレゼントが貰える日。
親にとっては出費が嵩む日である。

「嬉璃殿!起きるのじゃ!決戦は日々近づいておるぞおぉぉ!」

…訳の分からない言葉が中を舞う。
小さなその子は寝ている子…嬉璃の真上にズトンッと落ちる。
げほっ!と咳き込む声が聞こえなかった訳ではないのだが、退く事もないようだ。

「おんしは何をやってるのぢゃ!?退け、退くのぢゃ!!」

「嬉璃殿、決戦の日をよもや忘れたとは言わせないのじゃ!」

「まさか、今年も行くのか!?」

「そうじゃ!この季節、子供達を恐怖と絶望のズンドコに陥れる…彼奴らのチーム名は悪名高き『サタン苦露主』!世界中の子供達の敵を叩きにいくのじゃ!」

「……?」

「子供達のプレゼントを守る為に戦うのじゃ!」

「…おんし、まさか…自分も…?」

「うむ、分かっておるようじゃな!それじゃあさっさと行くのじゃ!」

「いやぢゃあぁぁぁぁぁぁぁ!」

夜空に響く断末魔。
謎のアフロ……源により拉致される嬉璃の悲鳴であった。
そして、源曰く「バイク」と称された子供用自転車で夜の街を徘徊する。
辺りはもう寒い。そりゃもう冬だし。ていうか真夜中だし。

「で?今年の相手は何処の誰なのぢゃ?」

「ふっふっふ……今年は何を隠そうアフロ対決なのじゃ!」

「…アフロぉ?」

「そうじゃ!まずは餌をまかねばなるまいじゃろう!!」

取り出されたのはフライドポテト。
しかも某ファーストフードの。
……今年もやっぱり戦うのか。アレと同じような奴と……。
嬉璃は嫌な予感がするのである。

「さぁ釣れるがよいのじゃ!憎きサタン苦露主!」

ポテトを放り投げる源。
そして、其処に現れたのは……。

ポテトを空中キャッチする人影が月夜に浮かんだ。
そして月の光に照らし出された人物。
アフロ。そしてでかい唇がモロ変態チックをかもし出している。

「見つけたぞ、サタン苦露主!ここで会ったが四年目じゃ!」

「三年目でいいと思うのぢゃ」

「そうともいうのじゃ!」

やけに冷静な二人。
そして放置されているアフロ男はムキーと手足をじたばたしているようである。
…喋れないのか、コイツは。

「しかしおかしいのぅ。喋れないサタン苦露主なんて知らないのじゃ」

「新しい隊員とかそういうのではないのかのぅ?」

「それだったら情報はちゃんと入ってくるはずなのぢゃ」

どういう情報網をしているのだろう?まさかコイツと同じ思考を持った者が?
…考えるのもイヤになっちゃった嬉璃は首を横に振る。

「えぇい!人をバカにするのもいい加減にしろぃ!」

「おぉ、喋ったぞ、嬉璃殿!」

「おんし、アレが喋らないと本気で思っておったのか?」

「や、だって喋らなかったしのぅ?」

「えぇい!食べ物を粗末にする奴は怒奈瑠様のパワーで何とかしちまうぞ!」

………。
沈黙が流れる。
いや、アフロだし。パワーだし。
子供二人驚くのも無理はないというか。

しかし。
ここで源が注目した所は。
そんな所ではなかった。

「むむぅっ!よく見れば立派なアフロじゃ……!そうか、源とアフロ対決をしようと言うのじゃな!?心得た!この女、本郷・源が…!」

「何か違う気がするのは気のせいかのぅ…?」

もう落ち着いてしまっている嬉璃。
源の暴走を止める事なんてしない。
だってもう慣れちゃったんだもん☆

「よぉぉぉし、勝負なのじゃあぁぁぁぁぁ!」

「ばっちこおぉぉぉぉい!」

「これはもう止まらんのぢゃ……」

こうして、アフロ二人の戦いは早朝まで続けられ
子供達はプレゼントを貰い喜んでいたのであった。

そして、源と嬉璃は夜更かしがたたり
プレゼントの事などそっちのけでグースカと眠るのであった…。



ライターより。

初めまして。そして発注ありがとうございました。
へっぽこぴーライターの神無月鎌と申します。
今回は私を大抜擢して頂き、ありがとうございました。

確かに私、ネタ大好きなのでございますが
こんなネタでいいのかとか
こんなふざけていいのだろうかとか。

そして、キャラちゃんと書けてるかどうかとか
凄い不安なのでございます…(汗)

しかし、私としてはとても楽しく書けました。
またお会い出来る日を楽しみにしております。

今回は本当にありがとうございました。