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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


CHANGE MYSELF!〜同人姉弟、会場ジャック!〜


 断崖にそびえ立つ古城……ここがアカデミー日本支部の拠点となる場所である。今日も『職員室』では教師たちが熱心に仕事をこなす。風宮 紫苑は優雅に万年筆なぞを使って書類を作成していた。いかにも彼らしいチョイスだ。作業に無駄がないのでたくさんの仕事をテキパキと片付けていく。教師を束ねる異能力者としてこれ以上の人間がいるだろうか。彼は青い髪をわずかに揺らし、姿勢を正して書類に目を通していた。
 ところが紫苑とは対照的な人物が部屋の片隅でパソコンを相手に格闘していた。メビウスである。稀有な能力を持つ彼は、紫苑と同じくらいアカデミーでは大切にされている。だからこそ教師をしているのだが、本人はデスクワークというものが肌に合わないらしい。慣れない手つきで何度も何度も報告書の文章を打ち直すが、どうしても納得がいかずに何度も首を傾げる。ここでの彼は教師との会議や能力者の指導の時とはまるで別人だ。必ず大きな会社にひとりくらいはいそうなタイプの人間と化してしまっている。そんな時、メビウスは決まって紫苑の姿を見て嘆息するのだ。ああ、俺もあんなに優雅に書類を片付けたい……この時ばかりはさすがのメビウスも人並みの夢を見るのであった。
 教師の仕事の能率が上がらないのを見かねたのか、隣の部屋からフリルのついたメイド服風の魔女っ子衣装に身を包んだ紫の髪の少女がメビウスの近くにとたとた走ってくる。そして手にしたハート型のステッキを思いっきり振り上げると彼の脳天を軽く叩く。被弾箇所からは金色の星がいくつか飛び、それはキラキラと瞬きながら消えた。傍目から見るとまるでマンガのようなシーンだがダメージはそれなりにあるらしい。メビウスは苦悶の表情を浮かべつつとっさに少女を睨む。

 「痛てっ! 痛ってーなぁ! あんた、今度のそれ痛いって!」
 「ブレザーキュートがね〜、聖徒変身セイントブレザーになった時に使う武器なの〜♪」

 すでにお気づきだと思うが、この少女は教頭を務めるレディ・ローズである。普段はこの14歳の姿で生活しており、年相応の人格で教師たちと接する。中世ヨーロッパから現在まで悠久の時を生きる彼女の今の趣味は……なんと魔女っ子が出るマンガやアニメを見て、見事なまでに感化され、おもちゃやグッズを買い漁りに行くことなのだ。この姿だけ見れば、誰も史上最強の魔女とは思わないだろう。いや、思うはずがない。誰もが耳を疑うはずだ。そんな彼女の絶好の遊び相手がメビウスなのである。紫苑からすれば、この光景は普段と変わりない日常の1コマに過ぎないのだ。

 「あんたさ。自分で本物そっくりなの作れるのに、なんでわざわざおもちゃを買うの?」
 「番組の効果音が忠実に再現されてるからー。」
 「完全に業者の罠に引っかかってるんじゃねーかよ。ったくもう、困った魔女だぜ……って、あ。そういえばちょっと前にあんたが指導して異能力を覚醒させた姉弟がいたな。それって、そいつらが具現化させたアイテムなの?」
 「ああ、千春ちゃんと武史くんね。その時はブレザーミスティーの変身ペンダントを作ってもらったっきりだけど?」
 「も、もしかして、その後の面倒も見ずに連中ほったらかしにしたんじゃねーだろうな? 俺は連絡通知とかは一切見てないぞ?」
 「…………………………」

 魔女っ子は困った表情を見せながら手をもじもじさせた。どうやらメビウスの思ったとおりらしい。彼は邪魔くさそうに頭を掻いた。教頭が適当なことをしでかした後はだいたい大変なことが起こってしまうというのが『お約束』なのだ。何か悪いことが起きなければいいが……彼は紫苑に声をかけ、姉弟に連絡をつけることにした。


 ところが、すでに事態は深刻なものになってしまっていた。姉弟は自分に秘められた能力を自覚し、その力の操作に自信を持ったふたりは大規模な同人誌即売会で有名な『ファランクス・ウインターライブ』の会場を乗っ取ってしまったのだ。理由は『年に数回しかないお祭りを終わらせるのはもったいないから』だそうで、会場内のサークル参加者の大多数がその意見に賛同しており、集団会場ジャックへと発展してしまっているらしい。警察もこれだけ大規模な立てこもり事件は初めてで、誰にどう説得すればいいのやら頭を悩ませているという。現在、「家に帰る」という目的のある参加者の保護を優先的に行い、情報を提供してもらっている状態にあるそうだ。

 ここまでの情報を仏頂面をした紫苑から受け取ったメビウスは、教頭に容赦なく罵声を浴びせる。

 「ほら見たことか! もうえらいことになってんじゃねーか! だから常日頃からてめぇの趣味で異能力者を作るなって言ってんだ!」
 「でもぉ〜、最近は誰も私と一緒にテレビ見てくれないんだも〜ん。その間はさ、あのふたりが話し相手になってくれたしー。」
 「いい年こいて駄々こねるんじゃねぇ! 世間様に迷惑がかかってるんだ、警察が強行突入する前に事件をまとめないと面倒なんだよ!」
 「あ、かなり厄介な能力だと思うから、あのふたりなら機動隊も倒すかもね♪」
 「その時は無理やりてめぇ操って、会場に連環の儀式で風穴開けてやっからな! 覚えとけ!」

 メビウスはふたりのデータをパソコンで検索し、じっくりと眺めているうちにどんどん顔が青ざめていく……これは確かに厄介な能力だ。少なくとも自分だけでは対処できない。彼はとっさに机に備え付けてある電話の受話器を取った。とりあえず今は応援が必要だ。この騒ぎを収める人間がひとりでも多く欲しい。彼はそう思った。
 しかしそんな危機感とは裏腹に、会場内の空気がだんだんホットになっていた。今は午後5時。長い夜が、今始まる。


 年の瀬の天薙神社はやがて来る新しい年を迎える準備に追われていた。珍しく一日を武道の稽古なしで過ごす天薙 撫子は、家族の者と交代で夕食を取っている最中だった。その時にテレビで報道していたのが例の乗っ取り事件である。こういった文化に慣れ親しんでいない撫子は会場ジャックまではなんとか理解するも、それ以上は何が何やらよくわからない。レポーターの口から専門用語らしき言葉がいくつか飛び交う中継をなんとなく見ていると、近くに置いてある黒電話がけたたましく鳴り響いた。撫子はお茶で食べ物を飲み込むと、電話の前まで一度歩き、受話器を取ってから座る。電話の向こうは聞き慣れた男性の声で、なぜかものすごく申し訳なさそうだった。もちろんその電話の主はメビウスで、その内容はもちろん会場ジャックの話である。撫子は残った方の手で頭を押えながら、一応はすべての用件を聞いた。そして今回も快く協力することも引き受けたが、彼女にしては珍しく『ある条件』を提示したのだ。いつものアカデミーなら絶対に飲まない過激な内容だったが、メビウスはそれをあっさりと飲んだ。その返事を何度も確認してから、撫子は本題に入る。

 「メビウス様、その姉弟の持つ能力は会場内では最強ということですね。」
 『例えば普通の街中だったら、あいつら大して強くないんだよ。こっちでも処理できたと思う。ただあそこだとなぁ〜。』
 「ふたりが苦手としているものや嫌いなものはありますの?」
 『好きなもんばっかだそうだ、ローズちゃんによればな。俺もお前と一緒であんまりこの手の話はよくわかんねぇんだ。紫苑なんかさっさから俺たちを避けて通るんだよ。アカデミーの中でもかなり困ってるんだ。』
 「とりあえず今から準備して会場に向かいます。このお時間なら電車で行っても大丈夫でしょう。」
 『ホントに悪い。あ、ちゃんと「ご希望の品」を用意しとくから。あー、助かった。とりあえずメドは立ったぞー。』

 今から戦地に赴く撫子はなぜかものすごくガッカリした。すでに話の半分が理解できない状況でありながら、ほとんど協力者が現地にいないこの事実。撫子はいつか他流試合に赴いた時のことを思い出しながら着々と準備を整える。寒空の下で戦うことになるかもしれないので一枚多めに羽織り、家の者には外出する理由を詳しく言わずに出発した。もちろん撫子は敢えて理由を言わなかったのではない。いくら自分で分析しても理解できないからはっきりしたことが言えなかったのだ。彼女の苦悩はこの後もずっと続くことになる。


 無理やりライトアップされた会場を一望できる高層ビルの上で、マントを羽織った男がひとり静かに立っていた。両脇には楽に人間ひとり入るサイズのトランクをひとつずつ抱え、眼下で繰り広げられる予想外の出来事に驚きの表情を隠せない。だが少しは状況を把握しているからか、なぜか彼の声は踊っていた。

 「なんでこんな大きなことになったのでしょうかねぇ。ま、私にとっては好都合ですが。これだけの事件となれば、中で何が起こっても大丈夫でしょう。さて、お眼鏡にかなう人がたくさんいるといいんですが……」

 長身の男性はひらりと舞うと、その場から手品のように消えた。ああ田中 裕介よ、どこへ行く。今日もトランクの中身はメイド服だらけ。


 会場の外から見ると立派な大事件なのだが、中にいる人間にしてみれば他愛のないことだったらしい。若干のお客さんを除いて、何事もなかったかのように同人誌即売会は続けられていた。実は犯人の姉弟が外部の情報をシャットアウトしていたのだ。さらに運営本部の中にもふたりの訴えに同調する人間が複数名おり、結果的には手を貸した格好になった。さっきの場内アナウンスでは「予定外のことではございますが、同人誌即売会はこのままオールナイトで行います」との連絡があり、会場に集った猛者たちは気勢を上げる。そんな中に混じって婦警の制服のコスをしたお姉さんもしっかり喜んでいた。
 実はこの女性、コスプレイヤーではない。本当に婦警なのだ。警視庁超常現象対策本部でオペレーターをしている巡査の不動 望子がいつもの制服を着て、堂々とやおい本とデジタル画像を売り込んでいた。予想外の時間延長も手伝い、彼女の商品はずいぶんと在庫が少なくなっている。いつまでも客の流れが切れない即売会は望子どころか誰も経験したことがなく、誰もが大喜びする一方で常に大きな不安を抱えていた。実は致命的なことなのだ。このままオールナイトでイベントをやっても、いずれはどのサークルも在庫切れになってしまうのだ。ところが望子はすでに次の手を打っていた。売り物がなくなったらコスプレイヤーとして参加すればいい。ちゃんと警察手帳は持ってきてある。さっきもスタッフに「さすがにリアルな婦警のコスはちょっと……」と止められたが、本物であることを証明するために使った。「非常事態で徹夜したまま会場に来ちゃった♪」と笑顔ですべてを済ませた望子を突き動かすのは、紛れも穢れもない腐女子の魂。婦警のコスプレがしたくて警官になった人間はその念願を叶え、それをじっくり謳歌しているのであった。
 販売ブースの裏では従姉に売り子として狩り出された不動兄弟の弟である尊が、不思議そうな顔をしてデジタル画集の裏表紙を見ていた。なんでも今回のネタはアカデミーなる秘密結社の幹部をモデル……というかそのまんま使っているらしい。帯の部分に堂々と『メビ○ス×紫○』と書いてあるが、購入した人がその事実を知ることがあるのだろうか。それ以前に本人たちはダシに使われているのを知っているのだろうか。尊はその辺が心配だった。だいたいここで売り子していること自体、不安でいっぱいなのに。こういう場所での対応は兄の方が向いているのだが、なんでも『山羊戦隊テラレンジャー』のコスプレで売り子どころではないとのお返事があった。そこで尊の出番となったわけだ。在庫の数を把握しながら商品の販売をする以外は基本的には暇で、時折遠く離れたところにある窓を見て「ずいぶんと暗くなったな」と何気なくつぶやく。どうやら彼は場に酔わないタイプらしく、冷静に今の状況を分析していた。

 「望子姉さん、そろそろ来る頃だと思うよ。」
 「えっ、誰が?」

 尊がそう言うと、絶妙のタイミングで会場の警備員が申し訳なさそうな顔をしながら彼女の前にやってきた。その服装から察するに、どうやら現場指揮をしているお偉いさんのようだ。彼の口から「会場乗っ取り事件に関する協力要請」なる言葉が出てきた。こうなると一般客でいられなくなるのが警官の困ったところ。望子は『まだまだ遊び足りないんです〜』という言葉を飲み込み、しぶしぶ尊にブースの片付けを頼んで警備員室へと向かうことにした。長机の下に隠してあったダンボールを椅子の上に置き、尊はこっそり小さな溜め息をつく。そして『もう少しで家に帰れそうだ』と少し安心した。


 裕介は会場に忍び込むとさっそくコスプレに興じている女性をチェックし始める。ある時は客に混じって、ある時は死角からじっくりと観察。そして思ったよりも会場の空気が荒れていないことをこれ幸いにと、コスプレイヤーと大勢の一般参加者から離れている女性から狙うことにした。今の時間ならカメラ小僧から離れて休憩したい女の子たちがたくさんいるはずだ。また男の子キャラになって楽しむ娘も多く、思わず裕介が首を振った。似合わない。彼女にはメイド服こそよく似合う。そんな素振りだった。

 「じゃ、おめかししましょうね……ふふふ。」

 闘気術による高速歩行で女の子たちに近づき、そのままシーツをかぶせてすさまじい早さで複数人を同時に着替えさせる。誰ひとりとして着替えさせられているということを知らぬまま、あっという間にメイド服姿に変身させられてしまった。ご丁寧にも足元にはさっきまで着ていたコスプレ衣装が店に飾るがごとく畳まれていた。もちろんエチケットで下着は服と服の間に隠してある。そう、裕介は下着までも着替えさせていたのだ!

 「きゃあーっ! さっきまでテラレンジャーの変身前コスだったのに、なんでメイドさんになってるの?!」
 「こ、この辺みーんなメイドさんになってるよ……え、なんでなんで?」

 この騒ぎを近くで聞いていたカメラ小僧がその場に飛んでいき、いつものセリフを飛ばした。

 「おーーーっと、シャッターチャンスぅ! すみません、こっちに目線下さ〜〜〜い!」
 「できればポーズもお願いしますっ!」
 「でも……あれ? あんなところにメイドさんなんていたっけ?」
 「えっ、突然言われても……でもこんな感じでいいのかな??」

 さすがコスプレイヤーは違う。さっきまで着ていた服を物陰にさっと隠してポーズをつけ、カメラ小僧たちの注文に応える。すると瞬く間にフラッシュの嵐が彼女たちを襲った。寒風を熱風に変える力強さを感じながら、裕介は変身した彼女たちを見て満足した。その隙に別の女の子たちに狙いを定め、彼は再び高速で歩き出す。騒がしくなった方が何かとやりやすいのだ。こんな調子で活動するものだから、この一角にはなぜかたくさんのメイドさんが立ち並ぶこととなった。裕介も何十人単位のかわいいメイドさんを見て、思わずうっとりしてしまったほどである。尊の予想とは裏腹に『ファランクス・ウインターライブ』はまだまだ終わりそうにもないらしい。


 その頃、テレビニュースにかぶりつきのメビウスは状況がまったく進展しないことに苛立っていた。彼がそうなるのも無理はない。連絡がついたのは撫子以外に誰もいなかったからだ。年の瀬間近だったせいか、海外に出た家族やデート中のカップル、帰省中の学生たちがすでに東京を離れてしまっていた。明らかに人数が足らない……そんな心配をしている時、メビウスのケータイが鳴った。彼は冬のボーナスで買ったテレビカメラ機能付きのケータイを開くと、そこには小さなブレザーを着たかわいらしい女の子が映し出された。メビウスの後ろではじーっとローズちゃんがその様子を伺っている。

 「あれ、お前……もしかしてえるもか?」
 『もしもし、えるもなの。かのせえるもなの。よしつねちゃん、おうとうしてくださいなの。』
 「バッチリ本名覚えやがって、しょうがねぇガ」
 「あーーーっ、えるもちゃんがブレザーキュートの変身前やってるーっ♪」

 過敏な反応を示したレディ・ローズちゃんにいかずちのようなゲンコツをおみまいするメビウス。頭をやられたからか、ローズちゃんはコスプレしたまま白目を剥いて倒れる。

 「おめー、ちょっとは黙ってろ! ってえるも、そこってまさか……」
 『うんなの。おかーさんが「あそびにいけばいいわよ」って、ここでごほんをかってたの。おもしろいごほんなの。』
 「やっぱりファランクス・ウインターライブの会場だ! でかしたえるも、電源切るなよ! そのまま犯人探しに協力してくれ!」
 『おかーさんが「じゃのみちはへび」っていってたの。「ふできなせいとさんをつかまえなさい」っていわれてるの。』
 「お前の母君はスパルタ教育がお好きなようだな。同情するぜ。」
 『えるもがんばるの!』

 メビウスが「いい奴だなぁ、お前ぇ〜!」と感動の涙を流していると、画面に意外な人物が映った。それはさっきまで足元に倒れていたはずのローズちゃんだった。思わず景気よくズッコケる義経ちゃん。よく見るとえるものコスプレに似た形のブレザーを着ている。とりあえずメビウスは彼女に説明を求めた。

 「おめー、なんでそっちに行ってんだよ!」
 『えるもちゃんと一緒に遊ぶの〜っ! えるもちゃんはブレザーキュートの変身前なら〜、私はブレザーミスティーの変身前で遊ぶー!』
 「二人目の制服戦士ね……そういや、いたねぇ。じゃあ教頭さん、現場指揮は頼んだから。こっちも紫苑に協力してもらってえるもが送信する画像をパソコンで見れるようにがんばるから。」
 『がんばろーね、えるもちゃん!』
 『うんなの、ろーずちゃん。』

 後で何があるかも知らないでのこのこと会場に出向きやがって……メビウスと紫苑は不気味な笑みを浮かべつつ、パソコンのセッティングを始めた。別に現場指揮は教頭がするんだし、動画もケータイがあればいいのだからそれだけで十分な対応ができるはずなのだ。なのに彼らはわざわざ「パソコンを使う」と言った。実はこれには重大な理由が隠されていた。彼らはすでに事件解決は当たり前のこととして受け止めていた。ところがもっと面白いことが事件解決後に待っていることをふたりは知っている。
 ちなみになぜ紫苑がそのことを知っているかというと、メビウスが撫子に電話しているのをこっそり盗み聞きしていたからである。実は電話の内容を複数人が聞くことは教師の間ではよくやることで、手が空いている時はもうひとりが内容確認のために受話器を取って話を盗み聞きするのだ。今回、紫苑がそれをやっていた。だから知ってるのだ。ふたりは今までに見せたことのない表情を保ったまま、メビウスはいそいそと記憶媒体を準備し始めた。何かを録画しようとしているようだが、いったい何が起こるというのだろうか?


 本物の婦警である望子が行くところ、客の誰もがざわめく。当たり前だ。ここまで精巧な作りの制服は売るどころか作ることすらできない。だいたいそんなことをしたら逮捕されてしまう。警備員はこの場は黙って彼女を監視カメラのある制御室へと導こうとうつむき加減でこの場を通り過ぎようとする。しかしその行動が火に油を注ぐ結果を招いた。風船のように膨らむ不安はいつ爆発してもおかしくはない。そこで望子はおもむろにサークル参加証を入れたネックホルダーを身につけた。ただそれだけなのに、なぜか張り詰めた空気が一気に冷めていく……さすがの警備員もこの温度変化には驚いた。

 「な、なんでですか……こりゃいったい?!」
 「ビンゴ。本当の反対の反対は、本当なのだ。さ、早く行きましょ。」

 望子に背中を押された警備員は訳もわからぬままどんどん前へ歩かされる。実はこれも彼女の計算だった。滑稽なことをすればするほど、この場では普通に見られるからである。こんな制服を着たふたりが仏頂面して歩けば、どんなところでも警戒されるに決まっている。だから敢えてここはおちゃらけて走ることで不自然さをごまかそうとしたのだ。そしてどちらかがサークル参加証をかけていれば、少なくとも彼女を本物の婦警だとは思わない。スタッフ対応とまったく逆の行動でこの難局を乗り越えた望子は職場以上のテレビが設置されているであろう制御室へと向かった。
 中には会場の責任者やスタッフなど数人が厳重な鍵をかけて待っていた。今度は警察手帳を用意すると、それをひとりひとりに見せて本物の婦警であることを納得してもらう。今度はおちゃらけではなく信用が重要だ。そして望子は責任者に状況を説明してもらいつつ、モニターを端から順番に確認していく。

 「えー、外では機動隊が突入のタイミングを計っておりまして……」
 「ふむふむ。」
 「ただ西ブロックに銃を持ったお客様がそこかしこにいるらしく……」
 「へーへー。」
 「あのぉ、聞いてます?」
 「問題ナッシング。お話を続けて下さい。」
 「おそらく実行犯はその辺にいるのではないかと思わ」
 「ちょっとストッピ。あれー、これテラレンジャーで敵が使ってた電撃麻酔銃じゃない。形状クリソツ。」

 西ブロックのカメラのひとつに映し出された物騒で厄介な装備は望子の頭を大いに悩ませた。どうやら相手はアニメやマンガからアイテムを抜き出すことができるらしい。今日の祭りを守ろうとこんなものまで一般客に持たせたのか……さすがの彼女も頭を抱えた。これでは自衛隊の最新鋭戦車を出しても勝ち目がない。アニメ化されている作品のアイテムだけでもいとも簡単に退けられるだろう。

 「おそらくアニメや特撮の設定に沿った銃だから、待機してる機動隊が人海戦術を使っても返り討ちに遭うわね。」
 「西ブロックの53番カメラ左手に映っているのが、うちが雇っている警備員です。今では黒山にしか見えませんが……」
 「あれはゾウも一撃で眠らせる銃なんだゾウ。」
 「あ、あの銃は、そ、そんな設定なんですか?!」
 「こんなのに対抗するには……あの子しかいないわね。ピポパっと。ああ、尊くん? 私のお持ち帰りカバンから『銀河鎧甲ファティルード』の同人誌とうちの商品を持って西ブロックに向かってくれる? うん、あっちは物騒だから役に立ちそうなものをかき集めながら行ってね。指示はこっちで出すから。」

 警備員は驚いた。機動隊でも無理だというところへ望子は少年をひとりで行かせようというのだから。彼女はケータイをすぐ使えるように手で持ち、インカムをつけて会場内の様子をチェックし始める。やはり東ブロックのお祭り騒ぎに比べて、西ブロックは殺伐とした雰囲気が感じられる。やはりここに犯人がいるのだろう。あの銃は能力で具現化したもので、おそらくは本人が能力を解除しない限り存在する。機能がアニメなどに準じているところから推理すると、弱点もそのまま引き継いでいるに違いない。この会場内だけなら最強の能力だと言える。
 不意に西ブロックの画像に目をやると、望子は早くも異能力者を見つけた。和服姿の女性はどうやら会場の様子をはっきりと知らずに飛び込んだようで、いきなり大苦戦を強いられていた。誰もいない巨大なホールで電撃銃の集中砲火を受けている。望子は彼女に対して、インカムで情報を送る。

 『その銃はゾウも一撃の気絶銃なの! 全部避けて!』

 その女性はメビウスからもマトモな情報援護もなく事態収拾のために突入した撫子だった。いきなり虎口に入った彼女は御神刀『神斬』を振りかざし、アドバイス通りにすべての光線を刀身ですべて弾き返す。しかしこれでは埒があかない。死角から打たれたら、一発でゲームオーバーだ。ところがなぜか一斉射撃が止み、目の前にひとりの青年が立ち塞がる……撫子はすぐさま相手が弟の武史であることを見抜いた。両肘や両膝にメタリックな装飾品、さらには胸に鎧のようなものを身にまとっていた。しかし肝心の武器がない。ただのコスプレなのだろうか、それとも……撫子は警戒しつつも説得を試みた。

 「あなたがアカデミーの能力者ですわね。さぁ、こんなことは止めて皆様を……」
 「ここにいるみんなはそんなこと思っちゃいないさ。楽しいんだ、いつもの生活よりも。だから続けるのさ。それのどこが悪いのさ?!」
 「これは……厳しいお仕置きになりますわね。覚悟はよろしいですの!」
 「その言葉、そっくりそのまま返すよ。キミは27世紀の文明に勝つことができるかな? フォームチェンジャー!」

 変身ポーズを取ると彼の装備したアイテムは次々と光を放ち、ついにはその全身を機械の鎧が包み込んだ。すでに撫子は弟の能力についてメビウスの話で知っていたが、まさかそんな設定のものまで具現化できるとは想像もしていなかった。本当に神斬が通用するのだろうか……不意に彼女の脳裏に天女の姿がよぎったが、まだその時ではないと自分を戒める。一気に畳み掛けることができるかどうかもわからない状況でそれをするのはあまりにも危険すぎる。相手が動くと同時に妖斬鋼糸を繰り出そうと逆手で細工を施しておいた。
 一方、周囲の客は沸いていた。人気特撮ヒーロー『銀河鎧甲ファティルード』の中でも最強と呼ばれる機械鎧が目の前に現れたからだ。2階に潜んでいた射撃部隊も銃を下ろして拍手喝采。それに応えるべく、武史は得意のポーズをして撫子に立ち塞がる。

 『機械鎧ファティルードの中でも特に近接戦闘に優れたバトルマニアだ。キミのその剣で斬ることができるかな?』
 「聞き分けのない方ですわね! お覚悟を!」

 撫子が一気に間合いを詰め、まずは胸を一閃! そして手の届かない距離から背後に回って今度は腕に一撃を加える! しかし、武史はまったく身動きしない。いや、する必要がなかった。撫子の攻撃が通用しないと最初からわかっていたからだ。神斬は嫌な金属音を二度奏でただけで装甲を切り崩すことはできなかった。

 「くっ、効かない?!」
 『陸戦しかできないけど、この鎧なら絶対に負けはしないのさ。さて……覚悟はいいかい?』
 「設定を知っているくせに恥ずかしいことを言うものだな、キミは。本当に強固な鎧はそれではないだろう……行くぞ、シェイプチェンジャー!」

 撫子にとどめを刺そうと振り上げた腕を戻し、声のする方向に視線を飛ばすバトルマニア。そこには東ブロックからやってきた尊が大きな錫杖を振りかざし、その身に同じ機械鎧を身にまとわんとしていた! 体の部位に次元圧縮装置付きのアクセサリーを身につけて変身する『フォームチェンジャーシステム』とは違い、尊が選んだのは部品が合わさることで武器などの形状に固定される『シェイプチェンジャーシステム』の機械鎧を選択したのだ。もちろん物語の設定を知った上での判断である。彼は変身が終わると武史と同じく、手を高々と上げ強く握り締めた!

 『最強の防御力を誇るファティルード「サンクチュアリ」、今ここに……』
 「「「推参っ!!」」」

 会場中のファンが決めゼリフを響かせると、そこは異様な雰囲気に包まれた。これはヒーローショーなのではない。本物のファティルードが本当に目の前でぶつかり合うのだ。カメラのフラッシュが豪快にふたりを襲う。こっそり撫子の艶やかな姿を納めているマニアも数多く存在したのはここだけの秘密である。どうやら彼女もコスプレ戦士と勘違いされているらしい。

 『望子姉さん、ファティルードは設定上オペレーターがいないとダメージ損傷などの状況を把握できないことになっている。今のうちに司令塔を見つけ出してくれ。』
 『了解! できればあなたもお姉さん探しを手伝って下さい! この場は尊に任せて!』
 「千春さんの捜索ですわね。わかりましたわ!」
 『くっ、サンクチュアリを倒すにはこっちも本気でやるしかない! ムーンサイトスライサー!』

 青白く輝くナイフを取り出したバトルマニアは人間とは比にならないスピードでサンクチュアリに挑む。しかし武史の攻撃が届く前にサンクチュアリのエネルギーバリアが作動し、そこからは一歩も踏み入れなかった。思わず舌打ちするバトルマニア。

 『ちっ。しまった、サンクチュアリは豊富なエネルギーを利用してディフェンスフィールドを作り出すんだった。』
 『それは姉からの指示がなかったから忘れていたのか?』
 『そんなことはない。キミにダメージを与え続ければ、このフィールドは打ち崩すことができる。ちょっと倒すのに時間がかかるくらいかな。』

 尊は心の中でほくそ笑んだ。彼が舌戦で相手にしているのはバトルマニアではない。この状況をどこかで見ている姉なのだ。彼女を少しでも焦らせるために、わざわざ一芝居打ったのである。あとは望子か撫子が姉を見つければ、自然と戦意を削り落とすことができるはずだ。それまではこのサンクチュアリで持ちこたえなければならない。彼はもう一度笑った。しかしそれはさっきとは違い、とても冷めた笑いだった。それは武史の論理が間違っていないことを証明する意味合いがあった。ここからは時間との勝負である。
 撫子と望子のふたりは、それぞれ別の方法で姉の千春を探した。だが、いかんせん人数が多い。西ブロックにも同人誌即売スペースが乱立しており、姉は他人に偽装している可能性が高いとあっては手の打ちようがない。撫子は怪しい行動を取る女性を片っ端から優れた動体視力でチェックしていくが、よくよく考えてみれば男性に変装しているかもしれないことに気づくと途方に暮れてしまった。一方の望子も監視カメラの映像が思ったよりも遠目で確認しづらく、しかも霊能力を微弱でも持っている人間はすべて候補者となってしまう。現時点ではふたりとも千春の探索に関してはお手上げ状態だった。このままでは尊の変身したサンクチュアリが先に負けてしまう。ただ同じ焦りがふたりの心を埋め尽くしそうになっていた。

 そんな時でもマイペースな裕介は西スペースの女性をかわいくメイドさんにコーディネートすることに専念していた。ホールの騒ぎに見入っている女性を片っ端からメイド服に着替えさせ、まぶたの奥にその姿を焼きつけては満面の笑みを浮かべる。「さぁ、次!」と言わんばかりに通信機でコソコソやっている女性にシーツをかぶせ、極上のメイドに変身させた裕介は背中で彼女の思わぬ言葉を聞いた。

 「しまっ……通信機が! あれっ、どこどこ! どこに行ったの?!」
 「通信、機? 確かさっき、場内アナウンスでお姉さん探しがなんとかって……」
 「はっ、もっ、もしかして、あ、あなたがやっ……で、でも、なんかこのメイド服のセンスってとってもいいわ。もしかして本業の方?」
 「ええ、私が仕立てました。」
 「どこかのイベントに出展されてるんですか? 他にもバリエーションは?」

 会場ジャック犯姉弟の姉である千春はすっかりメイド服の出来のよさに感動してしまい、裕介を相手にじっくり話し込んでしまった。それっきり通信が切れてしまった武史はサンクチュアリに攻撃を加え続けるが、姉に持たせたはずの通信機から声が聞こえなくなるとだんだんと不安になる。そして3分も経たないうちに姉の名を叫んでしまった。

 『姉さん! 姉さん! サンクチュアリのフィールド限界まであとどのくらいなの?!』
 「ごめんなさーい、お姉さんはねー。今メイド服に夢中なんですー。ご迷惑をおかけしますねぇー。」
 『なっ、なんだあいつは! それにメイド服っていったい……?!』
 『望子姉さん、声のした方向を場内アナウンスするんだ!!』
 「ホールの吹き抜け部分の3階西にメイド服を着た女性がいるわ! 彼女が姉の千春よ!!」

 声が終わる頃には三対の翼を持った天女姿の撫子が即売ブースから飛び出し、千春の目の前まで舞い上がった! そして彼女に対して異能力キャンセルを行い、さらに妖斬鋼糸で瞬時に身体をマネキンのように固定して束縛する!

 「今はお美しくなさい。お裁きは後から受ければいいのですから。」
 「なっ、なんで捕まえるのにこんな洒落たポーズさせるのよっ!」
 「その辺は……まぁ、わたくしもこの会場でいろいろと学んだということです。それではごきげんよう。」

 撫子が笑顔で会釈すると、そのまま2階部分を旋回し始めた。そして射撃部隊が持つ物騒な銃をすべて能力で消し去ると、最後に武史に向けて手を軽く振る。すると彼は瞬時にして普通の人間の姿に戻されてしまった。それを見て尊も変身を解除し、自分にインストールしていた能力を解除する。ふたりは同時に飛び退き、間合いを開けて立った。武史は一冊の同人誌を、そして尊は一枚のディスクを取り出す。この一瞬で勝敗が決する。撫子は普段の姿に戻って戦いの行方を見守ることにした。もちろん尊が劣勢になれば助太刀するつもりだ。しかし尊にあの冷静さが今もあるのなら、絶対に負けることはないと信じていた。武史は本に手を突っ込むと、即座にマシンガンを取り出して乾いた音を何度もかき鳴らす!

  タタタタタタタタタタタッ!!
 「生身のお前には避けられま、あがっ?!」
 「本物を出すなよ、本物を。さすがの俺も怖かったな。この能力でなければ……負けていた。」

 尊の使った能力、それは瞬間移動のように見えた。会場にいた誰もがそう感じた。しかし撫子だけはその能力の名を知っていた。得体の知れない寒気が一瞬だけその身を襲う。あれは自分を取り巻く時間を極限まで遅らせる究極の奥義なのだ。

 「あれは紫苑様の……『神速の脚』?!」
 「やおいのディスクでもちゃんと能力を引き出せるのね……よかった。」

 望子もふーっと長い溜め息をついて安心した。そして東ブロックから侵入するように手配していた機動隊がタイミングよく現れ、首謀者である姉弟を確保する。事件は解決に向かおうとしていた。そんな時、えるもの顔が随所で映し出される。あのケータイはおかーさんから貰ったもので、中にはとんでもない機能が満載してあるらしく、えるもは教わった通りにそれを操って会場のみんなに呼びかけた。ちなみにその時のえるもの服装は、なぜか聖徒変身したセイントブレザーだった。

 「おまつりってみじかいけど、みんながんばるからたのしいの。じゅんびとかはじまるまえとか、おわったあともぜんぶあわせておまつりなの。」
 「そーそー、セイントブレザーの言う通りっ♪」

 合いの手を入れるのはもちろんローズちゃんである。しかしこちらもバッチリ聖徒変身したロザリオミスティーのコスプレでえるもに合わせていた。その映像を見た撫子の眼鏡がなぜか妖しげに光る……そう、彼女の戦いはまだ終わってなかった。そして静かに西ブロックを離れ、いずこかへと消えた。約束の時は、まさに今だった。そんなことも露知らず、ふたりは演説を続ける。

 「それにあしたのあさにはてれびもはじまっちゃうの。みんなてれびみないとだめなの。」
 「明日はねー、あっ! ブレザーキュートのミュージカルがあったんだ! 早く帰って録画の予約しないとダメだよ!」

 その言葉に同調し「あっ!」と叫ぶ人間が全体の半数ほどいるのだから、同人誌即売イベントというのは恐ろしいものである。こうしてえるもとローズちゃんの見事な演説で客も納得して帰っていくのであった。こうして事件も祭りも、ゆっくりと幕を閉じたのである。



 ところが、物語はここでは終わらない。
 なんと高性能ケータイで生放送しているところに音もなくふらりと撫子が現れ、いつもの笑みでローズちゃんにご挨拶をする。いつもお世話になっている教頭も子どものままで丁寧な挨拶をしようとしたその瞬間、自分の体がふわっと宙に浮いたのを感じた。そして撫子の膝に乗っけられたかと思うと、お尻に電撃のような激痛が走った!

  バシッ! バシッッ! バシッッッ!!
 「いた、痛い痛い痛っ! 痛いよ、何するのよ急にっ!!」
 「あら、お聞きになってませんでしたか? わたくし、メビウス様にはちゃんとご説明しておきましたのに……」
  バシッ! バシッッ! バシッッッ!!

 笑顔の端っこに青筋を立てながら、撫子はローズちゃんのお尻をぺんぺんどころかバシバシしばき続ける。えるもはそれをじーっとケータイで記録し続けていた。もちろん送信先はアカデミーの日本支部……厳密に言うなら紫苑のパソコンの画面である。メビウスは絶好のタイミングで録画ボタンを押すと同時にディスクがゆっくりと加速を始め、その一部始終をデータとして収めていった。

 「わたくし、今回の解決料の代わりにこれをお願いいたしましたの。えいっ!!」
  バシッッッ!!
 「痛いー、痛いよぉー! えるもちゃん助けてぇ〜!」
 「でもぉ……なでしこちゃんはわるいひとじゃないよ?」
 「お子様の論理だー! えーんえーん、こんな格好のまま変身解けないし恥ずかしいよぉー!」
 「まぁ。それって何年振りですの?」
 「そんなこと言わせないでぇ〜!!」

  バシッ! バシッッ! バシッッッ!!
 「だったら今度からアカデミーの不始末で呼び立てるのは止めてくださいね?」
  バシッ! バシッッ! バシッッッ!!

 撫子が仕掛けたまさかの羞恥プレイにやられっぱなしのローズちゃんを遠巻きで見ていた望子と尊、そして裕介は不思議そうな顔を突き合わせながらただじっとそれを見ていた。

 「あれがアカデミーの……最高責任者なのか?」
 「魔女で魔女っ子好きらしいっていう情報はキャッチしてるけど。」
 「今のうちにみんなまとめてメイド服着せちゃおっかな……」

 さまざまな感想や欲望が飛び交う中、ローズちゃんのお仕置きは延々と続くのであった。


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号/ PC名 /性別/ 年齢 / 職業】

1098/田中・裕介   /男性/18歳/孤児院のお手伝い兼何でも屋
0328/天薙・撫子   /女性/18歳/大学生(巫女):天位覚醒者
3452/不動・望子   /女性/24歳/警視庁超常現象対策本部オペレーター
2445/不動・尊    /男性/17歳/高校生
4379/彼瀬・えるも  /男性/ 1歳/飼い双尾の子狐

(※登場人物の各種紹介は、受注の順番に掲載させて頂いております。)

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■         ライター通信          ■
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皆さんこんばんわ、市川 智彦です。今回は「CHANGE MYSELF!」の第11回です!
今回は歴代の作品の中でも群を抜くバカさ加減ですね(笑)。書いててビックリしました。
特に衝撃(笑劇?)のエンディングは必見です。皆さん、どうぞお楽しみ下さい。

えるもちゃんはいつも癒し系として、マスコットキャラとしてがんばってくれるね(笑)。
意識して女の子っぽく書くのは、実は初めてなんです。いつも男の子だと思ってるんで。
ローズちゃんと遊ぶ方向で書いてみましたがいかがだったでしょうか。お友達になれた?

今回は本当にありがとうございました。アカデミーでこんなのもありですよねぇ?(笑)
それではまた次回の『CHANGE MYSELF!』やご近所異界、通常依頼でお会いしましょう!