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Present For You
〜 繰り返される悲劇 〜
二〇〇二年十二月二十四日。
急性白血病により入院先の病院にて死去。
二〇〇三年十二月二十四日。
待ち合わせ場所の目の前の道路を横断中に、居眠り運転のトラックが突っ込み、即死。
二〇〇四年十二月二十四日。
一緒に食事をした帰りに通り魔に刺され、病院に運ばれるも数時間後に死亡。
「……なるほど。三年続けて、彼女をクリスマスイブの日に失っている、と」
武彦の言葉に、依頼主は小さく頷いた。
「ええ。それも、全て私の目の前で」
彼の名は野間健人(のま・けんと)。とある大学の大学院に在籍している。
彼には五年ほど前からつき合っていた彼女がいたが、三年前に急性白血病で倒れ、クリスマスイブの日に死去。
その後しばらく傷心の日々を送った後、秋頃にその傷が癒えかけたところで友人からある女性を紹介され、今度はその女性と交際することになったという。
ところが、その新しい彼女もその年のクリスマスに彼の目の前で事故に巻き込まれ、帰らぬ人となった。
彼は再び心に大きな傷を負い、しばらくは自暴自棄の生活を送っていたが、上京してきた幼馴染みと再会し、彼女に励まされているうちにいつの間にか恋が芽生える。
しかし、その幼馴染みもまた昨年のクリスマスに通り魔事件の被害者となって命を落とし、三度一人となった彼であったが、今回もやはり心の傷が癒え始めた秋頃に、今度は大学の後輩と新たなる恋が始まり、今に至る、とのことである。
「不安なんです。今年も同じようなことが起きるんじゃないかと」
青ざめる健人に、武彦は念のためにこう尋ねてみた。
「で、今度の彼女に、その話は?」
「話しましたが、『私は絶対に死んだりしないから安心して』と言うばかりで……」
まあ、呪いだのなんだのと言ったことをあまり信じないようなタイプなら、そういう反応をすることも十二分にあり得る。
それに、ただ話をしただけなら、普通誰もこんな話は信じないだろう。
「クリスマスイブに彼女と会わなければいいのかも、とも思ったのですが……そうしたらそうしたで、突然病院から電話がかかってくるようなことがあったら、と思うと……」
確かに、「目の前で死なせる」だけであれば、必ずしも一緒にいるところを狙う必要はない。
即死しない程度の傷を負って病院に運び込まれ、健人が駆けつけた後に息を引き取る、というパターンも十二分にあり得る。
何より、ここ三年間はずっと「彼女と一緒にいた」わけであって、「彼女と一緒ではなかった」ケースがないのだから、「彼女と一緒にいなければ、彼女が死なない」とまでは言い切れない。
「で? 俺にどうしてほしいんだ?」
武彦がそう尋ねると、健人は真剣な顔でこう答えた。
「お願いしたいことは二つあります。
まず、十二月二十四日の昼過ぎから夜の間、僕と彼女の護衛をしてほしいんです。
それも、できれば彼女には気取られないようにして」
「クリスマスイブ、か……手を空いている人間を捜すのは大変そうだな」
仕事のある人間も多いし、プライベートで用事を入れてしまっている人間も多い。
それに、手の空いている人間にとっても、クリスマスにデート中のカップルの護衛などというのは、ほとんど嫌がらせに近い。
「言っておくが、高いぞ」
「わかっています」
それなら、通常の五割増くらい出せば、とりあえず人は集められるだろう。
「で、もう一つは何だ?」
「これまでのことが全て単なる偶然なのかどうか、調べてみてほしいんです」
確かに、三年続けて同じ日に彼女を亡くしている上に、そのうち二度は突発的な事故というのは、とても単なる偶然とは思えない。
仮に今年「何か」が起こるのを阻止できたとしても、何らかの原因があることであれば、それをどうにかしない限り、問題の先送りにしかならないだろう。
とはいえ、今日はすでに十二月十九日。
残された時間は、あまりにも少ない。
「わかった。なんとかできるかどうかやってみよう」
武彦はそう答えると、さっそく手伝ってくれそうな相手に電話をかけ始めた。
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〜 悲劇に備えて 〜
武彦の懸命の努力にも関わらず、なかなか協力してくれる相手は見つからなかった。
さすがに、その日は皆何らかの予定があって、完全に手が空いているということはないらしい。
そんな中、唯一武彦の求めに応じて駆けつけてくれたのが、シュライン・エマだった。
「いきなりイブの予定なんか聞いてくるから、何かと思ったわ」
シュラインの言葉に、武彦は申し訳なさそうに頭を掻く。
「悪いな、こういう話で」
「武彦さんのことだから、どうせこういうことだろうと思ってたけどね」
そう答えて、シュラインは健人の方に向き直った。
「まずは、野間さんたちの当日の予定を教えてくれるかしら?」
「彼女とは午後一時半に池袋駅で合流する予定になってます」
なるほど、二年前の教訓から、合流は駅構内にしているようだ。
「まずは水中クリスマスツリーのある水族館に行ってから、頃合いを見て東京に移動します」
本音を言えば、水族館はまずい。
人が多い上に薄暗い水族館は、襲撃者には絶好のスポットとなりうる。
「午後六時にレストランの予約を入れてあるので、それまで辺りを少しぶらつこうかと」
辺りをぶらつく、というのも、先回りがしづらいという意味ではまずい。
しかも今度は屋外であるから、何が起こっても不思議ではない。
「食事の後は、近くのイルミネーションを見に行く予定です
まあ、時間が時間ですし、彼女も人混みはあまり好きではないそうなので、遠くからちらっと見るだけになると思いますが。
その後は……まあ、成り行き次第ですね」
イルミネーションはともかく、最後の成り行き次第はかなりまずい。
健人は事情を知っているのだから、ついて行けなくなるようなことはなさそうだが、先回りして危険を知らせるのは不可能に近い。
「なかなか骨が折れそうね」
シュラインは少し考えてから、ふとこう尋ねてみた。
「亡くなった三人のお墓参りとかは?」
「その辺りは、午前中に済ませてしまうつもりです。
わざわざ彼女を連れて行く必要もないでしょうから」
確かに、言われてみればそれもそうだ。
新しい彼女のこともその場で報告しているのだろうから、亡くなった彼女が腹を立てる理由にはならないだろうし、それにも関わらず嫉妬しているというなら、実際に新しい彼女を連れて行ったところで状況は好転しないだろう。
となれば、残る問題はもう一つ。
「後は、夜だけど」
夜。
二人きりになられてしまっては、いかに武彦たちといえども護衛することはできない。
もちろん健人もそれは心得ていたらしく、苦笑しながらこう答えた。
「日付が変わるまでは、とりあえず何とか表で粘るつもりです。
もっとも、二十五日になれば安全だ、という保証があるわけではないのですが」
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〜 悲劇の予兆 〜
シュラインたちの懸命の調査も空しく、前日までにこの悲劇の原因と目されるものを突き止めることはできなかった。
収穫があったとすれば、健人の最初の彼女の友人や家族は全員ほぼ間違いなくシロであるという確信が得られたことと、調査中にたまたま出会った遊佐勇(ゆさ・いさむ)が、当日の護衛を手伝ってくれることになったくらいだろう。
そして、クリスマスイブ当日。
シュラインは武彦と、零は勇と組んで、健人たちの護衛に当たることになった。
二人一組になる理由は、もちろんカップルを装うことで、周囲から、そして問題の彼女から怪しまれるのを防ぐためである。
これなら、シュラインと武彦はもちろん、零と勇もちょっと幼い外見の高校生カップルくらいには見えなくもないだろう。
その二組がそれぞれ健人たちの前後に陣取り、ヘッドセットで絶えず連絡を取り合う。
何かを察知した時は、シュラインと武彦が主に不審な人物などに対処し、零と勇が主に呪術的な干渉や遠距離からの攻撃を防ぐ、という手はずである。
本来ならばもう一組か二組護衛が欲しかったところだが、こればかりはないものねだりをしても仕方がない。
「一応、二人にはチケットケースに入れて護符を渡してあるけど、それだけでどうにかなるとは思えないわ。みんな気を引き締めて」
『了解』
その合図で、四人は二手に分かれて指定の場所へと向かった。
護衛対象の女性は、すぐに見つかった。
年は十九と聞いているが、小柄なせいか、年よりやや幼く見える。
せっかちな性格なのか、それとも彼女の方が健人に惚れているのか、彼女は三十分以上も前に待ち合わせ場所に現れては、落ち着かない様子できょろきょろと辺りを見回していた。
やがて、待ち合わせ時刻の十五分ほど前になって、ようやく健人が姿を見せる。
「ごめん、待たせた?」
「さっき着いたところです」
二人はそんな微笑ましいやりとりをしながら、連れだって表へと向かう。
少し離れて、シュラインたちもその後に続いた。
東口を出て、歩行者天国に入る辺りで、健人たちのすぐ斜め後ろに追いつく。
休日、それもクリスマスイブと言うこともあり、人出はかなり多い。
護衛する側としては、最悪に近いコンディションである。
まして、付近の誰もが危険である可能性を秘めているとなれば、なおさらだ。
この状態で、どうにかこの二人を守ろうと思ったら、よほど側にくっついているより他にない。
(あまり、怪しまれなければいいんだけど)
そんなことを考えながら、二人のすぐ後ろについて歩く。
健人たちが立ち止まれば、こちらも何らかの理由を作って立ち止まり。
彼らがまた歩き出せば、こちらもすぐにそれに続く。
一度、タイミングが合わずにやや距離を開けられてしまったこともあったが、その時は前を行く零と勇がそれとなく健人に知らせてくれたおかげで、健人がうまく理由を作って立ち止まり、どうにか追いつくことができた。
そんな些細なトラブルはあったものの、池袋にいる間は、特に大きな問題は起こらなかった。
最初に相手が仕掛けてきたのは、健人たちが池袋から東京に移動しようとした時だった。
なぜか改札機に引っかかって電車を一本逃した彼らは、次の列車を待って、列の先頭に並んだ。
その後ろに、すぐに数人の人々が並ぶ。
そのうちの一人が明らかに不愉快そうな様子で健人たちを見ているのを、シュラインは見逃さなかった。
この状況で、電車が来た時に背中を押されればひとたまりもない。
そう考えたシュラインは、とっさに武彦のポケットからハンカチを抜き取り、あくまで「善意の第三者」を装って健人に声をかけた。
「あの、これ、落としましたよ?」
「え?」
怪訝そうな表情を作りながら、健人たちが列を離れて二人の方に歩いてくる。
当然、その間に列が詰まり――問題の男も、わざわざ後ろに並び直そうとはしなかった。
それ以降、相手の攻撃はぱたりと止んだ。
二組のうち少なくとも片方が常に健人たちの至近距離にいるようにしたことや、健人たちが常に人の多いところにいて、二人のみを狙った攻撃は仕掛けにくかったことなどが、恐らくその理由であったのだろう。
その証拠に、健人たちが予定のスケジュールを消化し終え、最後の「成り行き次第」の部分に入り、やや人通りの少ないところも通るようになると、とたんに攻撃が激しくなった。
それでも、再三にわたる落下物や不審者などの危険から、四人はどうにか二人を――というより、五人はどうにかして彼女を守りきった。
そう。
例えば車道を横断する時など、危険なタイミングは何度もあったが、そういった時に限って、相手は何も仕掛けてはこなかった。
その理由として考えられることは一つ――健人を巻き込むからである。
どうやら、この「事故」を起こしている相手は、健人を死なせたくはないらしい。
ということは――やはり、犯人の目的は健人本人ではなく、健人が連れている彼女。
では、その理由は何だろう?
シュラインは護衛の傍らそんなことを考えてみたが、納得のいく答えは見つからなかった。
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〜 悲劇の終わり 〜
午後十一時四十五分。
どこに行ってもトラブルに巻き込まれてやや疲れた感じの健人たちは、とある公園のベンチで一休みしていた。
公園にはまだ何組かのカップルの姿があったが、お互いにある程度離れたところにいるため、人気はほとんどないに等しい。
そんな状況で、それは、唐突に一同の前に姿を現した。
「来る!」
そう叫んで、零と勇が健人たちの目の前に飛び出す。
二人がとっさに障壁を展開すると、一瞬遅れて巨大な鎌がその障壁に突き刺さった。
鎌を振るったのは、漆黒のドレスを身に纏った少女。
彼女は攻撃が不発に終わったのを見届けると、無表情のまま呟くように言った。
「なぜ私の邪魔をする」
どうやら、彼女が今回の事件の元凶らしい。
シュラインはすぐに零たちのところへ駆け寄ると、少女に向かってこう訊いた。
「聞きたいのはこっちの方よ。どうして、彼女を殺そうとするの?」
その質問に、少女は表情一つ変えずに答える。
「私はただ彼にプレゼントがしたいだけだ」
「プレゼント?」
シュラインがなおも問いつめると、少女の顔に冷たい笑みが浮かんだ。
「彼が最も喜ぶ、とっておきの悲劇というプレゼントを」
「悲劇を……喜ぶ?」
驚いたように言う武彦に、少女は静かに首を縦に振る。
「彼はその悲劇を嘆き悲しむ。
それと同時に、その悲劇と、その悲劇の主人公たる自分に酔い、無上の喜びを得る」
それだけ言うと、少女は顔を上げて健人の方を見つめ、先ほどとは違った優しげな笑顔を向けた。
「さあ、私のプレゼントを受け取ってくれ。
そして見せてくれ、悲しみと、絶望と、そして恍惚に彩られたあの表情を」
その一言に、健人が愕然とした表情を浮かべる。
それは、予想だにしなかったことを言われて、と言うよりは――むしろ、全てを正確に言い当てられて驚愕しているように見えた。
少女の正体は、死神だった。
彼女が最初に健人と出会ったのは、三年前のクリスマスイブ。
彼女は死神の職務を果たすため、命数の尽きた健人の彼女の魂を迎えに来て――そこで、彼と出会った。
最愛の彼女を失って、悲嘆に暮れながらも――それだけではない「何か」を備えた、健人の横顔。
その美しさに、少女は心を奪われてしまったのだ。
「あのときの彼の横顔が、私を狂わせた。
あの横顔をもう一度見られるのなら、どんなことでもしようと思った」
話し続ける少女の表情は、冷徹なる殺人者でも、職務に忠実な死神でもなく――敢えて言うなら、恋する乙女のそれに近かった。
「あなたは――彼を?」
シュラインがそう尋ねると、少女は一瞬戸惑ったような表情を見せた後、消え入りそうな声でこう言った。
「そうかもしれない。私は……彼を愛している」
と、その時。
「それじゃ、あの二人は、僕が悲劇を望んだから……僕が殺したようなものだ!」
一言そう呻いて、健人が膝からその場に崩れ落ちた。
頬を、ゆっくりと涙が伝う。
その顔に浮かんでいたのは、確かに単なる絶望の表情ではなく――九割の絶望の奥から、一割の歓喜と狂気が透けて見えるその表情は、どこか人を惹きつける美しさを備えていた。
「それだ……お前のその顔が見たかった」
死神の少女が、少し寂しそうに微笑む。
「メリー・クリスマス……全て知られてしまった以上、もう会うこともないだろう」
それだけ言うと、彼女はきびすを返して立ち去ろうとした。
「待って下さい」
その声に、少女が驚いたように振り返る。
彼女を呼び止めたのは――健人だった。
「そろそろ頃合いだ……そう思いませんか?」
彼はうつむいたままそう呟くと、やがて、涙をぬぐって顔を上げる。
「長すぎる悲劇は、美しくありません。
全ての謎が解けた今こそ、この悲劇に幕を降ろすべき時でしょう」
そう語った彼の顔には、強い決意の色が見て取れた。
「健人さん!」
少女以外の全員が、彼を引き止めようと声を上げる。
だが、それでも彼の決心が揺らぐことはなかった。
「こうなったのは、全て僕の責任です」
静かに、しかしはっきりとそう口にした彼の横顔には、全てを受け入れたものだけができる、ある種超然とした微笑みが浮かんでいた。
止められない。
もはや、誰が、どんな言葉をかけても、彼の心を変えることはできまい。
シュラインは、そして恐らく他の誰もが、そう直感していた。
彼は、すでに全てを受け入れ、そしてそれを自ら望んでいる。
「僕は、恐らく生きている限り周囲の人々を不幸にし続ける。
心の奥底で、さらなる悲劇を望んでしまうから――望まずにはいられないだろうから」
悲しいけれど――それが現実。
「悲劇に魅入られた人間は、悲劇しか生きられない」
その悲劇の幕を、自らの決断で下ろすこと。
それこそが、悲劇に魅入られた人間に課せられた責務であり――最大の喜びなのだ。
「私と一緒に来るか」
「ええ」
少女が差し伸べた手を、健人がそっと握る。
そのまま、二人は静かに抱き合い――。
全てが終わった後には、魂を失った健人の亡骸のみが残された。
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〜 そして、幕は下りて 〜
「彼女を家まで送ってきたわ。
まだだいぶ混乱してるようだったけど、明日になれば、少しは落ち着くと思う」
シュラインが草間興信所に戻ってきた時には、すでに午前三時を回っていた。
「こっちもだいたいは片づいた。
まだいろいろと検査はあるが、現時点では特に事件性は認められないとのことだった」
見た限りでは、武彦もついさっきここに戻ってきたばかりらしい。
まあ、あんなことがあった後では当たり前だろう。
幸い事件をはっきりと目撃していた者は誰一人としていなかったようだが、そのことを確認するにも、健人の遺体を処理するにも、かなりの苦労があったことは間違いない。
「零ちゃんと勇くんは?」
「零は奥で休んでる。
勇は一応帰したが、まっすぐ帰ったかどうかは怪しいな」
彼についてはまだよくわからない点も多いが、あれだけしっかりしているのだから、心配することもないだろう。
ようやく全てが終わったことを確認すると、なんだか急に疲れが襲ってきた。
近くの椅子に腰を下ろし、一つ大きな息をつく。
「結局……救えなかったわね」
シュラインがそう口にすると、武彦は煙草をくゆらせながらこう答えた。
「難しいところだな。
あいつの言った通り、あいつの人生そのものが悲劇でしかあり得なかったのなら、その終焉こそが唯一の救いなのかもしれない」
「終わりの無い恐怖より、恐怖の結末の方がましだ」という言葉がある。
それにならって言えば、確かに「終わりのない悲劇よりも、悲劇的な結末の方がましだ」ということになるのかもしれない。
「そうなのかしら」
認めたくはないが――そうなのかもしれない。
何気なく見つめた窓の外で、一つ、星が流れた。
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
0086 / シュライン・エマ / 女性 / 26 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員
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■ ライター通信 ■
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撓場秀武です。
この度は私のゲームノベルにご参加下さいましてありがとうございました。
プレイングにあった推理の方ですが、かなり惜しいところまで来ていました。
もともとの原因が健人本人である、というところまでは、正解だったのですが。
ともあれ、もし何かありましたら、ご遠慮なくお知らせいただけると幸いです。
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