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新春スゴロク退魔バスツアー
冬の寒さは景色をいつもより鮮明に映し出す。時は年の瀬、ここはとある不思議な観光社の洗車スペースである。10人乗りの小型バスを丁寧に洗っているのはベテラン運転手の二本松だ。水仕事をしているというのにしっかりと制服を着用し、その上からわざわざ黄色いカッパを羽織って作業している。彼は鼻歌混じりに安物の長いホースを巧みに操り、日課になっているバスの洗車中だ。足元は傾斜になっていて、冷たい水が溝に落ちて小さな音を立てながら流れていく。彼は見えるところは隅々まで洗い、後で専用のワイパーで残った水滴を落とすのだ。二本松の一日の始まりはいつもここから始まる。これをしないのは彼がお客さんを乗せて『目的地』にいる時くらいだろうか。
そんな彼の元へ、とことこと背の低いバスガイドが小走りでやってきた。彼女は新米ガイドの清海ちゃん。たったひとりしかいない先輩からガイドのご指導を受けながら、同時に事務もこなすガッツのある女の子である。そんな彼女が笑顔で一枚のプリントを見せながら二本松に向かってかわいい声で叫んだ。
「じゃ〜んっ!『新春スゴロク退魔ツアー』のマップが完成しました〜!」
「おおっ、そりゃ吉報だねぇ。こりゃいかん。車内の清掃もばっちりしておかないとな……」
「何にも知らない皆さんがすでにご予約済みで〜す♪」
「そりゃそうだろうねぇ。今回はスポンサーさんがたくさんついてるから、こっちも思い切って安くしたもの。」
「ちゃんとデジタルビデオカメラも用意しましたし、あとは当日になるのを待つだけですね〜。」
「ゴールしてくれたら、こっちも気が楽になるんだけどね。スポンサーさんもうちもお客さんもみんな大喜びだ。」
この観光社、どうやら霊現象などにいささかの知識があるらしい。それを証拠に清海の持つプリントには、東京に点在する心霊スポットの情報がこと細かに書かれている。雑霊が大量発生している謎の墓場や明治時代の華族の屋敷、有名なスポーツセンターのプールや廃墟となった病院など内容はさまざまだ。ふたりの話から察するに、今回のバスツアーはこれらの場所を回りつつ、除霊なり退魔なりしながらスゴロクをするのだろうか。
そんな奇妙なスゴロクの終点に描かれているのは椰子の木やまぶしい太陽、そして透き通る海にキラキラと光る砂浜である。そう、ちゃんとゴールできれば、もれなく全員が正月からいきなり『超豪華ハワイ旅行』にご招待されるのだ! 温かい観光地を夢見て遠い目をするふたり。
「ぜひお客さんにはゴールしてほしいねぇ。私自身、ハワイは何年ぶりだろう……」
「ゴールしてほしいですねぇ。私……お正月からのお遍路さんするのだけは嫌です。絶対に嫌です。2日からならまだしも、年明けからはちょっと……」
ふたりは今回のお客さんが何らかの事情でゴールできない時のことを考えて自然とため息を漏らした。なんとその日のうちにゴールできなければ、不遇の魂を浄化に導くためと称して、バスは無理やり参加者を連れて『四国八十八ヶ所参り』へと向かってしまうことになってしまうのだ!
もちろん参加者にそんなことはひとつも知らされていない。今回のパンフレットにも『お正月ミステリーツアー』としか書かれておらず、行き先は一切秘密になっている。不幸にも参加者は当日のバスの中ですべてを知ることになるのだ。はたして今回のスゴロクツアー、無事にハワイまで行くことができるのだろうか?!
そして2006年、元旦の朝を迎えた。東京都内のビル街に二本松が運転するバスが静かに止まる。少し段差のある歩道には、たくさんの男女が待っていた。清海はいつもの調子で参加者に元気のいい声を人通りの少ないビル街に響かせる。二本松は大きなトランクを開き、お客様の荷物を収納する準備を始めた。
「皆さ〜ん、あけましておめでとうございま〜す! 今日はミステリーツアーにご参加頂き、誠にありがとうございます〜!」
「ささ、お荷物はこちらの方へどうぞ。外は寒いですので、どうぞ暖かい車内へとお入りください。」
ふたりに導かれるまま、バスに乗り込むツアー客の面々。その最中、清海は点呼をしながら個人にご挨拶する。
「えーっと、ウラ・フレンツヒェンさまに九竜 啓さまですね〜。」
「うん、あきらだよ。今日はよろしくね!」
「噂を聞いてやってきたの。楽しみだわ……クヒッ。」
「ウラさまは気合が入ってますねぇ〜。ゴスロリ衣装の着物版ですね。ひらひらのレースとかリボンが袖と裾、帯にもありますし……」
「あら、年の初めはこれでバッチリよ。」
ステップを軽く踏みながら、バスへと向かうウラ。あきらはそれを実に楽しそうに見ている。清海が視線を戻すと、新たなお客様が目の前を通った。慌てて名簿を確認しながら点呼作業に戻る。
「続いては施祇 刹利さまにオーマ・シュヴァルツさま……あらっ、もしかして東京ツアーチケットの副賞でこちらに来られた方ですかぁ?」
「商店街の福引で当たったんだ。まぁ、今日は雑用にでも使ってくれよ。エプロンも弁当も用意してきたからな。」
このオーマという人物、日本はおろか外国でも見ないような珍しい装飾の服を着ている。しかもすさまじくゴツい。威圧感バリバリのこの男もまた、旅行社の罠にハマった人間のひとりである。しかしこの旅行社、いったいどこで今回の宣伝をしたのだろうか。いろんな意味で謎である。清海は笑顔で仕事を続けた。
「お噂通りの方ですね〜。えっと、次は十里楠 真雄さまに真癒圭さま……は姉弟ですね。」
「今日はよろしく、ふふふ。」
「ちょ、ちょっと真雄。男の人が多くない?」
「真癒圭は窓側に座ればいいよ。通路側にはボクが座るから。それでいいでしょ?」
この後、人によっては何も楽しくないツアーになるかもしれないが、何も知らせていないうちからここまでうろたえている女性を見るのは清海も初めてである。さっきのご挨拶で不備があったのかと首を傾げつつも最後の点呼を行う。ところが彼女は声を詰まらせた。最後に残ったふたりの名を読み、ゆっくりと顔を上げる。
「シュ、シュライン・エマさまにマリオン・バーガンディさまっ!」
「あけましておめでとうございます〜。前の旅は楽しませていただきました。」
「ま、私も彼もこの旅行社のツアーと知ってこのバスに乗るんだから安心しなさいな。別にあんたたちが何を企んでても構わないわよ。」
「じゃあ後で驚いていただくということでよろしいですかぁ?」
「……やっぱり何かするつもりだったのね。じゃあみんなと驚きを共有するわ。」
マリオンはバスに乗り込む際にもう一度ガイドに向かってペコリと一礼し、シュラインも二本松を捕まえて軽く新年の挨拶をした。総勢8名を乗せたバスはゆっくりと動き出し、謎多きミステリーツアーはこうして幕を開けるのであった。
車内は座席の前にかけられたビニール袋に入ったみかんなどを食べながら実に和気あいあいとした雰囲気だった。さらにお客のはずのオーマが手作りのお弁当『下僕主夫特製新春新筋マッチョ踊り食い弁当』をみんなに配ってせっせと世話をする。食べ盛りのあきらや刹利はさっそく弁当を開けて豪華な食事を堪能した。ところがシュラインは彼らが食べているのをじっくり観察するだけで決して自分の弁当のふたを開こうとしない。これから何があるかわからないのに……そんな彼女の心配は的中した。清海が和やかな車内に冷や水をぶっかけるようなことを言い始める。
「えー、今回のミステリーツアーですが……たくさんのスポンサーの皆様に支えられて開催の運びとなりました〜。そこで皆さんにはお正月らしい趣向を凝らしたゲームを楽しんで頂きたいと思います。それではプリントをお渡ししますので、どうぞご覧下さい〜。」
来た!
シュラインは手渡されたプリントの上部を見る。それはこの旅行社らしい、やっぱりな企画名が書いてあった。そこにはデカデカと『新春スゴロク退魔ツアー』と書かれていたのだ! 一瞬にして場の空気が混沌とし始める……あきらは漬物を喉に詰まらせ、真癒圭は一瞬にして失神寸前にまで追い込まれた。そうかと思えば、真雄や刹利などは「へぇ〜」程度の感想しかなく、今からこれをするんだとしか思っていないらしい。まさに十人十色といったところだろうか。
「で、今回はこのサイコロを使って東京の霊的スポットを巡り、そこで年またぎしちゃった幽霊さんたちを成仏させながらゴールを目指しま〜す。なんとちゃんとゴールできたなら、このバスは自動的に南国のハワイへとご招待しますよ〜!」
「ちょちょ、ちょっと待って! た、退魔! お……俺、そんなのできないよぉ!」
「真雄……私ね、激しくバスから飛び降りたい気分……」
「お願いだから真癒圭、うつろな目でそういうセリフ言うのやめてくれない?」
「ヒヒッ、面白そうじゃない。あたしは気に入ったわ。これって縁起かつぎの一種じゃない?」
ただでさえ退魔などできないと自己申告するメンバーに追い討ちをかけるかのように、ガイドは恐ろしい事実を語った。なんとゴールできなければ、そのままバスは幽霊たちを祈りで成仏させるために正月からいきなり『四国八十八ヶ所参り』を実行するというのだ! さすがのシュラインもこれには反論する。
「お、お正月からそれは勘弁してほしいわ……興ざめもいいとこよ?」
「でもシュラインさん、もうバスは動いてますし。マリオンさんも防寒具完備でいらしてますからきっと四国に行っても大丈」
「私は皆さんの分までコートとマフラーをご用意してるわけではないのですが……」
さすがのマリオンも壮大なボケを振りかざす清海に対してツッコんだ。彼も四国だけは勘弁してほしいらしく、じっくりスゴロクの行き先をチェックし始めた。すると今度はガイド以上にとんちんかんな連中が次々とすばらしいボケを披露する。
「幽霊か〜、たしか『おめかしや〜』っていう人だよね?」
「……刹利クン、どこからそんなセリフが出てきたの?」
「いつも幽霊って破れた服とか白い服着てるでしょ。だからボクたちみたいに生きてる人がキレイに着飾ってるのが羨ましいからそんなこと言うのかなって思ったんだけど……なんか違う?」
「…………………………」
「おまえの言うことは一理ある。なぜなら幽霊たちはみんな愛に飢えているからだ! 要するに俺たちが愛を導けばおのずと成仏することができるという寸法よ! 霊魂は異次元を越える! ロマンだ、ロマンだろぉ少年よ!」
「ああ、だからおめかししたいんだ〜。ボク、やっとわかったよ。」
とにかく感覚ズレまくりのふたりが大暴走しているうちに、清海は紙で作ったサイコロをシュラインに手渡す。企画の方向が決定付けられるであろう第1投は誰もが固唾を飲んで見守った。シュラインは妙な緊張を全身に感じながら通路にサイコロを転がす……勢いよく転がったが、すぐに失速し最初の出目が姿を現した。出た目は『5』。スゴロクは基本的に先へ進むことが重要だ。シュラインはとりあえず大きな目を出して、ほっと胸を撫で下ろした。ところが刹利と並んで座るあきらが急に箸をテーブルに転がす。これは彼、いや彼らにとってある意味で最悪の出目だった。
「は〜い、まず最初の目的地は『倒産して首を吊っても幽霊となって営業を続けているお雑煮屋専門店のご主人を成仏させること』で〜す。ご主人自慢のお雑煮をみんなで全部食べ切ったら成仏してくれま〜す♪」
「あああ、お、俺、お弁当半分くらい食べちゃった……!」
「大丈夫だよ、ボクも半分くらい食べちゃってるし。」
「真癒圭さ、こういう幽霊なら別に気にならないんじゃない?」
「なんか……幽霊っぽくないわね、言われてみれば。」
なんとオーマのお世話が裏目に出てしまった。もちろん主夫は「俺のせいじゃない」と主張する。そりゃそうだ、食った人間が悪いのだ。あきらはガックリと肩を落とした。大食らいからスタートするバスツアー。はたして彼らは最初の関門をクリアーできるのか?!
バスはちょっと寂れた店の前に止まった。看板には『雑煮屋』とだけ書いてあり、中からはいい匂いが漂ってくる。清海を先頭に全員が店内に入ると、とても幽霊がやっているとは思えない清潔感あふれる内装が彼らを出迎えた。客は適当に席に散ると、さっそくご主人が雑煮を持って出てくる。これがまた芸が細かく、全国各地の雑煮がテーブルを華やかに飾った。透き通ったダシにもちが浮いていたり、白味噌の中からひょっこり顔を出していたりと、なかなかバラエティーに富んだ内容である。物珍しさにじっくりと観察する面々に対し、幽霊のご主人は冷めないうちに食べるよう勧めた。
「おぅ、じゃあ食ってくれ。もちは50個あるからな! 女の子は気にすんじゃねぇぞ。男がじゃんじゃん食えばいいんだ!」
「個数制限ですんで、がんばってくださいね〜。ここで時間を食うと制限時間に間に合わず四国行き決定ですよ〜!」
「えっ、このスゴロクって時間制限があるの?!」
「おっと急ぎの用ならじゃんじゃん作るぜ、あっはっは! でもお嬢ちゃんは急がずゆっくり食えばいいぞぉ〜!」
豪快に喋るご主人に頭を撫でられているのは……なんと悲鳴を上げたあきらだった。九死に一生を得るという言葉はまさに彼のために存在する。すでにお腹いっぱいのあきらはこの場は黙り、自分が女の子扱いされたまま手加減してもらえるようにと声を一切出さずに箸を持った。男にとっては苦行となるこの関門だが、越えないことには始まらない。多少尻込みする味方を鼓舞するかのように、オーマは箸も使わずお椀を持ってお雑煮をぐいっと一飲みしてみせた!
「っぷはぁ。こんな調子でいいか、親父!」
「こりゃ新年から景気がいいじゃねーか! 気に入ったっ! じゃんじゃん食ってくれ!」
こんな豪快な食いっぷりを見せつけられては回りも食べるしかない。とりあえず箸を持ち、味を確かめながら一杯目を食する。すると誰もが首を傾げた。『潰れた』と聞いていたのでてっきりマズいのだろうと思っていたらしい。ところが、これがうまい。自然と箸が進む。刹利はさっさとお代わりを頼むし、あの控え目な真癒圭でさえ一度お代わりするほどの味だった。そして誰もが「なんで潰れたんだろう?」と常に思いながら食事を進める。
その間、真雄はひとつだけ気になることがあり、二本松に頼んで『あるもの』を用意してもらった。バスにならおそらく積んであるだろう『それ』を入り口に立てかけ、自分はまた姉の隣に座って食事を始める。オーマの豪快な食いっぷりで50個は簡単にクリアー……と思ったその瞬間、顔を真っ青にさせて筋肉巨体が苦しみ始めた!
「う、ううううう、うぐぐぐぐぐ!!」
「やっぱりね。やると思ったんだ〜、一杯目をそのまま飲み込んだ時から心配はしてたけどさ。」
真雄がさっと立ち上がり、急いで準備してあったものを持って、悶え苦しむオーマの口に『あるもの』を遠慮なく突っ込んだ! そう、それは掃除機だった。吸い込み口は事前に消毒してあるので素早く吸引開始。すると「スポン」という気持ちのいい音とともに喉の奥に引っかかっていた餅が取れた。やれやれといった表情で餅を回収しようとした真雄を制し、オーマはそれを自ら手にとって今度はよく噛んでからごっくんする。そしてまた何事もなかったかのように雑煮を食べ始めたのだ。さすがの真雄もこれには呆れた。
「少しは懲りなよ、死にかけたんだからさ。」
「ああ、わふぁってるぅ。おやひぃ、おかふぁり!」
オーマに反省の色などまったくなし。一杯食べるごとに筋肉を動かしながら体調を整える独自の運動でノルマを達成した。店主の涙ぐんだ表情から出る嬉しそうな笑みと、退店時に深々と頭を下げてのお辞儀が印象的だった。彼らはまずご主人を成仏させ、次の行き先を決めるべくバスに乗り込んだ。
次にサイコロを振るのはウラである。着物の裾を上げ、おしとやかに振った出目は『4』。雑煮屋から4つ先を見ると、そこには意味不明な言葉が書かれていた。
「……迷子の、仔猫ちゃん?」
「正確にはネコマタの子どもですね〜。人狼のおまわりさんに『天国がどこぉ〜?』と聞くんですけど、おまわりさんは困ってしまって鳴いているそうです。」
「どっかで聞いたことのあるような話だな……気のせいかな?」
「えっ。ネコマタさんって幽霊じゃ……ないの?」
「存在が妖怪ですから、幽霊ってわけではなさそうです。お母さんのところに行きたがってるだけで、本人はまだ生きてるみたいです。」
真癒圭は頷いた。幽霊でないのならまだがんばれる。ここで活躍しておけば後から幽霊だらけの場所で無理しなくても済むかもしれない。彼女はここでがんばる決心をした。どちらにせよ、今回は女性向けの依頼には違いない。バスは人狼のおまわりさんがいる駐在所へと急いだ。
真癒圭は弟の真雄を引き連れ、積極的に事件を解決しようと試みる。だがここは東京ではなく異次元の狭間だ。あの世がどっちにあるかなどわかるはずもない。ずっと仔猫をあやしていた真癒圭は覚悟を決めて……真雄の膝枕で寝ることにした。それを見た女性陣はまずズッコケてからツッコミを入れる。
「「「寝るなーーーっ!」」」
「ち、違いますよぉ……寝ないと霊界の場所がわからないんです。せめて方向がわかれば泣いてばかりいるネコマタさんも救われるかなって思って。」
「困ってばかりいる人狼のおまわりさんもちょっとかわいそうなのは確かだけどね……」
力業で成仏させるわけにもいかず、ウラもシュラインも困り顔。ところがいつの間にかバスの外にマリオンが出てきた。そして何度かネコマタの頭を愛しそうに撫でると、光り輝くゲートを指差して言った。
「あそこに行けば、ママに会えるよ。」
『ニャ……あ、ありがとー!』
「ママによろしくね。ほら、真癒圭さんも手を振ってあげて下さいよ。」
「あ、はい。じゃ、じゃあね。」
『ニャ〜ン♪』
マリオンがあの世へと繋いだ扉は彼女を受け入れると自然に閉まった。真癒圭はそれを見届けるとマリオンにお辞儀する。
「どうもありがとうございました。私、全然お役に立てなくって……」
「そうですか? 真癒圭さんが真剣に話を聞いているのを見て、あの子は終始嬉しそうな表情を浮かべてましたよ。」
「えっ……」
「あの子はあっちの世界に行く前に救われて、私はよかったと思います。」
「ってさ、真癒圭。お手柄じゃん。」
それを証明するかのように、異次元の狭間を警備する人狼のおまわりさんも最敬礼を真癒圭に捧げた。彼女も照れながら同じポーズでそれに応える。このツアーでは珍しく、微笑ましいシーンとなった。
続いてあきらの出した目は『5』。順調にスゴロクの半分までやってきたかと思ったら、迂闊にもここでとんでもない内容を引いてしまった。それは今はなき大衆演劇場で寝泊りしパッとしないまま死んだ噺家の落語を聞いて爆笑することで成仏させるというものである。シュラインはあっさり「私は無理だから」とドロップアウトを宣言してしまう。さらにマリオン、真癒圭、真雄なども「自信がない」と弱気な表情を見せた。きっとウラは面白くなければシカトしてしまうだろう。そういう性格だ。笑いの沸点が低い人間が見当たらないまま、ガイドの案内でお化け屋敷のような劇場へと通された。
すると突然、出囃子が鳴り響く……しかもこれがまたベタな演奏で、早くも良識者の失笑を買った。舞台の下手からインパクトの弱い噺家が現れ、「毎度バカバカしいお笑いをひとつ〜」とお決まりのセリフから落語が始まる。「さすがに今回はダメだろう」と誰もが思ったその時、あきらと刹利がなぜかクスクスと笑い出すではないか。その後、少年たちは下手くそな言い回しで噛みまくりの落語を心の底から楽しんで笑い続けた。この噺家が創作落語で攻めてきたのがツアー客に幸いした。古典落語だったら若いふたりには理解できず、おそらく首を傾げただろう。だが他の面子にとって、これ以上の苦行はない。まさか『笑えない』ということが、これほど辛いとは思ってもみなかっただろう。
そして題目が終わり、噺家が深々と礼をするとそのまますうっと消えていった。きっと少年たちの笑い声に満足したのだろう。ツアー客は羨望の眼差しでふたりを見る。あきらと刹利は「面白かったねー」と繰り返すばかりでどこがどう面白かったかは具体的に説明してはくれない。何もかもが納得できないまま、次のサイコロが刹利によって振られた。残りは5人。刹利の出した目は『2』。ここで少し足踏み状態となった。ここではかわいい少女の妖怪『ぶるぶるさん』を成仏させるために奮闘しなければならない。思ったよりも退魔っぽくない条件が参加者の緊張をほぐした。
ところがこの妖怪、一筋縄ではいかない妖怪である。そうとわかったのは本人に会ってすぐのことだった。ネコマタの件でがんばった真癒圭に続けとばかりに、シュラインが震えている彼女の肩を不用意に触った時から一連の騒動が始まる。
「あらあらあら、何これ……身体の震えが止まらな……?」
『びくびく……おどおど……』
キュートでかわいい少女の容姿を持つ妖怪は怯えた表情のままシュラインを見るが、すぐにプイと横を向いてしまう。どうやら彼女、恥ずかしがり屋の上に小心者らしい。身体に変調をきたしたシュラインはたまらずウラにタッチする。
「あららら、と、とりあえずお任せ……ぶるぶるぶる。」
「クヒッ、お任……せらあらあら、ぶるぶるぶるぶる……た、立ってられな!」
「おい、俺に触っ、筋肉ぶるぶるぶるぶる……」
小柄なウラは足まで震えて転びそうになった。その拍子に今度はオーマに触れてしまう。すると彼もぶるぶると震え出す……そう、彼女は自分の臆病さを身体の震えとして伝播させる妖怪なのだ! 一部始終を見た真癒圭はたまらず弟に指示する。
「真雄っ、ちゃんと治してあげなさいよ!」
「お三人さんには言いにくいんだけどさ……これは治せない。むしろこの娘を救ってあげる方が早いと思うよ。」
「るぶるぶるぶるっ……たっ、助けるぶるぶる?」
「今の状態なら、さっきの噺家よりも面白いことできるでしょ?」
ウラは『あれに負けるくらいなら』とおかしな負けん気を発揮し、見るもおかしなぶるぶるトリオを結成。手を繋いでぶるぶるを加速させながらもダンスのステップを披露する。シュラインもオーマもそれに合わせるだけの才能はあった。そしてシュラインがぶるぶるの張本人に手を差し伸べると、3人はさらにぶるぶる震えながら抱腹絶倒のサークルダンスを披露する。見ていて楽しかったからかあきらがその中に混ざり、まるで学芸会のようなダンスが繰り広げられた。興が乗ってきたのか、誰もが楽しそうな笑みを浮かべている。真癒圭やマリオン、刹利は微笑みながら手拍子で場を盛り上げた。
すると少女は一言だけ発すると、そのままその場から消えてしまった。成仏させるのに成功したのだ。ウラは確かに聞いた。彼女が『あったかい』と嬉しそうにつぶやいたのを……
「あら、当たり前じゃない。あたしと踊ったんだから。」
彼女は震えで乱れた着物を直しながら、得意げに「フフン」と笑ってみせた。
スゴロクも後半戦へと突入した。思ったよりゴールは近い。オーマはマッチョシュートなる怪しげな投法でサイコロを振ると、出た目は『5』だった。最初のお雑煮からずいぶん時間が経っていたので、みんなは「もう大丈夫だろう」と安心して彼の弁当をおいしく食べていた。スゴロクの紙を引っ張り出して行き先を確認すると、今回は不幸にも交通事故に遭った移動アイスクリーム屋さんを満足させて成仏させるという内容だった。食事の後のデザートには最適なイベントだとメンバーは大喜び。弁当をぺろりを平らげ、さっそくバスを降りてアイスを食べるために順番に並んだ。
ところがここもお雑煮屋と同じノリで、大量のノルマが課されていた。事故前に多少の売上があったものの、結構な量が残っている。これを空にしなければならないと清海は説明した。ここは女性の出番と普段はめったに頼めないトリプルや贅沢な味の組み合わせなどでしばし腹ごなしをする。ここではガイドの清海も混ざって、女性同士でおしゃべりに花を咲かせていた。シュラインも疲れた身体には甘いものが一番とリラックスしながら食べた。
全員が満足するくらい商品が行き渡ったところで、ふっとウラが車内へと侵入した。彼女の目的はただひとつ……ここにあるアイスクリームをすべて食べ尽くすことだった。甘いものが底なしに大好きなウラは大きな容器を持つと、そのまま近くにあったしゃもじを器用に使って丁寧に食い散らかす。ひとつ、またひとつと食べていき、数十分後には商品をすっからかんにしてしまったのだ。
「あら、なくなったわね。おかわり。」
『も、も、もうないんで……我々は成仏させていただきま〜す!』
車はウラを放り捨てて空へと逃げていった。男はもちろん、女も驚きの表情でしゃもじに残ったアイスを舐めるウラを見つめる。皆の心配は「後でお腹が痛いとか言い出さないか」ということだけだった。
いよいよスゴロクも佳境を迎える。実はこの時点でゴールまでのマスは5つしかなく、真雄が『6』を出せばめでたくゴールだった。しかし出た目は思い通りに出ず『2』となった。しかも今回のマスにはラスト前にふさわしく、本格的な退魔の内容が書かれていた。しかもこれに失敗するとスタート手前まで戻されてしまうペナルティー付き。おそらく大きなスポンサーがバックにいるのだろう。ここでは洋館で無限増殖する浮遊霊を退治することが条件だった。
いよいよこの瞬間がやってきた。霊に怯える者、戦いに備える者、勘違いする者さまざまである。バスは問題の洋館の前で止まると、清海の口から残り時間が2時間しかないことが伝えられた。ここからは時間との勝負である。意を決したメンバーは洋館への侵入を試みる……すると入り口から2階へと続く階段がある広いホールには白い浮遊霊が温風乾燥機のようにグルグルと蠢いているではないか! こんなものを相手していては制限時間に間に合わない。ところが扉は来客があると知るや、勝手に開き不思議な力で全員の背中を押してホールのど真ん中へと突き飛ばす。もちろん扉はそのまま施錠されるというお約束の展開が待っていた。真癒圭はすでに気絶寸前で、真雄も姉の安全確保に全力を注がざるを得ない状況となった。
場はすでに混乱している。オーマはなぜか霊と肩を組み、『幽霊さん専用お見合い写真集』なるものを見せて幸せな成仏を語っていた。不思議と霊をご自慢の筋肉で無理やり押さえつけているようにも見えたが、おそらくは気のせいだろう。マリオンやシュラインは霊能力を持たないため、とりあえずは端っこで状況を見守っている。ウラはさっそく雷のスタッカートに合わせて踊り、幽霊たちを成仏させないまでも電撃でその勢いを弱めていた。そんな時だ……無防備なあきらが攻撃的な霊に何度か頬を打たれてしまう! その反動で大きく後ろへのけぞるあきら……近くに転がっていたパイプを過剰強化しようとしていた刹利がそれに気づいて傍に駆け寄る!
「あきらクン、大丈夫?!」
「うう……あ、ああ。せ、刹利、俺は大丈夫だ。」
ふらついていたあきらはその言葉と同時にすっくと立ち、今までと雰囲気をガラッと変えた。あのおどおどした表情はどこかに消え失せ、この状況でありながら自信に満ち溢れた笑みを見せる。なぜか身長もかなり伸びており、顔つきも明らかに男としか思えないようなすがすがしいものに変化していた。呆然とする刹利の背後に迫る霊に対し、あきらは念のこもった手刀で敵を撃破する!
「はあぁぁっ!」
『…………………』
「あ、あきらクン! た、退魔なんてできないって言ってたのに……」
音もなく消え去る浮遊霊に疑問を持ったのか、あきらは眉をひそめる。しかし彼はそれを口にする前に自分の心配をしてくれた刹利に一声かけた。ここがあきらの面影が残る部分だ。
「油断するなよ、刹利。さてと……オッサン!」
「わかってるぜ。筋肉マッチョ腹黒親父を舐めんじゃねぇよ。こいつら本当の霊じゃねぇな!」
なぜ霊をつかめるのかはわからないが、オーマは話しかけた連中を一度に地面へ叩きつけた。そんなふたりのやり取りを聞いたシュラインは、刹利とマリオンに声をかけるとすぐさま屋敷の探索を開始すると周囲に伝えた。それを見た啓が微笑みながら「さすがはプロ」とつぶやく。シュラインはこの手の依頼を何件も経験している。おそらく解決の糸口をつかんだのだろう。啓は真雄に声をかけた。
「真雄、こいつらは霊じゃない。武器さえあれば倒せるはずだ。姉さんを守ることだけを考えて、今は耐えるんだ。」
「ご丁寧にどうも。最初からそのつもりだよ。さてと……面倒じゃない方法でしばらく運動しますか。」
「人が真剣にラブリーセクシー写真集を見せてやったっつーのに困ったもんだ。ちょっとお仕置きが必要だな。」
「クヒッ、適度な腹ごなしにはなりそうね……」
どこからかあふれ出る敵と戦い続ける決心をした4人は広いホールを縦横無尽に駆け巡った。あとはシュラインたちに賭けるしかない。タイムアップが先か、クリアーが先か、それとも誰かが傷つくのが先か……最も危ない賭けが今、始まった。
シュラインとマリオンは、刹利を先頭に部屋のひとつひとつを丁寧に探索していく。ホールよりも霊の数が少なく移動は楽だった。ところが刹利の能力が探索に追いつかず、霊退治に使っている武器が途中で灰になってしまう。彼は常に過剰強化するための媒体を探しながら戦うハメになった。
シュラインとマリオンは発生のキーとなるアイテムを見つけ出すのに血眼になっていた。これだけの広さを誇る洋館なら、間違いなく隠して置いたりはしない。おそらくは安易に調度品として用い、館の主がその本質を見抜けずに身を滅ぼしたと推測していた。そしてついに主人の書斎らしき部屋でそれらしきものを発見する。それはゴルフやら何やらのトロフィーやカップと共に飾られていたのだ!
「やっぱり……これですね。これは優勝カップなんかじゃないです。ヨーロッパの書物でよく魔封の壷として紹介されているのによく似ています。」
「この手のアイテムは壊しちゃうのが一番なんだけど……マリオンはどう思う?」
「無限に発生するのが本物の浮遊霊ではないのなら、再封印する必要性は感じませんね。刹利さんに壊して頂きましょう。」
「よーし、じゃあ思い切って根元からゴキッと! それっ!」
ゴキンッ!
書斎に鈍い音が響いたかと思うと、あたりから奇妙な存在が四散した。3人は安全を確認すると急いでホールに戻り、誰も犠牲者が出ていないことを知るとホッと胸を撫で下ろす。部屋の端にあるソファーで幽霊大嫌いの真癒圭が眠るように倒れていたが、他のメンバーが怪我をした様子はなかった。刹利は啓の元へ急ぐが、なぜかさっきのクールな面持ちはすでに消えていた。
「あ、あれ、啓……くん?」
「ああ、おかえりー。どこ行ってたの、刹利クン?」
「な、なんか、ま、また雰囲気変わったね。ま、まぁ、いっか。」
屈託のない笑顔を周囲に振りまくあきら。ホールの片隅にカスミソウの花が飾ってあった。彼だけがあきらの真実を知っている……カスミソウは来客が帰るのをじっと見送る。館を救ってくれた勇者たちを静かに。
バスの中ではいよいよハワイ旅行への期待が高まっていた。真癒圭とマリオンが合計で『4』以上を出せばハワイ直行である。超豪華リゾートを目の前に気絶から復活した真癒圭はサイコロを振った。そして、ついにその時がやってきた!
カランカランカラ〜〜〜ン♪
「おめでとうございま〜す! 真癒圭さんの出目は『5』ですので、今から超豪華ハワイリゾートへ直行です〜!」
高らかに鳴り響く鐘の音は二本松への合図でもあった。クラクションを祝砲代わりに鳴らすと、周囲の風景は突然として常夏の世界へと変貌する!
「おおー、あきらクン! 外はもうハワイだー!」
「よかったねー♪」
「さすが真癒圭、決める時は決めるね。」
「だってみんなが大きい目ばっかり出すから、私もここでって思っただけよ。」
「でも確率的に四国もあり得たんで、私は安心しました。妙なプレッシャーの中でサイコロを振らずに済みましたし。」
マリオンは素直な感想を真癒圭に伝えた。そう、あの時点でもわずかではあるが四国行きの目は残されていたのだ。しかしその不安を一気に吹き飛ばしたのが真癒圭である。清海は副賞の超高級マカデミアナッツチョコレートの詰め合わせをツアー客に配って回った。ところがこれが恐ろしく重い。どうやら箱の容量よりもたくさんの量が入っているようだ。誰もが自分ひとりで食べきれるかどうかが不安になったほどである。
彼女の説明はハワイでのリゾートの説明や注意事項に変わった。ようやくリラックスした雰囲気が車内に広がる。彼らの苦労はようやく報われた。こうして彼らはハワイで新春を過ごすという贅沢を楽しむこととなった。
シュラインとウラ、そしてマリオンは思い出作りにホテルの前や豪華な部屋の中でデジカメを撮りまくっていた。さすがは謎の旅行社が用意したホテルである。今回もグレードは高い。そんな中、マリオンはさっそくハワイの砂浜を激走する野望をその小さな胸に秘めていた。満天の星空の元で自慢の車をかっ飛ばすなどなかなかできない。思いっきり趣味を満喫しようと計画する彼だが、他のふたりも同じようなことを考えていた。
シュラインはおみやげを物色した後は室内プールやプライベートビーチで泳ぎを楽しもうと考えており、ウラもまたここでしか味わえない本場の甘いものを食べようと今から心を高鳴らせていた。しかしふとウラがあることに気づいてマリオンの方を向く。
「そういえばおまえ、サイコロを振らずに終わったじゃない。ツアーを楽しめなくってちょっともったいないわね。」
各自の部屋へ向かう道すがら、そんなことを口にする彼女。ところがマリオンの表情は明るかった。実は彼、清海に頼まれてサイコロを振って出目を決定していたのである。シュラインもそんなことがあったとは知らなかった。しかし何のために振ったのだろうか。
「まさかあの旅行社、明日になったら四国に連れてく気じゃないでしょうね?」
「それはないですよ。明日も私たちはここに滞在しますよ。ただ思い出してください。私たちは真癒圭さんの出目でスゴロクをゴールしましたが、最終的に出目がひとつ余りましたよね。そこに私が振った『4』を加算して、今回のツアー料金をその数で割り引くというボーナス特典があるそうなんです。」
「ええーーーっ! じゃあ今回の旅費って半額なの?!」
「最初から旅行社のルールでは決まってたらしいですよ。もちろん誰にも秘密だったみたいですけど。」
「あれだけ食べて楽しんで旅費まで半分なら本当に安いツアーね、ヒヒッ。」
金銭感覚に関してはおおらかな気持ちを持つウラとマリオンだが、さすがに今回のツアーはお得と感じずにはいられなかった。逆にシュラインは旅費が浮くことを聞き、ショッピングに熱がこもる自分を想像して恐怖する。財布のひもが極限まで緩むのが旅行の恐ろしさ。はたして彼女はこの誘惑に勝てるのだろうか……?
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┏┫■■■■■■■■■登場人物表■■■■■■■■■┣┓
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┗━┛★PCあけましておめでとうノベル2006★┗━┛
0086/シュライン・エマ /女性/ 26歳/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員
3427/ウラ・フレンツヒェン /女性/ 14歳/魔術師見習にして助手
5201/九竜・啓 /男性/ 17歳/高校生&陰陽師
5307/施祇・刹利 /男性/ 18歳/過剰付与師
1953/オーマ・シュヴァルツ /男性/ 39歳/医者兼ヴァンサー(ガンナー)
3628/十里楠・真雄 /男性/ 17歳/闇医者
3629/十里楠・真癒圭 /女性/ 30歳/文章ライター兼家事手伝い
4164/マリオン・バーガンディ /男性/275歳/元キュレーター・研究者・研究所所長
(※登場人物の各種紹介は、受注の順番に掲載させて頂いております。)
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■ ライター通信 ■
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皆様あけましておめでとうございます! 今年も市川 智彦をよろしくお願いします!
今回はぶっ飛んだ内容のあけおめノベルでしたが楽しんでいただけましたでしょうか?
ちなみに最後の最後だけ、各キャラクターによって違うエンディングになっております。
またそちらもチェックしていただけると楽しさがちょこっと膨らむと思います(笑)。
今回は本当にありがとうございました。余裕のゴールで私も驚きました(笑)。
また別の依頼やシチュノベ、異界などでお会いできる日を心からお待ちしております!
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