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<東京怪談・PCゲームノベル>


ココロを変えるクスリ【甘い×関係】



 【ねぇ・・・貴方との関係は、友達?親友??】

 【なんて言えば良いのか、わかんないよ・・・・】



☆★☆はじまり☆★☆


 いつもと同じように夢幻館にやって来た桐生 暁は、いつもでは到底起こり得ない体験をした。
 夢幻館の扉を押し開けた瞬間・・・見慣れた女の子が暁の手を掴み、暁に抱きついた。
 「え・・・え??閏ちゃん・・・?!」
 「うふっ☆」
 悪戯っぽい瞳を覗かせながら、紅咲 閏は手に持った水を暁に差し出した。
 「え・・・え・・?なに・・・?」
 「持っててく〜だサイ☆」
 何が何だか分からないが、水を持つくらいはどうって事ない。暁は素直に閏から水を受け取ろうと、手を伸ばした時だった・・・閏が暁の頭を両手で掴み、引き寄せ・・・。
 突き飛ばす事も出来なく、かと言って振り払う事も出来なく、暁はなす術もなく閏の方に―――何かが口の中に入れられる。
 閏が暁を押し倒し、手に持った水を口の中に流し込み・・・ゴックン・・・なにか固形状のものが、胃の中へと流れ込んだ。
 「・・っ・・・ゲホっ・・・ゲホゲホッ・・・!!」
 急に水を流し込まれたために、気管に入り込みそうになり、暁はむせ返った。
 涙目になりながらも、なんとか引っ掛かりが取れ―――

   ドクン

 心臓の音が激しく鳴った。
 暁の耳に聞こえるくらい大きく、心臓が跳ね上がる。
 どうしようもなく、胸が締め付けられる。ギュっと、まるで心臓を鷲掴みにされているかのようだった。
 「え・・・な・・に・・・?くるし・・・っ・・・。」
 「大丈夫ですよ、すぐに楽になりますから。」
 暁は倒れこみながら心臓を押さえた。
 それを見下ろす閏の表情は、甘美な微笑をたたえていた。
 しかし、暁はそんな事を考えている余裕はなかった。
 心臓が痛い・・・ギュっと、締め付けられる。
 ・・・痛い・・・イタイ、イタイ・・・苦しい・・・
 でも、これはギュっと掴まれているような痛みではなく、何と言うか・・・

  キュンと、胸が締め付けられているかのような―――

 「ほら、楽になってきたでしょう?大丈夫、半日で、元に戻るから・・・ね?」
 クスリと小さく微笑むと、閏は暁の頭をそっと撫ぜた・・・。


★☆★始まる、関係★☆★


 ふわり、目を開ける。
 どこか見知らぬベッドの上に、暁は寝かせられていた。
 窓から差し込んでくる光が目に痛く、思わず目を擦る。
 「起きたのか?」
 優しい声が柔らかく耳に届き、暁は身体を起した。
 「・・・冬弥・・・。」
 「ホールの前で倒れてたんだって?閏が見つけて、血相変えてたよ。・・・大丈夫なのか?」
 心配そうな顔で、冬弥が暁の顔を覗き込む。
 「ん、平気。」
 暁は頷くと、冬弥を見詰めた。
 相変わらず整った顔立ちだ・・・思わず見とれてしまいそうになるほどに、完璧なまでの美男子・・・。
 この人が、俺の最愛の・・・なんて、口が裂けても絶対に言わないけれど・・・。
 そう思った時、頭のどこか片隅がチリリと傷んだ。
 なにかを忘れているような―――そんな考えは、すぐにどこかへ溶け消える。
 「って・・・なの!?・・・に、るの・・・?!」
 「見れば分かります!」
 突如廊下からそんな声が響き、暁と冬弥は扉を見詰めた。
 コンコンとノックの音がして・・・
 「どうぞ?」
 答えたのは冬弥だった。
 カチャリと、どこか遠慮をするような感じで薄く扉が開き、もなと閏、そして魅琴と奏都が姿を現した。
 「あっと・・・暁ちゃん、平気??なんか、倒れたって聞いて・・・」
 「あ、心配してくれてたんだ〜?ゴメンゴメン、なんか知らないけど、倒れちゃってたみたいで・・・おっかしーなぁ、昨日は睡眠もバッチリだったはずなのに・・・。」
 ニパっと笑うと、暁はいつもの調子でそう言った。
 もなと魅琴が顔を見合わせ・・・小首を傾げる。・・・なにか変な事でも言っただろうか?
 「そうだ、閏ちゃんも・・・ゴメンネ?驚いたっしょ?急に倒れてて・・・」
 「いえ、暁さんが大丈夫ならそれはそれで・・・。貧血だったそうで・・・ちゃんと食べないとダメですよ?」
 閏がにっこりと微笑んだ。
 「そっか。ゴメンゴメン。あっれ〜、でも俺、ちゃんと食べてるはずなんだけどなぁ・・・。」
 「暁は元が細いからな。もっと食べないと。」
 冬弥がそう言って、暁の腕を取った。キュっと力を入れられて、痛みで思わず顔をしかめる。
 「冬弥・・・痛いって。もー、お触りは、ちょっとだ・け・よ☆」
 「ふっ、ばーか。」
 コツンと頭を叩かれて・・・・
 「ね・・・?言ったでしょ?」
 「すごぉーい!効果てき面だね!」
 「冬弥が変だ!ってか、暁が冬弥って言ってたぞ!?ちゃんがないっ!!」
 「なんだか初々しいですよね・・・」
 ごにょごにょと、扉の前で円を描いて話し込む4人に向かって、小首を傾げる。
 なんだか今日は皆の様子がおかしい気がする。
 「あ・・・暁、昼は・・・まだ食ってないんだろう?その・・・えーっと・・・俺が、2人の分を運んで来るから、ちょっと待っててな?」
 魅琴が不自然な動きをしながら、片言の言葉を紡ぐ。なんだか口調もおかしい・・・。
 「・・・魅琴ちゃんだいじょーぶ?それに、俺は平気だよ。下で食べられるし・・・」
 「いえ、大事をとってここで食べていただきます。階段の途中で倒れられては困りますし・・・まぁ、冬弥さんが運んでくださるでしょうけれど・・・」
 「とにかく、暁ちゃんは今日は絶対安静!この部屋から出ちゃダメっ!冬弥ちゃんとここにいる事っ!分かった?」
 「・・でも・・・」
 「お願いだから、ここにいてよ・・・」
 もなが真剣な顔でそう呟く。
 本当に、具合が悪いわけではないのだが―――でも、こんなにも心配してくれているもなの言葉なのだ。従っても、良いのではないだろうか?
 「分かった。そうする。」
 暁は素直に頷いた。
 そう言った暁を見て、もなが安堵の表情を浮かべる。そして小さな声で「これで大丈夫だね」と囁く。
 そんなに心配されていたなんて、夢にも思っていなかっただけに、なんだか少し、温かい気持ちになる。
 「それじゃぁ、バク転とかはしないようにしないと・・・」
 「あ、それはしても大丈夫・・・っと・・・そーそー、安静にね?安静に・・・」
 もなが引きつり笑いを浮かべながら、1歩だけ後退する・・・。
 「どーしたの?なんか今日のみんな本当におかしいよ〜!?なになに、なんか俺ってばハメられようとしてる!?」
 「そんな事はありませんよ。皆さん、暁さんが倒れられて動揺しているんですよ。ね?」
 奏都の言葉に、3人がブンブンと首を縦に振る。
 「・・・そっか。でも本当に、そんなに心配されるようなものじゃないから。大丈夫だから。」
 「とりあえず、お昼は俺が持ってくるから・・・!」
 魅琴はそう言うと、もなと閏を部屋から押し出した。次に自分が部屋を後にし、最後に奏都が頭を下げながら扉を閉めた。
 「なんか、結構俺ってば大切にされてる・・・?」
 「あたりまえだろ?」
 冬弥はそう言うと、暁の隣に腰を下ろした。服同士が擦れるほどに近く、薄い布越しから、冬弥の体温が伝わってくる。
 暁は思わず俯いた。真っ白なベッドの上に投げ出された自分の足をじっと見詰める。
 「・・・どーした?今日はやけに大人しいな。」
 「え?そんな事ないっしょ?別に普通だよ!それより、皆の方がおかしくなかった?なんか企まれてる・・・!?」
 「それはどうだかな。」
 冬弥はそう言うと、ふっと息を吐き出した。
 「やっぱお前おかしいぞ?もっといつもはこう・・・弾けてると言うか、五月蝿いと言うか・・・」
 五月蝿いと言われた瞬間、ほんの少しだけ胸が痛んだ。
 チリリと、まるで火傷をしてしまった時のような痛さだった。
 「あはは、何でか、相手が俺の事軽いと思ってると軽く振舞っちゃうんだよな・・・。」
 そう。相手の思っている通りの人を演じれば、相手は落胆したり失望したりしない。
 ソレは一番簡単な人間関係だった。相手が思っているように振舞うから、相手は自分の事を“そう言う人”だと決めつける。暁の心の奥底まで、見ない・・・見せない・・・。
 「ね、冬弥はどう言う俺が好きなの?」
 言ってくれれば、その通りに演じるよ。
 ―――嫌われたくないから・・・。
 嫌われるのは、怖い。他の誰に嫌われるよりも、愛する人に嫌われる事が・・・一番コワイ・・・。
 何でもするから、嫌わないで欲しい・・・五月蝿いって言うなら、直すから―――。
 冬弥が不思議そうな顔で暁を見下ろす。
 ・・・ちょっと、重たかったかな・・・?
 暁はそう思った。ウザイと思われた・・・?嫌いになった・・・?
 そんな事、表情には決して出さないけれども―――。
 「・・・なんちゃって・・・。」
 さっき言った事は全部嘘だよ。冗談。ほら、俺って“そう言うヤツ”じゃん?
 そんな意味を込めて、暁は曖昧に言葉を濁した。微笑んだ笑顔も、曖昧なモノ。
 「どう言う俺が好きなの?って訊かれても、困る。」
 本当に困ったような表情を浮かべると、冬弥は溜息をついた。
 その動作一つ一つに、一喜一憂。
 嫌われたくないココロが、素直な言葉を紡ごうとするけれど、それを阻止するのは暁の心の奥底、未だに素直になれないココロ。
 意地っ張りな態度に出てしまうのは、そんな相容れぬココロ同士が混じり合って、歪なココロを作り出すから。
 「モー!だから、冗談って言ってるじゃん!しつこいなぁ。」
 わざと冷たくそう言って、思わず落ち込む。
 言いたかった言葉は、全然違う言葉だったけれど、歪な心の奥底に封じ込められてしまった・・・。
 どうしようもなく不安になって、何故だか泣きたいような気持ちになって、思わず・・・冬弥の腕にコツンと頭をつけた。力なく、寄りかかる・・・・・。
 「具合悪いのか?」
 「違くって・・・」
 「なぁ、上手く言葉に表せないけど・・・。」
 「なに?」
 「俺は、どんな暁でも、関係なく・・・。・・・暁が、好きなんだよ。」
 「・・・え?」
 「どう言う俺が好きなのって、さっき訊いたよな?“どう言う”って、限定的なものじゃなく・・・。桐生 暁って、全てが、好きって・・・そう言う答えじゃ、ダメか?」
 考えながら、ゆっくりと発せられた言葉―――
 つまりは・・・暁の全てを好きだと、そう言う事なのだろうか?
 演技をしている時の暁も、普段の、作っていない暁も、全部ひっくるめての・・・好き・・・?
 ポッと、まるで淡い炎が灯ったかのように、心の真ん中が温かくなる。
 「全部好きって、結構凄くない?俺の悪いところも、全部好きって事なんでしょ?冬弥って、心が広いネー。」
 言いたい事は、全然違う事。
 さっきから、言いたい事は一つも言えないでいた。紡がれる言葉は言いたい言葉と反対の言葉。
 言ってしまった後で後悔する。怖くなる。
 この一言で、冬弥の心が離れて行ってしまったら・・・・・・?
  イカナイデ
 ―――そんな事、言えないよ。
 臆病なくせに、意地っ張りで、可愛くしたいと思いながら、可愛くない事を言ってしまう。
 ・・・難しいね・・・。
 キュっと、冬弥の服の裾を握った。
 それは暁の精一杯の“甘え”だった。
 意地っ張りな心が許してくれる、最大限の素直な行動・・・・・。
 元々は素直なはずなのになぁ・・・なんて、ボンヤリ考えたりして・・・。
 「それにしても、魅琴のやつ、遅いな。」
 「そーだね。」
 そう呟いた時、部屋の扉がノックされた。
 遠慮がちに開いた扉から覗く、魅琴の姿。その手には大きなお盆が乗せられており、その上には美味しそうな食事・・・。
 「悪い。待ったか?」
 苦笑いをしながら入ってくる魅琴に、暁は微笑みかけながら軽く首を振った。


☆★☆終わる、関係☆★☆


 部屋の隅に備え付けられていた真っ白なテーブルと真っ白な椅子の上で、2人は静かに昼食をとった。
 御飯を食べ終わり、空いたお皿を綺麗に重ねる。
 食べ終わったら下に持って行こうか?と冬弥が言ったのだが、魅琴は不自然な笑みを浮かべて頭を振った。
 扉の外に出して置いてくれれば、勝手に持って行くから―――と・・・。
 「なんだか出前みたいだな。」
 「なぁんかなぁ。そこまでしてくれなくても平気なのになぁ・・・。」
 暁の呟きに、冬弥がペシリと軽く頭を叩いた。
 「え・・・?」
 不思議そうに頭を押さえて冬弥を見詰める暁の視線を、まるで避けるかのように、冬弥はお盆を扉の外に出した。
 そして、クリルとこちらを振り向き―――その瞳は、哀し気だった。
 「暁はすぐにそうやって我慢するから・・・俺は、気が気じゃないよ。」
 「我慢なんてしてないよ・・・」
 「してるだろう?辛い事も、辛いって言わないで、いっつも笑ってて。」
 だって“ソレ”が“俺”だろう?皆が思い描く“桐生 暁”は“そんなヤツ”じゃん。
 「我慢してるの見る度、その辛さを言えないほど俺は頼りないのかとか、俺の事信じてないのかとか、色々―――」
 「そんな事ないよっ!」
 かなり激しい口調になってしまい、暁は思わず『シマッタ』と言う顔をした。
 バツの悪さに、思わずそっぽを向く。
 コンと、軽い音を立てて冬弥が扉にもたれかかった。寂しげな瞳を、空中に彷徨わせる。
 「頼むから、言ってくれよ。暁が辛いと・・・」
 苦しげな表情で、冬弥は暁を見詰めた。
 暁も、冬弥と視線を合わせる―――
 「言うよ・・・ちゃんと・・・だから、冬弥も・・・言ってよ。」
 ふわりと、暁は微笑んだ。けれどもそれは、どこか泣き笑いのような表情だった。
 冬弥が扉の前から暁の前、テーブルを挟んだ向かい側の椅子に座る。
 窓から差し込む光が、冬弥の赤い髪を淡くオレンジ色に梳く。キラキラと輝く細い髪を見ながら、暁はそっと呟いた。
 「ね、冬弥。・・・俺が・・・人じゃないって言ったら、どうする?」
 冬弥がゆっくりと視線をこちらに向ける。優しいその瞳は、暁のココロをギュっと掴む。
 ―――沈黙が痛い。
 冬弥は何も言わない・・・ソレが、酷く心に突き刺さる。
 ねぇ、嫌わないでなんて言えないから・・・だから、離れてしまった場合、貴方を繋ぎとめる言葉は、持ってないんだよ?
 「どうして欲しい?」
 ややあってから、冬弥がゆっくりとそう言った。
 先ほどまでと同じ瞳の色で、静かに暁を見詰めて―――。
 「どうって・・・」
 視線を彷徨わせる。
 そんな事をしても、答えが見つかるなんて思ってないけれど・・・・・。
 「俺が、悪魔だって言ったらどうする?って言うのと、同じ質問だろ?」
 「え・・・?悪魔・・・?」
 目を瞑り、何かを押し殺すようにそっと、長い長い息を吐いた後で、冬弥は目を開けた。
 立ち上がり、暁の直ぐ近くまで来ると、腕を引っ張った。
 「わ・・・ちょっ・・あぶ・・・」
 よろける暁をしっかりと抱きとめ、そこから何かを得ようとするように、強く強く抱きしめる。
 ・・・温かい・・・。
 そう思うと、暁はそっと瞳を閉じた。
 全神経を“ソレ”に集中させる。冬弥の鼓動と自分の鼓動が合わさり、甘く混じり合う。
 冬弥の背中に手を回し、しばらくそうしていた後で、冬弥が暁を持ち上げた。
 ふわりと地面が遠くなり、数歩歩いた先、ベッドの上で暁は下ろされた。
 購うように両手で冬弥を押さえようとするが、すぐにベッドに押し付けられる。
 「やっ・・・ちょっ・・・!」
 どんなに力を入れても、びくともしない・・・力の差は歴然としているから・・・。
 それでも、無意味な抵抗をしばらく続けた後で、暁は全身の力を抜いた。
 見上げたソコ、冬弥が酷く真剣な面持ちでじっと暁を見詰め・・・暁は目を閉じた。
 プチンと音を立てて暁の第2ボタンが外され、冬弥の顔が直ぐ近くに迫ってくる。
 吐息が混じる程に近く、唇と唇が触れ合う、まさに寸前―――

   パチン

 何かが暁の中で弾けた。
 今まで暁の胸を締め付けていたものが、一気に弾け飛ぶ。
 「・・・・え・・・・?」
 パチリと目を開けた先には、冬弥の顔。その顔も、驚きに染まっている。
 「・・え?・・・え?・・・えぇぇっ!?」
 「だぁぁぁっ!!!!!!」
 冬弥が凄まじい勢いで暁の上から跳び退る。
 ボタンが外され、肌蹴た胸・・・暁は急いで起き上がり、ボタンを掛けなおした。
 その際、普通に開けていた第1ボタンまできっちりと閉めてしまう。
 なんだったのだ・・・今までの事は・・・。
 なんだったのだ・・・!?ってか、本当になにっ!?
 「っえー!!何!?ドッキリ?夢!?え、え・・・!?本当になにっ!?」
 暁が叫んだ瞬間、大きな音を立てて扉が開いた。
 そこにはビデをカメラを手に、にっこりと微笑む閏の姿―――
 「あぁ、おしい。もっと切れるのが遅ければ、良い映像が手に入ったのに〜。」
 笑いながらも残念そうにそう言い、閏は溜息をついた。
 「美少年と美男子の禁断の恋・・・売れると思ったのにナー。」
 「ってか、閏ちゃん・・・コレはなに!?」
 「このクスリのせいだよ。“ココロを変えるクスリ”・・・これで、2人は恋人同士になってたんだ。」
 恋人・・・同士・・・?
 蘇る記憶の中では、暁は本気で冬弥を愛していた。
 本当に大好きで・・・・・・・。
 「でも、本当に良い映像だったな〜!十分これでも売れそうだし・・・。」
 「う・・・売るな馬鹿っ!」
 冬弥が壁に向かいながらそう叫ぶ。
 「あれあれ〜?冬弥ってば、顔が真っ赤〜。」
 意地の悪い微笑を浮かべながら閏が冬弥にチラリと視線を向ける。
 そして暁に視線を移し―――
 「暁さんも、顔が真っ赤。うふ☆かーわいいっ♪」
 「な・・・え・・・!?うそ・・・」
 頬を押さえる。・・・熱い・・・。
 恥ずかしさと、驚きが混じり合い、暁のココロをグチャグチャにかき混ぜる。
 「うふっ♪」
 微笑む閏の顔は酷く大人びていて・・・
 「また2人には恋人同士になってもらおうかな〜w今度は寸止めなしだよ、と・う・や☆」
 「ルッセー!!」
 いつも勝ったら付き合うと言う勝負を仕掛ける割に、本当に“ソウ”なってしまったら―――
 「うふふっ★」
 微笑む閏の小悪魔さ加減に、暁は思わず苦笑いを浮かべた。


 【今の2人の関係は・・・】



 【 ――― 友達以上、恋人未満 ――― 】 




       〈END〉


 
 ◇★◇★◇★  登場人物  ★◇★◇★◇

 【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】


  4782/桐生 暁/男性/17歳/学生アルバイト・トランスメンバー・劇団員


  NPC/梶原 冬弥/男性/19歳/夢の世界の案内人兼ボディーガード
 
 ◆☆◆☆◆☆  ライター通信  ☆◆☆◆☆◆

 この度は『ココロを変えるクスリ』にご参加いただきましてまことに有難う御座いました。
 そして、いつもいつもお世話になっております。(ペコリ)
 
 さて、如何でしたでしょうか?
 ・・・・・暁様も、冬弥も、誰!?と言った感じになっております・・・。
 暁様は女の子のようですし、冬弥は―――冬弥は、恋人に対しては甘々になるタイプですので、普段とは全然違った顔になっております。
 上半期に大接近のチャンス☆〜冬弥の受難〜第二弾です(苦笑)
 最初は友達or親友?だったのが、最後には友達以上恋人未満になっており・・・。
 ・・・友達以上恋人未満と言う事は、何らかの“キッカケ”があったら恋人になるの!?と・・・(笑)
 他の人が居る時はチャラく、恋人には可愛く、そしてしおらしく。素直になりたいのに意地っ張りで、臆病が故に甘えてしまう・・・。
 ・・・暁様、小悪魔さんですね☆と思いました(笑)その小悪魔さ加減がしっかりとノベルに生かせていればと思います。
 今回はギリギリ寸止めでしたが、次回は分かりません・・・閏は飲ませる気満々ですので、どうぞお気をつけてください。
 夢幻館にいらっしゃる時は、前後左右、上下にもお気をつけてくださいね☆


  それでは、またどこかでお逢いいたしました時はよろしくお願いいたします。