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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


着ぐるみの演奏はできるのか?

□Opening
 草間興信所にその大荷物が届いたのは、寒い冬の朝だった。
「差出人は……無し、か」
 差出人は記入無し。人の背丈も有るようなそのダンボールを前に、草間・武彦はため息をついた。怪しい。いかにも怪しげなその荷物。差出人の代わりに、手紙が張りついていた。
「担当の着ぐるみと楽器を……、考えられたし……だと?」
 その手紙を読み上げながら、武彦は顔をしかめた。
「まぁ、かわいい、着ぐるみいっぱい」
 その隣で、ダンボールの中身を確認していた草間・零がにっこり微笑んだ。
 絶対に、そう言う問題では無い。武彦は、まずそこから主張しようと、息を吸い込んだ。
「ふ……む、『ぱんだ』『ぬうとりあ』『ねこ』『まんぐうす』『だちょう』全部揃っておるな」
「誰だ、お前達は」
 しかし、次の言葉は、突然目の前に現れた半透明の者たちへ向けられる。それらは、皆古風な衣装を身に纏いながら空中を漂っていた。
「我が名は『大地』、『ぱんだ』を着るぞえ、担当楽器は何だったか……?」
 そのうちの一人が、胸をはって主張する。
「我は『火山』、『歌』を歌うぞ、着ぐるみは忘れてしもうたがな」
「わたくしは『風子』、『まんぐうす』の中身ぞ、楽器は『小太鼓』では無い」
「『つづみ』は、この私、『空美』の担当ね、えっと、何を着るんだったかな?」
「僕は『水城』、楽器も着ぐるみも覚えてないんだ、うーん……」
 そして、皆、我も我もと主張が続いた。
「だから、一体お前らは……何の用だ」
 本当は、聞きたくなかった。
 しかし、こうでも切り出さねば、この半透明の者たちが煩くてかなわない。
 武彦は、物凄く迷惑そうな顔を作って相手を威嚇した。
「ここは、何でも悩みを聞いてくれる所じゃろ?」
「そうそう、我ら、担当の楽器と着ぐるみを考えなければ、新春の演奏に間に合わんのじゃ」
「『ぬうとりあ』は『笛』だったな、確か」
「そうじゃ、それに『だちょう』は『歌』では無い、昔良くなかったからやめにしたのじゃ」
 しかし、武彦の思いなど、全く彼らには届かなかった。
 皆、好き勝手な事を言いながら盛り上がり続ける。
 こうなれば、一刻も早く組み合わせを考え、お引取り願うしかなかった。

■01
 その荷物を前にしても、シュライン・エマは淡々と事の成り行きをうかがっていた。ただ、浮遊している半透明の者たちが少しばかり煩い……、そんな程度の話。
 けれども、その半透明の者たちは、それはそれで結構お困りのご様子。
 それに、いかにも冷静に煙草を口にくわえながらも、ちょっぴり目を白黒させている武彦の事も気になった。
「そうよね、困ってらっしゃるものね」
 くすり、と。
 口の端を持ち上げ、シュラインは紙とペンを取り出した。

□04
 と、言うわけで。
 シュライン・エマ、海原・みなも、今川・恵那の三人は、武彦と共に浮遊物を見上げていた。そのすぐそばで、零は、楽器を並べるのに夢中のご様子。
「とにかく、我らの楽器は何だったか、何とかするのじゃ」
 困っている張本人達は、胸を張り一同を見下ろした。彼らのその態度に、武彦はただ呆れかえるばかりだ。いや、本当はあまりに堂々としているので、口を挟むタイミングを失っていたのだ。
「こう言う場合は、表を作ってみれば良いと思うんだけれど……」
 固まり、立ち尽くす武彦の隣で、まずシュラインが口を開いた。
 みなもはシュラインの言葉に、小さく頷く。
 恵那はシュラインの少し後ろで静かに皆を見比べていた。
「ええと、じゃあ私からで良いかしら?」
 どうやら、それぞれに考えがあるようだ。
 皆を見まわして、シュラインは表を書き出した。
「ああ、とにかく、頼む」
 これなら、何とかなるかもしれない。
 力強いメンバーに囲まれ、武彦はようやく落ち着いて一服した。
「最初に皆さんの名前を書いて、下に着ぐるみと楽器のマスをつけるの」
 武彦のその様子に、少しだけ表情を和らげ、シュラインは丁寧に説明を加える。
「分かっている部分に印を付けるんですね?」
 なるほど、と。
 みなもが表を見て再び頷いた。

 ┏━┳━┯━┯━┯━┯━┓
 ┃★┃地|水|火|風|空┃
 ┣━╋━┿━┿━┿━┿━┫
 ┃笛┃□│□│×│□│×┃
 ┃鼓┃×│×│×│×│○┃
 ┃大┃□│□│×│□│×┃
 ┃小┃□│□│×│×│×┃
 ┃歌┃×│×│○│×│×┃
 ┣━╋━┿━┿━┿━┿━┫
 ┃ぱ┃○│×│×│×│×┃
 ┃ぬ┃×│□│□│×│□┃
 ┃ね┃×│□│□│×│□┃
 ┃ま┃×│×│×│○│×┃
 ┃だ┃×│□│□│×│□┃
 ┗━┻━┷━┷━┷━┷━┛

 みなもの言葉に肯定の意を示す様に、シュラインは、まず各自の自己紹介で主張していた楽器や役割のマスに丸をつけた。
「そうするとね、二つセットになった『ぬうとりあと笛』は必然的に水城さんになる」
 つまりは、『ぬうとりあ&笛』セットは、どちらも×のついていない者になると言うこと。この条件が当てはまるのは、表でも分かる通り水城しか居ない。

 ┏━┳━┯━┯━┯━┯━┓
 ┃★┃地|水|火|風|空┃
 ┣━╋━┿━┿━┿━┿━┫
 ┃ぱ┃○│×│×│×│×┃
 ┃ぬ┃×│○│×│×│×┃
 ┃ね┃×│×│□│×│□┃
 ┃ま┃×│×│×│○│×┃
 ┃だ┃×│×│□│×│□┃
 ┣━╋━┿━┿━┿━┿━┫
 ┃笛┃×│○│×│×│×┃
 ┃鼓┃×│×│×│×│○┃
 ┃大┃□│×│×│□│×┃
 ┃小┃□│×│×│×│×┃
 ┃歌┃×│×│○│×│×┃
 ┗━┻━┷━┷━┷━┷━┛

「あ、表が完成してきました……」
 静かにシュラインの手元を眺めていた恵那も、小さく呟いた。
「そう、だちょうは歌ではないのだから空美さんになって、残った猫は火山さんに」
 その小さな呟きにも、きっちりとほほ笑みを返しながら、シュラインは空欄を追う。
「風子さんは大太鼓、残った小太鼓は大地さんになるわね」
 そうしたらほら、ちゃんと皆さん埋まったでしょう? と、確認をするように、完成した表を皆に見える様に少し持ち上げた。

 ┏━┳━┯━┯━┯━┯━┓
 ┃★┃地|水|火|風|空┃
 ┣━╋━┿━┿━┿━┿━┫
 ┃ぱ┃○│×│×│×│×┃
 ┃ぬ┃×│○│×│×│×┃
 ┃ね┃×│×│○│×│×┃
 ┃ま┃×│×│×│○│×┃
 ┃だ┃×│×│×│×│○┃
 ┣━╋━┿━┿━┿━┿━┫
 ┃笛┃×│○│×│×│×┃
 ┃鼓┃×│×│×│×│○┃
 ┃大┃×│×│×│○│×┃
 ┃小┃○│×│×│×│×┃
 ┃歌┃×│×│○│×│×┃
 ┗━┻━┷━┷━┷━┷━┛

「おそらくこれで当たってるとは思うのだけれど……」
 そして、シュラインは少しだけ首を傾げる。
「う……む、説得力はあるな」
 説明の間黙っていた武彦だけれども、スッキリ完成したものを見て納得した様だった。短くなった煙草をもみ消し、頷く。
「皆さんはどうなった?」
 武彦の反応にも嬉しくなる。シュラインは最後ににっこりほほ笑んだ。

□05
 シュラインの呼びかけに、じゃあ、あたしが……と、手を挙げたのはみなもだった。
「んと、頭はあんまりよくないけどがんばります」
 可愛く気合を込め、みなももメモ帳を取り出した。
「表を使うのね?」
 その様子にピンと来たのか、シュラインが身を乗り出す。
「はい、縦軸に着ぐるみを『ぱんだ→一』『ぬうとりあ→二』『ねこ→三』『まんぐうす→四』『だちょう→五』……と振り分けて……」
 シュラインの質問に丁寧に答えながら、みなもは表の枠組を作っていく。
「横軸には、『大地さん→A』『水城さん→B』『火山→C』『風子→D』『空美→E』としますね」

 ┏━┳━┯━┯━┯━┯━┓
 ┃★┃A│B│C│D│E┃
 ┣━╋━┿━┿━┿━┿━┫
 ┃一┃□│□│□│□│□┃
 ┃二┃□│□│□│□│□┃
 ┃三┃□│□│□│□│□┃
 ┃四┃□│□│□│□│□┃
 ┃五┃□│□│□│□│□┃
 ┗━┻━┷━┷━┷━┷━┛

「あの、シュラインさんとは、表が違うんでしょうか?」
 その表を見て、恵那が遠慮気味に声をかけた。確かに、シュラインの使った表とはマスの数が違うのだけれども……。
「ええと、基本的には、同じだと思うんです」
 縦軸と横軸を確認しながら、みなもは考えをまとめに入る。
「まず、AとDは着ぐるみが決まっていますから二重丸」

 ┏━┳━┯━┯━┯━┯━┓
 ┃★┃A│B│C│D│E┃
 ┣━╋━┿━┿━┿━┿━┫
 ┃一┃◎│×│×│×│×┃
 ┃二┃×│□│□│×│□┃
 ┃三┃×│□│□│×│□┃
 ┃四┃×│×│×│◎│×┃
 ┃五┃×│□│□│×│□┃
 ┗━┻━┷━┷━┷━┷━┛

「これは、皆さんの主張通りね」
 シュラインも、確認するように呟いた。
「CとEとD、二と五は楽器が決定・否定されていますから欄外に記入します」
 皆の注目を集めながら、みなもは表の端にペンを走らせた。

 ┗━┻━┷━┷━┷━┷━┛
 ○:C→歌、E→つづみ、二→笛
 ×:D→小太鼓、五→歌

 一同は、丁寧に書かれた文字を見つめる。
「Cは歌なので二と五ではありえません」
 みなもは、そんな皆にも見えるようゆっくりと欄外の文字をなぞり、説明を加える。
「そして一と四が決まっている以上三になります」
 そして、違うというマスには×を、C―三には◎を付け加える。
「Eはつづみなので二以外、よって五になります、これでBは二と言う事になり笛で確定しますね」

 ┏━┳━┯━┯━┯━┯━┓
 ┃★┃A│B│C│D│E┃
 ┣━╋━┿━┿━┿━┿━┫
 ┃一┃◎│×│×│×│×┃
 ┃二┃×│◎│×│×│×┃
 ┃三┃×│×│◎│×│×┃
 ┃四┃×│×│×│◎│×┃
 ┃五┃×│×│×│×│◎┃
 ┗━┻━┷━┷━┷━┷━┛
 ○:三―C→歌、五―E→つづみ、二―B→笛

 さて、表はこれで完成した様だ。欄外の楽器との組み合わせも着々と出来あがって行く。
「Dは小太鼓ではないので大太鼓、よってAは小太鼓になります」
 最後の説明を終え、みなもは欄外の答えを皆に示した。

 ○:ぱんだ(一)―大地(A)→小太鼓、ぬうとりあ(二)―水城(B)→笛、ねこ(三)―火山(C)→歌、まんぐうす(四)―風子(D)→大太鼓、だちょう(五)―空美(E)→つづみ

「なるほどな、そう言う事か」
 本当に分かっているのかどうなのか。
 ただし答えはシュラインと同じ。武彦はそれを確認し、煙草に火をつけた。
「あたしは、そう思いますけど……、恵那さんは?」
 答えが出せた事に安心したのか、みなもはほっと一息つき、恵那に笑顔を向けた。

□06
 指名され、恵那はびくりと長いポニーテールを揺らしたが、それも一瞬。
 皆に向けて、とつとつと喋り出した。
「えっと、火山さんは『歌』で着ぐるみがわからない……」
 頭の中で、整理する様にそれぞれの主張とグループをイメージする。

――*――*――*――*――*――*――*――*――*――*――
 ┏━┳━┯━┯━┯━┯━┳━┯━┯━┯━┯━┓
 ┃★┃笛|鼓|大|小|歌┃ぱ|ぬ|ね|ま|だ┃
 ┣━╋━┿━┿━┿━┿━╋━┿━┿━┿━┿━┫
 ┃地┃?│×│?│?│×┃○│×│×│×│×┃
 ┃水┃?│×│?│?│×┃×│?│?│×│?┃
 ┃火┃×│×│×│×│○┃×│?│?│×│?┃
 ┃風┃?│×│?│×│×┃×│×│×│○│×┃
 ┃空┃×│○│×│×│×┃×│?│?│×│?┃
 ┣━╋━┿━┿━┿━┿━╋━┷━┷━┷━┷━┛
 ┃ぱ┃×│×│?│?│×┃
 ┃ぬ┃○│×│×│×│×┃
 ┃ね┃×│?│?│?│?┃
 ┃ま┃×│×│?│×│×┃
 ┃だ┃×│?│?│?│×┃
 ┗━┻━┷━┷━┷━┷━┛
――*――*――*――*――*――*――*――*――*――*――

 しかし、そのイメージを言葉でアウトプットする事は難しい。
 それでも、恵那は順を追って整理し、少しずつ説明をして行く。
「着ぐるみだけ空いてるのは『ねこ』だけ! だから、火山さんはねこ」
 頭の中のイメージを指を折る様に数えながら、声に出す。
「選ばれなかった楽器は『大太鼓』と『小太鼓』で……」
 シュラインもみなもも。
 それぞれが頭の中で皆の主張を整理しながら、静かに恵那の説明に聞き入っていた。
「風子さんは『まんぐうす』で『小太鼓』以外だから……『大太鼓』!」
 時折、武彦の煙を吐き出す音だけがBGM。
「大地さんは、『ぱんだ』で楽器だけわからないから……『小太鼓』!」
 いつの間にか、皆の隣で零もにこにことたたずんでいた。
 どうやら、楽器のをきちんと並べ終わったらしい。
「誰かさんは『だちょう』『歌以外』……着ぐるみがわからなくて楽器が歌以外の人は……空美さんの『つづみ』!」

――*――*――*――*――*――*――*――*――*――*――
 ┏━┳━┯━┯━┯━┯━┳━┯━┯━┯━┯━┓
 ┃★┃笛|鼓|大|小|歌┃ぱ|ぬ|ね|ま|だ┃
 ┣━╋━┿━┿━┿━┿━╋━┿━┿━┿━┿━┫
 ┃地┃×│×│×│○│×┃○│×│×│×│×┃
 ┃水┃○│×│×│×│×┃×│○│×│×│×┃
 ┃火┃×│×│×│×│○┃×│×│○│×│×┃
 ┃風┃×│×│○│×│×┃×│×│×│○│×┃
 ┃空┃×│○│×│×│×┃×│×│×│×│○┃
 ┣━╋━┿━┿━┿━┿━╋━┷━┷━┷━┷━┛
 ┃ぱ┃×│×│×│○│×┃
 ┃ぬ┃○│×│×│×│×┃
 ┃ね┃×│×│×│×│○┃
 ┃ま┃×│×│○│×│×┃
 ┃だ┃×│○│×│×│×┃
 ┗━┻━┷━┷━┷━┷━┛
――*――*――*――*――*――*――*――*――*――*――

 恵那は、最後に一つ大きく息を吸い込んで、それからにっこりほほ笑んだ。
「誰かさんが『ぬうとりあ』と『笛』だから、着ぐるみも楽器もわからない『水城』さん!」
 これで、終わりです、と。
 小首を傾げたので、ポニーテールがまた小さく揺れる。
「……、で、結局の所……、何だって?」
 一同が頷く中、武彦はひそっと恵那に答えを求めていた。
「ええっと、答えは……『風子・まんぐうす・大太鼓』、『大地・ぱんだ・小太鼓』、『火山・ねこ・歌』、『空美・だちょう・つづみ』、『水城・ぬうとりあ・笛』ですね!」
 その問いに、恵那は普通に答えてしまったため、皆の視線が静かに武彦に集まった。

□Ending
 こほん、と。
 皆の視線を払うように、武彦は一つせき払いをした。
「結局、皆の結論は変らず、のようだが?」
 答えを出した三人は、武彦の言葉にそれぞれ頷く。
 その様子に、浮遊物はくるくると着ぐるみの周りを回り始めた。
「では、そなたらの言葉を信じようぞ」
 それは、誰の言葉だったか。
 ダンボールのそばで積み上げられていた着ぐるみ達が、ふわりふわりと立ちあがる。
「ところで、これもお仕事ならちゃんと報酬頂けるのか、交渉しないとよね、武彦さん」
 くすり、と。
 どこまで本気なのか、シュラインが武彦を小突く。
「でも、どこで演奏するんでしょう? あたしも聴いてみたいです」
 次に、のたりのたりと、歩き出す着ぐるみ達を眺めながらみなもは武彦に答えを求めた。
「あの、結局、もしかして、神様か、自然の精霊さんですか?」
 きらきらと。
 真っ直ぐな瞳で素直に疑問を武彦に投げかけるのは恵那。
 勿論、学生二人に悪気など有るはずも無い。
 真面目で、素直な、二人の思いに。
「頼む、俺に聞くな」
 武彦は、いっぱいいっぱいだった。

――ポロン
――ポロロン
――たたたん
――たん

 いつの間にか、小さく楽器の音が鳴り始める。
「? 何だ、失敗だったのか?」
 それは、メロディでは無い。武彦の小さな呟きに、シュラインが小さく首を横に振った。
「音合わせよ、多分……、」
 演奏が、始まるんじゃないかしら……。
 次に続くその言葉のその前に。
 『ぱんだ』『ぬうとりあ』『ねこ』『まんぐうす』『だちょう』それぞれがしゃんと胸を張る。
 ある者は楽器を手に、ある者は胸の前で腕を組み、そして、演奏は始まった。
「ああ、これは……」
 シュラインは、古風なその音楽に表情を和らげる。
「わぁ、これって、もしかして……」
 耳に馴染むその楽曲、みなもは笑顔で彼らを見つめた。
「ええと、ええと、……」
 恵那にも、それは理解できた。
「皆の衆、感謝するぞ」
 演奏が終わり、『ぱんだ』の中の大地が深深と礼をする。
 その言葉に、ぱちぱちぱちと、零は楽しげに拍手を返した。
 それぞれの楽器を持ち、興信所を後にする着ぐるみ達。どうやら、その姿のままどこかへ出かける様子。
 そのあまりに堂々とした着ぐるみ達に誰も何も言えず終いだった。
 そのままの姿で表通りを歩くのはいかがなものか、とか。
 結局、報酬は演奏だけ? とか。
 あなた方の正体は? とか。
 あとは――
「アレ、ひな祭りの曲じゃないのか?」
 とか。
 武彦の疑問に、シュラインもみなもも、恵那までも。
 ふっと、視線を逸らしたのだった。
<End>

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【 0086 / シュライン・エマ / 女 / 26 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員 】
【 1252 / 海原・みなも / 女 / 13 / 中学生 】
【 1343 / 今川・恵那 / 女 / 10 / 小学四年生・特殊テレパス 】

(※:登場人物一覧は発注順で表示させていただきました。)

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■         ライター通信          ■
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 こんにちは、ライターのかぎです。この度は、態度のでかい着ぐるみ達にお付き合い頂きましてありがとうございました。
 そして、何より皆様、ご正解おめでとうございます!
 集合描写がかなり長くなってしまいましたが、三者三様、それぞれの回答が面白く、そのまま皆様に説明頂きました。イメージ通りに説明部分を表現できていると良いのですが、いかがでしたでしょう?
 □部分が集合描写、■部分が個別描写になります。

■シュライン・エマ様
 いつもご参加ありがとうございます。短い台詞にきっちりとした回答への道筋と理解のバックグラウンドが見えていたので、武彦さんも納得されたのでは無いかと思われます。
 静かに、確かに、と言うシュライン様の素敵な一面を描写できたらと思って書かせて頂きました。少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
 それでは、また機会がございましたらよろしくお願いします。