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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


『霊鬼兵を殲滅せよ』

【オープニング お台場にて】

「ぐはっ!」
 武彦はドラム缶の山の中へとたたきつけられた。
「くそっ。こんなものがあるなんて聞いてないぞ」
 武彦の前には、鎧武者のような形の人形がずらりと十体並んでいる。目から赤い光を放ち、体がぜんまい仕掛けの玩具のように奇妙な動きをしている。
 草間興信所・草間武彦は今お台場の地下にいた。お台場にビルを建設中の会社から作業員が何人か地下に行ったまま帰ってこないから調査してほしい≠ニの依頼を受けて武彦は零と一緒に工事中の地下施設へと向かった。
 そこでふたりが見たのは、無数の作業員の死体だった。
「たぶんここはわたしと同じ霊鬼兵が造られた施設だと思います」
 零の推測では、そこは先の大戦で旧日本陸軍が極秘研究施設として造られた施設らしい。
 戦後六十年を迎えても、東京の至るところにはまだ忌まわしい先の大戦の遺物がある。中には旧日本陸軍がGHQから摘発をおそれて隠した研究施設や軍事施設、兵器などが山のようにある。
 だが、近年お台場は埋め立て地から都市へと変化するなどめまぐるしく変化した。そのために旧日本陸軍が必死に隠しておいたものが表にできたのだろう。
 そして、今武彦と零の前には
「だあああっ!」
 零は霊刀を霊鬼兵へと振り抜くが、別の霊鬼兵によって受けとめられた。
「こんの! 時代錯誤もいいかげんにしろ!」
 武彦も拾いあげた小銃を撃つが、霊鬼兵は簡単に交わす。
 零は霊鬼兵のプロトタイプとして強大な力を持つが、それでも同じ力を持つ霊鬼兵十体に立ち向かうのは無謀だった。まして、武彦を守りながらの戦いであるためにひとりで戦うのよりもつらいようだった。
「お兄さん、あぶない!」
 霊鬼兵の撃った銃弾を零は受けとめる。
「零!」
 武彦は零を抱き上げようとしたが、零は振り払った。
「零、このままじゃ俺たちはやられる。急いで逃げるぞ」
「だめです。この霊鬼兵は陸軍からの指令がなくなって暴走しています。このまま放っておいたら外に出てしまいます。そしたら、どれくらいの人が犠牲になるかわからないんですよ?」
 零は必死に叫ぶ。
「だが、このままじゃどうやったって俺たちに勝ち目はない」
「だったら、お兄さん。助けを呼んできてください」
「おまえをひとりにして行けるか!」
 武彦の叫びに、零は微笑んだ。
「ありがとうございます。わたしもお兄さんと離れたくありません。でも、わたしは自分だけ助かって他の人たちが傷つくところを見たくありません」
その言葉は日本人を守るために開発された兵器としての少女ではなく、零というひとりの少女がいるような気がした。
「だから、お願いです。わたしを心配してくれるなら急いで助けを呼んでください」
 その真摯な瞳に見つめられ、武彦はそれ以上反論できなかった。
「わかった。急いで助けを呼んでくる。それまで絶対に死ぬなよ」
「はい!」
 武彦は目にたまった熱いものを拭うと、急いで地上への階段を上った。
 たったひとりの妹を守るために……。

【本編 任務開始】

 武彦がお台場の巨大地下空洞に戻ったとき、そこには目を覆うばかりの光景があった。
「……お兄さん」
 零の体が地下研究室の壁に串刺しにされていた。下半身がちぎり取られて、上半身だけしか残されていない。零は霊鬼兵であるためにかろうじて生きていたが、それでもあまりにひどい仕打ちに武彦をはじめとして、武彦に呼び集められた仲間たちは息をのんだ。
 壁に磔にされた零の下では、霊鬼兵がぎりぎりと音を立てて零を見上げている。その人形らしい感情が欠落した光景は不気味だとしか言いようがなかった。
「零!」
 武彦が駆け寄ろうとしたが、その彼をとめたのはハンター・火宮翔子だった。
「待ちなさい。あなたがひとりで向かっても相手にならないわ」
「だからといって、このまま零を見殺しにしろというのか!」
「そんなことないですよ。みんな零さんを助けるためにここに集まってるんですから」
「だが、あなたが勝手に暴走をすれば、僕たちはみんな死ぬことになる。草間さん。あなたは僕たちを殺したいのか? だったら、僕たちは手を引かせてもらう」
 高校生兼民間組織のエージェント・唯崎紅華と魔術師・天城凰華に言われ、武彦はぐっと言葉を詰まられた。
「零は霊鬼兵といっても無敵じゃない。あいつをあのままの状態にしていれば、死ぬかもしれないんだぞ」
「草間さん。気持ちはわかるがよ、いまのあんたは頭に血が昇りすぎだ。そんな状態で霊鬼兵に突っ込んだら助けられるものも助けられなくなるわ」
 バックパッカー・五代真にも説得され、武彦は渋々黙り込む。
「しかし、あのまま零さんを放っておくわけにもいきません。彼女を助けるためにもはやく我々が作戦を立てなければ」
 悪役俳優・CASLL・TOがせっぱ詰まったように言う。
「でも、どうするんですか? 零さんがあんな状態では私たちの力を存分に使うことはできないですよ。もし零さんを巻き込むようなことになったら……」
「だったら、こうしましょう。凰華さんと五代さんが斬り込んで相手を攪乱している間に、CASLL・TOさんが霊鬼兵から零さんを救出する。私と紅華さんは援護射撃をして三人のバックアップをする」
「それが一番よさそうだ」
 翔子の提案に、五代を含めて五人の仲間たちがうなずきあう。
「ちょっと待て。俺はどうすればいいんだ」
 ひとり取り残された武彦が叫ぶ。
「あなたは足手まといだ。そこで待っていろ」
「なんだと!」
 凰華に掴みかかろうとした武彦を慌ててCASLL・TOがとめる。
「武彦さん。落ち着いてください。今は仲間割れをしてる場合じゃないでしょ」
「凰華さんの言うとおりよ。草間さん。あなたは今大怪我をしてるのよ? 霊能力もないあなたが霊鬼兵に飛び込んでも仲間の命を危険にさらすだけよ」
 翔子に説得されて、武彦は口惜しそうに唇を噛んだ。
「……わかった。あんたたちの言うとおりにする」
「草間さん。心配しないでください。必ず零さんは私たちが助けますから!」
 紅華のあかるい笑顔に、武彦は、頼む、と告げるだけだった。
「おしゃべりはそろそろ終わりだ。やつらが来るぞ」
 凰華の一言に、他の五人が顔をあげれば、霊鬼兵がこちらへと近づいてきた。
「さて、作戦を開始するわよ。レディ・ゴー!」

       * 

 凰華は魔剣アークを振り上げ、真は鉄パイプに念を込めて霊鬼兵へと突っ込む。その背後からCASLL・TOが控えていた。
 彼ら三人の行く手には霊鬼兵が十体待ちかまえている。目の前に迫りくる人間に対して、容赦なく銃口を向けて発砲しようとした。
 だが、その霊鬼兵の頭を撃ち抜いたのは翔子と紅華の銃弾だった。
「イエスっ!」
「やりましたです!」
 翔子と紅華の連続射撃によって凰華と真とCASLL・TOにだけ注意が向けられた霊鬼兵は混乱していた。
 翔子と紅華が一体ずつ倒した間に、凰華と真はそれぞれ一体ずつ敵の側まで行っていた。
「ふん!」
「だあああっ!」
 凰華と真は体当たりをするように目の前の霊鬼兵にそれぞれの武器を一閃した。凰華の魔剣アークによって霊鬼兵一体の上半身が切り裂かれ、真の念が込められた鉄パイプによって霊鬼兵は壁にめり込んだ。
「よし!」
 モーゼの十戒のように霊鬼兵の群れに道が割れ、その隙にCASLL・TOは零の元までたどり着いた。
「……あ、ありがとうございます」
 零は上半身だけという姿でCASLL・TOに礼を述べた。CASLL・TOは人懐っこい笑顔を見せると、
「もうだいじょうぶです。あなたのお兄さんがあなたを心配しています」
 CASLL・TOは急いで零を抱えて武彦の元まで脱出しようとしたが、その彼を襲ったのは一発の銃弾だった。
「CASLL・TO!」
 真の悲鳴が地下研究施設にこだまする。CASLL・TOの足を霊鬼兵の銃弾が撃ち込まれたのだ。CASLL・TOは痛みから絶叫をあげて転げ回る。
「くそっ! やっぱり相手の人数が多すぎだ」
 五人が力を合わせることによって、霊鬼兵を四体最初の特攻で倒すことができたが、霊鬼兵はすぐさま立ち直って三体ずつ援護射撃をする翔子と紅華、斬り込んできた凰華と真にそれぞれ襲いかかってきたのだった。

       * 

 援護射撃担当の翔子と紅華はドラム缶の影に隠れて銃弾を避けていた。
「あわっ。こんなに撃たれてたら、とてもCASLL・TOさんを助けられませんです」
「さすが機械だけあって立ち直りがはやいわね。人間相手とは勝手が違うわ」
 紅華は悲鳴をあげて頭を押さえ、翔子は舌打ちをして、新しい弾倉を入れる。その巻にも霊鬼兵のうちの二体が銃弾を撃ち込みながら、翔子と紅華に近づいていった。
「翔子さん、上!」
 紅華と翔子が頭をあげると、頭上からもう一体が刀を振り上げて飛び込んできた。
「くそっ!」
 翔子は拳銃の銃身で刀を受けとめると、霊鬼兵の腹を蹴飛ばして霊鬼兵から離れた。その間にも別の霊鬼兵が紅華に飛び込んでいき、紅華は転げるようにして相手から逃げる。
 紅華はマテリアルライフルという狙撃用の武器を使用していたため、相手は近接戦闘を選んだようだ。どうやら霊鬼兵は瞬時に敵の武器の特性を見抜いて、どのような手段が有効なのか判断しているようだ。
「しかも、私たちの力を分散させる高度な手段までするんなんて」
 翔子は舌打ちをすると、体勢を整えようとなんとか霊鬼兵から逃げる。
 霊鬼兵は小銃を連射しながら、尋常ではない速度で迫る。
「緋の目を使いたいけど……でも……」
 翔子の隠し能力の緋の目は大気の温度を急速にあげて、まわりのものを発火・融解させる荒技だ。しかし、こんな地下の密閉された空間では、仲間を霊鬼兵ともども融解させる危険がある。そんな危険な真似をするわけにはいかない。
「困りましたです」
 同じような考えを紅華も持っていた。
 紅華の隠し能力も異形のものへの転身であったが、その力を理性がきかなくなるうえに霊鬼兵と味方の区別もつかなくなる。できれば、この力を使って霊鬼兵を倒すことだけは避けたい。
「あうっ!」
だが、跳弾した銃弾が紅華の腕を貫く。
 霊力で力を増幅された銃弾は簡単に紅華の柔肌を貫いていった。腕から血があふれるが、紅華は体からわき上がってくる転身への衝動を必死に堪えていた。転身をすれば、自分の命は守れるが、まわりの人間も傷つけることになる。それだけは嫌だった。
 瞬間、霊鬼兵が刀を振りかざしてきた。
 翔子が連続して銃を撃って紅華の元へと駆ける。しかし、霊鬼兵は刀で銃弾を受けとめると、飛んでふたりから離れた。
 三体の霊鬼兵は口をぎこちなく動かした。あたかも笑っているかのように。
「このままじゃみんなやられちゃいますよ。どうしますか?」
「私があいつらを引きつける。その間にあなたの力であれを破壊してほしいの」
 そう言って、翔子が指したのはガス管だった。
「私が合図をしたら、あなたの銃であれに火をつけて。できる?」
「できますけど、そんなことをしたら私たちまで吹き飛びますよ?」
「だいじょうぶ。私を信じて」
 翔子の力強い言葉に、紅華はうなずいた。
「じゃあ、行くわよ」
 翔子は全力で霊鬼兵へと突っ込んでいく。
 今度は翔子はわざわざ近接戦闘に持ち込むことによって、相手の小銃を封じた。相手は敵の特性を見抜いて襲うような高度な思考を持っている。ならば、同士討ちを避けるために銃を使わないと翔子は判断したのだ。
「いきますですよ」
 紅華は翔子の命が削られる前に彼女を救おうと、力場干渉能力でドラム缶をガス管にたたきつけた。古くなっていたガス管は猛烈な勢いで、ガスをまき散らす。
「いまよ!」
 翔子の合図で、紅華はベレッタに神炎滅殺弾を込めて撃った。
 橙色にスパークした炎は爆発してあたりをのみ込んでいく。
 このままでは他のガス管にも飛び火して、あたりは粉々に吹き飛ぶだろう。
「はっ!」
 だが、その瞬間、翔子の力によって炎が一カ所にまとめられた。
 対霊用の神炎滅殺弾の力はガス管の炎をいっそう強くしたが、炎がまわりに飛び火しないように翔子が力を使って円形状のドーム型に炎を包む。
「ぎぎっ!」
 炎のドームに閉じ込められた霊鬼兵は悲鳴をあげながらのたうち回る。あたりには機械の油が焼ける匂いに混じって、人間の体が焼ける匂いもあった。
 だが、翔子のもくろみはものの見事に成功して霊鬼兵三体は見事に粉々に吹き飛んだ。
「やったです!」
 紅華が跳ね上がってよろこんだ。
「でも、あと三体!」
 翔子は振り返って、近接戦闘担当の三人を振り返った。

       * 

「ちぃっ!」
 凰華は剣を横薙ぎに走らせるが、霊鬼兵は三メートルの高さを瞬時に跳び上がる。凰華は振り返ってすぐに負傷したCASLL・TOに近づく。
「だいじょうぶか?」
「だいじょうぶです。足を撃たれちゃいましたけど」
 CASLL・TOは笑顔で答えるが、それが無理をしていると誰の目にもあきらかだ。
「僕の治癒能力で助けたいが、今は時間がない」
「わかっています。足手まといになって申し訳ありません」
「問題ない。あなたは充分にがんばった。あとは僕と五代に任せろ」
 凰華は霊力を使ってCASLL・TOと零のまわりに氷の結界を張った。氷の結界は簡単には破ることができない。霊鬼兵の銃弾ぐらいなら防ぐことができるし、霊鬼兵の注意を凰華と五代に向けていれば、CASLL・TOと零の命を守ることができる。
「おいおい。いつまでも話してねえでこっちを手伝ってくれ」
 五代真が脂汗を流しながら言う。
 いくら頑強な肉体を持つ彼でも、疲れを知らない霊鬼兵を相手にするのは酷なようだ。真が何度殴っても霊鬼兵はふたたび立ち上がってこちらに攻めてくる。
「こいつら刀や銃に込めた霊力を体を守るために使ってやがる。完全に俺たちが疲れるのを待ってやがるんだ。まったくえげつねえやつらだぜ」
「五代。無闇に戦っても無駄だ。僕たちの能力を使って一体一体確実に仕留める」
「とはいっても、どうするよ?」
「五代。あなたがあいつらの動きをとめてくれ。その間に僕があいつらを斬る」
「だが、あいつらはめちゃくちゃかたいんだぜ?」
「悪いが、魔剣アークに斬れないものはない」
 氷のように冷え冷えと凰華は告げる。真はふっと笑った。
「わかった。あんたに任せるぜ。おらぁ!」
 話している間に、襲いかかってきた霊鬼兵の腹を思いっきり蹴り飛ばした。
 軽々霊鬼兵は吹き飛んでいく。
「はっ!」
 空中で無防備になった霊鬼兵の体を魔剣アークが裂く。
 水でも斬るかのように、霊鬼兵の体はまっぷたつとなり、裂かれた傷口から氷が霊鬼兵の体を覆っていく。からんと無機質な音を立てて霊鬼兵は倒れた。
「ほっ!」
 次に襲いかかってきた霊鬼兵の刃を真は、真剣白刃取りで受けとめる。その瞬間、ふたたび凰華の剣が霊鬼兵の体を引き裂いた。
 守りの真と攻めの凰華をうまく使い分けた見事なコンビネーションだった。
「残り一体」
 霊鬼兵も残り一体となったが、相手が見あたらなかった。
「どこだ?」
「どこに行ったんだ?」
 ふたりがあたりを見渡すものの、あたりは暗闇に覆われてよく見えない。
「あぶないっ!」
 突然CASLL・TOが凰華を押し倒した。
 瞬間、銃弾が地面をうがった。もしCASLL・TOが突き飛ばさなければ、いまごろは凰華の顔が砕けていたことだろう。
 CASLL・TOは振り向きざま、刃のついたフリスビーを投げる。
 フリスビーは闇の中で火花を散らす。
 真と凰華が顔をあげると、暗闇の中から霊鬼兵の赤い光が見えた。
「野郎。日本男児は正々堂々じゃないのかよ」
 真が舌打ちをする。
「CASLL・TO、すまない」
「気をつけてください。私は悪役俳優だから、機械だとしても悪い奴の気持ちがわかるんです。次も隙を見せた瞬間に襲いかかってきます」
「わかった」
 凰華はうなずくと、だらりと両手をさげた。
 日本の剣術で言うところの無形の構えだった。相手に無防備をさらすことで相手の攻撃を誘うが、こちらも命の危険をかなりさらすこととなる。
「来たッ!」
 突然霊鬼兵が刀を振りかざして襲いかかってくる。それを凰華は紙一重でかわすと、横薙ぎに払った。
 だが、霊鬼兵は天井まで十メートルの高さを飛んだ。そして、小銃をまっすぐに地上にいる凰華たちに向けてかまえた。
「五代!」
「おらよ!」
 凰華の叫びに、真は凰華の体を高々と宙に放り投げた。
 凰華は一気に霊鬼兵の懐までもぐり込んでいき、霊鬼兵の腹に刃を突き立てた。貫かれた腹から氷が走っていき、地上にたたきつけられた霊鬼兵の体は硝子のように粉々に割れた。
「やったな!」
 真が快哉をあげる。CASLL・TOもほっと息を吐いた。
「これで任務完了だ」
 凰華は魔剣アークをひとふり闇に走らせると、鞘におさめた。

       * 

 夜空を緋色の光が照らし出す。
 地下の研究施設にはまだ霊鬼兵が残っている可能性があるために草間武彦が呼び集めた仲間たちは地下研究施設を爆破したのだった。五人それぞれ負傷していたが、なんとか無事に地下研究施設から脱出することができた。
 零も命があれば他の研究施設で体をよみがえらせることができる。
「やっと終わりましたです」
「もう二度と出てほしくねえな」
「また出てきても僕が倒すだけだ」
「これでようやく寝ることはできる」
「大変な夜でしたね。できれば、もう二度とごめんです」
 五人は各々感想を口にしては笑いあっていたが、内心では複雑な心境だった。
 戦後六十年が経っても、いまだに戦前の遺恨が東京のさまざまな場所にある。今回は霊鬼兵を倒すことができたが、他にも同じような遺物がたくさんあることだろう。また、人々の心の中にも先の大戦は深く残っている。
 歴史というものは消し去ることのできない傷だといまさらながら五人は実感する。
 空が朝焼けに染まっても、五人は炎を見つめていた。

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
参加していただいたPCのみなさま
 4634/天城凰華/男性/20歳/退魔師・魔術師
 5381/唯崎紅華/女性/16歳/高校生兼民間組織のエージェント
 1335/五代真/男性/20歳/バックパッカー
 3974/火宮翔子/女性/23歳/ハンター
 3453/CASLL・TO/男性/36歳/悪役俳優

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■         ライター通信          ■
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 ご参加ありがとうございました。
 納入が遅くなって大変申し訳ありませんでした。
 今後もみなさまに楽しんでいただけるようなゲームを提供いたします。
 今後も引き続きよろしくお願い申し上げます。