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<東京怪談・PCゲームノベル>


ココロを変えるクスリ【想い合う×姉弟】



 【ねぇ・・・貴方との関係は、初対面だったよね・・・?】

 【・・・・それなのに、気づいた時には姉弟になっていて・・・】

  ―――なんだか、おかしいね・・・?


☆★☆はじまり☆★☆


 そこは、初めて行く場所だった。
 貰った地図の通りに進み、“地図の通りに進んでいるのにも拘らず”数度道に迷った後で着いた先は驚くほどに巨大な館だった。
 様々なモノが入り混じっている雰囲気を感じ、浅葱 漣は思わずその場で固まってしまった。
 本当に不思議な雰囲気・・・けれどそれは決して不快なものではなく、むしろどこか温かなモノだった。
 「ここで・・・良いんだよな?」
 地図と館を何度も見比べる。
 何度見ても、ここで間違いはない・・・。
 漣は一呼吸おいた後に足を踏み出した。
 玄関までの道程は長く、冬だと言うのに道の両脇に植えられた木々は青々と茂っていた。
 それはまるで夏のような元気の良さを持っており・・・つくづくこの館は不思議だと思った。
 巨大な両開きの前に立ち、その扉に手をかけようとした所で、ふいに背後から声がかかった。
 「お客さんですか?」
 凛と良く通る声がして、振り向くとそこには漣と同じ歳くらいの男性の姿があった。
 銀の髪が陽の光に透けてキラキラと光り、七色の輝きを撒き散らす。
 「あぁ、所用で・・・」
 「そうですか。初めまして、俺はこの館の支配人をしております沖坂 奏都(おきさか・かなと)と申します。」
 丁寧に頭を下げられ、漣も思わず頭を下げる。
 それにしても、ここの支配人がこんなに若いとは・・・いや、若いのは見掛けだけで、年齢はそれなりに行っているのかも知れない。
 漣はある程度の予想をつけると顔を上げた。
 「浅葱 漣と言う。」
 「漣さんですね?本日はどのような御用事で・・・?」
 「草間から頼まれ物を持ってきたのだが。」
 「あぁ、アレですね。有難う御座います。」
 どうやらそれだけで奏都は理解したらしい。
 漣は草間 武彦から預かっていた小さな封筒を奏都に手渡した。
 「漣さん、少しお時間はありますか?御礼にお茶でも如何です?」
 「そうだな・・・それでは、お言葉に甘えて。」
 その言葉にふわりと柔らかく微笑むと、奏都は夢幻館の両開きの扉を押し開けた。
 草間に聞くところによると、ここには相当な変わり者が大勢住んでいるらしい。
 しかし、変わり者ではあるがその分実力の程は草間のお墨付きだ。
 本当に困った事になった場合、必ず連絡を入れる先がここなのだと、草間は苦笑しながら言っていた・・・。
 その言葉を聞いてから、漣は一度は会ってみたいと思っていたのだ。草間 武彦の信頼を得ているこの館の住民に・・・。
 この館に訪れたのも何かの縁だ。どうせなら、挨拶回りをしておきたい。
 「あれ?奏都、客か?」
 巨大な玄関を抜け、大きな扉を入った先は広いホールだった。
 両脇にソファーが置かれ、その上に寝転がっていた人物が顔を上げる。
 ―――はっと目を見張るほどに美しい顔立ちだった。美少年とはこの事だろうか・・・?
 思わず見とれてしまうほど容姿の整ったその男性はムクリと起き上がるとこちらに近づいてきた。
 「漣さん、こちらが梶原 冬弥(かじわら・とうや)さんです。冬弥さん、こちらが浅葱 漣さんです。」
 「あぁ、よろしくな?つーか、お前、浅葱っつったか?」
 冬弥がどこか遠くを見やり、しばらくしてからふっと息を吐き出した。
 浅葱と言えば、退魔の世界では結構有名な家柄だ。冬弥がその手の知識がある場合、知っていても不思議ではない。
 「どっかで聞いた事あるかと思えば・・・」
 「あぁん?客か?」
 冬弥の言葉を割って入るようにして、突然漣の背後から声がかかった。
 「魅琴ちゃん、ガラが悪いからヤメテ。」
 「るっせーな。俺は昔からこーゆーしゃべり方なんだよ!」
 「少しは直そうって気にならないの〜?」
 振り向いた先、大きな男性と小さな少女がこちらに向かって歩いて来ているのが見えた。
 少女の方は本当に小さく、150cmは確実にないだろう。可愛らしい洋服を着て、髪の毛を高い位置で2つに結び、全身から可愛いオーラを出しながら近づいてくる。
 トテトテと走って来て―――
 「奏都ちゃん、お客さん?」
 「えぇ、漣さん。こちらが片桐 もな(かたぎり・もな)さんで、あちらが神埼 魅琴(かんざき・みこと)さんです。それで、こちらが浅葱 漣さんです。」
 「漣ちゃんって言うの〜?」
 にっこりと微笑みながら、もなが漣の服の裾を引っ張る。
 小学生くらいだろうか?ニコニコと微笑む顔は無邪気で・・・
 「初めまして、私は紅咲 閏(こうさき・うるう)と申します☆」
 そんな挨拶とともに、ぬっと魅琴の背後から出てきた可憐な少女に、漣は思わず驚いていた。
 全然気配がなかった気がするが・・・閏と名乗った少女はズイっと漣の目の前に歩み寄ると、じーっと頭からつま先まで漣を眺めた。そして、何事かを口の中で呟いた後に、ポケットからガラスの小瓶を取り出した。
 その中に入っているのは白いカプセルだ。
 閏が漣にカプセルを1つ差し出すと、にっこりと微笑んだ。
 「飲んでくーだサイ☆」
 「え?」
 「水もありますから♪」
 そう言って、背後から水を取り出し―――その周到さが途轍もなく怪しいが・・・視たところ害悪なものではなく、風邪薬のようなものらしい。
 閏の思い遣りを無碍にする訳にも行かず・・・
 「頂こう。」
 漣はそう言うと、閏からカプセルを受け取り―――「あ、ダメっ・・・!」
 もながそう声を上げたが、既にカプセルは漣の喉元を通り過ぎ、胃の中に入ってしまった。
 サァっと顔色の変わる夢幻館の住人達。
 「さぁ、もなもですよ〜☆」
 「やだぁっ・・・!!」
 企み顔の閏がもなを捕まえると、漣に飲ませたのと同じクスリをもなの口の中に―――

  ドクン

 急に胸が高鳴った。
 それは痛いくらいに漣の胸を締め付け、息苦しくさせる。
 痛い・・・心臓が凄まじい力で握られているかのように、痛い・・・!!
 思わずその場に膝をつく。
 「大丈夫か・・・!?」
 冬弥が駆け寄って来て漣の肩に手を置いた瞬間、ふっと漣の意識が遠くなった。


   それから先は、漆黒の闇が支配する混沌の世界―――



★☆★始まる、関係★☆★


 「で?どうなるんだ?」
 「それは私にも解らないですよぉ〜。」
 「だぁぁっ!あんなぁ、恋人同士でも、親子でも、なんでも出来ますよ〜☆とか言いやがって、敵対関係とかになったらどーすんだよっ!」
 「視たところ、漣さんも強そうですし、大丈夫ですよ。」
 「そーゆー問題じゃねぇっ!!ロケランぶっ放された日にゃぁ、危険なんだよっ!」
 キャンキャンと冬弥が閏に向かって叫び・・・

  パチリ

 その声で、漣は目を覚ました。
 ふかふかのソファーに寝かされていたため、節々が痛い・・・。
 むくりと上半身を起し、ホールの中を見渡した。
 「お・・・おい、大丈夫か?」
 引きつった顔の冬弥が漣の傍まで来て、どこか痛むところはないかだとか、気持ち悪いところはないかなどと尋ねるが、漣はそれには一切答えずに“あの人”を捜していた。
 「おい??聞こえてるのか??」
 「・・・は・・・・だ・・・?」
 「え?」
 「姉上はどこだ!?」
 「「姉上ぇ!?」」
 閏と冬弥の声がピタリと合わさった瞬間に、ホールの扉が勢いよく開いた。
 そこに立っていたのは、ツインテールの可愛らしい少女・・・もなだった。
 「漣ちゃん!あたしはここだよっ!」
 「姉上っ!!」
 漣が立ち上がり、もなの方に走って行く・・・!!
 「怪我は・・・?俺が目を離した隙になにか危ない目に遭ってなかったか??」
 「あたしは大丈夫。それよりも、漣ちゃんは?怖い人達になにかされなかった??」
 互いに手と手を取り合って―――
 「シスコンだな。」
 「ブラコンですね。」
 言っている内容は若干違うものの、再び冬弥と閏の言葉が合わさり、ホールの中を虚しく漂う。
 「冬弥ちゃん!閏ちゃん!漣ちゃんの事、苛めなかったでしょうね!?」
 キっと鋭い視線を向けるもなに、冬弥と閏は頭を抱えたくなった。
 「あ・・・あのさ、1個訊いて良いか?」
 冬弥が恐る恐る“姉弟”に近づく。
 「なぁに?」
 「もなが姉で、漣が弟・・・なのか?」
 「そうだが?」
 「ちなみに漣、今いくつだ?」
 「17だが?」
 おかしいだろっ!ぜぇぇぇってーおかしーだろっ!!!
 そう叫びたいのを、冬弥はなんとか我慢した。
 今は2人に何を言ったところで通じない。なにせ“ココロを変えるクスリ”によって2人は“本当の”姉弟になってしまったのだから・・・。
 「ふむ、実年齢をも超える・・・と。」
 「はいそこ、今回の事件の張本人のクセに冷静に状況分析すんな。」
 ちなみにもなは実年齢16歳だ。どう考えたってもなの方が年下な挙句、どー見たってもなの方が年下にしか見えない。
 しっかりと17歳に見える漣とは違い、どう贔屓目に見てももなは小学生にしか見えないのだから・・・。
 「でも、良いじゃない。もなもこれで少しはお姉さんらしく・・・」
 「ねー、漣ちゃん、お腹空いたぁ〜!」
 「何か食べるか?」
 「んー・・・漣ちゃん何か作ってぇ〜?」
 「リクエストは?」
 「ない☆漣ちゃんの得意なもの作って♪」
 「解った。」
 もなが甘えるようにそう言い、漣が苦笑しながら頷く。
 そして、そこで少し待っているようにと言い残してキッチンの方に入って行き―――。
 「おい、ちっとも変わってねーぞ?」
 「設定がシスコン、ブラコンらしいので仕方ないかな。それにしても、漣さんはお料理できるのかしら?」
 「今時料理くらい誰だって出来るだろ。」
 このクソチビは出来ないけどな。と、もなを指差しながら付け加える。
 「はぁ〜vねね、冬弥ちゃんに閏ちゃん!漣ちゃんってとっても良い子じゃない〜?お料理も上手いし、優しいし、運動も出来るし、頭も良いし・・・本当、自慢の弟なのっ☆」
 おい、いつ漣の作った料理を食ったんだ?つーか、お前、漣の事いつから知ってんだよ?
 などと突っ込みどころ満載ではあるが・・・
 「姉上!お待たせ・・・。」
 悶々とした気持ちを抱えながら佇む冬弥達のもとに、漣が戻って来た。
 お盆の上にはチャーハンとたまごスープが乗っており、ほんのりと立ち上る湯気は美味しそうな香りを放っている。
 「つーか、作んの、はやっ!!」
 「姉上がお腹を空かせてると思って、急いで作ったから味はどうだかわからないが・・・」
 「これだけ美味しそうな匂いがしてるんだもんっ!絶対美味しい!あたしが保証するっ!」
 「姉上が保証してくれるなら、絶対美味しいな。」
 料理の出来ない子の保証なんて、どれほどの価値があるかは分からないが・・・。
 もなが椅子に座り、その隣に漣が座る。
 「いただきま〜す♪」
 と小さく言って手を合わせ、スプーンでチャーハンをすくい、パクリと口に入れた。
 「お〜いし〜っ!!!漣ちゃん、天才?!」
 すっごくおいし〜!!と叫びながら、もながパクパクとチャーハンを口に運ぶ。
 隣では凄く嬉しそうな顔で漣がもなを見詰めている・・・姉に褒められて嬉しい弟と言った感じの表情だ。
 「ねね、漣ちゃんも食べてみなよっ!はい、あーんして??」
 「いや、でも・・・」
 「ね?美味しいから食べて??」
 「姉上がそう言うのなら・・・」
 少し恥ずかしそうに躊躇した後で、漣が薄く唇を開いた。
 もながスプーンを持って行き、チャーハンを漣の口の中に入れ・・・
 「関節キスですね。」
 「お前なぁ。誰も気にしてねー事をサラリと言うな!」
 「まぁ、姉弟ですから・・・血の分けた、実の。」
 絶対間違っている・・・。そもそも、漣ともなの血は1滴も繋がっていないはずだ・・・!
 冬弥が突っ込み疲れからか、それともあまりにも突っ込む事が多すぎてその職を放棄したのかは知らないが、その場にガクリと力なく座り込んだ。
 今日、何度目か解らない、長い長い溜息をつき―――
 「あ、もなが食べ終わりましたよ〜?もながお皿を持って行こうとしているのを漣さんが優しく止め、姉上はここで座って待っていてくれれば良いからと言ってキッチンの方へ行ってしまいました!もながチョッピリ寂しそうですっ!」
 「ってか、誰が実況生中継しろって頼んだよ!?」


☆★☆終わる、関係☆★☆


 「漣ちゃん、髪の毛結んで〜☆」
 「結びなおせば良いのか?」
 「うん!はい、ブラシ♪お願いねw」
 可愛らしいピンクのブラシを受け取ると、漣はもなの髪を解いた。
 ベビーピンクのリボンをひとまず脇に置き、長い髪の毛を丁寧に梳く。
 真っ直ぐに線を引き、髪を2つに分け、ブラシで整えながら頭の高い位置で結ぶ。
 「出来た。」
 「わぁ〜い☆やっぱ漣ちゃんはあたしの自慢の弟だよっ!」
 そう言ってもながギューっと漣に抱きつく。漣が酷く嬉しそうな顔をしながら「姉上、苦しいですよ」と囁き、もなの細い肩にそっと手をかけると少しだけ離した。
 「ねね、漣ちゃん。あたし眠くなっちゃったぁ〜!お昼寝しよ〜?」
 「俺も一緒に?」
 「そう!漣ちゃんも一緒に!だぁぁって、あたしが眠ってる間に漣ちゃんに“もしも”の事があったらイヤだもん!」
 プーっと頬を膨らませるもなを、漣は可愛らしいと思った。
 そう・・・いつだって姉上は可愛らしくて綺麗だった。
 笑えば大輪の花のようで、静かに座っていればその周囲には妖精なんかが飛んでいたりして・・・姉上には綺麗な花畑と妖精達、真っ白なティーカップに入った温かい紅茶と、詩集なんかがよく似合う。
 漣の自慢の姉だった。
 ―――果たして本当にもなの周囲に妖精が飛ぶのかどうかは一先ず置いておくとして・・・。
 「俺も、離れている間に姉上に“もしも”の事があったらと思うと、気が気じゃないよ。」
 もしも変な男に絡まれていたら?もしも姉上の可愛らしさや美しさに嫉妬した輩が姉上に危害を加えようとしていたならば・・・?
 目の届かないところに居る以上、漣が手出しをする事も叶わない。
 こんなにか弱い姉上なのだ。もしもそんな事が起きてしまったならば・・・・・。
 漣はじっともなを見詰めた。
 華奢な腕は触れてしまえば儚く折れてしまいそうで、繊細な腰は胸が痛くなるほどに細い。
 大きな瞳は潤んでおり、美しい髪は艶やかに光っており、着ている服は姉上のために作られたのかと疑うほどに良く似合っている。
 「それじゃ、一緒にお昼寝しよっ!ね?漣ちゃん?」
 もなが漣の腕を取り、「あたしの部屋は2階だから、あたしの部屋で寝よう〜?」と言ってグイグイと引っ張る。
 「なんだか小さい頃を思い出すな。」
 「よく一緒に寝てたもんね〜♪あの頃はずっと一緒に居たよねぇ。」
 甘えるように漣の腕にしがみ付き、悲しそうにクスリと微笑む。
 ・・・そんな顔をしないでほしい・・・。なんだか自分が姉上を悲しませているようで、胸が痛む・・・。
 「今だって、いつも一緒に―――」
 言いかけた時、どこか体がおかしい事に気がついた。
 なんだろう?モヤモヤとしたものが体中に広がって行く気がする。
 そのモヤモヤは、まるで黒い霧のように漣の体中を駆け巡り、そして・・・ふっと、急に掻き消えた。

   パチン

 その瞬間、何かが漣の中で弾けた。
 今まで暁の胸を締め付けていたものが、一気に弾け飛ぶ。
 「・・・・え・・・・?」
 「はれれ・・・?」
 漣の隣、腕にしがみついていたもながキョトリとした顔でキョロキョロとその場を見渡す。
 「今の・・・なに??」
 小首を傾げ、もながそっと漣の腕から手を離し―――

  ―――その瞬間、漣はその場に崩れ落ちた。

 ドサリと音を立てながら膝をつき、呆然と前を見詰める。
 そして、その顔は次第に赤く染まって行き・・・。
 カァァァっと赤面すると、右手で口元を覆った。
 「な・・・なっ・・・・!!?」
 「ありゃりゃ、閏ちゃんのクスリのせいだね、これは・・・。」
 もう、やんなっちゃーう!ともなが叫び、漣の結ったツインテールをブンと1回だけ振る。
 その際、甘いシャンプーの香りが周囲にまき散らかされた。
 ・・・漣の脳内に、先ほどまでの光景が次々に思い出されては確実にストックされて行く。
 記憶の倉庫の中にしっかりと仕舞われて行く記憶の数は、少なくない。
 「な・・・なんて事を・・・。」
 漣が呟き、ペシャリと座り込んだ。
 どうやら酷く落ち込んでいるらしい。
 それが何に対しての落ち込みだかは解らないものの、自分を見失いそうになるほどに落ち込んでいるらしい事が傍目にも解る。
 「れ・・・漣ちゃん?」
 「片桐・・・もな・・・さん・・・。」
 「うんうん、これは全部ね、閏ちゃんのクスリのせいなの!だからね、漣ちゃんはなにも悪くないんだよ〜??」
 あまりにも落ち込んでいる漣を慰めるためなのか、もなはそう言うと、目の前に座り込んだ。
 どう見ても小学生にしか見えない“元”漣の姉上は、酷く心配そうな面持ちでこちらの様子を窺っていた。
 「いや・・・あぁ、大丈夫・・・だ・・・。」
 とても大丈夫そうには聞こえない口調だったが・・・
 「とりあえず、此処に居てもしょーがないから、ホールに戻ろう?ね?あったかいモノ飲もう?ね?」
 もなが漣に手を差し出し、ホールへと導く。


 「ま、ちったー姉らしくね〜?」
 「もうクスリの効果は切れてますよ。」
 その様子を柱の影から見詰めていた冬弥と閏がそっと囁く。
 「しかし・・・最初は妙なコンビだと思ったが・・・中々良かったじゃねぇか。」
 「そーですね。互いに想い合う姉弟っぽかったし・・・あれはあれで、アリかもね。」
 閏がそう言って、にっこりと純粋な微笑を浮かべた―――。




 【今の2人の関係は・・・】



 【 ――― これから作って行く物語 ――― 】 




       〈END〉


 
 ◇★◇★◇★  登場人物  ★◇★◇★◇

 【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】


  5658/浅葱 漣/男性/17歳/高校生/守護術師


  NPC/片桐 もな/女性/16歳/現実世界の案内人兼ガンナー

 ◆☆◆☆◆☆  ライター通信  ☆◆☆◆☆◆

 この度は『ココロを変えるクスリ』にご参加いただきましてまことに有難う御座いました。
 そして、再びのご参加有難う御座います。(ペコリ)
 
 さて、如何でしたでしょうか?
 ブラコン&シスコン姉弟・・・夢幻館1の子供っぽいもなだけに、最初はどんな風になるかとハラハラしておりましたが・・・。
 最後、ほんの少しだけもなも成長できたかな?と思いました。
 漣様の心の傷は計り知れませんが、恐らく閏にはそんな事はお構いなしです。
 夢幻館にお越しの際は、上下左右をよーーーく御確認くださいね。

  それでは、またどこかでお逢いいたしました時はよろしくお願いいたします。