＜東京怪談ウェブゲーム　アンティークショップ・レン＞ ペピュー育成　〜青 ＊オープニング＊ アンティークショップ・レン。 都会にひっそりと佇むこのお店、曰く付のシロモノばかりのせいか よほどの通か、よほどの好奇心旺盛な輩しか訪れない。 ドアが開くと、椅子に腰掛けたまま気だるげにキセルをふかした碧摩・蓮　（へきま・れん）が 視線を向ける。 「ねぇ、面白い商品を入荷したんだけど、見てかないかい？？」 そう言うと、蓮は何やらゴソゴソと、袋を漁り、何色もの手の平大の卵を取り出した。 ＊青の卵と、楷・巽＊ ペピュー。 それはいまだかつてこの世界で見た者がいない、特殊な存在。 ペピュー。 昔々、あるところ、ある場所で、ある旅人が時空の狭間に挟まれ、異世界へと飛ばされた。 旅人はそこで出会った、なんとも形容もしがたい奇妙な存在に声をかけられた。 人語を解せたのか、それとも、旅人の意識下に話しかけられたのか。 今となってはわからないが、その旅人は様々な色の卵を託された。 ペピュー。 人間界にある「卵」。それを、この世界の者達は「ペピュー」と呼ぶのかもしれない。 人間界にある卵にも、ニワトリの卵を初め、鳥の種類は勿論、魚など、様々な卵がある。 この色とりどりのペピューの卵もそういった類なのかもしれない。 ペピュー。 『持ち歩かん。さすれば、卵は孵りよう』 なんとも形容しがたいその存在は、そう言うとまた、旅人を元の世界へと戻した。 ペピューの卵と共に… 「…これが、一緒に入ってたマニュアル。んーー…ま、小難しく書いてあるけれど、 　何が生まれるかわかりませんよ、って話みたいだねぇ。 　んでもって、約七日程度で孵化し、ペピューはペピューの国へと帰ります、と… 　あたしもまた、なんだかわからないもんを仕入れちまったもんだねぇ」 キセルの煙を吹きながら、碧摩・蓮が楷・巽（かい・たつみ）にマニュアルを手渡す。 楷・巽。 うら若き乙女がその顔を見れば、十中八九振り返るであろう、美しき容姿を持つ。 そして、その終始変わらぬ、そしてどこか憂いを称える表情を見れば、きっとそのクールビューティーさに、更に卒倒することは間違いない。 だが、きっと、彼はそんなことを微塵も望んではいない。 彼はいつも戦っているのだ。己の中のトラウマと。いつ消えるかわからない心の傷。 いつ戻るかわからない、感情。 少しずつ、穏やかだが取り戻している感情を自覚しているのかいないのか、巽は己の勤めるカウンセリング事務所の休日を使って、このアンティークショップ・レンに訪れていた。 初めてアンティークショップ・レンに訪れた巽は、興味深そうに様々な物を眺めていた。 興味深そう、とは蓮の勝手な判断だ。なぜなら、巽は無表情であったから。 『ふふ、面白そうな人間がきたねぇ』と蓮はおもむろに巽に声をかけ、そしてこの「ペピューの卵」を巽に見せた。 「これは…卵ですが…様々な色がありますね。…？どうやら、普通の卵ではないようですね？」 たくさんの色の卵を手に取り、巽は見比べる。 形は普通の卵と一緒だが、色は勿論のこと、重さ、触り心地、振った際にあるハズの黄味の動きがまるでない。 そのことを瞬時に悟った巽。 「ねぇ、あんた。どうだい？この卵。ひとつ育ててみないかい？」 しばらく沈黙した後、巽はポツリと答えた。 「はい、わかりました。ひとついただいていきます。色は…そうですね、この青い卵を。」 「はいよ。面白い結果になるのを祈ってるよ」 「あの、御代は…」 「百円。」 「１００円ですか？随分とお安いのですね…」 僅かに驚きの表情らしき顔を見せた後、巽は蓮に１００円を手渡し、青い卵を持ち、店を出た。 「ふぅ…今日が休日で助かった…。でないと、卵とはいえ、この子の面倒みれないからね。」 表情は相変わらずの無表情だが、しかしどこか楽しげに、巽は家路に着くのであった。 ＊青の卵　初日＊ 私の名前はペピューと申します。名前はまだ、ありません。 気がついたら、『私』という意識があって、そこそこの人間界の記憶がありました。 そして今、私はとある男性の手の中におります。そのお方は私を撫でながら言葉をかけてくださいました。 「ペピュー…君は今、卵の中で何をしているのかな？」 とても綺麗な男の人…思わず私は見惚れておりました。 やや機械的なイメージもしてしまう声に、無機質さを感じさせる表情… でも、私は思います。この方は、深き優しさを持つ方。 『私は、貴方様を見つめておりますよ』 そう、一生懸命声に出しては見ましたが、どうやら言葉は通じない模様でした。 「七日間で孵化する、とは言ってましたけど…暖めなくていいんでしょうかね」 ああ、私は七日たったら、この空間から出て行けるのですね。 「卵から孵ったら、できるだけ君と遊んであげるよ。」 そう優しく言葉を発する綺麗なお方。ああ、早く孵化したいです…♪ 「でも…」 若干、表情がお曇りになられました。 「俺、研修中とはいえ医者だから、何かと忙しくて君にかまってあげられないんだ。ごめんね、それだけはわかってほしい。」 このお方は、医者。そして、研修医。 かまっていただけないのは寂しいですが…私は、その優しい口調に、『心得ました』と言葉に出しました。 しかし、やはり言葉は聞こえない模様。 「それじゃあ、明日は朝早いから、お話はこの辺で。おやすみ、ペピュー」 マフラー…なのでしょうか？私はふかふかなマフラーにくるまれました。 基本的に、私、ペピューは卵の間は睡眠が必要のない模様で…私は一晩中、綺麗な男性の寝姿を拝見しておりました。 ＊青の卵　二日目＊ 早朝。持ち主の綺麗な男性は、早起きさんでした。目覚ましのベルが鳴ると同時に、パチッ、とアラームをオフにし、朝の身支度を始めます。 着替えたり、顔を洗ったり、歯を磨いたり…そこで、ハッと私の存在を思い出したようです。 私に近寄り、優しき手で撫でてくださいました。 「おはよう、ペピュー。よく眠れたのかな？」 そう声をかけてくださいました。 『いえ、眠っておりませんの。時々、うなされたような表情をなさってらっしゃったようですが…大丈夫、ですか？』 私は、話が伝わらない、と知りつつも声に出します。 「花に声を掛けながら育てると、綺麗に咲くと言うけれど…君も、きっとそんな存在なんだろうね。 　…もうちょっとで準備が終わるから。そうしたら、君を職場に連れて行くね」 そう声をかけてくださり、準備を終えると、私を鞄の中に入れました。 「職場に着いたら、鞄から出すからね。」 そう言いつつ、鞄を閉められました。 流石に、真っ暗は怖かったですね。 どのくらいかわからないですけれど、時間がたち、次に見えたのは、光と、あのお方でした。 私を取り出し、真っ白い…白衣、というのでしょうか？その白衣のポケットに私を入れました。 白衣のポケットから、チラチラとあのお方の顔が見えます。 様々な書類を見ては、何かを書き込んだり、パソコンに入力したり。 「う〜ん･･･これでは資料不足だな…」 そう呟き、書類棚に向かったのですが、その際に、私のいるポケットが机の角にぶつかってしまいました。 「ああっ、大丈夫かい、ペピュー！」 急いで私を取り出し確認してくださいました。 「ヒビも、傷もないみたいだね。よかった…。確かに頑丈だとは聞いていたけど、やっぱりドキドキしてしまうね」 安堵の表情を浮かべ、「これからはもっと気をつけるから」と、また私をポケットにしまいます。 そして、また資料探しに専念された模様。 「ああ、やっとあった。こんなに奥、しかも埃だらけじゃ…掃除しないといけないですね」 ため息をつきつつ、また書類に目を通されておりました。 午前中は、ずっとそのような感じでした。 午後になり、診察…と、いうのでしょうか？患者さんがあのお方の元にやってきます。 お医者さんだとはわかっていたのですが、普通のお医者さんじゃないことがわかりました。 患者さんの相談内容が、なんとも…お家のこと、自分の精神状態のこと…とにかく、体の病気というよりも精神の病気の治療に携わっていることがわかりました。 患者さんは皆、 「楷先生、ありがとうございました」 とお礼を述べ帰っていきます。 楷先生…二日目にして、やっとお名前がわかりました。このお方は「楷さん」とおっしゃるのですね。 お仕事終了後、きっとお疲れであろう楷様は、私に色々と話しかけてくださいました。 優しく撫でながら…私も必死に返事を返すのですが、やはり、楷様にとっては独り言のようなもの。 しかし、楷様は優しく、根気強く私に話かけてくださいました。 ＊青の卵　三日目＊ 昨日と同じく、楷様は同じ時間にピッタリ起きられました。 そして、今日は何よりも先に私の元へやってきてくださいました。 「おはよう、ペピュー」 柔らかな声で私を撫でてくださいます。 「今日は午前中から診療なんだ。昨日以上に構って上げられないかもしれないけれど…ごめんね」 『楷様のお陰で助かってる方が大勢いるのです。勿論、構いません♪』 私はそう言いました。昨日は眠ってらっしゃる間、うなされている模様でしたが、今日はうなされた表情がありませんでしたので、ちょっぴり安心しながら。 そして、今日も鞄にしまわれ、楷様と共に職場へと参りました。 …改めて、楷様の医者としての人気、というものを知りました。 午前中からひっきりなしにいらっしゃる患者さん。 様々な悩みに対し、冷静に話を聞き、時にはヒートアップされた患者さんをなだめたり、的確な助言を与えたり… 一人の患者さんに対する診察が終わった後、すぐさまその会話の内容を記録し、次回いらした際に提案する対策案も書き出す仕事ぶり… 私はただただ、圧倒されておりました。 機械的にこなしているようにも見えますが、中身はとても人の奥深いものに関わる重要なもの。 楷様の能力の高さを、改めて感じました。 休憩時間も、昼食のサンドイッチをほお張りながら、書類に目を通し、論文を読み… 一息ついたところで私を取り出してくださいました。 『お疲れでしたら、私のことは気にしないで結構ですよ〜』と言いつつ、相変わらず楷様は優しく撫でて下さいます。 「ごめんね、ペピュー。退屈じゃないかな？」 『退屈ではありません！様々なお話が聞けて有意義です！！』 私は答えます。 「おっと、もう午後の診療か…もうちょっと、我慢してて」 そう言うと、また楷様は私をポケットにしまわれました。 午後も、午前中同じくたくさんの人のお話を聞き、要点をまとめ、適切なアドバイス、そして患者さんの心の深層…闇を見つけては、どうすれば光が差すか、を熱心に考え、お答えになられてました。 本当に、有意義な時間で…午後の時間も、私としては物凄く早く過ぎた気がいたしました。 家に帰られても、パソコンを操作したり、書物を読んだり… 嗚呼、精神科のお医者様というのは物凄く大変なお仕事なのだな、と実感いたしました。 ＊青の卵　四日目＊ 楷様との生活も四日目です。 楷様は忙しいながらも合間を見ては私のことを撫でたり、話しかけてくださいます。 こんなにも、良いお方の元に渡ることが出来て、私はなんて幸せ者なのでしょう♪ 今日もお仕事の日。 本日は、同僚の方がメインで診察をなさるらしく、楷様は主に書類の整理や同僚の方が使うであろう資料を探したり、とアクティブに動き回っておりました。 診療も大変なお仕事だとは思いますが、このような書類整理、資料探しなども、これだけ膨大な数となるとなかなかすぐには終わりません。 お掃除もかねて動き回り、午前中は終えたようです。 淡々とした表情でお仕事をこなされてはおりますが…私、お体が心配になってしまうほどの働きぶりです。 お昼休みはだいぶ私に構っていただきました。 昨夜はあまり寝付けなかったご様子でしたので、私は『少しはお昼寝でもしてはいかがですか？』と声を出しますが、私の言葉はやはり届きません。 疲れの表情も見せず、ただひたすらに私を優しく撫で「あぁ、雪が降りそうだ…ペピューは、寒さは大丈夫なのかな？」など、私の心配をしてくださいます。 ああ、きっと私が人間で、そして心に何か傷を負っていたら…きっと、楷様の元に参るでしょう。 …あ、でも、それでは、このような楷様のプライベートな表情を見ることは出来ませんでしょうね。 ペピューに生まれてよかった、かな♪ 午後も、ひたすらアシスタントの業務をこなされておりました。 やはり淡々と、そして正確に業務をこなす楷様…でも、机の周りを移動するときは私の入っているポケットを少し気にしてくださり… 優しくて、繊細で…その丁寧な扱いに、私は凄く嬉しくなりました。 勤務を終え、今日も楷様の用意してくださったマフラーにくるまれます。 「おやすみ、ペピュー」 そう優しく声をかけ、すぐに眠りにつく楷様。 また、夢のせいなのかうなされてらっしゃったのが気がかりですが… ああ、きっと、楷様の中には、私には見えない深い悲しみがあるのでしょうね…。 なんだか、そんなことを感じた夜でした。 ＊青の卵　五日目＊ 五日目にして、やっとわかったことがあります。 楷様のフルネームは「楷・巽」様だということ！！ 楷様が話しかけてくださるときは、たいてい「寒くはないかい？」など、私のことを気遣ったり、自分のお仕事に対する説明などが多かったのですが、あまりご自身のことはお話になられることは少なかったのです。 なので、楷様の素性については謎が多いままでした。 気になりはしたものの、会話ができるわけでもないものですから、今、目に見える楷様だけを見続けておりました。 今日もお仕事だった楷様。多忙な日々でありますが、充実なされてる模様。 ときおり、何かをジィッと考え込んでらっしゃったりいたしますが、すぐにハッと私に気づき、優しく話しかけてくださいます。 今も、患者さんがお帰りになり、次の診察まで時間があったらしく、楷様の手の上で楽しいひと時…勿論、私にとっては、なのですが…を過ごしておりました。 しかし、楷様が突然、私を机に置きっぱなしにしたまま、走り出したのです。 私はビックリしました。 しばらくしても戻ってこない楷様。とりあえず、もう見慣れてきた事務所内のテーブルの上を観察していると、 『楷　巽様』という、楷様へあてた郵便物が。 これにより、楷様のフルネームを知ったわけです。 さらに時間がたち、楷様が戻っておられました。ふぅ、とため息をついたまま。 そして、また椅子に座ると「ハッ！」と私のほうに視線を向けます。 「思わずペピューのことを置いていってしまった様だね。ごめんよ、ペピュー」 楷様が謝られましたが、私はそれよりも何があったのかが気になって仕方がありませんでした。 その返答が聞けるか不安だったのですが、楷様は自ら話してくださいました。 「俺は…さっき出て行った患者さんに違和感を覚えたんだ。んー･･･わかりやすく言うと第六感…みたいなもの、かな？ 　ピン、ときて、外に出たら…先ほどの患者さんが、川の上の橋にボンヤリと立っていた。 　もしかしたら、このまま…そう思った矢先、患者さんが橋の手すりに手をかけた。 　あとは、説得…」 深く、悲しい表情をなされる楷様… 「すべての人を救うことなんて、出来ないのかもしれない。本人の力も大事、だからね。 　でも…俺は、できる限り力になりたい。患者さんのためにも。」 強い意思のこもった表情で、楷様はお話になられました。 そして、ポツリと… 「自分の、ためにも…」 そのお言葉は、私にもハッキリと聞こえました。 ＊青の卵　六日目＊ もう、六日目です。あっという間…に感じられるのは、楷様のお仕事の忙しさ、充実さのおかげでもありましょう。 そしてまた…孵化するのが楽しみでありつつも、寂しくもあります。 だって、孵化してしまったら、楷様とお別れしなければならないのですから…。 そんな寂しさを知ってかしらずか、楷様は今日も私に優しくお言葉をかけ、撫でて下さいます。 「もう６日たってるんだね…そろそろペピューが孵る頃だけど、どんな子が生まれるんだろう」 そう言う楷様。 ああ、私は…楷様のお側にいたいです。 私がもし、人間だったら、きっともっと楷様のお側にいたいと思うでしょう。 …これが、恋心というものなのですね… 「孵化するのが楽しみだな」 とおっしゃる楷様にあり難く思うも、少々複雑な心境でございました。 本日も、楷様はお仕事に勤しんでらっしゃいました。 「明日はお休みだから、一日中ペピューのことを見守ってられるよ」 そう、楷様はおっしゃってましたので…この、お仕事に勤しむ楷様を拝見できるのも今日が最後。 見えるものを目に、聞こえるものを耳に、感じたことを心に、深く深く刻んでおこうと思いつつ、お姿を拝見していた一日でした。 ああ、私はどのような姿で生まれてくるのでしょうか？ 私にも、わかりません…。 ＊青の卵　孵化＊ 七日目の朝。 楷様はお仕事の日よりも更に早くお起きになられました。 せっかくのお休みなのですから、もっと寝坊なさればよろしいですのに…私、楷様のお体が心配です。 そう思いましたが、楷様の第一声は 「ああ、まだ孵化してなかったんだね」 とのお言葉でした。 「せっかくの孵化だし…どうか、見届けたくて。今日は仕事も休みだし、一日中側にいるよ」 そう言って、楷様は朝の支度をはじめました。 しかし。 支度が終わり、私に構っていただいたところ…いつもなら、楷様がお仕事につく時間ぐらいでありましょうか？そのぐらいの時間に、楷様の携帯電話が鳴りました。 会話の内容から察するに、楷様の担当なされてる患者さんが、「どうしても楷先生と話がしたい！」と喚いてらっしゃる模様のようで…。 楷様は、お仕事には向かう、と電話口で伝えたのですが、問題は私のことのようでした。 「ペピューの孵化を見守りたいけど…でも、職場で孵化して、誰かに見られたら…」 私を手の平に乗せ、随分とお悩みになっていた模様です。 『楷様、私のことはよいですから、早く患者様の元へ行ってあげてください！』 私は、卵の中でそう大声で叫びました。その時。 ピキピキっと、何かが破ける音がしました。 そして、今まで見ていた光よりも更に強い光と…最初に見えたのは、楷様の驚いた顔。 「ペピュー…孵化出来たんだね！よかった…」 安堵の表情の楷様。 「楷様！私のことよりも、患者様の元へ、早く！！」 頷くと、楷様は急いで仕事場に向かわれました。 よかった、私の姿、そして声がちゃんと楷様に届いた… しかし、安心してる場合ではありません。 私が、いつペピューの国に帰ってしまうかもわかりません。 そして、楷様がすぐに戻ってこられるかもわかりません。 ふと、側にある鏡を見ると…私の姿は…青い羽が生えた、手の平大の妖精の姿をしておりました。 真っ青なロングヘアーに、水色の薄いドレス… 自分の姿をマジマジと見ると、どことなく楷様に似ているような… 私は、なんだか嬉しさでいっぱいになりました。 ＊青の卵　その後＊ 楷・巽が急いで仕事場に戻る。 思いの他、仕事に時間を取られてしまい帰りが遅くなってしまったのだ。 「ペピュー？どこにいるんだい？ペピュー？」 巽が、部屋をくまなく探す。 しかし…ペピューはいなかった。 残っていたのは、真っ青な卵の殻。そしてその脇に、手紙…？？ もの凄く小さな文字で『かいさまへ』と書かれた紙が、卵の殻の下にひいてあった。 「あんなに小さな体で…」 巽は、その手紙を目を凝らして読んだ。 『かいさま、私はあなたさまとお会いできて、とても幸せにおもいました。 　おいそがしいなか、私をきづかい、やさしくなでてくださって…かいさまのやさしさで、 　あたしは生まれることができたとおもいます。 　うまれたすがたで、かいさまとたくさんたくさんお話したかったですが･･･ 　本来いなければならない場所にかえらなければならない時間となってしまいました。 　…かいさま、私、人間になりたかった。そうすれば、もっとかいさまのそばにいれたから。 　でも、それはワガママというものですよね。 　かいさま…ほんとうに、たくさんのやさしさをありがとうございました。 　いつか、また出会えると、私はおもっています。 　そのときまで、どうか、かいさま、お体にはおきをつけください 　だいすきです、かいさま。　ペピュー』 「ペピュー…」 残された殻と手紙を手に取り、巽は深いため息、そして寂しい表情を浮かべた。 その後、ペピューの世界に戻った青い妖精は、『カイヤ』という名前がついた。 どうやら、育てた者の性質が多少なりとも影響するらしい。 カイヤは、悩めるペピュー達の話を優しく聞き、アドバイスをするという… 巽と同じ役目をおって、皆に重宝されている。 「楷様…いつか、また出会えます。きっと…」 ☆ＥＮＤ☆ □■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□ ■　　　登場人物（この物語に登場した人物の一覧）　　■ □■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□ 【整理番号　／　ＰＣ名　／　性別　／　年齢　／　職業】 【2793／楷・巽／男性／２７歳／精神科研修医】 【NPC／ペピュー・青・カイヤ／女性／１５歳程度？／青い羽を持つ妖精】 □■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□ ■　　　　　　　　　ライター通信　　　　　　　　　　■ □■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□ はじめまして！新米ライター、千野千智と申します！ この度はこのような新人にＰＣ様をお預けくださりありがとうございました！！ 楷・巽様…「無機質で無表情」との設定でしたが、お優しきプレイングに どうにもこうにも、優しく微笑む巽さんの姿ばかりが浮かんでしまい…このような結果となりました。 そして、青ペピュー同様、楷様に惚れてしまうかの勢いで、楽しく、そしてやや切なく 書かせていただきました。 キャラクター描写は勿論のこと、お仕事に関しましても、イメージと大幅に違っておりましたら 真に申し訳ありません（土下座） 本当に、わかりずらい内容にも関わらず、素敵なＰＣ様を書かせていただき光栄でした！ ご発注、本当にありがとうございました！ よろしければ、またお会いできることを願って…では！！ 2006-01-23 千野千智