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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


【ロスト・キングダム】逢魔時ノ巻

 鉄扉が軋んだ音を立てて開き、暗い独房に光が差す。
「わるいけど、私の気は変わりませんよ」
 部屋にいた人物が、先手をとって発言すると、扉を開けた男は、ため息をついた。
「これは……係長を含め――私たちを守るためでもあることは、ご理解いただいていると思ったのですが」
「守る……」
「そうです。そしてそれはひいては、この国を守ることにも繋がります。前係長もそうお考えだったのでは」
「兄が何をしようとしていたのかは、私が自分で確かめます」
「強情もいい加減になさるといい」
 男――弓成大輔は、強い調子でいい放った。
「いつまでも、丁重な扱いをしているわけにもいきません。……『ヤシマ・ノート』はどこに隠されているのですか?」

■承前(雲外鏡)

「われら《風羅》族は、本来、われわれの領土であった地域を、今再び、われわれが領有することを主張します。同時に、不当にその存在を黙殺された、われわれの主権を主張します。そして、それが受け入れられないのならば――それならば、われわれ《風羅》は、日本国に対し、宣戦を布告するものであります」
 闇の中から語りかけてくる声。
 やがて、その画面が乱れ、砂嵐にとってかわられ――

  しばらくお待ち下さい

 そんなチープな画面が、テレビには映し出された。
「なんだこれ」
 ぽかん、と、見つめているのは、時永貴由。
 この番組で使われているVTRの制作に、親友がかかわったというので、観てみたはいいが。その当の親友――光月羽澄はどうしても外せない仕事があるとかで、今日の生放送にも立ち会えなかったらしい。貴由は時計を見た。もう深夜を回ったが、連絡がないところをみれば、まだスタジオから解放されていないのか。彼女が事の顛末を知るのはたぶん明日、貴由がこの番組のビデオを観せてやってからのことになるだろう。
「あ……、え、えーっと、ごめんなさい。映像が乱れちゃいましたぁ★」
 ふいに、復活した画面にあらわれたSHIZUKUが、笑顔で場をとりつくろった。
 そのあとは――
 大して面白いこともなく、番組は終わった。
 羽澄から話を聞いていなければ、彼女だって、こんなものはヤラセ番組に過ぎない、と思っただろう。
 貴由が、本格的にこの件にかかわることになるのは、もうすこし、後のことだ。
 あやかし荘がなにものかの襲撃を受けたのは、その数日後のことになる。

■承前(火車)

「に、しても、あきれた」
 ササキビ・クミノが言った言葉に、セレスティたちは小首を傾げた。
「だって、撃ってきたのでしょ。発砲しておいて任意同行もあったもんじゃないのに。まあ、あれか――撃たれた相手が人間じゃないからいいってこと? ふん」
 面白くもなさそうに。
 そろそろ時刻は未明になろうかという頃だ。
 あやかし荘は寒椿の間……つまり翔馬の部屋に居残っているのは、クミノの他は、セレスティ・カーニンガムに、桐藤隼。もっとも、隼は隣室が住まいなのだったが。
「それから、そこの猫! 用があるなら入ったら?」
 クミノが窓を開けると、ぴょん、と一匹の猫が中に飛び込んできた。
「あ」
 セレスティが声をあげた。
 赤い毛並みの、その奇妙な猫は――
「なにやら、妙な気配だったが……もう済んだのか? ふん、暴れる機会を逸したと見える。惜しいことをした」
 たちまち、赤毛の男に姿を変えて、どっかりと畳のうえに胡座をかいた。
 羅火だった。
「羅火さん、大変だったのですよ。八島さんが逮捕されて、お兄さんの霊が謎のようなことを言って、あやかし荘には死人が郵便を届けにきたそうです」
「なんじゃその支離滅裂な話は。もうここで騒動が起こりそうもないなら、わしは帰って寝るぞ」
「まあ、そう仰らずに」
 セレスティたちは、もうすこし詳細に、ここまでの経緯を羅火に話した。
「……」
 羅火の、金色の瞳がさまよいはじめたのは、例の暗号めいた言葉を聞いてからである。

『メイドのスカートの中を探せ。それから、フィボナッチ数列の17番目が必要だ』

「わからん!」
 自信たっぷりに、隼が唸った。
「俺にはさっぱりだな。……ひとまず寝るか。どのみち、皇宮警察に出てこられちゃ、警視庁の刑事の俺が噛んでもややこしくなるだけだしなあ」
「……メイドか」
 ぼそり、と羅火が呟いた。
「いや……まさかとは思うが……」
「羅火さん。心当たりがおありですね」
 そう言うセレスティも、いつもの彼らしくない、微妙な表情になっていた。

■糸の先を追って

「大河原博士が言っていた『宮内庁に気をつけろ』というのは、『一係』のことだったのです!」
 マリオン・バーガンディはうんうんと頷くと、
「大河原博士は村雲家に行っていましたし、そこには八島さんのお兄さんやアンナさんという女性もいたのです。鍵はやはり隠れ里にあるのではないでしょうか?」
 と、言うのだった。
「…………」
 そして、そんな彼をうらみがましく見上げるのが、寝不足顔の隼。
「……あれ。隼さん? 今、気づきましたけど、隼さんはどうしてこんなところに寝てるんです?」
「どうして? ほーぉ、俺が他ならぬ自分の部屋の自分の布団に寝てちゃそんなに悪いかよ。やっと寝付いたところだったのに!」
「あ。これは失礼したのです。ちょっと慌てていて、隣の部屋と間違えたのです」
 マリオンが、あやかし荘の、隼の部屋の扉を開けて入ったきたのは、翌日のまだ午前中のことだった。
「翔馬ならどこかに行ったぞ。あのササキビとかいう娘と一緒に。若いもんな皆元気だなー。……ってか、おまえ、部屋に鍵かかってるのに、どうやってここへ――」
「あ、それじゃあ、ひとりで行ってきます。お邪魔したのです」
「まて。行くってどこへ」
「だから村雲の」
「隠れ里か! それは名案だ。こうなりゃ、俺もつきあうぞ」
 寝付いたばかりだとか言っていたが、隼は、いそいそと仕度をはじめる。
「今すぐ出れば……午過ぎには着けるだろう。東京駅まではタク飛ばせばいいから……」
 隼の言葉が終わらないうちに、マリオンは、部屋のドアを開けた。
 びゅう、と吹き込む冷たい風。
 そこにはあやかし荘の板張りの廊下ではなく――寒風吹きすさぶ東北の風景が広がっているのだった。

 ふう、と一息ついて、光月羽澄は、背もたれに体重を預けた。
 マグカップを手で包みこむようにして、あたたかいココアを一口。
 緑の瞳が見つめるモニタには、消え失せた人間のリストが上がっている。
「……《トケコミ》の人たちや、《アズケ》られてた子どもたちだというのは、間違いないと思うけど……」
 呟いた独り言にも、今ひとつ切れがない。
「うーん。考えなきゃいけないことが多いわね。ネットで調べるにも限界はあるし……こっちの方面は、編集部の人に任せるか」
 珍しく、気弱な表情が、羽澄の顔に浮かんだ。
 流れるようにキーを叩く。
「やっぱり、八島さんのほうが心配よね。逮捕だなんて……まったく」
 モニタに流れ出した新たな情報に、目を細める。プリントアウトの指示を出すと、席を立って、ぱたぱたと仕度をはじめる羽澄だった。
 その一時間後、彼女は都内の喫茶店で、人と会っている。
「お忙しいところ、急なアポですみません」
「いえ、構いませんよ。アトラス……読ませてもらいましたよ」
「本当ですか?」
 すこし大袈裟に反応してみた。今の羽澄は、アトラスの記者ということになっているのだ。
「早速ですけれど……解散するまで、大河原研究室に在籍されていたんですよね」
「ええ。もう七年になりますか。そのあと……大学自体、移りましたし」
 目の前の男は、遠い目で記憶を呼び起こしているようだった。
「当時のメンバーの方は?」
「みんな散り散りになった感じですね。神聖都に残っているのは、結局、河南くんだけでしょう。まあ、もともと、あの研究室も、大河原先生にひっぱられて成り立っていた感じだからなあ」
「アンナ・アドラーさんという女性がいたと思うんですけど」
「ああ、アンナさんね。懐かしいなあ。彼女、どうしてるんだろう。博士が失踪する1〜2年まえに、ドイツから来てた交換研究生でした。でも日本語ぺらぺらで、美人だったし、人気者でしたよ。いや、そんなに親し気な感じではなかったので、僕たちが勝手にあこがれてただけだけど。ほとんど、大河原博士の秘書みたいな状態だったから……もしかして、コレかもね、って噂したもんでした」
 男は小指を立ててみせる。
「実際にそうだったんですか?」
「いくらなんでも歳離れ過ぎでしょう。でもそのくらい親密だったってことです。彼女、調べものがすごく得意で、不思議なくらい、そのとき先生が欲しがってる資料とか情報を探し当ててくるんです。最後のほうは彼女と、先生のお気に入りだった河南くんと……三人でよく行動していました。アンナさんはともかく、河南くんは僕らより後輩でしょう。それなのに先生に重用されてるのを悪く言うひともいましたよ。当人はマイペースで気にしてなかったけど」
 相槌をうちながら、羽澄は考え込む。アンナ・アドラーという女性が、当時の研究室にいたことは間違いない。けれど、ドイツからの交換研究生というのは間違いだ。ドイツの大学に該当する人物はいない。どうやってか、そのアンナという女は、研究室に潜りこみ、大河原博士に接近した。そして。
「この男性は?」
 羽澄は例の写真を見せる。大河原博士とアンナ……そして、八島信吾が写っているものだ。
「あ……」
 かつて研究室にいたという男(今は都内の別の大学で講師をしているそうだ)は、目をしばたいた。
「見覚えあります。ときどき……先生を訪ねて来ていた」
「誰かはご存じないんですね?」
「そうですね……あ、待てよ。どこかのお役所の人だって聞いたことがあるような。助成金関係の人かと思ってたけど。違うんですか?」
「いえ……。あの、大河原博士は『風羅族』のことを調べていたんですよね」
「アトラス読ませてもらいましたよ」
 そう繰り返して、男は笑った。どこか、嘲笑するようなひびきのある笑いであった。
「ええ、そうですよ。古代より山に生き続ける異民族。博士はね、柳田國男がとりつかれた山人の幻想を追い掛けていたんです。柳田が断念した山人論を信じていた。よしんば風羅族がいたとして、サンカのように、その成立が古代とは限らない。先生はそこのところを証明しようとしていたようでした。よく言ってましたね……『風羅を否定することは、日本人の驕りであり、また畏れの裏返しでもある』」
「それは、どういう――?」
 意味をはかりかねている羽澄に、男は肩をすくめた。
「老人の妄執ですよ」

■沈黙の裏側

 ちん、とベルを鳴らしたが、誰もあらわれる様子がない。
 珍しいな、と、貴由は思った。
 いつもなら、黒猫を抱いた高峰沙耶がしずしずと姿を見せるのだが。
 しかし、奥のほうで気配がする。羽澄は、構わず、廊下を歩みはじめた。いつもうす暗い、ランプの光だけで照らされている廊下だ。毛足の長い絨毯が敷かれ、壁には、ものものしい額に入った油絵が並ぶ。
 高峰心霊学研究所、と銘板がかかる門を抜けて、この場所を訪れる人間は、貴由を含め意外と多いようだが、他の客と行き当たったことは一度もない。それも、ここの女あるじにまつわる謎のひとつだ。だが、この日は――きわめて珍しいことに、応接間には先客がいた。
「あ」
「おや、貴由さんでしたか」
 セレスティが、ソファに座したまま会釈をしてみせた。
 促されるままに、セレスティの隣に腰を降ろす。ふと見ると、テーブルの上の茶器はふたりぶん。
「……」
「誰かいらっしゃるのだろうとは思っていたのですが」
 苦笑するように、セレスティが言う。
 そこへ、音もなく、沙耶があらわれた。最初からそういう約束ででもあったかのように、貴由にはとくに構う素振りも見せぬ。腕の中にから、ゼーエンという名らしい黒猫が、青い瞳で客人を見つめていた。セレスティが口を開く。
「高峰さん、単刀直入にお聞きしますけれど、あなたは、八島信吾さん、そして河南教授とともに、異界の研究をなさっていたのですよね」
「かれらに協力をしただけのことよ」
「『二係』の異界化とは、どう関係しているのです?」
 沙耶の唇に、笑みが浮かんだ。
「実験の過程で生まれたのでしょうね」
「異界を……つくりだすことが目的だった?」
 貴由が驚いたように口を挟んだ。
「いいえ。もとは八島氏が東京に起こる大規模な界鏡現象を予測した。それは驚くに値しないわ。そしてそれが自然な流れでもある。ただ……河南教授――いえ、大河原博士は異界を生成する技術に興味を持っていた」
「河南教授は大河原博士のあとを継いだのでしょうか」
「それも違うでしょうね。博士が消えてから、ふたりのあいだに交渉はなかったでしょうから」
「高峰さんは……『風羅』族については何を知ってるの」
 と貴由。
 沙耶はすこし考えるように間を置いてから、そっと口を開いた。
「滅びゆく種族」
 その不吉な言葉が発せられると、高峰心霊学研究所の暗い空間が、いっそう、しんとした静謐に包まれたような、そんな錯覚があった。
「すべてが、そこへ収束してゆこうとしているのが私にはわかる。皆が、その運命に気づいているからこそ、数々の事件は起こったのだとも言えるわ。その運命を是とするか非とするかは別にしてね。……今の段階で、私に言えるのはこのくらい。あとは、自身の目でお確かめなさいな。世界のゆくすえを見守るのは、いつだって、その住人の責任なのだから」
 黒猫が、帰りを促すように、にゃあ、と鳴いた。

「貴由さん」
 沙耶のもとを辞してから、セレスティは貴由に言った。
「あとで『二係』の施設の図面を届けます」
 貴由は立ち止まって、財閥総帥の美貌をはっと見つめた。
「以前、八島さんから青焼きの図面を見せていただいたことがあります。羽澄さんもそのとき、いらしたと思いますけれど、私、記憶にはいささか自信がありますから」
「ありがとうございます。私たちが何を考えているか、お見通しなんですね」
 ちょっと決まりが悪そうに、貴由は笑った。
「私もご一緒したいところですが、この脚でご迷惑をおかけしても何ですし。もうひとつ……今、調べていることがありますから、その結果もお届けしますね。……八島さんをお願いしますよ」
 貴由は、そっと頷くのだった。

「この人……って」
 翔馬は、神妙な顔でその写真を眺めた。
「例の郵便配達」
「本当は郵便局員ですらないわ」
 面白くもなさそうに、クミノは言った。
 都内のとあるネットカフェ――。
 クミノが自分のモバイルを勝手に接続しても何も言われないのは瀬名雫の顔だからか。さすがに、赤毛の「猫」がキーボードの上に寝そべるのに、店員は複雑な顔をしたが、それでも声を掛けられることはなかった。
「前日に心不全で死亡。突然死ではあるけれど、とくに不審な点はない。不運な急逝……。都内の某病院に運ばれたけれど、死亡確認後、霊安室から忽然と消えた。遺体盗難事件ということで警察が動いてたわ」
「ちょ、それって、マズイんじゃ。だいたい、クミノさん、あの死体、いったいどこへやったんスか!?」
「絶対、あなたとは繋がらないように処理したから平気。でも、この様子じゃ、遺族に返してあげたほうがよかったみたいね。ま、それはあとで考えるとして。死体は自分の足で歩いていったようだけど、郵便局員の格好までさせたのはジョークのつもりかしらね。これも探せば制服盗難事件がどこかで起きてると思うけど、この線はたどってももうムダか」
「これも風羅とかいう連中の……?」
「さあ、それはどうかしら。問題は例の記事」
 ぴん、と、猫の耳が動いた。寝ているようで、話は聞いているらしい。
「なにぶん古い記事なので何だけど、記事が出て以降も、遺体やその一部の身許が判明した様子はないわ。仮説だけど、この遺体が風羅のものだとしたら? そのことをあなたに教えて誰が何の得をすると思う?」
「え、えーと……」
 翔馬は首を捻った。
「クミノさんは何か考えが?」
「最初は警告かと思った。でも遺体が風羅ならそうではないでしょうね。状況から考えて、あなたに危害を加えようとする意図ではない気がする。ということは、先の襲撃者――宮内庁関係筋ではないということ。かといって、風羅と断じてもいいものか……。死体を使うというのがね。かれらとはすこし毛色が違う気もするし」
「それじゃあまるで……別の勢力があるみたいじゃないスか。ただでさえややこしいのに」
「おい」
 猫が、ふいに口を開いた。
「記事の死体じゃが、こんなことは考えられぬか。死体があった場所は、《マヨイガ》のあった場所じゃと」
「ふうん。その根拠は」
「む……。そうつっこまれるとな。考えることはわしの仕事ではないでの。じゃが、やつらは《マヨイガ》に棲み、《マヨイガ》を使って山から山へと移動しておるのじゃろう。たとえば、事故でも起こして、振り落とされる輩がおったかもしれん」
「それは面白い説ね。《マヨイガ》の出現ポイントが固定するものなのかどうかは、まだわからないけれど……、過去に、死体遺棄のあった場所に《マヨイガ》があらわれたということはかなり蓋然性があると思う。そしてなんらかの理由で、そのとき、そこで命を落した風羅族がいた」
「あのー……やっぱりそれって、例の『ヤシマ・ノート』っすか? あれを探したほうがいいんじゃ……?」
「同感」
「ああ、あれか」
 猫が、大きく伸びをして、あくびをひとつ。
「ある場所ならわかっておるぞ」

■秘密の在り処

 ハクション!と隼は盛大なくしゃみをした。
「やれやれ。さすがに東北は寒いな。雪が降ってないのがまださいわいか」
 前に訪れたときは美しい秋の色に染まっていた村雲の隠れ里は、寂寞とした冬の顔へと、その装いを変えていた。
 木枯らしに、葉を落した枝がふるえる中、隼は、枯れ草の丘に腰を降ろして、里を一望する。
 バックパックからおもむろに取り出したのは、スケッチブックだ。
 画用紙の上に、鉛筆を走らせてゆく。
 風は冷たかったが、隼は画面に向かいはじめると、そんなことは気にならないようだった。そして、そのまま、どれほどの時間が流れただろうか。
「こんなところにいたんですか」
 いつのまにか、背後にマリオンが立っている。
「翔馬さんのお母さんがごはんをつくってくださったのです。別にいいって言ったんですけど」
「いきなり押し掛けて悪かったなァ。……で、めぼしいものは見つかったのか?」
「とりあえず、関係ある資料はお借りすることにしたのです。それと、八島さん……ああ、八島さんのお兄さん、大河原博士とは別に、何度かいらしたことがあるみたいなのです。……桐藤さん、絵を描いてらっしゃるのですか?」
「ん。まあな」
「桐藤さんは絵を描くのが趣味なのです」
「まー、なんつーか、これでも一応美大卒で」
「刑事さんなのに、美大とは意外なのです」
「伯父貴が絵描きだったしな」
 マリオンは、目を丸くした。
「今、気がついたのです! 桐藤さんという名前に聞き覚えがあると思っていたのです。もしかして桐藤画伯の……」
 リンスター財閥の所有する美術品の管理を任され、絵画修復のわざをもつマリオンだ、日本画壇にもひととおりの知識はある。どうやら、意外なところで、ふたりのあいだに奇妙なつながりのようなものが発覚した、そのとき。マリオンはなにか言いかけた言葉を呑み込んで、隼の肩ごしに、彼のスケッチをまじまじと覗き込む。
「……桐藤さん。この絵……」
「ん? ああ、またやっちまった」
 そこには――
 なんということはない、冬の、隠れ里の風景の素描があった。しかし、その中に、実際には隼が見た風景にはないものが描かれていたのである。
「いつのまにか、描いちまうんだよな」
「これ……八島信吾さんとアンナさんなのです」
 そう……、そこには連れ立って歩く、今そこにはいない男女の姿があったのだ。
「ふたりも、ここに来たんだな、きっと」
「これは過去の風景なのです。桐藤さんが無意識にそれを視た……。行ってみましょう。もしかしたら、なにか手がかりがあるかも」
「は? 行くってどこへ?」
「この――スケッチに描かれた、過去の世界へ、です」

「なんか……あやしい雰囲気ですけど」
 翔馬が周囲を見回して言った。
『気をつけめされい、翔馬殿。一帯に妖気が充ち充ちておるでござる』
 彼の背後に、鎧武者の姿が浮かび上がったが、そんな様子もどこかふさわしげに思える、そこは、殺伐とした廃墟のような場所であった。
 空気にかすかに潮と錆の匂いが混じるのは、東京湾が近いせいか。
 日も傾いてきた頃である。どことなく凄絶な雰囲気が漂う。
「ほんとに、こんな場所に?」
「まあ、隠し場所としては適当な気もするけど、メイドとは程遠い風景ね。ええと……東区三番倉庫街、だった?」
「まあ、わしらも耳を疑ったわい。しかし、八島とメイドといえば、な」
 羅火が、やけにもの慣れた様子で、暗い廃墟のような倉庫街へと、足を踏み入れる。翔馬とクミノがそれに続き、そして……一行には合流したセレスティの姿もあった。
「ここしかないでしょうね」
 ため息まじりに、彼は言った。
「あ、ここです」
 それは、錆の浮いた鉄の扉である。
「封印の術式」
 クミノが、扉の上に貼られた無数の呪符に目をやった。
「八島さんが、危険物を保管しているという触れ込みで借りている倉庫だそうです」
「あくまで『触れ込み』じゃがな」
 有無をいわさず、羅火が扉を引けば、あっさりと錠前が引きちぎられた。
「こ、これ」
 翔馬が息を呑む。
 セレスティが懐中電灯で中を照らし出した。その光の中に浮かび上がったのは……
「そういうことね」
 あきれたように、クミノがかぶりを振る。
 ポスター、フィギュア、CD、DVD、書籍……ぎっしりと並べられているそれは、すべて、まぎれもなくSHIZUKUのグッズであった。
「なんか、見てはいけないものを見たような」
「緊急事態ですから、八島さんには悪いですけど、致し方ないですね。あ、これですね」
 部屋の奥に、ひときわ目立つそれは、およそ50センチほどはあろうかという、背の高いフィギュアであった。
「SHIZUKUドール・限定生産メイドヴァージョン。シリアルナンバー入りね……」
「失礼」
 セレスティが、そのスカートの中をあらためる。
「ありました。……トランクルームのカードキーのようですね」
「ややこしいことをしおって!」
「あれはどうなるんです、ほら、フィボ……?」
「フィボナッチ数列。それがカードキーなら、さしずめ暗証番号ってところ? あんなもの、すぐ計算できる。どうせ定数だし逃げやしないわ。トランクルームの住所は?」
「ええと……ああ、裏に書いてあります。東京都千代田区神田……」
「秋葉原か」
 一同は顔を見合わせる。
 それではその場所に、渦中の品物――『ヤシマ・ノート』があるのだろうか。

■過去

 夕暮れの街を行き交う人々を眺められる、オープンカフェだ。
 寒いけれど、あえてテラス席で、あたたかい飲物を飲むのも冬らしい風情があるものだ。
「ごめん、待った?」
「平気」
 そうして席につくふたりの少女は、傍目には、まったく何の変哲もない街の女の子たちであって、注意深く耳をそばだてたものがいたとしても、ぎょっとするようなその会話を、映画のストーリーでも話しているのか、としか思えなかっただろう。
「図面、受取ったわ。一応、私も頭の中にあったつもりだけど、確かなものがあるとすごく役立つ。……高峰さん、どうって?」
 羽澄の問いに、貴由は肩をすくめる。
「とにかく、八島信吾さんたちの研究から、大河原博士が異界に関する技術を得たのは間違いないと思う」
「博士はそれを風羅族に伝えたのよね。でも八島信吾さんが大河原研究室に出入りしていたのは、反対に、信吾さんが博士の研究に興味を持っていたみたい」
「ふたりのあいだに、ギヴ&テイクがあったということ?」
「かもね」
 ハチミツを溶かしたホットレモネードで喉を潤す羽澄。
 貴由は運ばれてきた彼女のカプチーノに、シナモンスティックを差し入れ、
「そうそう、セレスティさんからもうひとつプレゼントがあった」
 と、書類束を取り出した。
「うれしい。……私は、彼もキーマンのひとりだと思うの」
「弓成大輔……。ふうん」
「考えてみれば、彼が『二係』に異動してきたときから、いろいろな事件が起こっているんだもの。最悪、風羅族と内通している可能性さえあるわ」
「異動の辞令は正式な手続きを踏んでいるみたいだけど」
「彼、そもそも宮内庁にずっといたわけじゃないんだわ。見て、自衛隊員だったんだ」
「自衛官かぁ。どうりで手際がいいと思った」
 貴由はいつか、彼が指揮する部隊に入ったときのことを思い出しているようだ。
「でも自衛官から宮内庁職員になることなんてある?」
「……『一係』というもののこと、もっとよくわからないかと思ったんだけど……。リンスター財閥でも調べられないとなると、相当ガード固いみたいね。LANからいただくしかないか」
「やる気だよ、この娘」
 茶化して、貴由が笑う。
「念のため言うけど、それは国家機密だからでしょ。私たちこれから、この国でもっとも厳重に護られている場所に潜入しようとしてるってわかってる?」
「ごめん。埋め合わせするから、ね?」
「はいはい。どこまでも着いていくよ。先方には何時にうかがう予定なの?」
 パーティのはじまる時間を訊ねるような気軽さで、貴由は聞いた。
 だがそれは、ふたりの少女が、宮内庁への潜入を決行する時刻だったのだ。この国の、象徴たるものを保持し、運営する機関への。

「あ……れ」
 隼がまばたきする。
 そこは先程までと同じ、村雲の隠れ里だ。
 だが、何かが違う。
 空気が……いや、まるで時間が止まったような。
 肌寒さがなくなった。まるで、精巧な立体映像の中に、いるような感覚だった。
「こっちです、さあ」
 マリオンに手を引かれる。
「あ、あのふたり!」
「隠れて!」
 茂みに身を隠す。
 その傍を、ひと組の男女が話しながら通り過ぎる。
 男は黒いスーツ姿だ。女は対照的に白いサマードレスのような衣裳である。そして、レースの日傘をさしている。
「ここには何もないだろう」
 男が、苛立ったように言った。
「村雲の人々は、ずっと前に風羅との交流はなくしている」
「でしょうね。でもその痕跡があるわ。かれらの足跡をたどることができる」
 女が応えた。鈴のように、美しい声だった。
(あれが)
 マリオンと隼は顔を見合わせる。
 男女は、八島信吾とアンナ・アドラーなのだ。
「たしかに、昭和以降、かれらの拠点は東北に移ってきていたようだけど。でもごく最近はその気配も急速に絶えていると言っていい。もうこのあたりにかれらはいないよ。まして、かれらと没交渉の村雲の里を調べても仕方がないだろう。先生は何を探しているんだ」
 くくく、と小鳩のような笑い声。
「八島さん。あなた、本当に何もご存じないの?」
「なに」
「言うとおり、風羅は近年、めっきりとなりを潜めているように見えるわね。そう……外から見ればそう見える」
「何が言いたい。……きみ、なにか知っているのか」
「八島さん。それは本当ならあなたが誰よりも知らなくてはならないことよ」
「そういう勿体ぶった言い方はよせ。……なにかまた情報を持っているんだな。それを先生に吹き込んだ。……アンナ。きみのニュースソースは何だ」
「それは教えられないわ」
「いいだろう。では質問を変えよう。きみは一体何の目的があって先生と行動をともにしているんだ。それとも誰の指示で、と言ったほうがいいのか」
 八島信吾の声には険しさがこもっていた。
 すい――、とアンナが、八島信吾に歩みよった。
(……)
 日傘が、ふたりの表情を覆い隠す。
 その下で、囁かれた言葉は何だったか――。
 再び、アンナが身を離したとき、八島の顔は、蒼白といってよかった。
「なん……だって……」
(聞こえなかったぞ! 肝心なところを! 今の、ちょっと巻き戻せないか!?)
(巻き戻すより……)
 隼にせっつかれて、マリオンは頷いた。
(進めましょう。信吾さんは何をしようとしていたのか)
 視界が、ぐにゃりと歪んだ。
 村雲の隠れ里であった場所が、どこかの、夜の山へと変貌してゆく。
 アンナの姿は消え、八島信吾だけが、そこにいた。
 いや、正確にはもうひとり……、木立の闇の中に立つ人影が。
「先生ーーーッ!」
 ごう、と風が唸る。八島のネクタイをなびかせる強風が、木の葉を巻き上げ、彼は腕で自分をかばった。
「八島くん」
 中空に投げられたそれを、八島が受取る。
「こ、これは」
「その文書はきみにたくそう。もう私には必要ない」
「なぜです。先生、あなたは……っ」
「私はかれらと行く。その理由は……言うまでもないな」
「……」
「袂を分かったように見えても、私ときみの目的は同じところへ行き着くはずだ」
「し、しかしッ」
「高峰くんは、界鏡現象の発現は時代の必然と言った。私はそれを信じよう。これこそ、われわれが生き延びるための唯一にして最良の手段だということを」
 ゆっくりと、闇に溶け込んでゆく、インバネスコートへ、八島の絶叫が投げかけられる。
「先生ーーーーーッ!!」
 次の瞬間!
「いただきなのです!」
 マリオンが、八島の手から、その書類をひったくった!
「おわあ!」
 悲鳴をあげたのは隼だ。周囲のすべてが崩れ、溶け出していったからだ。しばし、方向感覚を失う。だがすぐに……彼は自分が、もといた村雲の里に立っているのを知る。
「あ……」
「やりましたよ、桐藤さん。『大河原文書』です」
 マリオンが手にした紙束の表紙には、「山中の異人に関する調査と考察」と記されていた。

 同じ頃。
 東京都内、秋葉原のうらぶれた一画においても、決定的な鍵となる品物が入手されようとしていた。
 「1597」――、フィボナッチ数列の17番目を、クミノがはじき出した。
 カードキーを通して、その数値を入力することで、トランクルームを開けることができいた。長く、閉ざされたままだったのだろう。空気が淀んでいる。
 そう広くもない空間に、ぽつんと置かれたキャビネットには、その書類だけしか入っていなかった。
 すなわち……『ヤシマ・ノート』である。
「電子的なデータかと思っていたけれど、アナログもいいとこね」
 クミノがぱらぱらとその頁を繰った。
「おう、待てい。そのページ」
 羅火が止めた。そこには色褪せた新聞の切り抜きが貼り付けられている。
「あの記事ですよ」
 セレスティが指摘するまでもなく、例の郵便配達がもたらしたのと同じ記事だ。
 一同は、どこかに腰を落ち着けるのももどかしげに、ノートの中身を貪った。
「……」
 ぐう、と翔馬が喉の奥で、呻き声のようなものをあげた。
「これが……」
 かぶりを振る。
「これが真実なんスか……。だから風羅族は……」

■真実

 闇の中を、ふたつの影が走る。
 彼女たちがどうやって、そこまで忍び込んできたかを詳らかに語る暇はない。あるいはたどりつくだけならば、ある種の技量があれば――相当な技量であるにせよ――不可能ではなかったのかもしれない。
 宮内庁地下、300メートル――。
「10分、いえ、7分でいいわ」
 誰もいない、非常灯だけがついた事務室で、羽澄は、薄いモバイルを、『二係』のコンピュータに接続する。
 そばには貴由が立ち、油断なく、周囲の闇へと視線を走らせた。
 低い唸り……カリカリと、ハードディスクの回る音。
「羽澄」
 息を殺して、貴由が囁く。
「誰かいる」
 やがてコツコツと足音が、そして、懐中電灯の光がさっと闇を射抜いた。
「……」
 果たしてあらわれたのは、弓成大輔の白い制服である。
 鋭い目が無人の事務室を見回す。
 そして靴音は遠ざかってゆく。
 デスクの下に身をひそめる少女たちには気づかなかったか。

 八島真はかすかな物音に顔を上げた。
「……?」
 独房を閉ざす鉄の扉に目をやった。もうすっかり、闇に慣れてしまった目は、しかし、そこになにものをとらえたわけではない。だが……。
「八島さん」
 かすかな囁き。
 彼は弾かれたように、扉に駆け寄った。
「誰です」
「光月羽澄です。お邪魔してます」
「羽澄さん! なにしてるんですか!」
「しっ、静かに。フロアにまだ弓成さんがいるわ」
「……。まったく、なんてことを」
「情報は拝借したので、すぐにでっちあげの証拠は掴めると思います」
「でっちあげ?」
「だって……公文書偽造なんて、ウソでしょう?」
「ああ……羽澄さん。そんなふうに思っていただけることを深く感謝します。でも、罪状についてはあながち冤罪とも言い切れないんです」
「……え」
「いや、その……みなさんにお仕事お願いするときに、本来、必要な書類とか、省略したり、多少、ごまかしたりってのは正直、やっちゃったりしてたかなーみたいな。……むろん、弓成くんはそこを問題にしてるんじゃなくて、いわゆる微罪逮捕で私を押さえようってハラなんですけど。……あ、でも、羽澄さん。私の現在の処遇はどうみてもやり過ぎですから、この現状を、公安審査委員会に報せてください。それで、釈放がみとめられると思います」
「わかった。公安審査委員会ね。すぐにやるわ。……ね、八島さん。弓成さんって何者なの」
「『一係』が私につけた監視役です。まさかここまで強硬に出るとは思いませんでした。でもそれだけかれらも必死だということです。『ヤシマ・ノート』の内容があきらかになれば、『一係』は無傷ではいられない。私たち宮内庁秘密機関は、言うまでもなく、古来、朝廷にあった陰陽寮の後継ですが、『一係』はずっと武官の性格が強い。そして戦後、解体された帝国陸軍から流れ込んだ血が相当混じっているんです。わかりますか。かれらは日本という国が抱く歴史の闇を――」
「羽澄!」
 切迫した、もうひとつの声。
「リミットだ。行こう」
「八島さん、すぐに、外で会いましょう」
 ぱたぱたと、軽やかな足音が響き、扉の向こうから人の気配が消えた。

「待て! 貴様ら……!」
 弓成の怒号が、駆ける少女たちの背中に浴びせられた。すらり、と引き抜かれた軍刀が、うす暗い蛍光灯の光をぎらりと反射する。
「刹那ッ!」
 貴由が叫んだ。地下の廊下に風が駆ける。
 弓成が、視界を塞がれて、立ちすくむ。その一瞬の隙に、侵入者は逃げおおせていた。
「くそ!」
 苛立たしげに舌打ちする。
 と、白い制服のポケットで、携帯電話が鳴った。
「はい――?」
 電話に出た弓成の表情が強ばった。
「なんですって。『ヤシマ・ノート』が?」

 豪快な、笑い声が、夜空を震わせるようだ。
「どうしたどうした! そんなものか。ぬしらの力は!」
 文字通り、襲い掛かってくるものたちをばったばったとなぎ倒す。いかに、訓練された皇宮警察とはいえ、人造六面王・羅火の怪力にかなうはずもない。
「『ヤシマ・ノート』が欲しければ、もっと歯ごたえのあるやつをよこさんか!」
 赤鱗の竜が、咆えた。
「……陽動というより、羅火さんひとりで相手を壊滅させてしまいそうですけど」
 激闘の様子を見下ろしながら、セレスティが苦笑を漏らした。
 近くのビルの屋上だ。
 クミノの指が、モバイルのキーの上を滑った。
「さ、これでよし」
 Enterキーを叩く。
 それが……この東京にまたひとつ、パンドラの匣を開くことになった瞬間だった。


 そのメールは、
 草間興信所を通じ、アトラス編集部を通じ、ゴーストネットOFFを通じ……
 東京の闇にかかわる多くの人々へと届けられた。

  挨拶抜きで失礼。こちらはササキビ・クミノ。
  『ヤシマ・ノート』を入手したので、その情報を転送する。
  これが、風羅族の侵略開始の背景と思われる。
  『ヤシマ・ノート』の内容とは、およそ十年前、
  宮内庁の秘密機関『調伏一係』によって行われた、
  大規模な作戦行動の記録である。
  すなわち――
  風羅族に対する、組織的な虐殺行為の。


(逢魔時ノ巻・了)

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【0086/シュライン・エマ/女/26歳/翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト】
【1166/ササキビ・クミノ/女/13歳/殺し屋じゃない、殺し屋では断じてない。】
【1282/光月・羽澄/女/18歳/高校生・歌手・調達屋胡弓堂バイト店員】
【1538/人造六面王・羅火/男/428歳/何でも屋兼用心棒】
【1708/夏目・灰/男/7歳/小学生】
【1883/セレスティ・カーニンガム/男/725歳/財閥総帥・占い師・水霊使い】
【2098/黒澤・早百合/女/29歳/暗殺組織の首領】
【2318/モーリス・ラジアル/男/527歳/ガードナー・医師・調和者】
【2694/時永・貴由/女/18歳/高校生】
【2748/亜矢坂9・すばる/女/1歳/日本国文武火学省特務機関特命生徒】
【4164/マリオン・バーガンディ/男/275歳/元キュレーター・研究者・研究所所長】
【4424/三雲・冴波/女/27歳/事務員】
【4487/瀬崎・耀司/男/38歳/考古学者】
【4836/桐藤・隼/男/31歳/警視庁捜査一課の刑事】
【5130/二階堂・裏社/男/428歳/観光竜】

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■         ライター通信          ■
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おまたせいたしました。
『【ロスト・キングダム】逢魔時ノ巻』をお届けいたします。
便宜上、登場人物リストは同一にしておりますが、
ノベル本文は3種類あります。他のパートのノベルもお読みいただくと、また違った事件の側面があきらかになるでしょう。

お届けしました本作は、もっとも多くの方がかかわっているパートで、
分量も長大になっています。おもに『ヤシマ・ノート』をめぐるお話が描かれています。

>ササキビ・クミノさま
フィボナッチ数列に関しては、きちんと書いて下さったのはクミノさまだけでした。あとの方は「場所」は正解だったんですけど。両方揃わないとダメってことにしようと思っていたので、助かりましたよ。おかげさまでヤシマ・ノート入手です。

>光月・羽澄さま
ダーティペア?(違) な、なんだってー!?と思いましたよ、大胆なプレイングに。でもダーティペア風(違)羽澄さまが素敵だったのでよしとします(何)。

>人造六面王・羅火さま
「正解」ですー! まさかアレが伏線と気づいた人はおられますまい(笑)。正解者は、少なくともプレイングに書いて下さったのは2名様だけでした。

>セレスティ・カーニンガムさま
というわけで、「正解」者その2の総帥です。考えてみれば、PC情報的にもこの2人が正解されるのが妥当というか、でなきゃ誰もわかるまいというか……(笑)。

>時永・貴由さま
今回はメインが羽澄さまとのペアアクションということで、なんだかいろいろと、おふたりのアレやコレやを想像してしまいました(笑)(←誤解を招く表現。普段のおふたりとか、そういうことです)。

>マリオン・バーガンディさま
今さらですけど、マリオンさまって、わりと、その能力ズルイですよね(笑)。今回は、しかし、おかげさまで、演出に用いさせていただくことができました。ヤシマ・ノートに加えて大河原文書もGetです。

>桐藤・隼さま
は! 桐藤さまのあの能力をついに書かせていただくことができました! 今まで、気になっていながら書く機会が掴めないでいたので。東北には1秒で行けました。おトクでしたね!

さて、本シリーズもいよいよクライマックスとなります。
今回の内容については、あえて語らないことにします。
もうまもなく訪れる予定の、この物語の結末を、どうぞ見守っていただければと思っています。