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<東京怪談ウェブゲーム 神聖都学園>


フリーマッケット☆開催



☆オープニング☆

「神聖都学園、グラウンドにてフリーマッケット開催…ですかぁ」

神聖都学園の音楽教師である響・カスミが学校内の掲示板に張られたポスターを読み上げる。

「出店者は神聖都学園の教師、生徒に限らず、一般の方も広く募集しております。
 出店希望者はお気軽に校内事務所までお問い合わせください…
 ふぅん…なかなか面白そうね。休日だけど、フリーマーケット見に来てみましょうかしら♪」

響・カスミは軽やかに鼻歌を歌いながら、音楽室へと向かった。


☆自由なる売買☆

静修院・樟葉(せいしゅういん・くずは)19歳。
柔らかな微笑を称え、清楚。どこからどう見ても「お嬢様っ!」と呼ばれてもおかしくない雰囲気を纏った女の子。
だが、その実体は…妖魔、である。
しかして、人を無闇に襲うような獰猛な妖魔とはまったくや違う。
その柔らかな物腰どおり、現在は洋服店で可愛い洋服に囲まれ日々を過ごしている。

そんなお店の常連さんが、しっとりとした笑みを浮かべる樟葉と談笑をしてる際、あることを思い出し、樟葉に話を持ちかける。
「そういえば、樟葉さん。神聖都学園にて、フリーマーケットが行われるのはご存知ですか?」
「フリーマーケット…ですか??いえ、存じ上げておりませんが…」
「最近では業者さんの出店も増えているようですし、このお店のことを知ってもらうためにも、参加なさられるのも楽しいかと思いますよ♪
 っと、あら、もうこんな時間。それでは、今日はこの辺でおいとまいたしますね」
「あ、はい、本日もお買い上げ、有難うございました〜」
常連客の女性は、たくさんの袋…中身はすべてメイド服…を抱え、足早に去っていった。
その常連客の後ろ姿が見えなくなるまで、樟葉は頭を下げ続けた。

そして、常連客の姿が見えなくなるのを確認すると、樟葉は呟いた。
「フリーマーケット…楽しそうですね」
そう言いながら微笑むと、洋服屋の同僚にお店を任せ、樟葉は早速とばかりに学園の事務室へと向かった。
かなり緩やかな神聖都学園。あっという間に出店許可がおりた。

「ふふ、面白くなりそうですねぇ♪」
足取りも軽やかに、樟葉は元のお店へと戻っていった。


☆当日☆

神聖都学園。
幼稚園から小・中・高・大学、そしていくつかの専門学校がすべて終結している、超大型教育施設として有名な学園。
生徒だけでも1万人弱。それに、教師や運営事務者、食堂のオバちゃんなど加えたら更に膨大な人数が関わっていることだろう。

そんな、日々一万人以上が出入りする学園。
フリーマーケット会場となった校庭は、出店者は勿論のこと、買い物に来る客、遊びに来た教師、生徒など…
文化祭!?と思わせるほどに、いつも以上の人が集まっていた。

2月といえば、まだまだ冬真っ盛りである。
天気は快晴、風もないのだが、いかんせん気温の低さからピリピリと寒さが痛みに感じる。

「近所の神社の初詣も、こんなに人多くなかったのにねぇ〜」
『神聖都学園主催 フリーマーケット会場』と、垂れ幕の下がった校舎、そして派手に装飾された校門を見て、この学園の音楽教師、響カスミはポカンと口をあけていた。

「って、気後れしてる場合じゃないわね♪掘り出し物、私も探さなきゃ!」
すでに始まっているフリーマーケット会場を見て、拳にグッと力を入れたカスミ。しかしちょうど同じタイミングで、カスミの横で冴えない眼鏡青年が肩を落としていた。
その、頼りなさげな男に、思わずカスミは声をかける。
「ど、どうしたんですか??お体の調子が悪いようでしたら、保健室へ案内しますが…?」
そう伝えると、冴えない男性は首をフルフルとふった。
「いえ、違うんです。僕、出版社の記者でして、ちょっと編集長の方から『取材してらっしゃい!』と言われやってきたのですが…まさか、こんなに広大だとは…」
今にも泣きそうなその男性に母性本能をくすぐられた…と、いうよりは、ただただ優しいカスミは声をかけた。
「あの、もしよければ一緒に回りませんか?私、この学園の教師ですし、何かお役に立てるかもしれません」
そう、微笑むと、冴えない男性は一気に明るい笑顔となる。
「ありがとうございますぅ〜!!あ、あの、僕は…こういうものですっ」
慌てて名刺入れから自分の名刺入れを取り出す。
「『アトラス編集部 三下 忠雄』…三下さんですね。私は響カスミと申します。この学園の音楽教師をやっております。
 よろしくお願いいたしますね」
微笑むカスミに、女神様ッ!と三下は思ったのは言うまでもない。


☆フリーマーケット 開催直前☆

「ふぁぁぁ〜寒い〜〜!」
思わず声を上げる、フリーマーケット出店者である崎咲・里美(さきざき・さとみ)。
勿論温かい服装をしてきており、防寒対策はバッチリである。
日頃、新聞記者として外を回ることも多いため、このような寒さの中に身をおくことに慣れてはいるのだが…

やはり、寒いものは寒い。里美は己の服の中にホッカイロをもうひとつ追加し、ポットに入れてきた暖かいレモンティーを飲みつつ、出店準備を始める。

里美が出品するのは、主に書物と、カメラ。
書物の方は、ほとんどが歴史関係のものである。里美の職業柄、歴史について深く学んでいなければ新聞記事に起こせないことも多々あった。
その時にお世話になった書物達である。
19歳、とまだ若いが、それより更に若い頃に読んでいた本なので、どの歴史書も随分とわかりやすく丁寧な解説がのっている。
歴史の初心者には最適、といったものであろうか。

カメラの方も、また新聞記者としては欠かせないものである。
かなりの台数のカメラを所有してきたが、使っていくうちにつれ主に使うものはおのずと決まってくる。
どれも思い出深い品物ではあるが、「飾られるよりは、色んな写真を撮ってもらえる方がカメラも喜ぶよねっ」と出品を決意した。
新人時代に購入したものでもあり、どれも使いやすさを重視したカメラ達。
きっと、プロではない普通の人でも欲しがりそうな品物であろう。

里美はあらかじめ丁寧に、本には一つ一つビニールブックカバーをかけ汚れないように、そしてカメラの方も無造作に飾るだけではなく、汚れないように箱に閉まっておき、お客さんが手に取りたいときに取り出す方式とした。
「あ・と・は☆あの準備だけね〜」
そう、ニコニコと準備を進める里美。

一方、その里美の隣のスペースには静修院・樟葉(せいしゅういん・くずは)が和服姿でしずしずと現れた。
トランク一つを持ち、里美の隣のスペースと、自分が持っている出店書類を見ては
「私の売り場はこちらみたいですねぇ」と呟く。

その呟きに、里美はすぐさま反応した。
「あっ、お隣さんですねっ♪あたしは新聞記者の崎咲里美って言います!よろしくお願いしますっ♪」
フリーマーケットの醍醐味の一つは、こうした近辺の出店者とのコミュニケーションもあったりする。
里美の挨拶に、樟葉もやんわりと微笑みながら自己紹介をする。
「私は、静修院樟葉と申します。洋服店に勤めているのですが、業者の参加も大丈夫だそうで出店いたしました。
 里美さん、どうぞよろしくお願いいたしますね」
ペコリ、とお辞儀をする。樟葉の物腰柔らかな姿に里美もニッコリと微笑む。
「寒いですけど、お互い頑張りましょうねっ♪」
そう声をかけ、里美はまた自分の準備の続きに取り掛かる。
そして、ひょっこりと疑問が湧いた。
『あれ?洋服の出店と言ってたけど、トランク一個しか持ってきてなかったような…??』
その疑問の答えを見つけるため、振り向くと…

樟葉は、トランクから洋服…正確に言うと『メイド服』を取り出していた。
そして、いつのまにか用意されているハンガーに、そのメイド服をかける。
また、トランクからメイドを取り出す。ハンガーにかける。
その繰り返しだ。その繰り返しなのだが…
いつのまにか、スペースには様々なメイド服がスペースをはみ出さんばかりに溢れていた。

「ど、どうしてあんな小さなトランクの中から、あんなにたくさんのメイド服が…」
あっけに取られた里美だが、もうすぐ来場者が入場してしまうこともあり、疑問は残したまま準備に取り掛かった。

樟葉の方も、里美がそんな疑問を抱いているとは露知らず、準備を進めていく。
「これだけあれば、十分でしょうね…。試着室も使うかどうかわかりませんが、準備できましたし…
 あら、もう入場時間ですね。私も着替えなければ…」
そうおっとりと言うと、樟葉はメイド服に着替えた。…………一瞬、で。

隣で里美が呆気に取られていたのは言うまでもない。


☆フリーマーケット開催☆

これだけ広い敷地内でのフリーマーケットなのだから、出店者の数は多い。
その分、来店者の数も多いのだが、なかなか普通のお店では目に留めてもらえることは少ない。
カスミ&三下コンビも、人ごみを掻き分けては、お店を物色する。

里美のスペースにてお目当てのカメラと歴史書を購入できた三下はホクホク顔だ。
「あら?お隣も大盛況ね〜」
カスミはチラリと樟葉のスペースを見た。
女性客、男性客入り混じっての人ごみ。
三下は購入した歴史書を、大勢人がいる中で開き(迷惑です☆)、うわーうわーと叫んでいる。
そんな三下はほおっておき、『有名なブランドが出店しているのかしら?』と人ごみをかきわけて中心部へと向かう。

そこで見た光景は…クラシカルで可愛いメイド服を見に纏った樟葉が、楽しげに接客をしていた。
勿論、購入するのは女性客なかりなのだが、男性客も集まるのにはワケがある。
まず第一に、樟葉の可愛らしさ。
そして第二に、樟葉の能力、である。
購入しようと見に来た女性に、その女性に一番似合うであろうメイド服をあてがう。
そして女性が少しでも気にいれば「試着していきませんか?」と少々興奮気味で樟葉が問いかけるのだ。
女性のコスプレ願望プラス、樟葉のこんなにキラキラした瞳ですすめられれば、試着を断る理由もない。
ちゃんと更衣室も用意してあることだし、と女性客は試着に頷く。

すると。

一瞬にして、女性の姿が、樟葉がすすめたメイド服姿に早代わり☆
女性は試着室に入ることもなく、「このシーツを持ってください」と樟葉に言われえるまま、ほんの一瞬…一秒もかかってないだろうか?白いシーツを体が見えないように持っただけである。
「おおおおおお!!!」と男性客から歓声があがる。
そして「可愛いー!」などの声が聞こえれば試着した客も悪い気がするわけはなく…無事、ご購入☆となるわけである♪
売り上げも、相当良さそうだ。

「す、凄いわね…」
男性客に混じり、その光景を見ていたカスミは呟いた。
「他に試着したい方、ご覧になりたい方いらっしゃいましたらなんなりとお声をおかけくださいね〜♪」
普段のおっとりした姿からは想像できない位に、メイド姿の樟葉の表情はキラッキラと明るく輝いている。
特に、試着しようと思ったわけではなかったのだが、そのメイドショーを見ていた男性客の中に神聖都学園の生徒がいた。
「あれっ、カスミ先生じゃん!!ほらほら、恥ずかしがらずに先生も着てみなよ〜!似合うぜ〜!」
あれよあれよ、とズズズィっとカスミは樟葉の目の前に。
「まぁ、お綺麗な女性ですね〜♪きっと似合いますわ、メイド服っ!!」
キラキラとした瞳で言う樟葉。そしてあれこれと自分の店の商品を数点持ち出してくる。試着はもはや逆らえまい。
むしろ、『ちょっと着てみたいかも♪』と思ってしまうカスミがいた。

「そ、それじゃあ、これを試着させてください」
そう選んだのは、樟葉の店でも一番人気のある、オーソドックスなタイプのメイド服だ。
「かしこまりましたわ♪」
ニッコリと、樟葉は先ほどの女性と同じようにカスミに白いシーツを渡す。そして、同様に早着替えをするわけだ…が。
先ほどの女性は服装だけメイド服姿に変身!だったわけだが、今度は違う。
ヘッドドレス、黒のタイツ、ブーツ、と完璧なメイドさんが出来上がっていたのである。
周りのお客の歓声も一段とヒートアップしていた。
カスミ自身も、照れるやら『あたしもまだまだイケるかな?』と姿見を見てうっとりとしてしまっていた。
「凄くお似合いですよ〜♪」
樟葉が今までのお客さんよりも更にキラッキラとした笑顔でカスミの服装を褒める。
「セクシーな女性が、このようなクラシカルなメイド服…ああ、凄く素敵ですっ!」
普段はおっとり&しずしずとした樟葉も大興奮だ。
「こ、購入させていただきます」
褒め言葉に照れつつ、カスミはメイド服セットを購入した。
「お買い上げ、ありがとうございました〜♪」
樟葉は深々とカスミに向かって頭を下げた。


☆コラボレーション☆

カスミがメイド服を購入し、ご満悦(しかも、まだ着ている)、
そのカスミの姿を見てキラキラといまだキラキラと悦に入っている樟葉、
そして、里美のスペースで買った歴史書やカメラを「うわーうわー」と喜び眺めている三下。
そんな中、やっとこさ、里美の『目玉商品』の準備が整った。
そして、声を張り上げる。
「みなさ〜ん!現役の記者が貴方の写真を撮ってミニミニ記事を発行しますよ〜♪
 数量限定!!その場でパソコンでプリントアウト!貴方のプロフィールととびっきりの笑顔を待ってま〜す!」

そう、里美の本日の目玉商品は現役新聞記者が作る『即興新聞』なのであった。
その言葉にドヤドヤと人が集まる。
あまりの人数の多さにビックリする里美。さすがに、この人数は裁ききれないことから、くじ引きで3名、当選者を決めることとなった。
面白そう!!と参加するのは勿論メイド姿のカスミ。そして、せっかくですから、と樟葉も店を一時休業し、クジを引く。
「僕なんてクジ運ないですから…」
と、今から涙目でありつつ、三下もくじもひいた。

ヤラセなし!!数十名の抽選者の中から見事に選ばれたのは…樟葉、カスミ、三下の三名であった。
「おめでとうございます〜♪それじゃあ、まずは個々の写真撮影からはじめますよ〜」
メイド服姿でやや照れつつ微笑みを浮かべるカスミ。
同じく、メイド服姿で…こちらは撮られ慣れている様子でにこやかな笑顔でポーズをとる樟葉。
そして、最後は三下の番。
カスミと樟葉のメイド服姿を見て「僕は、メイドさんはミニスカ派なんだよなぁ…」とポツリともらした言葉に、ピクリと反応する樟葉。
『ミニスカートはメイド服ではありません。あれは実用性に欠けます。優雅な奉仕向きではありません!』と心の中で思っていた樟葉に、ちょっとした悪戯心が芽生えた。

「はーい、それじゃあ最後に三下さーん♪いくよ〜」
里美がカメラを構え、三下は満面の笑みを浮かべる。里美がいざシャッターを切る瞬間、一瞬白いシーツが目の前を横切った…。

パシャ☆

カメラのフラッシュが止んだとき、そこにいたのは…見事に、メイド服な姿をした三下の姿が…。
「本来、当店では取り扱っていないのですが、我侭をおっしゃるお客様のために用意していたミニスカート型メイド服、こんなところで役に立つとは思いませんでいたねぇ〜」
コロコロと樟葉は笑った。
顔面蒼白な三下。
クックックと笑いを堪えるのに必死な里美とカスミ。

こうして、即興な新聞は見事に出来上がった。
個々に作られた新聞は勿論、里美は「三下さんの新聞、月刊アトラスの碇さん宛に郵送しておきますね♪」と微笑んでいる。
「ややややや止めてください〜!!」
涙目な三下に、「ほら、一番いいネタになったじゃない♪」と慰め(?)の言葉をかけるカスミ。

そろそろフリーマーケットの開催時間も終了する。
人が空いた頃合を見計らって、樟葉は里美に声をかけた。
「よろしければ、里美さんも試着いたしませんか?きっとお似合いになると思いますよ♪」
「えっ?あたし?メイド服っ???」
「そうよ〜、私より若いんだし、里美ちゃんの方がきっともっと似合うわ♪」
カスミの後押しもあり、結局里美も最後はメイド服姿をお披露目することになる。
恥らう姿が初々しく、とても可愛いメイドさんの出来上がり☆


なんとかすぐに普通のスーツ姿に戻してもらった三下は、珍しく、ピン!と良案を思いつく。
「それじゃあ、記念に…里美さん、樟葉さん、カスミさん、並んでください〜!」
「え?まさか?」
カスミが声をあげる。

パシャリ☆


三人の綺麗で可愛いメイドさん揃い踏みの写真は、樟葉のお店、職員室のカスミの机の写真たて、里美の家の写真たてに飾られた。

そして…三下のメイド服写真、『記事・崎咲里美』が月刊アトラスに載ったのは言うまでもなかった♪



☆END☆




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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【2836/崎咲・里美/女性/19歳/敏腕新聞記者】

【6040/静修院・樟葉/女性/19歳/妖魔(上級妖魔合身)】

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■         ライター通信          ■
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はじめまして!新米ライター、千野千智と申します!
この度はこのような新人にPC様をお預けくださりありがとうございました!!

ほんわかゆったりお嬢様なバストアップに癒されつつ、それとは逆に
熱いメイド魂をお持ちになっている樟葉ちゃんに、かなりトキメキましたですっ!!
一度は着てみたいメイド服、ぜひともお店に寄ってみたいと思った阿呆ライターでございます。

今現在、樟葉ちゃんのノベルがなく、かなり「こんな感じでいいのかな…!?」と
ドキドキしつつ、しかし楽しく書かせていただいたのですが…
イメージと違われましたら、まことに申し訳ありません(土下座)

素敵なプレイング、本当にありがとうございました!
よろしければ、またお会いできることを願って…では!!

2006-02-05
千野千智