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<東京怪談・PCゲームノベル>


All seasons 【 スポーツ×スポーツ 】



◆ シンデレラ ◆


 最近流行り出した、やたらヴィジュアルの良い2人組の男性が歌うラップ系の歌を聴きながら、桐生 暁はボールを前に構えた。
 呼吸を整えた後で走り出し、右手を後ろに引いた後に小さな穴から指を抜く。
 重たい音を響かせて、ボールがゴロゴロと転がり―――真っ白なピン目掛けて一直線に進む。
 ピンが軽い音を立てて倒れ、端に残った数本のピンもグラグラと揺れた後に倒れた。
 ストライク・・・!!
 「おー。ナイス。」
 神埼 魅琴がそう言って、暁とハイタッチを交わす。
 ―――ここはボーリング場。もっと言ってしまえば、様々な設備の整ったスポーツセンターのような場所だ。
 なんとなくボーリングがしたくなった暁が夢幻館の住人を誘って来ていたのだ。
 組み分けは梶原 冬弥と片桐 もなチームと、暁と魅琴のチーム。
 沖坂 奏都は中立の立場・・・つまりはどちらともの味方と言うわけだ。
 ピンチの時に助けてくれるの!カッコイー!と暁が言った所、奏都がいけしゃあしゃあと「暁ともなさんは助けますが、魅琴さんと冬弥さんは助けませんよ」と言っていたのが印象的だった。
 そんなクールでドライな奏都さんもカッコ良い・・・!なんて、思ったりもして・・・。
 もながボールを構え、正確なフォームで投げる。
 「・・・あ、そーだ。それでさ、その台本案、新歓か文化祭でやるらしいんだけど皆はどう言うのがいいと思うー?」
 ついさっきまでしていた話題を、再び話の上に乗せる。
 その言葉に魅琴が顔をあげ―――
 「台本案?」
 と小首を傾げた。
 「そそ。劇・・・っつーのかな?なんか良い案ないかなぁ〜って。」
 「新歓か文化祭ねぇ。お前はなんか案無いのか?」
 冬弥の言葉で暁が宙に視線を彷徨わせる。
 そうだなぁと口の中で呟き・・・ふっと浮かんだモノを言葉に乗せる。
 「そう言えばさ、シンデレラだったら・・・」
 「・・・シンデレラやんのか?」
 「違くって、また別の話!」
 もう話に飽きたのか?と冬弥がからかうように言って、暁が違うよっ!と抗議の声を上げる。
 もなのストライクを受けて、奏都が立ち上がってボールを掴み、レーンの端に立つ。
 「もしこのメンバーでシンデレラやるんならさ、魅琴ちゃんがシンデレラで、もなちゃんが王子。そんで、奏都さんが王様で、俺が魔法使い?みたいな・・・・・・。」
 「おい。全てにおいておかしいよな?」
 ガクっと肩を落としながら冬弥がそう言い、魅琴が「冬弥はどこに行っちまったんだ?」と疑問の声を投げかける。
 「あー・・・っと、冬弥ちゃんは兵士とかで。」
 「全然脇役じゃねぇか。」
 「しかも、甲冑着てるからそのご自慢の顔も出ない・・・と。」
 からかうように魅琴がそう言い、冬弥がベシリとその後頭部を叩く。
 「いつ俺が顔を自慢したんだっつーのボケ。」
 「そんで、俺はシンデレラに魔法かけ終わった後、ダッシュで自分も舞踏会行って兵士と一緒に踊るの☆」
 「俺じゃない兵士にしろよ。」
 「えー!なんでさぁっ!」
 サラリと冬弥に言われて、暁が唇を尖らす。
 「そもそも、あたしが王子で魅琴ちゃんがシンデレラぁ〜!?絶対魅琴ちゃんなんか選ばないよ〜!!」
 「俺だって、母親と姉、シメルかんな。」
 随分好みの五月蝿い王子と、逞しいシンデレラだ。
 「もなさんが王子で魅琴さんがシンデレラは無理がありますね・・・。」
 ボールを投げ終わった奏都がそう言って、ドサリと椅子に座る。
 「第一、奏都が王様っつー時点で国家崩壊の危機だな。」
 「・・・俺はそんな事はしませんよ。」
 散々間を持たせた後で、奏都がそう言ってにっこりと微笑む。
 ・・・その間が恐ろしいのは何故だろうか・・・・・・。
 「暁、お前・・・配役センス無さ過ぎ。」
 冬弥の言葉に、暁は再び視線を宙に彷徨わせた。
 「それじゃぁ、もなちゃんがシンデレラで・・・」
 「魅琴ちゃんが王子はイヤだからね!?」
 暁が先の言葉を紡ぐ前に、もながそう言って釘を刺す。“イヤ”のところにこもった力の大きさは凄まじい。相当イヤなのだろう。
 それに苦笑を返しながら、大丈夫だと言うようにコクリと頷く。
 「王子が俺で、奏都さんが王様で・・・わぁ、家族だぁ〜☆」
 「あ!それ良いかもっ!パパが奏都ちゃんで、暁ちゃんがあたしの彼氏〜♪」
 「結婚するんだからお前の旦那になるんだぞ・・・?」
 魅琴の言葉に、ノープロブレム!ともなが明るく言い―――その隣で冬弥が「だから、奏都が王様なら国家の危機だっつーの」と小さく呟いては頭を抱える。
 「んで?俺と冬弥はなんなんだ?」
 「・・・民間人A?」
 「名前がねーっ!!!」
 そう叫んで、魅琴がおどけたように肩を竦める。
 「魔法使いとかどこ行ったんだよ。つーか、もながシンデレラなら、普通にロケランで母親と姉をどうにかしてそうだな。」
 「“もー!うっさいなぁー!そんなに言うんなら、自分達でどうにかすれば良いでしょ〜!?”チュドーンってか?」
 冬弥の言葉を受けて、魅琴がそう繋ぎ・・・なんとなく、否定できない気がして暁は黙っていた。
 「一番ベストな配役は、暁がシンデレラで、俺が王子で・・・」
 「変態王子で国家存続の危機ってか?」
 「俺の息子はそんなに馬鹿ではないと思うのですが・・・」
 「奏都ちゃん、辛辣すぎ。でも、そんな変態王子を抱えている国って・・・。」
 冬弥、奏都、もなから厳しい言葉を投げつけられ、魅琴が苦々しい表情になる。
 「つーか、誰が王様が奏都つったよ。」
 「・・・違うんですか?」
 「後の配役はぁ?」
 もなの言葉に、考えていなかったと言うような表情を魅琴が覗かせる。
 「そーだなぁ・・・村人Aとか・・・」
 「なんで考えるのがメンドイと全部そう言うのにするんだよ。」
 冬弥の言葉に、思わずと言った感じで暁がふきだし・・・
 「ねぇ、奏都さんはどうなの?」
 なんとなく、一番まともな事を言ってくれそうな奏都に話を振ってみる。
 「そうですね・・・。魔法使いがもなさんで、王様が俺。王子が冬弥さんで、シンデレラが暁。」
 「・・・俺は?」
 「魅琴さんは・・・意地悪な姉で。」
 にっこりとそう言って―――魅琴がガシっと暁を抱きしめた。
 「俺がこんな可愛い妹をイジメられると思ってるのか!?」
 「イジメる、イジメないは置いといて、すでに役柄に入りきってんじゃねぇか・・・」
 「って言うか、暁ちゃん放してよっ!」
 もながそう言って、魅琴に向かって殴りかかり・・・それをひょいと避ける。
 ポンと暁の身体を抱き上げて走り―――もながその後を追いかける。
 「へっへー!姫はもらったぜ!」
 「誰もあげてなぁ〜いっ!!」
 「ってか、魅琴ちゃん・・・怖っ・・・!姫抱っこされたまま走られると、めちゃめちゃ恐怖なんですけど・・・!」
 「そんな恐怖も、俺と一緒なら克服できるだろ?」
 ・・・そんな、夜のムード全開の笑顔で歯の浮くようなクサイ台詞を言わないでほしい。
 そもそも、魅琴と一緒だろうがなんだろうが、克服できないものは克服できない。怖いものは怖いのだ。


   「だぁぁぁぁっ!!大人しくしとけクソ馬鹿どもっ!!!」

 結局、そんな3人の追いかけっこは冬弥の怒鳴り声と共に終幕を迎えたのだった。


◇ ボーリング ◇


 ガシャーンと言う重たい音が響き、魅琴が小さくガッツポーズをする。
 「しゃぁっ!」
 かなり重たい回転のかかったボールで、綺麗に倒れるピンは見ているこちらも爽快感があった。
 「魅琴ちゃん、その威力抜群☆」
 「だろ!?魅琴スペシャル♪」
 「・・・何時の間に名前付けたんだ?」
 「しかも、芸の無い名前。」
 冬弥ともなが厳しいツッコミを繰り出し、奏都が小さく笑い声を洩らす。
 「コントロール良すぎじゃない!?」
 「そーか?練習すりゃ誰だって投げられるぜ?」
 「んじゃさ、その投げ方教えて〜v」
 暁の言葉に、もなと冬弥が立ち上がって抗議の声を上げる。
 「何言ってんの暁ちゃんっ!!そんな野獣にモノを教わるなんてっ!!!」
 「そうだぞ!せいぜい魅琴に教わっても良いのは、狩りの仕方と卓球くらいだぞ!?」
 もなと冬弥が凄まじい剣幕でそう言い・・・狩りって・・・と、暁は思わず苦笑してしまった。
 「あたしが教えてあげるよっ!」
 「・・・もなで不満なら、俺が・・・」
 「えぇっ・・・だって、もなちゃんも冬弥ちゃんも敵じゃん!」
 もなと冬弥の申し出を軽く却下すると、暁は魅琴の方へと歩もうとして―――ガシっと肩を何者かに掴まれた。
 振り向くと、そこには満面の笑みの奏都がおり・・・
 「どうせでしたら、俺が教えましょうか?ほら、そのための中立なんですから。ね?」
 「え・・・でも・・・」
 「ね?暁・・・俺の言う事がきけませんか・・・?」
 少し寂しそうな顔でそう言われて―――暁の心は180度変わった。
 「うん!俺、奏都さんに教わるっ!」
 父には弱い。勿論、実の父ではないのだが・・・けれど、暁にとって“そう言う存在”は・・・
 「ま、奏都に任せておけば大丈夫だろ。」
 「手取り足取り腰取り・・・でも、奏都ちゃんなら本気で指導するために腰を取ったって感じがするもんね。」
 「魅琴なら下心がありそうだもんな。」
 「・・・随分な言われようじゃねぇか・・・。」
 そんな住人達の会話をそっちのけにして、奏都と暁は練習を繰り返していた。
 上手く出来なければ、奏都が手取り足取り―――指導上、たまに腰も取ったりして、なんとか形を教え込み、上手く出来れば満面の笑みではしゃぐ暁の頭を優しく撫ぜ、褒めちぎる。
 その様子はまさに親子と言った感じで・・・
 「なんか、いーなぁ・・・」
 ポツリともなが呟いた言葉に、頷かないまでも他の2人も賛同していたのは確かだった。
 一通り教わった暁が、パタパタと走って来て「見てたぁ〜!?」とブンブン手を振る。
 「見てたから、教わったのさっさとやってみろよ。」
 冬弥の言葉で、暁はボールを構えるとレーンの端に立った。
 並ぶピンを真っ直ぐに見詰め、ボールを転がす。
 その際、先ほど奏都に教わった技をちょこっと入れ―――
 ボールが大きく弧を描き、溝ギリギリでピン目掛けてカーブする。
 ガシャーンと重たい音が響き、暁がクルリとこちらを振り向き、満面の笑みで言った。
 「見てた!?出来たっしょ!?」
 「すっげー嬉しそー。」
 冬弥がそう呟いた瞬間、もながベシリと冬弥の頭を叩いてから暁の方へと走り寄った。
 「すごーいっ!凄いじゃん!暁ちゃんっ!」
 ガシっと、暁の腰に抱きつき・・・ブンと、ツインテールをスイングさせる。
 「暁は運動神経が良いから、教えやすかったです。」
 奏都のそんな言葉に、奏都さんの教え方が上手かったからだよ〜と、ニコニコしながら返す。
 もなが、あたしにも教えて!とびょこびょこと飛び跳ね、暁がそれに応じてボールを構えて教え始める。
 なんだか兄妹みたいだなと、魅琴が呟き・・・他の2人も、コクリと小さく頷いた。


■ 変化の兆し ■


 ボーリングを終え、5人はふらふらと歩いていた。
 スポーツセンターのようなこの場所は、様々なスポーツを体験できる施設が揃っており、受付で手渡されたパンフレットを見ながら暁が楽しそうに声を上げる。
 「ってかさ、このメンバーだとフットサルチーム1チーム作れるね!」
 「・・・ふっとさる?」
 なぁに?それ?と言った表情でもなが小首を傾げる。
 「室内サッカーの事だ。」
 「・・・サッカーは部屋の中でやっちゃいけないんだよ??」
 そんな事も知らないのぉ〜?と言った表情で、もなが魅琴の言葉に反応する。
 「だからぁ。サッカーじゃ無くてフットサル!フットサルは室内でやるサッカーの事なのっ!」
 「・・・でも、11人も部屋の中で・・・?って事は、2チームで22人!?審判も合わせて・・・」
 「や、フットサルは1チーム5人だよ?」
 暁がそう言って、にっこりと微笑む。
 そもそも最初に、『このメンバーだとフットサルチーム1チーム作れるね!』と言っていたではないか。
 「でもさぁ、このチームなら最強チームじゃない?」
 「もなのミラクルシュートとかな。」
 「あたしのぉ??」
 魅琴の言葉に、もなが自分を指差しながら小首を傾げる。
 「馬鹿威力のある玉で、誰も止められないっつーか、当たったが最後・・・その先は死のせか・・・」
 「女の子になんて事言うのよぉっ!!」
 もなが魅琴を殴り、それを避けながら魅琴が走り出す。
 「〜〜〜〜〜っあ〜〜〜〜っ!!!どうしてあいつらはあーなんだ!?」
 「魅琴さんももなさんも、何処にいらしても魅琴さんともなさんですから。」
 よく分からないながらも、納得せざるを得ない説得力のある言葉を奏都が発する。
 「あ、でもバレーもやりたいなぁ。」
 「バレーは6人だろ?」
 「うん。9人のもあるけど・・・そっかぁ、あと1人・・・あ、そうだ!」
 考え込んでいた暁がパっと顔を上げ、さも“名案です”と言うような笑顔を冬弥に向ける。
 「魅琴ちゃんが分裂すれば・・・」
 「・・・きわどく出来そうなやつの名前を出すな、阿呆。」
 冬弥がそう言って頭を抱え、深い溜息を洩らす。
 いくら魅琴ちゃんって言っても、分裂なんて出来るわけないじゃーん♪と、軽く言いたい暁だったが・・・なんだかちょっぴし出来そうな気がして、そんな軽い事は言えない雰囲気だ。
 「あ!見て見て!ここ、アーチェリーもあるんだって!」
 「へぇ。結構色んなのが揃ってるんだ。」
 暁が持っているパンフレットを覗き込もうと、冬弥が顔を近づける。
 ・・・そう言えば、冬弥ちゃんって顔を近づけられるの苦手だったっけ・・・
 ふっとそんな事を思いだしてじーっと見詰めるが、冬弥は視線にまったく気づく様子も無く「テニスも出来んだなー」と呑気に言っている。
 「ねー、冬弥ちゃん。」
 「あー?」
 「平気になったんだね、顔近づけるの。」
 暁の言葉に、視線をパンフレットから暁へと移す。
 「平気っつーか、だってお前じゃん。」
 「なにその、お前は問題外だから平気なんだよみたいな言い方。」
 「じゃなくって。」
 どう言ったら良いものかと、視線を宙に彷徨わせ、しばらくしてから暁へと注ぐ。
 「お前だから平気なんだって。」
 「・・・え・・・?」
 思っても見なかった言葉に、驚きの色を浮かべ・・・その頭を、冬弥がクシャリと撫ぜた。
 「つーか、次どうするか?」
 「え・・・あ・・・、うん。」
 なんでもないと言う風に言葉を紡がれて、暁が慌ててパンフレットに視線を戻す。
 「どうせだからさ、アーチェリーやろうよ。」
 「そうだな。おい!次アーチェリーだって!」
 「ふえ?あーちぇりー??」
 魅琴とじゃれていたもながパタパタと走って戻って来て、暁の腰に抱きつく。
 「もなちゃん、あんまり走ってると転ぶよ〜?」
 「んっと・・・床が柔らかいから大丈夫!」
 「床は柔らかくありませんよ、もなさん。」
 ただ絨毯が敷いてあるだけですよと、奏都が笑顔で現実を突きつける。
 「俺、弓道経験はあるんだけど・・・アーチェリーは初めてだから・・・楽しみ♪」
 「へぇ、お前弓道なんてやった事あんのか?」
 「んー・・・前にね?」
 「・・・お前、筋肉ねぇだろ??」
 「失礼なっ!ちゃんとありますってばー!」
 「胸筋とか使うだろ?」
 「だからぁっ!あるってばーっ!!」
 まるで暁の事をもやしっ子だと思っているかのような冬弥の発言に、暁はグイっと冬弥の手を取った。
 そして・・・自分の胸に当て・・・。
 「ね?筋肉あるっしょ?」
 「・・・え・・・っと・・・」
 カァァァっと、顔の赤くなった冬弥を見上げ、キョトンとした顔をして・・・すぐに、それがこちらにも伝染する。
 「え・・・!?なっ・・・ちょっ・・・」
 思わず冬弥の手をペイっと放し――――――
 「俺、男だってばっ!!!」
 「知ってるっつーのっ!」
 熱くなった頬に手を当て、プイっと冬弥から視線をそらす。
 ・・・・・・なんだか最近おかしい。
 勿論、どうしておかしいのか・・・気づいているけれど気づかないふり。
 ニヤニヤとしながら魅琴が暁の方に近づき、耳元でそっと

  「暁ちゃんったらウブなのね☆」

 と囁き・・・
 「魅琴ちゃーんっっっ!!!!???」
 「はっ、可愛い可愛い。」
 グシャグシャと暁の金色の髪を散らす魅琴をキっと睨むと、ビシっと人差し指を突きつけた。
 「アーチェリーで勝負っ!」
 「勝った場合は冬弥がお前と付き合って?負けた場合はお前が冬弥のモノになんだっけ?」
 その言葉に、暁の表情が途端に苦々しいものに変わる。
 「そー言や、前は散々言ってたくせに、最近言わなくなったよな、お前。」
 冬弥の言葉でパっと顔をあげ・・・視線が合わさる。
 それがなんだか恥ずかしくって―――
  「とにかく!!勝負っ!!!」
 叫んだ暁の腕を取って、もながニッコリと可愛らしい笑みを浮かべる。
 「今度は暁ちゃんとあたしチーム!打倒魅琴ちゃんと冬弥ちゃんチーム!」
 「打倒魅琴ちゃんと冬弥ちゃんっ!」
 暁がそう言ってビシっと2人に人差し指をつきつける。
 「ったく。ぜぇぇってー負けねぇかんな!」
 「それじゃぁ、今度も俺は中間の・・・と、言いましても、魅琴さんと冬弥さんを助けるつもりはありませんが・・・」
 「ヤッベ!3対2じゃんっ!」
 魅琴がおどけてそう言い―――もなが暁の手を引いて走り始める。
 なんだかモヤモヤする心の中、段々と形作られて行く思いから、そっと・・・目を背けた・・・。



          ≪END≫


 
 ◇★◇★◇★  登場人物  ★◇★◇★◇

 【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】


  4782/桐生 暁/男性/17歳/学生アルバイト・トランスメンバー・劇団員


  NPC/梶原 冬弥/男性/19歳/夢の世界の案内人兼ボディーガード
  NPC/神崎 魅琴/男性/19歳/夢幻館の雇われボディーガード
  NPC/片桐 もな/女性/16歳/現実世界の案内人兼ガンナー
  NPC/沖坂 奏都/男性/23歳/夢幻館の支配人


 ◆☆◆☆◆☆  ライター通信  ☆◆☆◆☆◆

 この度は『All seasons』にご参加いただきましてまことに有難う御座いました。
 そして、いつもいつもお世話になっております。(ペコリ)
 段々と変化していく気持ちを盛り込みつつ・・・このメンバーでフットサルチームなんて作った日には、凄く強そうだなぁと思いました。
 もなとか、手加減を知らなさそうです・・・(苦笑)
 それぞれの住人との絡みを、暁様らしく描けていればと思います。


  それでは、またどこかでお逢いいたしました時はよろしくお願いいたします。