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<東京怪談ウェブゲーム あやかし荘>


集まれ!チョコレート将軍


*オープニング*

2月。寒さまっさかりなこの季節。
今日もあやかし荘の一室では、コタツに入り、ヌクヌクとテレビを見て過ごす因幡・恵美と座敷わらし・嬉璃がいた。

二人でヌクヌクとテレビを見ていると、TVに映るはバレンタイン特集。
美味しそうなチョコレートは勿論、チョコレートケーキや、チョコレートプリン、エクレア…
こんなにも、チョコレートを使った食べ物があったのか!?と思うぐらいにたくさんの種類の
チョコレートのお菓子が紹介されている。

「バレンタイン…なぜ、女性がチョコレートを贈らねばならぬのじゃ?
 そんなに男どもはチョコレートが好きなのか?」
嬉璃が不機嫌そうに口を尖らせて言う。

「う〜ん、チョコレートが好きなのかはわからないけど、好きな気持ちを伝える日だからねぇ」
恵美も、TV画面の美味しそうなチョコレートに目を奪われながら嬉璃の問いに答える。

「こんなに美味しそうなチョコレートを見せられたら、わしが食べたくなっちゃうのじゃ〜」
「確かに…」
恵美もそう納得する。
「よし!」
嬉璃がポムッ!と己の手を叩いた。

「バレンタインは関係なしに、皆でチョコレートを持ち寄って食べあおうぞ!!
 カレーの時みたいに、色んな種類が食べられて幸せになれること間違いなしじゃぞ〜!!」

そう言うと、早速嬉璃は「ぎぶ みー チョコレート!なのじゃ〜!!」と知り合いの元を尋ねまわった。

「あたしも何か用意しようっと♪」
コタツとテレビの電源を消し、恵美も買い物へと出かけた。


*当日の参加者*

甘味所『ゑびす』。
和菓子通な人間に、昔から受け継がれている甘味の美味しさは勿論、なんといっても笑顔が特別可愛い店長目当ての常連客も多数おり、いつも混んではいながらも、安らぎの空間も味わえる…大変貴重な甘味屋である。
若干22歳で父親の経営していたゑびすを受け継いだ新店長、栗原真純。
大正浪漫な制服に身をつつみ、店長作業、接客作業とバリバリと、極上の笑顔で仕事をこなしていた。

甘味屋とバレンタイン。正直、無縁かもしれない。
しかし、お店には無縁であってたとしても、真純には無縁とは言えない。
お店のお仕事の傍ら、チョコレート作りにも精を出していた。

「んーーー、ちょっとした洋菓子なら作ったことはあるけど…やっぱり凝ったものにいきなりチャレンジするのは難しいわねー。
 和菓子だったら勝手も知ってるから、もっと手早くやれるのに…」

随分の時間、試行錯誤した後に、遂に真純は数種類のチョコレートを作りあげた。

「でも…やっぱり自分だけじゃなくて他の人の感想も聞いてみたいわね……そうだっ。」
真純は自宅の台所でニッコリと微笑む。
「明日、突然お邪魔して、嬉璃ちゃんにでも味見して貰おうっと♪」

こうして、当日、真純はあやかし荘に偶然現れたのである。


*チョコレートパーティー、開催*

チョコレートパーティー開催当日。
世間は、バレンタインまで後数日、というにわかに盛り上がっている時期、このパーティーは開催された。

出席者は、体は子供、ホントは鎌鼬☆な、鈴森・鎮。
あやかし荘の「風船蔓の間」に住んでいる、眼鏡美人大学生☆な、宝剣・束。
ほんわか、かつ爽やか。優しげな笑顔が印象的。でも、実は本職泥棒さん☆な、加藤忍。

それに加えてあやかし荘管理人、因幡恵美、あやかし荘座敷わらし嬉璃、といったメンバーである。
しかし…嬉璃の姿が見えない。
「恵美さん、嬉璃さんはまた遅刻なのですかねぇ?」
「俺に『来い』って言っておいて、また遅刻かよー」
以前、カレー持ち寄りパーティーに参加した忍と鎮が恵美に尋ねる。
「来ないことはないと思うんですけどねぇ…」
と苦笑顔の恵美に、束は
「いいんじゃないの?先にはじめちゃっても。嬉璃の分残しておけばいいだろうし♪
 それより私、早くチョコ食べたいよ〜!!」
と甘いものを待ちわびている。イベントごと大好き!なことは勿論だが、アルバイトにも精を出し、普段質素な食生活の彼女にとって、このような「チョコレートパーティー」は願ってもないイベントだ。

そこに、襖の奥から声がした。

「待て待てまてぇぇぇぇい!!嬉璃様のおな〜り〜〜!!なのぢゃ!、」

…まぎれもなく、嬉璃の声。そして、ガラリと襖が開く。

そこにいたのは、チョンマゲ姿の……将軍姿の嬉璃。


・・・・・・。


真冬の寒さが、部屋までをも襲った……。


しかし、そこに救世主が現れた!!

「ごめんくださーーい」

玄関から助け舟、ならぬ助け声がした。
「あ、あら誰かしらっ?」
と、恵美が満面の笑顔でパタパタと玄関へ飛んでいく。

「嬉璃、チョコレートパーティーにチョンマゲはどうかと思う」
「はい、私も同感です」
「痛いわね」
おのおのの感想を嬉璃に浴びせ、「わしの勝手なのぢゃ〜!」と逆ギレる広間に入ってきたのは、
ニコニコとした恵美と、更に特上の笑顔で現れた、栗原真純であった。
22歳にして甘味所『ゑびす』の店長である真純。
たまたまチョコレートを味見してもらおうとこのあやかし荘にやってきた。
グッドタイミング!!である。
あの寒さを吹き飛ばすぐらいに、皆が和やかな、春の表情へと戻る。

しぶしぶチョンマゲカツラをはずし、いつもの服装に戻った嬉璃も、「チョコレート」の言葉を聞くと
喜んで真純の来訪を歓迎した。
勿論、鎮も忍も束も、更にチョコレートが食べれる!ということで喜んで真純のために席を空けた。

「よかったです♪本当は嬉璃さんに味見していただこうと思ったのですが、皆様にも味見していただけるなんて♪
 よろしくお願いいたします♪」
お店の常連さんが見たら嫉妬しかねない極上キューティ−スマイルで皆に挨拶をする真純。

…パーティーを開かなかったら、真純のチョコレート独り占めだったのか…と心の中で嬉璃が思ったのはナイショだ。

「それじゃあ、早速ぢゃが、真純のチョコレートからいただくことにするかの☆」

こうして、盛大なるチョコレートパーティーが始まった…


*一番手、栗原真純*

「あたしからですか?ちょっと緊張しちゃうなぁ…」
苦笑する姿も愛らしい、栗原真純が持ってきた包みを広げる。
皆がわくわくと見守る中、可愛くラッピングSされた包みを開くと…中は、チョコレートトリュフの詰め合わせだった。
「ほほぅ、チョコレートトリュフですか。」
忍が感嘆の声を上げる。嬉璃と鎮も「美味しそう〜!!」と今にもよだれをたらしそうな勢いだ。
「チョコレートトリュフって、普通の生チョコと違って難しいのよねー。温度調節も必要だし…
 流石、お菓子を取り扱ってるお店の人だけあるわ〜」
と、お菓子を趣味で作って人にあげたり、実は調理師免許三級を持つ束もその見た目に見惚れる。
「それに、見た目も鮮やかですね〜!丸いホワイトチョコのトリュフに、四角いチョコレートトリュフ。
 あともう一つの、このカタチは…」
「あ、あの、見てるだけじゃなくて、どうぞ皆さん食べてください♪」
恵美の言葉に、真純が答える。
「それじゃあ、いっただっきまーす♪」
待ってました!とばかりに手をつけたのは束。
「んんん、美味しい〜!!この四角いのはビターねっ。まさに大人の味!!って感じ♪」
「俺はこの、白いの好きだ!!甘くて美味しっ!!」
鎮もホワイトチョコレートトリュフにニッコニコの笑顔だ。
「それでは、私はまずこちらをいただくとしましょう」
そう言い、珍しい形のトリュフを手に取ったのは忍。
わしも!あたしも!と嬉璃と恵美も同じものを手に取る。
「これは…栗の形ですね?」
忍が言い、真純は笑顔で「はい♪」と答える。
「あれ?栗が入ってるのかと思ったら…」
「中、つぶあんなのぢゃな!!」
先に口に放り込んでいた嬉璃と恵美が感嘆の声を上げる。それに続いて忍もつぶあん入り栗型トリュフを頬張る。
「チョコレートに、つぶあん…流石甘味所のお嬢さん。いいアイディアだし、何より意外と合いますね」
「ありがとうございますっ♪」
ニッコリと真純が安堵の表情を浮かべつつ微笑む。
「トリュフ作り自体にも苦労したんですが、この栗型トリュフは形を整えるのも難しくって。
 何度失敗したことか…でも、美味しいと言っていただけて嬉しいです♪」
栗型トリュフに話題が集まると、束も鎮も手をつけ始め、美味しい♪アンコも合う!と大評判だった。
皆がすべてのトリュフを食べ終える。
「真純、どれも美味しかったのぢゃ☆食べたりないぐらいぢゃぞ♪」
と嬉璃も満面の笑みだ。他の参加者も皆大満足な模様。
その言葉、表情に「ありがとうございますっ♪」
と、真純は『ゑびす』で見せる以上の笑顔を皆に向けた。


*二番手、加藤忍*

「真純のトリュフの次は…そうじゃのう、忍!おぬしが持ってきたチョコを食べたいのじゃ!」
今回は、混ぜることなんてできんからのぅ、と嬉璃が続けて小声で言ったのを勿論忍は聞き取りつつ、
「ふふ、今回は嬉璃さんのために最高のチョコレート…いや、作品を作ってきましたよ。」
忍はほんわかと微笑むが、その眼光はするどい。
チョコレートを「作品」と言い切る自身に、嬉璃だけでなく、他の参加者も興味津々だ。
「皆さんが集まる前に、先に台所をお借りして、ケーキを焼いておきました。
 あとは最後の仕上げをしますので、少々お待ちください」
そう言うと、忍は台所へと戻る。
「随分な自信じゃのぉ」
嬉璃をはじめ、皆が待ちわびていると、程なく忍が戻ってくる。
手には、ワンホールのチョコレートケーキ。
「土台はタルト生地を更に砕いたもの、その上にはキャラメルムース、ミルクチョコレートムース。
 中央にはビターなチョコレートムース。外周はココアスポンジ。
 それらをグラサージュしたチョコレートで覆い、飾りに金箔、ラズベリー、そして薄く伸ばしたチョコレートで細工を施してあります」
ニッコリぽややんと忍が説明をする。
「わぁぁっ!!これ、どっかの雑誌で見たことある気がする〜!!確か、フランスの有名なパティシエの…でも、日本に確かお店なかったよね?」
束が目を丸くする。
「わざわざ買ってくるなんて凄いですね〜!」
「すげー!すげー!!チョコレートケーキィ〜♪んまそーーー!!!」
真純も鎮も感嘆の声をあげる。
微笑みながら、忍はそのケーキを均等に切り分け、皆に配った。
そして、一斉に「いっただっきまーーーす!」と食す。

ホールの状態でも綺麗なのは勿論、切り分けられた断面も美しい。
そして何より、一番重要な…味。

「美味しいのぢゃーーー!!でかしたぞ、忍っ!!わしは大満足なのぢゃ〜!」
ニッコニコの嬉璃に、恵美も
「よく買ってこれましたね〜」
と驚きの声をあげる。
「…ふふ、残念ながら、買ってきたのではないのですよ」
忍が意味ありげに笑う。
「忍、また盗んできたのかっ?」
嬉璃が問うと、忍はあっさりと、しかも笑顔で「えぇ」と認める。
「はい、盗んできましたよ。…フランスの、先ほど束さんがおっしゃっていた三ツ星パティシエの店を訪れ、技術と、レシピを」
「えぇーーーーーーー!!!」
他の参加者の驚きの声が部屋に響き渡る。
「え、だって参加の案内をしたのは一週間前ぐらいじゃ…」
「忍…やはりあなどれぬ…」
嬉璃は完全に白旗をあげた。
他の参加者も、見事にケーキを完食☆むしろ、もっと食べたい!と思うほどであった。
そして、皆の表情にいつものほわわん表情で
「お気に召していただけたようで幸いです」
とニヤリ、と微笑む忍あった。


*三番手、鈴森鎮*

「よし、それじゃあ次は…鎮☆おぬしのチョコレートが食べたいのぢゃ☆」
ビシィッ!と嬉璃が鎮を指差す。
「えっ、俺!?さっきの豪華なチョコレートケーキの後じゃ、なんかスゲー出しにくい…
 俺も、準備必要だから、みんなちょっと待っててな〜」
そう言うと、鎮もあやかし荘の台所に向かった。

台所からは、鎮の声…いや、歌が聞こえる。

「♪ちょっこ〜ちょっこ〜あっまいチョコ〜♪でっかいーのちいさいーの、ほろにが〜いの〜♪
  たっくさんのしゅっるいに目移りだ〜♪ちょっこ〜ちょっこ〜あっまいチョコ〜っ♪」

「だ、誰の歌なんですかねぇ…」
「…じ、自作よね?」
真純と束が顔を見合わせて苦笑するが、嬉璃はすぐに覚えたのか楽しげに口づさんでいる。
そして、
「でっきあっがりぃ〜♪」
と、鎮の声(歌!?)と共に、大皿に盛られ、切り分けられたサンドイッチが登場☆

皆が手に取ると、その食パンはチョコレートサンドだ、ということが見てわかった。
「忍の兄ちゃんみたいに手の込んだもんじゃないんだけど…俺のお気に入り!!」
真っ先に手を伸ばしたのは忍だった。
「…ただのチョコレートサンドイッチじゃないようですね」
と、微笑む。
次々と大皿に手が伸びる。
「ホントだっ!あったかいチョコレートに、このカリカリ感…」
束の言葉に、真純が後を続ける。
「ピーナッツ、ですよね?」
「あったりぃ〜♪」
と、鎮がニッコリと笑顔を見せる。
「えっとな、普通の食パンに…あの、ピーナッツの入ったブロックチョコあるじゃん♪
 あれを2,3個乗せて、トースターでパンに焼き色がつくまで焼いたんだっ」
「へぇぇ〜初めて食べたのぢゃ〜」
嬉璃が美味しそうに、鎮のアイディアに頷く。
「で、チョコが溶けたらそれを塗りたくって、パンを二つ折りにして出来上がりっ☆
 俺はいつもこのまま食べるんだけど、流石に一人一枚だと胃がもたれちゃいそうだから、
 食べやすいように切り分けたんだっ♪」
「その心遣いも嬉しいですね♪美味しいですっ」
恵美が微笑む。
「これなら、あたしでも簡単に作れそう〜!お腹にも溜まりそうだし、ぜひこれからマイオヤツにさせてもらうよんっ」
束がニコッと笑った。
「美味しかったのぢゃ、鎮!!満足じゃぞ〜」
嬉璃も幸せそうな笑顔だった。


*四番手、因幡恵美*

「…と、次は、あたし立候補していい?嬉璃ちゃん?」
そう切り出したのは、因幡恵美。
「ん?珍しいな?恵美。勿論、構わないぞ」

そう言われ、恵美が出したのは…ハート型の醤油煎餅だった。

「甘いものばかりじゃきっと飽きちゃうかもしれない、と思って…一応しょっぱいものも用意しておいたんですよ〜♪」
確かに、数本買っておいたペットボトルのお茶はカラに近づいている。
それぞれの美味しさに皆完食はしていたが、やはり気づかぬうちに胃はチョコレート色に染まっていることだろう。
そして、それぞれが煎餅に手を伸ばす。
「確かに、ケーキバイキングとか行くと、なんだかんだ一緒においてあるポテトチップなどにも手を伸ばしちゃいますよね〜」
そういう真純に、ウンウンと頷く束。
「あーやっぱ、チョコだけじゃなく煎餅もおいしーなーー!」
そう言うは鎮。
「いい口休め、ありがとうございます、恵美さん」
忍も微笑んだ。

雑談しながらのお煎餅タイムも終わりに近づき…

「それじゃあ、ラストは束☆よろしく頼むのじゃ♪」
嬉璃がビシィッ!と束を指差した。


*五番手、宝剣束*

「私がトリかー。実は、チョコレート『菓子』じゃないんだよね〜。
 私もちょっと台所借りるねっ!!」
パタパタと、束はあやかし荘の台所に移動する。
流石に、歌声は聞こえない☆
皆が「なんだろう?」と思う中、お盆を持って束は戻ってきた。
そのお盆の上には、人数分のマグカップ。
「はいっ、コーヒーココアだよ〜♪」
「ほぅ、最後がドリンクだなんて、トリにピッタリではないか♪」
と、嬉璃はご機嫌である。
皆にコーヒーココアの入ったマグカップを配りながら、束はその作り方を説明する。
「えっとね、ココアと、コーヒーと、砂糖とを1対1対1…まぁ、同じ分量で鍋に入れて、それに少量の牛乳を加えて溶かし混ぜるの。
 ある程度混ざったら、残りの牛乳を加えつつ、鍋に火をかけて、完全にとければ出来上がりっ♪簡単でしょっ。」
配り終えると同時にレシピの説明も終わる。
そして、皆で束特製のコーヒーココアをいただく。

「あぁ、なんだかホっとする味ですね〜寒い冬には凄くいいですね〜」
まったりと、恵美が両手で少しずつ飲む。
「このココアは無糖のものを使っていますね。ちょっぴりビターなのが私好みですね」
と、忍も満足げに少しずつ飲んでいる。
「美味しいし、体もあたたまるのぅ♪じゃが…わし、もうちょっと甘いと嬉しいかも、なのぢゃ」
との言葉に
「まだ温かいし、砂糖加えればオッケーだよー♪」
と束が砂糖、ついでに牛乳を再び台所から持ってくる。
「俺も砂糖入れる〜!」
と、鎮は嬉璃同じく砂糖を、そして真純は
「もうちょっと牛乳加えようかな♪」
と、思い思いに自分好みの味に仕上げていく。

「そうそう、自分好みの味が一番☆よかったら、自分好みの味、作ってみてね〜♪」
束がパチッとウィンクをする。

こうして、最後はまったりとコーヒーココアを飲み干し…
嬉璃も大満足でチョコレートパーティーはお開きとなった。

…ハズ、であった。


*エンディング*

皆がそれぞれ帰っていく中、真純も玄関先まで出てきた。
が、真純はハッとしたように、またあやかし荘の中に戻っていった。
そして、そこで丁度嬉璃に出くわす。

「ん?どうしたのぢゃ?真純。忘れ物か?」
「えっと、違うの。これ、嬉璃さんに」

手渡したのは、先ほど食べたトリュフと同じ包み。
「一番上手に出来た、と思ったものをぜひ嬉璃さんに食べてもらいたくって。
 他の方にはナイショ、にしてくださいね??」
ニッコリと微笑む真純に、一瞬ビックリするも、
「ありがとうなのぢゃ!先ほどとは違って、じっくり味わっていただくからのぅ♪」
そういう嬉璃に満足し、真純はあやかし荘を後にした。

その、帰り道。
なんだか、ポヤーンとした空気に突然包まれた。
体が火照るように熱い。風邪…??では、ない。

急ぐように、帰宅し、自室に篭る真純。
そして、思い出す。
忍の作ったケーキ、「美味しいけど、チョコレートリキュールたっぷりだなぁ」と思ったことを。

「今頃になって、酔い!?」

顔をほんのり紅潮させ、走ってしまったこともあったせいか、酔いが更に回ってきた真純。
一人だけの自分の部屋で、日頃の思いを酔いに任せて思わず叫んだ。


「理想と現実は別物なのよ! 別物〜〜〜!!!!」


酔ってる時こそ、本音が出るものであろうか。



*END*


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【2320/鈴森・鎮/男性/497歳/鎌鼬参番手】
【2356/栗原・真純/女性/22歳/甘味処『ゑびす』店長】
【4878/宝剣・束/女性/20歳/大学生】
【5745/加藤・忍/男性/25歳/泥棒】


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■         ライター通信          ■
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またもお会いできて嬉しいですっ!ヘッポコ新米ライター、千野千智ですっ!
また、真純ちゃんにお会いすることが出来て凄く嬉しいですっ!!!

今回も真澄ちゃんの特上スマイルを思い浮かべつつ、ノベル書かせていただきました。
癒し系だなぁ、と思いつつ、粒あんチョコが真剣に食べたくて仕方なくなりました。
と、いうかお汁粉食べたくなりました(笑)
ちなみに、全然関係ないですが、チョコかけ柿の種はアリ派な千野です。

そして、お酒耐性がわからず…思わず叫ばせてしまいました、ごめんなさい(土下座)

ご発注、本当にありがとうございました!
よろしければ、またお会いできることを願って…では!!


2006-02-20
千野千智