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月夜の葡萄園
◇★◇
石畳の上に水を撒き、両脇に植えられている花々を見詰め、枯れてしまった葉を取り除く。
綺麗に咲いた花の香りは甘く優しくて・・・笹貝 メグル（ささがい・めぐる）はうっとりと目を瞑りながら花の香りを楽しんだ。
ザァっと、風が１陣吹き、メグルの淡い銀色の髪を撫ぜる。
腰まで伸びた髪は、大きな弧を描いて風に踊り―――
「メーグルー！！！」
そんな爽やかな昼下がり、メグルの名前を呼ぶ間の抜けた声。
メグルの脳裏に実の兄である、鷺染 詠二（さぎそめ・えいじ）の顔が浮かぶ。
「お兄さん、何ですか〜？」
「ちょっと。」
なんだろうか・・・。小首を傾げながらも、メグルは立ち上がると屋敷の中へと入って行った。
廊下を抜け、突き当りの部屋に入る。
「何か困った事でも・・・」
「メグルさぁ、葡萄園の小父様覚えてるか？」
「・・・えぇ。覚えてますよ。綺麗な葡萄園の中に建っている小さな丸太小屋に住んでいる・・・」
「その小父様がさ、今度レストランを開くそうなんだ。あの丸太小屋を改装して。」
「そうなんですか？良いじゃないですか。葡萄園の奥には、確か小さな噴水なんかもありましたよね。花畑とか・・・」
「そうそう。んで、ホワイトデーにってチケット貰ったんだよ。」
詠二がそう言って、淡いピンク色の紙をペラリとメグルに差し出した。
「特別御招待券・・・料理もタダなんですか・・・？」
「あぁ。そうみたいだ。前に俺らに世話になったからってくれたんだけど・・・」
「ホワイトデーは、予定が入ってますね、確か。」
メグルはそう言うと、小さく溜息をついた。
何でも屋をやっている詠二とメグルには、基本的に休みは無い。特に行事の時は・・・・・。
「お断りするのも、アレですし・・・どうするんです？お兄さん？」
「んー・・・しょうがないから、誰かにあげよう。」
詠二はそう言うと、よいしょと勢いをつけて立ち上がった。
「あげるって言ったって、誰にあげるんです・・・？」
「さぁ。ま・・・誰か適当に声でもかけるよ。」
「適当ってお兄さん・・・！！」
「折角のホワイトデー、素敵な場所での夕食・・・最高じゃん！」
詠二はそう言うと、ソファーの上からポンと飛び下り、パタパタと部屋を後にした。
「最高じゃんって・・・！お兄さんっ！！いきなりそんなの手渡されても、迷惑じゃ・・・って、もういないんですよね・・・」
はぁぁぁっと、盛大な溜息をつくと、メグルは天井を仰いだ。
こうも無鉄砲な兄を持つと、とても苦労する・・・・・・・。
◆☆◆
町の雑踏が微かに耳につく。
別に意識をしていなければ気にならないような音なのに・・・どうしてだろう。今日は、酷く耳障りだった。
無理矢理入れられた高校で、更には生徒会長なんてやらされて―――仕事がいっぱいで・・・。
先生と生徒の橋渡しである生徒会だったが、その仕事量の多さに幸音 桜花は参っていた。
自分の本来の“やるべき事”は終わったはずなのに、どうしてこうも次から次へとやる事を押し付け―――
「はーい、そこのおにーサン☆」
やたら軽い調子の言葉に、桜花は思わず足を止めた。
振り返るとそこにはそこそこ外見の良い１人の少年が立っており・・・外見年齢は桜花と同じくらいだろうか？悪戯っぽい瞳は妖しいほどの紫色で・・・口元にたたえた笑みは、どこか不思議な色を含んでいる。
「俺になにかー？」
若干語尾をのばしてそう言って、桜花は首を傾げた。
「俺ね、鷺染 詠二っつーの。何でも屋『鷺染』の社長で・・・」
鷺染詠二？何でも屋『鷺染』？
聞いた事の無い名前と見せの名前に、桜花が視線を詠二から外す。
・・・押し売りだろうか・・・。
何でも屋と言うからには、何か売っていて・・・。
「んでね、ちょっとお兄さんに訊きたい事あるんだけど。」
いー？？と、にっこりと微笑む。その笑顔からは、悪意は感じられない。
「良いけど・・・」
「あのさぁ、１４日、予定ってある？？」
・・・ナンパか？
刹那そう思うが・・・直ぐに桜花の考えは否定された。
詠二がポケットからペラリと淡いピンク色の紙を２枚取り出して、桜花に差し出した。
「あのね、葡萄園の中にあるレストランのオーナーさんが、オープン記念っつー事でホワイトデーの日にディナーを用意してくれるらしいんだけど・・・あ、もちタダなんだけどさぁ、残念ながら俺、予定が入っちゃって。だから、通りを歩いてたイカスお兄さんに声をかけたってわけなんだけど・・・。」
詠二が息継ぎなしで一気にそう言うと、キュっと唇の端を上げた。
「もし、ホワイトデーの日に何の予定も無いんなら、彼女なりなんなりと一緒にどーですか？料理の味と景色だけは保証するぜ？」
「・・・彼女じゃなくてもいーんなら、貰う。」
桜花がポツリとそう呟き・・・詠二が「モチモチ、彼女じゃなくてもどーぞ☆」と、いたって軽い調子でそう言って桜花にチケットを２枚手渡した。
見ず知らずの人間から、招待券を貰うのはなんだか怖い気もするが・・・。
チラリと見詰める先、詠二が満足げな表情で「はー、これでスッキリ☆やっぱ、招待券貰っといて不参加はちょっと心苦しいしねー！」と言って背伸びをし・・・桜花は、思わず苦笑した。
「さんきゅ、有り難く使わせてもらうなー。」
そう言って、歩き出そうとして・・・ふと、足を止めた。
まだ桜花の背中を見詰めていた詠二と視線が合い―――ふっと、桜花は微笑んだ。
「俺、幸音 桜花っつーの。」
別に詠二が覚えていてくれるとは思わないけれど・・・そもそも、桜花だって、いつかは詠二の名前を忘れてしまうだろうけれども・・・。相手が名乗ったのに、こちらが名乗らないのも何だか変かな？と言う気になって、桜花は自分の名前を詠二に伝えた。
「桜花君・・・ね。ま、楽しんできてよ！」
言われなくても―――
チケットをポケットに入れる。
心に浮かんでくる人物の事を想いながら、桜花は歩く速度を速めた。
◇★◇
夕日が地平に沈む。
仄かに残った光の欠片が空を淡く染め上げる。
滲む夕日に背を向ければ直ぐそこまで夜の気配が迫って来ており、空に浮かぶ星の煌き。その中心に、真っ白な月が弱々しく浮かんでいる。
空は様々色で混じり合っており、雲は不思議な色に染め上げられている。
薄いピンクの混じった紫色の雲の隣では、真っ赤に色付いた雲・・・少し視線を他に飛ばせば、漆黒の闇に沈み行く町並み。
やがて訪れる夜を感じてか、まだ明るいのにも拘わらず街灯は煌々と光っていた。
途中で拾ったタクシーの車内ではラジオがつけられており、今週のヒットチャートを１０位から順に流していた。
時折入る解説の声は良く響く低い声だった。
無口な運転手が、時折ミラー越しにこちらを確認する。
あまりにも無言な２人に、ラジオのボリュームを徐々に上げて行き・・・か細い旋律が、力を増す。
隣に座る、琉為 瑞樹の横顔をチラリと見詰める。
その視線は窓の外へと注がれており、桜花が見ている事に気がついていないようだ。
まぁ、別に気付かなくても問題はないし、気付かれたところでどうと言う話ではないけれど・・・。
暫く街を走っていた車だったが、外を見れば何時の間にか開けた場所を走っていた。
先ほどまで見えていた高い建物は何処にも無く、前方には低いアーチが見える。
滑るようにそのアーチを抜ければ、その先は葡萄園だった。
ラジオからは視聴者の手紙を読み上げており、単調な言い方はある意味眠気を誘う。
窓の外は見渡す限りの葡萄の木。木々の間を縫うように通っている細い道を走る。
葉をつけているモノ、実をつけているモノ、花をつけているモノ・・・幻想的なその光景を見ながら、ふと・・・心に浮かぶ違和感。
「葡萄は今の時期に生るのか・・・？」
桜花の心を見透かしていたかのように瑞樹がポツリと呟いた。
「俺も言おうとしてた。」
そうとだけ言って視線を下げ―――
「葡萄っつったら、秋のイメージない？」
「・・・俺には葡萄のイメージがお前ほど無いんだが。」
桜花の言葉に、瑞樹が困ったようにそう言う。
眉を顰め、心底困ったような顔に思わず苦笑してしまいそうになる・・・。
「辞書引いた方がいーよ？」
「辞書で分かる知識なのか？」
「・・・調べる気なわけね・・・。」
冗談で言ったのに、本気に取ってしまうなんて・・・。
真面目と言うかなんと言うか・・・。そもそも、瑞樹は真面目すぎる気がする。
この世界に馴染もうと奮闘している姿はなかなか健気だが、真面目すぎるのもどうかと思う。
もう少し肩の力を抜いても良いと思うんだけどなー・・・。
そう思いつつ、視線を窓へと向ける。何時の間には車は開けた場所に出ており、目の前には小さな丸太小屋がチョコンと建っている。
車は滑るように小屋の前に横付けし、音もなく停車すると運転手がこちらを振り向き低い声で「着きました」とだけ呟いた。それを受けて瑞樹がポケットから財布を取り出し・・・桜花は、瑞樹を車内に残したまま外に出た。
ザァっと、風が１陣吹き、桜花の淡い鳶色の前髪を揺らす。
目に入らないようにそっと瞳を閉じ・・・甘い香りが風に乗って漂って来ていた。
葡萄の香りだろうか？甘くも柔らかい香りを胸いっぱいに吸い込むと、桜花は目を開けた。
「帰りは中で頼んでタクシーを呼んでもらうか。」
何時の間にか下りて来ていた瑞樹がそう言って、桜花の顔を覗き込んだ。
微かな音をあげながら車が発車し、みるみるうちに遠ざかって行く・・・。
「瑞樹の場合、頼むっつーか命令するっつーか。」
「・・・何故だ？」
キョトンと目を丸くする瑞樹に、盛大な溜息と苦笑を向けると、肩を竦めた。
「口調の問題じゃん？」
瑞樹の口調は、どこか偉そうで・・・キツク聞こえる。
勿論、本人はそんなつもりで言っているのではないだろうけれども・・・。
首を傾げる瑞樹をその場に残し、桜花は小屋の扉を押し開けた。
◆☆◆
店内は質素で好感の持てる雰囲気で、丸太小屋独特の存在感を壊さないような内装になっている。
窓にかかった薄いカーテン越しには、外の静かな闇の音が聞こえて来る。
本来ならば月光が入って来ているのであろうが、店内の蛍光灯があまりにも明るすぎてその存在を打ち消している。
コツリと中に１歩入ると、奥から初老の紳士風な男性が出て来て、２人に向かって丁寧にお辞儀をすると奥のテーブルへと案内してくれた。
「お話は鷺染様から窺っております。」
そう言って、再び深く頭を下げ・・・・・・
真っ白なレースのテーブルクロスの掛かったそこは、特等席だった。
窓の外に月が見える。その下には、続く・・・葡萄園・・・。
淡い月の光に照らされて揺れる木々は、どこか幻想的で心奪われるものだった。
ふっと視線を瑞樹の方へと向ける。
瑞樹は窓の外の光景に気を取られているらしく、こちらを向く気配さえない。
真面目な真面目な、そして・・・ウルサイ幼馴染・・・。
瑞樹が桜花の視線に気付いたのか、こちらを見詰め、首を傾げた。
別に何でもないのだと軽く瑞樹をあしらい、視線を店内へと向ける。
先ほどの初老の紳士・・・きっと、ここのオーナーなのだろう・・・が、右手に大きなお盆を持ってやって来た。
お盆の上には仄かに湯気の上がったステーキ。
美味しそうな香りがふわりと辺りを包み込む。
コツンと、軽い音を立てながら目の前にお皿を置き・・・黒い液体の入ったグラスをその脇に置く。
その液体が何なのか問いかけようとして、桜花は咄嗟に言葉を飲み込んだ。
葡萄園の中にあるレストランなのに、一体何の飲み物が他に出てくると言うのだろうか・・・？
右手にナイフ、左手にフォークを持ち、綺麗なテーブルマナーで桜花はステーキを食べ始めた。
視線を上げれば瑞樹もキチンとしたマナーで食べており・・・・・・
「それにしても、お前・・・いつテーブルマナーなんて覚えたんだよ？」
「常識だろ？」
ケロリと言う瑞樹に、桜花が小馬鹿にしたような視線を送る。
「あれですか？お得意の、辞書引いて・・・」
「辞書に載ってるわけないだろ？買ったんだ。」
「へ？何を？」
「本を・・・」
「テーブルマナーの本なんてあるんだー。」
へー、初めて知ったぁと、桜花がいたって平坦な口調で言い、瑞樹がそれに対して軽い溜息をつく。
「お前もたまには本屋にでも行って・・・」
「漫画買わないと〜。」
「そうじゃないだろっ！」
「もー、お前、真面目すぎ。」
まるでウルサイ教育係のようだ。
お勉強も良いが、瑞樹の場合は息抜きを沢山入れないと―――
「お前が不真面目すぎなんだっ！大体、いつもふらふらどっかへ行って・・・捜す身にもなれっ！毎回毎回・・・特に生徒会の時なんて、会長であるお前がいないから話が進められないと何度言われた事か・・・。」
ぶつぶつ呟く瑞樹の顔を見詰めながら、桜花は思いを巡らせた。
確かに、瑞樹の言った事も一理ある。
そりゃあ、元々俺が真面目じゃないのもある。それは認めざるを得ない。でも・・・。
色々なものを自ら壊して、それなのに平穏な中で暮らすなんて。
許されるのだろうか・・・？
視線を落とし、ぼうっと目の前のお皿を見詰める。
グルグルと同じところを回っては返ってくる考えが、酷く桜花を責め立てる・・・。
「桜花・・・？」
心配そうな声に顔を上げれば、瑞樹が眉根を寄せており、咄嗟に桜花はなにか上手い言葉はないかと考えた。
「ま、俺が不真面目なのは認めるけど・・・。でもさ、俺・・・思うんだけど、瑞樹は真面目すぎだって。」
ニカっと、悪戯っぽく微笑む。
心中は穏やかではないけれど―――瑞樹に余計な心配をかけさせたくはない。これは、あくまで俺の心の中だけの問題だから・・・。
「何でも辞書引きゃぁ載ってると思って・・・ほんと、瑞樹は勤勉デスネー。」
わざと可愛くない事を言って、瑞樹を困らせる。
「なんでそう、お前はいちいち・・・」
苦悩した様子の瑞樹を見詰めながら、桜花は席を立った。
不思議そうな視線に、冷たい視線を向ける。
「ご馳走サマ。んなトロトロ食ってると、置いてくぜ？」
そう言って小さく微笑むと、桜花は駆け出した。
直ぐに瑞樹が立ち上がって追ってくる気配を感じたが・・・全速力で駆け抜ける。
目に映るものは、葡萄園と月と・・・感じる風は、冷たい夜の衣を纏っていた―――――
◇★◇
丘の上に立つ、１本の桜の木の下で桜花は寝転がっていた。
寝転がると見える、空に輝く無数の星。
キラキラと儚い光を発する星にしばし目を奪われる。そして・・・視線を右へスライドさせると、淡い月がぽっかりと浮かんでいる。
桜と月、そして星のコラボレーションは中々綺麗だった。
夜桜を見上げるのは、こんなにも新鮮だったのかと思い―――
桜・・・。
幸音 桜花―――この名前を、どう解釈すべきか・・・。
その名の元に存在する自分は、名前に負けてしまっている気がする。
―――幸音・・・
「おい、風邪ひくぞ。」
やっと桜花に追いついたらしい瑞樹がそう言って・・・桜花は上半身を起した。
「んなヤワじゃないってー。それよりさ、この時期に桜が咲いてるのって、ちょっとおかしくない？」
「・・・早咲きか？」
「それにしたって、満開っておかしいじゃん。」
「満開と言うか、狂い咲きと言った方が良いくらいだな。」
瑞樹がそう言って桜の木を見上げる。
それにつられるようにして、桜花も視線を上げた。
狂い咲く夜桜に馳せるのは、自分の存在・・・。
「・・・何処が幸せを呼ぶ音なんだろうな・・・。俺は逆のモンしか運んでないじゃないか。」
ポツリと呟いた言葉。
風に揺れて霧散していく言葉の粒。
視線は狂い咲く夜桜に魅せられたかのように、そらす事が出来ない・・・。
「良い名前じゃあないか。俺は合っていると思うが・・・。」
瑞樹の言葉に、目を伏せる。
気休めや、会話のマナーで言っているのではない事は桜花も理解できた。そんないい加減な理由で言葉を紡ぐような男ではないと、分かっていた。けれど・・・・・。
瑞樹に視線を注ぐ。
どうやら桜花が何か言うまで待つつもりらしく、瑞樹の視線は微塵も揺れない。
「春の喜びを聞くと人は喜ぶと言うが、俺の幸せは誰が運んでくれる？」
その一言に、瑞樹の視線が揺れる。
宙から何かを得ようとするかのように、ゆっくりと・・・それを見詰めながら、桜花は言葉を待った。
「・・・俺はお前の為に生きてるんだぞ。我が家は代々・・・・・」
随分考え込んでから紡がれた言葉は、あまりにも“予想内”の言葉で・・・。
思わず呆れたような顔を瑞樹に向ける。そんな桜花の表情を見てか、言葉を飲み込む瑞樹。
そう・・・あまりにも“瑞樹らしい言葉”だけれど、望んでいた言葉はそんな言葉ではない。
それではまるで・・・
「・・・あーまぁね、瑞樹らしいっちゃらしいけどな。」
「何だ？」
「けど、そんな仕事でなんて理由じゃ、誰も心動かないぜ？」
ニヤリと口の端を上げる。
途端に困ったように詰まる瑞樹・・・。
「む、確かに・・・」
一生懸命言葉を探しているらしい横顔を、笑顔をで見詰める。
「わかった、それならばこうしよう。」
そう言うと、すぅっと息を吸い込んだ。
どんな言葉が飛び出してくるのか・・・桜花はゆっくりと待つ事にした。
夜空に狂い咲く桜、甘く香って来る葡萄の香りと花の香り。
それが全て混ざり合い、幻想的なまでの空間を作り出す。
「俺は桜花を守る木になろう。」
瑞樹の言葉が空気を震わす。
あまりにも予想外の言葉に、桜花は驚きを隠せなかった。
・・・瑞樹が、俺を守る木になる・・・？？？
思わず吹き出して、爆笑し始める―――それを瑞樹が不思議そうな顔で見詰め・・・
「何で笑う！？」
「や・・・だって・・・。うん、で・・・結局何？お前が運んでくれんの？」
「あぁ。」
「ははっ、そりゃいーや。ヨロシク、風紀委員チョーサマｖ」
軽くそう言って、桜花は笑いを噛み殺した。
本当に瑞樹は純粋で真面目で・・・きっと、言ったからには実行しようと頑張るのだろう。
・・・頑張り過ぎないと良いのだが・・・。
まぁ、やりすぎな時はこちらでフォローを入れれば良い。
いつも俺のフォローを入れている瑞樹なだけに、まさか俺が瑞樹のフォローをしているなんて思ってもみないだろう。
別に・・・気付かなくても良い・・・。
空には相変わらず星が輝いており、風は冷たいながらも甘い香りを運んで来ていて・・・。
続く、２人の未来を、狂い咲く、夜桜の下で想う―――――
≪ E N D ≫
━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 ／ ＰＣ名 ／ 性別 ／ 年齢 ／ 職業】
6187/幸音 桜花/男性/17歳/暇人
6194/琉為 瑞樹/男性/18歳/高校生
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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まずは・・・大変お待たせしてしまい、まことに申し訳ありませんでしたっ！
この度は『月夜の葡萄園』にご参加いただきましてまことに有難う御座いました。
そして、初めましてのご参加まことに有難う御座います。（ペコリ）
桜花様の雰囲気を壊さずに描けていれば良いのですが・・・。
お２人の仲の良い雰囲気を生かせていればと思います。
それでは、またどこかでお逢いいたしました時はよろしくお願いいたします。
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