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<東京怪談・PCゲームノベル>


日々徒然 〜やわらかな時間〜



 日々変わらないの?
 日々変わっていくの?
 楽しいね。
 優しいね。
 この時間は与えられているもの?
 そうじゃないよね―――




 くるくると店の前で右往左往。
 入ろうか、やめようか。どうしよう。
 芳賀 百合子は先日初めて訪れた銀屋に今日また訪れようとしていた。
 この前出会った、オツムがアレな藍ノ介さんは元気かなー、などと少し心配だったのだ。今日もこの前と同じように学校帰り。セーラー服の裾を翻しながらくるくると歩き回っている。いざ、近くまで来て、そして店の前に立つとなんとなく入るのが躊躇われる。
「藍ノ介さんと奈津ノ介さんがまだ喧嘩中だったらどうしよう……私、何かできるかなぁ……」
 何度も行ったり来たり、ぱっと見、不審人物にしか見えない。
 そして百合子自身、そんな風に見えていることはわかっていない。
 一人でぐるぐると考えて堂々巡りすることもうはやどれくらいかわからない。
 一度、戸に手をかけてみるのだけれども開ける事が出来ない。
「…………何、してるんだ? 入らないの、か?」
「え、あ……えっと、遙貴さん……だったかな」
 後ろから声をかけられた事に驚いて、そしてぱっと百合子は顔を上げ、振り向く。
 そこにいたのは、そうあの本の中であった遙貴だ。ちゃんと覚えている。けれども少し、違和感を感じた。
「会ったことが……ないと思うのだけれども……初めて、だよな?」
「え、会ったことあるよ! えっと、本の中で」
「本の、中……?」
 怪訝な顔を一瞬浮かべたが、まぁいいかとすぐに遙貴は言う。
「名前は?」
「百合子、芳賀 百合子」
「百合子、か……で、店に入るのか、入らないのか?」
「あっ、はい……りますっ」
 そうか、と笑い返されて遙貴はからからとその引き戸を開ける。
 戸が開いてしまえば、入らないわけには行かない。百合子はゆっくりとその一歩を踏み出す。
「奈津、客だ。オツムがアレなのー、遊びに来てやったぞ」
「誰のオツムがアレか!」
 遙貴の一声にすばやく反応して、オツムのアレな藍ノ介の声が響き、本人が姿を現す。和室のさらに奥の部屋にいたらしく、とん、と店へと降りてきた。その表情は不機嫌そのものだったが遙貴の隣にいる百合子に気がついて、表情を緩める。
「百合子か、この前はありがとうな……今日はどうした?」
「あ、えっと……元気してるかな、って思って来たの」
「そうかそうか、奈津もすぐ帰ってくるしあがれ」
「うん、お邪魔します」
「お邪魔しまーす」
「いや、待て、汝は帰って良い」
 百合子が嬉しそうに微笑んで言った言葉と同じ言葉を遙貴は紡ぐ。声色はおちょくるような、そんな感じだった。
 藍ノ介はそれに即、間髪入れずに眉を顰めて言う。
「そんな事言っちゃ駄目! 私、遙貴さんともちゃんとお話したいし……大勢のほうが楽しいよ」
「そうだ、楽しいぞ」
「う……わかった……」
 渋々承諾といった表情で溜息を一つつく。百合子はそれでいいの、とにっこりと笑った。
 藍ノ介は先に和室に戻って、そして座っていろと言うと奥へと消える。台所の火でもつけっぱなしなのかな、と百合子はのほほんと考える。でも、なんだか藍ノ介は料理なんて出来そうにないイメージを感じる。
「そうだ、やっぱり気になる」
 てくてくと、和室までのほんの少しの距離をゆっくり歩いていた時、思い出したように声を出して遙貴は百合子を見る。
 百合子は何かな、と小首をかしげた。
「本の中、っていうのはどういうことかやっぱり知りたくて……こう、引っかかって気持ち悪い」
「あ、それわかる。引っかかってるとうーん、ってなっちゃう」
 靴を脱ぎ、和室に上がりながら百合子は言う。ちょこん、と座り込んで傍らに鞄。
 自分の隣に座った遙貴に視線を合わせて百合子は言葉を続ける。
「この前ここに来たときに、藍ノ介さんが本の中に入っちゃって……それで助けに行った時に、その本の中で会ったの。えっと……本の中の世界が藍ノ介さんの記憶で……どう言ったら良いのかな」
「あーなんとなくわかってきたぞ。あの馬鹿の記憶の中の我に会ったことがあるから、百合子は我のことを知っていた、ということか」
「そうそう、そんな感じです。あ、そうか! 本の中では遙貴さん女の人だったような……あれ? 今男の人?」
「女の我と会ったか……我は両性なんだ。そうか、なるほど、わかったわかった。オツムがアレな藍ノ介を助けるのは大変だっただろ……それでも一応、友達だからな……助けてやってくれて、感謝する」
 にこ、と笑んで送られた言葉に、百合子はえへへと少し照れながら笑顔を返す。
 記憶の中で出会った遙貴は、最初は敵意を出していたけれども、今この目の前にいる遙貴はその時よりも柔らかく、穏やかなイメージを受ける。
 今のほうが、なんとなく印象が良い。きっとあの記憶の中の時点から色々とあったんだろうな、と百合子は思う。
「すまん、茶菓子が見当たらん……」
 と、会話が少し切れていたところに藍ノ介が戻ってくる。手には急須や湯のみやらを乗せた盆。どうやら茶の準備をしていたらしい。
「お茶菓子なら……クッキーがあるよ。お土産で持って来たの」
 躊躇いがちに百合子は言い、そしてがさがさと鞄からちょこんと包みを取り出す。
 ラッピングが綺麗にされておりいかにも女の子!といった感じだ。
「じゃあ百合子が持って来たのを茶菓子にするか。開けて良いか?」
「うん、開けていいよ」
 藍ノ介が座り、茶を淹れながら問う。百合子の言葉を受けて、遙貴に開けてくれと視線を送る。
 がさがさと、リボンを解いていた遙貴の手が止まる。
「うう、ちょっと形は崩れちゃったけど……味は大丈夫だから!」
「そ、そうなのか……まぁ、そうだな、形は関係ないからな」
 クッキーと言われれば、クッキーだ。見た目ちょっと、不恰好な。
 遙貴はそれを目にして一瞬動きを止めてしまったらしい。百合子は、形が少し失敗しているのがわかっていたから開けられる瞬間はドキドキだった。
「ん、茶だ。わしが淹れたのは普通の茶だが……奈津が帰ってきたらもっとうまいのを淹れてくれる」
「ありがとう、奈津ノ介さんは、お茶淹れるの上手だったね」
「うまいな……日々あの茶淹れスキルだけは上がっているぞ」
「あ、すごい! オツムがアレなのにスキルだなんて言葉知ってるんだね!」
 ぱぁっと一つ発見したかのように、百合子は嬉しそうに笑う。ぴきっとその言葉を受けて固まったのは藍ノ介で、遙貴は面白そうに笑っていた。それをみてどうしたのかな、と百合子は思う。
「百合子は面白いな。面と向かって貴様にオツムがアレと言う者が増えたぞ」
「え、言っちゃ駄目なの? そうなんでしょ?」
「いや、決してオツムは普通なのだぞ、アレなどということはないのだ!」
「何を言う、貴様のオツムはアレだぞ、誰もが思うことだ。どんどん言ってやれ」
「ええと……オツムがアレじゃないって思ってるのは本人だけってことだよね?」
 悪気無くさらっと百合子は確認するかのように言う。そうだそうだ、と遙貴が頷いてそれに応えた。
「……なんだか汝らには勝てぬ気がしてきた……」
 藍ノ介は苦笑と溜息を混じらせながら言う。なんだかもう諦めた様子だ。
「勝てないに決まっているだろう、オツムがアレなんだから」
「そうそう、無理しちゃ駄目!」
「う……奈津よ、早く帰ってきてわしを助けてくれ……!」
 涙が出そうだ、と呟く藍ノ介。それに遙貴は追い討ちをかける。
「いや、奈津は貴様の味方はしないと思うぞ。というか、藍ノ介、貴様が先にクッキーを食べるといい。一応ほら、貴様がそれをもらった者だろう」
「お、いや、客は汝なのだ、先に食べていいぞ」
 二人は視線を合わせ、笑いあう。
 お前が毒見をしろ、と静かに言いあっているのだ。
 そんな雰囲気を百合子は少し感じ取り、クッキーの見た目がやっぱり駄目だからかなぁ、としゅーんとする。
 そしてその様子を目にし、二人は意を決して一つずつ、手にとって口へ。
 百合子はどうだろう、とドキドキのまなざしを交互に二人に送る。
「っ……!!」
「あ、この味好きだ」
「なっ、本気か遙貴……!?」
「あ、おいしい? よかったぁー」
 ぱあっと百合子の表情は明るくなり、そして胸の前で手を合わせて喜ぶ。
「うん、我は好きだ。これうまいぞ、このもそもそ感が良い」
「よ、遙貴……汝、ツワモノだな……」
 そういえば遙貴の味覚は少しおかしかった、と藍ノ介は思い出す。普通に、一般的に美味しいものは美味しいと感じるのだがそれ以外にも、変わった味のものが好きで、この百合子作クッキーも気にいったらしい。
 正直、口にして死ぬかと藍ノ介は感じたクッキーだ。これは危険だと本能が、身体が拒否をした。
「おいしいって言ってもらえるとやっぱり嬉しい。もっと食べてね、また作ってくるね」
「ああ、楽しみにしてる」
 百合子は美味しいと、また楽しみにしている言ってもらえることが嬉しく、そして少し気恥ずかしく、照れているらしく頬が赤い。
「今度はもっと、見た目も綺麗にできるように頑張るね」
「そ、それなら……うちで作るといい。要のいる時にでも……」
「ああ、要の作る菓子もうまかったなぁ……一緒に我がいる時に作ってくれ」
 うん、と百合子は頷く。その時のためにもうちょっと本を読んで御菓子作りを勉強しておこう、と心の中に決めた。
 と、ただいま戻りましたという声と、店の引き戸がからからと開く音がする。
 この声は知っている。奈津ノ介だ。
 百合子は和室からちょこっと、奈津ノ介が見えるように顔を上げてこんにちは、と言った。
「百合子さんいらっしゃい。この間はどうも。遙兄さんも、いらっしゃい」
「おかえりなさい、どこか行ってたんですか?」
「ええ、ちょっと知り合いのところに……あ、クッキーですか?」
 和室に上がって、ちゃぶ台の上にある見た目シュールなクッキーにも奈津ノ介は表情を変えない。
「百合子の土産だ、うまいぞ」
「いや、奈津それはっ……! それは遙貴が好きなのだ、遙貴に譲ってやれ!」
 言葉を選びつつ、食べるのはやめておけ、と諭すような藍ノ介の言葉に奈津ノ介はなんとなくだろうが、それがとても危険なものであることを感じた。
 だけれども、百合子のどうぞ食べて、という表情を見てしまったからには食べないわけにはいかない。
 小さめのものを一つ手にとって口に。
 一瞬よろめいたような気もするが、それを喉の奥に落として、満面の笑みを作るのだがそれは少し硬い。
「お、おいしかったですよ」
「本当? よかったぁー」
 あの味を堪えたのか、と藍ノ介は息子ながらあっぱれと内心思うが口にはしない。
「あれ、もう百合子さんお茶ないですね、淹れますか?」
「えっと……うん、お願いします」
 つつ、とちゃぶ台を滑らせるように湯飲みを奈津ノ介の方へと動かし、百合子はぺこっと頭を下げる。
「奈津、わしもー」
「我も」
「皆ですか、はいはい」
 奈津ノ介は苦笑して、急須を受け取り立ち上がる。そしてちょっとだけ奥へと引っ込み戻ってくる。そして茶をそれぞれの湯のみに注いだ。
「どうぞ。さっきのは親父殿が淹れたんでしょう? それより美味しいはずです」
「う、それは否定できんな……」
「うん、さっきより美味しい……なんでだろう……」
「きっと親父殿と僕の性格の違いの現れでしょうねぇ」
 百合子はそうだね、と笑う。そしてまた言葉を紡ぐ。
「藍ノ介さんのオツムがアレなのが遺伝しなくてよかったね、奈津ノ介さん!」
「ええ、本っ当にそう思いますよ……」
「子に、奈津にまで言われるようになって終わりだな、貴様」
 くくっと笑う遙貴をうるさい、と藍ノ介は睨み居心地が悪そうだ。
 三対一というこの関係は分が悪すぎてもう言い返す気もないらしい。負けるの前提なことはしたくない。というかもう今すでに、負けているような気がしている。
 百合子はにこにこと、笑う。
 オツムがアレだと言うのも、お土産のクッキーを美味しいと言ってもらえるのも楽しいし、嬉しい。
 他人と関わって同じ時間を過ごしているという感覚。とてもそれは大切だと思う。
「えへへ……良いね、こういうの」
「ん、笑ってどうした?」
「うん、皆でこうやってお茶飲んで、お話するのって楽しいなって」 
「百合子が楽しいなら、良いんだろうな」
「そうですね、いつでも遊びに来ていいんですよ。お店っていっても商売そんなに、たまーにしかしてないですからね。開店休業っていうやつですね」
 奈津ノ介は自分の店であるのにそんなことをさらっと言う。執着があるのかないのか、そこは百合子にはわからないけれども自分を迎えてくれると言っているのはわかる。
「うん、また他の皆にも会いたいなー猫さんと、あと南々夜さんも!」
「あ、南々夜なら来るぞ。ここで我と待ち合わせしているからな」
「本当? あ、でもまた私しか知らないんだよね……本の中で会っただけだもん」
 また会える、と嬉しく思いつつも、相手の反応がどう返ってくるか、それはわからない。大丈夫かな、と百合子は少し心配をする。
 そんな様子を見て、藍ノ介は手を伸ばし百合子の頭を撫でる。
「大丈夫だ、南々夜だからな」
「そうですね、すぐ仲良くなれますよ」
「なれるかな?」
 三人見回す、皆大丈夫だと頷いてくれる。それに百合子はそうだね、と笑顔で返した。
「ところで藍ノ介、いつまで撫でている。セクハラだ」
「なっ、わしは落ち着かせようと思ってだな!」
「! さっきのセクハラだったの?」
「や、違う、違うからな百合子!!」
 そう、藍ノ介が必死に否定しても時すでに遅し。百合子は藍ノ介から距離をとるようにちょっとずつ離れて行く。
「だめですよ、いい大人がセクハラなんてして……」
「おい、奈津まで……!!」
「セクハラなんて最低だな……我も離れておくか……」
 百合子と遙貴は藍ノ介から離れ、奈津ノ介に近づく。
 一人ぽつーんと距離をとられ藍ノ介はちょっと寂し気だ。
「うっ……そうやって汝らは、汝らは……!」
「藍ノ介さん、セクハラなんて駄目だよ、しちゃいけないことなんだよ」
「だからさっきのはセクハラでないと!」
 必死の言葉は百合子には届かない。もちろん遙貴と奈津ノ介は藍ノ介をからかうためにやっていることなのだが、百合子は真正面からそれを受け止めてしまっている。そしてそれを遙貴も奈津ノ介もフォローしない。面白がっているというほうが正しい。
「いくらオツムがアレだからって、許されないことなんだよ、ね?」
「認めたほうがいいですよ、親父殿」
「そうだ、百合子の言うとおりだ。認めれば楽になれるぞ」
 真剣な表情で、藍ノ介さんが心配だよ、と百合子は付け足す。
 どうして頭を撫でただけでこんな事になるのだと、藍ノ介は思う。
「ああ、もう……わかった、わかった。セクハラなどせん、もう絶対せん!」
 ヤケクソだ、と藍ノ介は言い捨てる。その様子はもう疲れた、としゅーんとしている。百合子はその言葉に満足、とばかりによしよし、と言う。それはまるでよくお座りできたね、などと愛犬を褒めるときの感じに似ていた。
「よーきちゃーん、おまたせー!」
 と、タイミング良く、勢い良く、引き戸ががらっと開く音と声。
「お、南々夜も来たか」
「遅くなってごめんねー。ちょっとごたごたってしててー」
 からからと下駄を鳴らしながら南々夜は来る。そしてはた、と百合子と視線が合い、笑いかけた。
「キミははじめまして、だねー。ボクは南々夜って言うんだ」
「私は百合子っていいます」
「ん、ゆりちゃんだね。よろしく。あれ、なんで藍ちゃんはしゅーんてしてるのー?」
「セクハラしたんだ、百合子に」
 遙貴がニヤリ、と笑いながらそう言う。もう違う、と言うのも疲れた藍ノ介はまたそう言うのか、と溜息を一つ。
「えー藍ちゃんサイテーだねー。ゆりちゃん、寄っちゃ駄目だよー」
「でも反省したみたいだし……」
「ダメダメー。藍ちゃんオツムがアレで学習能力ないからー」
「うっ、南々夜にまでオツムがアレと……!」
 がくっと肩を落としす藍ノ介の背をそれぞれが見て、そして視線を宙で合わす。
 思うのは同じことだ。
「だって事実だしー、ね?」
「うん、オツムがアレでも私は藍ノ介さんが好きだよ!」
「そうだ、オツムがアレだからこその貴様だぞ」
「ええ、オツムがアレだから僕も見捨てないんですよ」
 悪気があるのかないのか。面白がっているのかいないのか。
 それはそれぞれにしかわからないけれども、とりあえず。
 その言葉は藍ノ介の心にぐっさりとトドメを刺す。
 もういい、とか細い声が聞こえたような気がした。
 百合子は元気出してね、と藍ノ介を応援した。その言葉に力なくありがとうと返される。なんでそんなにしゅーんと元気がないのだろう、と心配しつつも、奈津ノ介達にすぐ元気になる、と言われてそうなのかな、と思う。
「そういえば、奈津ノ介さんと藍ノ介さん、あの後喧嘩はしなかった? 大丈夫?」
「あの後……? ああ、ええ、本からでてきて皆さんが帰った後ですね。ええ、ちょっとばかり口論しましたが、すぐ仲直りしましたよ」
 ねぇ、親父殿。
 そう奈津ノ介が強く言うと、瞬間びくっと藍ノ介が震える。口論していたときの様子を思い出したらしい。相当辛辣に色々と言われた記憶が蘇っているらしい。けれども何もなかったぞ、と普通を装って、視線をそらせながら言葉が返ってきた。
 百合子はそのやり取りを聞いて、よかったと笑う。
「気になっていたの、喧嘩しても、今仲良しならよかったね」
 一つ、気になっていたことがわかってよかった、と百合子は思う。
「ええ、今までよりも仲良しです」
「うん、ゆりちゃんもボクともっと仲良しになろうねー」
 南々夜に言われ、百合子はもちろんとばかりに頷く。
 嬉しい、楽しい時間はまだ続きそうだ。




 この時間は与えられているもの?
 そうじゃないよね―――
 この時間は、自分でつくったもの、だね。



<END>



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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号/PC名/性別/年齢/職業】

【5976/芳賀・百合子/女性/15歳/中学生兼神事の巫女】

【NPC/藍ノ介/男性/897歳/雑貨屋居候】
【NPC/遙貴/両性/888歳/観察者】
【NPC/奈津ノ介/男性/332歳/雑貨屋店主】
【NPC/南々夜/男性/799歳/なんでも屋】

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■         ライター通信          ■
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 芳賀・百合子さま

 二度目まして、ありがとうございます、ライターの志摩です。
 また再び百合子さまを書けてとても嬉しく楽しくご満悦です!プレイングの不審者っぷり、シュールなクッキーに魅力を感じつつ、私も楽しく書かせていただきました!そして好き勝手に弄らせていただきありがとうございますー!オツムがアレとかセクハラとか楽しくやってしまいました…!また百合子さまらしさをだせていたら、と思っております。
 ではまたご縁があってお会いできれば嬉しいです!