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<東京怪談・PCゲームノベル>


進展はどうなのですか?

 宮小路綾霞は退屈していた。
 実際は忙しいのだが、とにかく好みの仕事がないために退屈している。普通の人にある良くある感情だ。綾霞にとっては日々仕事というのは、業界人との交流など一般人には全く分からない世界になる。遊んで暮らせるわけではなく、日々書類とにらめっこも多い。
「どうしようかしらねぇ」
 と、本日のお仕事はここまでといわんばかりの一言。
 ガードやら秘書やら、執事はため息をついた。
 ――ああ、又始まったよ
 と。
「ん? どうしたの?」
「綾霞様のお考えは分かっております。限界なんですね」
「話が早いわ。では参りましょ。今回はどうやっていこうかしら?」
「では、こういう風に」
 と、側近と綾霞はごにょごにょと内緒話。
 これを旦那様が見たらどう思われるのだろうか?
「では、善は急げよ! 作戦A」
 綾霞は拳を握りしめて言った。
|Д゚) 善とは! 正義とは!?
|Д゚) かわうそ?みたいに“ぷりちー”なナマモノなり!
|Д゚) つまり、可愛いこと、正義 善!
|Д゚) おーいえー!
 謎のアイドルかわうそ?がケーキをほおばって、紅茶を飲み、ソファーにふんぞり返っている。
|Д゚) 争奪戦、そろそろ〜
 謎なことを言うナマモノ
「彼が居ますが……」
 取り巻きが無感情で訊いた。これについて何もつっこみは不可能だと認識しているからだ。
「それはおとりとして使いなさい。どのみちあっちで会うんだから」
「かしこまりました」
|Д゚) !?
 側近に猫つかみされるナマモノ。
 そして、窓から捨てられた。
|Д゚) あーれー!
 当然、不法侵入者として、警備員やらが小麦色を捕まえようと奔走する。
|Д゚) まいったなーもー
 と、逃げまどう小麦色。
「いまのうちに」
 と、綾霞と数名の側近が、忍び足で館を出て行ったのであった。


「リムジンで行くより、こういう庶民の車も良いわね。目立たないし」
 と、軽を自分で走らせる綾霞。近頃はやりの軽自動車である。昔は狭苦しいという印象があるが、技術の発展でゆったり出来るようになった。これはよいことだ。
 暖色系スーツ姿に身を包んでの運転だ。助手席と後部座席には信頼の置ける側近がいる。
 まあ、実際に乗ってみて初めて感覚が分かるというモノだ。
「どこに向かわれるのですか?」
「決まっているじゃない」
 と、側近にウィンクして笑う綾霞である。



|Д゚) ふーまいったねぇ
 汗だくのかわうそ?が純真の霊木にもたれかかってため息をついている。
「まだ、冬ですよかわうそ?さま まさか又、追いかけられたとか?」
|Д゚) そんなものでしよ
「そうですか。大変でございますね」
 静香はため息をついたようだ。
|Д゚) 美人なのに何故隠れる みせてー
「恥ずかしいです」
 と、平穏そのものの長谷神社。
 大学のレポートも課題も授業も幼なじみの将来についても全て終わって、
「あーやっとかいほうされたー。あーたいくつー。でもこれがいいのよねー」
 と、中庭に大の字で寝ころび、だらしない女の子が、幸せそうに言った。
「これ、はしたないですよ」
「いいのー、こうしてだらけていたいもん〜」
 ゴロゴロする長谷茜。ナマモノが近くにいたので、頭を撫でてみる。
|Д゚*)
「すべてすんじゃったらこうなるのはあたりまえでしょー」
 かなりだらけ気味。
 いや、そうなりたいぐらい気持ちが良い晴れ空、陽気なのだ。
 エルハンドが居なくなった事は悲しいが、影斬こと織田義明と愉快な仲間達もそれぞれ目指すモノを目指している。彼女は既に見守る側・支える側にいたので、その責務に解放され、緊張の糸が切れたのだ。年相応の女の子になっている。巫女服のままで大の字に寝そべる事が、女の子のやるべき事かは置いておき。
「お客さまが来られたみたいですよ」
 静香がふわふわ浮かんで、かわうそ?をだっこして言った。姿を現したようだ。
|Д゚*) おお
「参拝客かしら?」
 ぱたぱたと、巫女服についた埃を払い、表に向かうと。
「あ、ああ、あああ、あ」
「発声練習かしら?」
 固まっている茜に、にこりと微笑む綾霞さんだった。

「お久しぶりです。綾霞様」
「お久しぶり、静香さん」
 と、にっこり笑う静香に、綾霞。
「お、お久しぶりです! 綾霞さん!」
 あわてふためく茜。
「ああ! い、いまお茶のよういを! あう!」
 と、急いで母屋に帰ろうとする茜だが、驚きのあまり、途中でこけた。
|Д゚) 驚いている
|Д゚) あややんひどいぞー 
|Д゚) アイドルを生け贄に捧げるなんて
 静香にだっこされているナマモノが抗議した。
「でも、命は助かっているから良いじゃない。かわうそ?」
 綾霞はにこにこ笑って小麦色をなでた。
|Д゚) 美人の役に立ったし
|Д゚) いいか
 全く現金である。


 そして、客間でお茶を出し、お茶請けのかわうそ?饅頭で綾霞と茜は落ち着いている。このごろのかわうそ?饅頭故に中に何が入っているのか分からないロシアンルーレットなものだ。
「あの、年度末なのに何故来られたのです?」
「ああ、退屈だったからよ」
「は、はあ」
 さすがに緊張している茜。
「退屈の時は茜ちゃんの所に来るのが一番ね」
 と、綾霞はさらりと言う。
「で、このごろどうなの?」
 と、綾霞が聞いた。
「え? 何のことですか?」
「もう、わかってるんじゃない?」
 にこりと笑う綾霞。
 ソレではっと気づいて、赤くなる茜。
 そう、茜は、綾霞の子供とつきあっているのだ。遊びに来るという理由、そして二人知り合いという背景はそれにある。両家公認すばらしきかな、と。
「えっと、近頃、遊んでくれないんです。一つも一人です」
「あら、困ったわねぇ」
 しょぼくれた茜に綾霞はため息をつく。
「テーマパークに行きたいし! 一緒にご飯も食べたい! よしちゃん達は甘いひとときを満喫しているのにわたしは!?事ってかんじ!?で……。それはまぁ……忙しいから我慢して居るんだけど……」
 叫ぶだけ叫んで、又、しょぼくれる茜。
「忙しいと言うより、逃げ回っているのかしらね」
 綾霞がぽつりという。
「ええ? ええ!?」
 当然その言葉道理に受け止めれば驚く。
「ちがうわよ。私と同じように雲隠れが上手いのよ。まだまだ私にはかなわないけどね」
 苦笑する綾霞。
「だからね、主導権をあっちに渡したらだめ。自分で手綱をしっかり持って居なきゃだめよ?」
 と、ウィンクする。


 さて、かわうそ?は庭に立っている側近達に術を教えている。何故そんなことをしているのかは所詮小麦色の気まぐれなのだ。やはり側近も興味深いので教わった。簡単な小魔術である。手品とか掃除に役立つ細かいことだ。
「あの子、私の仕事場でのんびり紅茶を飲んでいたのよ」
「まあ、かわうそ?ですから」
「そうね。おかげで助かったし」
 くすくす笑う二人。
|Д゚) ?
|Д゚) あ、そうだそうだ
 小麦色はどこからともなくアルバムを取り出し、綾霞にソレを渡した。
「?」
 綾霞は首をかしげる。
|Д゚) 去年から今年にかけてのネタ
「あらぁ」
 ぱらりとめくる綾霞。
「かわうそ? またそんなものを!」
 綾霞はほほえましい笑みを浮かべるが、茜は真っ赤になってかわうそ?を怒鳴った。
 つまり、茜の成長記録写真やら秘密写真が収まっているのだ。一緒に花火に行ったとか、クリスマスとか、数少ないデートとか色々。相変わらずハリセン巫女としての瞬間的写真もあり……。
 綾霞は捜索隊が来るまで、かわうそ?と茜をからかい、時にはアドバイスして楽しい時を過ごした。茜も綾霞のドジなところをかわうそ?から聞きているためか、反撃する。しかし年の差にはかなわない。ごく普通の女の子のような会話を楽しんだ二人だった。

「あーたのしかったわぁ」
 リムジンに乗って一息つく。
「倍に増えておりますのでお覚悟を」
「わかっているわ。さっくりやってしまいましょう」
 と、上機嫌の宮小路綾霞は帰っていった。


 長谷神社に残ったのは綾霞が乗ってきた軽。
「で、これってプレゼントなのかな? 可愛くて良いなぁ」
|Д゚) たぶん
「んじゃ、かわうそ? ドライブ行こうか?」
|Д゚) なに!?
|Д゚) 免許有るの?
「取ったばっかりだけどあるよ?」
 と、免許を見せる茜。
|Д゚) おどろいたー!
「そうですよ? かわうそ?さま 時間はあったので」
「静香も行こう。景色が良いところに!」
「はい」
 |Д゚) おっしゃー!
 と、結局上機嫌な茜さんでした。


■登場人物
【2335 宮小路・綾霞 43 女 財閥副総帥(陰陽師一族宗家当主)/主婦】

【NPC 長谷・茜 18 女 神聖都学園高等部・巫女(長谷家後継者)】
【NPC 静香 ? 女 精霊】
【NPC かわうそ? ? ? かわうそ?】

名前だけ
 織田義明、エルハンド(愉快な仲間達と位置づけ)

■|Д゚) ←かわうそ通信
|Д゚)ノ うぃー
|Д゚) まったりお茶会。庶民的
|Д゚) あややんさぷらいずどあかねん
|Д゚) これから、ドライブ
|Д゚) たぶん、茜、本当はドライブしたい人……(すぱこーん)

|ДT)ノ でわまたー♪

滝照直樹著
20060320