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母、来襲。
■□オープニング
「平和って素晴らしいわねぇ」
その日、古書店【天幻堂】のアルバイト店員 刑部・きつね(おさかべ・きつね)は、客のいない店で暇をもてあまし――もとい、平穏な時間を満喫していた。
そこで、店外に設置してある呼び鈴が鳴った。
何用かと外へ出向いてみると、自転車に乗った郵便配達員がほほえんでいる。
日ごろ郵便物とは縁のない店だ。
郵便受けがないので、直々にきつねを呼び出したらしい。
「珍しいね。あんたんところにハガキが届いてるよ」
「……ハガキ?」
怪訝に思いながらそれを受け取る。
郵便配達員に礼を言うと、そのまま店の中へ戻った。
定位置のレジまで戻り、手元のハガキに視線を落とす。
宣伝目的のダイレクトメールなどではない。
何のへんてつもない郵便ハガキだ。
表にはほっそりとした黒のボールペン字で、短い文章がつづられていた。
――――――――――――――――――――――
きつねさんへ
大学のお勉強ははかどっていますか。
久々にあなたの顔を見たいと思いましたので、
今度の日曜日にそちらへ参ります。
母より
――――――――――――――――――――――
「母が来る……!?」
母親とは大学に通うために上京していらい、もう何年も連絡を取っていない。
慌ててハガキを裏返す。
消印はつい数日前の日付になっていた。となると、母親が現れるのは今週末である明日ということになる。
古書店【天幻堂】は来店する客を選ぶ。
不適当な客の前には店へ至る道が現れないのだが、店主にとって身内とも呼べるきつねの母親となれば、その道は自然、開かれてしまうだろう。
「いっそ荷物をまとめて旅に出るとか……いやいやいや。あのひとのことだから、どこへ逃げても追いかけてくるに決まっている!」
母親を嫌っているわけではない。
ただ、苦手なのだ。できれば顔をあわさずにお帰り願いたい。
きつねはハガキを放り投げると、代わりに広告と油性ペンを手に取った。
『緊急!魔女撃退要員ボシュウ。
悪辣魔女を古書店から遠ざけよう!
その他・御用レジ店員話掛。』
■□ 証言1:貼り紙の信憑性……? ゼロでしょう。
張り紙が掲示された土曜日。
【天幻堂】の前に、二人の女性が立ちつくしていた。
きつねとはもはや顔なじみの二人、シュライン・エマと綾和泉・汐耶(あやいずみ・せきや)だ。
「……うわー。胡散臭い……」
「『悪辣魔女』……。きつねさんの字ですし、額面通りに受け取れないんですよね」
以前からのきつねの行動パターンを知っているだけに、今回の依頼内容も鵜呑みにするのは危険と感じ取ったのだろう。
入り口のガラス越しに店内を覗いてみる。
張り紙を貼った当のきつねはレジ前におらず、代わりに店主の飼い猫・歌留太(かるた)が転がっているだけだ。
どこかでサボっているのか、はたまた明日の迎撃準備をしているのか。
いずれにしても、この店では店員の姿が見えないことは日常茶飯事。いつもの風景である。
「おおかた、世間一般の悪人ではなくて、刑部さんの都合の悪い方に違いないわ」
シュラインは早くも明日の算段を考え始めたようだ。
汐耶に軽く挨拶をすると、そのまま帰途へと向かってしまった。
残された汐耶はしばらくその姿を見送った後、
「珍しく連休が入ったので、明日は本を買ってのんびり読もうかと思っていたんですが……」
とりあえず、詳細は明日の朝聞くことにしよう。
そう結論づけ、今は本を探すために店の扉をくぐった。
そして運命の日曜日。
「ふっふっふっ。皆、良くぞ集まった!」
張り紙をみて店を訪れた四名を見渡し、何を勘違いしているのかレジ前できつねがふんぞりかえっている。
「まっかせてください! 私、一人暮らしをしている友達によく同じようなことを頼まれるんです」
素直に返したのは千住・瞳子(せんじゅ・とうこ)だ。張り紙を見て純粋に手助けを申し出たという、何とも貴重でありがたい人物だ。
他の面々はきつねの態度について良く心得ているので、特にツッコミを入れずに見守っている。
「ぜひお二人の愉快な再会を拝見……いえ、『悪辣魔女』から刑部さんをお守りしなくては」
にっこりと人好きのする微笑みを浮かべて返したのは、瞳子の恋人である槻島・綾(つきしま・あや)。
きつねはそんな瞳子と綾の様子を見、満足そうに頷く。
「ではおまえたち! 張り切って魔女と戦ってくるがいい!」
大仰に腕を振りかざし、ポーズを取りつつビシッと店の入り口を指さす。
気分は戦隊ものの悪の女幹部のつもりらしい。
「きつねさん。威張っている暇はないんじゃないですか」
冷ややかにツッコミを入れたのは、昨日のうちに張り紙を見ていた汐耶だ。結局、休日の時間を割いて手伝いに来ていた。きつねの母親には少し興味がある。
「さっそく、その『悪辣魔女』について教えてもらえるかしら」
シュラインは詳細を聞いた後、すぐにでも行動に移す気のようだ。
二人のツッコミに毒気を抜かれたきつねは、指令ポーズをやめてレジ机の上に腰をおろす。
「ちょっとくらい、ノってくれたって良いじゃん」
唇をとがらして拗ねながらも、きつねは渋々皆に説明をはじめた。
「『魔女』っていうのは、私の母親で――」
■□ 証言2:あの部屋の湿気は尋常じゃありません。
説明を終え、シュラインと汐耶を送り出したきつねは、満足そうに店の前に仁王立ちしていた。
「さ。アタシは夜逃げの準備でも……」
とつぶやき、まだ傍に瞳子が立っていたことに気づく。
どうやら先ほどから聞きたいことがあったらしい。
「きつねさん。どうしてお母さんに会いたくないんです? もしかして日頃の生活態度が悪……」
とそこできつねに睨まれ、ごほっと咳をつく。
「えーと、お部屋の掃除とかできてます? 念のためお掃除しておいた方が……。私手伝います! 大丈夫です。二人でやれば、シュラインさんや汐耶さんが戻ってくるまでに綺麗になりますから!」
瞳子はうん、と頷き、腕まくりをすると、店の奥のきつねの部屋へ向かう。
「あ! ちょっと待ちなさい! 何ひとりで納得してるかなアンタは!」
きつねはというと、研究書が無造作に積み上げられた部屋に手を入れられてはたまらないと追いかける。
「私は『魔女を撃退してこい』って言ってんのよ! って、コラ! ハタキなんて持ち出して何しようってのよ!」
ギャー、という悲鳴が聞こえたのはその後のことで、すぐに瞳子が何やらフォローを入れているらしい声が聞こえてくる。
一方、綾は店内で書架を眺めながら、その喧噪を何の気なしに聞き流していた。
職業柄、古書店へ来たからには店内を一巡りしなければ気が済まない。
「あ、この本ずっと探していたんです」
「凄い! これも希少な本じゃないですか〜!」
「絶版になっているこの本まで……!」
以前から探し続けていた本を見つけ、アレもコレもと手に取る。
気づけば抱えるほどの本がレジに積まれていた。
綾は本に書かれている値段を見、合計金額をレジにまとめて置いておく。
念のため、傍であくびをしていた猫の歌留太に「お金、置いておくね」と声をかけたが、歌留太はわかっているのかいないのか、ニャーと返して丸まってしまった。
アルバイト店員であるきつねがいる場合は彼女に渡すのだが、彼女は瞳子と格闘しているらしい。奥からドスン、バタンと、景気の良い音が聞こえ続けている。
「ふぅ。満足したところで、そろそろ……」
と、振り返った視線の先に、いつのまにか憮然としたきつねの顔があった。
その右手には、猫のように襟首を捕まえられた瞳子がいる。彼女は何やら楽しそうに笑いながら、ひらひらと手を振っていた。
心なしか、二人ともボロボロに見えるのは綾の気のせいだろうか。
「アンタたち……。いいから早く行ってきなさーい!」
わなわなと拳を振り上げたきつねを見、瞳子と綾は慌てて店を飛び出した。
綾は店の前に止めていた車に乗り込む間際、店先の張り紙をはぎ取り、ジャケットのポケットにしまう。
「この張り紙を、母君に見られてはまずいでしょう……」
「せっかく部屋を綺麗にしようと思ってたのにな」と、ぼやく瞳子を傍らに乗せ、綾は『悪辣魔女』を探しに向かうべくハンドルを握った。
■□ 証言3:油揚げが好きらしいですよ?
きつねが語った『悪辣魔女』の情報を得たシュラインと汐耶の二人は、店の結界が届かない範囲で張り込みをしていた。
とりあえず、≪『魔女』を【天幻堂】へ到着させない≫、というきつねの意向は叶える方向で一致。
彼女の母親を発見しだい、きつねの言づてを装って時間稼ぎをしようという寸法だ。
「どんな方かはわかりませんけど、無理にお母様を【天幻堂】に連れて行って、きつねさんが強制送還、なんてことになってしまったら後味悪いですしね」
周囲をゆくひとの姿に目を配りながら、汐耶がぼやく。
とはいえ、母が娘の元を訪れるのは自然なこと。
きつねは家族の元へろくに連絡を取っていないというし、彼女が一方的に遠ざけたいだけで、母親は本気で心配をしている可能性もある。
さすがにその思いを無下にするのも気が引ける。ならば、≪【天幻堂】でない場所で二人を再会させる≫までだ。
「喫茶店にでもお母様をお連れして、刑部さんと引き合わせるっていう筋書きでどうかしら。それならどちらの要望も満たせるんじゃないかしらね……?」
店を出る前、シュラインはひとつ仕掛けをしていた。
「魔女に怪我をさせても問題ないか」という質問に対し、きつねは「必要があれば」と答えていたのだ。
彼女は「YES」とも「NO」とも言い切らず、さらに一瞬考え込むように返答が遅れていた。
「本当に魔女だったら、もっと別の言いようがあるでしょう。きっときつねさんが苦手なだけで、普通のお母様に違いないわ」
それにしても、と、シュラインは手元のメモを見やる。
きつねの語った『悪辣魔女』の特徴をまとめたものだ。
和服。横長い目。背が高い。黒髪。毒吐き。油揚げが好物。
「……なんですか、この油揚げって」
「読んで字のごとく……ってことだと思うけど」
もしこのまま見つからなかったら、本当に油揚げを買ってみようかと思いながらシュラインが答える。
と、その時だ。
汐耶がくいとシュラインの袖を引っ張って視線で示す。
着物姿の女性が、二人の方へ近づいてきていた。
視線がぶつかったことに気づくと恥ずかしそうに微笑み、軽く頭を下げて歩み寄る。
「突然お声をかけて申し訳ありません。わたくし、古書店【天幻堂】というお店を探しているのですが、ここからどう行けば良いのかご存じないでしょうか……?」
ふたりは顔を見合わせた。
「刑部・きつねさんの、お母様……ですか?」
汐耶が確かめるように問いかける。
女性は驚いたように汐耶を見つめると、
「はい。刑部・きつねの母でございます」
と礼儀正しく頭をさげた。
シュラインがそれに応え、名を名乗る。
「初めまして。私はシュライン・エマで、こちらは綾和泉・汐耶と申します。私たち二人、お嬢さんに言づてを頼まれてこうしてお母様を探していたんです」
「ではあなたたち、きつねのお友達の……?」
「はい。きつねさんは自分が働いている姿を見られるのが恥ずかしいから、できれば外の喫茶店で会いたいと言っていました」
内容は事前に打ち合わせてある。シュラインに続き、汐耶が口裏を合わせた。
「まぁ。じゃあわたくしは運が良いわ。期せずしてあなたたちに出会えたんですもの」
『魔女』は二人の言葉を信じて疑わないようだ。
これできつねに会えるとばかりに、嬉しそうに微笑んでいる。
(きつねさんが苦手と言うくらいだから、どんな常識はずれなお母様かと思ったけれど……)
汐耶が目配せし、シュラインが頷く。
「さて……。じゃあ、あとは刑部さんを連れてくるだけ、ね」
シュラインは携帯電話を取り出すと、【天幻堂】へ電話をかけた。
■□ エンディング
シュラインと汐耶の『魔女発見』の連絡に瞳子と綾が呼び寄せられ、一同はそろって都内の喫茶店に来ていた。
「きつねさんの為に、わざわざ手をわずらわせてしまってごめんなさいね」
事情はすでにほとんど説明をしておいた。
『悪辣魔女』――もとい、きつねの母親である刑部・媛(おさかべ・ひめ)と名乗った女性は、申し訳なさそうに頭をさげる。
藤色の訪問着を品良く着こなしている様は、二十代の娘を持つ母親とは思えない若々しい容貌の持ち主だ。
同じ血が通っている証だろう。その背の高さや切れ長の目鼻立ちには、どことなくきつねを思わせる面影がある。
ちなみに、容赦のない毒の吐き具合も母娘そろって変わらないらしい。
「どこをどう間違って育ててしまったのか、わたくしと違って常識も気品も教養も経済力も、何もかも持たないダメダメな娘に育ってしまって……」
「確かに、少し困ったひとだなと思うところもありますけど、迷子になった飼い猫を探すような一面もちゃんとありますよ」
情けないわと嘆く媛を見て、汐耶が苦笑しながらフォローを入れる。
「そうですよ。きつねさんはとっても楽しい方です。お店に来ちゃダメっていうのは、きっとお母様にお部屋を見せるのが恥ずかしいんですよ!」
その横から、昼間彼女の部屋を壊滅状態にさせた瞳子もフォローを重ねる。
「あ、来ましたよ」
女性陣のやりとりを微笑みながら見ていた綾が、店の入り口からやってきたきつねとシュラインの姿を認める。
手を振った綾の傍に母親がいることに気づき、きつねは回れ右をして逃げようとした。 が、後方に立っていたシュラインがそれをさせない。
綾が立ち上がり、シュラインときつねに席を勧める。
「いけませんよ刑部さん。娘を想う母の心を邪険にするのは感心しません」
きつねは汐耶とシュラインに挟まれるようにして、母親と対面することになった。
憮然と顔を背ける娘をまじまじと見つめ、媛は嘆息しながら呟く。
「きつねさん、相変わらず冴えない格好をしているのねえ。とても良く似合っているわ」 これから感動的な母娘の会話が……と思っていた四人は、思わず「ん?」と首をかしげた。
きつねはそんな四人に構わずに返す。
「ウツクシイお母様の遺伝子を受け継いでいますからね。どんな格好でも素晴らしく似合うようにできてるんです」
「食事はどうしているの? 不摂生してるんじゃないでしょうね」
「心配には及びません。自炊くらいちゃんとできています」
「スーパーの野菜なんて高価なものはダメよ。あなたはただでさえ浪費癖があるんだから、野草を取ることを覚えないと。どうせなたの部屋は本ばかりなんでしょう? 湿気が多そうだから、そのままキノコでも栽培したらどうなの」
何やら会話内容がおかしい。
四人は段々と、この二人の会話のノリを理解し始めた。
きつねはいつものように皮肉で応戦するが、娘の言うことなど当の媛は全く聞いていないようだ。娘が噛みつく暇を与えずにサクリサクリと話を続けていく。
むきになって返すきつねに、媛が二倍の毒舌で畳みかける。
「『悪辣魔女』というより」
「『辛辣魔女』……?」
いぶかるシュラインと汐耶。
その時、綾の携帯から着信音が鳴り響いた。どうやらマナーモードにし忘れていたらしい。
「ああ、すいません。ちょっと失礼します」
立ち上がり、ジャケットのポケットから携帯を取り出した時だ。
カサリ、と、しまい込んでいた紙がテーブルの上に落ちた。
皆、最初それが何かわからなかった。
媛が気づき、その紙を手に取る。
すぐに綾が失態に気づき、「あっ」と声を上げた。
その声に気づき、きつねもやっとその紙が何か思い当たったらしい。
だが時すでに遅し。媛は紙面に視線を落としていた。
もちろん、そこに書いてある内容はこうだ。
『緊急!魔女撃退要員ボシュウ。
悪辣魔女を古書店から遠ざけよう!
その他・御用レジ店員話掛。』
それは綾が店を出るときに、店先からはがしてきた貼り紙だった。
「きつねさん……。あなた、まだわたくしのことを魔女などと……」
きつねは顔を真っ青にして立ち上がる。
「槻島ーーーー! 覚えてろーーーーー!!!!」
叫び声とともに、きつねはテーブルの上を踏み越えて店の出口へ走った。
「テーブルを土足で踏み越えるなんて……!」
汐耶がその行動を咎めようとした時だ。
「お待ちなさい!」
媛が着物の裾をたくし上げ、同じくテーブルを踏み越えて追いかける。
貴婦人にあるまじき行為だと思ったが、それを指摘する間もなく二人は店を飛び出していってしまった。
店のガラス越しに外の様子をうかがうも、出て行った二人の姿はすでに見えない。
「お二人とも、足が速いですね……」
瞳子は驚き半分、感心半分といったように呟く。
「……なんて母娘……」
「あとで刑部さんにも謝りに来させないとね」
呆れてものも言えずにいる汐耶をよそに、シュラインは店の人間に頭を下げて対処をすませていた。
「あ、すいません。コーヒー一杯お願いします」
携帯電話での用事はすでに終わったらしい。母娘の応酬などどこ吹く風で、綾がウェイトレスを呼び止める。
「……すいません。私はアイスコーヒーで」
奥の席に座っていた汐耶が、疲れたように片手をあげる。
「私も一杯いただこうかしら」
シュラインも続いてオーダーする。
この後のきつねのフォローも考えてはみたが、あの母娘のことだ。シュラインたちがどう画策しようと、いずれ同じ目にあうことは必至だろう。
「じゃあ、私はデザートを頼んでも良いですか?」
皆が何か注文をしはじめたとあって、瞳子がメニューを取り出してアイスを食べるかケーキを食べるか悩み始める。
「あ、でも。お茶代って割り勘ですよね……?」
はたと気づいて顔を上げた瞳子に、汐耶とシュラインがにっこりと微笑む。
「お茶代の領収書は、成功報酬としてきつねさん宛てできっておきますから」
「皆、遠慮なくごちそうになりましょう」
依頼通り、≪『魔女』を「古書店から」遠ざけた≫ことに間違いはない。
これくらいの報酬で済むのだから安いものだ。
「そうだ。皆さん、この後時間があるようでしたら、桜でも見に行きませんか? ドライブがてら見られる、桜の名所があるんですよ」
綾の提案に、瞳子がぱっと顔を輝かせる。
「そういえば。ちょうど今日あたりが満開なんですよね」
「良いですね。せっかくの日曜、このまま帰るなんてもったいないですし」
家に帰って本でも読もうかと思っていた汐耶が、やれやれと微笑む。
「じゃ、決まりね」
注文伝票を手にシュラインがウィンクする。
それは、桜の咲き誇る穏やかな日曜の出来事であった。
後日、媛は一週間に渡り古書店【天幻堂】に滞在し、きつねの更正に努めたという。
その間、きつねが地獄を見たのは言うまでもない。
Successful mission...?
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧)
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【0086/シュライン・エマ/女/26/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
【5242/千住・瞳子/女/21/大学生】
【1449/綾和泉・汐耶/女/23/都立図書館司書】
【2226/槻島・綾/男/27/エッセイスト】
※発注申込順
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■ ライター通信
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長らくご無沙汰をしておりました。
初めましての方も、お馴染みの方もこんにちは。
このたびは「母、来襲。」へのご参加、誠にありがとうございました。
ご参加くださった皆様に、少しでも楽しんでいただける内容に仕上がっていれば幸いです。
>槻島・綾さま
先日のPCノベルに続き、再度のお声掛け誠にありがとうございます。
いただいたプレイングがギャグ寄りだったので、前回のご依頼とのギャップに笑いが止まりませんでした。
魔女のお花見案内ができなかったぶん、終わりをこのようにまとめさせていただきました。
その他だいぶ遊ばせていただきましたが、仕上がりはいかがでしたでしょうか……?
また機会がありましたら、ぜひお気軽に古書店【天幻堂】へお立ち寄りください。
それでは、ご縁がありましたらまたお会いしましょう。
今宵も、貴方の傍に素敵な闇が訪れますように。
西荻悠 拝
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