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<東京怪談・PCゲームノベル>


商物「影法師」

「あのおじちゃん、影がな〜い!」
その指摘は入れ歯愛用の老人が、孫に口臭を指摘された驚愕に等しい鋭さで藤井雄一郎を襲った。
「お……俺?!」
思わず左右を見回すが、周囲を固めるのは縦に長い南国のグリーンばかりで、幼い指がビシリと指差す対象は雄一郎に相違ない。
 連れである母親がすかさず「コレ、お止しなさいッ」と、短く鋭く的確に子供を連れ去るが、その間も少年はしつこく雄一郎を指差し、凝視したまま遠ざかっていく。
「だってあのおじちゃん、影ないんだもん〜ッ」
彼は己の偉大なる発見を声高に主張しながら、引きずられて街角に消えた。
「……影?」
先の動揺はなんだったんだという切り替えの速さで、全く子供は突拍子もない事を言い出す、と雄一郎は大人の余裕に微笑んで、そして何気なく壁に目をやりビクリと肩を跳ねさせた。
 影が、ない。
 日中、高い位置にある陽に影は足下に蟠るものだが、影になる植物の為に配したライトが背丈程もある緑を壁に映すというのに……その中央に位置する雄一郎の影のみがない。
 否、手にした琺瑯の如雨露はしっかりと、宙に浮く形で刻まれているのに、子供の指摘は正しく、そしてその観察眼は将来大成するだろうという確信と感心を雄一郎にもたらした。
「いや違う!」
そんな思考に逃避している場合ではない。
 正気に返った雄一郎はおろおろと如雨露を手に右往左往し、次にエプロンを脱ぎかけてはっと手を止め、慌てて店内に飛び込もうとしてバケツに片足を突っ込んで転け。
 こけつまろびつ、店の奥に繋がる住居スペースに辿り着くと、仕事中は妻に使用禁止を厳命されている携帯を充電器から取り、己が身に起った重大事態を娘に告げようと電話をかける。
「……いやッ、あの娘らに心配をかけてはならない!」
が、1コールではったと思いとどまり、ぶちりと回線を切った。
 雄一郎が影を失くしたなどと、世間に知れれば家族がどんな憂き目に遭うか知れない。影のない花屋と噂されて客足は遠のき、影のない男の妻よ娘よと後ろ指を指され、満足な縁談も来ず……。
 暗く苦悩に満ちた表情で頭を抱えた雄一郎だが、其処まで思い及んでポンと明るく手を打った。
「それならそれで可愛い娘達がずっと家に居てくれるというコトじゃぁないか!」
願ったり叶ったりだと小躍りする雄一郎の手の中で、携帯が着信を伝えて『娘よ』を熱唱する。
 家を出た娘達からの電話は、固定電話にかかって来るのが主、雄一郎の携帯に直接などと珍しい自体に更に浮き足立って回線を繋ぐ。
「ハイ、お父さんだよ! 大丈夫、工事現場の作業員になっても、肝臓を切り売りしても、お父さんはお前達に絶対不自由はさせないからね!」
1コールで切れた身内からの電話、案じてかけ直して来た娘に対して突拍子もない決意を披露する……雄一郎が我が子に叱責を受け、慌てて店を飛び出すのは、その五分後の事である。


 馴染みのアンティークショップにも、ましてや興信所にも影があろう筈もなく。
 見つけなければ絶交宣言を食らっていた雄一郎は、半分以上泣きながら娘に謝罪の電話を入れた折に、紹介された店を訪れていた。
「はぁ……、まぁ……」
事情の説明を受けた、店主……と思しき相手は、何とも表現のしようのない表情を浮かべた。
 右の眉が上がるのに反して左の口の端は下がり、銜えた煙管の先がふるふると小刻みに震えて、立ち上る紫煙もまた揺れる。
「影を無くしたので、新しいのを誂えたい、と……」
奇妙な表情のままだが、確かにこちらの意を得た返答にそうだと頷けば、店主は上体の体重を支えていた肘を身体の下に敷くようにしてその場に突っ伏した。
 謎の反応を訝しむ、間に店主の肩が震えて、両足がバタバタと畳を打った。
「それは……、それは随分とうっかりな……ッ」
ひきつったような息が苦しげに吐き出されるのは、どうやら笑い転げているらしいと、事態に窮して頼りにして来た者に対してあまりに思い遣りに欠く。
 雄一郎は思わず腕を組んで唸る。心無い店主はともかくとしても、そんなにも珍しく、しかも笑いを誘う事態なのだろうか、と悩めど何分、影を無くしたのも初めてであれば、類似する話を聞いた事もない。
 黙り込んだ雄一郎に、店主は起きあがって胡座をかいた。
「あぁ、こいつぁ失礼を。いやはや、最近は影を無くしたなど聞いた試しがなかったモンで……しかもうっかり……」
客の顔を見てぷっ、と吹き出す店主に、さしもの雄一郎も不機嫌になる。
「他を当たってもいいんだぞ」
心当たりはないけれど。出来るだけ尊大に告げる雄一郎を、店主が両手で宥めるように制す。
「それは確かにお困りでしょうとも。よございます、お出ししましょう。楽しませて……いやさ、笑ってしまったお詫びに勉強させても貰いましょ」
言いながら立ち上がり、奥から引き出してきたのは行李。
「まぁ昔から。影の病というだけあって浮かれて一人歩きする影は結構いるモンで……ホラ、これなんか如何で。ドイツの文豪の若い頃のモノでさ」
行李の中に両手を入れ、掬うように……衣のような、影を引き出す。
「西洋のが肌に合わないってぇなら、明治の作家先生のもありますよ。あぁ、勿論歴史に残る有名所じゃなくともホラ、コレなんかはフランス料理が得意でね。フル・コースなぞお茶の子さいさいでさ」
畳の上に広げる仕草に、遮るものは何もないというのに突如として影が生じる不思議に眩暈がする。
「m単位でお分けしておりますよ、値もそれぞれで御座いますが……どれになさいます?」
そう問われても、何をどう選べば良いのか皆目見当がつかない。
 床に落ちる影に指先で触れれば、ペトリと貼り付く感触で肌に貼り付いて、慌てて手を振って引き剥がす。
「それはアレですね。床に就いたら三秒で眠れる特技のある影で」
確かに多種多様、あるらしい。悩む雄一郎をを急かすように、古びた柱時計が二つ打つ。
「おや、悩んでる暇はありそにない。もしお客様がご自分の影に愛着がおありなら今日の陽が、暮れる前に見つけ出さないとちと難儀がありますよ……影は生まれてから絶えず添うモノ、魂の半身。まぁこのまま他人の影をひっつけて、歩く人生というのもオツかも知れませんがねェ」
他愛の良い言にそんなワケに行かないと慌てれば、店主は丸い煙をぷかりと吐いてにこにこ笑う。
「よろしければアドヴァイス致しましょうか。こちらはサービス、お代は無用。そうですねぇ……もしほんの少しでも想う方がいらっしゃるのならば。その方の元に行ってみるのがよろしいかと」
「想う相手」
言われて脳裏に閃くのは女性の姿。
「それは当然む」
すめ達、と続けようとした雄一郎の思考を、ハリセンの残像が一閃して打ち砕く。
「じゃなかった、せりなだろうか。朝も昼御飯も店で一緒だったしな」
思わず浮いた冷や汗を手で拭う、雄一郎の様子を店主は変わらずにこにこと見守る。
「おや、奥方で。近しい方であればついうっかりというのも……ごほん、あるでしょうかねぇ」
笑いを咳で誤魔化した店主に、ウチの影は上手に使えば助けになりましょうとも、とさり気なく商売っ気を向けられる。
 雄一郎は、足下に広がる幾つもの影。人の形をせず、水溜りのように思い思いの形で畳の上に蟠る、その内の一つにふと、目を止めた。
 他の影と何ら変わる所のない、色濃く地に落ちるそれが……何処か、せりなに似ていると、思えて触れると、先の影と違って布めいた感触で指先に貼り付く事はない。
「あぁ、そちらは。心の読める影ですねぇ」
何で見分けをつけているのか皆目検討が付かないが、断じる店主に目を向ける。
「この影を貰おうか。長さは……そう2m位」
「はいはい」
取り敢えず、の長さを告げると店主は軽く承諾して影を掬い上げ(しかし店主の手元には相変わらず何もない)、中空に鋏を入れた。
 サクリ、と軽い感触で、確かに何かを断つ音がした。


――今日の昼食はカレーうどん。夕食はカレーに納豆。明日はカレートーストにしよう。
影を踏んだ相手のそんな思考が流れ込んで来て、雄一郎は通り過ぎた相手に思わず小声でツッコミを入れた。
「お前はインド人か!」
勢いだけで覇気に欠く言は幸いにして相手の耳に届く事はなかったが、雄一郎はよろよろと斜めに道を過ぎって電柱に懐く。
 幾度めか知れぬ小休止は、道行く人の影を踏む度……若しくは、通行人の影が足にかかる都度、流れ込む意識に対処仕切れずに心の安定を無機物の影に求めた。
「せりなもこんな感じなのか……?」
他人の感情など、覗けて楽しいものではないとつくづく思い知る。
 妻に似ているという印象と、心が読めるという能力に有益だろうと求めた影だが、思い通りの情報を得られると思ったのは虫の良い話だったようだ。
 影を踏んだ相手の感情や強い思考のみを読むらしい。ただ流れ込む相手の感情に突然能力を得た雄一郎が馴染める筈もなく、相手の感情が去るまでを電柱毎に休憩を入れながら、ジグザグに道を進むに捜索は遅々として進まない。
 電柱と壁との間、額に腕を当ててだるまさんが転んだ状態で挟まる雄一郎を、人々が奇異を見る目で、あるいはつとめて目を合わせぬようにして行き過ぎていく。
 時悪しく、務め人の帰宅時間にかかっているようだ。
 それでも、どうにかせりながいつも行く店を回って、足取りは掴めている。
 目を血走らせた雄一郎が「妻は今日来ましたかッ?!」などと聞いて回って、果たしてどんな話題を商店街に提供しているかは想像に難くないが、本人はそれどころではない。
 いつも笑っていて、自分に話してくれない彼女の世界。望まずに他人の感情を見るという重みを、雄一郎は理解している……つもりだった。
 炎で感情を読むそれとは少々質を違えるが、実際に体感して初めて解る、彼女の辛さを想って雄一郎はくっと目頭を押さえた。
「なのに娘ばかりにかまけて、俺って奴ァ!」
微妙に江戸っ子の入った嘆きに涙を絞り、雄一郎は電柱に誓う。
「おぅ、俺ァここに改めて更にせりなを愛すると約束するぜ!」
片拳を握って天、というよりてっぺんを見上げて誓われても、電柱は困る。
 ひとしきり、一人遊びをして漸く気が済んだのか、雄一郎は電柱の影から足を踏み出した。
 日頃の興信所通いも馬鹿にならない。お買い得品巡りの際、店の留守を任される雄一郎にせりなのいつものルートを知る由はないが、ある程度確実と思われる順路をほぼ完璧に追えている自信があった。
 後は、買い物帰りに立ち寄るというお気に入りのケーキ店に寄れば追跡は完璧だ、と意気込む雄一郎だが、影を失うという事態に動揺してか、せりなを探すという目的がすり替っている事に気付いていない。
 通常で言えば、せりなはとっくに自宅に戻っている時刻である。
 極力、他人の影に触れぬよう、壁に背をつけてこそこそと道を進む雄一郎は、目的のケーキ店を視認し、鋭く左右に視線を走らせて目を合わせたくない通行人を無駄に怯えさせ、図らずも足を止めた。
 時は既に夕刻、茜の色彩に長く伸びた影は長く雄一郎の行く手を阻むが、飛び越えれば支障はないと判断する。
「行くぞッ!」
唐突に入れた気合いに、罪のない皆様が怯えもしきりに動けない、影と影との間を目掛けて雄一郎は跳躍した。
「ケン・ケン・パ……ッ!」
郷愁である。
 しかし「パ」の位置で不意に過ぎった影を避ける事が出来ず、雄一郎は思いきりその影を踏みしめた。
 途端、浮遊に似た感覚を伴って、雄一郎はその影に落ちた。
 足下に広がるのは影の形をした穴、一足毎に落ちていくような絶望ですらない虚無に呑まれ、流される。
 抗えぬ感覚に咄嗟天を見上げれば、何も見ていない女の眼が二つ、影と同じ色で其処に在るのみ……。
「……もし、もし! 大丈夫ですか、しっかりして下さいッ!」
必死の呼びかけに、雄一郎は、はっと我に返った。
「お、おぉッ?!」
がばっと身を起こした雄一郎に、声を掛けていた……目的のケーキ店の前で昏倒したのを見捨てておけなかったのであろう、店員と思しき制服を身に着けた女性が、コックコートを着た男性とほっと顔を見合わせる。
「もうすぐ救急車が着きますから安心して下さい。自分の名前は言えますか?」
甘いバニラを香らせて、菓子職人と思しき男の問いに、現状の認識について行けていない雄一郎はぼんやりと聞き流しながら、半ば反射で名を答える。
「はぁ、藤井と申します……」
「藤井?!」
口元に手をあてて、雄一郎の名に店員が驚きを示した。
「もしかして、藤井せりな様のご主人様ですか?」
配偶者の名を告げられて、雄一郎は勢い込んで彼女に迫った。
「そうだ、妻は! 妻は来ませんでしたか何処に行きましたかッ?!」
「え、お宅に……お帰りになられましたけれど」
雄一郎の迫力に、けれど怖じる事のない店員は存外に肝が据わっている……ついでにいえばまとめた黒髪にすっきりと縁取られた小さな顔立ちはかなり可愛い部類。
 しかし、今はそんな事に気を払っている余裕のない雄一郎は、いつものように(年頃の娘はうちの子に似てミンナ可愛いなと)目尻をやに下がらせる事もなく、勢い付けて立ち上がると、夕陽に向かって走り出した。
「せりなアぁー……ッ! 待ってろよううううぅ〜〜……」
遠ざかって行く雄一郎の叫びが、影のように長く伸びる。その余韻に、救急車のサイレンが重なって、夕刻を物悲しく彩っていた。


 パアァンッ!
 と、店の敷地に足を踏み入れた途端に小気味よい打擲が雄一郎の額に炸裂し、ハリセンの一撃で先手を制したせりなは、手にした得物にふ、と息を吹きかけてついてもいない埃を吹き飛ばす。
 全速力で走り込んできた勢いを、高い位置の一点で受け止められ、雄一郎は勢いよく尻餅を突いた。
「お帰りなさい?」
にっこりと、極上の笑みを浮かべるせりなにつられて、雄一郎も笑いを形作ろうとするが引きつるに止まる。
 その雄一郎の襟首を掴んで引き立たせ、せりなは至近に顔を寄せた。
「店を空けた、理由を聞きましょうか?」
夫婦で切り盛りする店で、両者が居なければ商いになろう筈がない。
 最もなせりなの怒りに、雄一郎は弁明はせず、否、声の出ぬ様子で、口をぱくぱくと開閉させて右手でせりなの、そして左手で自分の足下を指差した。
 誤魔化さないで、と本気で襟締めをかけそうになったせりなだが、視界の端に黒く動く物を捉えて目を向ける。
 夕刻の赤さに長い影……だが、それは光源である太陽を無視してするすると伸び、二つ並んで壁に長く伸び上がった。
 形を示すのは黒一色、シルエットのみの姿だが、せりなから伸びる影は確かに雄一郎の特長を有し、もう一方は細身ながら女性らしいラインを持つ。
「あ、どうも今日は一日お世話になりまして」
影に向かってひょこりと頭を下げる雄一郎に、襟首を掴むせりなの手に力が籠もった。
「……どちら様?」
「陰陽堂って店で買った影なんだが。いや、若い女性とは思わなかったな、ラ……ッ?!」
動脈を的確に攻めるせりなに、雄一郎は言葉を最後まで紡げないばかりか、脳に酸素が行き渡らずに昇天しかける。
 その間に、影達に変化が起った。
 雄一郎の影の手を引きながら女性の影はするりと横に移動して、一瞬の重なりの後に立ち位置を変えた。
 反省の色のない、というよりも妻の怒りの理由を判じられない鈍い夫を本気で締めかけていたせりなだが、一連の動きに気を取られて手が離れる。
 雄一郎の足下から伸びるのは、間違いなく彼の影。そしてそれは漸く、太陽を挟んで本人を介す、本来の位置に戻った。
 女性の影だけが、ぽつりと壁に佇んでいる。
「あなたは」
ただ影だけが其処にある、それはとても不安な、そして心細さを覚える光景だ。
 しかし影は、せりなに明るい動作で手を振ると、ひょいとしゃがんで壁際に幾つか、伏せて置かれた植木鉢の影の底をぺちぺちと叩く。
「そこに、何かあるの?」
 手が緩み、どうにか呼吸を取り戻した雄一郎は、咳き込みに涙ぐみながら、影に気を取られて動くせりなを止めようとした。
「ダメだせりな其処にはッ!」
制止は時遅く、せりなはかぱりと鉢を開く。
 鉢の形に丸い後の残る土の上、ぞんざいにビニールに包まれたチケットを取り出たせりなに、雄一郎が頭を抱える。
「映画の前売り券……?」
それもテレビのCMを見て、せりなが秘かに観たいと思っていた物だ。
 そして月の初めに、雄一郎が映画でも見に行かないのか、と変な事を聞いていたのを思い出す……入荷に追われてる真っ最中、母の日があるのに何を呑気な、とその時はまさしく一蹴したのだが。
 その時既に、雄一郎は前売り券を用意していたのだ。
「あなた、これは?」
ひらり、と二枚のチケットを振ってみせるせりなに、証拠を押さえられた雄一郎は尋問を受ける心持ちで目を逸らした。
「うちは花屋だから母の日はことのほか忙しいだろう。まともな母の日は子供達が家を出てからろくに出来ていないから、定休日にでも、と……思っていたんだが、其処に隠してそのまま忘れ……」
いつ何が怒りの琴線に触れる知れないという、怖れを滲ませてしどろもどろな雄一郎に、せりなは吐き出す息に肩を落とす。
 せりながけんもほろろに断ってしまったせいで、雄一郎が言い出せなくなってしまったのは想像に難くない。
「怒らないわよ、こんな事で」
大きな子供を前にしてせりなは苦笑し、それを笑みに変える。
「一枚は、当然あなたの分よね? 行きましょうか今度の定休日に」
せりなの申し出に、雄一郎は顔を輝かせて頷いた。
「今度の休みはせりなとデートだーッ!」
拳を天に突き上げて喜ぶ夫を、ご近所迷惑になるから、と妻はすかさず繰り出したハリセンに黙らせる。
 そして二人が気付いた時には、女性の影は何処かへ消え失せていた。

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【2072/藤井・雄一郎/男性/48歳/フラワーショップ店長】
【3332/藤井・せりな/女性/45歳/主婦】

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■         ライター通信          ■
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 最近は心を入れ替えて頑張っている(意味不明)闇に蠢く駄文書き、北斗玻璃に御座います。
 奥様と揃って初のご参加、真にありがとうございます!

 心を読む影、という思わぬチョイスにお主なかなかやるな! ひとしきりと唸らせて頂いた次第です。北斗の想像の外を行く、これぞシナリオの醍醐味、とぐふぐふ楽しみながら書かせて頂きました。まぁ結果、影がを失った動揺っぷりに、そこいら中走り回らせてしまい、叩かれまくってましたが……まぁ折角(?)花屋さんにとって殺人的な忙しさの五月なので、母の日をネタに絡めてみたりもし。良いデートになる事を祈っております。
 二人限定シナリオは北斗としては初の試み、多少なりとお楽しみ頂けていると幸せなのですが、かなり好き勝手に書かせて頂きましたので、お心に沿わない部分がありましたらご寛恕願いたい次第です……初めての方にはいつでもナイーヴなライター心(待て)、ですがイメージと違う等のご意見はどしどし頂きたいそんな微妙なお年ごろに御座います。

 それではまた、時が遇う事を祈りつつ。