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<東京怪談・PCゲームノベル>


[ 雪月花2.5 残るは唯一つの…… ]



 ――――それは。

 季節はもう冬へ移り変わる途中で、外に出れば肌に当たる風が冷たい頃。
「…… 」
 そっと目を伏せ心の中で大きく、言葉にする。そして小さく頷き顔を上げた。その目が見据えるのは、もう過去ではない。未来、そして遥か遠い地。彼女は彼らを追うと、そう決めた。
 自分を人形として扱っていた両親、そして親戚の為に人を憎み、恨み……その結果力を暴走させ引き起こしてしまった過去は、どんな事をしても消えやしない。けれど彼女は、今を精一杯生き、誰かの為に力になる事を決意した。その始めの一歩とし二人の旅人、洸と柾葵の手助けをしようと立ち上がる。
 そうと決めたとき、動物たちから彼らの行方は聞いていた。
「必ず追いつきますから」
 この先も、迷うことがあれば行く先々で動物たちに聞き、きっと追いつこう。そう考えていた。
 そうして彼女が歩みを始めてから数日後のこと。とある街のとある宿。その一室で彼は悩んでいた。一体何処へ置いたかとゆっくり思い返そうとするが、それで思い返せていたならばこんな苦労はしていない。
「……っ」
 考えすぎ、その内ぷっつりと何かが切れたのか、彼は勢い良く頭を掻いた。
 この旅の中、一つだけ常に肌身離さず持っている鞄がある。大きなものではなく、片手で持ててしまうような旅行鞄だが、中身はぎゅうぎゅうで色々なモノが詰まっていた。
 家から持ってきた物だとか、旅の途中で見つけた物だとか。形としては残っていない他の何かとか。ただ、その中の一つ一つはこの世にたった一つの宝物で、変わりなど決してない。それが、気づけば手放してしまっていた。
 宿を出ると外は生憎の曇り空。その空をぼんやりと仰ぎ見て。彼はゆっくり歩き出す。



    □□□



「ありがとう、助かりました…」
 礼を告げ手を振ると、一声「にゃぁ」と鳴き。ゆっくりと彼女に背を向けた。その後姿を見えなくなるまで見送り、今度は彼女が踵を返す。
 辿り着いたのは、辺りでは一際賑わった街。ようやく二人の足取りを完全に掴むまで、結局相当の日数が掛かってしまった。やはり場所が分かっていても、不規則な行動と進行ペースは予測できない。途中途中で動物たちの手を借りて、ようやく数時間前に二人を見たという野良猫から話を聞き別れたところだった。
「宿でも探すべきでしょうか……」
 もしこの街で一時休息というならば、恐らく宿を取っているだろう。考えながら彼女は意を決し、一定方向に流れ続ける人の波の中へと飛び込んでいった。
 日が沈むには早い時間だが、頭上には雲が増し、暗くなるのは早そうだ。早く見つけなければ、そう気だけが急き。当てにするはずの動物たちよりもこの雑踏の中、ただ二人の人物を探している。やがて歩みは早足へと変わる。流れる景色。すれ違う人。
「――…っ!?」
 不意に入り込んだ言葉に足を止める。動物の囁きが、耳へと入り込んだ。
 両脇を通り過ぎてゆく人の流れは止まらない。けれど、彼女はその場に足を止め、辺りを見渡した。
「この辺りに、……もしかして?」
 そうであれば良い。希望にも似た。けれど、切に思う気持ち。
 その時――彼女の後ろから来て横を過ぎ、前へと歩いていく人物。見上げるような身長、そして見覚えのある黒のロングコート。
「柾葵、さんっ!?」
 気づけばこんな雑踏の中、必死でその名を呼び。あっという間に過ぎ行こうとする彼のコート、その裾をかろうじて掴み取る。
「――――っ!? ……  、  ?」
 振り返った彼と同時、彼女には羽ばたく鳥たちの声が聞こえた。

『見つかって よかったね』



 街の中心部からは少し離れ、ベンチに二人腰掛ける。彼女の隣に座るのは、捜し求めていた柾葵で間違いない。
「見つかって良かったです。少し、お久しぶりですね」
 そう言い隣の柾葵を見ると、彼はコクリ頷きコートのポケットからメモ帳とペンを出す。
 この土地柄のせいもあるだろうが、今では柾葵のコート姿がしっくりくると思う頃だ。とは言え、あの雑踏の中を移動していたせいか、柾葵の額には薄っすらと汗が浮かんでいる。
 彼女を見つけたとき、彼は口を開き何か言いかけた。まるで言いかけて、言葉が出ないことを思い出したように、彼は口を閉じたのだ。
 そして今、ようやく此処まで溜め込んだ言葉を書き出したのか、柾葵はメモ用紙を彼女へと手渡す。
『又こうして神崎さんに出会うなんて思ってなかった。少し見ない内になんとなく雰囲気、変わったな。』
「そう、ですか? ……でも、そう思ってもらえてるのならば嬉しいかもしれません」
 思わぬ言葉に彼女――神崎美桜はメモを見ていた目を柾葵へと向ける。柾葵はそんな美桜を見て、やはりコクリと頷いた。
 精一杯自分で考え決意したことだ。それを彼だから――なのかもしれないが、言わずとも分かってもらえた事が美桜には少し嬉しかった。
「それに、そう思ってもらえなければ此処まで来た意味もないですし……」
 美桜の言葉に柾葵の表情が疑問の色を含んだ。
『此処まで来た意味って、偶然じゃないのか?』
「はい、お伝えしたいことも色々あって――」
 そう、美桜は此処まで来た経緯を伝えようと思ったのだが。
「ところで洸さんは一緒じゃないのですか?」
 ふと思った疑問を口にした。
「…… 、 !!」
 その瞬間、あからさまに柾葵の顔色が変わった。悪い方向へと。何かハッとしたような表情のまま、彼はメモ帳に勢いよく文字を書き、ベンチから立ち上がると同時に美桜へと渡す。
『悪い!俺探し物の途中だったんだ。』
「探し物? そうしたのですか?」
『俺の鞄、どっかに置き忘れたみたいで。悪い、行くわ。』
 その柾葵の言葉に、美桜は一つ引っかかる当たる点があった。
「待ってくださいっ――という事は、もしかして大切にしていたあのファイルが……」
「……っ …‥」
 美桜に背を向け既に走る体勢だった柾葵は、思わずそこで踏み止まり。まるで恐る恐るといった様子でゆっくりと美桜を振り返り見た。その表情は強張っているように見える。
「違い、ましたか?」
 思わず問い返せば、柾葵は複雑そうな表情で美桜からは目を逸らした。ただ、急く脚を止めメモ帳に何か書き示していく姿からは何かしら文字での反応がありそうだ。普段よりも少し長めに思えた文章を書き終えた彼は、ペリッと一枚破り美桜へと手渡す。
『良いんだ。あんな物は大事でもなんでもない。忘れてくれ。
 第一俺は忘れたくても内容が脳裏にこびり付いているから意味が無いんだ、今更どうなろうと。
 それより大事な物がある。それだけは・・絶対失くせないから。悪いな。』
 そして、彼女が読み終えたと思われた頃、柾葵は不意に又背を向けた。その背に声をかける。
「私もお手伝いします。いえ、させてください」
 答えは無い。ただ、柾葵の困惑の様子が美桜には良く分かった。だから。
「大丈夫です、皆も協力してくれますよ」
 そっと微笑を浮かべ、励ますように美桜は柾葵の前に回りその手をそっと取る。
 柾葵は美桜の両手に包まれた自分の手をジッと見つめ、やがてコクリ――『じゃあ宜しく頼む』と言わんばかりに頷いた。
「では……この状態のまま、鞄を思い描いてください」
 首を傾げる柾葵に、美桜は今回自らの能力を最大限に使い鞄を探し出すと告げる。
「柾葵さんが思い描いた映像を私が受け取り、動物さんや植物さん達にその映像を見せて、探すのを手伝ってもらおうと思うのです」
 思わず『便利、なんだな』と言う柾葵の言葉が流れ込んできた気がした。それと同時、柾葵が思い描く鞄の映像が美桜へと流れ込む。その鞄には確かに美桜も見覚えはある。
「……(――どうかっ…)」
 受け取った映像を、瞬時に近くの動植物たちへ飛ばし、語りかけた。「誰かこの鞄を見つけたら教えてください」と。一瞬柾葵が身震いしたのが、目を閉じていた美桜にも分かった。何か、感じたのだろう。
 そして、辺りの木々から鳥たちが一斉に飛び立ったのを見た。思いは届いた。後は、見つかれば。そう願った。
「っ――!?」
 しかし、次の瞬間美桜の見るもの全てが真っ白に飛ぶ。一瞬彼女には理解できなかったが。数秒後、ふらつき柾葵に支えられる自分に気づき、美桜はしっかりと意識を取り戻した。同時、微かな異変に気づく。それは掌を撫でるような感触。否、柾葵の指によりなぞられていた。そしてそれは文字を描く。柾葵が洸にそうしていたよう。
 実際自分がそうされてみると、解読は難しい。ゆっくりと読み取り、それが正しいか確認するよう美桜は声にした。
「『大丈 夫 か?』――ぇっと……あ…の大丈夫、です」
 そう美桜が言えば、柾葵はホッと一つ息を吐いた様に見える。
「『悪い な、俺のせいで』――そんな! そんなこと、無いですから」
 柾葵の為にと言う気持ちもある中、勿論自分の為にも頑張っていると言うのが美桜の中にはある。ただ、どちらも柾葵に謝られるようなことではなく、美桜はかぶりを振ると足を地に付け、彼の腕の中からそっと離れた。
「行きましょう……私たちも探さないと」
 そう言い、美桜は柾葵の前を歩き出す。動物たち、植物たちの声がする。『こっちの方は無いみたい』、『どこかで見た』、そう知らせてくる声がする。
 暫くそれらの声に耳を傾けては、美桜は鞄がありそうな場所の特定を進めていった。柾葵は美桜の後ろをゆっくりと歩いている。が、不意に美桜の横から手が伸びてきて、一枚のメモを差し出した。勿論それは柾葵の手で、柾葵の文字の書かれたメモ用紙だ。
 突然どうしたのかと思いながらも足を止め、メモの内容を見た。
『なぁ、おまえには変な質問になるかもしれない…。
 もし、もしもだ…兄貴が目の前で殺されたらどうする?
 それが突然で――相手は訳の判らない能力者だったら‥‥。
 そいつが、わざわざ自分の居場所を残して行ったら……。』
「――それは 柾葵さんの……」
 瞬時に美桜は察した。ただ、全てを口にすることは拒まれる。ただ美桜は、柾葵に自分なりの答えを告げた。
「…追うと思います、その相手を。前の私だったら絶望し、諦めて。けれど、他の人には自分に出来ないことを言っていた。『絶望して、諦めないで欲しい』なんて。でも私も――もう絶望することも、諦めることも止めたのです。だから追うと思います」
『じゃあ追ったとして…その先でそいつを殺してやろうとか…思わないか?』
 穏やかではない言葉の含まれたメモ。美桜は慎重に、けれど素直に答えた。
「正直分かりません…ね。そんなこと私には出来ない、そう思っていても、実際はもしかしたら――ありえるかもしれません。誰かを喪うというのは、そういうことですから」
 実際頭で納得していても、体はそうでないかもしれない。美桜はそう言った。
 その答えに対し、何か書こうとした柾葵と同時、美桜の頭上を鳥が飛ぶ。柾葵にはただの鳴き声にしか聞こえないそれも、美桜にはきちんと言葉として聞こえている。思わず小さく「――えっ!?」と漏らした後。彼女は彼を見て、鞄が見つかったことを告げた。



 鳥に案内されたのは、街外れの小さな店の前。辺りには協力していた犬や猫や野性小動物が群がり、辺りの木々がざわめいている。
 既に店は閉店時刻を迎えているのか、休業日なのか。シャッターが閉まった状態で、その店の前に鞄が一つ。
「一応確認してください」
 もしかしたら、移動された可能性もある。勿論、この場所にあったとしても中身が手付かずであったと言う可能性も低く無い。
 柾葵はしゃがみ、鞄のファスナーを引いた。
「――――」
 やがて、後ろに立つ美桜を振り返り小さく頷く。全ての物が手付かずのままそこにあったらしい。
 思わず「良かった…」と漏れる美桜の声。頷き鞄を持つと、柾葵は美桜の両手を取りそっと握り締め、その両手から――『ありがとな』、そう…伝わってきた気がした。その言葉にも後押しされたのだと思う。此処に来る前から考えていたその言葉を今、美桜は彼へと向ける。
「柾葵さん、私……私にも、犯人を捜す手伝いをさせてほしいのです。その為に、此処まで来たのですから」
 その言葉に、彼の表情から笑みが消えた。美桜の手から体温が離れ、柾葵の大きな手が離れていったことに気づく。その手が代わりに持ったものはメモ帳とペン。そして、それを何時ものように美桜へと手渡してきた。
『俺は巻き込むつもりは無い そう言った筈だ。だからコレで終わりだ。又、コレでお別れだろ?』
「私が望んでることです。今だってそう、私が望んだのです。巻き込まれたとかそういうものでもないし、後悔なんてしません。此処で引いたほうが、後悔してしまいますから」
『これから冬が来て旅も、歩くことも辛くなる。俺達は神崎さんのペースに合わせる事は出来ない。』
「お荷物にはなりません」
 それでは少しでも二人を支えたいと言う想いを叶えるどころか、ただの邪魔者になってしまうから。
 柾葵からの答えは無かった。ただ、一枚のメモが美桜へと渡される。
『一つ約束してくれ。俺の目的だとか過去だとか、全部洸には黙ってるって。あいつには何も・・教えてないんだ。
 あいつにとって俺はただふらふらしてる学生でしかない。』


 それが、彼から与えられた答え。
 美桜は大きく頷いた。




    □□□



 以前もこんな再会だった。初めは柾葵と美桜が出会い、後に二人で洸を見つけて。
「まさ、か……神崎さん?」
 だからなのか、もう彼は彼女が誰であるか問うことは無かった。
「はい。お久しぶりです、洸さん」
 そうして、美桜が柾葵と共に宿へと着いたのは、すっかり陽の落ちた頃。
「又偶然ですか?」
 洸の声は思いの外素っ気無いものだった。否、いまいち反応し切れていないだけなのかもしれないが。そんな洸の手を取り、柾葵は散々躊躇っていた話を洸へと向け始めた。
「ん、何? 『彼女が一緒に来たいって』って、何……本当、ですか? 神崎さん」
 顔を上げ自分を見た洸に、美桜は「はい」と頷き次の言葉をただ待つ。
「一体どうして……」
 当たり前の疑問を投げかけられ、美桜は此処まで来た理由を彼にも告げた。ただ、柾葵の犯人探しについてや、過去のことは伏せながら。そして話し終え暫くは洸からも反応は無く、やっと向けられた言葉は柾葵のものと似ていた。それは経験上なのか、これから共に歩むと言う選択をする彼女を案じるものだ。ただ一つ柾葵と違うのは――。
「これからますます旅には辛い季節になる……そんな時期から一緒になんて事情はどうあれ――言い方が悪いかもしれないけど正気、ですか?」
 殆ど変わることの無い表情と、冷たい声色だろう。ただ、それに怯むことなく美桜も言葉を返す。
「はい、それは柾葵さんからも聞きました。でももう決めましたから、お二人の旅に私も同行させてください」
 美桜の決心に賛成するよう、柾葵も洸へと言葉を向けた。
「お前――……んなら、何かあっても俺は関与しないから。もう…勝手にしろ」
 柾葵の文字を声に出すことは無い。もう、柾葵がどうしたいか分かっている今、その言葉を反芻し確かめる必要も無いのだろう。そのままフイッと背を向けると、今二人が入ってきたドアから外へと出て行った。
 ドアの閉まる音と同時、柾葵が振り返り一枚のメモを美桜へと渡す。
『だって。良かったな。』
「あの…本当に良かったのでしょうか?」
 やはり、あのような返答と態度ではいまいち腑に落ちない。そんな美桜の様子に気づいているのか、柾葵はもう一枚メモを渡してきた。
『気にすんな。あいつ本気で機嫌悪いと反応もしない。多分俺が一人で勝手に決めたことに不満があるんだ。』
「そう、ですか。では柾葵さん、改めてよろしくお願いします」
 微笑みそう言う美桜に、柾葵はサラリと一枚、メモを手渡し笑みを浮かべた。
『こちらこそ、美桜ちゃん。』
「ぇっ……!?」
 思わず顔を上げると、柾葵は小首を傾げ美桜を見て、思わず「ぁ…」と言いたそうな顔をする。そして次に手渡されたメモ。その内容に、美桜はメモから顔を上げることが出来ずにいた。
『あー、こういうのダメか?ダメなら止めるけど。
 折角これから先一緒だし、いつまでもさん付けもなんだか落ち着かないし、
だからって流石に女の子いきなり呼び捨ては出来ないしな。こっちだと可愛いだろ。
 書くならこっちの方が響きも好きなんだ。』
 きっと想像するに、彼は屈託の無い表情でそれを言っただろう。



    □□□



 結局洸は部屋を出たまま帰ってこなかった。前に立ち寄った街でもこんなことはあったらしい。けれど、朝になれば部屋に帰ってきて、当たり前のように出発した。だから、今回も朝が来れば帰ってくると思っていた。
「戻って…来ませんね? もしかして、本当に私の同行が――」
『んなことない。俺が保証する。それに、最悪二人で行っても良いだろ?』
 そんな励まされるようなメモと共に宿を出る。その、扉の右側から二人へと声が掛かった。
「遅かったね、二人とも」
 見れば、壁にもたれかかった洸の姿がある。何時から此処に居て――二人を待っていたのか。
 一瞬戸惑いながらも、美桜は昨晩からずっと伝えたかった一言を洸へと向けた。
「あの、洸さん……これから、どうぞよろしくお願いします」
「こちらこそ、神崎さん。じゃあ、もう行きますから」
 それに対し、愛想笑いのような表情を浮かべ洸は答える。
 歩き出す洸。それを追い始める柾葵。その後を一歩遅れ、少し早足で追い出す美桜。ちゃんと後ろにいるか心配なのか、時折振り返る柾葵の表情が、美桜には少し嬉しかった。ただ、これが二人のペースだったのだ。それは今まで偶然出会い・別れていただけの美桜は知らなかった事だけれど、こうして共に歩けることは大変だと思う反面、幸せでもあるのだと思う。こうして新たな一歩を、確かに歩み始めているのだから。
 三人の頭上に広がるは灰色の空。まだ、その足を止めるわけには行かない。まだ、今までのペースで進めるのだから。何に足をとられるでもなく。天候にも辛うじて恵まれている。でも――もう、明日はどうなっているのか分からない。



 頭上では鳥が歌う。
 白い季節がすぐそこに来ていると、知らせていた――――。


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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→PC
 [0413/神崎・美桜/女性/17歳/高校生]

→NPC
 [ 柾葵・男性・21歳・大学生 ]←main story!
 [  洸・男性・16歳・放浪者 ]

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■         ライター通信          ■
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 こんにちは、ライターの李月です。お久しぶりのご参加有難うございました!2.5話のお届けです。タイトルには完全に迫りきれませんでしたが、唯一つ大事なものがあった柾葵の鞄のお話でした。
 最初にお話しておきたいのが、本来ならば本編である2話の後の話なのですが、それを飛ばしての発注ですので、この時点で今後不都合が発生する可能性が高くなりました。果たしてそれを阻止できるか、それは今後もありましたら3話と4話にかかってきます。と、旅に同行していない始まりでしたのでシナリオを色々変更の上で書かせて頂きました。以上、色々ありますがまずご了承ください。
 さて、鞄を一緒に捜してくれ、有難うございました。無事見つかり、中身も無事な状態です。そして前回のクリアファイルの中身を拾ってくださっていたようで!実は、その物自体は柾葵にとってどうも然程重要な物でもないようです(とは言え、保存状態を考えるとどうも…なのですが)
 最初の一歩を歩み出した神崎さん、度々行方をくらまし始める洸、過去と目的が少しずつ明確になってきた柾葵。三人の旅、その行く末を今後も見れればな…と思っています。
 何かありましたら、どうぞレターにてご連絡ください。

 それでは又のご縁がありましたら…‥
 李月蒼