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<東京怪談・PCゲームノベル>


All seasons 【 M&M 】



◇■◇


 照りつける太陽の下、普段ならばこの館で出会う事の無い人物と出会い、菊坂 静は思わず驚いき固まった。
「あれ・・・奈津さん?」
「・・・静さん?」
 バリバリ西洋風の建物である夢幻館の前に立っているのは、純和風といった出で立ちの奈津ノ介。
 薔薇の花と言うよりは百合の花が似合う彼なのに・・・・・・・・
「奈津さんも夢幻館に来るんですね・・・」
 タタっと走りより、そう言うと静はふわりと柔らかな笑顔を浮かべた。
「えぇ。度々」
「そうなんですか・・・なんだか意外ですね。吃驚しました」
「会いたい人がいるんです」
 奈津ノ介はそう言うと、優しい笑顔を浮かべて夢幻館を見詰めた。
 真っ白な道が長く伸び、その先には両開きの豪華な扉がデンと構えている。
「会いたい人、ですか?」
 勿論夢幻館の住人の誰かなのだろう。
 ・・・いったい誰なのだろうか・・・?
「大切な人なんです」
 奈津ノ介がそう言った時だった。
 夢幻館の両開きの扉が大きく開け放たれ、中から今日も可愛らしい服装をした少女がこちらを見、満面の笑顔で走って来た。
「なっちゃんに静ちゃんだぁ〜〜〜っ!!!」
 トテトテと走る片桐 もなの髪が、風に靡いて大きく揺れる。
 頭の高い位置で結んだツインテールが軽い音を立て・・・もなが、奈津ノ介の胸に飛び込んだ。
 奈津ノ介がそれを優しく受け止めると抱き上げる。
「もな・・・走ったら転んじゃうよ?」
「んっと・・・大丈夫ぅ。だって、もなは偉いから!」
 なんら根拠の無い言葉を自信満々気に言うと、もなが腰に手を当てた。
 それにしても・・・
 奈津ノ介さんは、もなさんの事を“もな”って呼んでるんだ・・・?
 それだけで、2人がどれほどまでに仲が良いか分かるから不思議だ。
 それに・・・もなさんも、一人称“あたし”じゃないんだ・・・?
 彼女は酷く懐いた人の前では一人称が変化すると言う事を、静は知っていた。
 けれど、同時に思う。
 何故アレほどずっと一緒に居る、奏都や冬弥、魅琴の前では“あたし”なんだろう?
 考え込もうとした静の頭をポンポンと叩く掌に、顔を上げる。
「静ちゃん、怖い顔してたよぉ??悩み事ぉ?」
「ううん・・・違うんだ。ちょっと、考え事・・・かな?」
「そ?」
 もなが軽く首を傾げた後で、キュっと奈津ノ介に抱きつく。
「奈津さんの会いたい人って・・・」
「もなです」
 キッパリとそう言うと、奈津ノ介がふわりと柔らかい笑みを浮かべた。
「なっちゃん、静ちゃん!早く行こう!奏都ちゃんが待ってるよぉ〜??」
 もながキャッキャと甲高い、女の子特有の声でそう言うと両開きの扉を指差した。


◆□◆


 夢幻館の中、ホールに入ると今日もなんら代わり映えの無いメンバーが座っていた。
 沖坂 奏都が真っ白なポットを持って柔らかく微笑み、2人に向かって
「ようこそいらっしゃいました」
 と言ってポットをテーブルに置いた。
「奈津に静?なんか、久しぶりだな」
 ソファーの上にグテっと寝ていた梶原 冬弥が上半身を起し、奈津ノ介の腕に居るもなを見詰めて苦笑する。
「重いだろ?」
「そんな事無いです。もなは十分軽いですよ」
 その意見には静も賛成だった。
 もなは軽い・・・それは、背が低いからと言うわけではない。
 ・・・華奢な手足を見れば、直ぐに分かることではあるけれども・・・。
「もなはデブだからなぁ〜。奈津もさぁ、やせ我慢じゃねぇ?」
 そう言いながら、神崎 魅琴がキッチンから甘い匂いを漂わせて出てきた。
「デブってなによぉっ!」
「あんなに甘いもん食ってりゃデブにもなんだろ〜?」
「なんないもんっ!」
 奈津ノ介の腕から下りたもなが、魅琴に食って掛かる。
 パンチをしようと腕を伸ばし・・・それを魅琴が難なく避ける。
「へっ。チビのパンチなんかあーたりーませーん」
「何よぉっ!魅琴ちゃんなんか、ただの・・・えっと・・・えぇぇぇっと・・・」
 きっと、ウドの大木と言いたいのだろうが、如何せんもなの脳内辞書にはそんな難しい言葉は収録されていない。
「もなちゃんは、見かけと同じで頭が弱いでちゅね〜」
 自分の事は棚に上げて、魅琴が馬鹿にするようにもなの頭を撫ぜる。
「やめてよっ!髪がぐしゃぐしゃになっちゃうっ!」
「別に変わんねーよ!」
 魅琴がそう言って、もなの髪をグシャグシャと力を込めて撫ぜ・・・
「いたいっ・・・!!」
 もなが何とかその下から脱出しようと試みるものの、魅琴に腕をつかまれてしまっているので簡単にはいかない。
「えっと・・・もなさん、魅琴さんも・・・喧嘩は止めた方が・・・」
 もなの悲痛な叫びと、魅琴の意地の悪い笑顔に静は如何したら良いのか分からないものの、一応の仲裁をしようと2人にそう声をかけた。
 だが、イジメられている方のもなはともかく、魅琴はその言葉を全然聞いていないようだった。
「・・・どうしていつも喧嘩するのかな・・・」
 困惑しつつもそう呟き、静は隣にいる奈津ノ介に視線を向けた。
「奈津さんは知って・・・」
 言葉が途切れた。
 にっこりと、微笑んでいる奈津ノ介ではあるが・・・その顔は明らかに怒っている・・・!
「知りません。ただ、僕から見るに、いつも魅琴さんがちょっかいを出してもなを苛めているように思うのですが」
 超もな贔屓の奈津ノ介は、例えもなから仕掛けたことであったとしても、最終的には魅琴が悪いと言うのだろう。
 ・・・きっと、奈津ノ介に限らずとも、もなの支持者は多いだろう。
 外見年齢小学生程度のもなと、身長187はある魅琴。
 両者が喧嘩をしていたとして、世間一般で見て悪い方と言えば、言わずもがな・・・である。
 さらには本日の喧嘩の発端は明らかに魅琴である。
 それは静にもキチンと分かっていた。けれど、魅琴を批判する気にはなれなかった。
 魅琴贔屓だからと言うわけでもないし、もなの事も同様に好きだ。
 けれども・・・・・・・
「いい加減にしてください魅琴さん!もなが痛がってるじゃないですか!」
 奈津ノ介が声を荒げ、冬弥が魅琴の腕を掴む。
 あまりの一方的な展開に、冬弥も傍観者を決め込むのは止めたようだった。
 もなが髪の毛ぐしゃぐしゃの状態でメソメソと目に涙を溜めながら奈津ノ介の元に走り、ギュっといじらしいまでに可愛らしくその胸に抱きついた。
「うー・・・魅琴ちゃんのばかぁ・・・」
 グスグスと鼻をすすりながら、震える声でそう言うと、もなはさらに強く奈津ノ介の胸に顔を埋めた。
「もう大丈夫ですからね?」
 その頭を優しく撫ぜ、ピンク色のリボンを外すと奏都にブラシを持って来て欲しいと頼む。
「髪の毛は僕がやってあげるから・・・ね?」
「・・・うん・・・」
 小刻みに震える肩が可哀想で・・・流石の静も、そっともなの肩に手を乗せた。
「どうしてお前らはいつもそうなんだ」
 深い溜息と一緒に冬弥がそう呟き、髪を掻きあげる。
「会えば必ず口喧嘩して・・・どっちもどっちの場合が多いが、今日のは魅琴が悪い。お前はやりすぎなんだよ」
「仕方ねぇだろ?」
「何が仕方ないんだよ」
 冬弥がいつになく鋭い視線を向け、直ぐにソレは溜息に取って代わる。
「別に、特別仲良くしてくださいとは言いませんが、それなりに常識を持って接してください」
 戻ってきた奏都がそう言って、ブラシを奈津ノ介に手渡した。
「はい、もなさん。ご自分で位置などを確かめてください」
 そっと頭を撫ぜてから、ブラシと一緒に持って来た鏡をもなに手渡した。
 もなが袖で涙を拭いながら両手で鏡を持ち、奏都が2人をソファーに座らせる。
「お前だって、もなが嫌いなわけじゃないんだろ?」
 冬弥の言葉に、魅琴は肯定も否定もしなかった。
 押し黙ったままだった静に目を向けて
「どう考えてもさ、ここの連中はもなに甘すぎだと思わねぇか?」
 と首を傾げながら尋ねた。
「そう・・・?」
「甘いもの食べたいってもなが我がまま言やぁ甲斐甲斐しく作って、もなが遊びに行きたいと駄々をこねれば連れてって・・・」
 奈津ノ介がもなの髪を結び終えたらしく、先ほどまでの泣きべそはどこへやら、もなは満面の笑みで奈津ノ介に抱きついていた。
「それ、ご自分がしてほしいんですか?」
 魅琴の言葉に奈津ノ介が冷ややかな言葉を向ける。
「もしそうだとしたら、無理だな。誰が187もあるデカ物の我がままをきくか」
 冬弥もそう言って、肩を竦めるともなの頭を撫ぜた。
 確かに、静から見ても夢幻館の住人・・・だけでなく、ここを訪れる人々も、もなにはいささか甘すぎるように思う。
 けれど同時に、それは仕方のない事だとも思っていた。
 外見年齢云々を差し引いても、もなの笑顔は怒る気力をなくさせる、十分過ぎるほどの威力を持っていた。
「静ちゃん!静ちゃん!」
 急に元気になったもなが静を呼び、キューっといきなり抱きついてきた。
「・・・どうしたの?」
「んっと・・・なんとなくぅ??」
「僕なんかに抱きついても楽しくないと思うけど・・・」
 ふにゃんと、蕩けるような笑顔を浮かべるもな。
 この表情を向けられて、どうして冷たく出来るのだろうか・・・?
「静ちゃん、抱きだきつかれるのイヤ・・・?」
「そんな事無いよ。・・・ありがとう・・・」
 ふんわり微笑んで、背中に手を回してポンポンと軽く叩く。
 素直に、静はもなの事を可愛いと思っていた。
 彼女が夢幻館にいるだけで、パっと周囲が明るくなる・・・そんな、不思議な存在を常日頃から愛しいと、思っていた。
「・・・もしかして、静ももな贔屓なのか?」
 魅琴の言葉に、静は口を濁した。
 そんな事はないと言いつつ、もなが嫌いなわけではない。
 普通よりも好き。けれど、それが魅琴を取らないと言う選択肢になるわけではなく・・・・・・・・
 魅琴が、静に抱きついていたもなをふわりと優しく持ち上げる。
「え・・・なぁに・・・?」
 イジメられていた感覚が蘇ったのか、不安そうにもなが魅琴を見詰める・・・が、魅琴は何をするでもなく、冬弥にもなを抱かせると不意に静の身体を抱き上げた。
「・・・えっ?」
「俺の事をわかってくれるのはお前だけだ!マイスウィート!!」
 大声でそう言うと、走り出した。
「えっ・・・!?何・・・!?」
 奈津ノ介が状況を理解できずに、奏都と冬弥を見比べる。
「あんの馬鹿・・・」
 心底呆れたように冬弥が呟いて、もなをストンと下ろすと指を鳴らした。
「あれほど・・・夢幻館内での強制猥褻は止めていただきたいと、散々言っていたのに・・・」
 奏都がにっこりと――― それは確実に黒い笑みではあったけれど ―――微笑むと、走り出した。
「なっちゃん!大変!静ちゃんがっ!!」
 もながオロオロとそう言って、奈津ノ介の腕を引っ張る。
 超もな贔屓の彼は、もなが泣きそうなのを見ると、苦々しい表情で走る魅琴の背を見詰めた。


◇■◇


 運動能力S級の魅琴ではあるが、いくら軽いとは言え人1人を抱きかかえたまま走ると言うのは無謀な事だった。
 まして、同じく運動能力S級の冬弥に追いかけられ、奏都に追いかけられ、さらには奈津ノ介ともなにまで終われる始末。
 生死をかけた絶体絶命の大脱出でもない限り、ずっと全速力で逃げ続けると言うのには無理があった。
 ・・・勿論、考え方を変えれば十分魅琴の身は絶体絶命の状況ではあったけれども・・・。
 静は魅琴に抱きかかえながらも、状況把握処理能力が著しく鈍っているらしく、現在自分がどのような状況下に置かれているのかを正確に判断できない状況が続いていた。
 普段は気を張って過ごしている静だが、ここの住人達にはかなり気を許しており、だからこそ・・・どうしてこんな事態に陥ってしまったのかいまいちよく分からないのだった。
 即ち、どうして魅琴は逃げなければならないのか(それは住人達が怒りの形相で追ってきているからである。あるいは、魅琴が静を抱きかかえて走っているからである)
 どうして静も一緒に逃げなくてはならないのか(それは魅琴が静を抱きかかえているからである)
 さらに、どうして住人達は怒っているのか(それは魅琴が静を抱きかかえているからである)
 ・・・つまり、住人達が追いかけてこなければ魅琴は逃げる必要はない。
 でも、住人達は追いかけてくる。
 それは静を抱きかかえているからである。
 それでは何故、静は抱きかかえられているのか。
 それは、魅琴語で言い表すところの“マイスウィート”だからである。
 死なば諸共精神らしい。
 ・・・なんと迷惑極まりない事なのだろうか・・・。
 けれど、今更静を大人しく下ろしたとして、この状況が好転するとは限らない。
 それどころか、人質(無論、静の事である)が解放されたのを切っ掛けに、住人側が強硬手段をとらないとは限らない。
 自分の身を守るために静を手放せない。
 手放せないから住人達は追ってくる。
 最悪な連鎖状態だ。
 けれど、如何せん体力の方はメビウスの輪ではない。
 程なくして魅琴は床に膝をついた。
 肩で息をして、苦しそうに顔を歪めながら静を放し・・・
「大丈夫!?魅琴さん!?」
「・・・やっ・・・やっぱ・・・つか・・・疲れる・・・なっ・・・」
「当たり前だよ!それにしても、随分走ったよね・・・?」
 住人達が追いつき、冬弥が「やっと終わった・・・」と言って肩で息をしながらその場にへたり込む。
「冬弥さんも大丈夫!?」
「あぁ・・・」
 到底大丈夫だとは思えない表情で頷くと、額にへばりついた前髪を掻きあげる。
「捕まえた・・・魅琴ちゃん」
 魅琴と冬弥とは違い、まだ余裕のありそうなもながそう言って・・・右手に持たれた銀色に光る物体の照準を真っ直ぐ魅琴の心臓(!!)にあわせた。
「もなさん・・・銃は下ろした方が・・・」
 これでうっかり引き金を引いてしまったあかつきには、魅琴は天へと召されなくてはならない。
 まさか心臓に銃弾を撃ち込まれても平気なんて言う、ロボットなみの超合金皮膚を持っているわけでもあるまい。
 もなの隣には奈津ノ介が立っており、手には・・・・・・・
「奈津さんも・・・えっと・・・」
 静はあえて、その手に握られているモノを言わなかった。
 なんだか、うっかり言ってしまえば容赦なく振り下ろされそうな気がしたのだ。
 ・・・勿論、静にではなく、魅琴に・・・だ。
「さて、魅琴さん。命ばかりは助けて差し上げますが・・・」
 奏都がヤクザ顔負けの台詞を言い放ち、グイっと魅琴の胸倉を掴んだ。
「警察か、それとも夢幻館の地下にある牢屋か。選ばせて差し上げましょう」
 にっこりと笑っているものの、瞳は微塵も微笑んでいない。
「警察のが良いかもな。ここの住人達はうっかりっつって、飯とか・・・忘れそうだしな」
 やけに人事っぽくそう言って、冬弥が肩を竦めた。
 彼も此処の住人である以上、彼が忘れさえしなければそんな悲劇は起こらないだろうが・・・事前に提案している辺り、彼も忘れないとは保証できないのだろう。
「そんな・・・奏都さんも・・・僕は大丈夫ですから・・・ね?」
 どうしたら良いのか分からずに、とりあえず魅琴の援護をする静。
 如何せん、この状況は魅琴には不利だった。
 何分敵は4人・・・それぞれがそれぞれの不得意分野を補っていると言う、最強のメンバーだ。
「わぁったよ。わぁった。ハイハイ・・・」
 詰め寄る住人達に両手を上げて、降伏の意を表すと、溜息をついた。
「俺が悪かったっつーの。つか、ちょっとした遊びじゃん」
「拉致がですか?」
「誘拐未遂ですね」
「・・・なんでお前らは俺を犯罪者にしたいんだよ・・・」
「貴方は存在自体が犯罪だからですよ」
 随分立腹しているらしい奏都が、魅琴の存在否定を始める。
 これには静も苦笑いを浮かべるしかない。
「あーもー、何とでも言えよ。確かに、今日は俺も悪ふざけが過ぎた。もなも・・・悪かったな。まだ痛いか?」
 急に謝罪を始めた魅琴に、戸惑いの色を見せながらももながフルフルと首を振る。
「大丈夫・・・」
「そうか」
 ほっと安堵したように微笑む魅琴の顔を見て、もなが奈津ノ介と奏都の服の裾をクイクイと引っ張り、首を傾げながら
「魅琴ちゃん、反省してるみたいだし・・・許してあげるの、駄目?」
 そう言って、懇願するような表情を作った。
「もなさんがそれで良いなら・・・っと、静さんもそれで良いでしょうか?」
「え、あ・・・僕は何もされてないから」
 奏都の言葉にそう答え、冬弥も「もなと静が良いなら別に・・・」と言って頷いた。
「そうですね、もながそう言うんですし・・・静さんも、それで宜しいんですよね?」
 奈津ノ介がもなの頭を撫ぜながらそう言って、静に確認の視線を向ける。
「ありがとぉ・・・」
 ふわりと微笑むもな。
 あれだけ自分が苛められていたにも関わらず、それを許してしまうとは・・・
 優しい気持ちが一同の心の中に舞い降りてくる。
 誰もが小さく微笑み、それではお茶にでもしようかと、そう話していた時だった。
 自分から注意がそれたのを良い事に、魅琴が不意に静の腕をグイと掴み、その頬に口付けをした。
「・・・えっ!?」
「?????」
  静の驚きの声を聞きつけた住人達が、そちらに視線を向け・・・ピキーンと、固まった。
「あんな下手な芝居で納得しちまうとは、お前らも相当なアホだな。ア・ホ」
 クスリと馬鹿にしたような笑いを浮かべると、魅琴が静を抱きかかえた。
 ・・・先ほどの芝居は、この時を見越しての芝居だったと言うわけだ。
「チビっ子の頭は頑丈だからな。あんくらいじゃ、どうにもなんねーだろ」
 魅琴がそう言って、静を抱きかかえたまま走り出す・・・・・・・
「ゆ・・・許せなぁぁぁぁぁいっ!!!!!」
 もなが絶叫し、怒りの形相で走ってくる。
 その後に続くようにして奈津ノ介が走り出し、奏都が一瞬ムっとしたような無表情になった後で走り出す。
 冬弥がヤレヤレと言った様子で走り出し・・・・・・


  鬼ごっこは続く

    どちらかが、力尽きるまで―――――



               ≪ E N D ≫



 ◇★◇★◇★  登場人物  ★◇★◇★◇

 【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】


  5566 / 菊坂 静 / 男性 / 15歳 / 高校生、「気狂い屋」


  NPC / 片桐 もな
  NPC / 神崎 魅琴
  NPC / 奈津ノ介
  NPC / 梶原 冬弥
  NPC / 沖坂 奏都

 
 ◆☆◆☆◆☆  ライター通信  ☆◆☆◆☆◆

 この度は『All seasons』にご参加いただきましてまことに有難う御座いました。
 そして、いつもいつもお世話になっております。(ペコリ)
 M&Mとは、もな&魅琴の事です。
 夢幻館住人との鬼ごっこ、如何でしたでしょうか?
 なんだかとてつもなく長くなってしまいましたが・・・
 魅琴ともなは何であんなに仲が悪いんでしょうね(苦笑)


  それでは、またどこかでお逢いいたしました時はよろしくお願いいたします。