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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


超古代文明体験ツアー<海底遺跡で宝探し!>


------<オープニング>--------------------------------------

ゴーストネットOFFに書き込まれた、超古代遺跡体験ツアーへの参加者募集。
遺跡の内部で手に入れた品物は、自分のものになると言う。

遺跡は三方向に分かれている。
あなたなら、どの方向に進むだろうか?

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岩礁に偽装した遺跡の入口を、巨大な龍のような生き物に乗って潜り抜けると、巨大な建造物が現れ出た。

家一軒くらいもある、巨大なゲートを潜り抜ける。
入ってすぐの、ドーム型の広間に、このツアーの参加者たちは下り立った。

「…」
思わず、見上げる。

そこに広がっていたのは、およそ現実感というものをを悉く破壊し尽す規模の、巨大な建造物だ。
確実に某ドーム型野球場の数倍はありそうなその広間からは、正面と左右、三方向に通路が伸びている。
壁も天井も、見た事の無い、石とも金属とも付かない奇妙な材質で造られ、継ぎ目のようなものが見当たらない。
何かの配線のような光る透明な紋様が、まるで何かの配線のように走り回っている。
有機的かつ、どこか機械的な曲線を描く装飾が、壁や天井のあちこちに取り付けられているのが見えた。


「懐かしいわね…まだこれだけのものが残っていたとは…」
それを見た時、榊船・亜真知(さかきぶね・あまち)の口から、小さな呟きが漏れた。

いつもの巫女装束ではなく、珍しく神聖都学園の制服姿で、彼女はここにいた。
どこから見てもその衣装に相応しい年頃の少女が、この状況で我が家にいるかの如く落ち着いているというのも、何か奇妙な眺めだった。
しかし。
彼女にとって、ある意味、現在普通に見かける風景よりずっと親しみを感じるものだ。
これを、全く見かけなくなってどのくらいの歳月が流れたのか。
この時代の人々にとっては、ある種の変わった人々が面白がる御伽噺の一種…としてしか伝わっていない。
だが、それはそこにあったのだ。紛れもなく。
彼女は確かに、そこにある時期居合わせ、そして…。

ふと視線を感じて、亜真知は視線を戻した。
この「超古代文明体験ツアー」を企画した当人である、九頭神・零(くずかみ・れい)が、ちょっと怪訝そうな顔でこちらを見ている。顔の上半分をゴーグルで覆い、表情は分かりにくいのだが、不思議そうな雰囲気は読み取れた。
『あの方も、大きくなられましたこと。最後にお会いした時は、あんなに小さい方だったのに』
何くわぬ顔で笑みを返しながら、亜真知はそんな事を思う。

『あの方も、この遺跡も。これだけ時の大海に阻まれた存在に巡り会うとは、一般に縁と言われるものは存在するのかも知れませんわね』

それもまた、彼女の本来属していた世界では「理」でもって解き明かされるものだと知っている。
とある状況下において、特定の傾向によって関連付けられる存在同士は、何らかの力によって同じ場に集まるのだと。

『噂は本当なのでしょうか? 我が友なる、あの方が間も無く、目覚める、というのは?』



「え〜、皆さん。改めて! お集まりいただき、ありがとうございます」
零が、巨大なドームの中央、不思議な力で宙に浮く丸い石のオブジェのようなものの前で声を張り上げた。背後には、彼女らを乗せてここまで来た、巨大な飛竜のような生き物が控えている。

集まったのは、三人きりだ。
亜真知と同じような格好…神聖都学園の制服を身に着けた、紫の目の少女。
知っている顔だ。確か、鍵屋・智子(かぎや・さとこ)という名だった。十四歳の若さでマッド・サイエンティストとして知られ、この時代の文明レベルからすれば、怪しい事この上も無い研究を続けているという。
もう一人は、活動的な格好に、目にも鮮やかな紅い瞳が印象的な少女だ。
見た感じの年齢は、亜真知より少し下くらい。この少女が一番驚きも露わに周囲を見回している。

「さて。これからいよいよ、遺跡内部を探索していただく訳ですが、移動の際は、こちらのフロートバイクを使用していただきます」
彼女の背後には、これまた不思議な材質で出来た乗り物のようなものが、数台置かれている。見た感じ、大型のバイクに似ていなくも無い。
「これは、反重力エンジンで駆動する乗り物で、この時代のバイクと違い、空中に浮いて移動するものですが…」

「反重力エンジンですって!?」
智子の目がきらり、と光った。
「私も研究しているのだけれど…なかなか反重力エネルギーを安定させられなくてね。確か、このツアーで手に入れたものは、自分のものになるのよね?」
「ええ」
零はにっこり微笑んだ。
「しかし、これは遺跡内部用でしてね。外で乗り回すタイプなら、この左通路を進めば、置いてありますよ。ただし、ちょっとしたゲームをこなしてもらいますが…」
「そう…ありがと」
彼女は頷いて、左側に広がる広大な空間を睨んだ。既に彼女の行き先は決まったようだ。

「この遺跡は、大きく分けて三つのエリアに分かれています。まず、正面が『情報エリア』。次に、左通路が『生体兵器・及び反重力飛行機械格納エリア』。最後に右通路が『武器弾薬庫・並びに戦闘訓練エリア』に、それぞれ続いています。興味がおありのエリアにお進み下さい」
そう告げる彼女の背後、そして左右それぞれには、幅が百メートル以上はありそうな、巨大な通路が口を開けていた。入口付近はそれより少し狭いようだが、奥に進むと、一気に幅が広がっている。

「戦闘訓練って…まさか、何かと戦えって!?」
紅い目の少女が問うた。
「ええ。訓練用の機甲獣…まぁ、戦闘向けのロボットのようなモノですが、それと実戦が出来ますよ。武器もお渡しします。最低限の安全は確保するように、一応プログラムされていますが、腕に自信の無い方にはお勧め出来ませんね…」
「…あるよ、自信なら」
少女の呟きに、零は笑みを返した。

『やっぱり、私は正面ですかしらね』
亜真知は静かに正面を見る。
欲しいのは…情報だ。
旧い時の。あの地には、私を信じていた者たちも大勢暮らしていたのだから。
一夜にして次元の渦の彼方へ消えた、あの人たちは、何処へ…。

零からフロートバイクの乗り方についての説明を受けながらも、亜真知はさり気なく、遺跡内部をサーチした。
『確かに、左奥に生体兵器が何体かと…右奥には機甲獣が設置されていますわね』
彼女の超感覚…神ゆえの「万物照覧の目」というべきその力は、遺跡の両端にあるものを認識していた。
まるで航空機のように、特殊な装置で空中に設置されている巨大な動物。そして、主を待つかの如くに沈黙し続ける、黒く輝く機械の巨獣。
『生体兵器は…大型ですが、完全に休止状態ですわ。よっぽど無茶ないじり方をしない限り、大丈夫でしょう。機甲獣は、相手の力をサーチして、生命の危険に晒さないように安全装置は付けてありますね。こちらも心配は無いでしょう』

通路そのものには、トラップらしいトラップは存在しないのは確認済みだ。
気になるのは、中央の通路だが。
『空間の歪みを利用した…何かのゲートがありますわね』
どこかの、仮想空間にでも転移させて、そこで何かを探させる、という趣向だろうか?
もしそうなら、得意中の得意だが。

「では。私は先に参りますね?」
フロートバイクの乗り方を説明した後、零は自分の生体兵器と共に、空間を転移して消えた。遺跡のどこかにある司令室にでもいるのだろう。
亜真知は、フロートバイクと格闘し続ける他の二人に一礼すると、まるで愛車を運転するかの如く軽やかに、「正面通路」を進み始めた。

「…あの人、何だろ? 何であんなに慣れてんの?」
紅い目の少女の言葉に、智子は目を底光りさせた。
「…タダ者ではないわね…」
あっという間に小さくなる背中を、彼女らは見送った。

「ふふ、懐かしいですわ、この感じ」
反重力で駆動する乗り物特有の、滑らかな感触を味わいながら、亜真知はまるで迷う事なく進んだ。
まるで、何度となくこの場に来た事でもあるかのように。
背景が巨大な遺跡ではなかったら、変わった乗り物でツーリングを楽しんでいる高校生くらいの美少女、に見えたかも知れない。

途中、幾つかの枝道があったが、彼女はまるで迷わなかった。
最短コースで記録装置が設置された部屋のパスコードを手に入れる。また中央通路に戻り、一番奥まった扉の前でそのパスコードを入力すると『入力確認。ゲートを開放します…』と異国の言葉と重なって思念波が響く。恐らく、この時代の普通の人間は、相当混乱することだろう。
「懐かしいですわ。ムーの方々って、よくこんなゲームをされていましたものね」
くすくすっと、亜真知は笑う。
「あのお方も、ちゃんとムーの血を引いておられるのですね」


「ハイユラ。どう思う?」
遺跡のシステム全てを統括する司令室で、零は自分の相棒とも言うべき竜型生体兵器に話しかけた。
ハイユラと呼ばれた竜は、ギャウウ、と鳴いた。
「…彼女は、あらゆる意味で全く迷っていない。まるでこの遺跡のことを、最初から知ってたみたいだ。見てみろよ、フロートバイクだって完全に乗りこなして、まるでツーリングを楽しんでいるみたいだ」
亜真知に向けられた以外の遺跡内モニターには、他の二人が慣れない感覚に四苦八苦しながら、どうにかフロートバイクを動かしている様子が映し出されていた。
「何者なんだ、彼女は? 榊船亜真知さん…だったな。神聖都学園の制服を着ていたが、単なる高校生じゃなさそうだな…」
それに、と零は考え込む。
先程検知した、遺跡内部への強烈なサーチ波は、明らかに現代のものではない。
どちらかと言うと、彼女の故郷ムーのそれに近いが、それとも少し違う…。
「ムーの機械と互換性のあるシステム…? 友好神支配下の文明の方なのか? いやまさか…!?」
彼女は亜真知に関する情報をサーチし、やがて驚愕をその顔に浮かべた。

「ま、まさか…あの方は!?」




亜真知は、フロートバイクで情報エリア最深部に進んだ。
彼女が壁一面に展開された、巨大な記憶装置の前に立つと、合成音声が再び響いた。
『いずれかの記録を選んで下さい。その記録に対応する次元記憶庫へのゲートを開きます…』
巨大な蜘蛛の巣を模したかのような、複雑に入り組んだ光の流れがリズミカルに明滅する。
一定の範囲で切り取られた時間と空間に、現実の情報をそっくりコピーする、ムーの技術だ。

「…私は知りたいのです。我が友・九頭龍様は、いずこに?」

フロートバイクから飛び降り、その場に停止させてから、亜真知ははっきり聞こえる声で言った。
「私が外宇宙の争いに巻き込まれている間に、ムー王国は、友なるあの方はこの世界より消え去った。何があったのか。今、あの方はどこにいらっしゃるのかが知りたい…」

光の粒子の流れが変わった。
目の前に金色に輝く空間の歪みが現れた。
亜真知は、迷う事なくその内部に足を踏み入れた。

空間の歪みを直接乗り越える際の、特有のクラッとする感覚。
次に目を開けた時には…

「…最早、我が王国もこれまで…」
悲しみに満ちた女性の声が広間に木霊する。
亜真知は華麗な装飾を施された広間の一角に立っていた。現在の文明に見られるそれとは異なる、蛇や蔦草を思わせる、有機的かつどこかメカニカルな不思議な紋様。
一番奥まった、明らかに玉座と思しい椅子の前で声を張り上げるのは、華麗で、体に沿った部分と緩やかに覆う部分が組み合わされた衣装、複雑な様式の冠を戴く女性だ。一目見て、零と血縁があると分かる。
彼女の前には、数百にものぼる臣下と思しい人間が跪き、沈痛な面持ちで、その言葉に聞き入っていた。
『ムー最後の女王…』
亜真知にはよく見知った顔だった。親しかったと言えるかも知れない。彼女が即位する前、子供の頃から知っているのだ。
彼女の幼い娘とも、よく遊んでやった。

「我々は、ムーの民の最後の義務として、かの侵略者を討ち果たさねばならない。例え我が身が滅びようとも」
透明な天蓋から降り注ぐ光の向こうに、それを蝕むように巨大な影。
「だが、我が神は不死にして、我らが聖なる王国は不滅である。今、一たび滅びようとも、いつか時が来たなら再び復活せねばならぬ…」

場面が転換する。
まるで宝石でできた棺のような透明な封印の石の中で、眠りに就く少女。
今より幾分幼い。
だが、明らかにその顔は、現在、九頭神零を名乗るあの女のものだ。
『…復活の夢を託されたのですね、皇女』

更なる場面転換。

そこは深い海の底にも似た、幻妖な光の満ちる空間だった。
『…水…? 海…この世の海ではありませんわね?』
所謂通常の意味での「海底」では無いのを亜真知の超感覚が告げていた。
この遺跡より、更なる規模の、巨大な神殿と思しい建造物だ。有機的なうねる曲線の繰り返しによって構築されるフォルム。現在の文明では、誰の目にも映った事の無い美だ。現在文明に頼り切った感覚の持ち主では、異様にすら思えるかも知れない。

そこは、深い死のような沈黙に包まれていた。
彼女がかつて、友として何度と無く訪れた場所とは違う。
かつて亜真知は、「神」としてこの神殿を訪れ、その友なる「神」と、世界の秘密について語り合った。
人の身では聞くことかなわぬ、世界の深みについての密やかな話は、彼女がその神殿を訪れる度に交わされた。

現在、化身としてこの世界に現れ、榊船亜真知と呼ばれる異世界の船を器とする神は、実は日本神話でも断片的ながら語られている。
天鳥船(あまのとりふね)、天磐船(あまのいわふね)といった呼称で語られる、神々の聖船がそれだ。
船そのものが、一柱の独立した神なのである。単なる道具では有り得ない。
古代エジプト神話でも、有力な神々の乗る船が、その船そのもの自体を神として語られているのだ。太陽神ラーの乗り物昼の船「メアンジェト」、夜の船「メセクテト」などが知られたところであろうか。
人間たちが、その真なる意味と姿を見失っても、その深層に刻まれた畏怖はそう容易く消え去る事は無い。

微かな昔日の残照を残し、伝えられた聖なる船が、大いなる龍たるその存在に近付いた。

「九頭龍様。私の声が聞こえますか? もう長い事、お会いしていませんでしたわね」
巨大なその神が身じろぎしたように感じられた。
途方も無く巨大な体は、まるで光という光を寄せ集めたかのような移り変わる虹色に輝く。華麗な曲線を描く角が炎の如くに輝き、額の聖なる宝玉が、九つの色の光を放った。
九つの首は、まるで力無く漂うように垂れていたが、亜真知が近付くと、首の一つをもたげた。

『…おお…』
まるで世界の全てが溜息を落としたかのようだった。
『我が友…よく…よく、来てくれた…』

ああ、懐かしい。あの方ですわ…。

「あらゆる障壁を無意味として進む、神の船」ゆえの、神威と言うべきか。
記録された過去の映像を媒介にして、九頭龍の眠る場所に通じたらしい。目の前にいるのは、確かに「九頭龍」その神だった。

『…また会えて嬉しい…貴公は、時の流れには、押し流されていなかったのだな…』
まだ完全に目覚めていないせいか、かつての精彩在る言葉では無いが、真情が滲む。
『この哀れな姿、友たる方に見せるのは避けたかった…だが、それよりも、ただ、会えたのが嬉しい…』

もう二度と。
目覚めないと、全ての友も民も永久に失うと、覚悟していたのだよ。

「貴方様らしくもありませんわ。あなたの王家の姫は、諦めてなどいませんのに」
昔と同じように、微笑む。
『ああ…ああ、そうだな。あれは、貴公とは気付かなかったようだが』
身じろぎするだけで、周囲の空間が揺れる。笑ったのだろうか。
亜真知が接触した事で、確実に覚醒レベルは高くなっているようだ。

「…間も無く目覚めると。そのように伺ったのですが?」
『…ああ。もうすぐだ。大分…物事を認識出来るようになったよ』
九頭龍が頭を振る。
『私は、わが王国の残りと、神殿と共に、こうして異次元の海に封じられている。こうすれば、向こうは私の事を誰も思い出さぬと…そう思ったのであろうな』
くっくっと笑う。
「…それで…現世には、ムーの痕跡が少ないのですね? 貴方に関わるものを、全て異次元に封じてしまったから…」
亜真知は納得した。

現在「一夜にして海に沈んだ」とされているムーを否定する根拠として、太平洋の海底の何処にも、大陸の痕跡が無い、という事実が取り上げられる。
だが、かの神が沈んだのは、現実世界の海ではない。
異次元の、混沌の大海の水底だ。どんなに海底を調査しても、何も見付からないはずである。

ぐらり、と世界が揺れる。
『もう…限界のようだ。折角、来てくれたのに…すまぬ…』
首がぐったり垂れる。
「お気になさらず。もうすぐお会いできますし」
まるで長期入院中の友達に声を掛ける、ごく普通の少女のように、亜真知は微笑む。
『…』
九頭龍が、何か言った、ような気がした。




視界が、微かな唸りと共に歪んだ。
急速に、現実の世界が戻って来る。
元の、あの機械の前。次元の歪みは、既に消えている。

「我が、主の友なるお方…」
ふと背後を見ると、零が、畏まった様子で立っていた。
左手を心臓の上に当てる、ムー特有の挨拶の仕草をした。神に関わる存在に敬意を示すもの。
「無礼の数々をお許しいただきたい…まさか…まさか、あなた様だったとは…。輝ける星の船…アマチ様」
亜真知の出自は疑っていただろう。だがまさか、当の神だとは思っていなかったに違いない。

ふふっと、亜真知は軽やかに笑った。
「いいえ、こちらこそ失礼しました、皇女。じっくり見て回るためには、その方が都合良かったものですから」
驚かせてごめんなさいね、と言うと、零はますます畏まった。
「旧い友たる九頭龍様にもお会い出来て、とても嬉しかったですわ。あの方が本当はどういう状態にあるのか、とても気になっていたのですよ」
「私の、力及ばず…我が神の目覚めには、もう少しかかります」
お待ちいただけますか? という問いに、亜真知はただ、頷いた。

「船」として存在していて、良かったと思う。
時の大海も、策謀の渦も、時代の荒波も…何物であろうと、この「アマチ」の航路を塞ぐことは出来ない。

「目的地を定め、風を読み、星の導きを信じれば…貴女は過たず、豊かで美しい海岸へと辿り着くことでしょう」
久々に、亜真知は神「アマチ」としての言葉を口にした。
「その航路には必ず…この『アマチ』の導きがありますよ、皇女」

零は微笑んだ。
幼い頃の彼女が見せた、ただ世界の有り様を見て楽しむ、その無垢な笑顔が、その大人びた風貌に重なった。
「ムーが復活した暁には、あなた様の神殿を新たに建立いたします」
あら、と亜真知は笑った。
自分は再び友として、ムーという港に停泊する日が来るだろうか。

「…約束いたします、大いなる星の海征く方よ」




  <了>


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

PC
【1593/榊船・亜真知(さかきぶね・あまち)/女性/999歳/超高位次元知的生命体・・・神さま!?】

NPC
【NPC3820/九頭神・零(くずかみ・れい)/女性/15000歳以上(内14900年以上封印)/復活を託された王族】
【NPC3917/長門・千勢(ながと・ちせ)/女性/16歳/0―アストラルの戦闘員(この時点では一般人)】

公式NPC
【 ― /鍵屋・智子 (かぎや・さとこ)/女性/14歳/天才狂科学者】


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■         ライター通信          ■
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初めまして、ライターの愛宕山ゆかりです。「超古代文明体験ツアー<海底遺跡で宝探し!>」にご参加いただき、誠にありがとうございました。
記念品として、
「装着型思考機械」←外見は古代日本の女神様風の、玉を連ねた髪飾りです。金色の星のような淡い輝きが髪の周囲に浮かぶ感じで。
「【零の遺跡】パスコード・レベル3」
「生命秘術の石版」
を進呈いたします。
「思考機械」と「パスコード」で遺跡にある大抵のものが使えますので、必要に応じて引っ張り出してお使い下さい。(思考機械は神様には必要ないとは思いますが、一応アクセサリー、という事で(^^;;
それから「生命秘術の石版」で、自由に「神のお使い」のような存在が作り出せますので、ちょっとした用事にでも使ってやって下さいませ。外見もお好み次第です。

さて、お預かりしたPC、榊船亜真知さんは、何と! ムーの友好神の一柱、という事で、ライターは勿論、我らが九頭龍さんが滂沱と喜んでおりました。そりゃーもう、しばらく神殿周辺が塩水の洪水でした(笑)。
化身とは言え、あまりに能力が高いため、零に感付かせないようさり気なく自然に振舞っていただくのはなかなかスリリングでした。同時に「神様らしさ」をどうしても出したかったので、神としての独白を加えてみましたが、亜真知さんらしい雰囲気が出たでしょうか?
最後の九頭龍との邂逅部分は、本来ならムー滅亡の映像を入れる予定だったのですが、折角ならば旧いお友達との再会を…と思い、あのような形となりました。もし、よろしければ、長年封印されっぱなしの九頭龍さんを、たまにつつきに来てやって下さい(←ヲヒ)。

では、またお会い出来る日を楽しみにしております。


愛宕山 ゆかり 拝