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<東京怪談・PCゲームノベル>


リース式変化術道場〜白銀の威厳






「あ」
「はぁい、その後どう? こんなリサーチなんてやってるってことは、大分良くなったみたいね」
 片手をひらひら振りながら、にこやかな笑みを浮かべる由良皐月。
あたしは腰を下ろしていたカウンターの上からぴょん、と飛んで彼女を出迎える。
「お蔭様で。あ、おじや美味しかったわ、ありがとう」
「どー致しまして」
 皐月はにっこり笑ってそう返す。
でもあたしはその背後に、魔女の村にいる厳しい自分のママのような威厳を感じてしまって、思わず気後れする。
「・・・まさか、また私のことをママだとか思ってるんじゃないでしょうね?」
「う」
 全てを見透かすような明るい茶色ー・・・ほとんど金色の皐月の瞳が、じっとあたしを見つめる。
その口元は笑みを浮かべているけれど、目は笑ってない。
ああ、こんなところもママそっくりなのよね・・・!
「そ、それで皐月ちゃんは、今日はどうしたのよ?」
 あたしがわざとはぐらかしてそう言うと、皐月はいいものを見つけた、というようににんまり、と笑った。
「あら、ちゃん付け? なかなか度胸あるのねえ、リースさん」
「そーいうわけじゃないのよ! 癖なの!」
 あたしはぶんぶん、と首を振って弁解する。
うう、なんだかこの人には逆らえないわ。
だってママがあたしにいちゃもんつけるときと、同じような目をしてるんだもの!
でもママよりも、彼女のほうがどことなく悪戯っぽい表情してるのよね。なぜかしら?
「あらそうなの。でも大丈夫よ、別に怒ってるわけじゃないもの。
何だか学生のころに戻ったみたいで新鮮だわ」
「あ・・・そう?」
 怒っているわけじゃない、と聞いてあたしは脱力して肩を落とす。
そんなあたしを見て、皐月はけらけらと笑う。
う・・・もしかして、あたし遊ばれてる?
「ま、それはどうでもいいとして」
 しかも流されちゃったわ。何かしら、この敗北感。
「用件はねえ・・・私も、リースさんのリサーチに協力してあげようかな、と思って」
 そういって皐月はにこ、と笑った。でもやっぱり目は笑ってない。
目をちゃんと見開いたまま口元に笑みを浮かべるのって、慣れてないと多用できないものなのよ!
皐月ってまだ20台中盤のはずよ。なのになんでこんな、うちのママみたいな威厳を醸し出せるのかしら。
もしかしたら生まれつき? ならあたしは絶対勝てないわ、はぁ・・・。
「・・・ちょっと聞いてる?」
「は、はいっ」
 いつの間に近寄ってきたのか、皐月はあたしの目の前でひらひら手を振っていた。
それで我に返り、あたしは背筋を伸ばす。
「つまりあれよ、私もお願いね、ってこと」
 彼女なりの愛嬌なのか、小首をかしげて、ね?という。
・・・ということは、だ。
「・・・皐月ちゃん、変身願望・・・?」
「っていうほどでもないけど。でもやっぱ、体験できるならしてみたいじゃない。わくわくするわ」
「・・・皐月ちゃんって、きっとピンチになればなるほど興奮するタイプよね」
 あたしは珍しく浮かれたふうの皐月に、苦笑を浮かべていった。
皐月は心外だ、というような顔をして答える。
「あらやだ、少年漫画の主人公みたいなタイプじゃない」
 そうは言うが、否定はしない。
あたしは今朝のテレビの占いで、あたしの運勢が悪かったことを思い出して、はぁ、とため息をついた。
でもそんなため息を見逃す皐月じゃない。
「あ、お客さんに向かってその態度はどうかと思うわよ」
「あーはいはい、ごめんなさい。それならさっさとはじめましょ!」
「はい、は一回ね」
「はい!」
 あーやれやれ、今日の相手はなかなか一筋縄じゃいかないようね・・・。










 簡単に今から行う”変化術”についてのレクチャーを終えると、皐月は「ふぅん」と相槌を打った。
「可能なのは動物、植物、簡単な無機物、ね。特定のものはだめ、と」
「うんそう」
 あたしは頷いて答える。飲み込みが早い人って好きだわ、面倒くさくないもの。
・・・でもこの皐月の場合、違う意味で大変なのよね・・・。
「じゃあ猫・・・と思ったけど、サイズにも制限があるんだっけ」
「ええ。最大は自分の背丈、最小はその半分よ」
「へぇ」
 あたしは何の気なしにそう答えた。だって、こんなの変化術の常識なんだもの。
でももちろん皐月は魔女の村の住人じゃないわけで、けろりとした表情でこんなことを言ってくる。
「ってことは、猫になれたとしても、とんでもなく巨大な猫ってわけでしょ?
微妙にそれ使えないわよ、リースさん。減点しとこう」
「えーっ!」
 皐月は手のひらにさらさらと架空のペンを走らせる振りをした。
あたしは思わず目をひん剥いて驚く。
「何で!? ていうか何の減点!?」
「あら」
 それが何か? というような顔をして、皐月は首をかしげる。
「だって、これって商売になるかどうかのリサーチなんでしょ? なら少しは厳しい評価も必要だわ」
「それはそうだけど!」
 あたしはうぅ、と唸る。使えないって言われても仕方ないのよ、そういうもんなんだもん!
 あたしの内心の叫びを表情から目ざとく読み取ったのか、皐月は言った。
「サイズ指定があるんじゃ、変化できる意味って薄れない?
隠密活動をしようにも、とんでもなく巨大なねずみじゃ明らかに化けてますっていうようなもんよ」
「うぅ」
 あたしは思わず唸る。それはそうなんだけど、でもね!
「でも仕方ないのよ。もともと魔法で無理矢理骨格や体系を捻じ曲げるわけだし。
背丈の約半分てのがぎりぎりの譲歩なのよ。そこまで縮めるのも大変なんだから!」
 あたしは声を荒げてそう弁明する。
皐月は一瞬だけ目を丸くして、それからくっくっ、と笑った。
「うん、わかったわかった。魔法にも都合ってあるのよね、別にいちゃもんつけてるわけじゃないってば。
それに別に戦うための魔法じゃないんだから、それでも無意味じゃないんでしょ」
「・・・」
 皐月は笑いを押し殺しながらそう言う。あたしは思わずきょとん、としてそんな皐月を見つめていた。
まあ・・・確かに、そういうわけなのよね。あたしが言いたかったのもそういうことなのよ、つまり。
それを皐月がいとも簡単に言い当ててくれたのはまあいいとして、何でおなか押さえて笑ってんのよっ!?
「ごめんごめん、あんまりおかしくって。・・・あー、よしっ」
 やっと笑いが収まったのか、皐月は身を起こして拳を固めた。
何だかしらないけど、やる気になったようね。
 あたしはコホン、と咳払いをして言う。
「サイズ指定があって済みませんけど」
「やだ、あんまり根に持っちゃだめよ。お肌に悪影響を及ぼすわ」
「あーさいでございますね。ってなわけで、何にする?
やっぱそれなりに自分と相性が良いものだと成功しやすい・・・けど・・・」
 あたしの言葉のあとのほうは、ほとんどかすれていた。
だってだって、皐月ってば、にぃんまりって明らかに”ちょっとばかり企んでますけど何か?”って顔してるんだもん!
「そうね、自分と相性が良いものね・・・じゃあ猫科の動物かしら」
「ね、猫科・・・の、何?」
 いやーな予感が背を襲うが、あたしは聞かないわけにはいかない。
だって何に変化するか知らないと、サポートできないんだもの。
 皐月はしばし考えたー・・・いや、明らかに考えた”振り”をしたあと、人差し指を立てていう。
「じゃあ、こんなのどう? ・・・豹とか」
「ひ、豹!?」
 あたしは飛び上がって驚いた。なんてこと言うの、この人! あたしを食い殺すつもりじゃないでしょうね?!
「そんな物騒なことしないわよ、失礼ね。豹ってカッコいいじゃない? 凛々しくて。前から好きだったのよ」
「あ・・・そう。わかったけど、変化しても絶対店の外には出ないでよ!」
「何故?」
 もうわかりきっているはずなのに、敢えてあたしの口から言わせたいのか。
あたしは皐月のにやにやした顔に向かって叫ぶように言ったわ。
「とんでもなくパニックが起きるからよ!」












「・・・リラックスよ。心を無にして、でも集中して」
 あたしはいつものテーブルと椅子をどかしスペースを空けた店の中心に皐月を立たせ、目を閉じさせた。
皐月はゆるくまぶたを閉じ、両手をだらん、と下げている。
「血の流れを意識してね。あなたは豹、無用な殺生はしない、誇り高き森の王よ。
気高い息吹を感じるのー・・・はい、息を吸って」
 あたしは訥々と語るように皐月のイマジネーションの構築をサポートしながら、指示を出す。
息をゆっくりと吸う音がして、それと同時に皐月の胸が盛り上がる。
「中央だけじゃだめ、手足の先、毛細血管まで意識が染み渡るように、ゆっくり、でも確実に広げて」
「・・・リースさん」
 目を閉じたまま、皐月がかすかに口を開く。
あたしは怪訝そうに眉を寄せた。
「カラーリングってどうなの? 指定できるの?」
「それはご自由に。でも中途半端な意識になると、えらくサイケなカラーになっちゃうわよ」
 あたしがそう言うと、皐月はニッと口元をゆがめた。
任せなさい、そういったような気がして。
 ま、皐月なら大丈夫だろう。豹なんていう物騒な獣に変化したがるから驚いたけど、
元来彼女は猫科の気配を持ってるもの。失敗するって言う気がしないのよね。
「じゃああたしのあとに続いて唱えてね。集中しながらよ」
 あたしがそう言うと、皐月はこくっと頷いた。
「アンクル、コーシア、カルカツィア。
偉大な村の創始者たちよ、遠い東の異国にいる貴女の子、そして子の友に力を」
 あたしのあとに続いて、同じように皐月も囁くように口にする。
”カルカツィア”の名をつぶやいたとき、皐月のまぶたがぴく、と一瞬だけ動いた。
ー・・・そうか、皐月も知ってるのね。
でも今は、そのことを穿り返すときじゃないわ。第一これはただの精神集中のための祝詞だもの、特に意味はないの。
「じゃあ、息を吐いて。長く、長くよ。肺の中の空気全てを吐き出すように」
 すぅー、という空気が漏れるような音が皐月の唇から洩れる。
同時にあたしは両手の手のひらを上に向け、胸のあたりに掲げてまぶたを閉じた。
「全部吐ききったら、一気に息を吸うの。思いっきりよ」
 タイミングを見計らい、あたしは皐月に自分の魔力を送る。
息を吐ききった後、新鮮な空気を取り込もうとする皐月の唇から、空気と共に流れ込むように。
 あたしが瞼をかすかに開けると、皐月の体に変化が起こっていた。
ぼこぼこと体の表面が沸き立ち、ざわざわと彼女の髪がたゆたう。
その異様な感覚に、皐月は眉をしかめて閉じていた瞼をぴく、と動かした。
「イマジネーションはそのままよ。今壊れてしまったら、全部台無しになるわ」
 あたしは鋭い言葉を投げる。皐月の表情は、すぐに冷静なものに戻った。
・・・言われてすぐに実行に移せるのってすごいわね。
思わずあたしは感動しちゃったわ。
「もーすこしよ、頑張って。ほら、そろそろ美しい毛皮が覆うわ」
 あたしの言葉どおり、皐月の皮膚には少し硬めの獣の毛が見る見るうちに生えてきていた。
ここまでくると、もう大丈夫。骨格を作り変えるのも、一瞬だわ。

 あたしは変化の成功を確信した。










「ふぅん、なかなか」
 大きな姿見の前で、立派な体格を持つ豹に変化した皐月はポーズをとっている。
丸めで小さな耳、つぶらな黒い瞳、4本の足は逞しく、猫のそれよりも太い尻尾はゆったりと振られていた。
彼女の被毛は極上の絹のような白銀。狩人が見たら舌なめずりしそうなほどの毛皮よ。
あたしは最近稀に見る程の完璧な変化に、思わずほぅ、とため息を漏らした。
「なんていうか・・・さすがねえ」
「あらそう?」
 小さな豹の口を器用に動かし、人間だったときと同じ声色で言う皐月。
だがその尻尾は嬉しそうに揺らいでいる。
「こういうのもなかなかいいもんね。体がとっても軽いわ」
 そういったかと思うと、皐月はふいに姿見の前から離れ、飛ぶように店内を駆けた。
狭い店内は動きづらいんじゃ、と思ったけれど元々森で暮らす豹の体には大して苦ではないらしく、
軽々とカウンターの机の上に乗ったりしている。
「皐月ちゃん! 楽しいのはわかるけど、あんまり暴れないでよ。
怒られるのはあたしなんだから」
「あら」
 皐月は器用に、にぃ、と笑い、音も立てずに床に飛び降りると、
ゆっくりと肩を上下しながらあたしに近づいてくる。
「な・・・何?」
 あたしは思わずどぎまぎした。だって皐月の目ってば、爛々と輝いてんのよ!
「ね、ねえ・・・意識は皐月ちゃんでしょ? まさか本当に」
「・・・そうだったらどうする?」
 皐月はゆっくりと囁くようにつぶやき、右の前足を見せつけるようにあげた。
それと同時に、鋭い爪がにゅっと飛び出たのがわかる。
まるでしゃきーんっと効果音が流れそうなその爪を見て、あたしは顔が真っ青になったわ。
ちょっ・・・これ、やばいんじゃない?!
「あ、あああたしは食べても美味しくないわよ!? 冷蔵庫に今晩のおかずのお肉があるから、そっちを狙って頂戴!
評判の店で買った特上ロースよ、きっと美味しいんだから!」
「あら、本当に特上? 嘘ついたら・・・勘弁しないわよ」
 豹の皐月はそういって、がばぁ、と口を大きく開ける。
その中に垣間見える立派な牙たち。ええ・・・こんなのあり!?
「私、お肉の味にはうるさいのよ。一口かじるだけで、どんな質なのかわかるんだから」
「ええ!? ご、ごめんなさい! ほんとは近所の肉屋で買った100g200円の空揚げしかないのー!
でもあたしなんかだめよ、骨と皮だけでがりがりだしっ!」
「あら、若い女の子ならそれだけで美味しそうよ。柔らかいし・・・」
 何、もう完全に豹になりきっちゃってるわけ!?
冗談だとは思うけど、ゆっくりと近づいてくる皐月の喉はごろごろ鳴いてるし・・・!
 あたしはじりじりと後退するけど、本棚にさえぎられてそれ以上後ろにはいけなかったわ。
つまり追い詰められた状態ってわけ!
逃れる術がないまま、皐月は前足を振りかぶる。あたしは思わず身を硬くして、瞼をぎゅっと閉じー・・・

 ぽふん、っていう生暖かい感触を足の辺りに感じて、あたしは思わず目をぱっちりと開けたわ。

「やだ、本気にしないでよ。いくら姿かたちが豹になっても、心は由良皐月のままなんだから。
第一若いうちから空揚げなんて脂っこいもの主食にしちゃだめよ。
それに揚げ物なんて店で買わずに自分で作りなさいな、鍋ぐらいあるんでしょ?」
「・・・え?」
 あたしはあっけに取られながら、足元を見下ろす。
立派な体格の白銀の豹が、前足でぺしぺしとあたしの太ももをツッコミのごとく叩いていた。
気がつけば皐月はその場にペタン、とお座りの格好で座っていて、その背後から殺気はまったく消えていた。
「え、あれ? 痛くない」
 前足でぺしぺしやられているはずなのに、感じるのは柔らかい肉球の感覚だけで。
訝しく思っていると、皐月はにんまり、と笑って前足の腹を見せ付けた。
「ほらね。爪って自由に出し入れできるのよ。さすがに切り裂くわけないじゃない」
 女の子の肌は大切にしなきゃいけないんだから。
そういって皐月は、楽しそうにくっくっ、と笑った。
あたしはすっかり脱力して、その場にぺたん、と座り込む。
「あー、よかったぁ・・・ほんとに皐月ちゃんが豹になっちゃったのかと」
「そこまで感応力は高くないわよ。ね、だからわかったでしょ?」
「へ?」
 あたしはきょとん、とする。皐月はやれやれ、と頭を振ってから続けた。
「十分力のセーブはできるのよ。だから暴れたとしても、お店に迷惑はかけないわ。
さすがに物を壊すまではしないし、よしんば散らかしてしまっても、変化が解けたら片付けるわよ。
リースさん、私を誰だと思ってる?」
「・・・家事手伝いの、皐月さん」
 あたしが辛うじてそう言うと、皐月は満足げに尻尾を振った。
そして腹の底から響く声で「よろしい」と囁く。
「しかし空揚げねえ・・・たまにならいいけど。
そりゃあお子様には人気の料理だってのはわかってるけど、そればっかりじゃ食生活が安定しないわよ。
ここんちの台所はまだまだ厳しいわね」
 皐月はそう独り言のように言うと、軽い足取りでカウンターのほうに回っていってしまった。
あたしがあわてて後を追うと、するりとカーキ色のカーテンの向こうに消えてしまう。
「ちょっ、何しようっての!?」
 たまらずそう叫ぶと、カーテンの向こうから白銀の頭をひょい、と出して目を細める皐月。
「ふっふ。秘密、よ」
「ええ!?」
 ちょ、もしかして台所チェックとかやりだすんじゃないでしょうね!
「待ってよ、だめだって! 今週はあたしが当番で、缶詰とかレトルトー・・・!」
「あらあら、思ったとーりだわ。だめじゃない、小さな子もいるのにこんなんじゃ。
パスタソースぐらい自分で作りなさいよ、カレーもね。鍛える必要あり、かな」
 カーテンの向こうから、そんな”楽しげな”独り言が聞こえてくる。
ちょ、豹がどうやってチェックしてるの・・・!
 あたしは脳裏で、尻尾を使って器用に戸棚を開け閉めしてる皐月の様子を
簡単に思い浮かべちゃって、げっと顔を青くした。
「待って待って、それ以上はだめだって!」
 あたしはしなやかで逞しい豹を何とか止めようとー・・・止められる気すらしないんだけど・・・
意を決して、カーテンの向こうに飛び込んだわ。







 それから? まあ当然のごとく台所や店には白銀の毛が大量に落ちてて、
あたしはルーリィたちが戻ってくる前に何とか元通りにしようと、奮闘することになった。
もちろん、プロである皐月も、人間の姿に戻ってから手伝ってくれたけどね。
でもあたしは正直閉口しちゃったわ。
「ああ、掃除機のかけ方はそれじゃだめよ。ちゃんと隅はホースを付け替えないと。
あと動物の毛ってなかなか吸い取りにくいのよね、ガムテープある?
ここはじっくり根すえてやらないと。あら、何この埃!
戸棚の裏もちゃんと掃除機かけないとだめよ、たまりに溜まってるわ。
知ってる? あの黒い害虫って、埃も食べるのよ。
客商売謳ってるんなら、そこらへんも気をつけなさい。またルーリィさんにも言っとかなきゃね。
あ、それとそこ、ちゃんと乾拭きもしといたほうがいいわよ。ニスが剥げてー・・・」
 
 ああもう、こんなところまでママそっくりなんだから!









                          End.



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▼ 登場人物 * この物語に登場した人物の一覧
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【整理番号|PC名|性別|年齢|職業】

【5696|由良・皐月|女性|24歳|家事手伝】


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▼ ライター通信
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 こんにちは、ご参加ありがとうございました!
大変立派な獣に変化をお望み、ということで、
惚れ惚れする姿に変身して頂きました。いかがだったでしょうか。

変化後の行動が、少しばかりプレイングと違ってしまったかもしれません、
これはこれとして楽しんで頂ければとても嬉しいのですが・・・!

 個人的には、てきぱきと采配を下す皐月さんが
とてもカッコいいな、と思ってしまいました。さすが姉御さん、ということで。

 では、またお会いできることを祈って。