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【SMN】Mission PM-1「Welcome Party」
依頼者：Peacemaker
依頼内容：敵部隊の迎撃
タイプ：オープン
依頼詳細：
「Leaders」がこちらの拠点の攻撃計画を立てているという情報が入った。
拠点の場所は明かせないが、我々としてはこの拠点を失いたくはない。
そこで、敵の攻撃部隊の進路上に部隊を展開し、拠点にたどり着く前にこれを迎撃することにした。
ついては、こちらの部隊と協力し、敵軍の迎撃にあたってくれる人材を募集する。
待機ポイント等については後ほど改めて連絡する。
また、この計画が公開されたことを理由に、敵は侵攻を取りやめる可能性がある。
ミッション開始より一週間のうちに敵の侵攻がなかった場合、ミッションは成功したものとするので、安心して参加してほしい。
「Leaders」の横暴を許せば、人類と超常能力者間の対立が深まり、最終的には世界を二分する戦いに発展しかねない。
そんな最悪の未来を防ぐためにも、ぜひ我々「Peacemaker」に力を貸してほしい。
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一同が集められたのは、郊外にあるビルの一室だった。
「俺が今回の作戦の指揮を執る。
コードネームは『バイト』、得意な戦は負け戦だ。よろしくな」
そう言って薄笑いを浮かべる男に、一同は顔を見合わせる。
「おいおい、負け戦をうまく負けるのも大事な才能だぞ？」
苦笑するバイトに、黒ずくめの大柄な男――ジェームズ・ブラックマンが一同を代表して尋ねた。
「ということは、この戦は負け戦……ということですか？」
「そりゃ、勝てるならそれに越したことはないが、少なくとも必勝を期待されてるワケじゃない、ということだ」
なるほど、こちらの活躍で敵を食い止められればそれでよし、ダメだとしても敵の戦力をある程度でも削げれば上々、と言ったところらしい。
まあ、雇い主にしても「どれだけの人材が集まるか」すらわからなかった部隊に、あまり多くを望むことはできない、ということなのだろう。
そして実際、集まった人数はそう多くはない。
先ほどのバイトとジェームズを含めて、この場にいるのは全部で六人。
剣を携えた金髪の少女イリスフィーナ・シェフィールドと、プラチナブロンドのツインテールと、それに不似合いないくつもの刀剣類が目を惹く少女エリィ・ルー、そして後生大事そうに大きなゴルフバッグを抱えた青年タトポロス。
そんな面々をもう一度確認してから、ジョセフ・エバートは静かに口を開いた。
「最初に、いくつか報告しておきたいことがある」
自らも情報屋として活動しているジョセフは、当然同業者に多くの知り合いがいる。
そのネットワークを使って、彼は事前にいろいろと調査を完了させていたのである。
「俺の方で調べさせてもらったんだが、敵は歩兵部隊を中心に、ＮＩＮＪＡとジーンキャリアが数人ずつ、それに能力者が数人加わるか加わらないか、と言ったところらしい。
ジーンキャリアや能力者の詳細が不明な以上油断はできないが、数字だけで見るなら、これは正面突破を狙える戦力じゃない」
彼が最初に疑念を抱いたのは、はたしてこの襲撃情報が本物であるかどうか、ということだった。
もしかしたら、敵は本当は拠点の位置など知らず、嘘の情報を流してこちらが動き出すのを待っているのかもしれない。
ジョセフはそう考えていたが、その考えは比較的早い段階で否定された。
もともと同じＩＯ２という組織に由来する「Leaders」と「Peacemaker」は、ＩＯ２時代から存在する拠点についてはもちろん、相手がどういう場所に拠点を作りたがるかについても熟知している。
加えて、作戦準備自体も行われている形跡があることを考えると、拠点の正確な場所まで把握しているかどうかはともかくとしても、作戦自体は本当である、と考えてほぼ間違いない。
とはいえ。
襲撃作戦が本当のものであることと、裏がないこととはもちろんイコールではない。
特に、今回のように、敵の戦力が不自然に少ない場合は、なおのこと、である。
「ということは、何か裏がある、と？」
無表情のまま聞き返してくるエリィに、ジョセフは一度頷いてからこう続けた。
「この作戦の指揮に当たっているのは、どうやら『ドレイク』と呼ばれる男らしい」
それを聞いて、バイトが露骨に顔をしかめる。
「参ったな、ドレイクのダンナがからんでやがるのか。
こりゃ、後で上に連絡を入れておいたほうがいいな」
どうやら、彼はドレイクを知っているらしい。
「それほど危険な相手なのですか？」
イリスがそう尋ねると、バイトは軽く苦笑した。
「この上なく厄介な相手だ。どうすれば相手が嫌がるかを熟知してるからな」
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敵の襲撃があったのは、やはり夜だった。
直接戦闘に長けたイリスが正面で敵を食い止め、そこで止めきれなかった相手を最終ラインでジェームズとバイトたちが防ぐ。
その一方で、ジョセフとタトポロスは事前に情報を流しておいた偽拠点に敵を誘い込み、敵の戦力を分散させる。
そしてエリィはというと、イリスよりもさらに前線に潜み、あえて正面の敵を一度やり過ごして、敵を後方から奇襲する、という役割を担当していた。
狙うは、敵の連携の要である通信機器と、敵のリーダーの首。
闇にまぎれ、気配を殺し、敵に気取られぬように動く。
そうこうしているうちに、やがて、敵の動きがほぼ完全に止まった。
どうやら、イリスがうまくやっているらしい。
そのことに感謝しながら、エリィは間近にいる敵部隊の様子をうかがう。
部隊の構成員はほとんどが一般の捜査員やバスターズで、能力者やエージェントの存在は見受けられない。
その中に、誰かと通信しつつ、周囲に指示を出している男の姿があった。
恐らく、彼がリーダーであり通信係。
そう判断したエリィは、近づけるところまで彼に近づくと、矢継ぎ早に二本のナイフを放った。
一本目は狙い過たずに彼の持っていた通信機に突き刺さり、彼がそれに気づくより早く、二本目が彼の喉を切り裂く。
一瞬の静寂の後、たちまちこの部隊は大混乱に陥った。
そこからさらに後方に進んだところで、エリィはひときわ警備の厳重そうな部隊を発見した。
恐らく、これが敵の前線指揮官のいる部隊だろう。
これを崩せれば、一気に敵全体をパニックに追いやれるかもしれない。
そう考えて、エリィはあえてこの部隊に接近を試みてみた。
外側は一見警備が厳重そうに見えるが、これは一般の捜査員が多数いるだけで、むしろバスターズすらいない分、全体の戦闘力は低めにさえ見える。
しかしその分、指揮官と思しき中年の男の脇には明らかにただ者でなさそうな屈強そうな男が二人控えており、さらにいざというときに備えてか、ＮＩＮＪＡと思しき男の姿もある。
これは、一筋縄ではいかなさそうだ。
そこで、エリィはあえて外で騒ぎを起こしてみることにした。
外の捜査員の内何人かを狙い、それでこの三人のうち一人でも表に出てくれば、それだけ警戒は緩くなる。
その隙をついて指揮官を狙い、ことの成否にかかわらず、素早く後退してイリスやジェームズと合流する。
必ず成功させる自信まではないが、試してみるくらいの価値はあるだろう。
エリィは早速一旦部隊から離れたところに移動し、適当な捜査員を狙ってナイフを放った。
急所をナイフに貫かれた標的が、うめき声を上げてその場に倒れる。
「何だ！？」
「敵襲！ 敵が近くにいるぞ！」
まさかここまで敵がくるとは思っていなかったのか、辺りは蜂の巣をつついたような大騒ぎになる。
すると、それに釣られて、何とあの三人が三人とも表に顔を出したのである。
冷静に考えて、これはおかしい。
罠だろうか？ それとも、罠があると思わせて相手を追い払う、いわゆる空城の計だろうか？
一瞬、エリィの判断が遅れる。
予期せぬ出来事が起こったのは、その次の瞬間だった。
「そこだ！」
不意に、男の一人が、エリィの潜んでいた場所を言い当てる。
――まずい！
いくらエリィでも、これだけの数を相手にまともに戦っては勝ち目はない。
何故見つかったのかを訝しみつつ、彼女は大急ぎで撤退を開始した。
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それから、どれくらい逃げただろうか。
不意に前方に生まれた気配に、エリィは急いで立ち止まった。
「追いついたぜ」
現れたのは、先ほどの男の一人。
それに続いて、もう一人が彼女の後ろから姿を現す。
「残念ながら、俺は鼻が利くんでね」
なるほど、後ろの男は犬系の魔物の能力を持つジーンキャリアらしい。
気配は消せても、さすがに匂いまで完全に消すことは難しい……というより、そればかりはさすがに訓練でどうにかなるものではない。
ともあれ、今となっては「何故見つかったか」などどうでもいいことである。
今問題なのは、「いかにしてこの窮地を切り抜けるか」の方だ。
もちろん、エリィも人並み以上に戦える自信はある。
とはいえ、それはあくまで普通の相手と戦う場合のことであって、身体能力に大きく差があるジーンキャリアを、しかも二人も敵に回して戦うのは彼女にとっても容易なことではない。
加えて、前にいる男の方は、一体いかなる能力を有しているかさえわからないのだ。
とりあえず、二人を牽制するように刀を構える。
それを見て、まずは後ろの男の方が動き……深呼吸でもするかのように息を吸い込むと、突然口から炎を吐いた。
――ヘルハウンド！？ しまった！！
かろうじて回避したものの、大きく体勢が崩れる。
気がついた時には、前にいたはずの男がもう目の前に迫っていた。
まずいと思う間もなく、男の蹴りをまともに食らう。
「……っ！」
軽く数メートルは吹っ飛ばされ、そのまま地面に叩きつけられる。
そんな彼女を見下ろしながら、男は小さく笑った。
「俺っちはケンタウロスのジーンキャリアでね。走るのと蹴るのは得意中の得意なんだよ」
立ち上がる隙は、恐らく与えてもらえそうにない。
この状態から不意をついて――それでも、一人倒せるか、倒せないか。
「殺すにゃ惜しい美人だが……アンタはちょっと危険すぎる。悪く思うなよ」
目の前の男が、そう呟いて目を細め――。
次の瞬間、急にその場に倒れた。
見れば、一発の銃弾が男の脚を撃ち抜いている。
どうやら、どこからか誰かが狙撃したらしい。
今回集まった顔ぶれの中で、こう言ったことができそうなのは、恐らく一人しかいない。
「王子様の到着には、ちょうどいいタイミングでしたかね？」
そんなことを言いながら姿を現したのは、相変わらずゴルフバッグを抱えたタトポロス。
そして、その隣には、やはり銃を携えたジョセフの姿があった。
「形勢逆転だな」
その言葉に、ヘルハウンドの男は一瞬驚いたような顔をしたが、やがて、不敵な笑みを浮かべてこう答えた。
「そうでもないさ」
それと同時に、背後に殺気が生まれる。
気がついた時には、先ほどこの二人と一緒にいたＮＩＮＪＡが、すでにジョセフの真後ろに迫っていた。
「危ない！」
ジョセフが振り返るより早く、ＮＩＮＪＡが狙いすました斬撃を――放つことは、できなかった。
それより先に、十数本ものナイフが彼の全身を切り裂いていたからである。
「高かったんですけどね、このバッグ」
隣を見ると、穴だらけになったゴルフバッグを手にして、タトポロスが苦笑していた。
裏の人間だけが知る彼の異名は、確か――「ダンシングナイヴス」。
「人殺しは嫌いなようですし、王子様の役は譲りますよ」
驚愕の表情を浮かべるジョセフにそう告げて、タトポロスが一歩前に進み出る。
「僕はあくまで一介の狂戦士ですから。王子様どころか、騎士様という柄でもないですし」
その言葉とともに、襲撃者を斃したナイフと、バッグの中に残っていたナイフの合計数十本が一斉に宙を舞い――男の断末魔の絶叫が、闇の中に吸い込まれていった。
「さて、戻りましょうか」
彼が何事もなかったかのようにそう言ったのと、バイトから通信が入ったのは、ほとんど同時だった。
『作戦完了だ。すまないが撤収は各自で頼む。こっちもいっぱいいっぱいなんでな』
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From: 「バイト」
Subject: ご苦労さん
この間はご苦労だった。
あの後、敵の待ち伏せにあったりでわりとさんざんだったようだが、
追撃部隊を足止めしてもらったおかげで、どうにか全滅は免れた。
敵が潜入してたのを見抜けなかったのはこっちのミスだ、すまない。
迷惑をかけた分報酬は気持ち多めにしておく。
本当に気持ちだけだが、こっちの現状じゃそれが精一杯だ。重ね重ねすまない。
ともあれ、また何かあったらよろしく頼む。
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結果：友軍の撤退まで敵軍の追撃を阻止することに成功
（目標変更→目標達成）
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■ 登場人物（この物語に登場した人物の一覧） ■
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【整理番号 ／ ＰＣ名 ／ 性別 ／ 年齢 ／ 職業】
5128 ／ ジェームズ・ブラックマン ／ 男性 ／ ６６６ ／ 交渉人 ＆ ？？
6507 ／ イリスフィーナ・シェフィールド ／ 女性 ／ ５４０ ／ 吸血鬼の何でも屋。
5590 ／ ジョセフ・エバート ／ 男性 ／ ５６ ／ 機械修理工（兼情報屋）
5588 ／ エリィ・ルー ／ 女性 ／ １７ ／ 情報屋
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■ ライター通信 ■
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はじめまして、撓場秀武です。
この度は私のゲームノベルにご参加下さいましてありがとうございました。
また、ノベルの方、大変遅くなってしまって申し訳ございませんでした。
・このノベルの構成について
このノベルは全部で五つのパートで構成されております。
そのうち、三つ目及び四つ目のパートにつきましては、全員違ったものになっておりますので、もしよろしければ他の方に納品されている分のノベルにも目を通してみていただけると幸いです。
・個別通信（エリィ・ルー様）
今回はご参加ありがとうございました。
エリィさんの描写ですが、こんな感じでよろしかったでしょうか？
後半の戦闘に関しては、エリィさんの戦闘能力は主に技術的な要素によるもの（身体能力自体は「普通の人間」の範疇に留まっている）という解釈であのようにさせていただきました。
もし何かございましたら、ご遠慮なくお知らせいただけると幸いです。
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