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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


カラオケは終わらない

223:ミユキ _ 07/04 20:11:21
知ってる?
魔のカラオケボックスがあるんだって。
友達に聞いたんだけど、そのカラオケボックスに入ると、
絶対に出られないんだって。
しかも、ずっと歌い続けなきゃいけないんだって。
本当かなぁ?
場所を聞いたんだけど、●◆カラオケ倶楽部だって。
普通に行ったことあるところだったし。
あ、でも223号室には入ったことなかったかも。
せっかくなので、テストがあけたら調査しにいってみようと思いま〜す(笑)。
あ、テストは金曜日までなので、その日の放課後とかに行こうと思うので、
一緒に行ってくれる人募集〜(^^)

224:lily _ 07/05 01:31:44
やめた方がいいと思うよ…?
きっと、その部屋って呪われてるから。
前にそこでバイトしてたけど、ほかの部屋と違って妙にノイズが入ったり、
入れてもいない曲が入ってたってクレームがきたり、へんなことばかり起きてたから。
マイクが手から離れないなんていってきた客もいたかなあ。
いずれにしても、何かいるのは確かだよ。
って、もうここの書き込みなんて見てないかもだけど。

      ○

 その書き込みを読んで、『ゴーストネットOFF』管理人である瀬名・雫は渋い顔になった。カラオケボックスの謎はそれなりに怪しそうだ。が、そこに一人で乗り込むことはさせたくない。怪談にはルールがある。この怪談がもしも本物ならば、うかつに近付いて心身安全でいられるという保証はないのだ。
「あーあ、金曜日かあ……。金曜日……」
 投稿者の「ミユキ」がテストが終わるというその日から、雫の方はテストが始まるのである。タイミングが悪すぎだ。
「というわけで、よ」
 雫は、くるりと椅子を回転させた。
「お願い、このミユキちゃんと一緒に、カラオケボックスに行ってみてくれない? あ、カラオケ代くらいは出してあげるから」
 可愛らしく首をかしげ、雫は依頼をお願いしたのだった。


      ●      ●


 雫にかわいらしく依頼され、也沢・閑(なりさわ・しずか)はそうだね、と微笑んだ。中性的なその笑みに、目撃してしまった客は一瞬目を奪われ、すぐに気恥ずかしそうに目をそらした。閑自身はそんな周囲の人間には気付かない様子で、
「女の子を危険な目にあわせるわけにはいかないからね。そのカラオケクラブに行ってみるよ」
 すると雫は足をじたばたさせて、
「いーなぁ、私も一緒にカラオケに行きたかった……」
 テスト恨むべし! と握りこぶしを作る雫に、閑は曖昧に笑って、
「でも、歌はそんなに好きでもないしね」
 歌い続けなくてはいけないのろいには、若干役不足かもしれないな、とうそぶいたときだった。
「面白そうな話だな。俺も行ってもいいかい?」
 と、近くでずっと聞き耳を立てていたらしい青年が、不意に話に加わってきた。五代・真(ごだい・まこと)である。元気の有り余っている様子は、外見のみならず服装やオーラからもにじみ出る。
「カラオケは得意だしな。ただで行けるとあれば、意地でも行かせてもらうぜ」
 ガッツポーズをして、すでに行く気満々だ。
 雫は少しの間考えていたようだったが、やがてうなずいた。
「なんだか体力ありそうだし、歌い続けるには最適かも」
 正式な了解を得て、真は閑に向き合った。
「じゃあ、金曜日にカラオケボックスでな」
「うん、どうぞよろしく」
 話をまとめ、閑が先にインターネットカフェを出ようとしたときだった。
「――待って、ちょっと心配だわ」
 雫が妙な事を言ってそれを止めた。
「なんだい?」
「だって……。ミユキちゃんは女の子じゃない。そこに、男2人が現れるっていうのは、ねえ……」
 確かに一理あった。女の子を一人で危ないところに行かせられないというが、それを助けに行く2人がおおかみでないとは限らない。相手の信用を得られるかどうか、少し不安が残る。
「誰か、女の子が行ってくれればいいんだけどなあ……」
 ちょうどその時だった。
「雫さん、どうかされたんですか?」
 こちらを気遣う清楚な声。三つ編みにめがねがトレードマークの、斎藤・智恵子(さいとう・ちえこ)である。
「地獄に仏とはこのことね!」
 手をうって喜ぶ雫に、思わず真が「俺たちは地獄かよ」と突っ込むがもちろん聞いていない。くるりと智恵子を見つめて、
「金曜日、空いてる?」
「私ですか? ええと……はい、空いてますよ」
「よかった。ちなみにカラオケは好き?」
「あ、その……わりと、歌うほうです」
 なぜか恥らいながら答える智恵子だ。
「ますます良かったわ。あのね、ちょっと行ってほしいところがあるの。ここなんだけど……」
 雫は智恵子をパソコンのモニターに呼んで説明する。智恵子は快く承諾した。
「分かりました。そういうことなら、私もおよばずながら協力させていただきますね」
 そんなわけで、カラオケへ行くメンバーが決まったのだった。


      ●


 金曜日の繁華街は、適度に混雑していて、目立つのはやはり高校の制服だった。例のミユキちゃんの学校かもしれない。テストが終わったという開放感から、早速遊びまくろうとしているのだろう。
「このカラオケボックスだな。例の、呪われてるとかいうのは」
 真がビルを見上げて目を細める。その様子を見て閑は、
「なんだか、呪いを信じていないように聞こえるんだけど」
「信じてないぜ。そんなのデマに決まってる。でも、せっかくただで歌えるんだ、歌わなきゃ損だろ」
「じゃああなたは本当に、歌うためにきたってこと?」
「呪いが嘘だということを身体を張って証明しに来た、って言ってくれよ」
 得意げな真とは対照的に、先行きが不安になる閑である。この怪奇現象を起こしている「何か」は、何者なのか。マイクを離させない、勝手に曲を入れると言うところから考えて、寂しがりの「何か」なのではないかと考えていた。
「皆さん、お待たせしました。それから、こちらが掲示板に書き込みをされていたミユキさんです」
 智恵子が、別の学校の制服を着た女の子を連れて現れた。
「はじめまして〜、ミユキでっす。本当に来てくれたんだ、なんかスゴい嬉しい」
 ミユキはごく普通の女子高生といった感じである。髪も若干茶色に染めている。
「じゃあ、中に入りましょうか」
 この中では一番年下のはずの智恵子に促され、一同はカラオケボックスへと入店した。


      ●


 問題の223号室は、しかし何の変哲もないカラオケボックスの一室のようであった。少なくとも、誰一人としてその雰囲気に通常と違うものを感じたものはいなかった。
「じゃあとりあえず、最初になに歌うか決めようぜ」
 真はカラオケボックスに据え置いてあるコントローラーを手にとって早速操作しようとしたが、ふと思いとどまった。自分がマイクを握ったら、まず1時間は余裕で放さない自信がある。そうなる前に、とりあえず他の人間をたてるのが筋というものではないだろうか。
 自分の中で話をつけてうんうんとうなずくと、真は隣にいた閑にコントローラーを手渡す。
「え、僕?」
「うん、まあいいだろ? ほら、一番年上だしさ、この中では」
「私も賛成です。どうぞ、歌ってください」
「歌って歌って。チョー聴きたい!」
 智恵子もミユキも、真に賛同する。そう言われて嬉しくならない人間はいない。閑とて例外ではなく、照れながらも曲を探した。
(前に歌ったことのある曲がいいかな。まだ人前では披露したことのない新曲がいいのかな。最初の一曲が、場の雰囲気を決定するといってもいいからね。選曲には細心の注意を払わないと……)
 丸々3分ほど悩んだ結果、閑は曲を送信した。
「はい、マイク」
 真が閑へとマイクを渡す。ちょうどいいタイミングでイントロが流れ出した。
「あ、この曲知ってる。あたし好きなんだ〜」
 ミユキが楽しげにリズムを取り始める。きょろきょろと辺りを見回したが、そこには音の出るものは何も置いてなく、とりあえず手拍子で場を盛り上げる。
 閑が選んだのは、最近ドラマの主題歌にもなったことで話題の、男性シンガーの珠玉のラブソングだ。適度にアップテンポで、ポップな雰囲気が特徴である。
 そして閑は歌いだした。さすがは舞台を踏んでいることもあり良い声である。
 軽快な1メロ。ちょっと抑え気味の歌いだしから徐々にボリュームが上がっていき、ポップコーンがはじけるようにサビへと入る。
(あ、れ……?)
 真はぱちぱちと瞬きをして、歌詞が流れるテレビ画面と閑の姿とを見比べた。想定外の何かが起こっている気がするが、それが何なのか良く分からない。強烈な違和感と、不協和音の上に不協和音を重ねたかのような絶妙な不一致具合。これを言葉で説明するための語彙が、残念ながらなかった。
 閑はさらに歌い続ける。ミユキの手拍子はいつの間にかやんでいた。
(この歌、私の知っていた歌でしたよね……?)
 智恵子もまた、形容しがたい微笑を浮かべていた。笑ってはいけないし、ましてや不快な顔をするなど問題外だ。それに、正直なところ、どんな顔をすればいいのか分からなかった。困ったときはやはりジャパニーズスマイルである。
 間奏を経て、曲はいよいよ佳境に入る。閑も熱くなったのかマイクを持っていない手が拳になっている。
 軽快なリズムがフェードアウトするように消えて、その曲は終わった。
「やっぱり最初は喉が開いてないね。あまり声が出なかったよ」
 閑は照れくさそうにマイクを置いた。
 場の雰囲気は、明るくというよりはカオスに近付いていた。
「あの、閑さん、その……」
「なに?」
「あの、その……」
 何かを伝えたい知恵子だが、面と向かっては何も言えなかった。
「なんでもありません……」
「そう?」
 不思議そうに見つめる閑だ。緊張から固くなっていた智恵子の肩をミユキがぽんぽん、と慰めるように叩いた。
「じゃあ、次は俺が歌うぜ? ぜんぜん雰囲気が違って悪いんだけど、俺の十八番なんだよな」
 慣れた手つきでコントローラを操り、流れてきた曲は――
 どーんっ!!
 いきなり爆発音であった。気のせいか、部屋の明かりまでが爆発音にあわせて点滅したようだ。
 3人の度肝を抜き、曲は最初からいきなりのハイテンポで駆け抜けていく。歌詞の表示されるテレビには、その曲が主題歌に使われているらしい戦隊物の映像が映っていた。
「十八番なんですか?」
「おうよ。いくぜ!!」
 真の返事とシャウトは、マイクを通して二重三重にエコーした。どこまでも雄雄しい声で、真は熱唱した。途中からは力が入りすぎて立ち上がっている。
「この曲は知らなーい。っていうかすごいマニアックじゃないですか?」
 そういいながらも安心したように手拍子をするミユキの姿がやけに印象的であった。
「すごいな。似合ってる。十八番って言うだけあるよ」
 閑が手放しで誉める。
「じゃあ、次は……」
 ミユキが曲を選ぼうとしたときだった。真はなんでもないことのように言った。
「あ、次も俺」
 戦隊物の主題歌が終わると、すぐに次の曲が始まった。流れてきたのは、やけにスローテンポの曲である。スローでありながら重厚、それでいて情に訴えてくるこの感じは、まさしく演歌であった。
「『あぁ、田舎のお袋はどうしてるんだろう。一人息子は親不孝者だったかもしれないが、大きな夢を抱いて東京へ出てきたんだ。全部、お袋を幸せにするためだったんだ。あの女に出逢っちまう前まではな……』」
 歌詞の前に入るモノローグのような部分まで完璧に読み上げ、真は歌いだす。戦隊物のときに見せた男くさい歌い方は陰もなく、そこにはこぶしのきいた渋い歌声だけがあった。
「日本海の荒波が見えます……」
 智恵子が感心したように呟いた。
 演歌が終わると、次の曲もまた真である。一昔前の刑事ドラマに使われた曲だ。夕日をバックに並んで歩く男たちの姿が印象的なドラマであったが、智恵子はうっとりとため息をついた。
「今度は、夕日が見える気がします」
 真の歌声の中には、熱血刑事と定年間近の刑事の哀愁と熱情とが見事に歌いこまれていた。何かが乗り移ったような見事な歌いっぷりである。
「――もしかして彼、今まさに呪われてたりするの?」
 閑がこっそりミユキに耳打ちしてたずねた。ミユキは困惑しつつも
「違うと思う……ただ単に、歌いまくりたいだけじゃない?」
 真のリサイタルはまだまだ続くかと思われたが、その気配に気付いたのか、ふいにマイクをテーブルへと置いた。
「のど渇いたなー」
 と、わざとらしく呟いてウーロン茶の入ったグラスを手に取るが、明らかに「今我に返りました」と顔に書いてある。
「あ、良かったら歌ってくれよ」
 マイクは智恵子へとわたった。
「あ、ありがとうございます」
 適度な恥じらいと奥ゆかしさはもとのままに、だがしかし智恵子の右手は驚くべき正確さでコントローラーを操っていた。何を歌うか、ずっと頭の中でいろいろと考えていたに違いない。
「この、歌に対する執念が、呪いかな?」
 閑が新たな仮説をたててみるが、
「多分、それも違うと思う。智恵子ちゃんも歌いたいだけじゃないかな」
 ミユキが控えめにそれを否定した。
 イントロが流れ出した。いきなり激しいドラムとギターの音が耳をつんざく。スポーツカーのCMにも使われたことのある洋楽だ。かなりのパンクロックである。
「智恵子ちゃん……?」
「曲を間違えたん……」
 真は気を利かせて音楽の停止ボタンに手を伸ばした。が、智恵子は見事に早口の英語の歌詞を歌いだす。見事なネイティブ発音だ。かすれたハスキーボイスも裏声も、自由自在に操っている。
「……じゃ、ないみたいだね」
 真の台詞を引き継いだ閑は、何か悟ったような静かな表情になっていた。多少意外性のあることが起きてももう彼は驚きはしないだろう。
 部屋の照明は、今度は接触の悪さなどでは説明できないほどリズミカルに点滅していた。まるで、曲に合わせて誰かが盛り上げてくれているようである。
 智恵子はそれから、英語の曲ばかりを数曲熱唱したあと、韓国語の曲まで披露してくれた。外はすでに日が暮れかけている。
「そろそろ、あたしも歌いたいなあ」
 ミユキがコントローラーをいじりだした。
「あ、ごめんなさい、私ばかり歌ってしまって……」
 智恵子は恐縮してマイクをミユキに差し出した。が、しかし
「……まだ歌いたいなら歌っていいよ?」
「いいえ、そんなことは! 手から離れないんです。その、マイクが」
 あせったように智恵子が首を振って弁解する。
「本当か? 俺に貸してみて」
 ずい、と真が身を乗り出し、智恵子の手からマイクを取り上げようとした。が、その手は華奢なのに、マイクはびくともしない。
「これは……呪いなのか?」
 とうとう、この部屋の怪奇現象が現れたようだ。
「もっと歌え、ってことなのでしょうか」
 スピーカーからイントロが流れ出す。智恵子が皆と目を合わせて首を振った。自分で入れた覚えのない曲だ。曲自体は知っているので問題はないが。
「ミユキちゃん、はい。マイクはもう一つあるから、こっちを使いなよ」
 何かを探すような仕草をしていた閑が、目当てのものをミユキに渡した。
「ミユキさんはこの曲、ご存知ですか?」
「もちろんよ。智恵子ちゃんは? しってるなら、一緒に歌おうよ!」
「はい、喜んで!」
 そして、華やかなデュオが始まった。ミユキはわりと何でも器用にこなすタイプらしく、智恵子の声にハモったり、アドリブを決めたりと聴いている者を楽しませてくれた。
 一曲が終わると、勝手に次の曲が始まる。ここにいる4人の誰も選んでいない曲だ。このカラオケボックスの機械が曲を決めているとしか思えない現象であった。
「なんか俺も歌いたいっ!」
 真がいえば、真好みの軽快な夏の代表のような歌が流れ出す。
 明かりはリズムに合わせて点滅するし、空調は誰が合わせるでもなく適温に保たれている。
(ここにいてほしい、って思っているのかな。この怪奇現象を起こしている「何か」は)
 閑は歌に耳を傾けながらそんな仮説をたててみた。
「そういえば、この機械が選ぶ曲って……」
 いわゆるマニアック受けする曲ではない。誰もが知っていて、ノリが良くてすぐに口ずさめるような曲ばかりだ。寂しがりの何か、という最初に考えていた説は、わりといい線をいっているのではないだろうか。
 マイクを持っていない閑も、時折メロディーをおって楽しんだ。
「そろそろ、夜も遅くなってきちゃった」
 ミユキがケータイを開いて時間を確認した。その時間を覗き込んで、智恵子も残念そうに、
「私も、そろそろ帰らないと」
 そうはいいながら、呪いのマイクは手から離れない。
 ちかちか、と明かりが寂しげに点滅した。と、次に流れ出した曲は、誰もが知っているあの曲であった。卒業式の日に流れたり、はたまた閉店間際の商店で流れたりするあれである。
「蛍の光……」
 まるで別れを惜しむかのような選曲だ。
「なんでこの曲なんだろう?」
 不思議に思いながらも、4人は歌いだした。呪いのせいでマイクを持ったままの智恵子にミユキが顔を近づけて一緒に歌う。真はもう一方のマイクを握り締め、哀愁の権化と化して「蛍の光」を熱唱する。閑も、懐かしそうに目を細めながら歌詞を追う。
 曲が終わったときだった。
「あ……」
 智恵子の手からマイクが離れた。と同時に、それまで不安定に明滅していた明かりがぴたりとついた。絶妙のタイミングで、備え付けの電話が鳴る。
 一番そばにいた閑がそれに出た。
「はい、もう5分前ですか。いいえ、延長はしません。はい――」


「歌ったね〜」
 ドアを抜けながら、ミユキが伸びをした。智恵子がミユキに微笑み返しながら、
「気持ちよかったですね」
「やっぱいいな、腹の底から歌うのは」
 真もまたすっきりした顔をしている。
「僕も、楽しかったよ。皆と歌えて」
 閑が支払いを終えて最後に外へと出てくる。
「結局、なんだったんでしょうね」
「カラオケに未練のあった霊、とか?」
「マジで? でもそんなに怖い感じはしなかったけど」
 智恵子、真、ミユキがそれぞれの意見を言った後、閑はおもむろに口を開いた。
「僕は、何かつくもがみのようなものだったんじゃないかと思う」
「つくもがみ、というと」
「長く使われてるものに意思が宿るとかいうあれか?」
「あくまでも仮説だけどね」
 閑ははぐらかすようにふわりと微笑んだ。


      ●


「あれ、223号室の機械、壊れちゃったんだ?」
 テスト期間を終え、早速自身のホームページ「ゴーストネットOFF」の掲示板を確認していた瀬名・雫は、その記事に目を奪われた。
 他の部屋のものに比べて古かったが、とうとう先週の金曜日に壊れてしまったという。
 それ以来、怪奇現象は確認されていない。
「へえ、うまくやってくれたんだ。――あたしも行きたかったなあ」
 雫は肩をすくめて残念そうに笑いつつ、その事件に「済」とマークを入れた。




      End.

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】


【6370 / 也沢・閑 / 男 / 24歳 / 俳優兼ファッションモデル】
【1335 / 五代・真 / 男 / 20歳 / バックパッカー】
【4567 / 斎藤・智恵子 / 女 / 16歳 / 高校生】
(順番は発注順です)

NPC:
【ミユキ / 女 / 高校生】

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■         ライター通信          ■
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こんにちは、月村ツバサです。
「カラオケは終わらない」楽しんでもらえたでしょうか。
私はB型なので、カラオケはわりとマイペースで楽しんでいます。
皆さんはどんな楽しみ方をしているのでしょうか。

▼五代・真さま
はじめまして。このたびは参加していただきありがとうございます。
どんな歌にも全力投球してくれそうな彼は、想像するだけで楽しかったです。
のろいなんて信じない、というスタンスで、純粋に歌を楽しんでもらいました。
少しでもお気に召していただければ幸いです。

月村ツバサ
2006/07/24