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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


白のソウルテイカー


  夕立が激しく窓を叩き、向かいのビルの様子もよくわからないほどに降っている。
「…百の魂、白、ソウル……何のことだ?」
 警察関係者にいる知り合いが、トガセの変死体が発見されたことを受け、足取りをたどって草間のところにたどり着き、事情を話すと、内密にトガセが残したメッセージを見せてくれたのだ。
「……くそっ…!」
 後味の悪い思いをした仕事は今までにも沢山あった。だが、今回のは完全に自分たちの落ち度だ。
 追い払うのではなく、しっかりと捕まえるか始末するかしておけば、トガセは死ななくてもよかった。
 そればかりが頭の中を支配し、やり場のない思いにただため息しかでてこない。
「――…まだ狩りは続けられてる…」
 何としてでも止めなければ。
 メッセージを残してくれたトガセの思いに報いる為に。
「お兄さん、お客さ―…」
「?どうした、零――!?お前は…ッ」 
 零の言葉が途切れたことに首を傾げつつ、振り返った草間は唖然とする。
 目の前にいるのは、見紛うこともない。
 追い払ったはずのアンダーテイカー。
「なっ…!?」
「ああ、身構えないで下さい…この姿に驚かれるのは当然かと思いますが、私はアンダーテイカーではありません」
 そんなことをいきなり言われて、はいそうですかと納得する方がおかしい。
「!お前ッ零に何をした!?」
 当然、前回の一件で零もアンダーテイカーの顔を覚えているはずだ。
 なのに先ほどから全く動かない。
「このお嬢さんに動かれては聊か面倒ですので…悪いとは思いましたが少しの間だけ時間を止めさせていただきました」
「時間を…?」
 男を警戒しつつ、動かない零の傍によると、言葉を発しかけた状態のまま完全に止まっている。
「用が済めば解きますので」
 何の用があるというのだ。
 そう言わんばかりに男を見据えると、男は白いシルクハットを取り、優雅な礼をして口を開く。
「信じていただけないかもしれませんが、アンダーテイカーのことで貴方にお願いがあって参りました」
「願いだと?」
 アンダーテイカーではない、けれどアンダーテイカーに縁のある者である事は間違いない。
 そんな異形の輩がわざわざ人間に願い?
 何を願うと言うのだろうか。


「私は白のソウルテイカー…あの子が…白のアンダーテイカーが百の魂を集める前に、あの子を殺してほしいのです」

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■―14:10―

  雨は降り続く。
 いつしか窓ガラスを叩くその音にも慣れてしまい、耳から遠い。
 草間から連絡を受けて、雨の中、手の空いていた者が駆けつける。
 その中には内山・時雨(うちやま・しぐれ)も入っていた。
「悪い、タオル貸しとくれ」
 傘をさして悠長に歩いてくる気などなかった時雨は、地下街やアーチのある商店街を駆け抜け、何度も近道を通りながら興信所まで走ってきた。
 それでも何度か降りの激しい時分に遭遇した為に、服は濡れ、目にかかる髪を片手でかき上げる。
「はい、内山さん」
 時雨にタオルを渡したシュライン・エマは、あまりにもずぶ濡れの時雨を気遣い、熱めのお茶も用意した。
「お気遣い有難う。シュラインさん」
 これしきの雨で風邪をひくような軟な体はしていないが、とりあえず一息つきたかった。
 このままでは勢いで罵声をあびせてしまいそうだったから。
 相手のことを気遣っているわけではない。
 ただ勢いや憤りから言葉を発することを避けたかった。そういう感情は思考を鈍らせる。
「………」
 席に腰掛けたまま、微動だにしない白のソウルテイカー。
 見れば見るほどに先日のアンダーテイカーと瓜二つだ。
 騙されている、そう思ってしまうのも致し方なかろう。
 熱い茶をゆっくりと飲み、湯気で曇った眼鏡を拭きながら、時雨はようやく己の考えを整理し始める。
 その時だ。
「ごめんください。草間さんいらっしゃいますか?」
 一同の視線が出入り口に集まる。
 ノックして、少し扉を開けて隙間から顔を覗かせたのはまるでウサギのような少女。
 白銀の髪と赤い瞳が印象的…というかその格好も実に印象深い。
 奇抜なデザインの洋服に、豪快な和柄がプリントされた服をさも当然のように着こなしている辺りがすごい。
 少女は名を久良木・アゲハ(くらき・あげは)といった。
「いらっしゃい、アゲハちゃ…あら?」
 扉のすりガラス越しに見える人影にシュラインは言葉をとめる。
 アゲハの後ろからその人影がひょっこりを顔を出し、軽く会釈した。
「俺も同行させてもらいました、お久しぶりです。シュラインさん、草間さん。能力者狩りだなんて物騒な話ですね。まぁ、俺の人のことは言えませんが」
 黒髪に褐色の肌。
 アゲハとは対象的な姿をしたその少年の名はアイン・ダーウン。
 草間から連絡を受け、興信所へ向かっている途中にアゲハと遭遇し、一緒に入ってきたのだ。
「――これで、これる奴は全部だな」
 所長席からゆらりと立ち上がる草間の周囲には、重苦しい空気が取り巻いている。
 アゲハやアインはその理由を詳しくは知らない。
 先日の一件に関しても、草間からあらすじを聞いただけだ。
 シュラインや時雨の表情も聊か暗い。
 トガセが、最期の言葉を自分たちに残してくれた先日の依頼人への悔やみが、三人の表情を曇らせている。
「ソウルテイカー…なんていうくらいなんだから、葬儀屋とは仲良しじゃあないのかい?喧嘩でもしたかな、なんてね」
 沈黙したままのソウルテイカーを見た時雨がポツリと呟く。
 落ち込んでいる場合ではない。
 それは時雨は当然のこと、シュラインも草間もわかっていることだ。
 テーブルに手をつき、身を乗り出す時雨は憤りをすべて呑み込み、ソウルテイカーに詰め寄った。
「――依頼者ならある程度の情報は開示してもらわんと」
 手元に落としていた視線を上げ、ソウルテイカーは時雨を見やる。
「………許された範囲で、あの子を止める為に必要な情報はすべてお話しましょう」
 胸に手を当て、凛とした面持ちでそう告げるソウルテイカー。
「アンダーテイカーの鎌は黒。即ち白以外に黒が彼に許されている。奴を見た限りでは基督教の匂いがするね。装束も祭服もアルバに似ておるからして、宗教的に反対の意味を持つ色を最も嫌うという事は無いかな?」
 穢れなき純潔の白、暁闇の彼方よりいずる死を齎す黒の逆。
 穢れの象徴である血や生の赤。
「アンタらのその『白』の示すところは一体何なのか…」
 まずはそこからだ。
 時雨はそう言って一先ず体を引く。
「アンダーテイカーは神の名口に。それを踏まえ白色と絡めて考えると…貴方は天使アズラエルと何か関連があるのかしら?それと…あの子と呼ぶほど親しい様子だけど関係は何か、ご自分でやらない理由は何か…」
 私が聞きたいのはそこからよ、とシュラインは告げる。
 アゲハやアインもこの依頼内容に関して質問したいことはいろいろあるが、まずは前回を知る彼らの疑問が解き明かされることが先であろう。
 それを聞いた上で考察しなおすべきところも出てくるはずだ。
「――…仰るとおり、我らが属するはキリスト教。我らは神に仕える農夫。二人で一つの精霊…アズラエルの前身…階級を得る前の不完全な告死天使…白は清廉潔白の象徴。何者にも染まらぬ、清き心根で神にお仕えする事の証。デスサイズの黒は死を告げる者の揺ぎ無い刃。私情に流されず、ただ神に仕える力であるがゆえの、霞む事無き鬼籍の筆」
 今はまだ、告死天使や死神の手伝いをするだけのただの使役精霊にすぎないと、ソウルテイカーは言った。
「…死を告げる天使の見習いってことですよね?二人で一つなのに…殺してほしい、ですか?」
 依頼内容を聞いていた手前、ソウルテイカーの話から矛盾が生まれる。
 二人で一つという事は、どちらが欠けてもダメだということではないのか。
 それがまずアゲハの中で生じた疑問。
「あの子を止めるのは、本来であれば私の役目。二人で一つ…片方が道を踏み外したなら、もう一人が全力でそれを粛清するのが定め……しかし…もはや私にはその力もないのです」
 悲しげな目をするソウルテイカーに、シュラインは更に問う。
「それはどういうこと?」
「手を」
 その問いに、ソウルテイカーは手を出せと促す。
 何をする気だろうと警戒しつつも、躊躇っていたのでは話が進まない。
 意を決してシュラインは差し出された彼の手に触れようとした。
 ところが。
「!?」
 触れようとした手は空を切り、目の前にはっきりと見えているソウルテイカーの手をすり抜けた。
「―――もはや、触れることも叶わない。精霊としての核が…唯一この姿を貴方たちに見せているだけ…」
「さっきは零に力を使っただろう!」
 草間が声を荒げるも、ソウルテイカーは首を横に振る。
「あれが私の最後の力…行使できるのは現世にあるものだけ。あの子…アンダーテイカーには通用しない。それだけではない。あの子の目には…もはや私の姿も映らない。声も届かない…」
 魂を刈り取る時に必要な能力は、燃え尽きようとしているその身でも僅かに使う事を許されているという。
 最後の権限。
 しかし、今最優先ですべきことにはその力は全く無意味だ。
「…百の魂を集めることに何の意味がある?」
「百の魂は命の通貨。魂の質が高ければ高い程、その価値は高い…消え行く精霊を復活させられるほどに。ピュアソウル、セカンドサイト、ノーブルワン…条件に合うのはそれらを持った魂のみ」
 アインの問いに、そう答えるソウルテイカー。
「…なるほど。それでトガセさんをセカンドサイトの紳士…と言ったわけかい」
 借り集める条件がイマイチ不明瞭だった時雨の疑問も解消された。
 言葉の響きや、犠牲になったトガセの能力を考えると、純真無垢か真実を見通せる力を持って者か、高潔な魂を持った者がアンダーテイカーの言う上質な…条件に適合した魂というわけだ。
 それを聞いて草間の中でトガセの残した言葉の意味が繋がっていく。
「――何らかの理由で、消滅しようとしているアンタを復活させる為に、アイツは能力者の…アンタらから見て質の高い魂を百個集めようとして今も狩りを続けているってのか!?」
 ソウルテイカーは静かに頷く。
「…相方の為に禁を犯して魂を狩っているだと…?そんな理由で…?」
 そんな理由、といってもアンダーテイカーにとっては何にも変えがたい大切な存在であろうことは推し量れる。
 しかし、神に仕える農夫の命が尽きようとしているからと言って、地上で生きる者の命を鬼籍に載ったわけでもないのに狩り集めるのは納得できない。
 だからこそ『そんな理由で』と時雨は言ったのだ。
「言い方が悪いかもしれないけれど、私も内山さんと同意見だわ…」
 言葉が悪いというよりも、それ以上に的確な言葉が見当たらない。
 やりきれない思いがシュラインの胸中を占める。
「…それ以外に道は無いのかな。百の魂を集めることだけでしか、それは成しえない事なんだろうか?もしくは、そうしなきゃならないって思い込んでる?」
 昔の自分のように。
 アインがポツリと呟く。
 百の魂が集まればどうなるのか、神の法を犯している相方の始末をつけなければならないのに、自分にはその力が既に無い。そこまでは理解した。
「他に方法があるかどうかはわかりません。ただ、我らが知りうる唯一の方法をあの子は実行している。そして、別の道を選びなおすにしても時間は殆ど残されていません」
 自分が、消えるまでの。
 ソウルテイカーはアインにそう告げる。
 抱いていた疑問も、他の人の質問で大方解消されたし、自分に出来ることは恐らくアンダーテイカーと一戦交えること。時間があれば他の道を探しようもあっただろうが、無いならば無いでその中で最善の策を練るだけだ。
 勿論、真っ向から勝負を挑むような無謀なことをするつもりは毛頭ない。
「殺して…その後はどうするんですか?」
 その依頼を引き受けるとして、依頼が完了したその先はどうするのかと、疑問を抱いたアゲハ。
 アゲハの問いに、ソウルテイカーは淡々と答える。
「あるのは消滅。なりそこないの精霊分子が解けて光に還り、他の無数の光と混ざり、幾つかの光は再びきっかけを得て精霊に生まれなおす…再構築は魂も中身も記憶もすべては新しくなり、過去は何一つ残らない」
 死というよりは魂の循環。
 死を恐れる概念はあまり無いという。
「でも、貴方の死に拘り、それを回避しようとしているのはアンダーテイカーよね?そして貴方は、その行為をアンダーテイカーの死によってしか回避…いえ、救えないと考えてる?」
 神に仕える農夫としての道を踏み外したアンダーテイカー。
 神の御名において執行するのではなく、私欲に走った行為がそう簡単に赦されるとは思えない。
 言葉にするなら、神罰は必至といったところか。
「私が消滅すれば、あの子も存在意義を失くします。力を徐々に失い、やがては元いた光の中に還るでしょう。しかし……」
 その間の絶望が、再び凶行に走らせないとも限らない。
 与えるのは安寧なる死と再生。
 それを人の身である草間たちに求めている。
「………ご大層な話だ…ったく……」
 ため息混じりに新しい煙草に火をつける草間。
「――私から…最後に…アンダーテイカーが集めた魂、もし体が残っていたら…戻せますか?」
「外的損傷がなく、死後三日以内であれば…今回は特例として甦生が認められております」
 その言葉に、シュライン、時雨、草間の表情は一気に明るくなる。
 それと同時に慌てて連絡をくれた警察関係者に連絡をつける。
「間に合ってくれ…!」
 司法解剖に葬儀。それらを考えると事件から一日半経っているからして、もはや手遅れかもしれない。
 一同は祈る。
 これでもし遺体に手が出されていない状態であれば、トガセだけでも生き返らせられる。


「―――――………そうか!恩に着る!!借りは必ず返す。ああ、じゃあよろしく頼む」
 電話を切った草間に、シュラインたちが迫る。
「武彦さん!」
「その様子だと、トガセさんの遺体は――」
 詰め寄ってきたシュラインと時雨に、草間はにやりと笑う。
「ギリギリセーフ……夕方から始まるところだったそうだ…」
 アンダーテイカーのせいで連日あがる変死体の数に、検死の手がおっつかず、未だ手をつけられていないとのことだった。
 勿論、トガセの死に少なからず草間が絡んでいることから、それを予めわざと遅らせていたということもあるらしい。
 借りを作りたくない相手だとよく一人ごちている草間だが、今回ばかりはその配慮に、素直に有難うと言いたい。
「猶予はできた…だがあと一日半だ。それが過ぎれば……」
「そうなる前にケリをつけないとね」
 時雨がパキリと拳を鳴らす。
「頑張りましょう。トガセさんを生き返らせる為に」
 詰めの甘さから死なせてしまったトガセを甦生出来る可能性が残されている知り、シュラインの目元には薄っすら涙が光る。
「よかった…まだ可能性は残されてるんですね」
 トガセの検死にストップをかけさせ、その後同様の状態で運ばれてくるであろう変死体があれば、同じように待ったをかけておいてくれるらしい。
 それがわかっただけでもアゲハはホッとしていた。
 犠牲はないに越した事はないが、出来るだけ少ない方がいい。
 自分が傷つくのも嫌だが、誰かが傷つくのはもっと嫌だ。
 それがアゲハの芯にある想い。
「さて…猶予はできましたけど、だからといって時間があるわけじゃない。話を聞いてペイント弾とそれ用の銃は持ってきてるけど、一度やられた事には更に警戒してるだろうから、もっと数が必要なんじゃないですかね」
 ペイント弾を見せるアイン。一同はそれに頷き、それぞれがすべき事の準備を開始する。
 興信所内が慌しくなってきた。
 ペンキやペイント弾などの手配をシュラインがしている間、草間と時雨、アイン、アゲハはアンダーテイカーを追い込む為の計画を練り始める。
 そんな中、アンダーテイカーの能力からふと気になったことを、ソウルテイカーに再び質問するアゲハ。
「あの、スミマセン。話に聞く中で、アンダーテイカーが使った棺なんですけど。………棺が本体って事はないです…よね?」
 その問いに、これまで大して表情の変化などなかったソウルテイカーが驚いたような顔をする。
 ああ、やっぱり間違っていたかな、とアゲハは自分がトンチキな質問をしたと思い、忘れてくれと言おうとした。が。
「いい所に目をつけますね。お嬢さん…棺やデスサイズは本体ではありませんが、それぞれの力の源…それがそのまま名を表しています」
 アンダーテイカーは棺。
 ソウルテイカーはデスサイズ。
「あの子が持っているのは私のデスサイズですが…元が一つであるから持てるだけで、あのデスサイズ自体があの子に力を与えている訳ではありません」
 魂を刈り取ることは鎌自体が常に展開している能力ゆえ、アンダーテイカーもそれを振るだけで魂が刈り取れているが、それはアンダーテイカーの力によるものではない為、デスサイズを取り上げてしまえば新たに魂を狩ることは出来ないと言う。
「じゃあ、棺が出現した時、それにペンキとかを塗って彼にとって絶対の白を穢してしまえば―――」
「あの子の能力は一時的にではありますが、すべて封じられます」


■―22:00―

 『――feel like shit…あと76個だというのに…この街には良質の魂はこれだけしかないのかッ』
 アンダーテイカーの目の前にはまた一人、犠牲者が横たわっている。
 みればまだ幼い少女。
 その体からすぅっと抜け出てくる淡い水色の塊。
 それが彼の周りに23個。
 新たに一つ加わり24個。
 彼の周りで揺らめくの光の魂が、これまでの犠牲者の数。
 そういえば、耐え難い辱めを受けたあの連中の魂は、なかなかに上質の物が二、三個あった。
 だが――
『…時間など無い』
 一つ二つを狩るのに時間などかけていられない。
 かける時間などない。
 一刻の猶予も無い。
 ソウルテイカーが消滅するまでのタイムリミットは後数日。
 それまでに集めなければ。
 きびすを返し歩みを進め、少女の遺体から遠ざかっていく。
『ソウルテイカー…私の大切な半身――』
「大切な半身といっても、御使い見習いがそういうことをするのはどうかしらね?」
『!』
 声のした方に振り返ると、少女の傍に膝をつき、体を抱きあげるシュラインがいた。
 彼女の言葉に何かしらの違和感を感じた。
 この人間は何らかの正確な情報を得ている。
 このまま放っておけばいずれ自分の使命の妨げになる。
 アンダーテイカーの六感がそう告げている。
『――先日、セカンドサイトの紳士を狩った時にいたレディ』
 くるりとデスサイズが弧を描く。
 刃先の流れが変わる。
「!」
 次の瞬間風のように眼前に現れ、刃先を脳天に振り下ろすアンダーテイカー。
『レディ、貴女の魂も頂こう』
「させません!」
 振り下ろされるデスサイズの柄を狙って蹴り飛ばし、軌道はシュラインから反れ、彼女のすぐ傍の地面にザクリと突き刺さる。
『!』
 デスサイズを引き抜く前に、アゲハの第二撃がアンダーテイカーの顔面にぶち当たる。
「アインくん!」
 アンダーテイカーがアゲハを視認したかと思うと、アインが死角から現れ更なる一撃を与えた。
『!ぐっ…』
 その衝撃に思わずデスサイズから手を離してしまった。
 チャンスとばかりに横から時雨がそれを拾い上げ距離をとる。
『!?何をする!返せ!!』
「返せといってもこれはアンタの持ち物じゃあないだろう?相方の大切な力を悪用するのはどうかと思うがね」
『!?』
 何故それを知っていると、目を見開き激しい動揺と奪われた怒りで普段のアルカイックスマイルが見事に崩壊している。
「…チッ…」
 僅かに苦悶の表情を浮かべる時雨。
 見習いとはいえ御使いの力そのものであるこのデスサイズを地上に生きる者が、ましてや鬼である自分が手にして何とも無いわけがない。
 デスサイズに触れている肌がジリジリと焼けていくのがわかる。
 拒絶によって火傷を負うことは、自らが穢れていると言われているようで実に不愉快極まりなかったが、今はそんなことを言っている暇などないのだ。
 人の手にはこんな物持たせられない。
 アインやアゲハのような機動力に優れている訳ではない以上、自分に出来ることをするまで。
 デスサイズの柄を握ったまま、時雨は不敵に微笑んだ。
「争いを起こし、人の命を奪うことは必ず阻止されると思え!」
 困惑しているアンダーテイカーにアインが言葉を浴びせ、それにアゲハが続く。
「ソウルテイカーはアンダーテイカーがそんなことをするのを望んでいません!もう止めて下さい。トガセさんの魂も…その女の子の魂も…集めた魂全部を解放してください!」
『何がわかる…』
 ぽつりと呟かれた言葉。
 その場にいた全員が静まり返る。
『一つの存在になるはずだった相手が、ある日突然消滅しようとしている。それを救おうとして何が悪い?何が罪だというのだ!!』
「鬼籍に名の上がっていない者の命を選別し、刈り取っていること自体が罪だろうが!」
 時雨の怒声が響く。
 自分はどの宗派に属する存在でもないが、これだけははっきりといえる。
 どんな理由があろうとも命を奪うことが正当化される道理は無い。
「――自分たちが崇高な存在とは言わないし言えないわ。けれど聖書に、神の教えに従う存在である貴方がその神の定めた法に背いているのは事実…貴方一人辺獄に堕ちてどうするの?」
 神に背いた御使いは、神の愛を疑った御使いはその身を転じ悪魔と化し、天界に背く身となる。いわゆる堕天だ。
 唯一絶対の存在として、敬愛する神の為に。
 父と子と精霊の御名において、与えられた使命をまっとうしなければならない。
 アンダーテイカーやソウルテイカーという対になる存在が九階級の中に含まれているのかはわからないと、知人の聖職者は言ったが、あるとも無いとも断言できないことだけは確かだ。
 実際その目で天国を覗いたわけではない。
 教えとして、六世紀ごろの修道神学者の説があるから、そうとされているだけである。
 それに対し否定も肯定もあえてしないと、その神職者は言った。
 端から聞けばその回答も聖職者としては非難の対象かもしれない。
 目の前にある現実が示すものからその行為が正しいのか、過ちなのかを判断するしかない。

 ソウルテイカーが消滅しようとしている原因はわからない。
 誰も傷つかなくて済む道がわからない。
 それを探す時間すらない。
 そして、道を踏み外したアンダーテイカーがソウルテイカーと同じ所へ行けないことも。
『黙れ…黙れ黙れ黙れえええええええええええええええええええええええええッ!!』
「――…既に狂っている相手に使うだけ無駄…か」
 人の精神を操れる装置【クライシス】。
 隙を作る為に有効かと思って発動させてはみたものの、操れるどころか干渉すらできない。
 人ではない御使いゆえかと思ったが、冷静なように見えて実は既にその精神は崩壊しているのだと気づく。
「時間がない。早いトコ片をつけよう」
 アンダーテイカーが零以上に自分の存在を感じ取れないのは先ほどの一撃を加えた時にわかった。
 アゲハとの連携に対し、アゲハが接近した時の反応はすぐだった。
 勿論、気づいてもそれに対応しきれる速度ではなかったから、あの一撃をもらったのだろうが。
 その後の自分の攻撃に関しては全く隙だらけ。
 アゲハの合図があってもこちらを見ることはなく、一撃与えて初めて存在に気づいたようだった。
 サイボーグで人の部分など殆ど残っていないこの身だが、こんな時ばかりはそれが大いに役立つようだ。
「――皮肉なものだな」
 自嘲気味に笑うアイン。
 アンダーテイカーは手を伸ばし、地面から引き上げるように手を上げていく。
 前回同様彼を中心に円を描くように、棺が出現した。
 数は、四つ。
『先日の男もいるか――私の邪魔をする者はすべて棺と共に辺獄へ堕ちろ!!』
「きゃッ!?」
 棺の蓋が開いた途端、体が引き寄せられる。
「つかまれ!!」
 時雨はとっさにデスサイズの柄を地面に突き刺し、片手でしっかりと握りこむ。
 肌が焼ける臭いが鼻につく。
 すさまじい吸引力に体勢を崩したシュラインは、あわや棺まで一直線に引きずられる寸でのところで時雨の手を掴んだ。
「ありがとう、内山さ……?…」
 握られた手に当たる妙な感触。
 妙に熱く感じられる手のひら。
「なぁに、大したことじゃあない。気にせんでな。それよりも、今は目の前の事を何とかするのが先決だろう?」
 なんでもないと、今はそれどころではないと時雨の目は語る。
「わっ!?」
「うわぁっ!」
 その場に響く男女の声。
 アゲハともう一人は――
「武彦さん!?」
 ソウルテイカーと共に、アンダーテイカーが逃走できないよう周囲にトラップの準備を進めていたはずの草間が茂みから引っ張りださっるように転がり出てきた。
 そしてそのままずるずると棺に向かって引きずられていく。
「草間さん!何で!?」
 アンダーテイカーは草間の姿を視認していない。
 なのに何故?
 四人は何故、としか言えない。
「感覚を広げたのか!?」
 棺は四つ。
 はなから自分に向かった力だと思っていたアインは、自分に対して棺の力が全く働いていないことに気づき慌てた。
 サイボーグだからなのか。
 それとも、アンダーテイカーが自らの感覚で捉えられない者は対象外とされたのか。
 草間の存在に気づいていないと思っていた為に油断した。
「草間さん!」
 普段であれば大して離れた距離でもない。
 しかし引きずられていく草間に働く力は、草間を宙に浮かせようとしている。
 加速装置で回り込み、草間の体を受け止めその場に踏ん張った。
 自分に対してその力は働いていないものの、草間にかかる引力は徐々に強さを増している。
 このままでは引力と自分の間に挟まれて骨や内蔵がいかれてしまうかもしれない。
 シュラインや時雨にかかる力も増した。
「くっ…!」
「――痛ッ」
 デスサイズを突き立てている地面がビシビシと音を立ててそのひびを広げている。
 拙い。このままでは支えの地面が先に割れる。
 デスサイズを握る手の内からブスブスと煙があがる。
 拒絶の力が、どんどん強くなる。
「…やばいね…感覚がなくなってきちまった」
 人にもデスサイズにも、アンダーテイカーにも触れることの出来ないソウルテイカーはただ見ているより他に無い。
「アンダーテイカー…――――…」
 傍らに立ち、ジッと見つめていてもその存在に彼は気づくはずもない。
 現世に生きる者とこの世を彷徨う死者のように、その存在をアンダーテイカーは知る由も無い。
 それをみて、引きずられまいと踏ん張ることに集中していたシュラインは思い出す。
『――こんなことをしても私は戻れない。我らは神の子の犠牲の上に成り立つ存在ではない。光の河へ…あるべき姿へ帰ろう』
『!?』
 力が急に弱まった。
 それをチャンスとばかりにアゲハは持っていたペイント弾を棺に向かって何発も射ち込む。
 真っ白な棺はペイント弾の蛍光色に染まり、出現した四つの棺すべての白が侵される。
 途端、アンダーテイカーの周囲に出現していた棺は霧散し、それぞれにかかっていた負荷も消えた。
「ぶはぁっ!」
「大丈夫ですか?草間さん」
「圧死するかと思った…」
 呼吸を整えようと必至になっている草間に、一先ずアインはホッとする。
 だが、まだ終わったわけではない。
 アンダーテイカーはシュラインから視線を外さない。
『――なぜだ。何故お前が白のソウルテイカーの声を持つ……そこに彼はいない……何故だっ!!!』
「…いるんだよ。こっちじゃなくお前さんの傍に」
 肉が焦げる臭い。
「内山さん、やっぱり怪我を…」
 先ほどの手の感触。
 このかぎ覚えのある臭い。
 時雨の体で影になっていた、デスサイズを持った手は、内側だけでなく手の甲までひどい火傷を負っている。
「…チキンだからね。あの二人のような俊敏さはないし、現状で出来ることといえばこれくらいさ。馬の油でもつけときゃすぐ治る」
「内山さん!すぐそれを放して!」
 デスサイズに手を伸ばそうとするシュラインに、時雨は声を荒げて静止する。
 人外の自分ですらこんな状態になるのだから、人の身で触れればどうなるかわからない。
 だから触れるな、と。
「まだ終わっちゃいないよ…これから手を放して、もし力で引き寄せたり出来たならどうする。たとえアイツの力ではなくても、これ自体がもつ力は厄介だ」
 訪れたこの勝機を逃すことはない。
「内山さん…」
 アンダーテイカーの方を見やり、時雨は彼への言葉を続ける。
「お前さんにゃ見えないんだとさ。私らにははっきりとソウルテイカーの姿が見えとる。ただし、こっちも触れることはできないがね」
 少し距離をとりながら、アゲハは時雨の言葉に続いた。
「……白の、ソウルテイカーが草間さんのところへ依頼に来たんです。『白のアンダーテイカーが百の魂を集める前に殺してくれ』と」
 その言葉に、今度はアゲハの方へ視線を向ける。
『…ソウル…が…?』
「死を告げ、その魂を刈り取って神の元へ連れて行く、神に仕える農夫として、貴方は私情に走りその道を踏み外した。それに対して、対の存在であるソウルテイカーは貴方を責任もって始末しなければいけなかった…」
「けれど、自分自身が消滅しようとしている中、君に触れられない、話しかけられないという状況で、恐らく苦肉の策だったんだろうね。俺たちに依頼してきたんだ」
 シュラインが、アインが困惑するアンダーテイカーに今回の依頼の経緯を明らかにしていく。
 アンダーテイカーはただ呆然と立ち尽くしていた。
 唯一無二の存在であるソウルテイカーが、自分を殺せと人間に頼んだ。
 それが事実だとどうしても信じられない。
 信じたくない。
 嘘だといってくれ。
 嘘だと信じさせてくれ。
「魂を解放して、今からでも間に合うはずよ!」
『うわああああああああああああああああああああああああああああッ』
 発狂したアンダーテイカーの体が、いや、その純白の服が徐々に黒く染まっていく。
『いけない!早くそのデスサイズであの子を斬って!』
「何!?」
 隣に現れたソウルテイカーが時雨の手に自分の手を重ねる。
 すると、あれほど焼け爛れて、常人であれば壊死寸前までいっていた手が何事も無かったように再生し、柄を持っていても何の反応も示さない。
「これは――…」
 ソウルテイカーに視線を向けると、つい先ほどまではっきり見えていた彼の体が幽霊のように透けているではないか。
『越権行為の延長になってしまいますが…貴方の手と一時的に同化させます。これであの子を斬って下さい!あのままでは傍にある魂までもが引きずり込まれる!!』
 ソウルテイカーの声も徐々に遠くなっていく。
 迷っている暇はない。
「えぇい!儘よ!!」
 デスサイズを持って駆け出し、時雨はアンダーテイカーに刃先を振り下ろす。
 半分以上黒く染まった服。
 そして、まるで紙を切り裂いたかのように、アンダーテイカーの体は真っ二つになり、黒い塵となって霧散する。
 霧散した塵も、すぐに消滅した。
「!」
『――ありがとう……最後に、一番嫌な思いをさせて…御免なさい』
 時雨の手にあったデスサイズとソウルテイカーも、アンダーテイカーと同様に霧散した。
 こちらは、逆に白い塵と化して。
「見てください!魂が――…」
 アゲハが示す天空を見やる一同。
 大半が上へ上へと昇り、幾つかの魂は別々の方向へ飛んでいく。
 それぞれの体がある場所へ。
 今しがた犠牲になった少女の中にも魂が戻った。
「連絡を取らなきゃいかんな」
 そういって情報を流してくれた知り合いにたった今起こった事の報告をする草間。
 保存されたそれぞれの体にちゃんと魂が戻ることが出来たかどうか。
 今しがた甦生した少女の保護要請も含めて。
「……これで、一件落着……?」
 シュラインの表情は何故か微妙だ。
「…表向きは、じゃないかな…」
 アンダーテイカーを斬った時雨までが、腑に落ちない様子で呟く。
「アンダーテイカーは、光の河へ戻れるんでしょうか…」
 最後の変化。
 純白から漆黒へ変化していくあの様は。
「―――堕天…した…?」
 確かに、時雨が斬ったことでアンダーテイカーは消滅した。
 最後の力を振り絞って手を貸してくれたソウルテイカーも。
 だが、本当にあれで『白のアンダーテイカー』を殺すことが出来たのだろうか。
 いや、もしかすると、殺せたのは『白』の部分だけだったのかもしれない。
 完全に終わったという気が全くしない。
 これまで起こった事件や現象からの経験上、四人の本能に何かが告げる。
 それは予感か。
 はたまたただの考えすぎなのか。


 それが明らかになったのは、それから数日後のこと―――



■後日 ―15:45―

  相変わらずの日常に戻っていた。
 また新たな事件が舞い込んできては、それを解決する日々。
「トガセさん、退院されたそうよ」
 どこか嬉しそうに言いながら、草間に珈琲を差し出すシュライン。
「そらぁよかった」
 心臓が止まってから、脳に酸素が届かなくなり死に至るまで約二分半。
 本来ならば三日経っていたのでは甦生などありえないことだ。
 だが、ソウルテイカーの言っていた特例措置によってか、トガセや少女の体は仮死状態ということで周囲は納得したようだ。
 というよりも、そうだと納得させたといった方が正しいかもしれないが。
「さっき三人にも連絡したの」
「そうか」
 トガセの知人は残念ながら既に火葬に出した後だった為に、戻ってくることはなかった。
 意識が戻ってからトガセに経緯を説明すると、彼は友人の死を悼み、黙祷した後で一言礼をいい微笑んだそうだ。
「お兄さん、お客さんがお見えになったようです」
「そうらしいな」
 廊下をバタバタと駆けてくる足音。
「草間さん!」
 一番乗りはアゲハだった。
「よぉ、早かっ…」
 草間が言葉を言い終わらぬうちに、アゲハは息せき切って胸座を掴んだ。
「アゲハちゃん!?」
「なっ!?オイ何を…」
「消滅じゃなかったんです!やっぱり消滅なんてしてなかったんです!!」
 アゲハらしくもなく取り乱しながら告げられた言葉の意味はシュラインにも草間にも即座に理解できた。
「消滅してなかった…?どういうことか説明してくれ」
「さっき、道端で――」
 アゲハが言いかけたところに、時雨やアインが慌てた様子でなだれ込んできた。
「「草間さん!」」
「…その様子だと、二人ともアゲハちゃんと同じ内容…?」
 まさか。
 そんな。
「と、とにかく…三人とも落ち着け。落ち着いて順序立てて説明してくれ」
 ソファーに腰掛ける一同。
 依頼が入ってきたわけでもないのに、その雰囲気は重苦しい。
 一息ついたところでまず最初に訪れたアゲハが口を開く。
「…さっき、シュラインさんから知らせを受けて急いでこっちに向かったんです。そしたら…人ごみの中で、まっ黒な格好をした…アンダーテイカーの顔をした男が立っていたんです」
「何だと…?」
 アゲハの言葉は続く。
「スラッと背の高い、全身黒ずくめで夏なのにロングコートを羽織った人間がいれば気づかない人はいないと思います」
 つまりは、人ごみの中にも関わらず、その場に立ち尽くすその黒衣の男にアゲハ以外の誰も気づいていなかったということ。
 人でなき者。
 人の目には映らぬ者。
「こっちも同様。割かし人通りの多い場所で黒衣の男が、アンダーテイカーそっくりの男がゆっくりと歩いていた…」
 そして唖然とするアインの隣を普通の通行人のように通り過ぎていったという。
「私の場合は、二人と少し違ったね」
「どんな風に?」
 シュラインの問いに、時雨の表情は聊か険しくなる。
「―――私は被造、私は死の花。光から生まれた闇。光無き今、闇は安定する。光を打ち消した貴方にお礼を――…通り過ぎる時に、私に向かってそう囁いていったよ」
 アンダーテイカーに止めを刺したのは時雨。
 だがそれは、完全なる消滅ではなかった。
 時雨が消滅させたのは『白のアンダーテイカー』だけ。
「…残って、しまったんですね…」
 最後に現れた『黒』が。


 新たに生まれた『黒のアンダーテイカー』が。
 悪魔として生まれ変わった、黒い葬儀屋が。









 ―――神に背を向けた、堕天の黒が――
  





―了―
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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【0086 / シュライン・エマ / 女性 / 26歳 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
【2525 / アイン・ダーウン / 男性 / 18歳 / フリーター】
【3806 / 久良木・アゲハ / 女性 / 16歳 / 高校生】
【5484 / 内山・時雨 / 女性 / 20歳 / 無職】

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■         ライター通信          ■
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 こんにちは、鴉です。
【白のソウルテイカー】に参加頂き、有難うございます。
白のアンダーテイカーシリーズはこれにていったん終了です。お疲れ様でした。
前回の依頼人の命はギリギリのところで元に戻すことが出来ましたが、
少々残りカスが出てしまいました。
この当たりはアプローチの仕方によって聊か決め手にかけてしまったことで、
時間がかかり、堕天してしまった部分だけが残ってしまった形になります。
『白のアンダーテイカー』はもうこの先出現しません。
ですが、堕天した『アンダーテイカー』という名の悪魔が、
いずれ皆さんの前に再び現れることでしょう。

ともあれ、このノベルに関して何かご意見等ありましたら遠慮なくお報せいただけますと幸いです。
この度は当方に発注して頂きました事、重ねてお礼申し上げます。