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<東京怪談・PCゲームノベル>


『深紅のジュディ』



 真っ赤な上着に、黒いシャツ、黒地のロングスカート。着慣れた風情から一瞬見ただけではおかしさには気付くまい。その青年はもとより細身で、体格も小柄。とは言え、注意深く肩幅や筋肉の付き方を見れば、滑らかなテノールを聞けば、彼が男性であることはすぐにわかる。
 足を組んでにやりと微笑む青年は、女装をしながら女性染みた言動を取るつもりは特にないらしい。青年――ジュディは倣岸な態度で仕事の内容を説明した。
「仕事ってのは心霊現象多発中のマンションさ。最近、よくあるだろ? 中でポルターガイスト現象だのラップ音だのが起こるところだ。そこの怨霊を駆除しろって話なんだよ」
 草間・武彦はうんざりした顔で呟いた。
「何で、そんな雑魚っぽいのやっつけるのに協力が必要なんだよ。お前、そういうの専門の能力者だろ」
「い、いや、俺は幽霊を相手にした経験なんかほとんどなくてね……まあ、そういうわけで、嬢ちゃん貸してくれないかい?」
「うちだってこれから調査だよ。零はそっちに必要なんでな。代わりを探すくらいはしてやるよ」
「じゃ、頼りがいがあるのを頼むよ」
「あのな…お前の仕事だろ…」



 そのマンションの前に集ったのは三人だった。いずれも、草間からの突然の連絡を受けて、仕事に乗った者たちだ。
「よう、御三方。俺はジュディ。草間の旦那から話は聞いたぜ。手伝い、ありがとうさん」
 一人遅れてやってきたのが依頼人。紅い上着を肌蹴させて、同じく紅色のジーンズに黒いシャツ、指に耳に首にシルバーアクセサリーを無数につけた派手な青年。艶やかな黒髪と鼻を挟む眼鏡がいやらしく色っぽい。
 九条・宗介(くじょう・そうすけ)は彼の視線を感じ取って、最初に手を差し出した。
「僕は九条。名前の方は宗介。宜しくお願いするよ」
 静かに言って宗介は彼と握手を交わした。小柄な青年は、にんまりと笑って不敵にそれを握り返す。ふと、宗介は彼の紅いズボンに目を留めた。
「草間さんからは特別な趣味の持ち主だと聞いていたけれど」
「ああ。俺が女装に走るのは夜寝るときと、あと三、四日にいっぺんくらいだよ。別に、男物が嫌いってわけでもないしね。それに、スカートじゃ剣を振りづらいだろ」
 といっても、宗介としては別に「その割に普通の格好をしているね」と言いたかったわけではない。彼の紅い服の詰め合わせは、どちらかというと艶があるし、女性がしていてもおかしくはない。宗介は「中間が御好みなのかな?」と聞きたかったのだが、彼の自己紹介に遮られて、言う機会を逃しただけだ。
「まあ、世の中にはサードジェンダーというものもある。既存の性を踏襲せず、第三の性として独自の生き方を探る。その生き方には敬意を表するべきかな。とは言え、大衆に迎合しないのは確か、か」
 ぶつぶつと呟いた言葉に、ジュディが振り向いた。
「何か言ったかい?」
「いや、東京特務課……噂は聞いたことがあるな、と、そう言っただけさ」
 彼は怪訝な顔をしたものの、すぐに足を翻して、他の二人に向き直った。

 ふむ……変人しかいないと聞いていたけど、なるほどね……

「えーっと……そっちのアンタが翠の姉さんだな。陰陽師とか」
 薄く微笑んだまま、彼が差し出した手を握ったのは背の高い中性的な女性。小柄で中性的な男性であるジュディとは好対照を成すとも言える。
「陸玖・翠(リク・ミドリ)と言います。こちらは式神の七夜。この子ともども、宜しく。ジュディ殿」
 年齢のほどは多く見積もっても二十代の半ば。しかしその奥に容姿とは不相応な落ち着きを感じさせる。宗介も今回初めて顔を合わせたが、話してみると井戸の底でも覗き込むかのような知恵の深みを感じさせられた。知識と経験から判断するに、普通の人間ではない気がする。
 ジュディもまた妙な感覚を覚えたのか、一瞬、硬直して握った手を見詰めた。やがて彼女が七夜と呼んだ黒猫が、その肩からするりと降りて彼の足元に顔を摺り寄せるまで、困惑した表情のままだった。
「うわ、っと……この黒猫が、七夜?」
 呪縛から解けたように、彼が手を離して足元の黒猫を見る。二又に分かれた尻尾からして、猫又の一種だろう。陰陽師が猫又の式神を使うとは面白い。
「ええ。幻惑の術と、情報収集能力に長けた子ですよ。先んじて放っておこうかと思ったのですが、あなたに化け物と間違われて斬られては困りますからね」
 ジュディは苦笑して、三人目に視線を移した。茹だるような熱波の中、木陰でぐったりしている色白の青年。炎天下の中でじっと待っていたにせよ、その青年の伸びっぷりは凄い。木陰のベンチに死体のように体を伸ばし、訪れた依頼主にも見向きもせずにぶつぶつと何か呟いている。
「……で、そこで伸びてるのがエドの兄さんだな?」
 反応が無いので、宗介が「ご名答」と言った。翠が後を続ける。
「エド殿、気持ちはわからないでもありませんが、せめて身体は起こしておかないと、熱射病になっていても見分けが付かないですよ」
 そう言われて、彼はようやく病的に白い半身を起こした。地獄から抜け出してきた悪魔……エド・−。あまりにもあっさりとそう自己紹介されたが、しかしその容姿はどちらかと言うと麻薬中毒の病人だ。ジュディもすでにこの気温にはうんざりしているのか、彼の隣にべたっと座り込むと、やる気なさげに手を差し出した。
「ジュディだよ。よろしく。悪魔さんなんだってな」
「うん……よろし……」
 「く」を言い終える前にふらついた彼の半身が、ジュディの肩に落ちた。きょとんとした瞳が、くずおれたエドを眺める。宗介は、翠と目を合わせた。
「見分けはつかなかったようだね」
「悪魔らしいですから、日光に弱いのでしょうか。自販機で何か冷たいものでも買って来ましょう」
「僕とジュディ君はぬるいだろうけど、そこの水道で水を掛けておくよ。手伝ってくれるかな」
 ジュディは苦笑しながら頷き、ぐったりした細長い青年の肩を支えた。



 自分が熱射病でぶっ倒れかかったのが一時間前。どうにか起きて、エドは濡れタオルを頭に被せたまま、ベンチに座りなおしていた。いかに病気になりにくい悪魔の体と言えど、日光には弱い。水分不足も、カフェイン不足も堪える。
「さて、エド君の容態も落ち着いたようだね。ジュディ君、メンバーはこれで全部かい?」
「いや、草間の旦那の事務所で、会った人たちがもう二人ほど。さすがに影響力が違うねェ……」
「草間さん、顔広いからね…それにしても真夏の昼から幽霊退治かぁ、雰囲気ないね」
 ジュディは自分と同じくベンチの上でぐったり伸びながら、顔を向け合った。彼もまた、日差しは苦手らしい。離れたところで涼しい顔をしている翠が、信じられなかった。
「エドの兄さん、死人は夜の方が怖いし強いだろ。連中の得意な時間に何でわざわざ襲いかからにゃならんのさ?」
 …ごもっとも。
「うん。そういう卑怯で臆病な考え方、好きだよ。性に合ってる」
「戦術と言ってくれよ」
「そういう見栄も好き」
 苦笑いを浮かべながら、何度か頷いた後、ジュディは諦めたように溜息をついた。
「まあ、俺もアンタみたいな退廃的な奴は嫌いじゃないぜ」
「ん、なに? 仕事終わったら、一緒に遊ぶ?」
「あ、いや、遠慮しとく……」
 同種の匂いを感じ取ったのか、そして自分の裏にある魂胆を垣間見たのか、ジュディは怯えたように身を引っ込めた。綺麗な顔をしている青年だから、エドとしては好むところがあるが、警戒されていては仕方ない。
「そう……それよりも、兄さんっていうのやめてくれない? そりゃ僕は悪魔だから、歳は上だけど……」
 自分の外見の年齢は十七ほどだ。ジュディの実年齢は十九歳辺りで、そういう相手に兄さんと呼ばれるのも妙な感じがする。
「仕方ないだろ、雰囲気がそういう感じなんだよ」
 先ほどジュディが口にした『退廃的』という雰囲気だろうか。それを言えば、ここに集ったものは皆、それぞれにその色を見せている面子ばかりだが。
「…九条の旦那だっけ?あんたなんかも負けじと良い色出してるね」
 同じことを考えたのか、ジュディが言う。穏やか、というよりも何かを悟り、何かを諦めたような、やる気のない優しさを湛えた顔で、宗介は振り返った。二十七歳という実年齢以上に老けて見えるのは、その表情のせいか。
「…どうも。しかし同じく褪せた色でも、皆それぞれ少しずつ色合いが違う。退廃と一言で言っても、様々だ。格好から見て、君は赤を好むらしいが、その中にも、紅色や緋色や朱色がある。似ているようでいて、それぞれ個性がある。一括りにするのは、どうかと思うね。例えば陸玖君は、同じ言葉で表される性質でも、表面に現れる色はまるで…――」
「あー…すまん、翠姉さん。九条さんってな、こういう人なのかい…?」
 するすると流れ始めた言葉の羅列を無視して、ジュディが翠に聞いた。
「そのようで」
 くすりと彼女は中性的な顔に小さな笑みを浮かべる。「退廃的と一口でくくっても、その中には様々な色合いがある」と言いたいらしい宗介の言葉どおり、翠はどこか涼しげに物事をあしらう。
「中々に愉しいですよ。彼の話す流麗な言葉の意味を追いかけるのも。憂鬱な時も、耳を傾けていれば涼しくなります」
「僕、そうは思えない……」
 追いかけきれなくなった言葉の大河を無視して、エドは苦笑した。
「ところで、翠の姉さんは陰陽師だからわかるとして、エドの兄さんと旦那はどうしてまた手伝ってくれる気になったんだ? 亡霊退治なんてするような柄じゃないだろ?」
 ふと、ジュディが尋ねる。
「取るに足らない魂でも、貰って損ってことはないじゃん。ほら、僕は悪魔だし」
「そ、そうか……ま、欲しけりゃあげるけどさ……で、そっちの小説家さんは?」
 正直な気持ちを述べただけなのに、ジュディは苦い笑いを浮かべた。それでそっちは?と、問うように、二人で視線をずらす。一瞬、どぎまぎした表情を浮かべて、宗介は少し俯いた。
「いや、実はね……生活費が苦しいんだ」
 ジュディと目を合わせて吹き出しかけたとき、凛とした声がそれを止めた。
「残りの御二人が来ましたね。これで勢ぞろいですか」
 翠の指差す先に、二人の女性の影が見えた。



 茹だるような熱が忌々しい午後三時。マンションの前に作られた公園。そこに揃った面子は特務課のメンバーを除いて五人。

 黒服を身に纏った影の使い手、黒・冥月(ヘイ・ミンユェ)。
 涼しげに黒猫の式神と戯れる、凄腕の陰陽師、陸玖・翠(リク・ミドリ)。
 不安そうに白んだ面持ちはまるで正体を感じさせない、獄抜け悪魔のエド・−。

 ジュディからすれば半ば怪物のような三人。そしてそんな変り種に平然と一般人が混ざり込む。

 事務員にして草間興信所の大黒柱、シュライン・エマ。
 妙に小難しいことを喋る、しがない三文小説家、九条・宗介(くじょう・そうすけ)。

 こっちの二人も尊敬に値するよなァ。怪奇現象に携わる一般人ってのは肝が太いのが多いのか……?
 ジュディは溜息をついて、仲間から再度仕事の説明を受ける五人を見守った。
「……皆さんの扱いは特務課の臨時捜査官。立場はジュディや僕と同じです。聖水と噴霧銃を持ってきましたが、必要な方は申し出てください」
「聖水だけ貰おう」
「私も、冥月さんと同じ。聖水だけお願いね」
「僕は噴霧銃ごと、借りようか……」
 同僚――エリィ――が、名乗り出た仲間たちに道具を配る。
「調べによると、亡霊たちはこのマンションに持ち込まれた何かに引き寄せられて集まってきたようです。怨霊を引き寄せる強い思念が感知されました。その群れの主に対処して、マンション内の怨霊を掃討してください」
 ただし、持ち込まれたものが具体的に何なのかまではわからない。エリィはそう仕事内容を締めくくると、そそくさと荷物をまとめた。
「それでは、後はジュディにお任せします。僕は別の仕事がありますので」
 彼が去って、五人の視線が自分に合わさる。と言っても、自分は亡霊と戦ったことなどない。何を任せられれば良いんだ?
「え……あ、いや、えーっと……」
 口篭もっていると、助け舟を出すように宗介が前に進み出た。
「残念ながら、僕は本番で役に立てるような力を持っていないからね。こういう場面でしかお役に立てないから、いくつか提案をさせてもらうよ」
 そう言って、彼は皆に向けるように話しかける。
「二手に分かれた方がいい、と思う。黒君、陸玖君といった強力な能力者が、二人いるわけだしね」
「分散するのか? その意図は?」
 冥月が聞く。宗介は、当たり前のことを聞き返すように言った。
「ジュディ君は幽霊たちと話し合うつもりはないね?黒君とエド君も、そう見受けられるけれど、どうかな」
「そりゃまあ、俺は面倒臭いことは嫌いだけど」
「私もそんなつもりはない。手当たり次第に叩きのめせばいいだろう」
「死人に人権なんてないし……僕も、別に」
 宗介は頷くと残りの二人に向き直った。
「陸玖君と、エマ君は?」
「……手始めは、懐柔と説得からはじめてあげたいですね。交渉もせずに、いきなり攻撃するというのも、少々主義に反しますから」
「そうね。私もあまり手荒な真似はしたくないし、負の思念に引き寄せられて怨霊化してるなら、出来れば説得から始めたいわね。中にはその呪縛に苦しんでる霊もいると思うし、その群れの主の居場所や、倒した方のヒントなんかも教えてくれるかも知れないわ」
 宗介は聞き終わると、再び頷いた。
「意図はこの通り。まず、意見が二通りあるから。もう一つ、今回の仕事の目的も二つ。霊の掃討と、主の退治。怨霊たちを片付けておく班と、主の居場所を特定する班の二つに分かれたほうがいいと思う、と、いうわけさ。人数を均等にするなら、僕は陸玖君たちの方かな」
「片方が説得に回って、もう片方が襲い掛かるの? それって優柔不断すぎない? そんな二枚舌外交みたいなの聞いてもらえるかなぁ? 僕なら聞かないね」
「……いえ。悪くはないと思います。彼らは組織として団結しているわけではありませんしね」
「主に反発してる霊がいるなら、きっと建物の外側ね。離れようとすると思う。反対に、完全に怨霊化してるのはきっと内側。呪縛されてるだけの霊と怨霊が仲良く付き合ってるとも思えないもの。私たちが外側、エド君や冥月さんたちは内側に向かえば良いんじゃないかしら?」
 シュラインの言葉が終わると同時に、翠はいつの間にか足元に擦り寄ってきた黒猫をするりと抱き上げた。二又に分かれた尻尾がいとおしげに彼女の首を撫でる。あれは、猫又式神の七夜とかいったか。
「ええ……先ほど、七夜にマンションを探索してもらっていたのですが、内側は攻撃的な霊で一杯のようです。出来れば主の居場所もと思ったのですが、さすがに危険なので引き下がらせました。しかし、エマ殿の推理の裏づけにはなりましたね」
「なるほど。となれば、私たちは中に入って、奴らを片っ端からなぎ倒していればいい。いずれそっちが主とやらの情報を掴んだら、知らせてくれればいいわけだ」
「そうなるね。呪縛霊の方は主がいなくなれば勝手に消えてくれるだろうし、それで解決だよ」
 大体の作戦が決まって、皆が頷きあう。ハッと気付けばジュディはぽかんと話の流れを追っているだけで、全く関われなかった。
「な、何か、手馴れてるね、あんたら……」
 そもそも、自分は必要なのか?この連中に丸投げしておけばいいんじゃないのか。ジュディはふと、そんな根本的な疑問を感じた。



 正面玄関からマンションに突っ込んだ三人に対して、その周りを散策するかのように進む自分たちは優雅なものだ。宗介はそんなことを思いながら、のんびりと二人の女性に付いて行った。
「おや? しまったな……」
 ふと思い出したことがあって、声を上げる。
「どうかした、九条さん?」
「いやね。何かの手伝いになるかなと、御神刀を持ってきていたんだ」
 シュラインに指摘されて、懐からひょいと短刀を取り出す。古びた白木鞘に納まってはいるが、中の刀はまだ鋭い。翠が感嘆の息を吐いた。
「これはまた……どこの神社のものでしょう……かなり強力な方ですねえ。持っているだけで魔除けになりますよ。こんな逸品を持ってきて、何が『しまった』なのです?」
「僕では扱いきれないからね……剣を使う子だと聞いたし、ジュディ君に渡してあげようと思っていたのだけど、うっかり忘れてしまったよ。宝の持ち腐れという奴だね……参ったな」
 翠とシュラインが顔を見合わせて、微笑んだ。
「まあ、持っていれば魔除けになるなら、あなたの護身刀になるんじゃないかしら」
「それに彼も、使い慣れた武器を持っているわけですから、平気でしょう。他に二人もいらっしゃいますし」
「こちらはそれなりに平穏なようだし、武器がないエド君にでも渡したらよかったかな」
「神刀を悪魔に? 多分、嫌がられるんじゃないかしら」
「それもそうかな」
 苦笑しながら、ぐるりとマンションの裏手に回る。すでに四時を回りかかっているから太陽は傾き気味で、こちらには日差しは届いていない。巨大なマンションの影が、怪物のシルエットのように伸びている。
「……さて、霊の好みそうな側ですね」
 影の中に足を踏み込んで、翠が言う。明るくのどかな雰囲気の中に、かすかに緊張が漂った。
「貰った見取り図によると、こちら側にあるのはゴミ置き場や裏口ね。この時間だとこちら側に日光は届かないから、気をつけないと」
 言いつつ、シュラインは持ち込んできたお神酒をその場に撒いて、場所を清めた。どちらかというと、行き当たりばったり感が強かった突入班に対して、こちらの人間は準備がいい。まあ、中に入った三人は強弱の違いこそあれ、何か特殊な力を持っている。
「怨霊は自分たちの縄張りに入った者には敏感に反応してくるものだろうしね。そうなると喧嘩を売りたがっている霊の大半は、中の三人の方へ向かうんじゃないかな。こちら側には、争いごとを好まない霊が残っていてくれるといいんだが」
「大方、その通りでしょう。しかし、争いを好まないとは言っても、近づいてくれば迎撃するという態度の方もいらっしゃるようですね……」
「……みたいね」
 前方にかすかに隆起する白い影。虚ろな呻きを上げながら、数体の怨霊たちが裏路地に立ちはだかった。翠が下がるようにすっと手で自分たちを制し、しばらくの間、無言で睨み合う。
「御下がりを。少なくとも今は説得できる目つきではありません」
 言われたとおり、二人はシュラインがお神酒を撒いた地点まで下がった。角なので、彼女の姿は見えなくなる。
「大丈夫かしら、陸玖さん。にらみ合いになっちゃってたけど」
「陰陽師だからね。こういう戦いはむしろ、お手の物だろう。ただ、説得できる霊を捕まえたいところだから、みだりに攻撃をしたくはないのだろうね」
 とは言え、霊たちは翠の威圧の前に屈することは無かったらしい。彼方から霊の雄叫びが響き始める。
 と、翠と戦っている霊とは別に、一体の亡霊がゆらりと自分たちの周りに現れた。首に縄の痕をつけた青年の霊。虚ろな三白眼が、じろりとこちらを睨む。それに気付いて、二人は一瞬、息を止めた。
「……陸玖さんの戦いに刺激されてきたのね」
 落ち着いた風情で、シュラインが言う。下手に動かない分、手馴れた反応だ。自分たちはお神酒を撒いた結界の上にいるのだし、彼女は聖水を浴びている。自分の懐にも、神刀がある。生半可な霊ならば、近寄りたくはあるまい。
 ……とは言え、用心に越したことはないかな。
 宗介が借り受けた噴霧銃を手に取ろうとすると、シュラインがそれを制した。
「武器を取るのは少し待って。話をしてみるわ。攻撃したがってるわけじゃないようだし」
 見れば確かに、だらりと腕を下げているし、視線で威嚇をしているだけだ。シュラインは手を広げて武器を持っていないことを強調すると、話しかけ始めた。
「少し、話を聞いてもらえるかしら……私たちは、あなたを攻撃しに来たわけじゃないわ」
 青年の霊に動きはない。
「あなたたちを呪縛してるものに用があるの。それをどうにかしたいのよ」
「御二人とも、こちらは終わりましたよ」
 ふと、曲がり角から翠が戻ってきた。状況を見て、ぴたりと足を止める。青年の霊が、ぱっと翠の方を振り返る。一瞬の逡巡の後、彼は身を引くように姿を掻き消した。
「あ……っと、邪魔をしてしまいましたか?」
 シュラインは、彼が引っ込むように消えた方を見詰めて、首を振った。
「いえ……最後に、一瞬迷っていたみたいに見えたわ。きっと、まだ話を聞いてくれると思う」
「追いかけるのかい?」
「ええ。話してくれそうな人だったしね」
「それならば……気配は向こうに退きました。行きましょう」
 翠を先頭に、三人は再び歩を進めた。



 一階のベランダは、地面と地続きだ。雨戸が閉めてあるから、窓を割って入ったりは出来ないようになっているが。シュラインは翠のリードに従って、角の部屋のベランダまでやってきた。
「あそこですね。先ほどの気配は。攻撃的な色は感じませんが」
 頷いて、静かに歩み寄る。青年の霊は、蹲るようにしてベランダの一角にぼうっと腰を下ろしていた。近寄っても、じっとりとした目でこちらを見る以外、何をしてくる気配もない。
 シュラインは慎重に近づくと、もう一度問いただした。
「あなたたちを呪縛してるものについて、話を聞かせてもらえない?」
 彼はしばらくシュラインを睨むと、低い声で言った。
『……聞いてどうする』
「さっきも言ったけれど、私たちが目指している相手はそれ。あなたたちに何かしたいわけじゃないわ。私たちはこのマンションで迷惑をこうむっている人を助けに来たの。その中にはあなたたちも含まれるわ」
 彼はその言葉に若干、心を動かされたのか、初めて自分たちから目を逸らした。思案しているように。
『……怨霊を救いたいとでもいうのか?』
「ええ。呪縛され、苦しんでいるのなら、ここのマンションの人たちと同じ、被害者だもの。それに、あなたは怨霊じゃないでしょう?」
 しばしの沈黙と、躊躇い。やがて、沈んだ声で彼は言った。
『俺も、そう協力できるわけじゃないが。真っ向から抵抗は出来ないのさ。あれに逆らうのは難しい。呪縛っていうのはそういうものでね……』
「居場所とか、正体とか、わからないかしら?」
『面と向かって正直には、言えないね……』
「逆らうことが出来ない呪いをかけられているようなものなんだね。それほど、重くはないようだから、質問をよく考えてみればどうだろう?」
 宗介が提案する。シュラインはしばらく思案した後、聞きなおした。
「それは、どこかの部屋にあるものよね? 霊とかじゃなくて、怨念の篭った呪物のようなもの」
『……そうだな』
 イエスとノーで答えるような質問には、比較的返答できるらしい。正体の方を先んじて探ろうと、シュラインは質問を重ねた。
「置物かしら? 曰くのある刀とか、壷とか」
『いや』
「家具の一種?」
『違うな』
「御札や巻物とか?」
『……どうだろうな』
 はぐらかすような答え。つまりは、それに近いものということか。そのイメージに焦点を当てて、幾度か質問を重ねてみると、どうやら紙に描かれたものらしいということがわかってきた。
「……もしかして、何かの絵? それに怨念が宿っているの?」
『……』
 沈黙。彼に掛かっている呪縛を考慮すれば、明瞭なイエスと見て良い。考えてみれば、芸術作品というものには何らかの情念が宿るものだ。シュラインは二人と顔を見合わせた。
「中の三人に知らせようか。後は場所を聞き出して、合流を――」
「待ってください。その必要は無いかも知れません」
 ふと、翠が携帯電話を取る。
「エド君からですね。八○三号室に妖しい気配を見付けたそうです。……これは、私たちの出番はないかも知れませんね。突入して、彼らが片を付けるでしょう。一応、絵が本体だということだけ、知らせて――」
『危険だぞ、あんたの仲間たち』
 突然、青年の霊が言った。初めての積極的な接触に、シュラインは驚いた。
「どういうこと?」
『あれは……そう簡単には見付からないのさ』
 逡巡の後、彼はそう呟いた。
「しかし、八○三号室にある絵なのは確かなのでしょう? それならば、すぐに……」
『思いもかけないところにある』
 困惑して、三人で目を合わせる。
「……見付けられないところにあるなら、確かに危険だ。当たり前の話だけれど、いつまで経っても倒せないわけだからね。一方的に攻撃され続けることになる」
 宗介が呟いた。しかし、それはどこに隠れているのか、と聞いても、青年は答えられないだろう。自主的にヒントを与えるのも、かなり悩んだ上で、どうにか喋ったという感じだ。
「……思いもかけないところ。どこかにしまわれているとか、その程度のことじゃないわよね」
『そうだな』
「そして、みんなが危険だということは……攻撃がまぐれ当たりする可能性も少ない?」
『そうだ』
 シュラインは微かに焦りを覚えた。居場所がわからなければ、突入した仲間たちに攻撃する手段はなくなる。
 青年は少し苦しそうに、呟いた。
『あそこに住んでる奴は、あれを誰にも見付からないようにしておきたかった。だから、隠したんだ。部屋の中をいくら見回しても、見付かることのない場所に。あるべきところにあるのに誰にも気付かれない場所、部屋中をひっくり返しても影響のない場所を、奴は探し出した』
「……それは、絵だからしまえるところね? 他のもの……置物とかは、そこにはしまえない」
 アイデアが浮かんで、シュラインはそう尋ねた。青年が微かに頷く。
『俺が言えるのはここまでだな。力になれなくてすまないね』
「いいえ。助かったわ。ありがとう。必ず、解放する」
 そういうと、彼は微かに笑って再び姿を消した。翠が尋ねる。
「それで、場所はわかったのですか?」
「多分。絵とかしか隠せない場所で、見ただけじゃ見付からない。部屋を弄っても移動することも、壊される心配もない。住人はそんな場所に、絵を隠したかった……」
「そして、『本来、あるべき場所』だ。つまり、絵を飾るべきところ。……壁かな」
 宗介が同じ結論に達したのか、付け加えた。
「壁の中……いいえ、個人で隠したなら、そこまで手の込んだことは出来ない。ということは壁紙の中に挟みこまれてるのよ、きっと」
 ぴくりと、翠がシュラインを振り返った。
「情報がなければ見付かりませんね。影の力でも、悪魔でも、剣を振るっても」
「行きましょう……!三人が危険だわ」



 中に入った三人は、きっちりと仕事をこなしたらしい。怨霊たちの数は激減し、邪魔をしてくるような相手はいない。
「攻撃的な霊は皆無です。無視して走り抜けましょう」
 翠はそう言って、エレベーターに飛び乗った。
「三人はいい仕事をしたみたいだね」
 宗介が言う。実際、この段階で怨霊がいたら、時を稼がれたことだろう。
 八階に辿り着くと、翠はすぐさま八○三号室のドアに取り付いた。ノブを捻る。鍵は掛かっていないのに、開かない。霊的な結界か。翠は口の奥で舌打ちした。
 部屋の内側から、何かが割れるような音がした。荒れ狂うポルターガイストの気配。最後まで残った怨霊の気配も感じる。ポルターガイストには無敵を誇る冥月も、怨霊の攻撃は専門外だろう。そして怨霊を攻撃できるジュディとエドは、激しいポルターガイストに晒されれば凌ぎきれまい。
 破るための儀式に時間を取られている暇はありませんが……
 それでも、と、指で印を切ろうとしたとき、シュラインがぱっと進み出た。
「この鏡を! 向こうと、それからあっちにお願い。まだ、陽光を集められるわ」
 小さな鏡と簡素な三脚を渡されて、翠はすぐさま意を察した。夕日は沈みかかっているが、横向きの光がまだマンションを照らしている。
 聖水に浸して破魔効果を高めた鏡に、清めの陽光を収束して、ドアの結界を破ろうというわけですか。さすがに、場慣れしていらっしゃる。
 陽光が集まっている場所に走り出す。宗介も同じように鏡を渡されると、反対に向けて走りだした。シュラインの準備の良さには感心させられる。
 自分の力を過信しているつもりはないが、不死性を持つ故に念入りな下準備をする必要がない分、そこにはどうしても微かな油断が混じる。永い時を生きる宿命とも言うべきだが、幸い、今回はそれを補ってくれる仲間がいたわけだ。
 鏡を設置して、シュラインの手元に陽光を反射させる。宗介の側からも同じく光が集まり、鏡面を伝わった太陽が怨念の縛鎖を融かす。翠はそれを感じ取ると、七夜を肩に乗せてシュラインの脇を走り抜け、ドアをぶち開けた。
 ……さて、ここからは、自分の役目だ。



 主の居場所と正体を掴み、翠らが八○三号室に突入を掛けたとき、部屋中は破壊され尽くしていた。床にはもはや何の部品だったのかもわからなくなった破片が散らばる。それが幾度でも浮かび上がり、竜巻と化して部屋の中に荒れ狂う。さらには引き寄せられた何体もの怨霊が、壁をすり抜けて中に入り込んでいる。
 ……仲間は――
 苦戦はしているが、無事らしい。エドは壁際で必死に怨霊たちを蹴り返し、舞い飛ぶ砂利のような破片のつぶてを、冥月が影を展開させて受け止めている。部屋の隅にはぐったりとジュディがしなだれているが、生きてはいるらしい。
 三人ともがこの中で生き延びているとは、良く凌いだものだ。
「陸玖、来たか!」
 冥月が翠の姿に気付いたらしい。同時に気配を察した七夜が、壁の一点を見詰めて一声鳴く。
 ……あそこか。
 外の亡霊から聞き及んだ通りの場所。見えず、思いがけず、同時にそれがあるべきところ。
「仕上げをします。援護を……!」
 位置を理解したと同時に、翠は破片の砂嵐の中に踏み込んでいた。こちらの意図を察したのか、冥月が影を展開させて向かってくる破片を断ち割る。海を割るように出来た道の中を走り、立ちはだかるように道を塞いだ怨霊に、呪符を叩き込む。
「陸玖君! これを!」
 ドアの外から、宗介が叫ぶ。何かが投げられた音。くるりと回って受け止める。白木鞘の神刀。護身用にと、彼が持ってきていたもの。回る勢いを利用して翠はそれを抜くと、壁に向かって投げ放った。神刀が壁に突き刺さる。
 ガラスが擦れあうような甲高い悲鳴が響いた。
 耳というよりも神経を劈くような人外の断末魔の後、部屋中に舞っていた破片がざあっと地に落ちる。冥月が影を上方に展開させて、仲間にそれが降り注ぐのを防ぐと、部屋の中に一瞬の静寂が訪れた。
「――……終わったのか?」
 冥月が、ポツリと漏らす。
「そのようですね」
「ちょ、ちょっと、しんみりするより先に、僕を助けてよ!」
 振り返る。エドだけは、部屋の片隅でまだ怨霊と格闘を続けていた。悪魔は触れられても特に問題はないのか、三体の怨霊と、ほとんど揉み合い状態になっている。翠は一瞬、冥月と目を合わせ、苦笑して……次の瞬間には、呪符が三体の怨霊の首を刎ねた。



「いたたたた……」
「大丈夫? 無理はしないで、もう少し休んでから出ましょう」
 ジュディが頭を押さえて唸る。シュラインは彼の背中を撫でてやった後、雨戸を引き開けた。空は紫色に染まっている。
「す、すまないね、姉さん……ちょいと油断したよ」
 力なく眉を下げて、ジュディが言う。とは言え、少々気持ちを凹ませているだけで、特に重傷を負ったわけではないらしい。
「全くだ。お前の仕事なのに、途中で気を失うとはな」
 いつの間にか自分の影が床に広がり、すっと冥月がそこから姿を現していた。他の仲間も一緒に転送してきたのか、続けざまに影から這い出す。
「どうだった? まだ何かいたかしら?」
「霊の姿はもうどこにも見当たりませんね。根っからの怨霊の多くは、彼ら三人が倒してしまったようですし、呪縛されていた浮遊霊たちは思い思いに散ったか、成仏したのでしょう。彼が動けるようになったら、それで仕事も完了ですね」
 ジュディは苦笑して、頭の後ろを押さえた。
「でさ、そもそも、ボス格の本体って何だったの? 壁に神刀突き刺したら、止まったみたいだけど……。壁が本体ってわけじゃないんでしょ?」
 エドが尋ねる。
「わからなかったのも無理はないわよね。これよ」
 そういって、シュラインはつかつかと壁に歩み寄ると、端に小さなナイフを突き立てて壁紙を剥いだ。コンクリートの壁面が露になり、壁と壁紙の間に挟まっていた『それ』が、ずるりと床に落ちる。
 壁紙に挟み込まれる形で隠されていたのは大きな抽象画。模造紙のような大きさの紙に描かれた、真っ赤な花畑の絵。その中心に、神刀の突き刺さった傷が付いている。
「……道理で部屋中を壊しても、止まらなかったはずだ。そんな細いところに納まっていたとはな。影もくっついているから、探知も難しかったわけだ」
「何故、こんなところに隠したのかはわからないけどね」
 ふと、宗介がその絵に歩み寄り、顎を押さえて静かに眺めた。
「……わかった気がするよ」
 意外な一言に、部屋中の視線が彼に集まった。
「タッチに見覚えがある。名のあった画家の描いたものだよ。画家の死後、盗まれたと聞いた。つまりはここの住人がその犯人か、もしくは犯人から買い取ったんだろうね。ほとぼりを冷ましてから売り出すつもりだったか、単にその画家の絵に執着があったのか……ともかく盗品だから隠してあったんだろう」
「そうしたら、その作品には怨念が染み付いていた、というわけですか」
「芸術作品には念が篭る。捨てるでもなく、かといって鑑賞するでもなく、こんなところに押し込めたものだから、宿った情念が時を経て怨念と化した……というところかな」
「なんか、旬の食べ物をもったいないからってしまっておいたまま、腐らせちゃったみたいな話だなぁ。腐臭に誘われるハエみたいに、怨霊までたくさん呼び寄せて……まぁ、盗品抱えてた人なら、文句も言ってこないよね。自業自得かな」
「その腐った食べ物に殺されかかったんだから、こっちは溜まったもんじゃない……むしろそいつの魂を兄さんにくれてやりたいよ」
 ジュディの疲れ果てたセリフに、失笑が漏れた。



「どうだったんだ? 仕事の方は」
 調査を終えて帰ってきた草間が、事務所の中で静かに尋ねる。零が出したお茶を啜るのは三人。シュラインと、宗介と、自分。
「大方、しっかりと出来たわよ。ジュディ君が少し怪我したみたいだけど」
「頼りなさげだったものな。まあ、しっかり出来たのなら良かった。報酬の方は銀行振り込みだとさ」
 草間がそう言って、自分の分のお茶を啜る。
「事務所の方は潤ったかい?」
「シュラインの分、うちへの紹介料、それから今回の調査の金……まあ、貧乏から持ち直す程度にはな」
「また、すぐに使ったりはしないようにするといいでしょう」
 翠の言葉に、草間が苦笑する。恥ずかしげに彼は話題を逸らした。
「お前の方はどうなんだよ、三文小説家。生活資金にはなったか?」
「まあね。それとネタを掴んだよ」
「むしろ、そっちの方が重要かもね」
 四人で笑い合った後、翠は尋ねた。
「私もお金が入ったことですし……武彦も含めて今日はみんなで飲みにでも行きますか?」
「いいね。お前の奢りで?」
「それは嬉しい。僕も生活資金が少ないことに変わりはないから、奢りだと凄く助かるよ」
「自分の分は、自分で払いなさい、武彦さん。九条さんも」
「……まあ、いいでしょう。今日くらいはね。奢りますよ」
 静かにそう言って、翠は席を立った。のんびりと外に出て、どこに行くかと相談しながら、深く息を吐く。一日の騒動が嘘のように、夜の街は静かに時を流していた。





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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
【0086/シュライン・エマ(しゅらいん・えま)/女/26歳/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
【2778/黒・冥月(ヘイ・ミンユェ)/女/20歳/元暗殺者・現アルバイト探偵&用心棒】
【5661/エド・−(エド・−)/男/41歳/ニート】
【6118/陸玖・翠(リク・ミドリ)/女/23歳/(表)ゲームセンター店員(裏)陰陽師】
【6585/九条・宗介(くじょう・そうすけ)/男/27歳/三流作家】



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■         ライター通信          ■
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 翠様、二度目の依頼参加、まことにありがとうございました。

 初めてのゲームノベルということもあって若干、時間が掛かってしまい、申し訳ありませんでした。

 今回、翠様は比較的温厚なプレイングでしたので、同じく中立よりな立場を取ったシュライン様、宗介様とチームを組んで行動をしていただきました。説得班とも言えるチームの中で、序盤は推理行動を取る仲間の護衛という地味な活躍に回ってもらい、後半で同じく強力な能力者である冥月様と共に、事件を終わらせる役割を担ってもらいましたが、いかがでしたでしょうか。

 気に入っていただけましたら幸いです。それでは、また別の依頼で会えますことを、心よりお待ち申し上げております。