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<東京怪談ウェブゲーム アンティークショップ・レン>
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花と硝子の館 〜たからものを、さがして〜
ACT.0■PROLOGUE――ミステリーツアーにようこそ――
時間と空間の狭間に立つかのような、このアンティークショップの中にいても、真夏を感じる時はある。
それは、じりじりとアスファルトを焼く太陽でも、したたるような蝉の声でもなく、来客の服装によってだったけれども。
その女性客は、純白のノースリーブのワンピースにレースのカーディガンをはおり、幅広の白い帽子を膝に乗せ、行儀良く腰掛けていた。足もとには、白レースの日傘も横たえられている。
知らないものが見れば、これから避暑地の別荘にでも行く令嬢だと思うだろう。
しかし、その令嬢の顔を見た途端、蓮はうんざりした。
何故ならば……。
「蓮や。ちと、わらわの相談に乗ってくれぬかえ?」
「あたしは忙しいんだよ、弁天さま。何のコスプレかは知らないし聞きたくもないが、取りあえず帰ってくれないかい?」
「そう冷たいことを言うでない。わらわは『相談に来た』来客じゃぞ。旧軽井沢の、とある館を調べてほしいのじゃ」
「お門違いだね。怪奇事件の調査依頼なら、草間興信所にでも行けばいい」
「それも考えたのじゃが、なにぶん、その館というのが骨董品満載の、アールヌーヴォー様式の洋館での。むしろおぬしの管轄かと思うて」
令嬢に化けた弁天は、蓮の前に1枚の写真を差し出した。
蓮の細い眉が、ぴくりと動く。
「随分と手間と予算のかかってそうな、凝った建物だねぇ。酔狂な」
「この館は、まあ、その、何じゃ、昔、ちっとばかり、あ、いや、古い知り合いの殿方の所有なのじゃが」
わざとらしく咳払いをしてから、弁天は続ける。
「知り合いの名は伊蕗悠治(いぶき・ゆうじ)、奇抜な作風の建築家として有名で、ガレやドームの作品収集でも知られておる。神聖都学園大学工学部の教授でもあったが、3年前に定年で勇退してからはずっと、この館でひとり暮らしじゃ。家族なし、独身」
「その、独身の老教授の身に、何か異変でも起こったのかい?」
「うむ……。それが、はっきりせんのじゃ。久方ぶりにわらわにメールを送ってきたのは良いが、その内容ときたら謎の電波文での。心配になって連絡してみたのじゃが、何の返信もない。まだ交流のある神聖都の教え子に聞いたら、どうもここしばらく行方知れずになっているようでの」
弁天が言葉を切り、考え込んだとき。アンティークショップに新たな客が現れた。
買い付けがてらに訪れた、『おもひで繕い屋』のオーナー、紫紺である。
「どこの良家のお嬢様かと思ったら、弁天さまか。意外なところで会うな」
「これは紫紺どの! ここで邂逅したのも何かの運命。どうじゃ、この機会に一歩進んだ正式交際を」
「……あんたが戯れ言を云うのは、本題に入る前のお約束的前振りだということが、最近わかってきたよ。ともかく、話を聞こう」
さらっと受け流す紫紺に、弁天はさらに咳払いをしつつ、館の写真の横に、A4サイズのプリントアウト用紙を並べる。
それが、伊蕗悠治から届いた、謎めいたメールであるらしい。
++ ++ ++
風に乗ってうたうように くしけずられる貴女の髪は
幸せなものがたりの 誕生に似ています
春の日差しに目覚める海 波に浮かぶ泡がはじけて
花の女神が身を起こし 見晴るかす水平線は
月の残像がたゆとうばかり
気高き貴女を想いながら ただ夢見るは ひとときの輪舞
届くはずもない恋を抱え 虹を渡るすべを持たぬ身を 哀れんでください
幻影に溺れるまま 夜に逃げまどい 憂うことしかできない私を
++ ++ ++
「恋文に読めなくもない内容だが、暗号になってるな」
一読して、紫紺はそう呟いた。
ACT.1■調査員強制調達!
「これが暗号とな? ん〜〜〜。む〜〜〜〜」
しばらくコピー用紙を睨んでいた弁天は、まもなくあきらめて溜息をついた。
「もしや、紫紺どのには解けたのかえ?」
「だいたいは。ただ、これは二重暗号のようだ。他の誰かの意見も聞いてみないと何とも言えない。ことと次第によっては、現地調査の必要もありそうだ」
「……ふうむ」
まるっきり見当もつかないまま考え込んでいた弁天は、すぐに自分で考えることを放棄した。幸いというか何というか、有能な調査員にはたくさん心当たりがある。助っ人たちに泣きついて丸投げすべく、携帯のメモリを呼び出した。
「もしもし〜〜シュラインかえ〜〜〜? へるぷみーじゃ。速攻で来ておくれ。今どこにおるかと? アンティークショップ・レンに決まっておろう、それくらい推理せい。……依頼内容詳細と報酬? ほっほっほ、おぬしとわらわの仲でそんな水くさい。待っておるぞえ。もしもし? 蘭の持ち主かえ? うむ、ちと蘭に替わって……おお、蘭や、おぬしの勘を見込んでちっと手伝って欲しいのじゃが。ん? 遠出するなら保護者同伴が必須で、持ち主はレポートで忙しい? わらわが保護者ではかなーり不安? 言いおるのう、おぬしの持ち主も。あいわかった、フモ夫をおぬし専用保護者として呼ぶとしよう。それなら良かろう?」
シュライン・エマに助けを求め、藤井蘭の予定を強引に押さえたのち、さらなる助っ人を求めて次なる番号をプッシュする。
「もしもしぃ? ジェームズさまぁ? あ・た・し・よ。あ・た・し。誰だかわかるぅ? うふふ。ねぇ、泊・ま・り・で、旧軽井沢に行かない? お・ね・が・い。……こらあ、何もそんなに受けて大笑いすることはなかろう。……喜んで? うむ、良い返事じゃ。ではまた後でな。もしもし、もしもーし――深海は電波状態がよろしくないのう――紅珠のお師匠かえ? おぬしのキュートな弟子をちと電話口へ。紅珠か? レディ修行は順調に進んでおるのか? どうじゃ、旧軽井沢の洋館へ避暑がてら出かけぬか? 『軽井沢の鹿鳴館』と謳われた重要文化財『旧三笠ホテル』がご近所にあって観光にも最適なベストプレイスじゃ。うむうむ、一種の林間学校と考えても構わぬぞ。もしもし、瀬崎先生のお宅でしょうか? 先生ご本人でいらっしゃいますか? まあそんな、名乗るほどのものではありませんわ。以前、ゲーム世界でお世話になったことがあるのですけれども、きっと私のことなんて先生は覚えていらっしゃらないでしょうし、今の私はあのときとは姿かたちが随分と違っておりますもの……ぬぅ? その含み笑いは何じゃあ! すぐわらわだと判ったとな? ならば話が早い。旧軽井沢の某洋館へまいろうぞ。おぬしの洋装と眼鏡姿が見たいゆえ、そこらへんの配慮を怠らぬように!」
ジェームズ・ブラックマンには、色気不足を顧みずに悩殺アタックをかけ(ただし悩殺は玉砕)、浅海紅珠には避暑地バカンス優先の誘いをし、瀬崎耀司には呼び出し目的のベクトルずれまくりな服装指定をする始末である。
なお、弁天はまだ気づいていなかったが、アンティークショップ店内には既に来客がいた。
先だって解決をみた『首くくりの鬼』事件において、激動の『江戸』へ出向き、可愛らしい禿となって活躍した奉丈遮那である。
果たしてレンに呼ばれたのか、それとも波長が合う日だったのか。ともかく、気分転換がてらに散歩していて、気づいたときには辿り着いてしまったのだ。
せっかくだからゆっくりしておいきと蓮に言われ、静かに店内を見て回っていると、後から弁天がやってきたというわけであった。
(アンティークショップも、たまに覗いてみるのは楽しいですよね。面白い人とか、ものとかに逢えて)
紫紺のほうはすぐに遮那をみとめ、微笑んで目礼を送ってきた。
「こんにちは」
「あ、こんにちは。初めまして」
「遮那ではないか! ちょうどいいところへ。呼び出す手間がはぶけたというものじゃ。ほれ、ここに座って、この暗号をさくっと解いてみい」
その存在に気づくやいなや弁天は、自分が座っているソファの隣をぽんぽんと叩く。
素直に腰を下ろした遮那は、手渡されたコピー用紙を見つめた。
そのまま、しばらく考える。
「ふうんー。弁天さまの、昔の男の人の館ですか」
いつの間にやら遮那の真向かいに、マリオン・バーガンディーが出現していた。突然の登場に、慣れぬ紫紺は目を見張ったが、弁天はいつものこととばかりにマリオンをちら〜んと見る。
「……マリオンや。その言い回しは誤解を招くぞえ」
「違うのですか?」
「違う……とも言い切れぬのじゃが……いやしかし」
「令嬢ぽい服装をなさってても、恋愛経験豊富なのです〜」
「そう大人(?)をからかうものではない。せっかくじゃからおぬしも暗号解読に参戦せぬか」
言われてマリオンも、暗号文にさっと目を通した。しかしすぐに、お手上げとばかりに目をしばたたかせる。
「暗号は苦手なのです。こういうのはシュラインさんが得意なのです」
「シュラインは確かに最終兵器ではあるが、おぬしの時空超越テレポテーション能力も反則技的威力があるでのう。ともかく現地には同行してもらうぞえ〜」
ずっと無言のまま暗号文に目を走らせていた遮那が、はっと顔を上げたとき。
涼やかな声とともに、入口扉が開いた。
「マスター。只今戻りましたわ。……まあ弁天さま、いらっしゃいませ!」
華やぎに彩られた空気が、店内に満ちた。アンティークショップ・レンの看板娘(看板ミスリルゴーレム)、鹿沼デルフェスである。
鑑定を依頼され、蓮の名代として出向き、帰ってきたところであるらしい。
「おかえり、デルフェス。さっそくで悪いんだけど、このご令嬢もどきの相談を受けてくれないか? あたしには手に負えないよ」
蓮はげっそりしながら、弁天を指し示す。
ひととおり事情を聞き、デルフェスはにっこり微笑んで頷いた。
「――マスター。弁天さまはマスターを頼っていらしたのですし、それに、弁天さまは折に触れお店の仕事を手伝ってくださってるではありませんか。この機会におふたりとも、もっと親睦を深められたら宜しいのに」
「わらわはそのつもりなのじゃが、蓮が冷たくてのう。とんと相手にしてくれぬ」
「いつもの女神姿の弁天さまもお美しいですが、麗しい令嬢姿も新鮮ですわね」
「うむ。ちとデルフェスを見習ってみたのじゃ。たまには良かろうと思っての」
「幻想的な暗号ですのね……。それに、素敵な洋館」
デルフェスは興味深げに、館の写真と暗号文を見比べる。
「この友だち甲斐のない店主は置いといて、おぬしに来て貰うとしよう。ともに現地調査に行ってくれような?」
「わたくしでよろしければもちろん、お力にならせていただきますわ! そうと決まれば、こうしてはいられませんわね。マスター、弁天さま、わたくし井の頭公園へ行って参りますわ」
「どうして?」
「何故じゃ?」
はからずも、蓮と弁天は同時に問う。デルフェスはすでに、ドレスを優美に翻し、扉に手を掛けていた。
「ハナコさまとみやこさまをお誘いするのですわ。この暑さでぐったりなさっているでしょうから、避暑をご一緒できればと」
「それは構わぬが、これ、デルフェス、暗号についてはどう思……」
「弁天さま」
「何じゃ」
「わたくしも、暗号は苦手ですの」
「…………さよか」
ACT.2■暗号が隠すもの
招集された調査員一同は、東京駅の新幹線乗り場前で待ち合わせることになった。なお、マリオンだけは交通機関による移動の必要がないので、現地集合である。
「弁天さまー! こんにちはなの」
ファイゼに肩車されながら、蘭が大きく手をふった。小さな背には、お気に入りのクマリュックをしょっていて、お泊まり体勢も万全のようだ。
「おお蘭、よく来れたのう」
「フモ夫さんがむかえにきてくれたし、ずっと暑い日がつづいているから、すずしい場所におでかけしたかったの。……なんだか調査っぽくない服なの?」
手を借りて、とん、と下に降り立った蘭は、令嬢ルックの弁天と、なし崩しにエスコート役になってしまった紫紺を見て目を丸くする。
「ま、調査というよりは、毛色の変わった遠足と考えて宜しかろう。着替えやらおやつやらの準備は大丈夫かえ?」
「はいなの。リュックに、パジャマとー、ミネラルウォーターと、お菓子が入ってるの。お菓子は300円までなの」
「しつけが行き届いておるのう」
「デジカメももってきたの。たくさん写真をとって思い出にするの」
にっこりする蘭と、その手を引くファイゼを伴って、弁天と紫紺は上越新幹線改札を抜けた。
目的の「あさま521号」は既にホームに入っている。発車までにはまだ間があるのだが、デルフェスと、ハナコ、みやこは、とうに席に着いていた。ハナコによる一大なぞなぞ大会が繰り広げられるなどして、こちらもすっかり遠足のノリである。その席にシュラインが加わっているのが、暴走の歯止めとなってはいたが。
通路を挟んだ反対側の席には、紅珠と遮那が座っていた。遮那は、動きやすそうなポロシャツとチノパン(聞けば、甚平も寝間着用に持ってきているらしい)、紅珠は、ひまわりのワンポイントが入ったTシャツに白いパーカーをはおり、ハーフパンツにスニーカー履きといういでたちである。よく女の子に間違えられる遮那と小学生の紅珠が並ぶと、これから夏休みの家族旅行に向かうかのような可愛らしい姉妹に見える。
紅珠が荷物の中に、嫌々ながら宿題を詰め込んできているあたりも、夏休み特有の哀愁をさそう。ちなみに、ペット兼使い魔の子水竜は、乗車の際にはぬいぐるみと言い張って、しっかり膝の上に乗せている。
「弁天さま直々に旅のお供のお誘いを頂けたのも光栄でしたが、まさか紅珠お嬢様とも再会できようとは。運命とは不思議なものですね」
向かいの席では黒いスーツ姿のジェームズが、すらりと長い足を組んでいる。先だっての執事喫茶において、お嬢様&担当バトラーとして出会ったふたりの、再びの遭遇であった。
「もう、『お嬢様』はいいよ」
紅珠は頬を膨らます。
「ははは。では、紅珠さんで」
さん付けも何だかなーと紅珠は小首を傾げたが、しかし、それはそれとして、ごそごそと荷物を探る。
「ね、算数、得意?」
ちゃっかりと、宿題のドリル帳を差し出され、ジェームズは苦笑する。
「さて。難解な日本語で綴られた暗号を読み解くよりはたやすい気もしますが。如何ですか、ミスター瀬崎? 貴方の方が、小さなレディの手助けになれるのでは」
ジェームズの隣席には、仕立ての良いベージュのスーツに身を包んだ耀司が腰掛けていた。眼鏡の下の両目を閉じ、静かな思索の中にいた彼は、ふっと片眼だけを開き、遮那のほうへ笑みを向ける。
「考古学はたしかに、数字との戦いという一面もあるのだが……。宿題との戦いに於いては、おそらく役者不足だ。現役高校生にゆだねるとしよう」
「ええっ? 僕ですか? 算数かぁ。ううーん、どうかなあ」
「これこれ。紅珠の宿題も大事じゃが、まずは各自の暗号解読結果を聞きたいものよ。改めて人数分のコピーを配るゆえ」
弁天とファイゼが、手分けして皆に用紙を配布する。
「えっと……」
渡されたコピー用紙を穴の開くほど見つめ、紅珠は目を白黒させた。
「…………(只今硬直中)」
その危機を見かね、ジェームズが助け船を出す。
「たとえば、季節について言っているのかとも思ったのですが。月=秋、虹=夏、夜=冬というように。ですが、その割には、四季順ではないのですね」
思案するジェームズの横で、耀司が呟く。
「恋文の乗せた暗号か。……暗号の類を研究、もとい思考するのには、僕も興味を惹かれるところだ。かつての恋人に、わざわざ暗号で連絡を乞うのは、なにがしかの深い事情があるのだろうね」
「ここに『虹(夏)を渡るすべをもたぬ身』という一文があります。連絡が取れなくなったのは、季節に関係があるのでしょうか? あとは、そうですね、漢字で示してもよさそうなところが平仮名になっているのは、なにか理由が――いや、ないのかな、もしやこれは」
ジェームズは何事かに気づいたようだった。
向かいで遮那が大きく頷く。
「意味はひとまずおいといて、発想の転換ですよね。最初に見たとき、思ったんです。これっていわゆる、一番簡単な暗号じゃないかって」
「簡単……ですの?」
身を乗り出して、デルフェスが目を見張る。
「そうね」
シュラインは文面を指でなぞる。どうやら、遮那と同意見であるらしい。
「紫紺さんの仰る二重暗号は、最初の暗号は、という意味でなら、すぐ答がわかるわ」
「文頭の音を拾えばいいんですよね」
言われて一同は、改めてメールを読み返した。
(か)風に乗ってうたうように
(く)くしけずられる貴女の髪は
(し)幸せなものがたりの
(た)誕生に似ています
(は)春の日差しに目覚める海
(な)波に浮かぶ泡がはじけて
(は)花の女神が身を起こし
(み)見晴るかす水平線は
(つ)月の残像がたゆとうばかり
(け)気高き貴女を想いながら
(た)ただ夢見るは
(ひ)ひとときの輪舞
(と)届くはずもない恋を抱え
(に)虹を渡るすべを持たぬ身を
(あ)哀れんでください
(げ)幻影に溺れるまま
(よ)夜に逃げまどい
(う)憂うことしかできない私を
「かくしたはなはみつけたひとにあげよう、となります」
まるでカードが示す未来を告げるがごとく、遮那の口から透明な声が放たれる。同時にシュラインが頷いた。
「『隠した花は見つけた人にあげよう』――花というからには、伊蕗氏の収集品から考えて、ガラスに関連したものじゃないかしら」
「この文面だと……お年寄りのお遊びの宝探しなのか、でなければ……」
「ええ、それが心配ね」
遮那の懸念を先取りし、シュラインは目を伏せる。
「これが弁天さんに対する遺言でなければ、いいのだけれど」
「そう――ですね、あまり考えたくはないですが、その可能性はあるかも知れません」
ジェームズが、弁天を振り返る。
「弁天さま。ミスター伊蕗には、世をはかなむ理由があったのではないですか?」
「はて?」
行儀悪くも肘掛けに腰を下ろして、令嬢ルックだいなしの腕組みをし、弁天は宙をにらむ。
「ユージィンは、皮肉屋で根性曲がりなくせに完璧主義者じゃが、そういうしおらしさは持ち合わせていないと思うがのう」
「ユージィン……。若かりしころの伊蕗氏を、弁天さまはそう呼んでらしたと」
微笑む耀司に、弁天は慌てて両手をひらひらさせる。
「べっ別に、若気のいったりきたりなハイテンションの愛称ではないぞっ。悠治の母御はフランス人だったのじゃ。……聞いておくれ耀司、この母御がきっついおなごで、わらわを目の敵にしてのう、息子との仲を引き裂いたのじゃぞ」
「それはそれは」
「まあ……。お辛かったでしょう、おかわいそうですわ」
デルフェスが胸の前で手を組んで涙を浮かべ、蘭も大きな目を潤ませる。
「弁天さま、かわいそうなのー」
「ははあ。過去にそんなことがあったので、今度はご自分が恋人たちを引き裂く側に回ったんですね」
言わなくてもいいことを言ってしまったファイゼが、弁天に思いっきりヒールで足を踏まれたあたりで、シュラインはふと頬に手を当てた。
「伊蕗教授は、お父様も建築家だったわね。フランス人というと――もしかしたら、戦前に来日し、日本人建築家と結婚したガラス工芸作家のレティシア・デュ・ボワかしら。結婚後は、レティシア・イブキと名乗っていたはずよ。」
「まさしくその女がユージィンの母親じゃ。しかしシュラインは博識じゃのう」
「ちょうど今受けている仕事が、戦後におけるジャポニズム装飾芸術の変換に関する内容なものだから」
「そんな専門的な。いったい誰のゴーストライターをしておるのじゃ?」
「それは秘密。ところで変なことを聞くけれど、レティシア・イブキが先日お亡くなりになったのは知ってる?」
「うむ。新聞で知っただけじゃがな。この50年というものユージィンとは没交渉であったし、それについては、わらわに連絡は来なかった。あのおなごは1908年生まれじゃからして……そうか、98歳の大往生じゃな」
「どうして急に、弁天さん宛てにメールが来たのかが、不思議だったんだけど」
考え深げに、シュラインは言う。
「お母さまがお亡くなりになったことと、関係があるのかも知れないわね」
ACT.3■封印
あなたはずっと、ここにいて。
家から一歩も出ないでね。
二度と、あの娘には逢わせない。
季節が移れば、きっと忘れられるわ。
手の届かない、ひととは相容れない、あれは彼岸のかなたを往く存在(もの)だから。
ACT.4■硝子の花
――そのころ。
マリオンは単身、とうに旧軽井沢に到着していた。
(重いモノは持たない主義なのです)
そういうポリシーの人々は世界中にいるであろうが、それを実用に転ずることができる能力の所持者は稀であろう。ましてや、現地で使用する各種アイテム等をえいやっとデジカメに放り込み、身一つでの瞬間移動が可能ときた日には。
(ちょっと、早すぎたのです。皆さんが到着するまで、暇なのです)
暗号は不得手と言いながらも、文頭を繋げて読めばいいのかも知れない、というところまでは、マリオンは気づいていた。
先に館内部を調べておこうかとも思ったが、伊蕗邸を訪ねるのは、一同と合流してからの方が良かろうと思い直す。
(伊蕗さんの生活範囲がわかって、何か参考になるかもしれないのです)
ひとり頷いたマリオンは、デジカメに入れたアイテムの中から――
なんと、「馬」を取り出した。
そして……。
その日、調査員のみならず、偶然に旧軽井沢を訪れた人々は、白馬に乗った美少年が、風吹き渡る高原を疾走するという、幻想的な光景を目撃することになったのである。
† †
「あさま521号」は、定刻どおりに軽井沢駅に停まった。
旧軽井沢までは、徒歩では少々きつい距離である。タクシー待ちの行列に並びながら、弁天がぼやく。
「かつて、三笠ホテルに逗留したときは、軽井沢駅からホテルまでの2kmの道程は、黒塗りの馬車での送迎があったものじゃがのう」
「そりゃいつの時代だよ。それに、これから行くのは伊蕗邸であって、ホテルじゃないだろう」
紫紺が言い、ハナコも賛同する。
「そうだよねー。んね、お泊りの用意はみんなしてきたみたいだけど、そもそも、部屋の準備とかは大丈夫なの? 悠治ちゃんはひとり暮らしだったし、今、行方不明かもしれないんでしょ?」
「宿泊施設としての使用は問題ないはずじゃ。部屋数はたくさんあるし、リネン関係は通いの管理人が整えておる。それに、わらわは伊蕗邸のマスターキーを預かっておるのじゃ。メールとは別に、書留で届いておっての」
「それって」
シュラインがさらに聞こうとしたところで、タクシーの順番が回ってきた。
† †
碓氷峠に至る道を右に見送り、白糸の滝方面へとタクシーは走る。
三笠通りを抜けた車は、ほどなく目的の場所に到着した。
鬱蒼とした緑が、私道の両側からアーチをつくっている。蝉の声さえもどこか遠慮がちな独特の空気の中、一同は緑のカーテンをかきわけるように進んだ。
不意に、切り妻屋根の洋館が、その姿を現す。蔓草さながらに妖しくうねった鉄柵に守られた、褐色の煉瓦づくりの館は、まるで深い森に棲む妖精の家のようにも見えた。
「お待ちしてました。皆さんのご到着なのです」
一陣の風とともに小気味よい蹄の音が響き、乗馬をたしなんでいたお坊ちゃま、もとい、先立って近隣の調査に取りかかっていたマリオンが合流した。
その姿を見た瞬間、弁天がはっと息を呑む。
「――ユージィン」
「……弁天さま?」
きょとんとするマリオンに、我に返った弁天は、慌てて片手を振った。
「いや、なんでもない。あのころのユージィンよりおぬしの方がよっぽど美形じゃ。……すまぬが、ジェームズや」
「はい?」
「館のチャイムを、押してくれぬかえ? ユージィンが出る可能性は、少ないとは思うが」
「わかりました」
ジェームズがチャイムを押す。案の定、応答はない。
「失礼します、ミスター伊蕗。ご在宅ですか?」
続けて強くノックし、しばらく待ってみたが、やはり、扉が開く様子はないようだった。
「室内に、人の気配はしないわ」
シュラインが目を閉じて、耳を澄ます。
「仕方あるまい。マスターキーを使うぞ」
重々しい音を立てて、樫の一枚扉が開く。
緻密なモザイクタイルで彩られた玄関に一同は足を踏み入れ――
花のかたちをした光が、乱舞するさまを見た。
百合、木蓮、ケシ、アイリス、睡蓮、すみれ、クロッカス、シクラメン、カトレア。
白い大理石の床面に、花の点描が幾重にもかさなっている。幻想の海に次々に投げ入れられた、花束の群れさながらに。
それが、広い窓一面に設けられたステンドグラスによる効果であることに、いち早く耀司が気づく。
「僕は門外漢だから断定はできないけれども、ナンシーのステンドグラス作家、そう、ジャック・グリュベールあたりが好んで使った意匠のようだね」
「詳しいな。考古学者にしておくのは惜しい」
手をかざしてステンドグラスを見上げ、紫紺が笑う。
「んー。でも、『かくしたはな』って、これのことじゃないよね。だって、隠れてないもん!」
しばらく見とれていた紅珠だったが、やがて、きっぱり明快にすがすがしく断言し、抱えていた子水竜を床に降ろす。
「こうなったら徹底調査だ」
荷物を解き、なぜかシャベルとビニール袋を取り出すと、警察犬さながらに床をくんくんしはじめた子水竜(注:新幹線での道中、ジェームズが聞いたところによれば、子水竜の父親であるところの水竜「辰ノ進」はデューク似であるらしい)を引き連れて、館探索に出発しようとする。
「こうじゅさん。ちょっと待って、なの」
蘭は、ステンドグラスからこぼれ落ちる光の只中にいた。花影をうつした姿は、彼自身の本質とも相まって、幼い精霊のように見える。
「……お花さんが、みなさんまずはお部屋にどうぞ、っていってるの。ひとやすみしてから活動なさったら、って」
「お花さん、じゃと? 蘭、おぬし、誰ぞの声が聞こえるのか?」
「はいなの」
「しかしここには、生花どころか観葉植物らしきものは見あたらんぞ。サボテンひとつない」
弁天が首を捻る。シュラインも、耳を澄ましてから、首を横に振った。
「そうね。植物が発する振動を、聞き取ることは出来ないわ」
「シュラインさんに聞こえないということは、蘭くんが耳にしているのは『音』ではないんじゃ?」
遮那が言う。蘭はなおも「花」の代弁を続けた。
「こうじゅさんは『すいーとぴー』の部屋、シュラインさんは『けし』の部屋、マリオンさんは『とけいそう』の部屋、ジェームズさんは『ばら』の部屋、しゃなさんは『はるくさ』の部屋、デルフェスさんはハナコさんやみやこさんと一緒に『まーがれっと』の部屋、ようじさんは『くらやみのはな』の部屋、しこんさんは『ぶどう』の部屋、僕は……フモ夫さんと同室で『かとれあ』の部屋、でいいの? あれ? 弁天さまは……ええっ? 僕、そんなこといえないのー!」
「どうしたのじゃ、蘭。『お花』は何と言うておる?」
「『そんな女を泊める部屋なんてありませんっ! 庭で野宿すれば?』……って」
「何じゃとぉ〜〜!! そのきっつい言い回しはレティシアじゃな! 大往生したくせにまーだそこらへんをうろうろしとるのか。さっさと成仏せぬか」
――わたしはレティシアじゃない。彼女のつくった硝子の花。この世を去ったレティシアの代わりに、館を守るためにいる。
『花』は、蘭を媒介として、そう伝えるなり、ふいと黙り込んだ。
一同はひとまず、割り振られた部屋へと移動した。
荷物を置いたあとは、各自それぞれに館探索を行うことにしたのである。
皆の部屋の名前は、備え付けの棚に飾られたガラス作品に由来していた。列記すると、以下のようになる。
紅珠……………スイートピー文小物入れ
シュライン……冬の罌粟(けし)文花器
マリオン………壷「時計草」
ジェームズ……花器「ガリアの薔薇」
遮那……………春草文エナメル彩花瓶
デルフェス……マーガレット文耳付花瓶
耀司……………水差「暗闇の花」
蘭………………カトレア文ランプ
紫紺……………葡萄文花器
ACT.5■月光色
夜が更けた。
短剣の切っ先に似た細い月が、旧軽井沢の夜空に浮かんでいる。
「あらら」
玄関口のフロアで、くだんのステンドグラスを見上げていたシュラインは、三々五々集まってきた調査員を見て苦笑した。
「やっぱりみんな、考えることは同じね」
「わたくし、あのメールはやはり、弁天さまへの恋文でもあろうかと思うのです」
デルフェスがぽつりと言い、遮那も頷いた。
「花の女神。月の残像。夜に逃げまどい。こういった言葉にあまり意味はないような気はしたんですが、何となく『月夜の花』を表している気がして」
「花を隠すとしたら、やはり花束の中でしょう」
「月は真実を照らすものだからね。真相が知りたければ、夜に聞けばいい」
ジェームズと耀司が、一対の探偵のように、深い響きの声を放つ。
「このステンドグラスが怪しいのです」
マリオンが窓を指さした瞬間、月が僅かにその位置をずらし――
床に映し出された花々は、その色合いを蒼く変えていき――
花の海の中に、二重写しのように浮かび上がるのは、今まで存在しなかった花。
みっつに分かれた雌しべが、時計の短針、長針、秒針のように見える、特徴的な――
「トケイソウなの!」
蘭が叫ぶ。
「そういえば、時計草をモチーフにした作品が、誰かの部屋にあったな」
「んんっと、たしか」
紫紺の呟きに、紅珠は一瞬眉を寄せた。が、すぐに思い出したと見えて、ダッシュする。
「マリオンさんのところだ!」
「ええっ? 部屋の中はひととおり調べてみましたけど、特に変わったところはなかったのです」
「隠し部屋があるのやもしれぬ。ユージィンはそういう小細工が好きな建築家ゆえ……じゃが」
――まさか、自分がそこに閉じこめられるとは思ってもいなかったろうのう。
それも、母親亡き後、彼女の残した『花』に。
手にしたマスターキーを、弁天は見つめる。
その鍵にも、小さな時計草の模様が刻まれていた。
† †
そして、調査員たちは、
クローゼットの中に設けられた隠し扉を開け、
気を失っている伊蕗悠治を救出したのだったが。
不思議なことに――
その隠し部屋に入った瞬間、充満した花の香にむせかえった。
窓ひとつなく家具すらもない、殺風景な場所であったのに。
† †
「いやあもう、年は取りたくないねえ。すっかり体力が落ちてしまって。もう少しで母の後を追う羽目になるところだったよ。……ああ、ありがとう」
蘭に渡されたミネラルウォーターで水分補給をし、悠治はふうと息をつく。
「ったく、人騒がせな。忙しいわらわに手間を取らせおって」
「すまないねえ、清花。君は顔が広いから、いざというとき頼りになるよ。皆さんも、私なぞのために申し訳ない。こんな遠くまで来て頂いて」
「ご無事でなによりです。あの、二、三、お伺いしたいのですけど」
シュラインが、メールのコピーを広げる。
「このメールを書いたのはあなただと思うのですが、弁天さんに送信したのはあなたではありませんね? おそらくは『花』――」
「そう、よくわかったね。これは遺言状のつもりだった。本来は私に万一のことがあったとき、送られる手筈になってたんだよ。清花に後の面倒を見て貰うためにね。この館の管理とか、墓の手配とか」
「ちょっと待てぇ、ユージィン! 何でわらわが、別れた男の死後の面倒まで見ねばならぬのじゃあ」
「だって私には係累はないし、他に頼めないんだよ。君は女神だから不死身だし。……おそらくは母も、死期が近づいたときそう思ったんだろう。だから君あてに、マスターキーを送った」
「恋文に暗号を隠した遺言を書いたのは伊蕗教授で、弁天さまに館を託すべく鍵を送ったのはレティシア・イブキ。そして、背反するレティシアの心のうち、息子の恋人を遠ざけたい気持ちを受け継いでしまった『花』が、送るべきではない時期に遺言メールを送信し、伊蕗教授を閉じこめて引継ぎを攪乱した――錯綜しているね、かなり」
耀司が丁寧に解きほぐしていったが、紅珠は、眉間に縦皺を寄せたままだ。
「………………わかんないな。あ、でも」
パーカーのポケットから、ビニール袋を取りだして一同に見せる。花模様のガラスの小瓶が入っているのが透けて見えた。
「さっき、庭でこれを見つけたよ。いやに花の匂いがする地面があったから、シャベルで掘ってみたんだ」
「中を見てもいいかえ?」
断ってから、弁天は小瓶の蓋を開ける。小さく折りたたまれた紙片が、入っていた。
++ ++ ++
わたしを見つけないで。いいえ、どうか見つけて。
ここは誰にも渡さない。いいえ、どうかこの館を守って。
あの子はわたしだけのもの。いいえ、どうかユージィンのそばにいてあげて。
わたしたちを忘れて。いいえ、忘れないで。
あなたは未来永劫生きている。
わたしが死んで、いつか、あの子が死んでも。
だけど ――
たまには、逢いに来てよ。
わたしたちのことを、思い出してよ。
++ ++ ++
「マスターキーを送る前に、レティシアが書いたのじゃな。こういう台詞は、50年前に言って欲しかったのう」
わざと感情を出さずに、弁天はぼそりと呟いた。
ACT.6■EPILOGUE――そして、バカンス――
「おっはよー! いい天気だよ! ね、今日は、旧三笠ホテルに観光に行くんだよね? 早く出発……あれれ。ジェームズさんまだ寝てる? 起こしてくるね」
「待ちや、紅珠。ジェームズを起こしに行くのは、おぬしにはまだ刺激が強すぎるっ!」
「なんでえっ?」
「じゃあ、私が行ってくるわ」
「おぬしもいかんぞ、シュライン。各方面から波風が立ちまくる」
「あら、どうして?」
「ジェームズは、眠るときは、いわゆるシャネルの5番しかつけぬ主義らしいのじゃ」
「……それは、つまり」
「察しが良いのう、耀司。そう、つまり何も着ておらぬのじゃ」
「そんなこと、どうして弁天さんが知っているのですか?」
「ふっ。覚えておおき、マリオンや。素敵殿方の情報は、どんな手段を使ってもゲットするのが令嬢のたしなみというものぞ」
「じゃあ、僕が起こしてきますね」
「待ってなの、遮那さん。たのしそうだから僕もいくなのー!」
「蘭どの! 私も同行します、保護者としてっ!」
「……何だか不安だな。俺も行こう。……弁天さまは、ついてこないように」
「まあまあ、紫紺どの、そう言わずに」
「それではわたくしは、ハナコさまやみやこさまとご一緒に、ショッピングモールでお買い物をしてまいりますわね。のちほど、皆さまを追いかけることにいたしますわ」
――ちなみに。
ジェームズは、部屋に踏み込まれた次の瞬間には黒スーツ姿になっていたため、皆がひそかに期待(?)した寝姿を目撃することは出来なかった。
「さて、全員揃ったところで観光にGOじゃ。あの頃、三笠ホテルには入れ替わり立ち替わり素敵殿方が逗留しておっての。ダンくん(団琢磨:旧三井財閥総帥)やスッチィ(住友吉左衛門:旧住友財閥総帥)、ふっくん(清朝最後の皇帝溥儀)らと楽しく過ごしたものじゃ。懐かしいのぅ〜。あ、ちなみにおぬしの生まれる前の話じゃぞ、ユージィン。妬いてはいかんぞえ」
なお、重要文化財旧三笠ホテルは、入場料大人400円が必要であり、弁天は人数分の料金を払わされることになった……。
とにもかくにも、波乱の夏は過ぎる。
花の香りだけを、残して。
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【0086/シュライン・エマ(しゅらいん・えま)/女/26/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
【0506/奉丈・遮那(ほうじょう・しゃな)/男/17/占い師】
【2163/藤井・蘭(ふじい・らん)/男/1/藤井家の居候】
【2181/鹿沼・デルフェス(かぬま・でるふぇす)/女/463/アンティークショップ・レンの店員】
【4164/マリオン・バーガンディ(まりおん・ばーがんでぃ)/男/元キュレーター・研究者・研究所所長 】
【4487/瀬崎・耀司(せざき・ようじ)/男/38/考古学者】
【4958/浅海・紅珠(あさなみ・こうじゅ)/女/12/小学生・海の魔女見習】
【5128/ジェームズ・ブラックマン(じぇーむず・ぶらっくまん)/男/666/交渉人&??】
(同行者)
【紫紺/おもひで繕い屋より】
【井の頭・弁天他3名/井の頭公園・改より】
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■ ライター通信 ■
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こんにちは、神無月まりばなです。この度は、「館コラボ」ノベルサイドにご参加くださいまして、まことにありがとうございます。
長らく旧軽井沢にお引き留めしてしまい、申し訳ありません。
何だかこの旅行、お泊りの準備をいただいておきながら、先の見えない道行きでしたね。ホントにミステリーツアーになってしまいましたが、皆さまには、少しでも避暑地を楽しんでいただければ幸いでございます。
ところで、暗号は、わかんねぇぞコラと仰ってくださったかたが思いのほか多く、かえってバランスの良い流れとなりました。
おのおのがた、策士よのう。
ノベル反映後、桃月りな絵師の【おもひで繕い屋】にて、異界ピンナップを募集予定です。宜しかったら、花と硝子の館でお過ごしになった想い出を、貴方のアルバムに加えてみませんか?
□■シュライン・エマさま
シュラインさまにはどんな暗号も見破られてしまうに違いあるめぇ、と思いながらちまちま作成してみましたが、案の定、さっくり看破されてしまいました。裏の裏まで含めて、完璧でございます。
□■奉丈遮那さま
今回、文頭を繋いで解いた暗号を提示なさったのは、シュラインさまと遮那さまのおふたかたでございました。可愛らしくおとなしい雰囲気の遮那さまですが、とても頼もしい調査員ですね。お世話になりました!
□■藤井蘭さま
フモ夫をご指名くださってありがとうございます。出発時のお出迎えから、館滞在時のお世話、持ち主さまのもとへ送り届けるまで、保護者としてべったり同行させていただきました。さりげなく肩車などしております。
□■鹿沼デルフェスさま
いつも弁天とハナコとみやこがお世話になっております(深々)。弁天はともかく、ハナコとみやこは、デルフェスさまがお誘いくださなければ、蒸し暑い東京で溶けかかっていたことでございましょう。ショッピングの後は、森林浴も楽しまれたことと推察いたします。
□■マリオン・バーガンディさま
「過去」に関わる調査では、マリオンさまは絶対無敵の探偵でいらっしゃいますな。今回も、その能力を余すところなく発揮していただきました。そして、せっかくですので、乗馬もたしなんでいただいた次第です。マリオン坊ちゃまR(リターンズ)ということで。
□■瀬崎耀司さま
イラストで拝見している耀司さまは和装が多いようですが、以前ゲーム世界でお会いした時は騎士の姿でいらっしゃいましたし、今回は洋装に眼鏡! 激レアなお姿でいらしていただき、光栄でございます。少しでもご研究が進みましたことを祈りつつ。
□■浅海紅珠さま
そして、ここにもリターンズ組が(笑)。紅珠お嬢様&バトラージェームズのゴールデンコンビ再び。ジェームズさまはきっと、あとで宿題を手伝ってくださいましたよ。デューク似の水竜パパに宜しくお伝えくださいませ。
□■ジェームズ・ブラックマンさま
お嬢様の算数の宿題をさりげに瀬崎先生に振り、瀬崎先生は奉丈くんにさらっと回してましたが(笑)、紳士でいらっしゃるジェームズさまのこと、最終的には果敢にドリル帳に挑まれたことと存じます。寝姿のミステリアスさに、どきどきなバカンスでした。
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