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<東京怪談ウェブゲーム アトラス編集部>


マドファング・ビーチ 後編




■前編概要■


 原初の自然が今もまだ息づく、屋久島と種子島の南に、尾添島(おそいじま)という小さな島がある。数年前からある企業がリゾート開発を始め、今年の夏、海水浴場と宿泊施設が試験的にオープンした。
 白い砂浜とエメラルドグリーンの海、サンゴと極彩色の熱帯魚たち。オソイビーチは日本にいながらにして、南国に滞在する気分を味わえる楽園であるはずだった。

 しかし、月刊アトラス編集部は掴んでいたのである。
 この島に、〈メシイヌ〉という妖怪が棲みついていて、昔から地元の漁師が近づこうとしていなかったということを。オソイビーチに住み込みで働いている従業員が、何名か行方知れずになっているということ。
 動くものなら何でも食べてしまうという妖怪。
 恐ろしい妖怪は、島の砂浜や地面の地下で生きていた――。

 旅費はアトラス持ちという好条件で、オソイビーチにモニターとしてやってきた調査員。そして、島の生態系の調査に来ていた大学教授芹沢。彼らの前に、メシイヌはあらわれた。芹沢によれば、メシイヌは妖怪などではなく、新種の哺乳類であるという。地中で生きているため目も耳も退化しているが、地面や床を伝わる震動や臭いにはきわめて敏感だ。
 芳沢はメシイヌとハダカデバネズミという珍獣の共通点を示唆する。ハダカデバネズミは哺乳類ながら、『クイーン』を中心とした社会性を持っているらしい。芹沢は言う、このメシイヌはコロニーを作っていて、クイーンにかしづく働きイヌが無数にいるのではないかと。
 それを裏付けるように、夜も深まる尾添島の地下からは、低い震動が沸き起こってくるのだった。そして――かれらが出入りする穴が、あちこちに出現している。
 人など、すっぽりと呑みこまれてしまいそうな、深く大きく暗い穴が。



■おとのないよるに■


 シュラインがボイスレコーダーのスイッチを切った。
 彼女が淡々と、淀みなくつづった状況を思い返しながら、羽澄は海を眺めている。夜の入り江は美しかったが、波の音と風の音がかえって静寂を浮き立たせているようだった。この静寂が不気味で、不安を誘うものに思えるのは、この島に棲みつく妖怪の正体を知ってしまったからだろうか。
 入り江にせり出すツインルームのコテージで、彼女たちは息をひそめている。羽澄は宿泊施設の周囲を探索してみたが、森の中にも穴がいくつも開いていた。思っていたよりもかれらの出入り口は多い。島の地下の迷宮は、ありとあらゆるところに繋がっているだろう。
眠らなくても差し支えのない緋玻と流は寝ずの番だ。慶太もトライバルの獣の見張りを立てている。シオンは慶太と同じコテージで震えていたが、今は寝ていた。平四郎は壊されてしまったプラズマ測定装置と修理と改造に没頭している。その没頭の果てに平四郎が襲われては事なので、せりなはほんの少し不本意ながらも、彼と同じコテージにいた。
 地面が揺れている気がする。
 どこかで獣が荒い息をついている。

 メシイヌは妖怪ではなかった。ひょっとするとイヌでもないのかもしれないが、ともかく、あれは動物である。ただこの島で生きているだけの動物。人間がどれほど恐ろしいか、どれほど弱いかも知らない、無垢で獰猛な動物。
 絶対悪ではない。人類をおびやかす邪悪な妖怪ではなかった。かれらは生きるために殺しているだけだ。
 アトラスから派遣された調査員たちの中に、複雑な、葛藤にも似た感情が降りてくる。

 ざざざざざ。
 どどどどう。
     ぐるるるるぅ、
 ざばばばば。

「つーか、ズラかろうぜ」
 窓辺で慶太がぼんやり呟く。シオンが眠っていることは承知していたし、使い魔の狼が雑談に応じないということも知っていたので、それは独り言だった。
「なんで律儀に一泊しようとしてんだよ。船は無事なんだし、さっさと島出りゃいいじゃねェか。……だよな、それがマトモな判断だよな」
 ため息をついて、慶太は窓辺から離れた。
「荷造りすっか」
「ダメですよ!!」
 がば、と眠っていたはずのシオンが目を剥いて飛び起きた。ハイビスカス柄のタオルケットが大仰に吹き飛ぶ。あァ、と慶太は顔をしかめた。凄んだつもりはあまりなかったのだが、シオンは一瞬肩をすくめた。
「スプークですよ、私たちがこの島に来た理由は!」
「あんたひょっとしてスクープって言いたいのか?」
「どっちでもいいです。ともかく、編集部がお金を出してくれたんですから、私たちはこの島のスクプーを激写する義務があります!」
「スクープ、な。……まア、そりゃ、そうなんだが……命あっての物種っていう格言もあるだろが。俺はまだ死ぬ気ねェしよ」
「私ももっとたくさんプリンを食べたいです! ……行きましょう、生贄さん!」
「待て。いろいろ突っ込ませろ。こんな夜にドコ行くってんだよ。なに興奮してんだよ。俺は黒贄だよ。あんた黙って寝てろよ!」
 ポラロイドを掴んでコテージから飛び出そうとするシオンを、慶太は激しい突っ込みで、トライバルの狼は咆哮で制止した。


 地下の震動とかすかな唸り声をともにしながら、彼らは夜を過ごす。
 誰もが音を立てずにいたためなのか、かれらも戸惑っていたのか。
 夜は終わる。
 空が焼けていく。
 蒼い海は、赤い朝日を浴びていく。
 ムラサキの朝がやってくる。
 清々しい空気は、白波のあぶくから立ちのぼってくるようだった。


 それを見て、緋玻はため息をついた。故郷では見られない、まるで天上の国のような光景だ。ここに来て後悔していた。だが、その朝焼けを見て、ここに来てよかったのだと思った。



■朝焼けのイヌ■


「うむ! これで良かろう!!」
 必要以上に大きい平四郎の声は、目覚ましとして充分だった。うとうととまどろんでいたせりなは飛び起きた。彼女の視界に飛び込んできたのは、出発時からすでにボサボサだった髪をさらにボサボサにした平四郎。その平四郎の勝ち誇った笑顔。彼の目の前の、随分小さくなってしまったプラズマ観測装置。
 いや、機械は近年、小さく小さく進化している。この装置も平四郎の夜なべで進化を遂げたのかもしれない。
「直ったんですか、博士」
「改良もしたぞ。あの新種の生命体にのみ反応するはずだ。たとえ地下300メートルに潜んでいても補足できるぞ!」
 平四郎は徹夜をしたはずなのだが、まったく疲れの色を見せていない。子供のように目を輝かせてもいる。彼はせりなが見守る中、装置のスイッチを入れて、てきぱきと操作した。せりなにはこの装置の使い方やシステムなどはわからなかったので、とりあえず液晶ディスプレイに注目した。
 ピン、と装置が電子音を放つ。ぴくり、と平四郎が動きを止めて、画面を凝視した。
 ピン、
 ピン、
 ピンピンピン、
 ピンピンピンピンピンピンピンピンピンピンピン――
「……あの、博士」
「……何だね」
「……この、緑色の点……」
「……うむ」
「……全部、メシイヌ?」
「………………BL−98Cの動作確認をするとしよう! この状況下ではあのプラズマ式携帯型電磁障壁発生装置の存在がものを言う!」
「……」
 ピンピンピンピンピンピンピンピンピンピンピン、
 平四郎はバッグの中や白衣の内側をかき回し始めた。さすがの彼も驚き、戸惑っているのだろうか。せりなは息を呑んでいた。メシイヌの居場所を知らせる、ディスプレイ上の光点は、点滅しながら増えていく。100や110ではきかない数の反応だ。
 光点がディスプレイを埋め尽くすまで、さして時間はかからなかった。
「少々観測範囲を広く設定しすぎてしまったようだ! さらに改良しなければな!」
「……いえ、あの……島から逃げたほうが、いいと思うんですけど……」
 せりなの碧眼は、無数の光点から離れない。


 朝が来ると、シュラインと羽澄のふたりは厨房の奥に向かった。芳沢からいろいろメシイヌに関しての見解を聞くつもりだった。彼のことであるから殺して解剖こそしていないだろうが、昨夜はわずかな観察でメシイヌの特徴を掴んでいたはずだ。他にもわかったことがあるかもしれない。
 厨房の入口には、流がいた。見回りからは早々に引き揚げて、気絶したメシイヌのそばにいたらしい。彼が手にしているものを見て、羽澄とシュラインはぎょっとした。流は青褪めた人の腕を持っていたのだ。
「それ、バイト君の腕?」
「如何にも。あの場に転がしておいては、血の臭いを嗅ぎつけられるやもしれぬ」
「……持って帰りましょうか。クーラーボックスに入れて」
 シュラインが目を伏せた。
 彼女たちは、貯蔵庫まで食材を取りに行って戻ってこなかった、厨房のバイトの顔も名前も知らない。ただ、腕だけが残された。腕をなくしたままそのバイトが森をさまよっているとは考えにくい。腕だけが、彼の死んだ証だ。
「遺族が存在する、ってことを企業に教えないとね」
「この島を拓くのは控えよと物申したいところだが……」
「説得するには証拠が必要ね。たくさん集めとかないと。従業員さんたち、避難してくれるかな……」
「ああ。それなら、夜半に例の緋玻という鬼女が触れ回っていたぞ。2階や屋根の上で息を殺せと。全員それに従ったようだ」
「やっぱり、命は大事だものね。私たちも証拠を集めたら、早く島を出ましょ」
 シュラインが厨房の扉を開けた。
 メシイヌは麻縄でがんじがらめにされていて、芳沢がその傍らに腰を下ろしている。彼はどこか呆けたように、青褪めて疲れた顔をしていた。
 3人が厨房に入るなり、メシイヌが首を動かして、唸り声を上げた。縄で拘束されているが、苛立たしげに身じろぎしている。目も耳もないが、3人の存在をしっかり認識しているらしい。
「芳沢さん、何かわかりました?」
「ん、あ、……ああ……」
 シャラインに呼びかけられて初めて、芳沢は3人の存在に気がついたようだった。目も耳もないメシイヌのほうが敏感なのか、それとも、芳沢がぼんやりしていたのか。
「それは、この辺りの島の人たちに、〈メシイヌ〉と呼ばれていたものらしいんですけど」
「なるほどな。盲い犬というわけか。確かに顎がイヌのように発達している。だがどちらかと言えば、これはモグラに近い生物だ」
 芳沢はちらりと、足元のビニール袋に目を向けた。
「縛り上げるときにうっかり喉を圧迫しすぎたようでね。ついさっき嘔吐させてしまった。だがおかげで、胃の内容物がわかったよ」
「完全な肉食ですか?」
「ああ、そうだ。だが、奇妙だとは思わんかね」
「……そう。今まで、そいつらは何を食べて生きていたのかしら」
 芳沢の言葉のあとを引き継いだのは、厨房に入ってきた緋玻だった。
「さっき、せりなさんとすれ違ったわ。例のトンデモ博士がメシイヌレーダーの開発に成功したんですって。……島の地下には、メシイヌが無数にいるみたい。でも……、こんなに大きい肉食の生き物が、こんな、小鳥とかネズミくらいしかいない島で、そんなにたくさん生きていられると思う?」
「じゃあ、つまり――」
「かれらは餓えているんだよ」
 芳沢は青褪めた顔で、ビニール袋から大きな牙を取り出した。褐色の胃液にまみれたその牙は、メシイヌのものと思われた――。
「かれらは日常的に共食いをしている。そんな生物は珍しい」
「新しい味を求めてるでしょうね。生き物はなるべく、共食いしないようにできてるものだから」
 厨房の勝手口は椅子やテーブルでふさがれていたが、風が吹いてきたようだった。妙に寒々しい、ぞっとする風だ。朝の空気が、刃物のようだ。ここはのどかな島だと感じているのは、人間たちだけなのだろう。
 地下では、生きるための殺し合いがつづいている。



■焼ける皮膚■


「ぅおーい、ちょっと助けてくれよォ」
 平四郎とともに厨房に向かっていたせりなは、その低い声で振り返った。一方、平四郎は端末の画面を睨みながらさっさと先に行ってしまった。せりなを呼び止めたのは、渋いアロハシャツ姿の慶太だ。ピアスだらけの御面相に、似合わぬ困惑の色をありありと浮かべている。
「どうかしたの? 妖怪でも出た?」
「出たらもっと慌ててるだろーよ。シオンがよくわかんねーことになっちまったからなんとかしてェんだ。いや、あいつはもとからよくわかんねーんだけどさ」
 慶太は朝焼けの下の砂浜を指差した。そこから煙が上がっている。
 アトラス編集部に並ならぬ恩義を感じているらしいシオンは、突如戦場カメラマンも裸足で逃げ出すスクープ魂を燃え上がらせ、慶太の制止も聞かずにコテージを飛び出したのだ。
「煙出てるんだけど……」
「トンデモ博士の発明品のそばでなんかやってるらしい」
「ということは、穴のそばね!? おびき寄せるにしても、ひとりでやるのは危ないわ」
「だから助けてくれって言ったんだよ」
 せりなは煙の方向へと走り出し、慶太もそれにつづいた。
 波の音と風の音しか聞こえなかったが、走っているうちに、調子はずれなシオンの歌声が聞こえてきた――。


「諸君、見たまえ! この反応を!」
 ばうん、と厨房の扉を開けて、平四郎が声を張り上げた。印籠のようにプラズマ観測装置(現在それはメシイヌ観測装置になっているわけだが)の受信端末を掲げていた。厨房にいた全員が目を点にして手を止める。だが、平四郎の気迫がそうさせたのか、全員の点になった目は彼の右手の端末に集まった。
 画面は緑色の光を発している。よく見れば、それは画面全体が光っているのではなく、緑色の光点が画面を覆いつくしているのだということがわかった。光点の数はそれこそ数え切れない。平四郎の説明がなくとも、その意味は理解できたし――
「……さっきすれ違ったときに聞いたわ、博士」
「なに、きみには話していたかッ! この反応のひとつひとつが例の新種の潜伏地点を示しているとッ!」
「……」
「それほどの数がおるのであれば、根絶やしにするのは容易ではない」
「準備はできたわ。ボートは2隻あるから、従業員さんも一緒に避難してもらいましょ」
 シュラインの指示で、一行は厨房や貯蔵庫から臭いの強い食物を確保していた。メシイヌが嗅覚と震動を頼りにしていて、常に餓えている動物ならば、囮に使えると踏んだのだ。
 芳沢だけは何もせず、縛り上げたメシイヌのそばで呆然としていた。彼も自分と同じ科学の虜だと、平四郎は少なからず親近感を覚えて、彼に声をかけた。呆然としたままの彼を放置するのは、死に追いやっているのと同じことだ。
「ふむ。大月科学技術大学の芳沢君だったな」
「ああ……ええ」
「我輩も研究者ではあるが、この動物の研究はきみに譲ろう。きみが初めに目をつけたのだからな。いや、我輩の専門ではないという点もあるが。ここは我々に任せて島を離れたまえ」
「……ええ」
「ところで、連れの若いのはどうしたね」
 平四郎が何気なくそう問いかけると、芳沢はさっと顔を上げた。青褪めた顔色に拍車がかかったようだった。
「……来なかったんだ、そこの電話で、内線で、呼んでも」
 その言葉は、どこか絶望をかたどっているようでもあった。


 そしてシオンは踊っていた。


 がぅふっ、
 ぐるるるる、
 ふごふ、ふごふ、ふごふ。


 森に近いコテージから、森の中から、どこかに開いていた穴から。ゆっくりと獰猛な息遣いが姿をあらわし、そして近づいていく。かれらには、生物が砂浜や地面を踏みしだく、その震動が伝わっているのだ。
 そして、火の匂いも、昨日から急に数が増えた生き物の匂いも、知っている。
 世の中には火を使う生物がいるということも、知っていたのかもしれない。


 シオンは木を組み上げ、ライターも使わずに(正確に言えば、彼はライターを使えなかった。怖いからだ)火を起こして、盛大にキャンプファイヤーを燃やしていた。彼は包丁を葉でこしらえた即製の鞘に収め、腰ミノのようにぶら下げている。そして、手にたいまつを掲げて踊っていた。自分の目的を失ったわけではなかったので、ちゃんと首からポラロイドカメラを提げている。
「シオンさーん!」
「おい、火遊びやめろよ!」
「ほいやァーーーッ!! 皆さんもさあ踊って!! 被写体を呼び寄せるんですッ!! はいやァーーーッ!! そいや――」
「黙れっつってんのがわかんねェのかあんた!」
「はうっもっぐごっがっ、ぶっ……」
「黒贄くん、鼻と口ふさいだら死んじゃうでしょ」
 慶太に口(と鼻)をふさがれたシオンは、目を白黒させて砂浜に倒れこんだ。慶太も巻き添えを食らって砂まみれになった。キャンプファイヤーはぱちぱちと静かに、しかし激しく燃えている。まだ始まったばかりの朝を焼いている。
 炎に照らし出されて、破壊された平四郎の発明品が鈍い光を放っていた。その下には、ぽっかりと地面に開いた穴がある。火が生み出す光も、穴は飲み込んでしまっているようだった。
 シオンが取り落としたたいまつを拾い、せりなはそろそろと穴に近づく。照らしても照らしても、穴の底は見えそうにない。
 その後ろで、慶太がようやくシオンの口から手を離していた。
「ったく、あんた、どういうつもりだよ。最悪でもこっちは1匹生け捕りにしてんだ。命張ってまで写真撮るこたねェだろ。せめて皆がいるところで踊れよ」
「す、すいません、その……テンションが上がってしまって」
「はァ?」
 シオンは鼻息も荒く、胸を張った。
「思い出したんですよ。私は幼い頃、無人島で暮らしていたんです。懐かしいですねえ……ああ、あの頃はワルでした……」
「……わかんねェ、なんか、あんたやっぱよくわかんねェよ……」
 そう慶太が脱力した、何気ない瞬間に、
 せりなが小さく悲鳴を上げた。

 たいまつが弧を描いた。薄汚れたピンク色の獣が、砂と土と泥を撒き散らしながら跳んできた。せりなは危ういところで身をかわし、慶太は振り向き、シオンは脱兎のごとく逃げ出していた。

 メシイヌ! 学名もまだ持たぬ、地下の住民!

「――黒贄くん、穴を塞いで!」
「出てきたのは任せていいんだな!」
 せりなの返事を待たず、慶太は動いた。口と耳を繋ぐチェーンを、引き千切るようにして外す。彼の姿は金色の羆に変じた。穴からは2頭目のイヌが顔を出しかけていたが、羆はその鼻面をしたたかに殴りつけ、穴の底に叩き落とした。
 だが、穴の奥からは、無数の唸り声と息遣いが聞こえてくる。ざりざりごりごりと、土を掘る音も聞こえてくる。
 羆が吼えた。土と砂がまるで生き物のように動き、メシイヌが飛び出してきた穴を完全に塞いだ。
 一方、飛び出してきたメシイヌは涎を垂らしながらせりなににじり寄っている。せりなはたいまつの火をメシイヌに近づけた。普段地中で暮らしているかれらは、火を知らないだろう。だが獣の本能が、火を恐れているのか。鼻面を焦がされかけて、イヌは怯んだ。
「しっしっ! ……行って! おばさんたち、すぐ帰るから……!」
 悪意のないものを片っ端から焼き殺そうとは思わない。せりなはそれほど好戦的ではなかった。けれども、かれらを放っておくわけにはいかないし、多くの人間はかれらを許さないだろうとも考えていた。かれらはこの島に来た人間を喰ってしまったのだから。
 メシイヌはじりじりとせりなから――火から距離を取っている。
 それから、唐突にあえぎだした。
「……? ……!」
 恐怖からか、ストレスからか。メシイヌはせりなと火の前で、大きく口を開けて嘔吐した。朝の風が、すえた悪臭を辺りに運ぶ。
「せりなさーん!! せせせせりなさーん!! まわり! まわりー!!」
 せりなと羆の頭上から、シオンの上ずった声が落ちてきた。シオンは適当なヤシの木に登っていて、その上でポラロイドカメラを構えていたのだ。高みのシオンには見えている。羆とせりなの周囲に、ぼこりぼこりと穴が開き、あるいは土が隆起していく様が見えるのだ。
 砂浜からは目も耳もない獣たちが、つぎつぎと顔を出してくる。
 ぐるるる、と金色の羆は四つ足で砂を踏みしめ、にじり寄ってくるイヌたちを睨みつけていた。
 ――全部相手にしてちゃ、根性持たねェぜ。
 羆の中の慶太の声が、せりなには『見えた』。
 せりなが目の前のメシイヌにたいまつを投げつける。彼女は次いで、飛びかかってきたメシイヌの鼻面を睨んだ。せりなの輝く蒼眼に射すくめられたメシイヌのヒゲが、ばっと一瞬で燃え上がる。
羆は飛んだ。せりなを抱え上げ、ヤシの木の上のシオンを掴んで、上空に飛び上がった。
「……なんて数!」
 森が蠢き、入り江が掘り返され、汚れたピンク色の獣は無数なる姿をあらわしていた。壊れたプラズマ観測装置(および、燃え盛るキャンプファイヤー)の周辺には、すでに50頭以上のメシイヌがひしめいている。
 かれらはまるでなにかに導かれるかのように、3人がいた砂浜に集結していく。土で汚れた鼻で風の匂いを嗅いでいる。
「ひぁあ!! た、大変です、あ、ああ、あれを!!」
 羆に掴まれながら、シオンがもがいて、オソイビーチ宿泊施設を指さした。羆は牙を剥いて唸り、せりなは息を呑む。
 メシイヌの出現は、まるで地中からあぶくのように生まれてきているようだった。ピンク色の蠢く泡は、コテージというコテージを渡り歩き、四阿のレストランに――厨房に――向かっている。
「……怒ってるわ」
 人の心を読むのとは勝手が違ったが、せりなは彼らを支配している感情をかいま見た。
 怒っている、
 かれらは飢えを満たすためだけにあらわれたわけではないようだ。



■パーティー、パーティー■


 迎撃せよ! 迎撃せよ!
 撃退せよ、殲滅せよ!

 喰らいつくせ!


 厨房から麻縄で縛ったメシイヌを引きずり出し、四阿レストランに入る。辺りには唸り声があった。波の音はつづいているはずなのに、まるで聞こえない。かれらは鼻面にしわを寄せ、はっきりとした敵意を一行に向けていた。
 5人と芳沢はすっかり囲まれている。だが、障害物が多いことをかれらも警戒しているようで、一定の距離を取り、涎を垂らしながら唸り声を上げているだけだ。いまのところは。
住み込みの従業員は全部で10名いたが、連絡が取れたのは7人だけだった。芳沢が大学から連れてきた助手からも、依然として応答がない。
 桟橋まで、それほど遠くはないはずだ――しかし、全速力で走ったところで、逃げ切れるかどうかはかなり怪しい。毛がないかれらの身体を見れば、ピンク色の皮膚の下にはまるで脂肪がなく、引き締まった野生の筋肉の猛々しさが嫌でもわかる。きっとかれらは、人間よりも速く走れるだろう。
「完全にこっちの匂いを覚えられたわ。無傷で逃げ出せるかしら」
「――困ったな、急に出てきた気がする。夜の間は静かだったのに……」
「理由があるとは思うけど、このままじゃ餌にされるわね。ボートまで……いえ、海まで行けば、なんとか――」
 群れの中でも気性が荒いたちだったのか、1頭が先陣を切って一向に飛びかかってきた。2頭目がつづいた。3頭目は柱にぶつかって失神した。4頭目は平四郎に飛びかかったが、平四郎にその牙が食い込むことはなかった。見えない電磁の壁が、ばちりと4頭目を弾き飛ばしていたのだ。
目が見えないはずのかれらは、まっしぐらに一行を目指してきたが、緋玻と流が殴り飛ばす。
 もんどりうって倒れた2頭は、起き上がりながら嘔吐していた。
「何なの、汚いわね! これ、すぐ吐くわ」
「むう、BL−98Cの対象に複数を選ぶとエラーが起きるのはなぜだ。なぜだ我輩!」
「そう言えば、芳沢さん――捕まえたのも吐いたって言ってましたよね」
「ああ。持ち帰るつもりだが――」
「それって……もしかして……」
 は、と芳沢が我に返る。その視線の先には、真実を悟った女たちの顔があり、怪しげな機械をいじる平四郎がいて、きょとんとしている流がいた。
「そうか、攻撃フェロモンか! ハチと同じだ!」
「……羽澄ちゃん、結界張って!」
「即席のじゃ、もって3分だと思うけど……!」
「それだけあれば充分よ。芳沢さん、袋をください!」
 芳沢はシュラインの要請を拒んだが、緋玻が軽蔑の眼差しとともに動いた。容易く彼女はメシイヌの吐瀉物が入ったビニール袋を奪い、シュラインに投げ渡す。
 羽澄は鈴を出して、息を吸い込んだ――


 われわれを殺すためにここに来たのなら、
 われわれはおまえたちを殺して、喰ってやるだけだ。


 飛びかかってくるメシイヌは、聞こえない音の障壁にぶつかり、地面に転がる。起き上がりながら嘔吐している。目のない顔は、人間たちを睨みつけている。
「怒ってる……」
 羽澄は眉をひそめた。
「息遣いでわかるわ。怒ってるのね、あなたたち」
 この島はかれらのものだ。
 人間の手に負えるものではない。


 シュラインは荷物の中から四駆のラジコンを取り出して、メシイヌの吐瀉物をくくりつけた。
「なるほど、囮か! これも搭載しなさい!」
 平四郎はなぜか勝ち誇った顔で、白衣の裏側から謎の装置を引き剥がし(どうやら糸で縫いつけていたらしい)、ラジコンに積んだ。
「あとは、私たちの匂いを消せたら完璧なんだけど……。瀧津瀬さん!」
「む?」
「私が持ってきたトゲトゲの果物、割って!」
「あ、それってちょっと、待っ……」
 流はドリアンを知らなかった。知らなかったので、緋玻の慌てた制止の意味もわからず、シュラインが望むがまま、子供の頭ほどもある果実を叩き潰した。
 凄まじい匂いが炸裂し、流はよろめいた。ドリアンを叩き潰した彼の拳には、でろりどろりとした果肉が絡みついている。
 シュラインはコントローラーのアンテナをいっぱいに伸ばして、ラジコンを走らせた。

 メシイヌたちの顔は一斉に動いた。家族の吐瀉物を積んだラジコンは、みみみみみ、と小さな音を立てながら入り江の砂に轍を残して走っていく。かれらはラジコンに飛びかかっていった。
 平四郎がラジコンに譲った電磁障壁発生装置は、また役に立っていた。メシイヌはラジコンをひっくり返すこともできず、電磁波に阻まれて怯み、転がり、牙を剥いている。
 あとは――

「そうっと行くのよ。地面を揺らさないように」
「怒らせないようにね……」
「こんなこともあろうかと、簡易臭素発生装置も開発しておいたぞ! これはそのドリアンの約11倍の悪臭を発生さ――」
「しーっ! しいっ、わかりましたからとりあえずその機械のスイッチ入れてください!」
 息を呑み、ドリアンの悪臭に閉口する余裕もなく、人間たちは歩いた。無貌のメシイヌたちは、ラジコンを睨んでいる。涎を垂らすかれらの横を、人間たちは無言で歩いた。そうするしかなかった。かれらは、無数にいて――ひとつの意思を持っている。
 海辺から、間延びした声が聞こえた。
 金色の羆とトライバルの鮫が、宿泊施設近くの入り江にまで2隻の船を引いてきていた。小さな甲板では、せりなとシオンが手を振っている。
 悪臭とともに進む一行が、ほっと安堵をし



■マム!■


 ずどおん、と砂が爆発したように隆起した。
 船、海、砂浜と、調査員たちの間に割って入ったもの。
 それは羆ほどもあるイヌだ。
 腹が出ていたが、それは恐らく肥満のためではない。この個体は年がら年中妊娠しているのだろう。普段は子を産むことだけが『彼女』の仕事だ。こうした状況では、怒りのままに自らが動くこともあるのだろうか。
 彼女の腹や背中、肩、首筋には、ピンク色のネズミのようなものがしがみついて、びくびくと蠢いていた。

 わらわを騙し通せると思うな。

 彼女は、そう言ったようだった。そう言っているかのように、悪臭で『姿を消している』人間たちを見下ろしている。
 彼女にしがみついているのは、小さなメシイヌだった。彼女の子だ。すべてが彼女の子供たちだ。かれらは必死になってしがみついているようだったが、母親がのそりと動くと、まるで雨のようにぼとぼとと砂浜に落ちた。
 甲板の上で、シオンがわめいた。ほとんど言葉になっていなかったが、彼はシュラインたちの背後を指差していた。
 女王が呼んだのだろうか、ラジコンを襲っていたはずの群れが大挙して走り寄ってきている。
 船を引いていた羆が顔をしかめ、海から飛び上がった。湿った砂浜に着地するや、羆は獰猛な咆哮を上げ、自分ほどの大きさがあるメシイヌに体当たりを見舞った。
「船に乗れ!」
「早く!」
 羆の力が働き、ずぼん、と女王の足元の砂が崩れた。逃げまどう者たちはばしゃばしゃと慌しく海に入っていく。海に逃げるしかなかった。ピンク色の津波は確実に押し寄せてきているのだ。
「津波には」
 流が海に手を向けた。
「津波か!」
 せりなとシオンが乗る2隻の船は、あやうく転覆するところだった。従業員たちや仲間たちのためにありったけの浮き輪を投げまくっていたシオンは、あえなく海に落ちた。土ではなく、今は海が膨れ上がり、唐突にあらわれた波が泥まみれのイヌの群れを呑みこむ。後続のメシイヌたちは尻込みしていた。
「やっぱり、水が嫌いなのね!」
 振り返った羽澄は、女王に目を向けた。羆と格闘していたはずだが、突然流れが変わった潮の匂いに戸惑っている様子だ。彼女の身体からこぼれ落ちた子供たちは、げばげばと溺れていた。
 ぎああああ、
 女王は怒りの声を上げ、羆に牙を剥いた。金色の羆も負けじと吼え返す。しかし、羆の巨体を、緋玻がひょいと抱え上げた。ごがっ、と羆が驚きと抗議の声を緋玻に浴びせる。
「母親を殺しても、子供たちが余計に怒るだけよ。これ以上死人が出たら、こっちは仕事が増えて困るの」
 羆の耳に囁きかけて、鬼はその巨体を海に放り投げた。金色の羆は水しぶきも高らかに、船のそばに落ちる。ぶはっ、と海面に顔を出したとき、羆の姿は黒贄慶太のものに戻っていた。
「船に乗って!」
「船に乗れ!」
 必死の叫び声が飛び交う中、平四郎はゴム製のイカダの上で仁王立ちしていた。こんなこともあろうかと、一瞬で膨らむゴムイカダを白衣のポケットにしのばせていたのである。
 彼の目に映るのは、新種の生物がひしめく海岸だった。イカダには、命からがら泳いできた芳沢がしがみついている。
 どんなに醜く、どんなに獰猛であっても、あれは新種の生物――研究者にとっての宝石だ。結局、麻縄で縛り上げた手負いのメシイヌも、あの海岸でのたうっている。研究の対象を手放すことのつらさは、平四郎にもわかった。だが、1頭たりとも船には乗せたくなかった。彼は、複雑な気持ちでいた。
 女王は敵が神か鬼か人間かという区別はつけていないらしい。つけていたとしても、彼女は怒り、牙を剥いていただろう。最後に海に入ったのは緋玻と流だった。ふたりの力は強大だったが、さすがにメシイヌを殲滅するには時間がかかりそうだ。今は連れや、従業員たちを一刻も早く逃がさなければ。
 ふたりが海に入ったときには、すでに仲間たちは船に引き上げられていた。

「ああ、でも……」
 蒼い目で、せりなは海岸の母親を見つめた。船の上から――怒りを見ていた。人間のものとは違う、純粋な、憤怒だった。そこには私怨の渦巻く憎しみもない。ただの怒りだ。子供たちを傷つけられ、狩場を荒らされたことに対しての怒り。
「私だったら、許さないわ。そうよね。きっといつまでも、忘れないわ……」
 確かに母親とその子供たちは、いつまでもいつまでも砂浜にたたずみ、逃げゆく船と人間たちを睨んでいるようだった。目のない顔で、涎を垂らしながら牙を剥き、じっと黙って睨みつけている。
 羽澄が、あ、と小さく声を上げて空をあおいだ。
 いつの間にか朝は本格的なものになっていた。海の向こうに広がる白い雲の間から、太陽が顔を出し、南国のような強い光を放ち始めた。
「見て。紫外線は肌に悪いって知ってるらしいわ」
 緋玻が淡々と皮肉を言った。
 光に照らし出される海岸線。尾添島。別段慌てているようでもなく、ゆっくりと、メシイヌたちは地面を掘り返し、砂の中、土の下へと帰っていく。
 最後まで船を睨みつけていたのは、女王だった。

 聞こえてくる、
 無垢な波の音。無垢な息遣い。そして静寂の音が。
 それはやがて、真っ青な波の向こうに消えていった。



■帰『国』の途■


「いいところになったと思うんですけどねえ……」
「まあね」
「まあな」
「でも、あれじゃあねえ……」
「まあね」
「まあな」
「極楽にいちばん近い島だったわ」
「誰がうまいこと言えって言ったよ、オイ」
「地獄にいちばん近い島、かも」
「証拠は集めた?」
「ばっちり」
「我輩は『プラズマとデュッセルドルフ関数の相互依存におけるラグランジュ定理と妖怪伝承』についての論文を書くつもりだったが、妖怪は結局あらわれなかった。意味のないフィールドワークになってしまったな……」
「博士、論文書くの得意ですよね」
「無論である」
「じゃ、レポートよろしく」「よろしく」「あ、私の分も」
「うむ、任せたまえ。科学的観点に基づいたレポートを仕上げよう」
「……アトラスの記事に科学……?」
 こうなることはある程度予想していた者もいたが、行きとは打って変わったテンションの低さで、一行は船上にいる。何も起きていなければ、まだ彼らは尾添島にいた。それが現実ではこうだ。飲まず食わずで、全速力で海を走る船の上。
「つーか、臭ェよ、あんたら。なんだそのニオイ?」
「棘で覆われた実を砕いたのだ。……して、あの実は何だったのだ? 腐っていたのか?」
「我輩の簡易臭素発生装置の効果でもある!」
「あの人ちゃんと冷蔵庫の中のもの食べてるかしら。外食ばっかりしてたらハリセンね」
「あーもう、ほんと臭い」
「いいところになったと思うんですけどねえ、ほんとに……」
 覇気のない、朦朧とした会話はずるずると続いた。海は穏やかで、風は肌を撫でるシルクのようだ。逃げる船は、港を視界に入れるとようやく速度を落としていた。


 その、狭い船室。
 青褪めた顔の芳沢が、自分のバッグをそうっと開けた。彼はその顔色のままで、力なく笑う。
 ぎ、ぐぐぐぐ。ぐ、ぢるぢるぢるぢる……。
 バッグの中には、嘔吐しながら牙を剥く、ネズミ大の仔イヌの姿があった。いつ拾い上げたものなのか。女王の身体からこぼれた1匹であることは間違いない。
 じゃっ、とすばやく、芳沢はバッグのジッパーを閉じた。




〈了〉


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登場人物(この物語に登場した人物の一覧)
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【0086/シュライン・エマ/女/26/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
【0701/国光・平四郎/男/38/私立第三須賀杜爾区大学の物理学講師】
【1282/光月・羽澄/女/18/高校生・歌手・調達屋胡弓堂バイト店員】
【2240/田中・緋玻/女/900/翻訳家】
【3332/藤井・せりな/女/45/主婦】
【3356/シオン・レ・ハイ/男/42/紳士きどりの内職人+高校生?+α】
【4289/朧津瀬・流/男/999/古書店店主】
【4763/黒贄・慶太/男/23/トライバル描きの留年学生】

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               ライター通信
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 間に合った。
 夏に間に合った。
 まだ8月だからまだ夏はまだ続いているからまだ間に合った。

 モロクっちです。お待たせしてしまいました、申し訳ございません。『マドファング・ビーチ』後編をお届けします。夏を感じるどころじゃない雰囲気に仕上がりましたが、いかがでしょうか。B級のノリを楽しんでいただけたら幸いです。
 今回の前後編の依頼では、用意周到な方々が多く、脱出はさほど困難ではなかったと思います。……さほど。ちょっとコミカルな場面を入れる余裕までありましたから。

 これでモロクっちがお届けする夏はおしまいです。
 皆様の夏の思い出にしていただけたら嬉しいです。
 それでは、また。