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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


しめんのへや

 「…黒い化け物が頻繁に部屋に出るぅ?」
 話を聞いた途端、あからさまに嫌そうな顔をしてしまった草間武彦、三十歳。
 怪奇探偵とはた迷惑な二つ名をつけられた彼は、今日もこうして怪異がらみの話を聞くことになっている。
「部屋の中にどんどん集まってくるんです。今じゃもう黒い化け物が三つもいる!それで奴ら夜になると数えるんです」
「数えるって何をだ?」
 そんな幽霊が数を数えるだなんて皿屋敷じゃあるまいに。
「後三人、後二人、後一人って……部屋の四隅に四人揃ったら俺きっと殺される!!」
 怯えて取り乱す相談者。
 これはどうしたものかと頭を抱える草間。
「あ〜…わかった。とりあえずその部屋の状況を見て、俺や俺の知人で対応出来そうかどうか判断させてもらう」
「手に余るとしたら……?」
 今にも泣きそうな顔で見つめてくる相談者。
「………部屋を引き払うしかないんじゃないか……?」
 相談者はとうとう泣き出してしまった。

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 「…とりあえずまぁ、こんだけ集まりゃ何とかなる…か?」
 複数に声をかけ、その中から集まった手空きの者が四人。 草間のもとに集まった。
「今回は武彦さんも一緒? 武彦さんの観察眼、頼りにしてます」
 草間の肩をポンと叩くシュライン・エマ。
「案外麻雀の面子待ちかもな」
 話を聞いてやってきた氷室・浩介(ひむろ・こうすけ)は、安易な冗談で相談者を慰めようとするも、相談者に冗談で笑えるようなそんな余裕はない。
 しかし、彼が少しでも気持ちを浮上させてくれようとしていることは十分分かっていた。
 有難う御座います、と、力なく笑って浩介に返す相談者。
「先日はどうも」
 白杖をつきながら草間とシュラインにそう言って会釈するのはパティ・ガントレット。
 つい先日一緒に仕事をしたばかりで、また駆り出されるとは何とも忙しないものだと、パティは苦笑する。
 だがこれも彼女の掲げる最終目的を達成するまでの足がかり。
 一つとて疎かにはできない。
「それでは人も揃ったことですし、詳しく話を聞かせ――…」
「あ!」
「あ…」
 そんな呟きが聞こえたかと思うと、豪快な音が冷蔵庫前から響いてきた。
「何事ですか?」
 怪訝そうに眉を寄せるパティ。
「うぉ、でかっ…」
 唖然とする浩介。
 そして…
「……うぅ…台所…片付け、出来てないよ…」
「ああっもう! 何やってるの貴方は! ついこないだもそれやったばかりでしょうにっ」
 話を聞いてたのか全く聞いてなかったのか。
 七尺もある刀を背負う赤髪の大男。その名は五降臨・時雨(ごこうりん・しぐれ)。
 興信所冷蔵庫前クラッシャーな万年欠食人間である。
 ちなみに台所は片づけていないのではない。 彼が来るたびに鞘をどこぞに引っ掛け、その勢いで盛大に散らかるのである。
 相談者の周辺に集まっていた他の協力者は、何故こんな時にここの住人でもないのに台所にいるのかと首をかしげた。
「御免なさいね。今片づけるから話進めておいて?」
 時雨を応接室へ追いやって、シュラインは手早く鍋釜の類を定位置に収納していく。
「あー…まぁ、なんだ。 四隅に黒い影が立っていくってな観点からそれぞれどう考えるか。まずそれを教えてくれ」
 それを聞いた上で準備できる物を準備して、現場に向かうと言う草間。
 浩介は部屋を直接見て、そしてその黒い化け物とやらと話をして見ないことには分からないという。
 しかし、相談者の話を聞くからに、同じ文言を繰り返すばかりの相手に交渉を持ちかけても当然ながら成立しないだろう。
 ダメでもともと。 ダメなら腕ずくで。 それが浩介のスタンスだ。
 そして、かなりの珍回答を出したのはパティ。
「禍々しき部屋ですか。 別荘にはもってこいですね♪」
 人と感覚が違うのだろう。草間はとりあえずそのままツッコミを入れずに流し、他に何かあるかと問う。
 珍しく弾んだ声でそんな回答をしてしまったパティは、咳払い一つして表情をきりりと引き締める。
「…私も同じく実際にその部屋を見てみないことには何とも言えませんが、本当は個人的な因縁が絡んでいないのであれば、部屋を引き払っていただくのが一番手っ取り早いのですが…」
 相談者の方に顔を向けるパティ。 勿論、目は閉じているのだが。
 男はまた泣きそうな顔でそれだけはできないと首を振る。
「……だ、そうで。まぁ、しょうがないですね。 黒い化け物が四人。 時間が経てば後一人揃う…のでしょうか? それとも四人目を呼んでいるのか……いずれにせよ、立地と前の借り手などを調べて、因縁がないか調べましょう」
 黒い靄のような化け物の正体に関しては、見てみないことにはどうしようもないという。
 時雨に関しては、考えているように見えて考えていなかった。 どうやら本人は傍観決め込む気でいるらしい。
 勿論草間はそれに対するツッコミを忘れない。
 だが、本人の天然ボケ具合はともかく、彼自身の人脈は多く、しかも濃い。
 その人脈の情報網に期待というところか。
「武彦さんの見方は?」
 片づけを終えて戻ってきたシュライン。話の内容はしっかり聞こえていたようだ。
 彼女の問いに草間は腕組みして考えつつ、幽霊の可能性もあるが、四隅に黒い影と言うと死神の印象が強いと答えた。
「お前は?」
 草間に尋ねられ、シュラインはその化け物が出た初日や前日の購入の有無。 日頃行かない場所へ行った等、特殊行動や気づいた事など、些細なことでもないかどうか相談者に尋ねる。
「え〜と……化け物が出てきた日の前後…ですか? 一人目が出てきたのが四日前……すみません、前後で特に何かをしたとか行ったとか買ったとかないです。 化け物が出てくる一週間前ぐらいにポスターを買ったぐらいで…」
「ポスター?」
「あ、はい。 僕自然物の写真のポスター集めるのが趣味で、部屋中にポスター貼ってるんです」
 それを聞いたシュラインは、恐らく自分の予想が半分当たっていると踏んで、その場で説明を始める。
「四角い部屋で四方の壁に鏡やポスター等、顔と言うか…絵が付いたもの貼ってると、常のその辺を徘徊している浮遊霊などが入ったはいいものの、そこから出て行けなくなってしまうのよ」
 だがその場合はどこか一箇所でも空けておけばすぐに解決できる物だと、シュラインは相談者に説明した。
「あ……たぶんそれかもしれません。部屋中ポスターだらけなので…」
「あと、その影がどっち回りに増えていったか…覚えてます?」
 相談者は恐怖と混乱が先にたっていた為に、出現した順番などは覚えていないらしい。
 ただ、後三人、後二人と言いながら夜になると四隅を影がぐるぐる回るという。
「スクエア…ですね。 部屋にたまった霊が更に霊を呼んでいるということでしょうか」
 交霊の手段として用いられるスクエアと呼ばれる方法。
 四隅にそれぞれ一人ずつ立ち、端の人間が次々に角へ行ってそこに立っている者に触れ、触れられたものは同じように次の角へ走り同じ事をする。
 一巡すると当然、誰もいない角へ戻ってしまうのだが、霊が現れた時には誰でもない誰かがそこへ立っており、続かぬはずのスクエアが続きだす。
 そういう素人でもできる降霊法がスクエアだ。
 しかし、現時点で部屋にいるというのは三つの影。
 スクエアは成立しない。
 だとすれば、四人目を呼んで、更に強力な霊でも呼ぼうというのか。
 何のために。
「…聞けは聞くほど新たに謎が出てくるわね…」
 別に相談者のせいではないのだが、僅かにため息がもれる。
「まぁ、ここで考えてても埒が明かん。 現場を確かめて、周辺や家主、上下左右の住人にも当たってみよう」
「引き受けて下さるんですね!?」
 一気に表情華やぐ相談者。
 これだけ集めても何の突破口も見出せないようなら断るつもりでいた。
 しかし、確定ではないにしろ、闇雲に探し回るよりはマシだと思えるだけの案は出た。
「――そういうこったな」
「有難う御座います!謝礼は……成功報酬でいいんですよね?」
 相談してきた時の慌てっぷりは何処へやら。 案外しっかりした奴だ。
 依頼人の台詞に、草間は思わず苦笑した。



  シュラインと時雨は先に周辺調査へ赴き、パティと浩介は一先ず依頼人の部屋へやってきた。
「……愛着のある部屋のようですが、調査のために入っても……いいですよね?」
 パティの問いに依頼人は、勿論です、と答える。
「あら、面白い」
 部屋を見るなりそう呟くパティ。
「壁や玄関先は洋風なのに、リビングは和風なのか。 確かにおもしれぇなー」
 浩介も部屋の中をきょろきょろしている。
「…今のところ、それらしい気配はありませんね。もしかして夜だけですか?」
「あ、はい。 昼間は…一人でいると何かしらの気配というか視線というか…とにかく何かがいるって感覚だけで、何も見えないんです」
 しかし夜になるとその姿ははっきりと依頼人にも見え、三つの影はリビングの四隅をぐるぐる回りながら呟くという。
「んー…とりあえず説得を試みてダメだったら、そっから考えようっと思ってたからなぁ…」
 浩介は頭をぽりぽりかきながら、夜まで待つしかないかと呟いた。
「……確かに、仰るとおり気配は感じますね……四隅のうち三箇所に圧迫感があり、一箇所だけ圧迫感がない。 まだ最後の一人は来ていないということか」
 圧迫感はあるものの、こちらの存在を意識している様子はない。
 いや、眼中にないといった方がいいか。
 三体の意識が空白の角に集中しているのはわかる。
 それ程固執してまで何を呼ぼうというのか。
「…日が暮れるまで後三時間あまり…とりあえずそれまで周辺の聞き込みに徹しましょう……っと、その前に」
 シュラインが指摘したとおりの状況になっている壁のポスターを一枚剥がさせ、霊の吹き溜まりにならないよう処置をする。
「これで過剰にたまることは無いと思いますが……四面の部屋じゃなくなっても奴らの気配は変わりませんしね。 私たちはそのまま調査に出ますが、一人で部屋にいるのが嫌ならばどこか別の場所で待機してて下さい」
「わかりましたフロアの待合スペースで待ってますね」
 依頼人が部屋を出て、フロアの待合へ向かうのを確認すると、浩介がポツリと呟く。
「かなりいい物件だよな。 建物的には…」
「そうですね。 広めのワンルームにユニットバス、キッチン、クローゼット…これで聞いた話によれば家賃は三万弱…」
「―――他の二人は外と大家ンとこだっけ? 俺ちょっくら隣の住人に聞き込みしてくるわ」
 何か気になることでもあったか。浩介は依頼人の両隣の部屋へ話を聞こうと向かう。
 浩介が両隣に聞き込みをするならば、自分は真上の真下の住人に話を聞いておこうと、階段へ向かった。



  パティと浩介がそんな話をしていた頃、シュラインと草間は大家のもとでこのマンションについて話を聞こうとしていた。
「…アンタら、探偵かい?それとも不動産業者かい?」
「一応、前者になります。通常の依頼から怪奇現象に至るまで。 様々な調査・解決を仕事としています。 今回はこちらの住人の一人が依頼人でして…」
 怪奇現象のところはあえて否定したかったが、今回の調査がそれである以上、否定もできない草間。
 シュラインの説明を聞くなり、大家は何か思い当たる節があるような顔を一瞬見せる。
「何か?」
「………それ、西ノ宮さんのことだろう?」
 西ノ宮とは依頼人のこと。
 その口ぶりからして、彼自身から大家への訴えなどが何度かあったような感じだ。
「何か心当たりでも?」
「―――…どうにかしてくれるなら、話してもいいけど……」



 「ん……そっか、ありがとう」
 裏の知人からの連絡を受け、時雨はマンションを見上げる。
「……壊すわけには…いかないよね?」
 依頼人の部屋の窓を眺め、ポツリと呟いた意味深な言葉。
 彼の幅広いネットワークから問題の場所近辺の情報を集め、四面の部屋であること以前の問題が分かったのである。
「家のことは、よくわからないけど…」
 建築上はこれと言った問題はない。 しかし、縁起というか自然の摂理というか、そっち方面でおかしい事になっているそうなのだ。
 とにかく得た情報を草間を含む他の面子に伝えなければなるまい。 
 そろそろそれぞれの聞き込みが終わった頃だろう。
 時雨はマンションのエントランスへ差し掛かり、そして…引っかかった。
「…また…」
 道路はともかく、自らの長身と愛刀の長さはいくらマンションとは言えど所々でつかえてしまう。
 マンションの入り口からエレベーター、非常階段に至るまで、時雨の大きさと装備品の大きさではすんなり通るのは困難を極める。
「このマンション、低いし狭いよ…」
 いや、そこはちょっと違いますよ。 時雨さん。



 「んじゃ夜中になるとお隣さんが特にうるさいってわけ?」
 片方の住人が留守にしていたので、運良く部屋にいたもう一人の住人に聞き込みをする浩介。
「ええ、そう。 私がここに入ったのが2年前…その頃から昼夜問わずたくさん人がいるみたいなのよぉ〜時々それがすごく気になっちゃってね〜」
 隣人の話では、入居した当時から既に依頼人は隣の部屋に居を構えていたらしく、本人はとても静かで大人しい感じの人だという。
 勿論、交友関係にまで口を出したくはないし、それによってトラブルになっても困る。
 気になるのは時々だし、耐え難いほどの騒音という訳でもない為に、仕方がないからそのままにしているというのが現状らしい。
「何か会話してるの?」
「話し声っぽいのは聴こえるんだけど…どんな内容かは聴き取れない感じね。 あと、話し声がしなくても人の気配がしたり」
 時々妙に圧迫感を感じてしまい、もしかしたらこちらを見ているのではないかと恐ろしくなったりもするという。
「なるほど…」
「お隣さん自体からはな〜んにも変な感じはしないんだけどね〜…もしかしたら部屋が悪いのかもね」
 冗談交じりに苦笑する隣人に、案外そうかもしれないな、と、肩をすくめる浩介。
 この隣人が入居した時から、僅かな異変は起こっていた。
 そしてそれを視認出来るまでになったのがつい最近。
「有難う、そのうちそんなこともなくなると思うから、もちっと我慢してくれ」
 それだけ言い残して、浩介はシュラインと草間が当たっている大家のところへ向かった。



 「ものすごい陰気さですね。 依頼者の部屋とそう変わらない」
 同じような物件があるなら、是非借りたいものだ。
 感性の違いからか、パティは聊かウキウキした様子で下の部屋の前にいた。
「すみません、どなたかご在宅でしょうか?」
 チャイムを鳴らすも、反応はない。
 どうやら留守のようだ。
 留守ならば仕方ないときびすを返したその時、その隣の部屋の住人がちょうど帰宅したようで、パティを鉢合わせした。
「もしかして、あの部屋の方ですか?」
「いえ?僕はその隣の者ですが…どうかしたんですか?」
 一見してパティの姿を見て、訝しげに言葉を返す青年。
 隣の住人の知人にも見えないので、それで多少の警戒をしているのだろう。
「あ、失礼。 実は私は真上の住人の依頼で動いてる興信所の者なのです。 よくある調査から、心霊現象に関してまであらゆるご依頼に対処しています。隣人のことで何か変わった様子はありませんでしたか?」
「ああ、そういうこと。 最近多いよなぁ……隣の人? 隣の人なら昨日引っ越したよ」
「引っ越した?」
 なんでも、入居してまだ半年も経っていなかったらしい。
 引っ越す理由は聞いていないが、いつも顔色が悪かったそうだ。
「ずっと調子悪そうだったし…病気で長期入院する為に引き払ったのかもなぁ。 ま、詳しいことはわからないけどね」
「有難う御座いました。 とても参考になりました」
 深々とお辞儀して、パティはその階を後にする。
 ところが、上の階へ行くかと思えば、何故かエントランスの方へ降りていったのだ。
「………やっぱり……」
 そしてパティはそのまま上に上がらず、シュラインと草間のいる大家のところへ向かった。



 「―――そういうことだったんですか」
「でもねぇ、確かに気にはなるんだけど、耐震構造上は問題ないからどう言ったらいいのかと思ってねぇ」
 玄関先で話し込む内容でもない為、シュラインと草間は大家の部屋に上がりこみ、お茶をいただきつつ大家の話を聞いていた。
 そこへ大家の部屋のチャイムが鳴った。
「もしかして…」
 玄関の隣にあるキッチンの窓から見えるシルエット。
 明らかにでかすぎる影がある。 あれは恐らく時雨であろう。
 大家が対応すると、案の定、他所へ聞き込みに行っていた三人がドアの前に立っていた。
「何だよ、俺たちが情報収集してる間にちゃっかり寛いでやがんのか?」
 居間にいる二人を見るなり浩介は不満の声をあげる。
「人聞きの悪いこと言うな。 表で話す内容じゃないからあげてもらったんだッ」
「確かに表でするような話ではありませんからね。 一先ず各自の報告をしましょうか」
 パティにそう促され、浩介も時雨も大家の部屋に入っていった。
「――まず、私と武彦さんが聞いた内容ね。 大家さんの話では…依頼人、西ノ宮彰人さんからは度々部屋を換えてくれとか、霊能者呼んでくれとか…たびたびそんなことを言いに来ていたらしいわ」
「依頼人が騒ぐものの、大家には奴らの存在が見えないし感じないようなんでな。 依頼人の頭がおかしくなってるんだと思って取り合わなかったってんだが…」
 それだけでことは収まらなかったのである。
 依頼人以外の住人までもが、部屋が気持ち悪いとか、誰かに見られている気がするとか、口々に訴えてきたのだ。
「それって…全部依頼人の上下に住んでいた方々ですよね? 今あの縦繋がりの各部屋の中で、住んでいるのは依頼人だけ…」
 パティがエントランスで見た各階の部屋割りで、今現在空室になっているところを見ると、その全てが依頼人が住む縦のラインだけだったのだ。
「そんでもって、依頼人の両隣に住んでる…って言っても片方しかいなかったけどさ。 依頼人の部屋から大勢の話し声がするわ壁から大量の視線を感じるわで、どうしようか迷っているんだとさ」
 どうやら、両隣に弊害をもたらすのは依頼人のいる部屋だけらしい。
 下の階の男性は、隣が変になって引っ越したぐらいの印象しかないように思えたからだ。
 それぞれの話を聞いて、大家も驚いていた。
 依頼人だけの問題ではなかったのだ。
「四面の部屋であったこと以外に…一体何が…?」
「柱が、全部逆なんだって」
 考え込むシュラインの近くで、お茶菓子を一人黙々と食べていた時雨がポツリと呟いた。
「…なんだって?」
 唐突にはかれた言葉に、草間は首をかしげた。
 すると大家が思い出したように、あっと声をあげる。
「そうそう! 忘れてたわ。 建築上の不備が少しあってね…完成間際になってあのあたりの柱が四本、逆さ柱になってるって言われたのよ」
 ちなみに逆さ柱というのは、家を立てるときの木材の向きを、木が生える時の方向と同じように、根の方は下へ、枝があった方は上に向けて柱を立てなければならないのである。
 逆さ柱とは、その逆…天が地に、地が天に向かって立てられたことによって、自然の摂理に反するという考えの下から、非常に縁起が悪いとされているのだ。
「逆さ柱が呼び込み口となって、それが依頼人の部屋で溜まっていたってことか!」
 ポンッと手をつき、得心いった様子の草間。
 上下の部屋や両隣はその影響を受けていたのだろう。
 逆さ柱であること以外にも、そういった弊害があった為に、敏感な住人はそれに耐えられなくなって出て行ったとすればつじつまが合う。
「でもさ。 他にもそういう連中がいてすぐに出てっちまったのに、アイツはなんであそこまであの部屋にこだわるんだろな?」
 部屋の状態といい、駅からも近いという立地条件、それで家賃は三万弱。
 浩介にはどうしてもそこが腑に落ちない。
 すると大家が気まずい顔を押して、浩介を見た。
「―――…やっぱり、逆さ柱とか四面の部屋であったこと以外に、『あの部屋に』何かあるんだな?」
「…実はあの部屋で自殺した人がいるんですよ」
 だから警察の介入が住んで、遺族が遺品の処理を済ませ、空室になった折に、急遽あの部屋だけ壁紙を張り替えて、床板はどうしようもないからあの部屋だけに畳を入れたのである。
 畳の入っているのは中央のリビング。 要するに、そこで自殺したということだ。
「………様々な悪条件が重なって、四隅の黒い影って訳か…そりゃあ何か起こらん方がおかしいだろ」
 よくもまぁここまで条件が揃ったものだと、草間はため息をついて呆れた面持ちだ。
「何が起きてるんだかよく分からんのですけど…それでもあそこに入った住人は皆すぐに出てってしまって…このままじゃそのうち変な噂になりかねませんよ。 西ノ宮さんのこともあるけど、上下階の方も何とかしてくれませんかね?」
「生憎ボランティアでやってるんじゃないんでな。 依頼人の提示した額にアンタからの額も上乗せして…それならまとめて片づけてやる。 どうだ?」
 そこでシュラインは調査開始前に大体の見積もりを依頼人に提示して、了解を得ている金額を大家にも書面で見せた。
「慈善事業ではないので、調査費及び調査員への報酬…頂く時は成功報酬ですのでご安心を。 依頼人…西ノ宮氏は個人でのご依頼ですので、問題の空室二部屋で考えますと…これぐらいかと」
 大家が微かに唸る。 しかしその辺の興信所の相場よりはかなり格安だと言えよう。
 だからこそ何かしら嵩む出費のおかげで、赤字経営になる月の多々あるようなところだ。
「……年間の家賃収入から考えても、問題が解決するなら二部屋の家賃四か月分で済むことを考えれば安い方かねぇ……仕方ない。これ以上変な噂がたつ前に早々に解決して下さいな」
「ところでさ、ここの家賃って他はいくらなんだ? アイツの話では三万弱とか言ってたけど…」
 浩介の質問に大家は声を絞って答えた。
「よくあることだよ。 自殺があったところの値段は多少ないし下げて誰かに使ってもらわないとね。 貸す方も直後の借主には説明義務が生じるが、その次からは説明義務は発生しないからね。 他の部屋はこのぐらいだよ」
 手を広げて指を五本示した。 要するに月五万の物件というのがここの正規の値段らしい。
 まぁそれでもお買い得といった値段だとは思うが…
「でも、直後の借り手がある程度住んで、何事もなければお家賃は通常の値段に戻すのが普通なのでは?」
 パティの意見はもっともだ。 しかし、何事かがあったからこそ、値段は据え置かれたままなのである。
 それこそ上下の住人がすぐに出て行ったりするように。
「…そう考えると……アイツ本当はかなりの鈍感なんじゃないか?」
 呆れた様子でいう草間。
 ただでさえ悪条件が重なっているところに自らそれを部屋におし留め、どんどん溜め込んでいっていたのだから、それまで何もなかった事にそういわざるを得ない。
「普通の奴なら気ぃ狂ってたんじゃね?」
 茶化したような言い方をする浩介の隣で、パティはぽつりと呟く。
「私には角の影を除けば心地よい空間ですけどね」
 そしてそれ以上に、現状からかけ離れた存在が、今最後の茶菓子を食い終えた。
「…おばさん、これもっとない?」
 話の流れをぶった切る時雨の発言に、一同思わずずっこけかけた。



 「―――まず、上からの流れを断ち切りましょうか」
 上の階にシュラインと草間、依頼人の部屋にパティと時雨、下の階に浩介がそれぞれ立ち、シュラインの指示通り左回りで東西南北の方向に盛り塩を置いていく。
「しかし大家が物覚えが良くて幸いしたな」
「そうね。 依頼人の話を大家さんが覚えていてくれてよかったわ。 それで左回りに…霊を呼び込んでいる状態だって分かったんだし」
 依頼人が度々おかしなことを言ってくるようになってからは、話半分にしか聞いていなかった大家だが、最初の頃は依頼人に強引に部屋に連れて行かれ、そこにいたとかあっちにいたとか散々聞かされていたのである。
 そして最初に何処に出て、次に何処に出たということが判明したのだ。
「そっちの様子はどうかしら?」
 シュラインの携帯でパティに連絡を取る。
『霊が増える様子もなく今まで溜まっていた霊も、黒い影を残してその殆どはどこかへ消えていきましたよ』
 傍にいる草間にOKサインを出すシュライン。 そして下にいる浩介に連絡をとる草間。
『あ、草間さん? 下の階もばっちりだぜ。 上から落ちてくるように入ってきてた奴らが来なくなって静かなモンだ』
「そうか、ご苦労さん。それじゃあ依頼人の部屋で待っててくれ」
 草間の方も現象が収まったことの確認を受け、一先ず安心したが、根本的な解決にはなっていない。
 盛り塩は始めると途中でやめた時の反動が怖い。
 ましてや四方が逆さ柱。
「……新たな入居者に引かれてしまうような目立つ物は置けないし……こうなると…」
「屋上しかないだろうな」
 上を見上げつつ、草間は大家を呼んで屋上のカギを開けさせた。
「この当たりが部屋の真上だな」
「ここで何をするつもりなんですかね?」
 首をかしげる大家に、草間は一番簡単な方法で弊害をなくす方法をすると告げる。
「大家さん、アンタたしか部屋の一画に神棚あったよな?あれをここに移せないか?」
「宮移しですか?」
 神の宮移し。 そうそう行うものではないが、場合によっては必要なこともある為、するならば祝詞があげられる神職にやらせる方がいい。
「今日中にこれそうな奴に連絡をとる。 ただ、アンタの部屋から屋上まで祝詞を上げながら移動させにゃならんから、今いる住人には説明しといた方がいいな」
 宮移しの最中にいきなり扉を開けられたりして、移動中の神職に当たって祝詞が中断されでもしたら事だ。
「え、ええ…それで済むモンなら…でもここに置くってことは、お宮とか祠とかも用意しなきゃならないってことですよねぇ?」
 神棚だけ移動させても雨風の事を考えれば、それなりのものは必要だろう。
「――――石つきの祠があれば、いいのか?」
「どわっ!?」
「何時の間に!?」
 シュラインと草間の背後に、何時の間にやら佇む時雨。
 さすがはその道のプロというべきか。
「こ、心当たりがあるのか?」
 すると時雨はその問いに答えず、いきなりどこかに電話をかけだす。
「―――うん、そう。 あんまり大きくない奴……すぐいける? ありがと。 それじゃ」
 相槌ばかりで具体的にどんな内容を話しているのかは分からないが、せめて正規の仕事をしている人に頼んでくれと草間は願った。
「…三十分以内に届けてくれるって」
 えらく早い対応で安心した反面、不安もある。
 できれば到着後に出所をはっきりしてくれと思いつつ、一先ずヌサ袋に見立てた布袋に塩をたんまり詰め込み、紙ヌサを立てたものを部屋の真上の部分に置き、今回のターゲットである黒い靄を何とかする為に、草間とシュラインは部屋へ。
 時雨は知り合いの到着を待つ為に、大家と共に玄関に向かった。

「峠の神様じゃあるまいし」
 シュラインは先ほどのヌサ袋や紙ヌサのことを言っている。
「まぁやらんよりかはマシだろう。 神棚が移動されるまでの救急措置って所だ。 それに屋上はコンクリートだからな…紙ヌサっつーか御幣だけ立てようにも無理がある。 塩をつめたヌサ袋でそれを代用して簡易結界を作ったに過ぎんさ」
 別段力がなくても誰にでもできることだと、草間は笑った。
 草間が神道の人間でないことは確かだが、この手の仕事をよく引き受けることになる為か、妙な応用力がついている。
「ま、どんなことでも信じて実行しなきゃ、効果だってありゃしないさ」
 いわしの頭も信心からとはよく言ったものだ。



  ―――三十分後…
 時雨の知人が手配してくれた祠が届いた。
「…マジか、これ…」
「よくこの短時間でこれだけのものを…」
 草間もシュラインも、そして大家も驚きを隠せない。
「…一番小さいのは、なかったんだって。 これじゃダメかな?」
 時雨が首を傾げるも、その場にいた一同はそれに対し十分すぎると声を揃える。
「…で、これ値段は…?」
 現物を見た草間は、出所よりもこの祠…というか小さなお社レベルの物に指を差し向け、おそるおそる時雨に尋ねた。
 下手をすればこれ一つで赤字だ。
「…ここまでのガソリン代でいいってさ。 要らないものだったらしいから」
 三十分以内にこれる距離でガス代と言っても、高が知れている。
「でかした! 五降臨!! ずっこけてるだけじゃないんだな!! お前とお前の友人に感謝する!」
 肩を掴むには草間の背が足りないので、時雨の手をとり本気で感謝していた。
 当の時雨はそれほど感謝されるようなことなのだろうか、と、首をかしげる。
「ん? 神職の奴も到着したみたいだな。 大家さん、今在宅中の住人には?」
「一時間以内に外出予定のある人は早めに出てくれと言ってありますんで、確認の方もキチンと済ませましたよ」
 こうして、ようやく呼び込み口の完全封印に取り掛かることになった。
 正装した神職が口元を覆い隠すように布をつけ、神に粗相のないよう準備してから大家の部屋にある神棚のご神体を屋上の社に移す儀式に入った。
 ご神体に今神が宿っている訳ではないが、今後寄り代になる可能性もないとはいえない。
 それゆえ、正式な手続きの元、宮移りの儀式をしておかなければならないのだ。
 祝詞をあげながらご神体を運ぶ神職を屋上の社の前で待ち、ようやく扉の向こうから祝詞が聞こえてきた。
 そして、ご神体の宮移りが完了し、屋上からの呼び込み口の封印も完了した。
 これでようやく本命に着手することが出来る。
「さて……もうすっかり日も暮れちまったな」
「おあつらえ向きじゃないかしら?」
 依頼人は夜になると四隅の連中が出てくると言っていた。
 それならば、今がチャンスと言えよう。
「…氷室はコンタクトを取ろうとしていたが……はたして応える気があるかどうか…」
 人の形をしていないものは、こちらの呼びかけに応えにくい。
 人でなくなって、ただの思念の塊になっていることが殆どだ。
 まぁ、中には例外もあるにはあるが…



 「ごくろーさん! 今のところ連中に動きはない。 もう少し遅い時間なのかもな」
 部屋の中央で四隅を見回し、特に変化がないことを草間も確認した。
「……夜中になってからの反応次第だな…」
 呼び込み口は閉じた。
 他の霊もいない。
 はたして三体の黒い靄はどういう行動に出るのやら。
 一行はそのまま部屋で夜を待つことになった。 勿論、ロビーに待たせっぱなしだった依頼人にも現状を確認してもらうべく、黒い靄との対決は依頼人も交えてのことになる。
「あ、あのっ 全部終わるまでロビーの椅子で待ってますけどッ!?」
 モノが出てきていないうちから既にビクビクしている。
 酷だとは思うが、変化を依頼人の目で直に確認してもらった方が、後々楽なのである。
 成功報酬かどうか自分から聞いてくる以上、そのへんはしっかり見せておかなければ。
「―――草間さん!」
 パティが黒い靄の変化にいち早く反応した。
 じわじわと壁から染み出してくるような、徐々に人影のような形を取ったそれらは、ゆらゆらと揺れたかと思うと依頼人の話どおりにブツブツ言いながら部屋を回り始めた。

――あとひとり――
――あとひとり――
――あとひとり――

「うわっ…気持ち悪ぃ!」
 思わず耳を覆う浩介。
 シュラインも咄嗟に片方の耳をおさえてしまった。
「…まるで寺の鐘が頭に反響してるような感じね…」
「アンタよくこれで今まで我慢できたな」
 まさかこれほどの不快感を伴うものだとは思わなかった。 呟きどころの話ではない。
「ひぃぃぃぃっ! よ、呼んでる――ぅ! あと一人で揃っちゃうぅぅぅ!!」
 既に涙声になっている。 こんな性格でよく我慢できたものだ。
 ぐるぐると部屋を回る黒い靄がぴたりとその動きを止めた。
「なんだ?」

――こない――
――こない――
――こない――

――白い光…道閉じた――
――白い光…道閉じた――
――白い光…道閉じた――

「白い光……? 社のことか?」
 白い光が最後の一人が来るのを妨害している。 黒い靄たちの言葉はそうとれた。
 ついでに社に残してきたヌサ袋やご神体の宮移りは、しっかりとその効果を発揮したようだ。
 靄たちはその場で不規則に激しく揺れ始める。

――邪魔――
――邪魔――
――邪魔――

――道開けない――
――道開けない――
――道開けない――

――あの方呼べない――
――あの方呼べない――
――あの方呼べない――

「あの方…?」
 最後の一人に対する言葉ではない。
 もっと別の何かのことだ。
 取り乱すように激しくその場で揺れる黒い靄。
「お前たちの目的はなんだ! 何が望みだ!?」
「話せるなら、聞かせてよ…」
 今なら話が出来るかもしれないと思った浩介と時雨は、黒い靄に問いかけた。
 すると、今までこちらにまったく関心がなかった靄たちの意識がこちらに向けられる。
「――まずい、怒りの波動を感じます」
 パティは草間たちの前に出て人の身である三人の盾となった。
 浩介はいざとなれば切り札こそあるものの、それ以外に小回りの利く術をもたない。
 時雨も、この部屋の中では愛刀を振り回すことすらできない。
 パティの切り札も、使えないことはないのだが、如何せん今の状況では使うタイミングが計れない。
 依頼人の緊張もピークに達した。
「ひぃぃぃぃぃ!」
「仕方ありません!」
 パティは時雨と浩介の前に立ち、閉じられたままのその瞳を開眼しようとした。
 ところが…
「!?」
 
――呪われろ――
――呪われろ――
――呪われろ――
――呪われろ――
――呪われろ――
――呪われろ――
――呪われろ――
――呪われろ――
――呪われろ――

 三体が発する言葉の声量が増す。
 頭痛を伴うような音の波の中、パティの前で三体の靄が溶け合い、一つとなった姿。
 目を閉じたままでもはっきりと見える、瞼越しの闇の姿。

――いずれ貴女にも死の花を――

 黒い靄の奥で、何かが…いや、誰かが笑った。
 そして次の瞬間、その靄は四散し、室内に満ちた圧迫感が消えた。
「……今のは……」
 靄の奥にいた誰か、それを見たのはパティただ一人。
「――霧散した? 何がどうなってんだ??」
 背後で草間の混乱した声。
 同様にシュラインや浩介、依頼人も突然の出来事にただただ首を傾げるばかり。
 時雨に関しては、終わったみたいだから、いいんじゃない?と、かなりの楽観視。
 パティに向かって囁かれた言葉は、先ほどの靄が発するような片言の言葉ではなかった。
「―――あれは…何者……?」
 様々な疑問が残るが、目的は遂げたことには変わりなく、依頼人は安堵しているようだった。



  報酬はすぐにでも用意されたが、半月ほど経過を見て、その間何も起きなければ依頼を完了することで合意する。
 依頼人と大家の連名で支払われた報酬からそれぞれの取り分を頂き、協力者皆、各々の日常へ戻ってく。
 しかしパティはどうしても腑に落ちなかった。
 依頼人や他の協力者に言っても、後顧の憂いを残すだけだからあえて言わず、草間と事務員であるシュラインにだけその事実を伝える。
「―――死の花…ですって…?」
「ええ、そう言ってました。 何か心当たりでも?」
「……ああ、ちょっと、な……」
 草間は事情を知らないパティに以前起こった事件の経緯を説明した。
 白のアンダーテイカーと白のソウルテイカー、二人で一つの告死天使の話を。
 消滅の危機に瀕したソウルテイカーを救う為に、天の法を犯し、能力者の魂を百集めてソウルテイカーを完全な状態に戻そうとしたアンダーテイカーのことを。
 そして、それをソウルテイカーから依頼で、阻止したことを。
 最後にアンダーテイカーを堕天させてしまったことを…
「――そうですか…そんな経緯が…」
「すまん、お前にまで火の粉が飛ぶようなことになって」
 するとパティは静かに首を横に振った。
「たとえ相手が悪魔であっても、私は全ての神魔を滅することを目的とする者。 あちらから出向くと言うならそれこそ好都合です」
 だから気にするなと。
 パティの口元が微かに弧を描く。
「…三つの黒い靄の正体はわからなかったけれど…それでも、彼が再び現世に出てきて何かをする為に、道を開かせようとしたことだけはわかったわね…」
「ああ、同時に、堕天した奴は自力ではこちらの世界に干渉できないってこともな」
「微力ながら、今後とも協力させていただきますよ。 草間さん」
 そういい残し、パティもまた、自らの日常に帰っていった。
「―――さぁ、また幾つか依頼が来てるようだ」
「……今日も一日、頑張りましょうね。 武彦さん」







私は被造、私は死の花。
光から生まれた闇。




光無き今、闇は安定する――…






―了―
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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【0086 / シュライン・エマ / 女性 / 26歳 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
【1564 / 五降臨・時雨 / 男性 / 25歳 / 殺し屋(?)】
【4538 / パティ・ガントレット / 女性 / 28歳 / 魔人マフィアの頭目】
【6725 / 氷室・浩介 / 男性 / 20歳 / 何でも屋】

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■         ライター通信          ■
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 こんにちは、鴉です。
靄の正体は何だったのか、その辺はアプローチの仕方によって聊か積み残した形になります。
そしてこっそり、これもアンダーテイカーが絡んでいるものでした。
これからも何かしらの形で彼は現世に現れようとするでしょう。
アンダーテイカーシリーズに参加してくださった方々は勿論のこと、今回初接触した方も、これで興味を持って頂ければ幸いです。

ともあれ、このノベルに関して何かご意見等ありましたら遠慮なくお報せ下さい。
この度は当方に発注して頂きました事、重ねてお礼申し上げます。