コミュニティトップへ
高峰心霊学研究所トップへ 最新レポート クリエーター別で見る 商品別一覧 ゲームノベル・ゲームコミックを見る 前のページへ

<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


[ 月夜の歪 -甲夜- ]


  かごめかごめ 籠の中の鳥は
  いついつ出やる 夜明けの晩に
  鶴と亀が滑った 後ろの正面だあれ?


 月は無い。新月の夜。
 その夜、そこにあるはずも無いモノに突き飛ばされしは現世を生きる草間武彦。
 代わり 迷い込んだ者――それは…‥。




「トイレの壁に突如出来た穴は、小さくなっていくもののまだ残っています。兄さんは恐らくそこへ……もしかしたらと思い、月刊アトラスの桂さんにも連絡しましたが連絡がつきません。その為現在応援を要請中」
 草間零、彼女の言葉は冷静な物だった。元々そういう風に出来ている、というのも有るのだろうが、現状が恐らく彼女をそうさせている。
「尚、兄さんと入れ違いにこちらへ来た方が居ます。私は穴に触れられるものの、お客様は触れることが出来ない為、飛ばされた兄さんは独りでは帰って来れない可能性が高いです」
 言いながら、彼女は来客用のソファーに座る彼を横目で見た。
「尚、私が同伴している場合のみ、お客様も穴に触れられるようです」
 つまり第三者の手が必要であることは明確だった。
「どうか、ご協力をお願いします」
 チンと受話器を置くと振り返る。
 事務所には勿論灯りがついているが、ブラインドを通し入ってくる月明かりの方が明るく思えた。
「……で、某はこれからどうすれば?」
 
 今となっては懐かしいと言える煙草の匂いは無い。ただ、微かに香るは……この現代社会で普通の暮らしを送っていれば決して体験することの無い物。もっとも、この興信所自体に普通を求めるのは酷だろうが。
 零は彼を見つめたまま、一体何がどうなるとこうなるのだろうと考えた。しかしいくら考えたところで出ぬ答えだと言うことは判りきっている。だからゆっくりかぶりを振ると、彼を真っ直ぐと見据え、出来るだけいつも皆に向けているのと同じ口調で言った。

「もう少し待っていてください。今、協力してくださる方が来る筈ですから……真田、信繁さん――」


 彼は今、多少の怪我を負い零から治療をしてもらったばかり。
 彼が流した血以上に残る血腥さが、彼が一体どういう人間でどういう場所に居たのかを想像させた――。



 零からの連絡を受けた彼女は、すぐさま準備を始めた。救急箱を、と考えるが、確か興信所にも万が一に備え一式揃った状態であったはずだと考え直し、他の物を鞄へと詰めていく。
「それにしても……零ちゃんの言ってた状態だと、向こうもあちらの方の手がないと穴に触れられないのかな」
 そうだとすると向こうに向かい、武彦を助け出して来ても帰る術が無い。携帯電話なども時空と空間を越えれば恐らく当てにはならい。
「少し原始的、かも知れないけどきっと確実よね」
 一先ず手持ちのソーイングセット、その中の糸を確かめると彼女は家を出た。後は興信所で紙コップを二つ。皆が来る前に作ってしまおうと考えていた。



    □□□



 零の連絡から暫くすると、興信所に人が集まり始める。皆、今回の件に協力を申し出た者達だ。その数六人。その内五人が、つい先日も顔を合わせたメンバーであった。
 今その六人に加え茶を持ってきた零と、武彦と入れ替わりやってきたという者が居る。遠目でも男と分かる彼は傷を負っているせいか、六人が集まったソファーよりも少し離れた場所に小さな椅子を置き、目を閉じ静かに座っていた。彼も此処へ招くべきか悩んだが、零の言葉で今暫くは休ませておくことにする。
 そしてただ一言、彼女から彼の名前と彼がやってきた年月だけが告げられた。真田信繁、西暦1615年の5月からやってきた者…と。


「――つまり武彦と真田殿が入れ違いになった、と……」
 現在の状況、そしてこの事態を把握しながら言うは陸玖・翠(りく・みどり)。「また面倒な……」と小さく呟きながらも、やりだせば徹底的にこなす性格が早くも彼女を突き動かし始めていたのも事実だ。
「……トイレ、というのがあやつらしいのう。おまけに満月が親で新月は息子とは……」
 ソファーから少し離れた場所に立つ人造六面王・羅火(しんぞうむつらおう・らか)は、両手をそれぞれ逆の袖に突っ込み胸の前で組んでいた。妙に感心したような、それでいて面白げな顔でぽつぽつと話すその足元には、ちゃっかり猫缶が一つ転がっている。
 しかし真田親子は勿論のこと、三下といい草間といい似たような状況だとは思ったが、それを考えていたのは他も同じだった。
「ホントに草間もあの時代へ行っちゃったんだ? じゃあやっぱり……行かなくちゃっ」
 そう言ったのは神納・水晶(かのう・みなあき)。ソファーに腰を下ろし、足をぶらつかせながら楽しそうにお茶を飲んでいる。
 草間も…と言うその言葉に翠が反応した。その後皆は、少しずつ翠に事の経緯を話す。簡単なものではあるが、翠はそれを興味深そうに聞いていた。
「でもさ、やっぱ準備はしてからだケドね」
「準備ですか? それは――」
 水晶の言葉に、それは応戦準備以外だろうかとジェームズ・ブラックマンが問う。流石にこの面子だ、前回のことからも考え――戦国時代の兵に対応する術はある。
「だって流石にこのままの格好で戦場をうろついたらまずいし……ぁ、羅火は別として」
「じゃろな。じゃがわしとぬしの頭も充分問題じゃろうが」
 羅火の言うとおり、後の四人は揃って黒髪だ。
「服装の問題はあるでしょうね。捜す分には武彦の服装が違うからこそ、手当たり次第聞いて消息を追う事も出来るかもしれないですが」
 翠の言葉に、水晶は「だよね」と相槌を打った後言葉を続ける。
「ま、このままの方が草間からは見つけやすくなるかもだケドも」
「でも確かにどれも言えるよな。まぁ、見つけ易いより、この場合俺たちが安全なほうを選んだほうがいい気もするけどさ?」
 そう言ったのは梧・北斗(あおぎり・ほくと)。ソファーに座るその足元には、歴史の教科書があり、「あいつの名前は真田信繁っと……」と呪文のように彼の名前を連呼していた。
「甲冑は無理だけど、着物位なら手配できるっしょ。……零?」
 水晶の問いかけに、普段武彦が使っている椅子に座っていた零はゆっくり顔を上げた。なんだかんだでショックは隠しきれないのだろう。
「――零ちゃん……武彦さんは大丈夫」
 そんな零の傍に立ち、そっと彼女を撫でるのはシュライン・エマ。
「シュラインさん……」
 ゆっくりと顔をあげた零は、ようやくその視線が定まった目を見せた気がする。
「悪いけど、手配できる? その後はゆっくり休んでいて良いから」
「……はいっ、私お手伝いしますね」
 そう言うと零は目の前の受話器を上げ、何処かに電話を掛け始めた。
「では、この先どうして行くか考えていきましょうか」
 そちらの件は零に任せるとして、この先どうするべきかとジェームズが切り出す。
「だったら、真田から飛ばされた時の状況説明とかしてもらった方が、場所特定しやくしない?」
「そうですね、飛ばされてくる以前、周りに変調等なかったかも含め」
「月に関するモノ等も確認できれば良いんだけど」
 水晶、ジェームズ、シュラインらが順に信繁の方を見るが、彼は未だ椅子で休んでいるように見えた。
 大坂夏の陣ならば調べればある程度の予測はつくだろうと言った水晶に、翠はやはり大坂城付近かと言い、北斗は誉田での戦いに大坂城天王寺口、若しくはその近くの茶臼山を上げる。それ以外にシュラインが安居神社を――この辺りは特に徳川軍や鉄砲隊に気をつけねばと付け足し、ジェームズは九度山と生存説のある谷山を万が一にと上げた。とは言え谷山は鹿児島である。流石に過去では交通手段がない。
 大まかに信繁に関連がある場所は出揃った。問題は穴が何処に通じ、武彦が関連する場所の何処に居るか、そこへどのようにして向かうかだ。
「……しかし…新月、とはのう……。満月とはちと違い厄介じゃな」
 前回と比較しているのだろう、思わず羅火の口から溜息が漏れる。
「新月……?」
 羅火の小さな呟きに反応したのは電話を終え、結局お茶のおかわりを用意していた零だ。そのまま急いでお盆を武彦の机に置くと、まずは事務所の電気を全て消した。そしてブラインドを思い切り引く。
 一同何事かと零を見たが、それ以上に惹かれるものがあった。ブラインドの引かれた窓だ。
「……満月の、月明かりじゃな」
 見るなり羅火はそう言った。
「新月なのになぜ? しかも満月って……これも歪みの関係、なのかしら?」
「でも満月なんて何処にもないよな?」
 北斗が外を見渡すが、やはり誰の目から見ても今日の夜空に月らしきものは無い。なのに、何処かからか確かに月明かりが入り込んでくる。
「――先ほど今宵は新月と、申されたが……某の頭上では明け方近いと言うのに見事な満月が輝いていた。こちらは…新月なのか」
「真田殿……起きて?」
 翠が振り返ると、いつの間にか椅子から立ち上がった信繁が皆の後ろに居た。
「……すまぬ。話は全て聞いていた。答えられる限りは全てを話そう」
 丁度良い所でようやく語りだす気になったと言うところか。
 しかし信繁の最初の言葉にシュラインが何か思いついたようトイレへと向かった。ドアは半開きで、それを開けると目の前が一瞬白く輝く。その後を追った翠が、思わずその明かりに声を上げた。
「これは美しい……満月ですね」
 目の前に月があった。勿論、そこに開く穴の向こうにという意味だ。
「すっげー。これって向こうの月明かりがこっちに来てるって事か? それが色々反射して?」
「かもしれませんね。しかし穴も小さくなっていくようですし、これは早く向こうへ向かった方が良いかもしれません」
 関心する北斗の隣、ジェームズは冷静にこの事態を分析している。その後ろで信繁は、興味深そうに穴を見つめていた。
「その穴の向こうが……」
 その声は至って冷静で。
「真田殿は、このような状況でも落ち着いていられるのですね」
 思わず翠がそう問えば、彼はゆっくりかぶりを振った。
「否、前に父に聞かされたことがあった故……。当時は全く信じていなかったが、今となれば。しかし、この映像は一体――?」
 そして、穴から差し込む月明かりに手を翳しては最後に小さく考えるよう呟く。
「映像? わしには何も見えんが……もしやぬしにだけ見えるのかのう」
 つられ羅火も手を伸ばしたが、何かが見えるという事も特別な異常も感じない。他の五人もそれぞれ触れてみるが変化は無く、そんな彼らに信繁は一言。
「貴殿らと似た格好をした者が走っている姿が頭に浮かぶ。もしやこの者が武彦と?」
 どういうことか、この光は武彦の動きに繋がっていて、それが信繁にだけ見えるらしい。
「随時伝えて貰う手段が無ければこれも意味が無い物ですが。一先ず現在武彦はどの辺りに?」
「此処は――恐らく誉田に近い場所かと……」
 皆の予想が正しければ五月六日、誉田の戦い。道明寺の戦いにて、後藤基次との合流に遅れた信繁と後藤氏を打ち破った徳川方伊達勢の争いだ。武彦は今そこに居るのかもしれない。とにかく向かうしか手は無かった。
 やがて着物が届き、それぞれ着替えを始める。勿論向かう先の事を考え、見栄えではなく機能性が重視された物だ。その為、下はズボンのようなタイプになっている。何処から仕入れてきたのか不明だが、甲冑とまでは行かないが軽めの防具もセットになっている。
 着替えを早々に済ませたシュラインは慌しく動き始めた。それを見た着物姿のジェームズが何か手伝えることはないかと聞いてきたため、一つ仕事を任す。信繁の元へと向かい一筆書いてもらえるよう頼むものだ。それは向こうから戻ってくる際、信繁が零の手がなければ触れられぬよう、他者の協力者が必要な場合に備えての事。ジェームズは早速信繁の方へと向かって行った。
 一方のシュラインは、興信所に着くなりあっという間に作り上げた糸電話の説明を零にする。この先どのような状況になるか、当てになるかも分からないが、使えれば唯一まともな連絡手段になる。
 全員の着替えが終わると、トイレの前に集まった。ただでさえ狭い場所なのに、八人も集まれば洗面所付近はいっぱいだ。
「ともかく、武彦を見つけて連れ帰るのが目的だな。勿論そいつも、あるべき場所へ返してやんねーとな!」
「では向かいましょう」
「危険な時代故、早く見つけられれば良いんですがねぇ」
「手段も人数も少なくは無いわ、だから武彦さんが無事で居てくれれば、きっと早く見つかる筈……」
「じゃ、俺一番」
「うむ……」
 真っ先に水晶は穴の向こうへと飛び込んで行ったのは水晶。その後を羅火が追い、翠、シュライン――救急箱を片手、穴に入る前糸電話の片方を穴の傍に置いて行った――、北斗、ジェームズと続く。
 六人が消えた後、零と共に信繁は穴に触れてみた。
「…………」
 一人の時は見えない何かに弾かれ触れる事の出来ない穴に、今は触れる事が出来る。けれど、まるでそこにはただ壁があるかのよう。彼の手が皆と同じ場所へ突き抜けて行くことはなかった。



    □□□



 抜けた先、その夜空には確かに満月が浮かんでいる。しかし辺りの景色は見たところ夜明けの頃。確かに月も違えば時間の軸、月日も大きく違う。時計を見れば、それは何時を示せば良いのか分からず完全に狂っていた。
「ミスター真田は……来ないようですね」
「正しくは来れない、かしら?」
 言いながらシュラインは手に持った紙コップを口に当てた。その底の部分には糸がついていて、今出てきた穴の向こうへと繋がっていた。糸電話、というやつだ。向こうからこちらは見えたはずだが、こちらから向こうが見えないというのが問題だった。穴が小さくなっているわけでもない。ただ、穴の向こうが黒い。
 やがてシュラインの行動に、弛んでいた糸が向こうからも引っ張られ、何度かのやり取りで多少時差が生じるようだが声が繋がることは判明した。同時、信繁がこちら側へ来れないということも。
「やっぱり武彦さんを連れてこないとどうにもならないみたいね」
「なら早く見つけに行かなくちゃ」
「今はとにかく先へ進みましょうか。この辺りはあまり……良い感じがしませんからね」
「……じゃな、相当の数あるようじゃろう」
 シュラインと水晶に続き、ジェームズと羅火は一先ずこの場から動くことを提案した。何かを含んだ二人の言葉に北斗が首を傾げる。
「数? 何がだ?」
「知らぬが仏、じゃろ」
 羅火が気づいた何かには、水晶やジェームズ、翠も気がついた。要するに、そういう者達の方が察知しやすいコトだ。
「では、そろそろ行きましょう」
 ゆっくりと、辺りに誰か話を聞けるような者くらい居ないかと翠が歩き出す。
 しかし皆はまだ知らなかった。出た先は誉田より僅かに離れた小松山。信繁が向かっていた場所であり、後藤氏と合流できなかった場所。つまり、今そこに残る物は唯一つ。
「――……っ」
「うっ……数って、これのことか」
 程なくしてシュラインと北斗も、四人が察知していた物に気づいた。
 まだ時間は経っていない。死臭とまではいかず、しかし辺りは紅く、そこは血の臭いで満ちている。豊臣・徳川と入り混じった兵の山が出来ていた。念のためにと確認するがこの辺りに武彦の姿は無い。落ちた刀が月明かりを反射していた。それも一歩や二本ではない。いくつもの刀、それら全てが同じ方向へと月明かりを反射している。その方角はたった今六人が来た方角だ。
「もしかしてあれが今回の原因?」
 やがて、辺りを見渡しながら地面も見ていたシュラインがピタリとその足を止める。
「……武彦さんの足跡かしら? 向こうに続いてるけど」
 数多くの足跡の中、ただひとつ明らかに形の違うものがあった。足跡は真っ直ぐどこかへと向かっており、思わず皆でそれを追いかけ始めた。やがて緑を掻き分け出た場所に、複数の兵士が呻き声を上げながら転がっている。
 ゆっくりと駆け寄っていくと、兵の一人が顔を上げた。その目は血に濡れ良く見えていないのか、ただ危害を与えてはこない気配の六人を味方と認識したのだろう。
「突然、妙な…格好した輩が……全ての敵兵…った、独りで惹きつけ…‥基次殿も向かわれた、至急増援をっ」
 ガクリと倒れた兵の横にジェームズがしゃがむと、「気を失っただけのようですね」と言い立ち上がる。どうやら武彦らしき人物が全てを惹きつけたお陰か、被害が最低限で終わっている。その証拠に死体の山、その殆どは徳川方の兵だ。
 兵が指す方角は、武彦の足跡が続く方向でもある。北斗が教科書を調べる限りは、全て歴史通り動いていた。そう、動きだけは。
「武彦が向かった場所は分かりましたが、これではこの先の状況も変わってきているでしょうね……」
「だよね。草間がココに来た時点でもうこの先誉田に行くとも限らないし」
「頼りはその足跡か、若しくは大きな戦が起これば嫌でも気づくじゃろ」
 位置的に考え、小松山から誉田はほぼ西の方角に当たる。しかし足跡を追うごとに進む道は、西ではなく北西の方角。
「この足跡、まさか草間のじゃないとかか?」
「しかしこんな靴の跡はこの時代他に無いじゃろう。他にこっちに来ている人間が居ない限り、じゃがな」
 北斗が思わず疑いを抱き始めるが、羅火は地を、シュラインは天を仰ぎながら冷静に判断する。
「武彦さんが敵を連れて行ったならあってると思うわ。風に流れて大勢の声も聞こえてくるから」
 六人の歩みは、やがて早足へと変わっていった。


 不気味なほど辺りに人の気配は無い。ただ、確かに武彦が向かっている方向には時折彼の物らしき足跡と、それ以外に最早判別不能な無数のへこみが続き、辺りの木々の枝や草花はなぎ倒されていた。
 すっかり夜は明け、空には朝日が昇っている。しかし朝だというのに人どころか、鳥や動物の気配すらない。ただ、暫く行った先で再び同じ状況に陥った。予想していたよりは少ない、けれど確かに無数の兵が倒れている。
「この辺りって……若江・八尾の戦いとかか?」
 北斗は教科書をぺらぺらと捲りながら、進行方向とこの状況から考え現在地を特定した。本来ならば、此処で木村重成が戦死している。しかしそれらしき姿は何処にも無く、ただひとつ思い浮かぶのはまた武彦が連れて行った、という事だけだ。
 そして此処まで来てもうひとつ問題は上がる。
「武彦さんの足跡が途絶えた。大分追いついてると思ったのだけど……」
 敵味方の兵が相当増えたのだろう。最早武彦の足跡は消され、何の痕跡も残ってはいない。
「誰かまともな奴居れば情報収集も簡単なんだけどな。ここに居るのはどう見ても口無し、な奴ばっかだよな」
 とりあえず生存者が居ないことだけは確認すると、此処で一旦皆バラバラになり始めた。
 シュラインは適当な場所に荷物を下ろすとなにやら準備を始めた。
「なにするんだ?」
 興味津々そうに覗いてきた北斗に、シュラインは作業を続けながらも顔を上げ答えた。
「鳥の声を模写した音でモールス信号を送ってみるのよ」
「それはまた面白い。確かにこの時代の者ならば知らない通信手段。問題は武彦がそれに気づけば良いんですがね」
 続いて翠が覗き込む。
「武彦さん逃げてるならこっちに引き返してくるのは難しいだろうけど、私達が来てる事くらいは伝わるかもしれないから」
 言いながらシュラインは短い言葉を打ち込んでいく。『たけひこさん、もうすこしでおいつく』と。なんとも不思議な鳥の声が辺りに響いた。それと同時、鳥の声に不思議そうな顔をしながらジェームズが何かを片手に戻ってくる。
「向こうにこんなものが。きっと彼の物でしょう」
 そう彼が出したのは赤のマルボロ…その空き箱だった。そしてジェームズと同じ方角、しかしそこよりも更に先へ行った水晶と羅火が戻ってくる。
「向こうが幾分騒がしいようじゃ」
「なんか銃声っぽいのも聞こえたみたいだケド」
 二人の声に、シュラインは荷物をまとめ立ち上がる。方角的には間違っていない。距離はあるが、このまま進めば茶臼山と大坂城が近かった。武彦が近い――――。



    □□□



 一体どれほどの距離を歩いて、走ってきたかなど最早分からない。ただ、気づけば太陽は真上を通り過ぎていた。
 八尾から先は流石に全ての兵が向かったというわけでもなく、所々に残留兵の姿が見える。それが豊臣・徳川どちらの兵であれ、不用意な接触はタイムロスになる可能性があった。それぞれ気配や辺りの音に気を配りながら進む道のり。
 途中何度かの休憩を挟んでは、最も人が多く通ったと思われる道を進む。その先、遠く…遥か遠くから響く音。それは空気を震わせ、地を揺らし続けていた。
「――ようやく追いついたようじゃの」
 最初それに気づいたのは独り先行く羅火だ。
 少し前から、今六人が走っている街道と並行して走る集団が見えていた。勿論その集団が走るは道と呼べるような場所ではなく、山の中を走っているに等しい。羅火の呟きが聞こえたのか、比較的後方を走っていた水晶がタンッと地を蹴り一気に追いついてきた。
「んー、アレってもしかして草間? 馬乗ってるみたいだケド凄い振り回されてるッポイよね……」
 二人の声が届いたのだろう。シュラインが右の方向へ意識を向ける。確かに、激しい雑踏の中、ホンの微か聞き覚えのある音が響いていた。
「――っ、武彦さん居るの!?」
「……!?」
 シュラインの声に武彦が反応した。辺りを見渡し、やがて左を走る六人に気づいた。ただ、彼が六人に気づいたところで基本的な移動速度が違う。彼が今の状況で馬の足を止めることも出来ず、どんどん前の二人以外とは差が開いていく。そんな状況の中、不意に後ろからかかった声とその存在にシュラインと翠は思わず足を止めた。
「とりあえず拝借してきました。前の二人には不要でしょうから、お二人でどうぞ」
 見ればジェームズが馬を二頭連れていた。いつの間に何処から連れて来たのかは分からないが、今はそんなことを気に慰している場合ではない。
「助かります」
「行きましょう」
 手綱は一旦シュラインが持った。
 先行く羅火と水晶に続き、馬に跨ったシュラインと翠と、ジェームズと北斗が続く。やがて武彦の方から徐々に進路を変えると、後続の大移動が始まった。そして武彦が合流した頃、彼を追っていた兵達もぴたりと後ろにつき、結果的に七人が揃って追われる形となる。
「っ、お前らなんで此処に居るんだ!? というかなんだその服装!」
 前を見ながらも時折六人を見ては今更な疑問を投げかける彼に、すかさず北斗が声を上げた。
「心配させやがって! 今まで何やってたんだよ!?」
「何って、おまっ……今この状態見れば分かるだろ!! トイレから急に山に飛ばされて知らない奴等に追われて命守るために夜中から今まで精一杯走ってんじゃないか途中で馬まで拾ってつうかそもそも夜だったはずだぞ!?」
 走りながらも一気に言い切ると、北斗は更に言い返す。
「だからってこんな場所まで逃げ回ることも無いだろ!? 探すのにどんだけ苦労したか!」
 いくら武彦が逃げることに長けていたとしても、確かにこの距離は無いかもしれない。シュラインも、安心し喜びながらも、此処までの道のりを考えると幾分眩暈もする。どう考えてもこの距離をこの後戻らなければいけない。
「無事なのは良いのだけど、この現状は確かに問題なのよね」
「ぬしは小松山から八尾経由で此処まで逃げ回っていただけじゃろうに。これだけの敵味方を散々引き連れよって、全く面倒極まりない。どうせ逃げるなら考えて逃げて敵を撒いてから威張るんじゃな」
「確かに。しかし武彦は良くこれほどの数を相手に此処まで無傷で逃げられてきたな。それは賞賛に値する」
 次々と投げかかる言葉に、武彦は羅火と翠を交互に見ながら声を張り上げた。そのただならぬ様子を見る限り、どうやら色々な限界を超えたらしい。
「考えてる場合じゃなかったし無傷なわけあるか! 斬られるわ体当たりされるわ『のぶしげさま』は何処だとか真田の影武者だとか……はぁっ……はぁ、俺が知ったこっちゃ――だぁっ!?」
 良く見れば確かにジャケットは切れ、あちらこちらに薄く血も滲んでいる。挙句息せき切らしながら反論すると同時、素っ頓狂な声を上げた。転ばずには済んだが、明らかにバランスを崩し落馬しかけた。
「怪我は後で手当てするから、武彦さんは手綱しっかり握って前見て走って」
「しかし、このまま逃げ続けるわけにも行きませんね」
「今は全戦に足を突っ込んだ分、味方も多いですがとにかく後ろも多いですしねぇ。やはり真田殿ではない以上、しんがりを務める事は流石に叶わぬでしょう」
「おいおい、そういや歴史上はもう後ろ撒いて大坂城に逃げてる筈だろ!? どうすんだよこれ!」
「んなこと言っても俺は逃げるのに精一杯だったんだ、しんがりなんて知るか!」
 今の武彦の様子だと、突然投げ飛ばされた此処が東京ではないと言うこと以前に、今が戦国時代だということも理解していないかもしれない。
「もう暫く行けば恐らく大坂城が近い……此の侭だと全兵お持ち帰りになってしまいます。此処はもう――」
 翠は最後までは言わなかったが、皆それは分かっていた。このまま大坂城まで進めばそれこそ信繁不在のままどうなる物か分からない。結局、途中で散り散りになろうがとにかく最初の場所へ戻る事が決まり、皆一気に方向転換をする。
「草間殿、囮になるつもりか!?」
 それに気づいた味方らしき兵が武彦の名を呼んだ。
「帰んだよ、俺の時代に!」
 そう武彦が叫んだ声。それが最後に全員で聞いた言葉だった。


 方向転換の瞬間、信繁に書いてもらった筈の書状の存在を思い出し、シュラインは、話の分かりそうな人間を一人連れて行くことにした。それは出来るだけ信繁と近いような地位の者。結果的に彼女の目に付き、連れてこられた人物――と言うよりも、どこへ行くのか気になりついてきた人物、彼の名を長宗我部盛親。彼は信繁や基次と共に大坂五人衆と呼ばれた内の一人だ。恐らく護衛にもなるだろう。
 しかし方向転換をしたとは言え、そのまま真っ直ぐ来た道を帰ることは叶わない。それぞれ東、若しくは西から迂回して敵を避けながらの帰還になることは誰もが予測してた。しかし、見事に分かれた。水晶と羅火は正面から、ジェームズと北斗は東の方へ、そしてシュラインと翠は西の方へ走っていた。
「突然の動きに敵はまだ反応し切れていない……暫しの間は楽に逃げ切れるでしょう」
「みたいね、とにかく行ける所までは全力で飛ばすわ。ただ、距離が距離だから何頭か潰しそうね」
「その時は私が捕らえて来ましょう」
 シュライン、翠共に冷静に状況を判断し、尚且つ目的地を目指す。殆どの兵は恐らく真正面から向かってくる水晶と羅火の方に集中しており、周囲は突如馬で駆け抜けていく二人の姿を見るなり驚きの色を露にするが、やがて一人二人と二人を追う兵が出てきた。分かってはいるが、女だろうと容赦は無い。
「あまり考えたくもなかったけど、相当来るものね……」
 手綱を握り前を見ながらも、追いかけてくるありとあらゆる音から判断しシュラインは言う。
「もうすぐ追いつかれますね。しょうがない……面倒ですが、この辺りで少々払っておきましょう。でなければ武彦のように撒けず終いになりそうですし」
 そう言うなり、翠は交戦状態に入りだす。その間、シュラインは手綱を握りながら横に並んだ盛親に今後の予定を口にした。今此処で全てを語ることは無理だろうが、全ては信繁の書状が語るだろう。なのでこの時代、突如姿を晦ましたままの信繁の居場所を知っている――同時に勿論敵意があるわけでもないことを告げる。盛親はあからさまに不審そうな顔を見せたが、「とにかくついていけば答えは出るだろう」と、同行の意思は示した。とにかく今はこの状況を切り抜けるために協力を…とシュラインが告げた時だった。左から不自然な物音を感じ、翠へ知らせる。
「――っ、陸玖さん、左の茂みから何か来るわ!」
 シュラインの声の後、後方でキィンと高い音が響いた。同時、翠が叫んだ。
「馬の速度を少し上げてください!」
 それにはすぐさま反応する。全速力と言っても良いこの状態で、あと少しだけ先へ――それと同時、馬は僅かに加速し、複数の銃声が響いた。
「大丈夫!?」
「はい、お蔭様で」
 翠は応答した。本当に一瞬のことだったが、彼女は無事なようだ。幸い馬にも当たっていない。
「この辺りに色々潜んでるみたいね……」
「あちらはこちらで何とかしよう。幸い幾らか味方兵も居る」
「頼みますよ」
「宜しくお願いします」
「では一旦離れる。後程又合流しよう」
 そう言い盛親は一旦二人を離れた。後ろの味方らしき兵も、一気に道を逸れる。此処からは正真正銘自分達で切り抜けなければならない。
「……先ずは、そろそろ馬を変えましょうか。さっきの加速で大分息が上がっているでしょう」
「そうね、賛成よ」
 戦場に女二人。それでも切り抜けられる、否…切り抜けるしかないと、いわゆる知将タイプともいえる二人は次の体勢に備えた。

 結局その後も何頭も馬を乗り捨て、手綱を操り刀を弾き。盛親も合流すると後方はあっという間に覇気を無くし、ようやく撒くことが出来た。方角と距離から考えても、まもなく最初の場所が近いと思われる。
 穴のある場所の少し手前で馬から降りて一息つく。流石に此処まで一気に駆け抜け体力も残り僅かだ。
 暫くすると北斗とジェームズが戻ってくる。無事切り抜けてきたようだ。それから暫くすると水晶と羅火が戻ってくる。激しくやりあった跡が見られるが、怪我を負っているようには見えなかった。
 そうして全員が揃うと揃って穴の前まで移動することにする。


 皆が戻った時穴はまだそこに存在し、しかし来たときの半分ほどまで小さくなっていた。武彦に穴に触って貰おうとするが、まるで電気のような物に弾かれ触れられない。試しにシュラインが共に手を添えてみるが、やはり武彦の手は触れられることなく、水晶や北斗がこぞって手を向ければ、触れられる上に手は穴の中へと入っていく。制限されているのはやはり武彦だけ。
 シュラインがジェームズに手紙の事を告げると、彼は懐からそれを出し盛親へと手渡した。
「これは……真田殿から?」
 状況がまるで理解できなかった盛親であったが、手紙を開きそれに目を通すと顔を上げる。その書状に何が書かれていたかは分からない。ただ、彼はそれで納得したらしく、早速手を貸そうと申し出た。
 武彦が盛親に手を貸してもらえば穴には触れられるものの、その手が向こう側へ抜けることはない。
「やっぱり向こうと同時になのかしらね」
 シュラインは糸電話を引くと、零に向かい話しかけた。すると穴の前で待っていたのか、彼女は比較的すぐに応答する。
 零曰く、穴は向こう側も同じ位小さくなっているらしい。そして信繁も目の前に居るため、すぐにでも準備は出来ると言葉が返ってきた。
 声かけは、零に時計の秒針を見ながらすることにした。糸電話で多少発生する誤差は約2秒。その後1、2の3で同時に穴に触れようとする。まずは5から零がカウントする。その数字が0になってから、シュラインは糸電話を手から離し3数える。息を呑んだ。それは3の瞬間。
「おっ、繋がったみたいだな」
 盛親の手を借りながら穴に触れた瞬間、武彦の手は吸い込まれるようそこへ呑まれて行った。
「んじゃ、先に帰ってるな」
 さっきまでの余裕の無さは一体何処へ行ったのか、武彦は手をひらひらと振りながら穴の中へと消えていった。それから数秒後、武彦が消えた場所と同じ位置から信繁が現れる。
「ん、確かに戻ってこれたようだな……助かった。手を貸したのは長宗我部殿であったか」
「真田殿、至急布陣を」
「分かっている。丁度馬も在るようだ、後で状況を頼む」
 盛親にそう言うなり信繁は六人を見た。
「思い返せば貴殿らは父の話に出てきた者達の特徴と瓜二つ。こうなる事は当たり前だったのかもしれぬな」
 そしてそれまで厳しかった表情を、彼はそこで初めて和らげて見せた。
「それに……陸玖殿」
 ちょっとした内緒話のよう、信繁は翠を手招きその耳に小さく語りかけた。話を聞きながら、翠は幾分顔色を変え、やがてひとつ信繁に問う。
「……真田殿は父上殿から過去、その話は全て聞いたのでしょうか?」
 つまり父昌幸が過去に体験した事の一部始終。信繁はそれに「全て覚えているかは別とし聞いている」と、頷いた。
「ならば、三下忠雄と言う人物の名に聞き覚えは?」
 翠の言葉にすっかり盲点だったと、他の五人が一斉に信繁を見た。確かに時系列的にはあの時代の後であり、尚且つ正真正銘親子関係にある。一部始終を聞いているのならば、当時の忠雄の状況について何か聞いていてもおかしくないかもしれなかった。
「あぁ、その名は父から一番良く聞かされた。父と入れ替わりにこの時代へやってきた者で、彼は一時信玄公のお膝元に置かれていたらしい。相当の気に入り様だったと」
 それは、此処では過去の話。しかし、考えても見れば未来の話。過去とは言え、これから先その現場に向かうかもしれないのだから……。
 信繁は知っていることはこれしか無いが、少しでも役に立てば良いと小さく言い、ゆっくりと六人から一歩離れた。遥か遠く、人の声を始めとした音が響く。
「もう他の部隊が来たか……真田殿っ」
 来た道を振り返った盛親に、信繁は六人を見たまま分かっていると頷き又一歩後退する。しかし、踵を返すことが出来ぬまま、彼は迷っていた言葉を言葉にした。
「又父に会う事があるのならば父に宜しくと……否、父を、宜しく」
 そうして馬に跨ると、あっという間に大坂城方面を目指し、盛親と共に掛けて行く。
 追撃してきた敵はほぼ壊滅に追い込んだ物の、まだ家康も秀頼も存命している筈だ。どちらかの命尽きるまで、戦いが終わることは無く、多少歴史が変わったところで彼らが立ち止まること無く挑み続ける事にも終わりは来ないのかもしれない。
「それじゃ、もう武彦さんも帰ったことだし、私達も戻りましょう」
 そう言いシュラインは穴の中へと潜っていった。


 穴を潜るとあっという間に現代へと戻る。そして最後の翠が戻ってきたと同時、まるで全てが元に戻ったことを確認したかのよう穴は瞬時に消え無くなった。此処だけに存在していたと思われる、現代とあの時代を結ぶ唯一の道は無くなった。もしかしたらまた開くかもしれない、けれどもう二度と開かないかもしれない、あれは偶然の産物。
 武彦は無事戻り、興信所のトイレにも平穏が訪れた。零の話によると、こちらではあれから二晩が過ぎていたらしい。
 そしてようやく現代に戻ってきた七人を迎えたのは、雑居ビルの間から見える朝日、その美しい夜明けの景色だった。


[To be continued..?]
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
 [0086/  シュライン・エマ  /女性/26歳/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員]
 [5128/ジェームズ・ブラックマン/男性/666歳/交渉人 & ??]
 [6118/    陸玖・翠    /女性/23歳/(表)ゲームセンター店員(裏)陰陽師]
 [3620/   神納・水晶    /男性/24歳/フリーター]
 [5698/    梧・北斗    /男性/17歳/退魔師兼高校生]
 [1538/  人造六面王・羅火  /男性/428歳/何でも屋兼用心棒]

□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■         ライター通信          ■
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
 こんにちは、李月です。歪シリーズ2話目のご参加有難うございます。そして一部の方、大変お待たせしまして申し訳ありません。
 今回のは興信所にて起こった少し逸れたお話だったのですが、新月だったり時間までも違っていたり穴はあるのに拒絶されてたり。本来とは少し違う状況になっていました。つまり満月によって生まれている歪では今回より状況はまともです。
 相変わらず個別部分が今回もあらゆる場所にあるので、他の方の話では又違う何かが見えてたりするかもしれません。少しでもお楽しみいただければ幸いです。

【シュライン・エマさま】
 ご参加ありがとうございました!今回も調査面はしっかりカバー頂けましたので、足取りもしっかりと掴め、様々な情報を得ることも出来ました。結局茶臼山〜大坂城付近での発見となり、安居神社は近い位置ではありますがやはりこの後信繁本人が向かったやも知れません…ね。

 次回は少々間が空きますが又アトラスに戻り、忠雄の救出となります。もしご参加の方は、今回無事彼の情報が得られているので、これを元にと思います。

 それでは、又のご縁がありましたら…‥。
 李月蒼