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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


[ 月夜の歪 -甲夜- ]


  かごめかごめ 籠の中の鳥は
  いついつ出やる 夜明けの晩に
  鶴と亀が滑った 後ろの正面だあれ?


 月は無い。新月の夜。
 その夜、そこにあるはずも無いモノに突き飛ばされしは現世を生きる草間武彦。
 代わり 迷い込んだ者――それは…‥。




「トイレの壁に突如出来た穴は、小さくなっていくもののまだ残っています。兄さんは恐らくそこへ……もしかしたらと思い、月刊アトラスの桂さんにも連絡しましたが連絡がつきません。その為現在応援を要請中」
 草間零、彼女の言葉は冷静な物だった。元々そういう風に出来ている、というのも有るのだろうが、現状が恐らく彼女をそうさせている。
「尚、兄さんと入れ違いにこちらへ来た方が居ます。私は穴に触れられるものの、お客様は触れることが出来ない為、飛ばされた兄さんは独りでは帰って来れない可能性が高いです」
 言いながら、彼女は来客用のソファーに座る彼を横目で見た。
「尚、私が同伴している場合のみ、お客様も穴に触れられるようです」
 つまり第三者の手が必要であることは明確だった。
「どうか、ご協力をお願いします」
 チンと受話器を置くと振り返る。
 事務所には勿論灯りがついているが、ブラインドを通し入ってくる月明かりの方が明るく思えた。
「……で、某はこれからどうすれば?」
 
 今となっては懐かしいと言える煙草の匂いは無い。ただ、微かに香るは……この現代社会で普通の暮らしを送っていれば決して体験することの無い物。もっとも、この興信所自体に普通を求めるのは酷だろうが。
 零は彼を見つめたまま、一体何がどうなるとこうなるのだろうと考えた。しかしいくら考えたところで出ぬ答えだと言うことは判りきっている。だからゆっくりかぶりを振ると、彼を真っ直ぐと見据え、出来るだけいつも皆に向けているのと同じ口調で言った。

「もう少し待っていてください。今、協力してくださる方が来る筈ですから……真田、信繁さん――」


 彼は今、多少の怪我を負い零から治療をしてもらったばかり。
 彼が流した血以上に残る血腥さが、彼が一体どういう人間でどういう場所に居たのかを想像させた――。



    □□□



 零の連絡から暫くすると、興信所に人が集まり始める。皆、今回の件に協力を申し出た者達だ。その数六人。その内五人が、つい先日も顔を合わせたメンバーであった。
 今その六人に加え茶を持ってきた零と、武彦と入れ替わりやってきたという者が居る。遠目でも男と分かる彼は傷を負っているせいか、六人が集まったソファーよりも少し離れた場所に小さな椅子を置き、目を閉じ静かに座っていた。彼も此処へ招くべきか悩んだが、零の言葉で今暫くは休ませておくことにする。
 そしてただ一言、彼女から彼の名前と彼がやってきた年月だけが告げられた。真田信繁、西暦1615年の5月からやってきた者…と。


「――つまり武彦と真田殿が入れ違いになった、と……」
 現在の状況、そしてこの事態を把握しながら言うは陸玖・翠(りく・みどり)。
「……トイレ、というのがあやつらしいのう。おまけに満月が親で新月は息子とは……」
 ソファーから少し離れた場所に立つ人造六面王・羅火(しんぞうむつらおう・らか)は、両手をそれぞれ逆の袖に突っ込み胸の前で組んでいた。妙に感心したような、それでいて面白げな顔でぽつぽつと話すその足元には、ちゃっかり猫缶が一つ転がっている。
 しかし真田親子は勿論のこと、三下といい草間といい似たような状況だとは思ったが、それを考えていたのは他も同じだった。
「ホントに草間もあの時代へ行っちゃったんだ? じゃあやっぱり……行かなくちゃっ」
 そう言ったのは神納・水晶(かのう・みなあき)。ソファーに腰を下ろし、足をぶらつかせながら楽しそうにお茶を飲んでいる。実際心は躍っていた。前回は戦国時代を楽しみにしながら、確かに当時の兵と剣を交えることは出来たが、今一物足りなさを感じても居た。今回はその時代へ飛ぶことが出来る事が最早分かっている。それを考えれば、その喜びも当たり前のものなのかもしれないが。
 草間も…と言うその言葉に翠が反応した。その後皆は、少しずつ翠に事の経緯を話す。簡単なものではあるが、翠はそれを興味深そうに聞いていた。
「でもさ、やっぱ準備はしてからだケドね」
「準備ですか? それは――」
 水晶の言葉に、それは応戦準備以外だろうかとジェームズ・ブラックマンが問う。流石にこの面子だ、前回のことからも考え――戦国時代の兵に対応する術はある。
「だって流石にこのままの格好で戦場をうろついたらまずいし……ぁ、羅火は別として」
「じゃろな。じゃがわしとぬしの頭も充分問題じゃろうが」
 羅火の言うとおり、後の四人は揃って黒髪だ。
「服装の問題はあるでしょうね。捜す分には武彦の服装が違うからこそ、手当たり次第聞いて消息を追う事も出来るかもしれないですが」
 翠の言葉に、水晶は「だよね」と相槌を打った後言葉を続ける。
「ま、このままの方が草間からは見つけやすくなるかもだケドも」
「でも確かにどれも言えるよな。まぁ、見つけ易いより、この場合俺たちが安全なほうを選んだほうがいい気もするけどさ?」
 そう言ったのは梧・北斗(あおぎり・ほくと)。ソファーに座るその足元には、歴史の教科書があり、「あいつの名前は真田信繁っと……」と呪文のように彼の名前を連呼していた。
「甲冑は無理だけど、着物位なら手配できるっしょ。……零?」
 水晶の問いかけに、普段武彦が使っている椅子に座っていた零はゆっくり顔を上げた。なんだかんだでショックは隠しきれないのだろう。
「――零ちゃん……武彦さんは大丈夫」
 そんな零の傍に立ち、そっと彼女を撫でるのはシュライン・エマ。
「シュラインさん……」
 ゆっくりと顔をあげた零は、ようやくその視線が定まった目を見せた気がする。
「悪いけど、手配できる? その後はゆっくり休んでいて良いから」
「……はいっ、私お手伝いしますね」
 そう言うと零は目の前の受話器を上げ、何処かに電話を掛け始めた。
「では、この先どうして行くか考えていきましょうか」
 そちらの件は零に任せるとして、この先どうするべきかとジェームズが切り出す。
「だったら、真田から飛ばされた時の状況説明とかしてもらった方が、場所特定しやくしない?」
「そうですね、飛ばされてくる以前、周りに変調等なかったかも含め」
「月に関するモノ等も確認できれば良いんだけど」
 水晶、ジェームズ、シュラインらが順に信繁の方を見るが、彼は未だ椅子で休んでいるように見えた。
 大坂夏の陣ならば調べればある程度の予測はつくだろうと言った水晶に、翠はやはり大坂城付近かと言い、北斗は誉田での戦いに大坂城天王寺口、若しくはその近くの茶臼山を上げる。それ以外にシュラインが安居神社を――この辺りは特に徳川軍や鉄砲隊に気をつけねばと付け足し、ジェームズは九度山と生存説のある谷山を万が一にと上げた。とは言え谷山は鹿児島である。流石に過去では交通手段がない。
 大まかに信繁に関連がある場所は出揃った。問題は穴が何処に通じ、武彦が関連する場所の何処に居るか、そこへどのようにして向かうかだ。
「……しかし…新月、とはのう……。満月とはちと違い厄介じゃな」
 前回と比較しているのだろう、思わず羅火の口から溜息が漏れる。
「新月……?」
 羅火の小さな呟きに反応したのは電話を終え、結局お茶のおかわりを用意していた零だ。そのまま急いでお盆を武彦の机に置くと、まずは事務所の電気を全て消した。そしてブラインドを思い切り引く。
 一同何事かと零を見たが、それ以上に惹かれるものがあった。ブラインドの引かれた窓だ。
「……満月の、月明かりじゃな」
 見るなり羅火はそう言った。
「新月なのになぜ? しかも満月って……これも歪みの関係、なのかしら?」
「でも満月なんて何処にもないよな?」
 北斗が外を見渡すが、やはり誰の目から見ても今日の夜空に月らしきものは無い。なのに、何処かからか確かに月明かりが入り込んでくる。
「――先ほど今宵は新月と、申されたが……某の頭上では明け方近いと言うのに見事な満月が輝いていた。こちらは…新月なのか」
「真田殿……起きて?」
 翠が振り返ると、いつの間にか椅子から立ち上がった信繁が皆の後ろに居た。
「……すまぬ。話は全て聞いていた。答えられる限りは全てを話そう」
 丁度良い所でようやく語りだす気になったと言うところか。
 しかし信繁の最初の言葉にシュラインが何か思いついたようトイレへと向かった。ドアは半開きで、それを開けると目の前が一瞬白く輝く。その後を追った翠が、思わずその明かりに声を上げた。
「これは美しい……満月ですね」
 目の前に月があった。勿論、そこに開く穴の向こうにという意味だ。
「すっげー。これって向こうの月明かりがこっちに来てるって事か? それが色々反射して?」
「かもしれませんね。しかし穴も小さくなっていくようですし、これは早く向こうへ向かった方が良いかもしれません」
 関心する北斗の隣、ジェームズは冷静にこの事態を分析している。その後ろで信繁は、興味深そうに穴を見つめていた。
「その穴の向こうが……」
 その声は至って冷静で。
「真田殿は、このような状況でも落ち着いていられるのですね」
 思わず翠がそう問えば、彼はゆっくりかぶりを振った。
「否、前に父に聞かされたことがあった故……。当時は全く信じていなかったが、今となれば。しかし、この映像は一体――?」
 そして、穴から差し込む月明かりに手を翳しては最後に小さく考えるよう呟く。
「映像? わしには何も見えんが……もしやぬしにだけ見えるのかのう」
 つられ羅火も手を伸ばしたが、何かが見えるという事も特別な異常も感じない。他の五人もそれぞれ触れてみるが変化は無く、そんな彼らに信繁は一言。
「貴殿らと似た格好をした者が走っている姿が頭に浮かぶ。もしやこの者が武彦と?」
 どういうことか、この光は武彦の動きに繋がっていて、それが信繁にだけ見えるらしい。
「随時伝えて貰う手段が無ければこれも意味が無い物ですが。一先ず現在武彦はどの辺りに?」
「此処は――誉田付近では……」
 皆の予想が正しければ五月六日、誉田の戦い。道明寺の戦いにて、後藤基次との合流に遅れた信繁と後藤氏を打ち破った徳川方伊達勢の争いだ。武彦は今そこに居る。
 とにかく向かうしか手は無い。
 やがて着物が届き、それぞれ着替えを始める。勿論向かう先の事を考え、見栄えではなく機能性が重視された物だ。その為、下はズボンのようなタイプになっている。何処から仕入れてきたのか不明だが、甲冑とまでは行かないが軽めの防具もセットになっている。結局の所、ただ当時の服装であれば良いと考え、防具は一式取り外す。
「んー……ま、意外にイケるんじゃない?」
 ただ、着物とアンマッチのリストバンドはこっそり隅で外すと、代わりに細く長い白い布を巻きつける。面倒だが肘近くまで巻いてしまえば見た目の違和感も無いだろう。
 途中シュラインやジェームズ、翠が何かしているのが横目に見えはしたが、彼がそれを気にすることはなかった。
 全員の着替えが終わると、トイレの前に集まった。ただでさえ狭い場所なのに、八人も集まれば洗面所付近はいっぱいだ。
「ともかく、武彦を見つけて連れ帰るのが目的だな。勿論そいつも、あるべき場所へ返してやんねーとな!」
「では向かいましょう」
「危険な時代故、早く見つけられれば良いんですがねぇ」
「手段も人数も少なくは無いわ、だから武彦さんさえ無事で居てくれれば、きっと早く……」
「じゃ、俺一番」
「うむ……」
 真っ先に水晶は穴の向こうへと飛び込んで行ったのは水晶。その後を羅火が追い、翠、シュライン――救急箱を片手、穴に入る前紙コップを一つ穴の傍に置いて行った――、北斗、ジェームズと続く。
 六人が消えた後、零と共に信繁は穴に触れてみた。
「…………」
 一人の時は見えない何かに弾かれ触れる事の出来ない穴に、今は触れる事が出来る。けれど、まるでそこにはただ壁があるかのよう。彼の手が皆と同じ場所へ突き抜けて行くことはなかった。



    □□□



 抜けた先、その夜空には確かに満月が浮かんでいる。しかし辺りの景色は見たところ夜明けの頃。確かに月も違えば時間の軸、月日も大きく違う。時計を見れば、それは何時を示せば良いのか分からず完全に狂っていた。
「ミスター真田は……来ないようですね」
「正しくは来れない、かしら?」
 言いながらシュラインは手に持った紙コップを口に当てた。その底の部分には糸がついていて、今出てきた穴の向こうへと繋がっていた。糸電話、というやつだ。向こうからこちらは見えたはずだが、こちらから向こうが見えないというのが問題だった。穴が小さくなっているわけでもない。ただ、穴の向こうが黒い。
 やがてシュラインの行動に、弛んでいた糸が向こうからも引っ張られ、何度かのやり取りで多少時差が生じるようだが声が繋がることは判明した。同時、信繁がこちら側へ来れないということも。
「やっぱり武彦さんを連れてこないとどうにもならないみたいね」
「なら早く見つけに行かなくちゃ」
「今はとにかく先へ進みましょうか。この辺りはあまり……良い感じがしませんからね」
「……じゃな、相当の数あるようじゃろう」
 シュラインと水晶に続き、ジェームズと羅火は一先ずこの場から動くことを提案した。何かを含んだ二人の言葉に北斗が首を傾げる。
「数? 何がだ?」
「知らぬが仏、じゃろ」
 羅火が気づいた何かには、水晶やジェームズ、翠も気がついた。要するに、そういう者達の方が察知しやすいコトだ。
「では、そろそろ行きましょう」
 ゆっくりと、辺りに誰か話を聞けるような者くらい居ないかと翠が歩き出す。
 しかし皆はまだ知らなかった。出た先は誉田より僅かに離れた小松山。信繁が向かっていた場所であり、後藤氏と合流できなかった場所。つまり、今そこに残る物は唯一つ。
「――……っ」
「うっ……数って、これのことか」
 程なくしてシュラインと北斗も、四人が察知していた物に気づいた。
 まだ時間は経っていない。死臭とまではいかず、しかし辺りは紅く、そこは血の臭いで満ちている。豊臣・徳川と入り混じった兵の山が出来ていた。念のためにと確認するがこの辺りに武彦の姿は無い。落ちた刀が月明かりを反射していた。それも一歩や二本ではない。いくつもの刀、それら全てが同じ方向へと月明かりを反射している。その方角はたった今六人が来た方角だ。
「もしかしてあれが今回の原因?」
 やがて、辺りを見渡しながら地面も見ていたシュラインがピタリとその足を止める。
「……武彦さんの足跡かしら? 向こうに続いてるけど」
 数多くの足跡の中、ただひとつ明らかに形の違うものがあった。足跡は真っ直ぐどこかへと向かっており、思わず皆でそれを追いかけ始めた。やがて緑を掻き分け出た場所に、複数の兵士が呻き声を上げながら転がっている。
 ゆっくりと駆け寄っていくと、兵の一人が顔を上げた。その目は血に濡れ良く見えていないのか、ただ危害を与えてはこない気配の六人を味方と認識したのだろう。
「突然、妙な…格好した輩が……全ての敵兵…った、独りで惹きつけ…‥基次殿も向かわれた、至急増援をっ」
 ガクリと倒れた兵の横にジェームズがしゃがむと、「気を失っただけのようですね」と言い立ち上がる。どうやら武彦らしき人物が全てを惹きつけたお陰か、被害が最低限で終わっている。その証拠に死体の山、その殆どは徳川方の兵だ。
 兵が指す方角は、武彦の足跡が続く方向でもある。北斗が教科書を調べる限りは、全て歴史通り動いていた。そう、動きだけは。
「武彦が向かった場所は分かりましたが、これではこの先の状況も変わってきているでしょうね……」
「だよね。草間がココに来た時点でもうこの先誉田に行くとも限らないし」
「頼りはその足跡か、若しくは大きな戦が起これば嫌でも気づくじゃろ」
 位置的に考え、小松山から誉田はほぼ西の方角に当たる。しかし足跡を追うごとに進む道は、西ではなく北西の方角。
「この足跡、まさか草間のじゃないとかか?」
「しかしこんな靴の跡はこの時代他に無いじゃろう。他にこっちに来ている人間が居ない限り、じゃがな」
 北斗が思わず疑いを抱き始めるが、羅火は地を、シュラインは天を仰ぎながら冷静に判断する。
「武彦さんが敵を連れて行ったならあってると思うわ。風に流れて大勢の声も聞こえてくるから」
 六人の歩みは、やがて早足へと変わっていった。


 不気味なほど辺りに人の気配は無い。ただ、確かに武彦が向かっている方向には時折彼の物らしき足跡と、それ以外に最早判別不能な無数のへこみが続き、辺りの木々の枝や草花はなぎ倒されていた。
 すっかり夜は明け、空には朝日が昇っている。しかし朝だというのに人どころか、鳥や動物の気配すらない。ただ、暫く行った先で再び同じ状況に陥った。予想していたよりは少ない、けれど確かに無数の兵が倒れている。
「この辺りって……若江・八尾の戦いとかか?」
 北斗は教科書をぺらぺらと捲りながら、進行方向とこの状況から考え現在地を特定した。本来ならば、此処で木村重成が戦死している。しかしそれらしき姿は何処にも無く、ただひとつ思い浮かぶのはまた武彦が連れて行った、という事だけだ。
 そして此処まで来てもうひとつ問題は上がる。
「武彦さんの足跡が途絶えた。大分追いついてると思ったのだけど……」
 敵味方の兵が相当増えたのだろう。最早武彦の足跡は消され、何の痕跡も残ってはいない。
「誰かまともな奴居れば情報収集も簡単なんだけどな。ここに居るのはどう見ても口無し、な奴ばっかだよな」
 とりあえず生存者が居ないことだけは確認すると、此処で一旦皆バラバラになり始めた。
 水晶は何か作業を始めたシュラインを横目に、木々の茂る方へと向かって行く。その先には先客が居た。
「なーんかあっちいっぱい居るよね、馬とかさ。あっちに草間も居るのかな?」
 その背に声をかけるが、勿論驚かれることは無かった。ただ少し唸ったかと思えば彼は踵を返す。水晶も後を追った。途中不自然な鳥の声を聞きながら、元居た場所へ戻ると全員集まっている。
「向こうが幾分騒がしいようじゃ」
「なんか銃声っぽいのも聞こえたみたいだケド」
 二人の声に、シュラインは荷物をまとめ立ち上がる。方角的には間違っていない。距離はあるが、このまま進めば茶臼山と大坂城が近かった。武彦が近い――――。



    □□□



 一体どれほどの距離を歩いて、走ってきたかなど最早分からない。ただ、気づけば太陽は真上を通り過ぎていた。
 八尾から先は流石に全ての兵が向かったというわけでもなく、所々に残留兵の姿が見える。それが豊臣・徳川どちらの兵であれ、不用意な接触はタイムロスになる可能性があった。それぞれ気配や辺りの音に気を配りながら進む道のり。
 途中何度かの休憩を挟んでは、最も人が多く通ったと思われる道を進む。その先、遠く…遥か遠くから響く音。それは空気を震わせ、地を揺らし続けていた。
「――ようやく追いついたようじゃの」
 最初それに気づいたのは独り先行く羅火だ。
 少し前から、今六人が走っている街道と並行して走る集団が見えていた。勿論その集団が走るは道と呼べるような場所ではなく、山の中を走っているに等しい。羅火の呟きが聞こえたのか、比較的後方を走っていた水晶がタンッと地を蹴り一気に追いついてきた。
「んー、アレってもしかして草間? 馬乗ってるみたいだケド凄い振り回されてるッポイよね……」
 二人の声が届いたのだろう。シュラインが右の方向へ意識を向ける。確かに、激しい雑踏の中、ホンの微か聞き覚えのある音が響いていた。
「――っ、武彦さん居るの!?」
「……!?」
 シュラインの声に武彦が反応した。辺りを見渡し、やがて左を走る六人に気づいた。ただ、彼が六人に気づいたところで基本的な移動速度が違う。
 しかし一体いつの間に用意されたのか、気づけば後方の四人は馬に跨っていた。これで速度は出るだろう。
 先行く羅火と水晶に続き、馬に跨ったシュラインと翠と、ジェームズと北斗が続く。やがて武彦の方から徐々に進路を変えると、後続の大移動が始まった。そして武彦が合流した頃、彼を追っていた兵達もぴたりと後ろにつき、結果的に七人が揃って追われる形となる。
「っ、お前らなんで此処に居るんだ!? というかなんだその服装!」
 前を見ながらも時折六人を見ては今更な疑問を投げかける彼に、すかさず北斗が声を上げた。
「心配させやがって! 今まで何やってたんだよ!?」
「何って、おまっ……今この状態見れば分かるだろ!! トイレから急に山に飛ばされて知らない奴等に追われて命守るために夜中から今まで精一杯走ってんじゃないか途中で馬まで拾ってつうかそもそも夜だったはずだぞ!?」
 走りながらも一気に言い切ると、北斗は更に言い返す。
「だからってこんな場所まで逃げ回ることも無いだろ!? 探すのにどんだけ苦労したか!」
 いくら武彦が逃げることに長けていたとしても、確かにこの距離は無いかもしれない。シュラインも、安心し喜びながらも、此処までの道のりを考えると幾分眩暈もする。どう考えてもこの距離をこの後戻らなければいけない。
「無事なのは良いのだけど、この現状は確かに問題なのよね」
「ぬしは小松山から八尾経由で此処まで逃げ回っていただけじゃろうに。これだけの敵味方を散々引き連れよって、全く面倒極まりない。どうせ逃げるなら考えて逃げて敵を撒いてから威張るんじゃな」
「確かに。しかし武彦は良くこれほどの数を相手に此処まで無傷で逃げられてきたな。それは賞賛に値する」
 次々と投げかかる言葉に、武彦は羅火と翠を交互に見ながら声を張り上げた。そのただならぬ様子を見る限り、どうやら色々な限界を超えたらしい。
「考えてる場合じゃなかったし無傷なわけあるか! 斬られるわ体当たりされるわ『のぶしげさま』は何処だとか真田の影武者だとか……はぁっ……はぁ、俺が知ったこっちゃ――だぁっ!?」
 良く見れば確かにジャケットは切れ、あちらこちらに薄く血も滲んでいる。挙句息せき切らしながら反論すると同時、素っ頓狂な声を上げた。転ばずには済んだが、明らかにバランスを崩し落馬しかけた。
「怪我は後で手当てするから、武彦さんは手綱しっかり握って前見て走って」
「しかし、このまま逃げ続けるわけにも行きませんね」
「今は全戦に足を突っ込んだ分、味方も多いですがとにかく後ろも多いですしねぇ。やはり真田殿ではない以上、しんがりを務める事は流石に叶わぬでしょう」
「おいおい、そういや歴史上はもう後ろ撒いて大坂城に逃げてる筈だろ!? どうすんだよこれ!」
「んなこと言っても俺は逃げるのに精一杯だったんだ、しんがりなんて知るか!」
 今の武彦の様子だと、突然投げ飛ばされた此処が東京ではないと言うこと以前に、今が戦国時代だということも理解していないかもしれない。
「もう暫く行けば恐らく大坂城が近い……此の侭だと全兵お持ち帰りになってしまいます。此処はもう――」
 翠は最後までは言わなかったが、皆それは分かっていた。このまま大坂城まで進めばそれこそ信繁不在のままどうなる物か分からない。結局、途中で散り散りになろうがとにかく最初の場所へ戻る事が決まり、皆一気に方向転換をする。
「草間殿、囮になるつもりか!?」
 それに気づいた味方らしき兵が武彦の名を呼んだ。
「帰んだよ、俺の時代に!」
 そう武彦が叫んだ声。それが最後に全員で聞いた言葉だった。


 水晶はくるりと踵を返すと、来た道を真っ直ぐ戻ることにする。良く見れば馬に乗った四人は迂回しながらも目的地を目指すらしく、西と東に見事分かれた。敵の兵は三分割されたが、やはり中央に残った物が多く、東西への分散は少ない。
「こないだの何百倍かな?」
「……わしが知るか」
 共に中央の突破を始めた羅火を横目に見ながら、水晶は突進してきた兵の足を払い苦笑する。
「でもまー、数があってもなかなか腕の立つ奴がいないんだケドね……」
 言いながら、今度は一斉に飛び掛ってきた兵を、左掌から刀を抜きながら薙ぎ払う。結局やっていることは先日と同じである。殺さない程度に加減しながら道を切り拓く。その足が、ふとした瞬間歩みを止めた。並行して走っていた羅火は先へと行く。追いつけるだろうが……数分後かもしれない、そう思った。
「……誰? ちょっとは出来るみたいだケド」
 目の前に立ちふさがった一人の武将を見て、水晶は刀を構えなおす。歳は三十も近いだろうが、整った顔立ちとは裏腹に強い殺気を放っている。
「――片倉小十郎重長」
「片倉…へぇ? やっぱ他の奴らよりは出来る、よね?」
 面白そうに言った水晶に、答えは言葉ではなく動作で返ってきた。一気に間合いを詰められる。ただの人間にしては早い。
「――……っ!?」
「……ほぅ」
 受け止めた太刀は予想以上に重かった。重長はと言えば、水晶が一瞬驚きを見せながらも受け止めたことに驚いたような、感心したような声を上げ、一歩退く。
「さぞかし名のある武将と見受けた」
「ってぇ……名、ねぇ。この時代で名乗る名なんて無い、とでも言っておくよ」
 多少痺れた右手をひらひらと振りながら言うと、水晶は再び構えなおした。重長は「訳の分からない事を…」と、不機嫌そうな声を上げては、同じく構えなおす。周囲の兵達は重長のためか、手出しをしてこようとはしなかった。それは救いなのか、物足りないのか。
「終わりなら今度はコッチからね」
 次の攻撃は重長以上のスピードで水晶から仕掛けた。一瞬驚いた顔を見せたものの、先ほど一太刀交えたことである程度は見極められていたのかもしれない。しっかりと水晶の刀を受け止め、面白そうな笑みを浮かべた。瞬間弾かれ、鋭い一振りがくる。着物の胸元が真っ直ぐ切れた。勿論皮膚までは斬らせない。
「やっぱりそれなりに強いケド……手加減しなきゃいけないのが面倒なんだよね」
 普通の兵もそうだが、特に武将は一人殺すだけで歴史が大きく変わると思う。
 しかしやられっぱなしも性に合わないと、お返しといわんばかりに水晶も切り返す。血が飛びはしたが、皮一枚の手応えしか感じない。その気があるかどうかは別として、本気で行った所で簡単には殺せはしないかもしれなかった。
「加減? 全力で相手願おう。こちらも早く向かわねばならぬところがあってな」
 僅かに出た血を拭うよう頬を手の甲で擦ると、重長は言う。
「ふーん、あ……ちょっとヤバイから主君の許に帰るとか?」
「ああ。丁度近くに居るはずだ」
 あっさり答えた彼に、水晶は溜息を吐いた。この状態が彼にとって危険かどうかは別として、本当に目的があるらしい。その視線の方向は先ほどジェームズと北斗が馬で掛けていった方角だった。
「じゃぁ、早く終わらせよーよ? 俺も急いでるからさ」
「そう、だな…終わらせよう」
 そう言った途端、今まで動きを見せなかった兵達が一斉に飛び掛ってくる。その中に重長も混じった。
「ヤバッ――!!」
 予想していなかったわけではないが、想像以上に数が多かった上に、重長までその中に入るとは思っていなかった。多少斬られることは覚悟するが、一気に神気を張り巡らせ、攻撃と同時に防御にも徹する。
 振り下ろされた刀がまるで壁に当たったかのよう、ギィインと嫌な音を立てては折れ、折れた刃で自滅していくものが多かった。どれも致命傷には至らないが、飛んだ刃が次々と兵を斬っていく。
 殆どが地に落ちたところ、背後から飛び掛ってきた影を柄で突く。
「ぐっ……っは‥」
 落ちたのは重長だった。片手で鳩尾を押さえ、それでももう片手が刀を放すことは無い。それどころか、いっそうその手に力を込めた。
「ったく…危ないんだけど……そんなに死にたいわけ? 別に俺斬っても褒美なんて出ないよ」
 刀を担ぐように持ち、悪態を吐く。そんな水晶を見て重長は問う。
「何故…だ」
 全てを口にはしなかったが、水晶にはその意味が分かった。
「今此処では殺さないよ。いや、殺せない……かな?」
 言いながら、水晶は刀を戻した。相手は今、一時的かもしれないとは言え完全に戦意を失っている。周囲の兵たちも、重長が倒れた事に動揺し、それを助けようとしながらも水晶の気迫に圧倒されたのか、その場から動けずに居る。
「いい加減合流したら? その間に俺達帰るからさ」
 しかしそう言った水晶の選択は正しかった。彼‥重長の存在は、今後真田家とも大きく関わって来る。此処で彼を倒していれば――片倉家は二代で途絶え、その後仙台真田家も存在せず終わっただろう。
 ただ、そんな事を考えていなかった水晶は、そのまま身を翻すと立ち尽くす兵達を押しのけ先へと進んだ。まだ、終着点まではかなりの距離がありそうだ。

 少し行くと、案の定羅火と合流した。しかし彼も誰かと一戦交えたのか、追いつくまでの時間と距離が予想以上に早かったのが気になったのと、彼から少し埃っぽさを感じる。
 結局お互い一戦交えたことを察しながらも、ただ無言のまま最初の場所を目指し走り続けた。中央突破により時間を取られすぎた事だけは確かだった。この分ならば他の四人はもう到着しているのだろう。そう、陽も沈み薄暗い辺りを見ながら思った。
 案の定、既にシュラインと翠、ジェームズに北斗は到着し休んでいるが、その近くに一人、見慣れない人物を見る。四人が普通にしていることを見れば味方、なのだろう。ただ、二人の姿を見つけるなり四人は立ち上がった。


 皆が戻った時穴はまだそこに存在し、しかし来たときの半分ほどまで小さくなっていた。武彦に穴に触って貰おうとするが、まるで電気のような物に弾かれ触れられない。試しにシュラインが共に手を添えてみるが、やはり武彦の手は触れられることなく、水晶や北斗がこぞって手を向ければ、触れられる上に手は穴の中へと入っていく。制限されているのはやはり武彦だけ。
 シュラインがジェームズに手紙の事を告げると、彼は懐からそれを出し同行してきた――というよりもシュラインが連れて来た長宗我部盛親へと手渡した。彼は信繁や基次と共に大坂五人衆と呼ばれた内の一人だ。
「これは……真田殿から?」
 状況がまるで理解できなかった盛親であったが、手紙を開きそれに目を通すと顔を上げる。その書状に何が書かれていたかは分からない。ただ、彼はそれで納得したらしく、早速手を貸そうと申し出た。
 武彦が盛親に手を貸してもらえば穴には触れられるものの、その手が向こう側へ抜けることはない。
「やっぱり向こうと同時になのかしらね」
 シュラインは糸電話を引くと、零に向かい話しかけた。すると穴の前で待っていたのか、彼女は比較的すぐに応答する。
 零曰く、穴は向こう側も同じ位小さくなっているらしい。そして信繁も目の前に居るため、すぐにでも準備は出来ると言葉が返ってきた。
 声かけは、零に時計の秒針を見ながらすることにした。糸電話で多少発生する誤差は約2秒。その後1、2の3で同時に穴に触れようとする。まずは5から零がカウントする。その数字が0になってから、シュラインは糸電話を手から離し3数える。息を呑んだ。それは3の瞬間。
「おっ、繋がったみたいだな」
 盛親の手を借りながら穴に触れた瞬間、武彦の手は吸い込まれるようそこへ呑まれて行った。
「んじゃ、先に帰ってるな」
 さっきまでの余裕の無さは一体何処へ行ったのか、武彦は手をひらひらと振りながら穴の中へと消えていった。それから数秒後、武彦が消えた場所と同じ位置から信繁が現れる。
「ん、確かに戻ってこれたようだな……助かった。手を貸したのは長宗我部殿であったか」
「真田殿、至急布陣を」
「分かっている。丁度馬も在るようだ、後で状況を頼む」
 盛親にそう言うなり信繁は六人を見た。
「思い返せば貴殿らは父の話に出てきた者達の特徴と瓜二つ。こうなる事は当たり前だったのかもしれぬな」
 そしてそれまで厳しかった表情を、彼はそこで初めて和らげて見せた。
「それに……陸玖殿」
 ちょっとした内緒話のよう、信繁は翠を手招きその耳に小さく語りかけた。話を聞きながら、翠は幾分顔色を変え、やがてひとつ信繁に問う。
「……真田殿は父上殿から過去、その話は全て聞いたのでしょうか?」
 つまり父昌幸が過去に体験した事の一部始終。信繁はそれに「全て覚えているかは別とし聞いている」と、頷いた。
「ならば、三下忠雄と言う人物の名に聞き覚えは?」
 翠の言葉にすっかり盲点だったと、他の五人が一斉に信繁を見た。確かに時系列的にはあの時代の後であり、尚且つ正真正銘親子関係にある。一部始終を聞いているのならば、当時の忠雄の状況について何か聞いていてもおかしくないかもしれなかった。
「あぁ、その名は父から一番良く聞かされた。父と入れ替わりにこの時代へやってきた者で、彼は一時信玄公のお膝元に置かれていたらしい。相当の気に入り様だったと」
 それは、此処では過去の話。しかし、考えても見れば未来の話。過去とは言え、これから先その現場に向かうかもしれないのだから……。
 信繁は知っていることはこれしか無いが、少しでも役に立てば良いと小さく言い、ゆっくりと六人から一歩離れた。遥か遠く、人の声を始めとした音が響く。
「もう他の部隊が来たか……真田殿っ」
 来た道を振り返った盛親に、信繁は六人を見たまま分かっていると頷き又一歩後退する。しかし、踵を返すことが出来ぬまま、彼は迷っていた言葉を言葉にした。
「又父に会う事があるのならば父に宜しくと……否、父を、宜しく」
 そうして馬に跨ると、あっという間に大坂城方面を目指し、盛親と共に掛けて行く。
 追撃してきた敵はほぼ壊滅に追い込んだ物の、まだ家康も秀頼も存命している筈だ。どちらかの命尽きるまで、戦いが終わることは無く、多少歴史が変わったところで彼らが立ち止まること無く挑み続ける事にも終わりは来ないのかもしれない。
「それじゃ、もう武彦さんも帰ったことだし、私達も戻りましょう」
 そう言いシュラインは穴の中へと潜っていった。
「帰ったら少しゆっくりしたいものですね」
「俺もぉ……草間のお陰で朝から走りっぱなしだもんな」
「帰ったら飯じゃな」
 ジェームズに続き北斗が行き、それから少しして羅火が穴を潜る。そして水晶も続こうとしたが、ふといまだ背を向けたままの翠に声をかけた。
「ん、どーかしたの?」
 水晶に言われ、翠はゆっくり顔を上げると振り返り穴へと近寄る。
「……何でもない。早く、帰りましょう」


 穴を潜るとあっという間に現代へと戻る。そして最後の翠が戻ってきたと同時、まるで全てが元に戻ったことを確認したかのよう穴は瞬時に消え無くなった。此処だけに存在していたと思われる、現代とあの時代を結ぶ唯一の道は無くなった。もしかしたらまた開くかもしれない、けれどもう二度と開かないかもしれない、あれは偶然の産物。
 武彦は無事戻り、興信所のトイレにも平穏が訪れた。零の話によると、こちらではあれから二晩が過ぎていたらしい。
 そしてようやく現代に戻ってきた七人を迎えたのは、雑居ビルの間から見える朝日、その美しい夜明けの景色だった。


[To be continued..?]
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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
 [0086/  シュライン・エマ  /女性/26歳/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員]
 [5128/ジェームズ・ブラックマン/男性/666歳/交渉人 & ??]
 [6118/    陸玖・翠    /女性/23歳/(表)ゲームセンター店員(裏)陰陽師]
 [3620/   神納・水晶    /男性/24歳/フリーター]
 [5698/    梧・北斗    /男性/17歳/退魔師兼高校生]
 [1538/  人造六面王・羅火  /男性/428歳/何でも屋兼用心棒]

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■         ライター通信          ■
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 こんにちは、李月です。歪シリーズ2話目のご参加有難うございます。そして一部の方、大変お待たせしまして申し訳ありません。
 今回のは興信所にて起こった少し逸れたお話だったのですが、新月だったり時間までも違っていたり穴はあるのに拒絶されてたり。本来とは少し違う状況になっていました。つまり満月によって生まれている歪では今回より状況はまともです。
 相変わらず個別部分が今回もあらゆる場所にあるので、他の方の話では又違う何かが見えてたりするかもしれません。少しでもお楽しみいただければ幸いです。

【神納 水晶さま】
 ご参加ありがとうございました!服装の話はいくつかあり、折角なので手配して着てもらってみました。余り描写はしてないので、自由に想像していただければ、と思います。今回は前回よりも兵の数も多くそこそこ強い武将も出てきているので、完全無傷には終わりませんでしたが、時間をとられながらも勝利に終わり切り抜けられ、最後もまさになんとかなりましたました。次回はボス的存在が出てくるので、今回は言うならば中ボス…だったのでしょうかね。どうもお疲れ様です!

 次回は少々間が空きますが又アトラスに戻り、忠雄の救出となります。もしご参加の方は、今回無事彼の情報が得られているので、これを元にと思います。

 それでは、又のご縁がありましたら…‥。
 李月蒼