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<東京怪談・PCゲームノベル>


→ 『少女』二人が描かれた絵

 ある日の画廊『clef』。
 経営者である真咲誠名の元に、クライアントから依頼が入る。
 それは、とある少女が二人描かれたイラストについて。

 探してくれとまず渡されたのはそのイラスト――と言うかシルクスクリーンの『写真』。
 曰く、そのイラストは正体不明の覆面作家で通している某有名なイラストレーターの作らしい。
 つまりはその『原画』が欲しいから探してくれないか、と言う依頼。

 市場を見ても行方が知れない。作者が覆面作家となればその作者に色々訊いて行方のヒントを探す余地すらも無い。そんな訳で最早入手方法が思い付かずお手上げの状態にあり困っているらしい。それで誠名のところにまでお鉢が回って来た模様。…それはこの『clef』、取り扱いの品に節操が無い上、裏で武器調達屋及び怪奇系始末屋なんぞやっていたりする以上、他の画廊とは違う方面にも色々と顔が利きそうなのは確かだが。
 入手出来るなら金に糸目はつけない、いや交渉決裂したとしてもその伝手を付けるべき相手さえ見付けてくれればこちらで何とかしてみせる。だから頼む。
 と――今回、そんな熱心な話を持ち掛けられてしまった。



 …で、その熱意に負けて裏から表から調べた結果。
 今現在のその原画の持ち主らしい相手は…何とか見付かる事は見付かったのだが。
 探った結果、少々面倒そうな人物でもあり。

 その持ち主の名は綾和泉匡乃。
 年間契約の大学予備校講師。
 まぁ、直接の面識は一度――それもお互い呑気に挨拶してる場合じゃなかった時にちょこっと顔を合わせた程度しか無いのだが、予備校その他勤め先教え子御近所さんの噂による欠点無しな良い人振りと――それと相反する――と言うか人物像についての質問にどう反応すべきか困り黙り込んだり、またはそれが何かと胡散臭い笑顔で流されてしまうような――彼と近しい人物からの妙な反応もちらほらある事からして、何だか難しそうな相手らしいとは察しが付いた。
 そもそも年間契約の予備校講師がこう言った品を確保していると言うのは、ちょっと珍しいのでは無いかと思う。このイラストレーターの作品は権威が小うるさい美術界ですらもそれなりに認められている物になり、金銭面から考えても人気から考えても、現在、簡単においそれと手に入る物ではなくなっている。
 更に言うなら、現在はもう新作が描かれていないとあって、余計だ。
 …綾和泉匡乃はそんな作者の作品を持っている。何か特別な伝手があるのか何なのかは知れないが、まず間違いなくこの男、『曲者』ではあるのだろうとそのくらいの評はすぐに出せる。

 …さて、どうするか。
 そこまで下調べを行った真咲誠名は、それら集めたデータとにらめっこしながら一計を案じてみる。



 夜。
 講義も終わりちょうど予備校から帰るタイミング、になるところで、綾和泉匡乃にお客さんですと予備校事務員のお姉さんから声が掛かる。匡乃は誰だろうとふと悩むが、殆ど同時に事務員さんがお客さんから預って来たと言う名刺が渡された。…画廊『clef』、真咲誠名。何だか聞いた事があるような気がする名前。どんな人だったかをも訊いてみると、事務員さん曰く、細身のパンツスーツを着込み眼鏡を掛けたボーイッシュな女の子、だと言う。…但しそれは何だか奥歯に物が挟まったような言い方でもあり。匡乃がその辺を突付いたら、女の子だと思うんですけど何だか違う気もするんです、と言われてしまった。
 …風体だけ訊く限り、妹を彷彿とさせるように思えるが――もしそうならこの事務員さんの場合すぐそうとわかりそうな気がするから違う。来客は妹ではない。念の為瞳の色が青だったか訊いてみる。背は高かったか訊いてみる。どちらについても違います、と即答。…瞳の色は黒で背はどちらかと言うと低い方。
 となるとやっぱりそれらしき人物の心当たりは特に無い。
 ただ。
 …『画廊』。
 そう言われると。
 ひょっとして、がある。
 実は少々そちらの世界には縁がある――匡乃がではない、その父が。
 ――…世間的には正体不明の覆面作家で通している某有名なイラストレーター、だったりする。
 まぁ、今は隠居したとか何とかすっとぼけた宣言をしつつ本当に描いていないので縁は無い筈なのだが。
 それでもイラストレーター、であった以上その『イラスト』と言う『痕跡』は残る訳で。
 それら『痕跡』が結構出回っているのも知っている。
 欲しがる物好きが多いのも。
 …それは絵がヘタだとは言わないが。
 だが創作の姿勢については色々と問題がある人なのだが。…色々と。
 その『問題』がどうしても引っ掛かり、匡乃の手で仕方無し回収した作品も結構ある。
 もしこの真咲誠名と言う人物の目的が、そんな回収した中の作品だったなら。
 当然、お引取り願わなければならない訳になる。
 その為の交渉自体が面倒臭い。
 はぁ。内心溜息を吐きながら、匡乃はそれでも仕方無しそのお客さんとやらに会う為外に出る。
 そして、建物から一歩踏み出して早々。
「こんばんは」
 と、何処かで聞いたような気がする男とも女とも付かぬ微妙な音域の声が掛けられる。その声の源を見る。そしてその声の主の姿を認めた途端。
 匡乃の記憶が刺激された。
 何処かで会った。それは確実。…が、それが何処でだったかすぐに出て来ない。
 もどかしいのですぐに直接訊いてみる。
「…。…あー、何処かでお会いした事ありましたよね?」
「草間興信所で」
 某危険なおこさまの襲撃時に。
 さくりと返され、匡乃は合点したとばかりに両手をぽむ。
「そうだ真咲さんじゃないですか、御言さんのお兄さんの!」
「…そっちが先に出ますか」
「ええそれは…ねぇ?」
「ま、わかる気はしますが。妹さんにはうちの義弟が御世話になってますようで。…やっぱり名刺出して正解でしたね」
 つまりは自分を憶えてなかろう、と言う予測は当たったと。
「そうそう、わざわざ名刺を頂いてしまって。ちょっと待って下さい、僕もお渡しします――」
 と、思い出したように匡乃は自分の名刺を取り出そうとスーツの内ポケットに手を入れる――入れようとしたところで。
 いえ、とすかさず誠名に制止された。
「構いませんよ。どちらでも。貴方の事は俺の方でもそれなりに存じてますし。それに今日は――あまり歓迎されそうにない話の為にこんなところまで押し掛けた訳なので」
「…では、やはり名刺に書かれている肩書きの方での御用向きと言う訳で?」
「と仰ると。やはりそちらの用向きは歓迎されませんか」
「あんまり大っぴらに知らせている事ではありませんからねぇ」
 僕のような者が、それなりに価値を付けられている絵を持っているなんて。
「やはり己で所有した以上、御一人で愉しみたいと?」
「まぁ…そんなものですかね。…お探しの品は何ですか?」
「こちらになります」
 言って誠名が匡乃に見えるように差し出したのは、件の絵の写真。これですか、と言いつつ匡乃がすい、と指を伸ばし写真を取ろうとするが、指が触れる前にひょいと誠名が位置をずらし掴ませない。
「お持ちですね?」
「…ちょっとはっきりしないんですけれども。その写真、少しの間貸しては頂けませんか?」
 家で確認して来ますから。
「それは…この写真持ってかれてしまうと、こちらで探しようがなくなるので」
 コピーでも取りましょうか。
 それなら返して頂く必要も無いですし。
「…。いえ。そういう事ならお借りしなくて構いません。それ程手間を掛けさせるつもりはありませんから。…確かに似たようなシルクスクリーンは持ってます」
 お探しのそれかどうか確信は出来ませんけども。
「でもそれ、結構好きなイラストになるので、申し訳ありませんが…」
 売ったり譲ったりしたくはないんです。
「そうですか。ま、そう仰るなら仕方ありませんね。出直す事にします」



 と。
 取り敢えず第一戦は素直に退いて画廊『clef』に戻り。
 真咲誠名は事務室でのほほん紅茶を啜りつつ、絵の写真を前に沈思黙考。それで匡乃への次なる手段を色々と考えつつ、当人含め綾和泉さんちの御家族――勿論知っている人に限るが――の面々に思いを馳せたところで、不意にちょいと前の事を思い出す。
 …何故か猫娘化していた綾和泉匡乃氏の妹君。
 いや猫娘化については良いのだが、その時同時になっていた『幼い』姿。
 ………………よくよく思い出してみれば、クライアントに渡された写真の『絵の中の少女』の片方と思いっきり重なる。改めて写真をよくよく見直す。…自分の記憶が正しければやっぱり似ている。
 そしてもう片方の少女も、双子か姉妹かと思える程…二人の少女の面影もまた似ており。
 けれど。
 重なると思えた心当たりの『少女』には、血縁のある姉も妹も居る訳ではなく。
 居るのは『中性的な容貌』の、良く見れば結構似ている『兄』だけで。
 …それは今の『兄』の方は、百八十を超える長身ではあるが。
 当然、昔から背が高かった訳ではない筈で。…手前のガキの頃を思い出すと、むしろ本当に幼い頃は男は背が低い事の方が多くなかろうか。高くなるのはまず第二時性徴期以降の事。
 誠名は再び写真の中の絵を見る。

 …。

 何となく色々と裏事情の察しが付くなり――そして改めて胡散臭いくらいにこやかイイ人そうな匡乃の顔を思い出しすとんと腑に落ちるなり――誠名は、ぶ、と紅茶を行儀悪く噴き出してしまった。
「あー…そう言う事かい」



 …何だか心にも無い事を言ってしまった、と思わず眩暈を感じつつ、綾和泉匡乃は深く溜息。一人で愉しむ? 好きなイラスト? 嘘も良いところ。画商の調子に合わせる為に話をそんな方向に持って行きはしたのだが、それだけで何だか精神的なダメージが。それはこのイラストレーター、絵がヘタだとは言わない。いや上手いのだろう。わかっている。認められているのだろう。売り物になるくらい。画商が交渉に来るくらい。
 けれど、殊、この作家に関してはそういう問題ではない。
 …モデル当人の意思をさて置きやらかしてくれる人なのだ。
 あれは確か…この作家が――父が人物の絵をと注文を受けた時だったろうか。詳しくは匡乃も知らないが、女性の絵をと言う話ではあったように思える。ならば誰かモデルを雇えばとか思うが、めんどいとあっさりそれは却下になっていたらしい。ならば自分の妻でも使う気かと思いきや…それも嫌だとあっさり。曰く、大事なお母さんの姿をこんな物に使いたくない、他人に愛でられる物に使いたくないとか。…まぁこれは幼い目で見ても父の反応としては予想の範囲内だったのだが。
 …だがそれで最終的に白羽の矢が立ったのが息子と娘、と言うのがどうかしている。妻は大事で子供は大事じゃない訳か。それとも妻の――匡乃の母の方から、どうせなら二人の可愛い姿をお父さんの筆で残しておきたいような事をにこやかに言われたからか。
 何にしろそれが言われた途端、反論の余地なく息子と娘がモデル確定。まさに鶴の一声。『ちょっとした不都合』など誤魔化してしまおうとそこまであっさり決めてしまう。ちょっとした不都合――それは注文が女性の絵を、だった事。年齢の指定は無いし『女の子』なら『女性』には間違い無いだろうと派手に曲解の上『息子』の匡乃は当然の如く『女装』させられ、イラストのモデルは『少女二人』と偽られた。
 が、注文主の方はそれでも文句は無かった模様。どうやら――いい意味で裏切られた、そんな感想を持たれたようで。
 …この作家は何だかそんな幸運が続く人なのである。
 そしてその時の絵が、今回画商が求めて来た絵そのもの、になる。

 こんな物を市場に流通させておいて堪りますか。
 と、そんな訳で当然、頃合を見計らってその絵を回収、死蔵。今に至る。
 匡乃がそんな感じで回収した父親の絵は実は少なくない。
 …画商――誠名の探しているイラスト自体は自分の手で確保している。が、それを撮った写真が出てくるとは少々参った。それは一度は市場に出てしまった以上、そのくらいの事は覚悟すべきとは思うが――見付けてしまった以上それも回収したい訳で。あのまま写真を借りて――そう偽って頂いてしまって――しらばっくれてしまおうと思ったのに、そうは問屋が下ろさない、か。…当然、コピーなんぞ以ての外。無くしたい物をわざわざ増やしてどうする。
 さぁ、どう出てくるものか。
 勿論の事、此間の対応で画商が本当に諦めたとは思っていない。
 交渉はこれから。
 と、思ったそこで。
 部屋の電話が鳴り響く。誰からの電話かを確認。知らない電話番号――今現在、そうだろうと想像が付く相手が一人。
 受話器を取り、出る。

 …案の定。



 あれからクライアントに伝えたんですが、やはり件のシルクスクリーンが気になって仕方無いそうなんですよ。せめて原画を一目見せて欲しいとまで言って来られましてね。
 …喫茶店。
 結局、もう一度会って話を聞いてはもらえないかと電話を掛けて来たのは案の定真咲誠名。まぁ、そう来るだろうとは思っていたので匡乃もその誘いを受ける。それで来たのがこの喫茶店。紅茶が上手いと評判の店であるのはリサーチの結果か偶然か。まぁこの画商、匡乃の今勤めている予備校に直接顔を出して来た事からしても…こちらの身辺調査はそれなりに済んでいると言う事は見て取れる。
 …何処までその調査が済んでいるのか、は微妙に気になるが。匡乃個人か、はたまたその家族までか。…父親まで調べられていたら、色々と裏事情までバレていると見るべきだろうが。覆面作家とは言え業界の人間の誰もがその正体を知らない訳でもない。正体不明の作家のペンネームから正体を辿るとなるとそれは難しいが、正体の人間の方を元々知っていて、彼が仕事として何をしている、と言う方向に辿るならそれ程難しくない。…そしてそこまで辿られていたなら、ついでにモデルの正体まで察されていると見て間違いない。
 …まぁ、当然しらばっくれるが。

 なるべくなら人に見せたくも無いんですよねといかにも残念そうに匡乃は溜息。
 とても大切な絵になるので。
 それに、使っている色からして退色し易いんですよ、ですから極力…仕舞っておきたくて。
 …これは本当。言い訳として都合良い事に、この絵はそんな色を中心として描かれている。ちょっと保存を怠れば色褪せる。そんな微妙な色で。
 匡乃が済まなそうにそう告げると。
 そうですか。残念です。
 …と、画商はまたも妙に素直に退く。
 ?
 …幾ら何でももう少し粘らないだろうか。
 内心訝しく思っていると、す、とテーブルに件の絵の写真が滑らされた。
 匡乃の前まで。
 先日は触らせもしなかったのに? 更に訝しく思いながら――けれど表には出さないで――画商に目を遣ると、画商はその写真を示し、差し上げます、とあっさり。何故ですと訊いたら、その方がいいと思いました。仕事放棄です、と肩を竦め苦笑。
 わかって頂けたんですか、と畳み込む匡乃。そう取って下さって良いですよと誠名。…更にはクライアントにも何とか言っておきますから、とまで。…その写真もクライアントから手に入れたものだろうに?
 本当に頂いてしまって良いんですか。匡乃が写真を手に取り訊くと、ええ。と画商は拍子抜けするくらいあっさり頷く。そんなに『誰にも見せたくないくらい大事になさっている』ものなら、クライアントもきっと無理に取り上げたいとは思わないでしょうし? そう意味ありげに続け、画商は匡乃の目をちらり。
 それは有難い事です。さらりと匡乃もそう答え画商の目を見返すが、目を逸らさないまま何故か続くのは沈黙で。
 …ああこれはバレているなと匡乃は内心溜息。
 だが、こうなると幾分身に近い画商が相手で良かったのかもしれないとは思う。全くの見知らぬ他人同士ならこの程度では退かないだろう。退くような理由が殆ど無い。
 と、思っていると。
「貴方が綾和泉匡乃さんで良かったですよ」
「? どういう意味ですか?」
「絵を手放す気は無いのでしょう? なら、ある意味一番クライアントに諦めてもらいやすい事情をお持ちの方になりますからね」
 実はその絵を欲しがっているクライアント、本当に熱心だったんですよ。私の交渉で手に入らないなら自分が出向いて交渉するとまで頑張っている方でして。そんな訳で、当の原画をお持ちの貴方をクライアントにお教えするだけでも私の方にはそれなりの報酬が入っています。無論、私が原画を手に入れられれば、それ以上の報酬は頂ける事になる訳ですが。
 …ですがまぁ、高望みはしない方が良いかなと思いまして。
「…となると、そのクライアントさんが直接僕のところへ?」
 ここで貴方が諦めても。…そうなるとむしろ余計鬱陶しくなるような。そう思い内心うんざりするが、にこやかな誠名の笑顔があっさりとその懸念を否定する。
「…いえ、それも大丈夫ですよ」
 交渉の相手が他ならぬ貴方であり、絵のモデルまで判明したならば、諦めてもらうのに一番効果的な『魔法の呪文』が見つかった事にもなりますから。



 その後。
 画商と別れた匡乃だが、以後、その原画が欲しいと言う話を匡乃に持ち込んでくるような輩は本当に居なかった。それ以外の絵ならそうでもないが、取り敢えず誠名が探していた原画についての話は来ない。

 曰く。
『義弟に免じて諦めてやって下さい』。
 ………………何故かクライアントは画商がそう頼んだだけで本当に完全に諦めた、と言う。

【了】



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    登場人物(この物語に登場した人物の一覧)
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 ■整理番号/PC名
 性別/年齢/職業

■PC
 ■1537/綾和泉・匡乃(あやいずみ・きょうの)
 男/27歳/予備校講師

■指定NPC
 ■真咲・誠名/画廊『clef』経営

■他に名前と存在のみ出て来たNPC
 ■誠名のクライアント/当方の某NPC(「異界登録NPC」か部屋内情報「未登録NPC」内記載の誰か)想定
 ■真咲・御言/誠名の義弟でPC様の妹さんの…

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       ライター通信…改めNPCより
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 今回のノベルでは俺の御指名有難う御座いました。PL様にもPC様にもライターが世話になってます。

 …っと、さて。
 つー訳で綾和泉のお兄さんに単身絵の交渉に行ってみた訳ですが。ただ内訳の察しが付くと…どーもあんまりざくざく突っ込まない方が後々こちらの身の為かなーって思ったりしたもんで、クライアントの方に諦めてもらう事にした訳なんですね。
 …ま、それで通りそうなクライアントだったし…って当のクライアントはいったい誰かって? それは守秘義務って奴があるんでね。後からそっちに行く可能性も無いから心配要りません。…ま、追々誰なのか見当が付くようにはなると思うが、取り敢えず今俺の口から言うつもりは無い。っつってもひょっとすると察される可能性あるけどな。兄さんの背後さんだとな(笑)
 後、取り敢えず俺と兄さんの面識っつとよく考えれば「草間興信所:月下の凶縁」の時にしかないんで…その辺微妙に意識したようなしてないような話し掛け方にもなってるんだよな。そもそも当時、事件の原因が俺に近いって意識が兄さんにあったか微妙な気もするんで俺の事も忘れられてる可能性もあるかな、ってね。
 それとお遊びも可ってんでノベルはこんな感じになったらしいんだが。…いや俺の場合自分がこう(身体が女)だろ? …だから兄さんのモデルの件についてはあんまり人の事言えないんだよね(苦笑)

 と、こんなところでそろそろ失礼しようと思う。
 対価分元取れたと思ってもらえりゃ幸いだ。
 んじゃまた、何か縁があったら宜しく頼むわな。

 以上、真咲誠名