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<東京怪談・PCゲームノベル>


→ 美人翻訳家の裏の貌。

 シュライン・エマ。
 翻訳稼業の傍ら、草間興信所の事務員として働いている――と言うか殆ど家事手伝いのボランティア状態で内に外にと色々お手伝いしている内、気が付けば草間興信所の実質実力者になってしまっていたおねえさま。事務員のみならず調査員としてよく駆り出されていたり、草間興信所の所長及びその妹の身内――家族同然の有様になっていたりする。…今となっては翻訳稼業と草間興信所職員、どちらが「傍ら」でどちらが「本業」だかわからないような節まであると言っては言い過ぎか。
 そんな彼女ではあるが、実は翻訳稼業と草間興信所事務員と言う表の貌の他に――もう一つあまり表沙汰に出来ない裏の貌を持っている。

 …幽霊作家。
 有態に言えば、ゴーストライターである。



 その日、突発的に入って来たのはそんな裏の仕事の一つ。…とある雑誌に掲載されている連載小説の、来月分に当たる回の代筆。…作家の名を聞けば何だか馴染んだ名である。初めてではない。たまにある。既に何度か呑み過ぎで倒れた際に代筆を頼まれた事がある。
 代筆依頼があったのがそんな馴染み(?)の作家の連載である為、大まかな話の流れはわかっておりシュラインにとっては本来ならそれ程難しい仕事ではない筈なのだが――『今回に限って』はちょっとした問題が。
 …それは、お酒についての描写である。
 この作家は呑み過ぎで倒れる事がたまにあると言う通り(?)、酒類に関して造詣が深く小説内でもそれに関する描写をよくする。その上に描写が丁寧で、そこが売り物でもあったりする。
 各種銘柄についてもそうだが、それらを混ぜ合わせて作り出すカクテル類についても実は同様。作り出す経過や色、味等の描写は読んでいるこちらが飲みたくなってくる程。…そこまでもまだいい。事実何度かこなす事が出来ている。だが今回困った理由は――特に今回は作製の経過と共に『種類』まで幾つか出てくる回である、と言う事。
 そうなると少々自信が無い。自分が普段飲む物、となるとだいたい決まってしまっているし、カクテルの名前自体は知っていても作り方や見た目に味等全く知らない物も数多い。この作家の代筆と考えると、種類によっての差の判別が上手く見せられる描写が出来るかどうか。それはシュラインもシュラインで酒が嫌いな訳では無いしそれなりに銘柄や種類等頭にある事はあるが、この作家と比較するなら――詳しいとは到底言えない。知識が経験が甘過ぎる。
 さて。
 困りつつ暫く考え、シュラインは取り敢えず受話器を取る。覚悟を決めて頭の中でぱぱっと計算。三日あれば『取材』含め何とかなるか。思いつつ草間興信所へ電話を掛ける。数回鳴らすと相手が出る。…三日間程そっち休ませて欲しいの。そう切り出すとやや意表を衝かれたような反応の相手方。それはそうだろう、シュラインは別の事で忙しくとも大抵の場合で殆ど毎日顔を出すだけは出している。シュラインにとって草間興信所はもう一つの家と言っても過言ではない。そんなところに三日程休みをとわざわざ言ってくるとなると――それ程顔を出さないとなると、興信所の仕事に支障が――と言うより何かあったのか? と相手方こと所長から逆に心配されもする。
 内心苦笑しつつ、興信所と関係無い仕事の方でちょっと、と理由については濁してみる。具体的には言わない。…それは一応、あまり表立っては言えないお仕事が理由なので。所長――草間武彦になら別に話しても構わない程度の理由ではあるが。まぁ特に巻き込む必要は無い事でもある。
 草間興信所への電話連絡を終えてから、シュラインは取り敢えず部屋の時計を確認。今の時間は――。
 ――大丈夫だろう。そろそろ開店になる筈だ。
 思いながらハンドバッグの中身を確かめつつ、自室の玄関へと移動する。

 …そんな訳で単身『暁闇』へ。



 いらっしゃいませ。いつものように静かな声が掛けられる。マスターの紫藤暁の声。それとその部下、バーテンダーの真咲御言の声が同様に続く。シュラインの方も軽く挨拶を返す。カウンターのスツールに腰掛けながらも、時間が勿体無い、とばかりにすぐ折り入っての本題に入る。
 本題。…仕事でどうしても必要なの、と伝えてカクテル注文。ひとまずメニュー表の頭に書いてあるカクテルを。…仕事で必要。そう言われてもカウンターの内側にしてみればいまいちぴんと来ない。何事かいまいち判らないながらも注文通りにかしこまりましたと紫藤が作り始める。シュラインはその姿もじーっと見ている、と言うかじっくり観察しているような感じ。作製のその過程――作製の際、聴こえる音を自分の耳に記憶。それら音とバーテンダーの動作を関連付けてメモも取る。
 …棚から取ったボトルは三本。シェークするカクテルらしくシェーカーのボディに氷を入れて用意してもいる。ボトルから中身の液体がメジャーカップも使わず入れられる――紫藤は注ぐ際の液体量と時間から目で必要な分量がかっちりと見れている。流れるような動作でシェーカーの中に注がれる。バーテンダーの手捌きもまた独特。…見せる事を前提に。そんな華麗な遣り方がバーテンダーの常。シェーカーの中に材料が揃うと、ストレーナーとトップを填め、振る。…振り方やその時間もカクテルによって色々になるものだろう。だからその間がどれくらいかも把握。またメモ。
 程無くカクテルは完成し、グラスに入れて供される。その際の音もすかさず耳に焼き付け記憶。シェーカーからグラスへ、そのグラスがカウンターに――目の前に滑らされるまで。そこまでを確認してから、シュラインはそのカクテルに口を付け味を確認。更にまたメモ。少し考えメモを続けながら今度は一気に飲み干す。
 …次。二番目に書いてあるものを。そう頼んだらさすがに少々困惑したような貌をされた。が、これも取り敢えず紫藤は言われた通り作り始める。今度はステアで作る一品。作製から完成、供されるに至るまでシュラインの態度は先程と同様。作製の過程やグラスの種類、色、味については熱心に観察してはいるのだが――肝心の飲む方にはあまり気が行っていないような。
 次はメニューの三番目、と言う事ですか? と先回りして紫藤が訊いて来る。お願いしますとシュラインぺこり。紫藤、暫し無言。それから、わかりましたと受けて注文の品を作り始める。…ちなみにこの三つ、普段シュラインが頼む事は殆ど無いカクテルになる。それでも頼んでいる事実。今日のシュライン、明らかにメニューを頭から順に、と言う方向。
 そうなるとある程度この先が読める。…シュラインの目的は、どうやらメニュー表に記載されている全てのカクテル――即ち、基本メニューの制覇。
 …大丈夫だろうか。
 そんな懸念が紫藤と真咲の頭に浮かぶ。程無く紫藤の手で三番目のカクテルが完成、シュラインはそれを飲み終えると殆ど時を措かず四番目のメニューをオーダーする。ギブソン。…いきなり度数が高い。
 二人のバーテンダーは更に沈黙。…時間帯としては今現在開店したばかり、即ち午後五時を数分過ぎた程度。このくらいの時間となると、まず。
 思い、恐る恐る真咲が口を開く。
「…エマさん、御食事、まだですよね?」
「ええ、まぁ。…ただこっちを先に片付けないとどうも気になってしまって」
 仕方無さそうに言いながら、シュラインは苦笑。…その表情を見ている限り止める気は全く無さそう。そんなシュラインの様子を暫く見て考えてから、では、と紫藤が提案する。
「…せめて順番を変えてはどうでしょう?」
 空腹の時に度数の強い物は酔いも回り易いですし、胃にも良くありませんから。
 このメニュー表にある物を一通り、と言う事なんですよね? でしたらせめて軽いものから慣らしていって重いものを、と言う順番で行った方が身体への負担も少ないと思いますよ。任せて頂ければお出しする順番はこちらで決めますが。
 そんな紫藤の提案を聞き、シュラインははたと止まるとお願いしますとぺこり。すぐに結論が出る。そういう事ならそうしてもらった方が良いだろうとは思う。但し同時に、御世話掛けますと思わず恐縮。
 肯じた紫藤が次のカクテルを作ろうとボトルを取り出し始めたところで、真咲から軽く抓めそうな小さなチーズの載った小皿と、チェイサーがシュラインの前にそっと差し出される。…注文はしていない。
「…あの?」
「せめて何か抓みながらの方が、いいですよ」
 それからエマさんの仰るその『仕事』には…カクテルの御味に関しても必要であるように御見受けしますので、適当なところでお口直しもした方がいいかと思いますよ。グラスを幾つも重ねると、味が混じってわからなくなって来る事もあるでしょうから。
 シュライン、そこまで言われて、また恐縮。もっともだと思い、頂きますとチーズを一つ抓んで食べてから、チェイサーをちびりと口に含んで舌をリセット。…特に酔ったりした訳ではないが、一応、既に三杯違う物を頂いている訳で。そこに、では次はギブソンではなくジン・フィズにしますね、と紫藤が確認。メニューの順番で言うともう少し下の方にある、軽めでさっぱりしたもの。紫藤が作っている段階のシュラインの様子は今までと同じ。やがて完成すると、紫藤の手でタンブラーがシュラインの前に滑らされる。シュラインはそれも無言のまま一口味わい何やらメモしてから、殆ど一息で空けてしまう。
 …やっぱり色々無茶な飲み方である。



 そんな感じで暫し――と言うか結構たくさん――グラスを重ねた後。
 シュラインの声が聞こえなくなってきた。
 とは言え特に様子がおかしいと言うのではなく、声だけを発さない感じでそれ以上は普段通りである。動作や顔色では特に酔った風もない。メモを取る手にもグラスを傾ける手にも危なげはない。
 が、酒を飲んでいて何か変化が表れたとなれば、それがアルコールの効能であるのはまず間違いがなく。カウンターの内側にしてみればすぐわかる事である。

 そんな中でもシュラインはグラスの中身をやっぱりちょっと味わってみたかと思うと少々メモを残しそれから殆ど一息で飲み干している。
 …次お願いします。シュラインにそう言われてから紫藤も次を作り始めるのだが、そろそろその『次お願いします』の一言が出て来ない。その代わりにシュラインはまた何かメモ書きしている。と、『次お願いします』。そう書かれた紙がカウンターに差し出された。少し考え、紫藤は真咲をちらと見る。それからすぐに視線を戻すと、かしこまりましたとシュラインに。次のカクテルを作る為用意をし始める。
 が、『次お願いします』。そう書いた紙の余白に、『あまり無理はしない方が』とシュラインに読める向きでいつの間にか文字がすらすらと書かれている。宙に浮いたボールペンが紙の上に斜めに立っている。ボールペンが勝手に物を書いているように見える――さすがに酔ったんだろうかとシュラインは反射的に思うが、書かれたそれが見覚えのある筆跡――暁闇常連になる幽霊、間島崇之のものである事に気付くと、目を瞬かせる。
 …居たんですか間島さん。
 思い、慌ててカウンター一番右の端に視線を流すと確かにソルティドッグの入ったタンブラーと生ハムの載った小皿が置いてある。けれどシュラインが来てから店内の明かりが落ちてはいない。どうやらシュラインが来る前から――ひょっとすると開店前から間島は実は居たらしい。
 間島に声で返答するべきかはたまた筆記で返答するべきか思わず迷っている内に、紫藤は次と頼んだカクテルを作り始める。…始められると頼んだ手前目が離せない。音も聞き逃せない。集中する。視界の隅で真咲の姿がカウンターの奥に引っ込むのが見えたが、今特に構う事でもない。
 滑るような手捌きで、新たなカクテルが作られる。それも今までのものと同様、味と色を確認しながら一口飲む。また少し舌が鈍って来ただろうか。またチェイサーを舐める程度頂いてみる。それから再び一口飲んで確認。うん、大丈夫。改めて確認してから、やっぱり飲み干す。



 と。
 それからまたグラスを何杯か重ねたところで。
 からんころんと暁闇入口に付いているドアベルの音が鳴り響いた。ドアを開閉するとその音が鳴る――人が出入りすると音が鳴る。今入って来たと思しき人がカウンターに近付いてくる気配がする。どうせお客さんだろうと思ってシュラインはその人物から聴こえる様々な『音』も特に聴いていない。仕事で必要な、目の前の紫藤がカクテルを作る音の方に集中している。すると近付いて来た人の気配はそんなシュラインのすぐ隣のスツールに黙って腰を下ろしている。…こら。こちらを見もしないままぽつりとそれだけ声が掛けられる。シュラインは思わず声を上げそうになる。
 …武彦さん。全く予期していなかった為驚くがぎりぎりで声を出すのだけは抑えられた。が、どう対応しようか頭の中は少々動揺。そんな間に次に頼んでいたカクテルが出来上がってしまった。思わず、しまった、と止まってしまうシュライン。途中から集中が途切れてしまった。作る動作を全部見ていない。音の方も怪しい。
 そのまま暫し沈黙が続く。シュラインは完成したカクテルを取る事もしないで止まっている。もう一度頼む…のは何だか申し訳無い気がするしその分余計に飲む事になるし…でも必要だし…。どうしようか。
 と、そんな困っているらしいシュラインの様子をそれとなく見ていた武彦が、不意にカウンターに声を掛けた。
「…それと同じ物を俺にも作ってくれませんか、マスター」
 たった今シュラインの為に作られたカクテルを示し、武彦。シュライン、思わず武彦の顔を凝視。
「…お前はその経過をもう一度確り見直してれば良いだろ。今頼んだのはお前じゃなくて俺だ」
 武彦はそうシュラインに振ると、それ以上は特に何も言わずまた黙っている。…何故カクテル作製の経過が必要だと武彦さんが知っている。シュラインは反射的にそう思うが、先程真咲が特に用がある風ではないのに奥に引っ込んでいた事を思い出す。恐らくはその間に色々説明の上、武彦さんを呼んだと言う事か。
 …ああ何だか迷惑を掛けている。シュラインは思いながらもやっぱり仕事で必要である以上途中で止める訳には行かない。妥協は出来ない。…武彦がもう一度頼んでくれた今のカクテルの作成経過を今度は確り見届けてから、ふとメニュー表を見遣る。そろそろ結構な量グラスを重ねているが、まだカクテルの基本メニュー終わりにならないんだろうか。飲んだもの飲まないものを確かめる――そんな風なシュラインの視線の動きに、次でメニューに載せている物は終わりになりますよ、と口添える紫藤。その科白にシュライン思わずほっと息を吐く。『宜しくお願いします』。そう書き付けて次を頼むと、再び作製の経過を音を色をその変化をじっと確認。完成したものもちびりと味わいメモ、それから殆ど一気に飲み干す。
 やっと終わりか。そう思った武彦は隣で安堵。
 が。
 同様、安堵したシュラインは、ふー、と長く息を吐いて落ち着いてから、再び手許のメモ用紙にまた何やら書いている。書き終えると、カウンターにそろりと差し出される。
 カウンターに差し出されたその紙には、『最後に何か目の覚めるものお願いします。それと今までの分の領収書も』。
 視界の隅にそんな書き付けを認めた途端、武彦、がくり。おい、とばかりに呆れた様子。…メニューの制覇が目的ならそれは一応終わった事になるのにその後にまだ頼むか。それは口直しと言うか目的が済んだところで改めて『自分用』に目の覚めるものを、と言う気持ちはわかるが、散々アルコールを入れておいてそのリフレッシュに使うのも結局アルコール、と来るとむしろ駄目押しのような気さえして余計に心配にもなる。それはシュラインは結構飲める方ではあるが、全然声を出して話そうとしない今の様子からして、そろそろ呂律が回らないくらいは飲んでるんだろうと武彦には察しが付いている。
 …ではグラッド・アイなど如何でしょう。紫藤の声が静かに響く。グラッド・アイ。各種ハーブの馨りが豊かな緑のカクテル。お疲れ気味な人や忙しい人向けの、健康指向な甘口の。
 勿論そこで否やは無い訳で、シュラインはそれでお願いしますと言う代わりにぺこりと会釈。それで再び紫藤はシェークの構え。程無く完成するとカウンターに丁寧に滑らされ供される。今まで飲んだ中には――基本メニューの中には入っていなかったカクテル。さっぱりとしていて確かに目が覚める。
 …今の場合仕事の方は終わっていたのでメモも何も取らなかったが、何だか最後のこれが一番印象に残ってしまったのは気のせいか。



 シュラインが最後の注文を飲み終えたのを見届けると、武彦は今度こそ、はぁ、と安堵したよう大きな溜息。それを認めると、心配懸けさせてごめんなさいとばかりに武彦に向け手を合わせて軽く拝むシュライン。武彦、それをちらりと見ながらも眉間に皺寄せ目を伏せて。それから全然力の入っていない拳骨で、それでも叱るようにシュラインの頭をぽかり、と言うかこつん。
 幾ら仕事で必要だとは言え、あんまり心配懸けさせるような事はするな、と言う訳で。

【了】



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    登場人物(この物語に登場した人物の一覧)
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 ■整理番号/PC名
 性別/年齢/職業

■PC
 ■0086/シュライン・エマ
 女/26歳/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員

■指定場所
 ■Bar『暁闇』

■登場NPC
 ■紫藤・暁/Bar『暁闇』のマスター
 ■真咲・御言/Bar『暁闇』のバーテンダー
 ■間島・崇之/Bar『暁闇』の常連幽霊
 □草間・武彦/草間興信所所長

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       ライター通信…改めNPCより
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 …と言う訳で座談会in暁闇な方向で。

紫藤:「今回は当店を御指名の発注、有難う御座いました。まずは…ライターが不器用故に内容が重なってしまう可能性を鑑み、発注順とは逆になりますが内容指定のあるこちらが先、『Extra Track』の方が後回しになる、との事をお伝えしておきます」
真咲:「それと連続投下ではありませんでしたので御安心を。…って連続だったとしてもライターは特に構わないらしいのですがね。窓が開いてさえいれば。…御一方に買い占められて他の方の希望があってもライターが手掛けられない…と言うような事もまず起きないと思いますし」
草間:「…それらについてもこの場で伝えておく必要はあるだろうが…それより今回のお前の行状が問題だろうがシュライン。わざわざ休みと言って来るから何事かと思えばそう来るとはな(溜息)。幾ら仕事と言ってもあんまり無理はするなよ? 特に…表立って言えないような仕事で無理すると後々余計にコキ使われる事になるからな(しみじみ)。ほら間島さんも『幾ら何でもピッチが早いし呑み過ぎですよ、エマさん』と紙コースターに書いている(言いながらぴらりと紙コースターを取り上げ見せ)」
紫藤:「次は御仕事では無く御自分の時間の為に来て頂けると、こちらもほっと出来ます(微苦笑)。…まぁ、エマさんの場合は酔ってどうしようもなくなる、と言う事は無さそうだったので…はらはらしながらですが、御注文の通りに作ってみた訳なんですけれど。…いえ、少し初めの注文とは違いましたね。お出しする順番を変えさせて頂いてましたから」
真咲:「ただ…それでもやっぱりそれだけでは放っとけませんでしたから、同時に、草間さんを呼んでくれと紫藤から目配せで頼まれた訳ですね(頼まれなくても呼びましたけどね)」

 …閑話休題。

真咲:「そうそう、そう言えば今回からはこの場に草間さんも合流して頂いております。どうやら草間さんのような方(公式NPC)をここに登場させる事についても当方のライター、色々と開き直ったみたいですよ」
草間:「ああ、らしいな。…ライターが以前は避けていたこの『NPCからの通信』もしくは『座談会』での公式NPCの登場だが…2005年の年末過ぎた頃から何かを悟ったらしく、それ以来初めての機会になる今回からは…公式NPCになる俺も普通にここに引っ張り出される事になったらしい…って2006年の11月だな今は。となると約一年前の話か」
真咲:「この窓長い事ぱったり開きませんでしたからね。ひょっとすると今回のノベル作成をと言う意味をさて置いても、窓口自体を長い間お待たせしてしまっていたのかもしれません」
草間:「だな。また必要があるようなら、機会があったら宜しく頼む、と言う事らしい。…まぁ、今回の件については…何事もあまり無茶はするなよと俺は言っておきたいが(嘆息)」
真咲:「それは草間さんも同じだと思いますけどね(苦笑)。…色々と無茶なさるのをエマさんに窘められたりしている事も結構多くありませんでしたっけ?」
紫藤:「…真咲、それをお前が言うのか?(呆)」

(そこでひらりと間島の筆跡で何事か書かれた紙ナフキンが飛んでくる。
 文面は『草間さんに真咲だけじゃなく紫藤も、三人とも人の事は言えないと俺は思うけど?』。以上)

紫藤&真咲&草間:「…(皆それぞれ少なからず心当たりがある為、常連幽霊の指摘に反論できず沈黙)」

 …幕。