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<東京怪談・PCゲームノベル>


SPECIAL TRACK ■CHRISTMAS CAKE■





 「それってどんなケーキ?」
 連絡を受けて翌23日に宮本署二係を訪れ、赤い瞳を輝かせて問うたのは甘い物好きの桐生暁であった。桐嶋はソファの肘掛に頬杖をついて小さく溜息をつく。
 「よりによっておまえが来るとはな」
 「よりによってって何だよ。せっかく来てあげたのにさあ」
 暁は頬を膨らませて文句を垂れるが、目は笑っているようだ。桐嶋が心底から自分を嫌がっているわけではないと知ってのことであろう。
 「それより見てよこれ、すっげーキレイ! あ、こっちもおいしそうだよね。いいなぁ、俺も食べたいなー」
 「分かったから人の話を聞け」 
 耀が資料として持ち帰ったクリスマスケーキのカタログを開い喜々とする暁の後頭部に桐嶋は軽く拳を落とす。「目的を忘れてもらっては困る。いいか、今日はケーキを食べに行くわけではなく――」
 「わあってるって。ケーキが消えた謎を解け、だろ?」
 暁はぴょんと小さく勢いをつけてソファから立ち上がる。「でもさー、マジでおいしそう、このケーキ。クリスマスケーキって特別な感じじゃん? あさってはイブだしさ、事件が解決したらお礼にそのお店のケーキ一個くらいおごってよ」
 「分かった、分かった」
 桐嶋は面倒くさそうに片手を上げて暁を遮る。「ケーキの価値分働いてくれれば考えてやってもいい」
 「マジで? やったー、絶対ゼッタイ約束だかんな! ってわけで早速ケーキ屋さん行こーっ!」
 「やかましいガキだ。まったく……」
 遠足に行く子供のようにはしゃぐ暁に強引に腕を取られ、桐嶋は空いたほうの腕にコートをかけて立ち上がる。それからちらりと暁を見下ろし、問うた。
 「念のため聞くが……何をしにケーキ屋に行くか分かっているんだろうな?」
 「や。それはもちろん調査のためであります、管理官サマ」
 暁は金色の髪をさらりと揺らし、おどけて敬礼してみせた。



 何度乗っても見事なリムジンである。下手な安ホテルに泊まるよりもこの車で寝起きしたほうがよほど快適なのではなかろうかと思えるほどだ。ふかふかのリアシートの上で葉巻をくわえた桐嶋に暁は首をかしげる。
 「桐嶋さんって煙草吸うんだ?」
 「悪いか」
 「普通、煙草吸う人って甘い物あんまり食べないよね」
 暁は大粒の瞳をきょろりとさせて桐嶋の顔を斜め下から覗き込む。「耀ちゃんに桐嶋さんが甘党だって聞いたんだけど、マジ?」
 「……悪いか」
 桐嶋はそっぽを向いて舌打ちする。暁は声を上げ、腹を抱えんばかりの勢いで笑い転げた。
 「マジで甘党なんだ。だったら俺とおそろだねー」
 「オソロ?」
 「知らないの? “おそろい”ってこと」
 「妙な日本語を使うな。まったく、最近の若い連中は」
 舌打ちして腕を組む桐嶋に暁はまた笑い声を上げた。
 「そんなオヤジくさいこと言っちゃ駄目だって。ねえねえ、今度一緒に甘味屋巡りしよー。俺、おいしい店結構知ってるからさー」
 「くっちゃべってる暇があったら事件の概要でも把握しておけ」
 桐嶋は耀がまとめた資料を丸めて暁の額をぱかんと叩いた。「事件が解決しなかったらケーキの話もなしだぞ」
 「わーごめんごめん、真面目にやります」
 暁は慌てて姿勢を正し、受け取った資料をめくった。
 耀が怪しいと睨んだ前川達哉の風貌は十四歳前後だという。店側がケーキのことを前川家に問い合わせても「達哉は三年前に死んでいる」との一点張りだそうだ。さらに、前川家の小夜子という老婦人は今回のケーキ店『シェトワ』の常連で、三年前までは毎年クリスマスケーキを予約していたとか。達哉は小夜子の孫で、たいそう可愛がられていたらしい。
 (達哉くんって子は十四歳、か)
 暁はふと目を上げ、猛スピードで後方に流れていく景色を見るともなしにぼんやりと眺める。にぎやかな赤と緑の看板やきらきらとした宝石に服、サンタクロースの衣装に身を包んでチラシを配ったり呼び込みをしたりする売り子たち。行き交う人々も互いに寄り添い合い、幸せに微笑んでいるようにすら見える。
 (十四歳っていえば、俺がスレちゃった時期……かぁ)
 かさり、と暁の手の中でケーキのカタログが音を立てた。件のケーキは5250円。サイズも大きめだ。数人、恐らく家族みんなで切り分けて食べることを前提として作られているのであろう。惜しげもなく飾られたガラス細工のようなイチゴ、見た目も濃厚なホイップクリーム。中央にちょこんと佇むサンタクロースの砂糖菓子はソリを引く砂糖菓子のトナカイを撫で、それをログハウスの形に焼き上げられた厚いチョコビスケットが見守る。雪を模して全体に降りかけられた粉糖が柔らかさを演出しており、昔ながらの素朴なケーキであることがうかがえた。
 (スレたことに関しては後悔なんてしてないけど、さ。でも――)
 恐らく、半ば無意識のことであろう。暁の手が胸のロケットペンダントに触れる。
 「どうした?」
 という桐嶋の問いで思考は一時中断した。物思いに沈む様子に気付いたのか、桐嶋が怪訝そうに暁を見下ろしている。暁は「ん?」と聞き返して顔を上げ、にこりと笑ってみせた。
 「クリスマスケーキを買いに来てる人たちみたいに、こう、純粋に……っていうの? そーゆーの、なんか、いいなーって思ってさ」
 「ほう。おまえは純粋ではないのか?」
 「さーねー。どう見える?」
 「着いたぞ」
 タイヤがかすかに軋んでリムジンが停まる。桐嶋は暁の問いには答えずに組んだ脚をほどき、長身を折り畳んで外に降り立った。
 「わー、すっげー!」
 白い息を吐きながら自動ドアをくぐった暁は子供のような歓声を上げた。磨き上げられたショーガラスの中に陳列されたケーキの数々。チーズケーキやモンブランのようなオーソドックスなものに加え、フルーツをふんだんに使ったタルトや、一口サイズのカラフルなミニケーキを数個集めたプレート、生チョコを贅沢に塗った上からトリュフを乗せたチョコレートケーキ、ふんわりと軽やかな紅茶シフォン……。この中からどれかひとつを選べと言われるのはさぞかし酷な仕打ちであろう。腰をかがめてウインドウの前に張り付く暁を尻目に桐嶋は店員に警察手帳を見せ、話を聞きたいから店長を呼ぶようにと告げた。
 「俺ねー、このオレンジムースのやつがいいな。んー、でもこっちのクラシックチョコレートもおいしそーだし……あーっ、迷う! 桐嶋さんはどれにする?」
 「買わんぞ」
 と桐嶋は冷徹に言い放つ。暁は体を起こして不満げに唇を突き出した。
 「ケチ。いいじゃん、一個くらい」
 「誰がケチだ。事件が解決したらという約束だろう」
 そこへ店長と名乗る江嶋という男性が姿を見せた。五十過ぎの、ほどよく白髪の混じる温和そうな男性である。頭に乗せたあの長い帽子、スリムな体を包む清潔な白いユニフォーム、首元に巻いたスカーフといういでたちはいかにもパティシエといった風情であった。
 「そうですか、耀ちゃんの。警察というから何事かと思いました」
 店の奥のスタッフルームに二人を通し、帽子を取って江嶋は微笑む。申し訳程度に設けられたテーブルにはホイップクリームの浮いたミルクティーと、お茶うけにと小さな生チョコレートが出されていた。
 「あっ、すっげーおいしいこれ」
 ミルクティーに口をつけ、生チョコを口に放り込んで暁は素直にそう言う。ほどよいダージリンの香りに絡む濃厚な生クリーム、口の中で芳醇にとろける生チョコレート。何杯でも飲めるし、いくつでも食べられそうだ。江嶋はちょっぴり誇らしげに胸を張った。
 「クリームも生チョコも当店の商品に使用している物です。自慢じゃありませんが、市販品とはちょっと違いますよ」
 「ふむ。なかなかだ」
 桐嶋は甘い生クリームが浮かんでいるカップに角砂糖を三つ放り込んで舌鼓を打つ。店主は「ありがとうございます」と言ったが、その顔は半ば呆れ気味だ。
 「ねえねえおじさん。前川達哉ってどんな子?」
 「明るくて人なつっこい男の子ですよ。あの達哉くんが亡くなってしまったなんて……かわいそうに」
 「前川達哉は三年前まで欠かさず予約の入っていた前川小夜子の孫だという話だったな」
 桐嶋の問いに江嶋が肯く。桐嶋はさらに続けた。
 「前川小夜子がケーキを予約したのは三年前が最後か?」
 「はい。体調があまりよくなくて、入院しているそうです。小夜子さんの代わりに達哉くんが予約を入れるようになったという感じですね」
 「ふーん。ってことは、おばあちゃんと達哉くんは仲良しだったんだね」
 「さあ。それはどうでしょう」
 江嶋は暁の問いにちょっと眉を寄せる。「確かに、達哉くんが小さい頃はよく一緒にケーキを買いに来てくれましたが……ここ数年は小夜子さんがお一人でいらしていました。達哉くんを誘っても一緒に来てくれなくなったと、寂しそうに笑っておいででした」
 暁はもう一度「ふーん」と鼻を鳴らした。思春期の男子は難しいお年頃である。それまで仲良くしていた家族とも意図的に距離を置くようになり、家族と一緒に出かけるのを好まなくなったり家族に暴言を吐いたりすることもある。それはある意味では自我と自立の顕れなのだが、これまで仲良くしてきた両親や祖父母の側にとっては寂しいことであろう。
 「前川達哉が死んだのも三年前。小夜子の最後の予約が三年前、か。奇妙に符合するな」
 桐嶋は軽く唸って腕を組んだ。「それに、前川達哉の名で予約が入るようになったのはおととし、すなわち二年前。達哉が死んだ翌年からだ。偶然にしては出来すぎている」
 「あ……言われてみればそーだね。さっすが管理官サマ、あったまいー」
 「おだててもチョコはやらん」
 桐嶋は自分のお茶うけへと伸びた暁の手を叩き落し、見せ付けるかのように生チョコを口に入れる。それから物欲しそうな暁の視線を無視して江嶋に問うた。
 「ケーキを注文した客は名簿にして管理してあると言っていたな。前川達哉の住所と電話番号は分かるか。残っていれば前川小夜子のものも」
 「もちろん。少々お待ちを、コピーをお持ちしましょう」
 江嶋はいったん事務室へと引っ込み、すぐに前川小夜子と達哉の部分だけコピーして持って来て桐嶋に渡した。達哉と小夜子の住所・電話番号は同じであった。
 「達哉と小夜子は同居していたのかも知れんな。次はこの住所に行って聞き込みでもしてみるか」
 「オッケー。でもその前にケーキ一個だけ、駄目?」
 「却下する。行くぞ」
 桐嶋はにべもなく言い、コートに腕を通して立ち上がる。暁は「ちぇー」と言って頭の後ろで両手を組み、桐嶋の背中に続いた。



 「知りません」
 昼過ぎに前川家を訪れた二人に、達哉の母の恵子という女性は不愉快さを露わにしてそう断言した。「今度は警察だなんて……いい加減にしてください。確かに12月25日に義母の見舞いに行くとシェトワのケーキが置いてありますけれど、私たちは関わっておりません」
 「でもさー、死んだ息子の名前騙られてんだよ。気分悪くない?」
 という暁のもっともな反論に恵子は「そうですが」と言って目を伏せる。
 「犯人が達哉の名前を借りていることは事実。ということは、犯人はこの家……恐らく達哉か小夜子と何か関わりがあると考えるのが自然だ」
 桐嶋は通された居間のソファに腰を沈め、やや前かがみになって体の前で両の腕を組み合わせた。
 「前川家を疑っているわけではない。だが、手がかりとして達哉や小夜子のことを聞かせてほしい」
 恵子は膝の上に乗せた両手を握り、伏せた目をかすかに揺らす。しかし、やがて観念したように語り始めた。
 「私たち夫婦は、達哉が小学校に上がった頃から夫の親――義母の小夜子と亡くなった義父のことです――とこの家で同居していました。達哉と義母は仲良しでしたが、中学校に上がる頃からでしょうか、達哉が義母を避けるようになって……」
 恵子はいったん言葉を切り、小さく息をつく。「思春期ですもの、家族をうっとうしく思ったとしても仕方ありませんよね。義母もそう思っていたようですが、本音は寂しそうでした」
 「うん。そうだよね、分かるよ」
 という暁の相槌にはかつて親を失った者だからこその実感が込められている。それを読み取ったのか、恵子はそっと微笑んだ。
 「達哉は家にいても義母や私たちと喋らず、部活だと嘘をついて遅くまで外をほっつき歩いていることもありました。それがたたったのでしょうか、深夜に高校生のバイクに乗せてもらっているところを大型車に衝突され、あっさり死んでしまいました」
 それが三年前の冬、ちょうど12月25日の午前二時頃だったと恵子は言った。
 「その前日の24日の夜、義母はいつものようにシェトワでクリスマスケーキを買って来ました。義母は昔からあのお店の常連で、クリスマスはいつもシェトワのケーキでお祝いしていたんです。その年も達哉と一緒に……家族みんなでクリスマスのお祝いをしようと言っていたのですが、達哉があんなことになって。それがショックだったのでしょう、元々体があまり丈夫でなかった義母が体調を崩し、病院に入って……」
 暁はかすかに唇を震わせて視線を落した。達哉と祖母はすれ違ったまま死に別れてしまったのだ。疎ましいと感じていた祖母が誰よりも自分を愛していたことを気付かずに。いや、もしかしたら達哉は気付いていたのかも知れない。ただ思春期特有の照れ臭さと意地のせいでそれを受け入れられなかっただけなのかも知れない……。
 「ねえ、おばさん」
 それでも暁は目を上げ、恵子を見ていつもの人懐っこい笑顔を浮かべた。「おばあちゃんが飼ってる動物とか、達哉くんの思い入れのある物とかー、そんなんある? おばあちゃんの愛情の深さ故に、その注いでくれた愛の分、愛情を返そうとしてたのかも……なーんてね」
 クリスマスだからそんなことがあってもいいし、できればあってほしい。暁は半ば本気でそう願っていた。
 「そう……ですね。そうだといいですね」
 恵子は弱々しく笑って肯いた。「でも、達哉が大事にしていた物はみんなあの子のお棺に入れてしまいました。うちでは動物は飼っていませんが、ただ――」
 恵子は席を立ち、居間に面する大きなカーテンを開けて窓の下を示した。立って行って窓の下をのぞきこんだ暁は怪訝そうに恵子を見る。窓の下に置かれた踏み石の上には、プラスチックの小さな皿がぽつりと置かれていた。
 「飼っていたわけではありませんが、義母は昔から野良猫を可愛がっていました。達哉が生まれた頃から餌をもらいにここに通って来ていたそうで」
 恵子は寂しそうに言って皿を見やった。「灰色一色の、あまりきれいじゃない野良猫です。義母は毎日欠かさず餌や牛乳をあげていて……入院する時も猫のことを心配していました。義母が入院してからは私が餌を出しているんですが、時々食べに来ているようです」
 「猫、か」
 桐嶋は窓を細く開け、首だけ出して庭を見回した。人の気配を警戒しているのかまだ餌の時間ではないのか、猫の姿は見当たらない。
 「おばあちゃんとお話しできないかな? 達哉くんのこととか、色々聞きてーんだけど」
 「ええ。ですが」
 暁の意図に気付いたのであろうか、恵子はやや眉を寄せる。「義母はいつ亡くなってもおかしくないほど容態が悪いんです。あまり体に負担をかけるようなことは……」
 「心得ている。二、三、話を聞くだけだ」
 桐嶋はそう言い、恵子に小夜子の入院先を教えてくれるように言った。



 “いつ亡くなってもおかしくない”という恵子の言葉はまんざら嘘でもなさそうだった。痩せこけた体に幾本もの点滴やチューブをつながれ、酸素マスクをあてがわれて横たわった前川小夜子の姿は病人そのものであった。頭もやや錯乱しているのか話もあまり通じず、結局分かったことは小夜子が今でも達哉を愛しており、達哉に会いたがっているということのみであった。
 代わりに、看護師や看護助手から気になる情報を聞くことができた。入院して間もなくの頃から、小夜子は「達哉が会いに来てくれた」とドクターやナースに喜んで話して聞かせることがあったというのだ。達哉が会いに来るのは決まって夜らしい。そして、去年・おととしの12月25日の朝には恵子が言っていた通りシェトワのケーキが病室に置いてあり、小夜子は嬉しそうに「達哉がケーキを買って来てくれた」と話したというのだ。
 「決まりだね。きっと猫が達哉くんに化けて恩返しに来てるんだって。おばあちゃんが愛する孫の姿を借りて、思い出のクリスマスケーキを持ってさ。お金が消えるってのもそれっぽいし」
 病院の玄関前の自販機で温かい飲み物を買い求め、手を温めながら暁は白い息を吐く。冬の日は短く、四時前だというのに太陽はすでに傾きかけていた。
 「もうこれでいんじゃね? 見守ってあげようよ。ケーキのお金はこっちで払うっていえばシェトワの店長さんもとりあえず納得してくれんじゃないかな」
 「おまえが5千円も出せるのか? いや、去年とおととしの分も合わせれば15,750円か」
 「や、そこはホラ、大人が出してくれるもんでしょ。いたいけな高校生に金出させるような真似しちゃいけないんだよん」
 屈託なくにこにこと笑う暁に桐嶋は舌打ちする。
 「俺、明日は達哉くんがケーキ持ってくのを見届けようかな。思い出のケーキを食べたらおばあちゃんの体も回復したりして……」
 そこまで言って暁はいったん言葉を切る。そして「なーんちゃって」と肩をすくめ、ちょっぴり寂しそうに笑ってみせた。
 「そんなことあるわけない、よね。いくらクリスマスでもさ」
 「そうだな。有り得んことだ」
 桐嶋もこくりと喉を鳴らして缶入りのミルクティーを飲んだ。「だが、有り得ないことがあってもいい。クリスマスだからな」
 「……うん。そうだね」
 暁はふわりと微笑んだ。
 しかし、すぐに笑みを消して背後を振り返る。
 「どうした、桐生」
 「ん。ちょっと」
 桐嶋の問いに答えつつも暁は慎重に周囲の景色を注視している。「なんか、灰色っぽいものがちらっと見えたんだ。例の猫かも」
 桐嶋の眉がひょいと持ち上がる。なおも辺りを見回していた暁が「あ」と小さく声を上げた。
 猫だ。グレーの、薄汚い猫が背中を低くしてよたよたと病院の中庭を横切っている。
 「駄目だって」
 追おうとした桐嶋の腕を暁がつかむ。「追いかけると余計逃げちまうよ。さりげなく、ゆっくり追いかけなきゃ」
 そして散歩でもするかのような足取りで、一定の距離を保ちながらのんびりと猫の後を追う。高齢らしい猫はお世辞にも敏捷とは言い難い動きで中庭を抜け、道路に面した側に回り込み、足を止めた。
 猫はそのままその場に座り込み、じっと空を見上げている。そこは小夜子の病室の真下であった。
 「おーい」
 50メートルほど離れた位置から暁がそっと声をかける。猫の体がびくっと震え、耳が後ろに倒れた。
 「おばあちゃんが可愛がってた猫だろ?」
 猫は答えずに、前足を突っ張って尻を高々と上げ、警戒の姿勢をとっている。
 「怖がんなって。別に捕まえようなんて思っちゃいないよ」
 暁はその場にしゃがみこみ、敵意のないことを示すように両手を軽く広げてみせた。「明日、買いに来るんだろ、ケーキ。ちゃんと用意して待ってっからな」
 ――ありがとう。
 不意に男とも女とも知れぬ声が暁と桐嶋の耳朶を打つ。冬の空気のように透き通っていて、それでいてどこか脆さを感じさせる声であった。声の主を求めて顔を上げるも、頭上にはからりとした冬の空が広がるだけだ。そして視線を戻した時には猫の姿は消えていた。
 「今の声……猫かな、達哉くんかな?」
 暁は覚えずそう呟いていた。
 


 「いらっしゃいませ! ケーキ店“シェトワ”、毎年恒例完全予約制のクリスマスケーキのお引渡しでございまーす。その他にもおいしいケーキがよりどりみどり、御用とお急ぎでない方は是非どうぞー!」
 翌24日。ちらちらと雪が落ちてくる天候の中、暁はサンタクロースの衣装を身にまとってシェトワの店員に混じり、店の外で呼び込みに立っていた。ウェイターやバーテンダーのバイト経験のある暁にとって、ぶっつけ本番でケーキ店の呼び込みをすることなどたやすい仕事である。サンタクロースの格好をした金髪赤目の美少年とあって客寄せ効果は抜群であった。若い女性からミセスまで足を止め、中には彼氏の腕を引っ張ってシェトワの自動ドアをくぐる女性もいる。もちろん暁は彼ら彼女らに「ありがとうございます」と惜しみない営業スマイルを送ることも忘れない。
 「桐嶋さん、見て見て!」
 客が途切れたわずかな合間に、暁は店の脇に停まった桐嶋のリムジンに走り寄った。中からウインドウを半分開けて応じた桐嶋の前で腕を広げ、くるりとターンしてみせる。
 「このカッコ、どう? イケてる?」
 「ああ、似合う似合う」
 桐嶋は半ば呆れているようだ。「どうでもいいが、こっちの仕事も忘れるなよ。前川達哉が来るかどうかちゃんと見張っていろ」
 「はいはい、分かってますって。あ、お客さんだ」
 暁は子連れの女性が交差点を渡ってくるのを見て店の前に駆け戻った。
 クリスマスイブの街は浮き立っていた。夕方早くから灯された暖色のイルミネーション、混雑するファッションビル、寄り添うカップルたち、リボンのついた大きな箱を笑顔で抱える子供の手を引く親。街のあちこちに幸せが満ちていた。笑顔が溢れていた。
 (あれ)
 日が傾き始めた頃、暁は呼び込みの手を止めてふと交差点の向こうを見つめた。
 赤の信号の下で、薄いスウェットにジーンズという地味な姿で佇んでいる小柄な少年。なぜとは言えないが、その少年は周りとは少し違う気がした。カラフルにめかしこんでいる若者たちに混じってあまりに地味なその格好が浮いていただけなのかも知れない。だが、少年のこの幸せそうな顔はどうだろう。まるで大好きな人にプレゼントでも買いに来たかのような、この至福に満ちた微笑みは。それは周りのどのカップルや家族連れたちよりもとびきり魅力的な、幸せいっぱいの笑顔であった。
 「いらっしゃいませ。ケーキのお受け取りですか?」
 交差点を渡ってきた少年に暁は心から微笑んで話しかけた。見慣れぬ店員に戸惑ったのであろうか、少年は半ばぽかんと口を開けて肯く。
 「もしかして、前川達哉くん?」
 そう尋ねると、少年は激しく目を瞬かせて暁を見上げた。
 「お待ちしておりました」
 暁はおどけて片膝をつき、少年にそっと手を差し出した。「ケーキは用意してあるよ。こっちにおいで」
 少年はにっこり笑って暁の手を取り、暁に手を引かれて店内へと入った。
 「おや達哉くん、いらっしゃい」
 暁と桐嶋から事情を聞いていた店主の江嶋も笑顔で達哉を迎える。「はい、ケーキ。おばあちゃんと一緒に食べてね」
 少年ははにかんだような笑いを浮かべてポケットからくしゃくしゃの五千円札と硬貨を取り出し、レジに置いた。その後で大事そうにケーキの箱を抱え込む。
 「病院まで送ろうか?」
 暁は腰をかがめて少年の頭を撫でる。しかし少年は首を横に振った。
 「いい。俺が自分で持っていく」
 その声はあまりにも澄んでいて、その笑顔はあまりにも幸せそうで、暁は思わずつられるように微笑んでいた。



 日はとっぷりと暮れたようだった。
 気を抜けば簡単に持ち去られてしまいそうな意識。目の前に広がるのは病院の天井なのか雪空なのか、それすらも判然としない。懸命に頭を傾け、視界に捉えた壁掛けカレンダーでここが病室であることをようやく思い出す。
 小夜子は必死でカレンダーの数字を追った。小夜子の視力はカレンダーに大書きされている数字すら読み取れないほど衰えていた。それでも小夜子は日にちの数字の上に大きく付けられたバツの印を懸命に数える。今日の日付がすぐ分かるようにと看護師が毎日書き込んでくれるものだ。
 バツの数は23個だった。ということは、今日は24日。クリスマスイブである。
 「達哉……」
 誰よりも愛しい孫の名を呼び、小夜子は音もなく涙を流す。涙は耳を濡らし、枕にしみこんでいくが、それを拭うこともできずに小夜子はただ涙を流し続ける。
 「ばあちゃん」
 不意に、最愛の孫の声が小夜子の耳を打った。
 小夜子は声のしたほうに懸命にゆっくりと顔を向けた。本当はすぐに振り向きたかったのに、その命令に応じられるだけの体力はすでに小夜子から失われていた。
 「達哉」
 いつの間にか部屋の中に立っていた孫の姿。小夜子の涙が一気に堰を切った。
 「ばあちゃん。シェトワのケーキだよ」
 達哉は両手に抱えたケーキの箱を小夜子に差し出し、にっこりと微笑んだ。



 「二人でケーキ食べてんのかな」
 病室の外の廊下でベンダーの紙コップを片手に暁が呟く。二人の様子を近くで、しかし邪魔をしないように見守ろうと病室の外までやって来たのだ。病室の厚い扉の向こうからはささやかな笑い声と食器の音が漏れ出していた。
 「楽しい時間を過ごしてたらいいよね」
 「ああ」
 桐嶋は砂糖増量ボタンを押してコーヒーが出てくるのを待っている。「もしかしたら最後のクリスマスになるかも知れんしな」
 暁は無言で桐嶋を見上げた。
 「恐らく、長くはもつまい」
 短い電子音が三度鳴り、コーヒーが出来たことを知らせる。桐嶋は長身をかがめ、扉を開いて紙コップを手にした。
 「来年のクリスマスどころか、年内いっぱいも生きられるかどうか。悔いを残さないように過ごせればいいが」
 「――そうだね」
 暁は心からそれを願い、温かい紙コップをそっと両手で包み込む。
 そのとき、ナースセンターの方向が急に騒がしくなった。注射や薬を満載した金属のワゴンをガラガラと押す者、センターを飛び出す者。ワゴンとともに数人のナースが小夜子の病室へと飛び込み、その後に白衣を翻したドクターが続く。分厚い扉の向こうからはナースたちの声とドクターの矢継ぎ早の指示が聞こえてくる。小夜子の病室のナースコールが押されたのだとようやく暁は悟った。
 「血圧、心拍低下!」
 「自発呼吸が……」
 「気管内挿管の準備! 急いで! 念のためカウンターショックのチャージを!」
 暁の手から紙コップが落ち、残っていたココアが音もなく白い床に広がる。桐嶋は無言で残りのコーヒーを喉に流し込み、空のコップをゴミ箱に放り投げた。紙コップが箱の内壁に当たる乾いた音が、やけに大きな残滓を伴って響いた。
  
 

 小夜子が息を引き取ったのはそれから三十分後のことであった。
 病院から連絡を受けて駆けつけた恵子は涙を流したが、気丈に病院関係者に応対していた。やるべきことはたくさんある。清拭が済んだら遺体を自宅に運び、経帷子を着せ、葬儀や火葬場の手配、死亡広告の準備、親類への連絡。儀式が一通り済めば墓地や相続の問題もある。人が一人死ぬと短い間に次々とやるべきことが押し寄せるのは悲しむ時間を与えないようにするためだろうか。忙殺されていたほうが悲しみに浸る間もなく、冷静でいられるのかも知れない。
 暁は院内の喧騒から逃れ、たった一人で病院の外の植え込みに座り込んでいた。
 「ケーキを待ってたんだな、おばあちゃん」
 ぽつりと呟く暁の言葉は白い水蒸気となり、ちらちらと舞う雪の中へと吸い込まれていく。「楽しい時間を過ごせた……よね」
 そして膝を抱えて体を丸め、膝頭に顔を押し付ける。肩がかすかに震えていたのは寒さのせいだろうか。
 背後に足音を感じて暁は緩慢に顔を上げる。
 病院から出て来たのは桐嶋だった。
 「風邪を引くだろうが」
 桐嶋は呟くように言い、首に巻いたマフラーを外して暁の肩と首にかける。それから髪をかきあげ、暁からそっと目を逸らすようにして言った。
 「目が赤いのは元から――だったな」
 「ん」
 暁は真っ赤に泣き腫らした目を慌ててごしごしと拭う。それでも涙は止まらない。絶対に泣くものかときつく結んだ唇がかすかに震え、暁は再び膝に顔を押し付ける。桐嶋が隣に腰を下ろし、暁の肩を何度かぽんぽんと叩いた。
 「よかったんだよ、ね」
 顔を上げずに、暁は途切れ途切れに言った。「きっと幸せだったよね、お互いに」
 「ああ。きっとそうだ」
 桐嶋は体の後ろに手をつき、半ば脚を投げ出すようにして息をついた。「悔いはないさ。お互い、もう長くないと分かっていたことだ」
 「お互い?」
 暁は顔を上げて尋ねた。桐嶋は暁の顔を見ずに黙ってハンカチを差し出す。暁は「ありがと」と言って慌てて涙を拭った。
 「あの猫、達哉が生まれた頃から前川家に現れるようになったと言っていただろう? ということは今は恐らく十七歳前後だ」
 猫のほうもそろそろ寿命だろう、と呟いて桐嶋は再び空を見上げる。暗い空から絶え間なく落ちてくる白い雪のせいか、遠くにかすむ街の明かりがうっすらとぼやけて見える。
 ふと気付くと、グレーの猫が二人の前方数十メートルの所にいつの間にかちょこんと座っていた。
 「おまえ」
 暁は思わず腰を浮かせ、猫に歩み寄っていた。「昨日の――」
 猫は逃げることなく、暁が近付いてもその場にお行儀よく座り続けていた。
 <私は、小夜子おばあちゃんに大変よくしてもらいました>
 不意に、透き通った女性の声が静かに聞こえてくる。目の前の薄汚い猫が語りかけているのだと分かった。
 <だから何か恩返しをしたいと思っていたのですが……今回のことは、私の力だけではありません>
 猫の体からすうっと影のようなものが立ちのぼる。透明な陽炎のようなそれは徐々に形を成し、シェトワに現れた前川達哉の姿へと変貌を遂げた。
 <俺、後悔してたんだ>
 陽炎の達哉はそう言って涙を流した。<ばあちゃんが俺のこと愛してくれてたって、死んだ後にようやく素直に受け入れられたから……>
 「だから、達哉くんが死んだ夜にみんなで食べる予定だったケーキを届けることにしたの? 家族の思い出のケーキを」
 暁の問いに達哉は泣きじゃくりながら肯いた。
 <ばあちゃんが可愛がってた猫のことは知ってたから、一緒に恩返ししようって相談して猫の体を借りたんだ。この猫ももう寿命だったのに、俺のわがままに付き合ってくれた>
 猫の体から離れた達哉はその場に膝をつき、猫の首をそっと抱く。猫は気持ちよさそうに達哉の腕の中で目を閉じ、ゴロゴロと喉を鳴らした。
 <ケーキのお金のことは申し訳なく思っています>
 やがて目を開いた猫が言った。<私たちの力では本物のお金を用意することはできなくて……やむを得ず、幻術の類を使ってお金を準備しました。ケーキ屋さんには本当に申し訳ないことをしました>
 「それでケーキは完売したのに売上金が足りなくなったわけだな」
 桐嶋は軽く髪の毛に手をやって呟いた。「なに、心配するな。金は俺が立て替えておいてやろう。ケーキ三つ分の金くらい、私費でどうにでもなる」
 <ありがとうございます>
 猫の目がぎゅっと閉じられ、そしてまた開かれた。濁りかけた眼球の上を濡れた膜がうっすらと覆っていた。
 <本当に……ありがとうございました>
 猫と達哉の声が重なる。達哉は猫を抱いて立ち上がり、猫は達哉の胸に体を預けて目を閉じた。
 一瞬、びゅうと強い風が拭いて暁と桐嶋は反射的に目を閉じる。
 風がおさまったときには達哉の姿はなく、ただ老いた猫の死骸がその場に横たわっているだけだった。



 猫の死体はダンボール箱に入れて恵子に渡し、前川家の庭に埋めてくれるように頼んだ。恵子は最初は戸惑っていたが、事件の真相を話すと快く承諾し、猫を連れて帰ってくれた。
 「さー、約束、約束。ケーキ食べに行こー!」
 暁は殊更に明るく言って笑い、張り切って拳を斜め前に突き出すしぐさをしてみせる。桐嶋は軽く舌打ちして目を逸らした。作り笑いと空元気が見え見えで、見ているほうがつらい。
 「猫と孫の恩返し、か。やっぱ家族っていいよなー」
 暁は病院を振り返ってぽつりと呟く。その後で桐嶋を見上げ、ふと真剣な表情を作った。「――ねえ、桐嶋さん。俺の家族になってよ」
 桐嶋の眉が中央に寄る。暁はいつもの笑いを消してじっと桐嶋を見上げた。ただ、雪と静寂だけが二人の間を満たした。
 だが、それもほんの一瞬で――次の瞬間には、暁は声を上げて笑い転げていた。
 「なーんて、冗談冗談! からかってみたかっただけー。ドキッとした? 俺、これでも劇団所属だからさ。真に迫ってたっしょ」
 「馬鹿らしい」
 桐嶋は葉巻をくわえて火をつけた。それからちらりと暁に目を落とす。「しかし、演技でもなぜそんなことを言う。おまえ、家族はいないのか?」
 「知りたい? もっと仲良くなったら教えてあげる」
 「勝手にしろ」
 桐嶋は肩をひとつ揺すり、自販機の方へと歩いていった。ボタンを二回押したかと思うと二本の缶を手に戻ってくる。そして一本を暁に投げてよこした。反射的に受け取った暁だったが、思わず「つめてっ」と声を上げる。その後で手の中を確認してきょとんとした。
 「なーに、コレ」
 そして御馴染みのあの赤い缶を手の中で弄びながら暁は桐嶋に問う。「なんでこの寒いのに冷たいコーラ?」
 「俺や沢木の思い出の品だ。特別におごってやろう」
 「何それ。思い出ってどういう意味?」
 「知りたいか? もっと仲良くなったら教えてやる」
 桐嶋は暁の台詞を真似てにやりと笑った。「そうだな。いずれ甘味屋巡りでもしながら話してやってもいい」
 「……うん」
 暁は心からの微笑を返した。「絶対ゼッタイ約束だからね」
 「ああ、約束だ。とりあえず軽く腹ごしらえといくか」
 桐嶋は運転手に指示し、助手席のシートの下から何やら紙箱を取り出させた。運転手がうやうやしく桐嶋に差し出したその白い箱からはほんのりと甘いにおいが漂う。桐嶋は車に乗るようにと暁を促し、リアシートの上に箱を置いて慎重に開封した。
 「わあ」
 暁は思わず小さく歓声を上げた。
 それは、イチゴと生クリーム、そしてサンタクロースとトナカイの砂糖菓子が乗った小さな小さなクリスマスケーキだった。
 「シェトワの店主に事件解決の報酬代わりにと無理に作らせた」
 桐嶋はくすりと笑いを漏らした。「忙しい時期に悪いことをしたと思わないでもないが、な」
 「マジで? 俺のためにオーダーしてくれたの?」
 「うぬぼれるな。元は俺一人で食べるつもりでいたが、ついでにと思っただけのことだ」
 「ふーん。ほんとかなー」
 暁はいたずらっぽく笑って桐嶋の顔を覗き込む。桐嶋はちょっと顔をしかめた。
 「……どういう意味だ?」
 「さーねー。どういう意味だと思う?」
 運転手が助手席の紙袋に入れておいたシャンパングラスをふたつ差し出す。桐嶋はコーラのプルタブを引き上げ、磨き抜かれたグラスを褐色の液体で満たした。
 「ちょっと味気ないが」
 そして片方のグラスを持ち上げ、もう片方を暁に差し出す。「メリークリスマス」
 「うん。メリークリスマス」
 暁も微笑とともにグラスを持ち上げる。二人のグラスがぶつかって軽やかな音を立て、コーラのきめ細かい気泡が宝石のかけらのように輝いた。 (了)
 


 
 
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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

 4782/桐生・暁(きりゅう・あき)/男性/17歳/学生アルバイト・トランスメンバー・劇団員


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■         ライター通信          ■
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桐生暁さま


こんにちは、宮本ぽちです。
宮本署への再びのお越し、まことにありがとうございます。

楽しいプレイングで桐嶋を振り回してくださり、ありがとうございました(笑)
調査が半分、桐嶋との絡みが半分といった感じで……半ば独断で書いてしまったシーンもありますが(汗)、いかがでしたでしょうか。
コーラの件は桐嶋の『EXTRA TRACK』にて詳述しておりますので、もし興味があったらご覧になってみてください。

もしまた宮本署に来ていただけたら幸いです。
その折はまた桐嶋や沢木を桐生様のペースに巻き込んでやってくださいませ。
今回のご注文、重ねてありがとうございました。


宮本ぽち 拝