コミュニティトップへ
高峰心霊学研究所トップへ 最新レポート クリエーター別で見る 商品別一覧 ゲームノベル・ゲームコミックを見る 前のページへ

<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


草間武彦をさがせ

●オープニング
 新年でも、閑古鳥が鳴く草間興信所。
 草間武彦と妹の草間零は、のんびり過ごしているのかと思いきや
「お兄さん、またあそこに行きましたね…」
 零は即座にパチンコ店『エヴリディヘヴン』に向かった。武彦はそこの常連である。

 兄はいつもの台の前にいるはず…と思いきや、別人が座っていた。
 それだけではない。客のほとんどが、武彦に似た男性である。
 服装、髪型が若干の違いはあるが、皆、武彦の愛煙であるマルボロを吸っている。
 一人ずつ声をかけることはできるが、それでは時間がかかってしまう。
 店員に頼み呼び出しアナウンスもしてもらったが、待てども兄は来ない。
「困りました…どうしましょう…」

 困り果てた零は、一旦興信所に戻って心当たりのある協力者達に武彦を見つけるよう頼んだ。
「お願いします、パチンコ店にいるお兄さんに似た人の中に紛れ込んでいる本物のお兄さんを捜してください」

 ――お兄さん…帰ったらお説教ですからね!

●助っ人
「んー……出かけたのは別件の可能性もと考えられるけど、武彦さんはまだ店にいるでしょうね」
 シュライン・エマは、草間武彦と長年付き合っているだけあって勘が鋭い。
「邪魔するぜ」
 二人の会話中、来生・十四郎(きすぎ・としろう)がやって来た。
「草間のそっくりさんの中から本人を探せたぁ、まだ厄介な頼み事だな。今日の草間の服装は?」
「いつもの格好ですよ。着たきり雀ですから」
 偶には着替えてくださいと言っても聞かないんですよ…と溜息を吐く零。
「良く遊ぶ機種は?」
「機種はその日によって違いますが、最新のCR機には飛びつくようです。パチンコ雑誌をマメにチェックしてますから」
 零から手渡されたパチンコ雑誌を見て、新機種をチェックする来生。そのページには折り目がついていたので、どこかはすぐにわかった。しかも、ご丁寧に赤ペンでチェックしてある。ずぼらな草間にしては珍しくマメなチェック振りだ。

「今の新機種は『レヴォ』『オメホネ』の二種類か」
「レヴォ、オメホネって何?」
 そういうシュラインにパチンコ雑誌を見せる。
『レヴォは』根強い人気アニメ『創世機レヴォリュート』、『オメホネ』は『おめーの骨の髄までしゃぶる』というタイトルのゲームの略だ。タイトルは怖いが、内容は以外にも恋愛シミュレーションである。何とアンバランスな…。
「とにかく『エヴリディヘヴン』に行ってみましょう。武彦さん、まだいるかもしれないから」
 すれ違いになるかもしれないので、シュラインはデスクの上に「帰ってきたら連絡お願いします」と書置きし、ストックのマルボロを持って出かけた。
「お兄さん…今度こそ見つけますからね!」
 頼もしい助っ人を連れ、零は草間を今度こそ探し出すと燃えていた。
(「今日の零ちゃん、別人みたいね…」)
 シュラインは、零の気迫を感じ取っていた。

●エヴリディヘヴン
「皆揃ってパチンコしに来た…んじゃないよな。零ちゃん、さっきも来てたし。シュラインさんは草間さんを連れ戻しに来たのか?」
 最近『エヴリディヘヴン』でバイトを始めた五代・真(ごだい・まこと)が店内清掃をしながら不思議がっている。
「五代さん、あの後、お兄さんらしき人を見かけましたか?」
 零の問いに「んにゃ」と答える五代。
「今日は新台入れ替えだから、客が多いんだよ。今日導入されたての『レヴォ』と『オメホネ』目当ての。300番台が『オメホネ』、400番台が『レヴォ』だ」
 五代の情報を頼りに、300番台、400番台に草間がいないかどうか確かめに行った零とシュライン。
「奥には新台の『ブシドー魂』スロットがあるけど、そこには草間さんらしき人物はいないぜ。皆が来る前に確認済みだ。今は400番台が当たりの確立高いから、そこにいるんじゃねぇの?」
「おまえ、やけに詳しいな」
 来生がそう言うと「仕事っすから」と答える五代。
「お客さんもレヴォ狙いかい?」
「俺はこいつらと共に草間を探しに来たんだ」
 親指でクイと零とシュラインを指し、来生は軽く説明した。
「情報ありがとう、五代くん。それじゃ、武彦さん探しを始めましょう」
 シュラインの号令と共に、皆は草間探しを始めた。五代はバイトしながらであるが。

 電源を切ってるだろうが、草間の携帯を掛け着信音で位置確認するシュライン。微かに草間の着メロが聞こえるのだが…客の悪態や鼓舞が入り乱れ、特定位置は確認できなかった。気を取り直し、台前に座る時の角度、貧乏ゆすりや機嫌の良い時の背筋、煙草の咥え方や持ち方、動きのテンポ等々聞きなれ見慣れたそれらの動作を目と耳集中し捜索を再開した。
「零、もう一度店員にアナウンスを頼んでみろ。トイレとかに隠れているかもしれん」
「あ、アナウンスなら俺がやるよ。あんたは、草間さんを探してくれ」
 それじゃ、頼んだぜと五代に任せた来生は、トイレへと向かった。

『お客様のお呼び出しを申しあげます。草間興信所からお越しの草間武彦様、お電話がかかっております』

 男子トイレを全て覗き、出そうな台の物色ついでに草間を探したが…結局、見つからなかった。
「駄目だ、どいつも草間と同じにしか見えん」
「アナウンスも無視を決め込んでるようだぜ、草間さん。ったく、しょうがねぇなぁ…」
 もう駄目かもしれない、と思った来生と五代。

●大当たり!
 皆が諦めかけたと同時に、レヴォの一台が大当たりしたのは。

『おめでとうございます! 404番台、大当たりです!』

 零、シュライン、来生は走ってその台へと向かった。
「すげー! これで3度目の大当たりだぜ、しかも確変!」
「やるなぁ、あんた」
 周りに客が集まっているので、誰が打っているのか確認できないでいたが、零は割り込んでその人物を見た。
「零ちゃん、どうだった?」
「あの人、お兄さんじゃありません。マフラーの色が違います」
 がっかりするシュライン。
「しかし、ここと後ろは草間のそっくりさんオンパレードだな。微妙に違うみたいだが」
 微妙だが、髪型、サングラス、マフラー、ジャケットの色がそれぞれ違う。
「ひとつ疑問なのは、客の大半がどうして武彦さんの衣装を真似てるかってことね」
「草間がパチンコで結構儲けているとか…じゃねぇの?」
「そんなことは無いです。すっからかんで帰ってくるがしょっちゅうです」
 気になった零は、隣の台に座っているサングラスが違う草間もどきに話を聞いてみることにした。
「俺が何でこの格好かって? これはな、ゲン担ぎよ。これで来たときゃ、けっこう当たるんだ」
「そうですか…。で、その人はプロか何かですか?」
「お嬢ちゃん、パチスロは入店お断りなんだよ。と言っても、変装して来るのもいるらしいが。岩井梅雄っていうパチスロがいるんだけど、そいつがこういう変装してこっそり客として来るらしいぜ」
「どうもありがとうございました」

「どうだった、零ちゃん」
 零の話によると、草間もどきの客達は、すべて『岩井梅雄』なるパチスロの変装を真似てここに来ているとのこと。草間もそのひとりだと勘違いされている模様。
「そういうことか…。それが本当だったら、面白い記事になるぜ」
 休日でも仕事のことを考えるのは、雑誌記者の来生らしい。

●最終手段
「よっ、何かわかったかい?」
 五代が様子を伺いに来た。
「五代くん、ここに煙草の自販機ある?」
「もちろん。あ…マルボロが良く売れてるなぁ。品切れが多いから補充してるぜ。場所は休憩コーナーな」
「岩井の愛煙もマルボロってことになるな」
 来生の呟きに「誰それ?」と返す五代だったが、その言葉は耳に入っていない様子。

「ん〜、んじゃ、偽アナウンス作戦ってのはどだ?」
 五代の案に「それいいかも」と乗るシュライン。来生も乗り気だ。
「草間に一言、言ってやりてぇからな」
「それで、どんなカンジ?」
 ごにょごにょ…と作戦会議をした後、零を除く3人は行動を開始した。

『草間興信所からお越しの草間武彦様の台、大当たりです! しかも確変大! 早く来ないと大変です!』

 五代からマイクをひったくり、次は来生のアナウンスが始まる。

『草間ー、いらなければ俺が玉全部貰っちまうぞー!』

 そのアナウンスに驚き、慌てて413番台に戻ったのは…紛れも無く本物の草間だった。
「おかしいな。休憩中なのに大当たりするはずが…」
 冷静さを取り戻した草間の元に「お客様、ドリンクは如何ですか?」と店員が声をかけた。
「ああ、いただこうか…って、シュ、シュライン!?」
 声の正体は、店員の声色を真似たシュラインだった。
「メニューも御座いますが、如何ですか?」
 腕をがっちり掴み、顔は笑っているが内心怒っているシュラインに青褪める草間。
「見つけましたよ、お兄さん! さあ、帰りますよ!」
「連れて帰ってたーっぷりお説教しましょう♪」
 零、シュラインに強引に連れ戻され、ご退場の草間であった。

●その後
 勝手に店内アナウンスをした五代は、店長の長〜いお説教を食らっていた。それだけならまだ良いが
「キミ、コレね」
 店長が手で首を切るジェスチャーをした。所謂「クビ」の合図だ。
「そ、そんなぁ〜! で、バイト代は?」
「はい」
 店長から渡された茶封筒には…千円札数枚しか入っていなかった。
「今回の件で減らしたから、バイト代」
 次のバイト探すか…と落ち込む五代。

「おっ、けっこう出るじゃん、この台! これで5度目の当たりだぜ!」
 草間がいた台で喜んでいる来生。これなら当分、煙草代には困らないだろう。
「…岩井の件は、結局どうだったんだろうな? ま、いっか。今の俺にゃ関係ねぇ」
 当たり連発で上機嫌の来生にとって、それはどうでもいい話になっていた。

「お兄さん! パチンコは控えてくださいと言ったでしょう!」
「そうよ、武彦さん。興信所の家計、いつも火の車なんだから!」
 零とシュラインにたーっぷりお説教され、小さくなっている草間。

 岩井梅雄の一件だが、その後、デマであることが判明した。

□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

0086 / シュライン・エマ / 女性 / 26歳 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員
0883 / 来生・十四郎 / 男性 / 28歳 / 五流雑誌「週刊民衆」記者
1335 / 五代・真 / 男性 / 20歳 / バックパッカー

□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■         ライター通信          ■
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□

氷邑 凍矢です。
2007年最初の依頼『草間武彦をさがせ』にご参加くださり、ありがとうございました。

>シュライン・エマ様
お久しぶりです。ご参加、ありがとうございます。
シュライン様には、能力を駆使して草間探しをしていただきました。
草間にお灸を据えるほど、たっぷりお説教してやってください。

>来生・十四郎様
お久しぶりです。ご参加、ありがとうございます。
仕事でお忙しい来生様には、今回楽しんでいただきました。
どのくらいの煙草代が手に入ったのかが気になります。

>五代・真様
はじめまして。ご参加、ありがとうございます。
パチンコ店にバイト中とのことでしたので、呼び出しに一役かっていただきました。
最後は悲惨な目に合わせてしまって申し訳ございませんでした…。

皆様に楽しんでいただければ幸いです。

氷邑 凍矢 拝