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<東京怪談ウェブゲーム アトラス編集部>


行け行けアトラス探検隊 謎の手紙編

●オープニング
 碇麗香編集長が隊長を務める「アトラス探検隊」。
 最近、これといった怪奇現象が無いので、活動は休止状態である。
「最近、インパクトのある出来事が無いわねぇ……」
 溜息をつきながら、アトラス宛に届いたダイレクトメール等に目を通した。
 その中に、自分宛の手紙があることに麗香は気付いた。
 白い封筒をハサミで切り、中の手紙を取り出した。

『アトラス探検隊の皆様方へ
 貴方たちにご相談したいことがあります。
 ○月○日午前0時、波柴町にある不知火家にお越しください。
 和風家屋なのですぐ判ると思います』

 内容はこれだけだった。
「この手紙を出した人、うちの雑誌で探検隊のことを知ったのね。でも、何故、探検隊員を指定したのかしら?」
 差出人が「不知火」という人物であることしか解らない麗香は、コピーを終えた三下忠雄を呼び出した。
「へ、編集長っ、何か……?」
「いちいちビクつかない! あなたに仕事を頼みたいの。○月○日24時、探検隊員達と波柴町にある不知火さん宅へ行って頂戴」
 また怪奇現象の巻き込まれですか!? と三下は嫌がったが、編集長命令なので逆らえない。
「で、では今すぐ探検隊員の募集記事を書きますぅ〜!」
 三下はデスクに向かうと、急いで原稿を書き始めた。

『謎の手紙の調査をしてくださる探検隊員募集中。
 未成年が参加される場合は、保護者同伴、あるいは承諾を頂いてくださいますようお願いします。
 日時は○月○日、24時。集合場所はアトラス編集部、集合時刻は午後8時』

 その頃、指定された不知火家にいる和服を着たやつれ顔の男は、探検隊員が来るのをじっと待っていた。
「あの人達なら……きっと、私を解放してくれるはず……」

●保護者と探検隊員
「ごめんください、碇編集長と三下さん…いらっしゃいますか?」
 おっとりとしたスローテンポな口調で麗香と三下に会いたいとアトラス編集部を訪れたのは、背中まである緩やかなカールの長い金色の髪、童顔に釣り合っている大きな青い瞳の女性だった。
「あの〜どちら様…でしょうか?」
 三下忠雄は、おずおずと女性に用件を尋ねた。
「ミーのママネ!」
 女性の背後からひょっこり現れたのは、そばかすが可愛らしい少女、ローナ・カーツウェル。
「初対面の方に対して、自己紹介がまだでしたわね…。私はアレシア・カーツウェルといいます。娘のローナが、いつもお世話になっています」
 アレシアと名乗ったローナの母は、にっこり微笑んで礼をした。
(「わ、若いお母さんですね…!」)
 三下は心の中で吃驚していた。
「今日は、ママが一緒だからミーはとっても嬉しいヨ♪」
 アレシアに抱きついて喜ぶローナは、今までより楽しそうな表情で喜んでいる。
「こんばんは、碇編集長。今回も宜しくお願いします」
 礼儀正しく挨拶したのは、心優しい探検隊員、今川・恵那(いまがわ・えな)。
「こんばんは」
 探検隊のブレイン的存在ともいえるクールガール、飛鷹・いずみ(ひだか・いずみ)も恵那に倣い、挨拶をする。
「こんばんはだぴゅ。探検隊に依頼が来たぴゅ? 依頼が増えるということは、僕達メジャーになったんだぴゅね!」
 えへん、と胸を張り、今日も元気いっぱいのピューイ・ディモン。

●依頼内容打ち合わせ
「編集長、どうかしましたか?」
 相談中、思慮に耽っていた麗香の顔色が優れないのに気付いた恵那が心配そうに声をかけた。
「な、何でもないわ。皆もさんした君が書いた記事を読んできたのなら、今回の依頼の主旨はわかっているわね」
 募集記事が書かれた月刊アトラスをガラス製デスクの中央に置き、麗香は皆に確認した。
(「手紙の差出人は、どうして相談内容を書かないのかな? 今までの探検隊の活動で、ちゃんと記事になったものは少ないのに頼んでくるなんて……」)
 夢現と名乗る人物との件で、願いを叶えて欲しい幽霊が依頼者なのかも、と恵那は考え込んでいた。その様子を、いずみは無言で見ていた。
 夢現とは、アトラス探検隊に関わる正体、性別、素性等一切知れぬ存在の者で、死者の願いを叶えることができる。このことを知っているのは、ピューイ、ローナ、いずみ、恵那の4人だけだ。
 これまでのアトラス探検隊の記事になった依頼は三件。
 探検隊員が子供、であることは伏せ、内容はほとんど、というより大半が三下を除く編集部員が加筆したものだ。保護者代わりの三下が怖がりで、内容のほとんどをど忘れしている有様だからだ。
「どういう依頼かはわからないぴゅ。罠? いたずら? 僕は、この人は助けを求めているのだと思うぴゅ」
 どういう助けだかは不知火邸に行ってみないとわからないが、ピューイは依頼人を助けたいと思った。
「皆、遅くに編集部に呼び出してごめんなさいね。今日は話だけで終了するわ。探検隊員の皆には、早速で申し訳ないけど、手始めに不知火邸の調査から始めて頂戴。一目につかない時間帯は……記事にも書いてあった午前0時ね」
 さんした君、ちゃんと探検隊員の保護者代わりを務めるのよ! と麗香に念を押され
「は、はいぃ!」
 ビクついて返事する三下。
「依頼人から日時指定はあったけど、私が変更するよう不知火氏に連絡するわ」
 探検隊員達は、アレシアに送られてそれぞれの家に帰った。

 夜分に突然電話するのは失礼かと思ったが、麗香は不知火邸に電話をかけたが……。
『おかけになった電話番号は、現在使われていません』
 というアナウンスが。
(「電話、止められているようね。仕方ないわ、強硬手段だけど突撃取材になるわね」)
 連絡が取れない以上、これしか手段はなかった。

●不知火邸調査
 探検隊員の子供達は、翌日の午後から羽柴町に向かい、不知火邸の調査を始めた。
 まずは、昨日、麗香が手渡してくれた不知火邸の地図を見ながら、場所を確認。
(「この依頼……罠の可能性を考えた上で行動そたほうが良さそうね。相手がどんな人物かを見極めなければならないし」)
 他の探検隊員から少し離れ、いずみは慎重に考え込んでいた。
「いずみ、どうしたノ? 早く行こうヨ」
 ローナに声をかけられたことで、いずみの思考は一旦ストップ。
「それで、どうやって不知火邸のことを調べるの?」
 いずみの質問に
「ご近所の人に、学級新聞で歴史ある家について調べているとか言って聞き込みしようかな……と」
 恵那が考えた作戦は、調査としては怪しまれてはいない。ひとつ欠点があるとすれば、羽柴町は、マンションや住宅街から離れた位置にあることだ。
「ナイスアイデアなのに勿体ないネ……」
 残念がるローナの側を、両手にスーパーの袋を持った主婦が通り過ぎた。
「恵那ちゃん、聞くチャンスぴゅ!」
 ピューイに促され、主婦に不知火邸について聞く恵那。
「あの……この家のこと、何か知りませんか?」
 作戦通り、恵那は主婦から不知火邸のことを聞き出した。
「ああ、このお家ね。良くこの前を通るけど、半年くらい前から雰囲気が変わったみたい。何ていうか……そう、お化け屋敷のように雰囲気かしら。それ以前は、可愛らしいお嬢ちゃんの笑い声と、母親らしい女の人の声が聞こえたんだけど」
 主婦の話では、不知火邸の雰囲気が変わってから、母娘の声が聞こえなくなったという。
「それで、今、ここには誰が住んでいるんですか?」
「そうねぇ……ご主人一人だけじゃないかしら。以前は通いの家政婦さんが来ていたようなんだけど、見かけなくなったわねぇ。気味悪がってやめたのかしら」
 頬に手をあて、首を傾げながら考える主婦。
「どうもありがとうございました」
「おばさん、ありがとうぴゅ。学級新聞、書けそうだぴゅ」
「サンキュー♪」
「助かったわ」
 四人がお礼を述べた後、主婦は「それじゃあね」と家路に向かった。

「このお屋敷には、ご主人が一人で住んでいるのかもしれないのね。寂しくないのかな……?」
「それを調べるのが、ミー達の仕事だヨ」
「頑張るぴゅ!」
 恵那、ピューイ、ローナの遣り取りを見ながら
(「どうやら、私がサポートするしかないようね。この子達、疑うことを知らないようだから」)
 いざとなったら、臨機応変に行動しようと決めたいずみだった。

 その様子を、不知火邸の屋根の上から楽しげに見ている人物がいた。
『さて……あの者達、我が与えた情報でどこまで動くか楽しみだな』

●不知火邸探索
 午前0時、探検隊員は三下を引率して不知火邸に侵入した。
「皆、探検頑張ってね。でも、危ないことをしてはいけませんよ」
 アレシアの言葉に「はーい」と小声で返事する探検隊員。
「ところで…あなた達、その荷物は何かしら?」
 いずみが、ピューイと恵那を見比べて質問する。
「これ? お茶とお餅とお団子が入っているぴゅ。和風屋敷だから、桜の木もあると思うぴゅ」
「私はお夜食のお弁当を…。お屋敷のご主人にも食べてもらおうと思って。皆の分も用意してきたから」
 アレシアは、用意が良いのねぇと穏やかに微笑んで感心した。ローナは、そんな母の笑顔を嬉しそうに見つめていた。
「今回も『退治』ものなら、ミーはとっても嬉しいナ。退治したの、最初の依頼だけだったからつまんなかったネ」
 もののけ退治対策として、ローナはクナイを用意してきている。
「これは私達に任せられた調査なのよ。それをわかっているわね、皆」
 いずみの言葉に、力強く頷く三人。
「どこからお邪魔すれば良いのでしょうねぇ…」
「ママ、困った時は正面突破に限るネ!」
 ローナは、力を込めて正面の開き戸を開けようとしたが…無理だったので
「引いてもダメなら押してみな。これ、ニッポンの常識!」
 と、思いっきり蹴ったら…戸の片方がガタン! と倒れた。
「ローナったら、そんなことしちゃダメじゃない…」
 ゴメン、と謝るローナを素通りし、ピューイは不知火邸敷地に入り込んだ。
「ローナちゃん、ありがとうぴゅ。早く探検するぴゅ!」
 ピューイに促され、探検隊員達は次々に敷地に入り込んだ。
 三下は、こんなことして大丈夫かな…? 編集部に請求書来ないよね…? とビクついていた。

 辺りを見回すと、かつては手入れされていただろう庭は荒れ果てていた。大きな池には錦鯉が泳いでいるが、元気が無い様子。
「お腹が空いているのかもしれないぴゅ」
 ピューイは、先程恵那にもらったおにぎりをほぐし、鯉が食べやすいようにし池に撒くと……鯉達は、勢いよく顔を出し、米粒を食べ始めた。
「鯉達、餌をもらっていなかったのね…。可哀相に…」
 恵那は少し涙ぐんだ。
「ということは、この屋敷には主人以外いないということになるわね。その証拠に、家も荒れ果てているわ」
 いずみの言うことは尤もだ。誰かが住んでいるのなら、傷んだ箇所を業者に依頼して修正するだろう。だが、半年程度でこれほど荒れるものなのだろうか? それが最大の疑問だった。
「早くお屋敷の中に入ろうヨ」
 ローナが急かすので、探検隊員は屋敷内に侵入することに。玄関には鍵がかかっていなかっので難なく侵入できたが「お邪魔します」と挨拶してから、靴を脱いで上がる探検隊員。
 その頃、アレシアは嫌がる三下を説得して落ち着かせていた。
「三下さん、行きますよ。子供達だけでは危険ですから」
「は、はい…」
 何とも、情けない光景である。麗香が知ったら「情けないわね!」と怒鳴っていただろう。

●主人が見続けている夢
 屋敷内は、かなりの埃が溜まっていた。全く掃除をしていない証拠だ。
「靴下が汚れたぴゅ…」
「私のも汚れたわ…」
 靴下の汚れが気になってしかたがないピューイと恵那。
「コレはますます怪しいネ。お化けが出そうで、ミーはとっても楽しみ♪」
 先頭を歩いているローナは、やる気マンマン、ルンルン気分だ。
「こ、怖いですぅ〜!」
 三下は、情けないことにいずみとアレシアの後ろでこそこそと歩いている。
「三下さん、あなた、それで良くアトラスの編集者になれたわね。それが不思議でならないわ」
「い、いずみちゃん、僕を苛めないでくださいぃ〜!」
 自分より10歳以上も歳の離れた少女に対しても、敬語を使うくらい三下は小心者である。その様子を、アレシアは和んで見ていた。

 広い屋敷なので、主人らしき人物がいる部屋を見つけ出すのに相当時間がかかった。
 ローナは、指を舐めて人差し指を濡らし、障子紙に穴を開け、部屋の様子をそぉっと窺った。
「…!」
 月明かりに照らされた仄暗い部屋にいたのは…やつれ果てた不知火氏と、その妻と幼い娘だった。
「な、何て酷いやつれようなの…!?」
 主人の表情を見て、恵那は驚いた。
 その言葉の後、後ろから探検隊員達が聞きなれた声が。

『待っていたぞ、子供達。あやつを救うことができるのは、貴様等だけだ』

 白い着物を身に纏い、飄々とした外見のオッドアイの人物が、探検隊員にこう言った。
「あなたは…夢現、だったかしら? これも貴方の仕業なの?」
 いずみの問いに「何でも我のせいにするな」と軽く返す夢現。
「夢現さん、どういうことなのか説明してくれませんか? でないと、どうやってご主人さんを助けることができるのかわかりません」
「僕も知りたいぴゅ!」
「ミーも!」
 恵那に続き、ピューイとローナが訊ねる。アレシアは、これは子供達の仕事、とじっと様子を見ていた。三下は、夢現出現と同時に素早く逃げた。
『…わかった。一度しか話さぬ故、良く聞け』
 夢現の話では、最初に自分が願いを叶えたのは妻だったという。
 元来、身体が丈夫でない妻は、幼い娘を置いてこの世を去りたくない、生き返らせて、と懇願した。夢現の力で妻は蘇った。運が悪い事に、その二ヶ月後、娘が庭にある池で溺死した。娘は、お母さんと同じようにしてと願った。
 死人が生き返った屋敷、と使用人達は気味悪がり、一人、二人と徐々に暇を貰い、しまいには家族三人だけとなった。
「その間、ご主人さんはどうしていたんですか? ご飯を食べたり、眠ったりしなかったんですか?」
『最初のうちは、食欲等の「欲」があったが、今ではあの有様だ。妻と娘を抱きしめ、寝食を忘れ、人形のように後生大事にしておる。我は、死者の願いを叶えることはできるが、取り消すことはできぬ。願いは一度だけ…なのでな』
 恵那は、更に質問をした。
「それじゃ…生きているご主人さんの願いは、当然叶えられないんですね?」
 首を縦に振って答える夢現。
「そんな…。じゃ、どうすればいいんだぴゅ?」
 ピューイが、悲しそうな目で夢現を見る。
『強引な手段ではあるが…主人を現実に引き戻さなければならぬ。貴様等には、妻と娘を除霊してほしい。そうでなければ…あの者は、生涯、夢と現の狭間で生きねばならぬ』
 夢現には死者の願いを叶えることはできても、成仏させる能力はない。アトラス編集部に関わるものであれば、それが出来るものがいるだろうと思ったのだ。
「これは私の推測でしかないのだけど…アトラス編集部に主人の名を語り、手紙を出したのはあなたなの?」
 いずみの鋭い勘に対し、夢現は「そうだ」と答えた。
『手段は問わぬ。後は我が何とかする、早くしろ!』
 その一声に、探検隊員は主人を救うべく素早く動いた。
 
●朽ち果てる夢に光を
「いくヨー! 忍法、火遁の術!」
「ローナ、正気に戻った主人が逃げられるよう手加減して!」
 いずみの指示通り、ローナは主人に近づくなり畳にクナイを突き刺す。それと同時に、周囲は赤い炎に包まれたが、威力は低めにしてある。
『お願い、ご主人さん、元の世界に戻って!』
 恵那は、必死で主人が現実の世界に戻れるようテレパシーを送りながら祈る。

「…だ。無理だ、私は…妻と娘を残してこの家を去ることができない…」
 
 恵那の願いは、主人に届かなかったようだ。
「あの二人、夢を見てないぴゅ! だから、僕の能力使えないぴゅ!」
 悔しがるピューイ。
 探検隊員が絶望していたその時、主人は畳に突き刺されていたクナイを手にすると…自らの胸に深く突き刺した。
「私の妻と娘を生き返られた人はいるか…?」
 その言葉を待っていたように、夢現が姿を現した。
「私が死んだら…私達を…この世から消して欲しい…。存在も…記憶も…」
 そう言い残すと、主人の身体の力が抜け、静かに目が閉ざされた。

『その願い、聞き届けたり……』

 夢現の声が響き渡ると同時に、主人達の姿は掻き消えた。
『貴様等、早く逃げろ! 早くせぬと、この屋敷は炎に包まれる!』
「でも、それじゃ夢現さんが…」
『早くせい!!』
 夢現の気迫に押された探検隊員は、その言葉に従い屋敷から離れた。

「どうして…どうしてこんなことに…?」
 主人を救えなかったことを悔い、恵那は泣き出した。
「恵那ちゃん、それがご主人の願い事なのよ。願いが叶ったのだから、喜んであげましょう…ね?」
 アレシアは、恵那の目線に合わせて慰めた。
「でもママ、ミーもこんな終わり方イヤだヨ…。最初は退治できると思って嬉しかったけど、それが間違いだってことに、今気付いたヨ…」
 ローナも泣き出してしまった。
「ローナ、その考えは間違っていないと思うわ。それより、早く逃げましょう。私達が放火したと思われるわ」
「ちょっと待ってぴゅ」
 ピューイは、逃げ出す前にどうしてでもしたいことがあると言うので、もう少しだけその場に留まることに。

「このお屋敷に、綺麗な桜の花びらを散らせるぴゅ。ご主人様達、天国から見ててぴゅ…」

 ピューイは祈りながら、屋敷全体に桜の花びらを散らし始めた。炎に包まれながらも、無数の花びらが舞い落ちた。
 誰かが通報したのか、消防車のサイレンが遠くから聞こえてきたので、探検隊員とアレシアは、その場を立ち去った。三下は…既に逃げ出していたが。

●編集長に報告を
「…以上が、今回の調査の結果よ」
 探検隊員を代表して、調査をまとめたレポートをいずみが麗香に手渡した。
「ご苦労様。どれ…」
 麗香がレポートをパラパラ捲りながら見ている間、恵那は、あんな結末良くないよ…と思っていた。それほどまで、今回の調査は後味の悪い結末だった。
「細かく書かれているわね。これなら、完璧な記事にできそうね。この仕事は…」
 鋭い麗香の視線の先は…言うまでも無い。

「さんした君! この子達のレポートを参考に最高の記事を書きなさい! いいわね!」
「そ、そんなぁ〜!」
「当然よ! 皆が頑張っている間、一人でスタコラサッサと逃げ出したんだから!」
 このことは、探検隊員、アレシアは一言も触れていないのだが、何故、麗香は知っているのだろう?

 夢現の仕業? という疑問を残したまま、今回の探検隊員の活躍は終了した。

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【1271 / 飛鷹・いずみ / 女性 / 10歳 / 小学生】
【1343 / 今川・恵那 / 女性 / 10歳 / 小学四年生・特殊テレパス】
【1936 / ローナ・カーツウェル / 女性 / 10歳 / 小学生】
【2043 / ピューイ・ディモン / 男性 / 10歳 / 夢の管理人・ペット・小学生(神聖都学園)】
【3885 / アレシア・カーツウェル / 女性 / 35歳 / 主婦】

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■         ライター通信          ■
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氷邑 凍矢です。アトラス探検隊員の皆さんに再びお会いできて嬉しいです。
今回の依頼は、後味の悪い結果となりましたが、ピューイくんの桜の夢で一家は救われたと思います。

>飛鷹・いずみ様
いつもご参加してくださり、ありがとうございます。
今回は、静観というカタチでブレイン役になっていただきました。
注意深い行動を心がけているのが、いずみさんの長所ですね。

>今川・恵那様
いつもご参加くださり、ありがとうございます。
今回も恵那さんの心優しいプレイングが見られて良かったです。
いつまでも、優しい心を忘れないでくださいね。

>ローナ・カーツウェル様
いつもご参加くださり、ありがとうございます。
お母様とのご参加でしたので、少し甘えるところを描写してみました。
勇気と決断力が、皆の士気を高めてくれましたので、今後もそうであって欲しいです。

>ピューイ・ディモン様
いつもご参加くださり、ありがとうございます。
今回、能力を活かしきれなくて申し訳ございませんでした。最後のみ、使わせていただきました。
明るく、優しいピューイくんの心が、一家に届いたことを願っています。

>アレシア・カーツウェル様
ローナさんのお母様、はじめまして。娘さんの活躍振りはいかがでしたでしょうか?
保護者として引率してくださったうえ、三下の面倒を押し付けてしまい申し訳ございませんでした。
ラストの恵那さん、ローナさんに対する接し方は、優しいお母さんの雰囲気を醸し出してみました。

探検隊員の皆様、体調を崩さぬようにしてくださいね。
元気一杯、勇気一杯、溢れんばかりの行動力をまた見せてください。
本当にお疲れ様でした。またお会いできることを楽しみにしつつ、失礼致します。

氷邑 凍矢 拝