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<東京怪談ウェブゲーム 神聖都学園>


春の嵐 新入生歓迎会

◆春の嵐◆
 
 春。それは出会いと別れの季節。
 旅立つものを見送り、そして新たな朋輩を迎える季節。

 満開の桜が春を告げる中で行なわれた神聖都学園入学式。
 新たな環境にもようやく慣れてきた新入生たち。
 これは、そんな彼らが迎える最初の試練。

 新入生歓迎会。
 それは、歓迎会という名の洗礼の儀式。

 新入生歓迎会。
 それは、ときに春の嵐に喩えられる……。

†††

 神聖都学園が新年度を迎えてから1週間が経ったころ。
「で、今年は何人くらいエントリーしてるんです?」
「さて、何人でしたかなぁ……。あんまりハデにやられても困りますしねぇ」
「ん〜、僕としては新入生たちが楽しんでくれればそれで良いと思ってるんですケド」
 今月の学園のスケジュールが記された黒板を前に、なにやら話しこむ3人の男性教師。
 彼らの視線は一様に黒板に記されたあるイベントを印を見つめている。

 4月○日 新入生歓迎会。

 入学式が学園主導の歓迎式だとすれば、コチラは学生主導の歓迎イベント。
 学生たちによって新入生を歓迎するための様々な催し物が開かれる……のだが、そこれそれ。
 ありとあらゆる怪奇現象が近所のラーメン屋に出前を取るような気軽さでお届けされる神聖都学園。
 そんじょそこらの学校の新入生歓迎会とはワケが違う。
 毎年このイベントを機に入学早々学園を去ってゆく新入生もいるほどだ。

「はぁ……私って、なんでいつもこんなソンな役回りばっかりなのかしら……」
 無責任な会話に花を咲かせる男性教師たちに恨めしげな視線を向け溜息をつく1人の女性。
 神聖都学園音楽教師、響・カスミ。
 嫌いな言葉は四捨五入。理由は30代になってしまうから。
 カスミは、今年の新入生歓迎会で学生たちが行なう催事監督を任され……もとい、押し付けられたのだ。
 彼女が呟いたとおり、この歓迎会の催事監督はソンな役回り。有体に言うと貧乏クジもイイトコだった。
 個性的すぎる生徒たちによって行なわれる催し物の数々は、死者こそ出ないものの毎年負傷者は数知れず。
 そんなイベントの催事監督を進んで引き受けるような人間はまずいない。今回だって何時まで経っても決まらずに結局職員総出でのジャンケン大会が行なわれるほど揉めに揉めたのだ。
「嗚呼、カミサマお願いします……どうか何事もなく無事に終わってくれますように……」
 机に突っ伏して天に祈るカスミ。
 キリストでもアッラーでもオシャカサマでも、とにかくこのお願いを聞いてくれるならどんなカミサマだろうと構わない。そんな暗澹たる気分だった。
 ……だが、
(あ〜……残念ぢゃがそれはムリぢゃな)
 果たして夢か幻か。それともどこかのカミサマか。
 そんな風に言ってイヂワルそうにニヤリと笑うこまっしゃくれた子供の姿がカスミの脳裏を過ぎったのだった。

◆嵐の前のカスミ先生◆

「ったく……なにやってんだよカスミ先生は。しょうがねぇなぁ……はい、これ回収してきた企画書」
ドスン、と紙の束とは思えないほどの重々しい効果音とともにカスミの机に新たに積まれたそれは、そのすべてが今度の新入生歓迎会に際して学園の部活動やサークル・個人などから提出された企画書。
小柄なその体格に似合わぬ膂力を発揮して企画書の山を職員室まで運んできたのは、この神聖都学園の高等部に籍を置く男子学生の不城・鋼。
「うぅぅ〜……不城くん、ありがとぉ〜」
そして、机に突っ伏し滝涙を流しながら中身も碌に確認せず山と積まれた企画書に「認可」のハンコを押しまくる女性こそ、今年度の新入生歓迎会で催事監督(貧乏クジ)を任された神聖都学園音楽教師、響・カスミである。
―― はぁ……。
なんと言うか、その教師にあるまじき情けなさマックスなカスミの様子に、鋼の口から溜息がひとつ。
責任感が強く、どんな生徒に対しても親身に接し、その授業内容はすこぶる評判がいい。なるほど、教師としての資質には全く以って問題ナシ。
しかし、いまの彼女の様子を見ていると、この神聖都学園で教鞭を執るにはチョッと……と言うかカナリ問題が有りそうにも思える。
まぁ、一番の問題はこの学園自体にあるのだが……。
「あ〜ほら、そんな泣かないでくださいよ。俺も手伝いますから」
放課後、既に定時を過ぎ帰宅の途についたカスミの隣の男性教師の机から安っぽいクルマ付きパイプ椅子を拝借してどっかと腰を下ろし、鋼は山積みの企画書に目を通し始める。
ともすればぞんざいでぶっきらぼうな感もある鋼の態度だが、なんだかんだ言いながらカスミを手伝っているあたり、彼も相当にお人好しなのかもしれない。
鋼が提出された企画書の内容に目を通し、問題が無さそうならカスミに流す。
その横で、ぺたこん、ぺたこん、と珍妙な音を立て続けるハンコ押しマシーンと化しているカスミ。
ハンコを押す手は休めずに、机の脇に寄せられた紙の束をチラリ。
「ぁ〜ぅ〜……なんでこんなにあるのよぉ〜……」
そして、再び滝涙。
……だが、カスミはこのときまだ知らなかった。
いや、もしかすると故意に考えないようにしていたのか、或いは眼前の困難(企画書の山)に思考停止していたのか、とにかくカスミは失念していた。
新入生歓迎会という名の嵐が、まだ始まってすらいないと言うことに。

◆嵐の部活動勧誘合戦◆

「そこのキミ! 俺たちと一緒に青春の甲子園を目指さないか!?」
初春の光を受けて青く輝くイガグリ頭の野球部員が声高に叫ぶ。
「野球なんてもう古い、時代はサッカー! さぁ、僕たちと一緒に国立競技場に行こう!」
その声を遮る様にして現れたのは、白く輝く歯が印象的なサッカー部員。
小脇に抱えたサッカーボールにはデカデカと「ボールは友達」と書かれていたりする。
「野球がなんだ、サッカーがなんだ! ぶつかり合う肉体、飛び散る汗、目指せ花園!」
睨み合う野球部員とサッカー部員。しかし、その両者を押しのけて現れる第三の男。
高校生とは思えない筋骨隆々ガッチリとした体躯。
さして暑くもないのに全身から滲み出る汗は、彼の人となりをよく現していると言えよう。
新入生らしき学生を見つけてはガッシと肩を掴み、或いは手を握り、半ば強引に入部届にサインを迫る男三人。哀れ標的となった新入生は、まるで三匹の野獣に囲まれ脅える小鹿のようにガタガタと震えている。
「ふわぁ……これが新入生歓迎会ですかぁ」
そして、いまやチョッとした騒ぎ……と,言うか次から次へと現れる勧誘者によって徐々にカオスの様相を呈しつつある勧誘合戦を遠巻きに見つめる少女が1人。
この神聖都学園に編入と言うカタチで入学して今年で2年目になるのだが、1年目は何かと忙しく過ごしていたため新入生歓迎会には参加できなかった。
そう言う事情から、今年こそはと1年遅れの新入生歓迎会を楽しみに来たのだったが……
「触らぬ神に祟りなし、君子危うきに近寄らず……だったかな? たしか、この国のことわざでしたよね」
とりあえずこの場は離れるが吉。少女はそう考え、誰にも見咎められないようにゆっくり慎重にその場をあとにしようとしたのだが……
「おおっ! そこのキミ、ぜひ我がカバディ部で一緒に青春しないカバディ?」
突然現れた語尾がチョッとヘンな男に、ものの見事に『捕獲』された。
「何をバカな! そんなマイナーな部よりウチのセパタクロー部においでよ。ねぇ、キミ名前はなんていうの?」
さらに、間髪いれず、もう1人。
……どうやら運命の神様というヤツは思った程やさしくないらしい。
「え、あの、その、私はアリス・ルシファール……いや、そうじゃなくて! 私はその……そう! 私は、中等部の生徒ですからっ!」
この場で勧誘に当たっている学生のほとんどは学園高等部の生徒。自分は中等部の学生だから、と言えば見逃してもらえるハズ。
とっさに思いついたにしては我ながら良い口実だ……と、思ったのも束の間。
「いやいやいや、そんなコト関係ないね! 中等部だろうが初等部だろうが、ウチの生徒ってことには変わりない。ところでキミ、シンクロに興味あるよね?」
視界下方からナニやら珍妙なポーズを決めてにゅっと姿を現した1人の男。
春とは言えまだ肌寒い風も吹くこの時期にビキニパンツ一丁というその姿は、学園内でなければ不審者として警察のご厄介になるであろうこと間違いなし。
降って沸いたような三つの災難に引き寄せられて、カオスの焦点がアリスの方へと移動しつつある。そんな気配。
運命の神様ってのは、優しくないどころか、カナリ底意地が悪い性格なのかもしれない。
四方どころか八方全周を怪しげな格好をした勧誘者に囲まれ逃げ場を無くしたアリスは、ふとそんなことを考える。
―― だが、
「おまえらさ、こんなトコでなにやってンの?」
捨てる神あれば拾う神あり。いまや騒ぎの中心となったアリスを取り囲む勧誘者の群れ、その輪の外側から、静かで抑揚のない、それでいて絶大な存在感を宿した声が響き渡った。
「ふ、不城・鋼……さん」
アリスに群がっていた連中の中の誰かが、震える声でそう言った。

「もう一回だけ訊くぞ。おまえら、こんなトコでなにやってンの?」
ニッコリと無邪気な笑みを浮かべて静かに話す不城・鋼。その腕には「監督助手」の文字が書かれた腕章。
「いや、俺らはホラ、新入部員とかマネージャーとかの勧誘をチョッと……な。あは、あははは……」
野球部員のイガグリが冷や汗を浮かべながらそう答える。
一見すると微笑んでるように見える鋼の顔だったが、その実、目が笑っていなかった。
「ふぅん、そっか、勧誘か。……確か、部活動・サークルの勧誘は学園側から割り当てられた所定の場所でやること……って、言われてたよな?」
腕を組み、不動の姿勢のまま問い掛ける鋼の姿。
身長153センチ、体重45キロ。一見すると小柄で、ともすれば弱々しくも見えるその身体から発せられる強大なプレッシャー。
「うっ……」
その場にいた全員が小さく呻いて後退る。
中にはそろりそろりと足音を忍ばせ逃げ出そうと試みる者もいたが、その瞬間、己に向けられた鋼の視線に気が付き動きを止める。
「言 わ れ て た よ な !」
「は、はいぃ!」
有無を言わさぬその迫力。
胸の前で組まれていたハズの腕は、いつの間にか拳を形作っている。
「―― 南無阿弥陀仏」
遠巻きに騒ぎを眺めていた野次馬の1人が、掌を合わせて呟く。
「だったら! こんなトコで新入生脅えさせてねぇで、さっさと自分の持ち場に戻りやがれぇぇぇぇっ!!!」
せめて死人だけは出ませんように……と、祈りを込めて。

◆クラスメイトのお願い◆

右を見て、息をひとつ。左を見て、息をひとつ。
―― はぁ〜……
そして、後ろを振り返り、自分を追いかけて来るような気配が無いことを確認して、一際大きな溜息ひとつ。
「う〜、噂には聞いてたケド……まさか、あんなに激しいなんて……」
計らずも、自分が中心となってしまった先の騒動。
一癖も二癖もある学園に集まった、一癖も二癖もあるような生徒。そして、その生徒によって結成された、もはや何癖あるか見当も付かないような部活動やサークル。
争奪戦に巻き込まれる前に逃げて回ろうと心掛けていたのに、結果フタを開けてみればあの有様。
自分がこの学園に対して持っていた理解がまだまだ甘かったことを実感させられる出来事。その意味では新入生歓迎会に参加したことはムダではなかった。
「……そう言えば、ココ、どこかな?」
呟いて、アリスは周囲を見回す。
1人の男子学生の出現によって自分への注意が逸れた隙を衝いて何とか騒動の場を逃れたアリスだったが、周囲をあまり確認せず逃げ回った所為でいま自分が学園のどの辺りにいるのかを見失ってしまっていた。
学園に存在する数多の運動部が鎬を削って勧誘合戦を行っていた先ほどの場所と比べると、周りの雰囲気は大分落ち着いた感じ。
看板やのぼりに目をやれば、それらは料理研究会主催の屋台だったり、服飾課の生徒たちが作った小物やアクセサリーを売る出店だったりで、静かながらも程よい賑わいを見せている。
「あーっ! アリスってば、こんなトコにいたー」
そんな雰囲気の中、突然響いたその声に、アリスはビクッと肩を震わせる。
まさか、さっきの運動部の誰かが懲りずに追いかけてきたのでは……。
一瞬、そんな考えが頭の片隅に浮かんだがすぐに否定。声の感じから察するに声の主は女性、しかも自分を知っているみたいだ。
おそるおそる、アリスが声のした方へと振り向くと、
「もぅ、いったいドコに行ってたのよ? 探したんだからね」
そこにいたのは、少しだけ怒った風に頬を膨らませアリスを睨むクラスメイトの姿だった。

「えっと……じゃあ、そのコンサートで1曲歌えばいいの?」
「そゆこと。あたしを助けると思って、ね? お願い」
アリスの事をずっと探していたと言うそのクラスメイトの話を聞き終えて、アリスは暫し考える。
アリスの前で手を合わせ頭を下げるクラスメイトの言はこうだ。
自分が所属するクラブが主催する新入生歓迎のコンサート。どうもイマイチ盛り上がりに欠けるそれに花を添えるため、ぜひアリスに飛び入りで参加して欲しい……と。
「……ん、わかりました。いいですよ」
ほんのチョッとだけ考えて、快くそう返事をするアリス。その言葉にクラスメイトの少女の顔がパッと綻ぶ。
もともと歌は嫌いではない……と、言うかむしろ好きな方だし、少し恥ずかしいけれど『上手い』と褒められたことも何度かある。
それに、何より、
「任せて下さい。きっと、あなたの役にたってみせます!」
その子が自分を頼りにしてくれた、と言うことがアリスは純粋に嬉しかったのだ。

◆嵐の終わりのコンサート◆

「ほら、カスミ先生、シッカリしてくれよ。もうすぐ終わりだからさ」
「う〜、もうダメー、疲れたー、歩けないー」
今日1日、広大な神聖都学園の敷地内をアッチへ行ったりコッチへ行ったり。
問題を起こしそうなサークルや部活動の見回り・点検をしたり、迷子になった新入生(主に初等部)の世話をしたりと忙しなく動き回っていたカスミの疲労は、夕方、新入生歓迎会の閉幕を待たず既にピークに達していた。
「えーっと……次、次の見回りで最後だから」
もはや自立すらままならない体のカスミを励まし、支えているのは、前日からのカスミの様子を見るに見かねて『監督助手』として今日1日イロイロと手伝いをしていた不城・鋼。
いや、今日の新入生歓迎会でカスミを手伝ってくれたのは鋼だけではない。
鋼の知り合いの女生徒も何人か迷子の案内を手伝ってくれたし、どこかで騒ぎが起きた時それを知らせに来てくれた生徒もいた。
(なんていうか、このあたりはカスミ先生の人望のなせるワザ……だよな)
たまに情けない姿を生徒に晒すこともあるが、それでも神聖都学園の生徒の中にカスミを悪し様に罵るような者は1人もいない。
自分よりも小さい鋼の肩にだらしなく寄り掛かるカスミを見て、鋼はふとそんなことを考えた。
「つぎで最後? ほんとう? うそだったらもう働かないわよ!」
「カスミ先生に嘘ついてどうすんのさ。次の音楽部のコンサートで正真正銘最後だよ」
右手と右肩でカスミを支えつつ、鋼は左手に持った資料を確認する。
どうやらこの先にある第二体育館で音楽部のコンサートが開かれているようだ。
確かに、歩を進めるにつれて次第にハッキリと聞こえてくる、ギターを掻き鳴らす軽快な音、ドラムを弾くリズム、弾むような少女の歌声、そしてそれに応える観客の歓声とざわめき。
この様子から察するにイベントは盛況、特に問題は起きていないようだが……。
「……あら?」
しかし、鋼とカスミの二人が第二体育館の前まで来た時だった。
「ん? カスミ先生、どうしました……って、あれ?」
カスミが何かに気が付き顔を上げる。一体どうしたのか、それをカスミに訊ねようとして……鋼もすぐに気が付いた。
「音が……止んだ?」
いまのいままで体育館の中から漏れ聞こえていた音楽が、観客たちのざわめきが、まるで潮が引くように、一斉に途絶えていた。

いったい何が起こったと言うのか?
一瞬、互いに顔を見合わせた後、意を決して体育館の扉を開き、飛び込んで……

―― Sunctus Sunctus Sunctus.(聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな……)

静寂に静まり返った体育館に響き渡る、天使の歌声を聴いた。

―― Dominus Deus Sabaoth.(万軍の、神なる主)

一切の伴奏なく、金色の髪が印象的な少女が紡ぐその歌は、父と子と聖霊、三位一体の神へ捧げる感謝の賛歌。

―― Plenisuntcaeli Etterra Gloria Tua.(あなたの栄光は、天と地に満ち溢れる)
―― Hosanna in Excelsis.(いと高き、ホザンナ)

誰もがその歌声に聴き入っていた。一切物音を立てず、ただ静かに、その歌に。

―― Brnedictus Quivenitin Nomine Domini.(主の名によって来る者に、祝福がありますように)
―― Hosanna in Excelsis.(いと高き、ホザンナ)

短い歌が終わり、一瞬の間を置いて波のように体育館中に広がる拍手と歓声。
照れ笑いに顔を綻ばせ、ぺこりと頭を下げる金髪の少女。
窓から差し込む斜陽に照らされ、その頬はほんのり朱に染まっていた。

◆嵐のあと◆
神聖都学園、春の一大イベント新入生歓迎会はその幕を閉じた。

大きな騒動こそなく死人こそ出なかったものの、小さな小競り合いレベルのものや、それに巻き込まれた負傷者は数知れず。
とは言え、鋼たち生徒有志の協力を得たカスミの働きもあり、どれも押し並べて大事に至ることはなく、学園関係者は安堵の息を漏らしたという。

一方、クラスメイトの頼みに応えてアリスが参加した音楽部のコンサートは、今年の新入生歓迎会で一番の盛り上がりを見せ、音楽部には次の日から山のように新入生が殺到したという。
しかし、あの天使のような歌声でア・カペラを披露した女生徒が部員でなかったことが知れるや否や、その数は一気に減ってしまったらしい。
他力本願では結果は得られない、そう言うお話。

入学式を終え、新入生歓迎式を終え、改めてこの神聖都学園の仲間として迎え入れられた新入生たち。
一年後、今度は彼らが迎える側となって、春の学園を大いに賑わせてくれる事だろう。
世はすべて事も無し。
こうして、神聖都学園の騒がしい伝統は、今日も滞りなく受け継がれてゆく。


■□■ 登場人物 ■□■

整理番号:2239
 PC名 :不城・鋼 (ふじょう・はがね)
 性別 :男性
 年齢 :17歳
 職業 :元総番(現在普通の高校生)

整理番号:6047
 PC名 :アリス・ルシファール (ありす・るしふぁーる)
 性別 :女性
 年齢 :13歳
 職業 :時空管理維持局特殊執務官/魔操の奏者

■□■ ライターあとがき ■□■

 不城・鋼さま、アリス・ルシファールさま、はじめまして、こんばんわ。或いはおはよう御座います、こんにちわ。
 この度は『春の嵐 新入生歓迎会』へのご参加、誠に有難うございます。担当ライターのウメと申します。

 神聖都学園、春の祭典『新入生歓迎会』お楽しみいただけましたでしょうか?
 案の定、ドタバタしていたようですが……不城さまの協力でとりあえず死人だけは出ずにすんだようです。
 まぁ、負傷者のうちの何割かは彼の鉄拳制裁によるものと言う説がありますが……まぁ、結果オーライです。

 アリスさまは、どちらかと言えば振り回される側でしたが、ご満足いただけましたか?
 ちなみにアリス様に劇中で歌っていただいたア・カペラは、グレゴリオ聖歌の『聖なるかな』です。
 曲の指定は特になかったようなので、アリス様のイメージから聖歌を選ばせていただきました。

 神聖都学園は、シリアス・バトル系よりもギャグ・コメディ系のほうがなんだかシックリくる気がします。
 今後も時節を見て『学園』という舞台を生かしたシナリオを上げていきたいなーと考えておりますので、
 もし機会とご縁があれば宜しくお願い致します。
 5月って何か学校でイベントあったかなぁ……なんてことを考えつつ、本日はこれにて。

 それでは、また何時の日かお会いできることを願って、有難う御座いました。