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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


王子様は二度死ぬ<後編>

「そろそろ帰るかぁ」
「……そうね。私もちょっと疲れたかも」
 日の暮れかかった通りを二人で歩く。
 辺りは帰路につく人たちでごった返していたが、それでも二人がはぐれる事はない。
 ユリは小太郎の手をしっかりとつかんでいた。

 こんな事になったのも先日、小太郎と一緒にいようと決意したユリが小太郎をデートに誘った事から端を発する。
 と言っても、デートに行きませんか、と誘ったわけではないので、小太郎はただユリと一緒に外をぶらついた、程度にしか考えていないようだが。
 今日は普通の人は平日だが、小太郎は休日。小太郎の中学校が開校記念日だそうで、平日にガラリとしていた町を二人で歩き回ったのだった。
 賑やかさはなかったが、それでも楽しかった。
「朝から歩き通しで疲れたろ? 興信所でちょっと休んで行けよ」
「……うん、そうさせてもらう」
「っつっても、興信所までは、まだもうちょっと歩くけどな」
「……それぐらいなら大丈夫だよ。私だって鍛えてるんだから」
 今日という日はユリにとって、とても記念すべき日になっただろう。
 この上なく幸せな時を過ごせていただろう。
 だが、それは過去形なのだった。

「三嶋 小太郎さんですね?」
「は?」
 小太郎がいきなり見知らぬ男から声をかけられる。
 その男の外見はライダースーツにフルフェイスのヘルメット。ヘルメットのガラス部分はフルスモークでその奥の顔は窺い知れない。
 ユリは直感でこの男は危ないと悟り、小太郎に告げようとするが、それよりも早く、ライダースーツの男が行動する。
 男の手にはいつの間にか剣が握られており、その刀身は深々と小太郎の胴に突き刺さった。
「何の恨みもないけど、お命頂戴ってな」
「……っが!?」
 突然の凶刃。小太郎はそれに反応すら出来ず、ユリは起こってしまった事に何一つ対応できないでいた。
 ライダースーツの男はそのまま剣を隠し、人込みに紛れていった。
「い、い……いやぁぁぁああ!?」
 ユリの大声に、周りの人間も何事か、と視線を向けてくる。
 視線の先には血を流す小太郎が見えているはずだが、しかし、誰一人として助けてくれそうにはない。
 人の流れはただ無言で右から左へ、左から右へ。
 そんな冷たい対応にもユリは気を割いている余裕はない。
 驚いて立ち尽くしていた自分に気付くのもやっとで、それに気付いてからはすぐに小太郎の許に駆け寄る。
「小太郎くん! 小太郎くん!!」
 呼びかけて、倒れてしまった小太郎を抱き起こそうとしたのだが、その前に後ろから手を引かれる。
 振り返るとそこには、また見知らぬ男がいた。
 今度はライダースーツも着てない、ヘルメットも被ってない、普通の高校生のように見えた。
「こっちへ来い。アンタは俺の金づるだ」
 その男に強引に引っ張られ、ユリは引きずられるようにして連れて行かれた。

***********************************

 その数分後。
「邪魔くせぇぞ、ガキ」
 と、知らないおじさんに蹴飛ばされて、小太郎は飛び起きた。
「あ、ああ。ご、ごめん」
 通りの真ん中でほぼ大の字になって寝転がっていたのだ。それは邪魔だろう。
 何故、こんな所で寝転がっていたのか。記憶が混乱して少しの間思い出せなかったが、すぐに掘り起こされる。
「あ……俺、殺されたんじゃ……」
 確かに、胴に剣を刺され、パッと見致命傷に見えたのだが、どうやら小太郎は生きている。
 それどころか、傷も痛みもない。あるのは血糊で汚れた上着だけ。
「……ど、どういうことだよ。……あっユリ!?」
 傍らにユリの姿が見えない事に気付き、小太郎は辺りを見回す。
 先程よりも日が暮れて、かなり暗くなり始めた。やはりごった返す人波に、ユリの姿は確認できなかった。
「くそっ、なんだってんだよ……っ!」
 自分の理解の範疇を越える出来事に、混乱しっぱなしの小太郎。
 だが、覚えている事が一つ。あの男の声。小太郎を刺したあの男の声はどこかで聞き覚えがある。
「何考えてやがるんだ、トライエッジの野郎!」
 それは狐騒動の時に出会った、一人の雇われハンターの声だった。

***********************************

 すぐさま携帯電話を取り出し、興信所にかける。
「あ、草間さん!? 俺、小太郎だよ!」
『あん? どうした、今日お前はユリとデートだったろ? 何か失態でもやらかしたか?』
「違ぇよ! いや、違くないけど、大変なんだよ!」
 いつものような慌て様ではない小太郎に、武彦も何かを感じ取る。
 どうやらユリを怒らせてしまったわけでは無さそうだ。
『ああ、今からそっち行くから、そこから動くんじゃないぞ』
「わかった!」
 通話を切り、携帯電話をポケットにしまった瞬間、ビルの陰から興信所の面々が現れる。
 即ち、黒・冥月、黒榊 魅月姫、シュライン・エマ、そして所長の武彦だ。
 おそらく、冥月か魅月姫の能力で転移してきたのだろう。
「せっかくのティータイムでしたのに、突然呼び出しなんて無粋ですね」
 いつも表情に乏しい魅月姫だが、それでもわかるくらいに不機嫌を前面に出している。
 とは言っても、今、小太郎に向かってその不機嫌を発散するような真似はしないが。
「どうしたんだ、小太郎。何があった」
 武彦が小太郎に近寄って尋ねる。
「それが、ええと……俺が刺されて、ユリがつれてかれて、気付いたらこんな事に!」
「……高性能な翻訳機が必要だな。シュライン、わかるか?」
「ちょっと情報が曖昧すぎるかも。もっと落ち着いて話してもらわないと」
 シュラインの意見を聞いて、冥月がフムと唸り、小太郎の頬を一つはたく。
 その痛みと衝撃で、小太郎は多少の混乱を取り除けたようだ。
「良く聞け、小僧。索敵も追跡も出来ないお前にできる事は二つ。言ってみろ」
「ええと、犯人を追いかける!」
「違う。人の話を聞け。お前が今、どうやって犯人を追う? 何処に居るかもわからないのに」
「あ、そ、そうか」
 冥月に言われて、小太郎は一つ深呼吸をする。
 そしてややしばらく考えた後、幾分スッキリした目を向けて答える。
「探し出すのは師匠たちに任せて、その後犯人をぶちのめす」
「もう一つは?」
「犯人の情報をみんなに伝える事。……っつってもあんまり覚えてないんだけどな」
 それでも何も無い所からはじめるよりは随分マシだ。
 落ち着いた小太郎は記憶を掘り返して、自分の知っている犯人の事を話す。

***********************************

「つまり、トライエッジともう一人、高校生風の男がユリを連れて行った、と」
「多分あの二人はグルだと思う。あんな良いタイミングで殺人未遂と誘拐が同時発生しないだろ」
 小太郎の気絶する直前までの記憶を聞いて武彦が顎を押さえる。
「まぁ、状況から見てもその二人が仲間なのは間違いないな。問題はユリを何処へ連れて行ったのか、どうするつもりなのか、か」
「ユリさんを連れて行ったのでしたら、目的は興信所への報復、若しくは彼女自身かIO2への恨み、でしょうか」
「小太郎を刺したのも考えると、前者の方が濃いかもな……。俺、何か恨みを買うような事したか……?」
 武彦が頭を掻いてため息をつく。……待てよ、恨み?
「そういえば、こないだ、小僧が恨みを買うような事してくれたな?」
「は? 俺!?」
「その辺のゴロツキに手ぇ出したろ! アレだ! きっとアレの所為でこんな面倒な事に……っ!」
「た、武彦さん!」
 シュラインが武彦の言葉を遮る。というのも、小太郎が俯いて肩を震わせていたからだ。
 小太郎は小太郎なりに責任を感じているのだろう。原因を追究するのは後回しにしよう。
「……犯人の目的、か。俺たちへの復讐となると、攫って行ったユリを使って何か要求してくるかもな」
「興信所の方には零ちゃんがいるから、何かあればすぐに連絡が来ると思うわ」
「だが、相手の行動理由を一つに縛るのは危険じゃないか? もしかしたら別の理由があるのかも知れん」
 冥月の意見に武彦が首をかしげた。
「例えば?」
「……そうだな。いつぞやの佐田 征夫のような事を企んでいるかも知れん」
「能力符の大量生産? どうやってだよ?」
「同じ能力の人間が二人以上居ないとも限らん。もしかしたらその高校生風の男の方が佐田と同じ能力を有している可能性もある」
「それに、勘での話ですが――」
 冥月の意見に合わせて魅月姫が話す。
「もしかしたら、先日、ユリさんの依頼で行った符の回収の件。あの時に居た『こそ泥』がトライエッジか誰かだとしたら、佐田の符をくすねたのかもしれません」
「佐田の能力符ってあったのか!?」
「可能性の話です。もしかしたら、そういう事もあるかもしれません」
「トライエッジは以前、符を使っていたし、考えられない事でもないかもしれないわね」
 シュラインも頷いて答える。
 妖狐の事件の時、トライエッジは逃げる際に符を使っていた。
 先日の『コソ泥』の件も、もしかしたら移動は能力、若しくは符を使っていたのだろう、と予測されるので、トライエッジが『コソ泥』だとすると筋も通る。
「トライエッジがその高校生風の男とつるんでいるんだとしたら、符を使っている事に目をつけられて雇われたか、それか若しくは何か企みがあって符の話を持ちかけたか。どっちにしろ、もう少し裏がありそうね」
「まぁ、わざわざ殺さずに攫った所を見ると、ユリに害を及ぼすような事はしないだろう。手の届かない所に行く前に奪還するのが得策だと思うがな」
「推測に時間をかけても仕方ない、か。よし、じゃあ全員、自分のやる事をキッチリこなせよ」
 武彦が号令をかけ、その場に居たメンバーが各々頷く。
「小太郎も、大丈夫だな?」
「あ、ああ」
 確かめるように武彦に尋ねられ、小太郎は慌てて返事をした。

***********************************

「それにしても、また同じ事を繰り返してますね」
 ゴツン、と魅月姫の拳が小太郎の頭の上に落ちた。
「痛っ! な、なにすんだよ!」
「何してたんですか、本当に。佐田の時とほとんど変わらないじゃないですか」
「……っう」
 確かに、またも同じようにユリを攫われてしまっている。
 魅月姫に冷たい視線を向けられ、小太郎は俯いて反省を示した。
「わかってるよ。俺の力不足でユリが連れ去られた事も、もしかしたら俺の所為でこんな事件が起こっちまったって事も」
 つまり、ゴロツキの件がこの事件に繋がっている可能性のことだ。
 あの時、小太郎が無視して帰ってきていれば、こんな事にならなかったかもしれない。
「それを反省し、一人で突っ走らなかっただけ、お前も成長したという事か」
 冥月が小太郎の隣に立ちため息のように呟く。
「昔のお前なら、一人でユリを助け出そうと思っただろうな」
「……トライエッジには、俺一人じゃ敵わない」
 妖狐の件で嫌というほど思い知った。トライエッジには、今の小太郎では敵わない。
「魅月姫も勘弁してやってくれないか。コイツの不出来は師匠である私の落ち度だ」
「し、師匠! それは違うって! 全部俺の所為なんだから! 魅月姫姉ちゃんも師匠の所為だとは思ってないよな?」
「ええ、そんな事は特に。ですから、帰ってきてからそれなりの罰があるのを覚えて置いてください」
 笑って言う魅月姫。その薄い笑顔に小太郎は背筋を冷やした。
「まぁ、ペナルティは受けるべきだろうな。なんなら私からも特別キツイのを課してやろうか?」
「し、師匠まで!?」
「……今度はお前の方から遊びに誘ってやれ。ユリもその方が喜ぶだろう。あと、ユリを助け出すのはお前に任せる。王子様らしく、格好良く助け出して見せろよ」
「わ、わかった」
「私のほうの罰はそんなものじゃ済みませんから、そのつもりで」
 そう言って魅月姫は影の門を開き、その中に歩を進ませていった。
 冥月もそれに続いて自分の影に沈んでいく。
 多分、二人ともトライエッジを追いかけるのだろう。
「あ、ちょっと待って二人とも!」
 そこにシュラインが駆け寄ってきた。
「どうした? 何か用か?」
「もしかしたら、トライエッジは誰かを気絶させる符か能力を持っているかもしれないわ。気をつけて」
「大丈夫ですよ。私たちはあの程度の男に遅れをとりません」
「でも、用心するに越した事は無いでしょ?」
 確かに、敵の情報はあって損するものではない。情報があればあるほど、対策も取れる。
 二人はシュラインに小さく頷いて見せ、そのまま影の中に進んでいった。
「……俺も、頑張らないと」
 小さく拳を握る小太郎。一人の少女を守りたい想いはあの日から消えてはいない。

***********************************

「やっとお出ましかい? 待ちくたびれたぜぇ?」
 妙に間延びした、癇に障る声が聞こえる。
 冥月と魅月姫はトライエッジの目の前に飛び出した。
 周りにユリを攫った人物は居らず、それどころか人っ子一人見えない、街から外れた場所だった。
 トライエッジの位置を探ればすぐにわかった事だが、ヤツらは別行動をとっているらしい。
「……随分と余裕だな。一枚も符を持っていないのか?」
「まぁね。こっちにも都合ってモンがあるんだよ」
 冥月が事前に影を探った所、目の前に居るトライエッジは符を隠し持っている様子は無い。
 という事は、ヤツの武装は手に持っている二振りの剣だけか。
「あら? どうしたんですか? 前回は確か、ギターケースに三本の剣を持っていましたよね?」
「前回チャンバラした所に置き忘れてね。取りに帰ったらもう、誰かに回収された後だったよ」
 確かに、ギターケースは冥月に破壊されていたし、そのまま剣も置いて逃げ出していたような記憶はある。
 回収したのは多分、IO2か誰かだろう。
「でも気をつけたほうが良いぜ? 三本だろうが二本だろうが、オイラにとっちゃ大した問題じゃない」
「こちらにとっても大した問題ではない。どちらにしろ、私たちが勝つのに変わりはないからな」
「早いところ、片付けてしまわないと、小太郎さんの方のフォローも罰もあります。済みませんが、遊んでいる時間はありませんよ?」
「そう言わずに、ちょっと付き合ってくれよ。女の子と触れ合える機会は大事にしたいんでね」
 言っている間に、トライエッジに妙な変化が起きる。
 気がつくといつの間にか、トライエッジが二人になっていた。
「同時に二人、相手できるぜ? 便利だろ、これ」
「……幻影か何かか? だが、実態はあるな。影は感知できる」
「魔力も感じられます。多分妙な術でも使っているんでしょう。ですが、どっちにしろ倒してしまえば問題ありません」
 魅月姫が杖を取り出し、その先から真っ黒な刃を作り出し、大鎌にした。どうやら彼女も戦闘準備が整ったようだ。
「こちらも二人、獲物も二人。だったら分担作業の方が効率が良いな」
「そうですね。もう一人の方は任せますよ」
 二人は短く作戦会議を終え、ほぼ同時に駆け出した。

「さぁて、オイラの相手はお姉さんか。一度手合わせして、随分と怖い目にあってるんだが、仕事ならしょうがない」
 言いながらトライエッジが剣を構えようとするが、左腕が思うように動かない。
 確認してみると、左肘が折れていたようだった。
 トライエッジの言葉の途中に、冥月がヤツの体の中の影を支配し、易々と骨を折ったのだ。
「魅月姫が言っていただろう。遊んでいる時間は無い。必要な情報を得られれば、それで十分だ。話したくなったら遠慮なく言え」
「っは、容赦ないなぁ。でも、この程度で勝ったつもりじゃ……」
 台詞の途中で右肘が折れる。本当に、何の容赦も無い。
「私の身内に手を出したんだ。裏社会の人間なら、当然死ぬ覚悟はあるな?」
「おぅおぅ、大事にされてるなぁ、あのボーヤ。羨ましいねぇ」
 軽口を叩ける所を見ると、まだ余裕があるらしい。
 ならばもう少しペースを上げても良いか。
 右膝が折れる。左膝が折れる。肩が折れる、指が折れる、手首足首が折れる、アバラが折れる、鎖骨が折れる、背骨が折れる……などなど。
「あっははは! 痛ぇ痛ぇ! こりゃたまんねぇな!」
 狂ったような笑い声を上げるトライエッジ。もう粗方、折れそうなところは終わってしまったが、この余裕は癇に障る。
「どうやらお前、トライエッジ本体ではなさそうだな?」
「さぁてね、どうだろうなぁ。もしかしたらただのドM野郎かもしれないし、もしかしたら本当にただの影分身かもしれない。どう思うかはお姉さんの勝手だぜ?」
「ならば、……死ね」
 首を折り、ついでに頭蓋も粉々に砕いてやる。
 普通の人間ならば早々に死ぬような傷だ。これで生きているならやはり……。
「やはり、お前は影武者か」
「大当たりだぜ。オイラはオリジナルじゃない」
 冥月の目の前に、トライエッジはその両足で立ち上がって見せた。骨を折った傷も無かったかのようである。
 という事は、魅月姫が戦っている方がオリジナルだろうか?
「だったら貴様に用は無い」
「でもオイラを放置していけるかな? 何するかわかんないぞぉ?」
 確かに、このまま放置すると何をしでかすかわかったものではない。実態があるならなおさらだ。
「当然、お前は処理していくさ。お前みたいなのが何人も居ては目障りで仕方ないからな」
「おぉ、嫌われたもんだ。可哀想だなぁ、オイラ。もっと少年臭かったら変わった待遇も受けられたかね?」
「喋るな、耳障りだ」

 素早く影の剣を作り出し、瞬く間に距離を詰め、閃きも残さずにトライエッジの身体を袈裟懸けに一刀両断する。
「おぅおぅ、遠慮なんてモンは欠片も感じられないなぁ!」
 必要ないだろう、と返事をする代わりにもう一閃、敵の身体を真横に薙いで少し距離を取る。
 そして、そのバックステップの間に影を操って太い針を作り出し、それをトライエッジの心臓目掛けて突き刺した。
「さっきとこれで、オイラは四回死んだってワケか。貴重な経験させてもらったなぁ。死ぬってのはこういう事か……」
 確かに、先程骨を折った時も、今回針を刺したのも剣で斬り付けたのも、どちらも致命傷のはず。
 手ごたえは感じられたし、普通なら生きているはずはない。まぁ、相手が元々生物でないのだから、殺せないのは当然だ。
 今、攻撃をしながら探っているのはあの分身の発生源。
 あれほどしっかりした実体と意思を持っている分身は、そう易々と作れるものではあるまい。
 どこかに、何か仕掛けがあるはずだ。
「そんな貴重な体験をさせてくれたお姉さんに、良い事を教えてやろう。何故、あのボーヤが死ななかったか、わかるかい?」
 知った事ではない。別に今生きているのだからそれで構わない。
 そんな考えを知ってか知らずか、トライエッジは話を続ける。
「あのボーヤを刺したのにも、この剣を使った。この俺が殺したんだよ」
「そんな事は知っている。下らない事をグダグダ喋るな」
 言いながら、冥月が斬りかかる。トライエッジの身体は頭から真っ二つにされたが、すぐにくっついた。
「そんな風に俺を何度殺しても、死なない。俺があのボーヤを刺しても、死なない。どういうことだかわかるかい?」
 その言葉を聞いて初めて疑問を抱く。
 今まで実体があると思っていて戦ってきたこのトライエッジ。分身、という事はもしや……。
 疑ってかかると、何と、この男の影が感知できない。ついさっきまでこの男がここに居る証明になっていたものが、もうない。
「人の思い込みってのは怖いよな。居ると思ったら本当に存在しちまうんだよ」
「……という事は、最初からお前はただの幻覚……?」
「そう。まず、ボーヤに声をかけて、俺が刺したような幻覚を見せる。ボーヤだけでなく隣に居た嬢ちゃんにもね。そうすると二人は俺がその場で、ボーヤを殺したように錯覚するだろうが、それは全部夢だ」
 つまり、あの殺人事件すら無かったのだ。今起きている事件はユリが誘拐された事だけ。こんな幻覚のトライエッジを追いかける必要は無かったのだ。
「そのボーヤから情報を聞いたお姉さん達は俺が居ると思い込んだ。だから俺が存在する事になったんだよ。その思い込みを強くさせるための術式を組み込んだこの剣の力でね」
「幻覚の割には、随分とお喋りだな。私の知らない情報まで話しているのはおかしくないか?」
「この剣に俺の情報を記憶させてある。俺の記憶を話せるんだよ、この幻覚はな」
 つまり、超高性能なホログラフとAIを積んだ機械があの剣、という認識で構わないだろう。
「だったらその剣を破壊すればお前は消えるわけだな?」
「そう簡単に出来るかな? 俺の仕事は時間稼ぎだぜ?」
「……ついでに、その時間稼ぎの理由を教えてくれんか?」
「依頼主の息子さんの逃げるための時間稼ぎだよ」
 依頼主の息子……今の状況で息子といわれれば、ユリを連れて行ったゴロツキぐらいしか当てはまらないだろうか。
 まさか小太郎や武彦ではあるまい。
「まぁ、それぐらい聞ければもう十分だ。さっさと消えてもらおう」
「だから、時間は十分稼がせてもらうっつの。オイラが色々ゲロったのだって色々目的あるんだぜ?」
 だが敵の事情なんて知った事ではない。
 冥月は再びトライエッジに斬りかかる。とは言え、今度は身体は狙わず、手に持っている剣を断ち切ろうと狙ったのだが、流石に易々と切らせてはくれない。
 トライエッジはぐるりと身を捻って、反撃に薙ぎの斬撃を繰り出してくる。
 冥月は前転でトライエッジの脇を転がり、それを躱すついでに影を操ってトライエッジの足を縛ろうとするが、最早相手は幻覚だとわかってしまった冥月。
 幻覚の下に影は無く、別の影で縛ろうとしても、影は幻覚をすり抜けてしまう。
 狙うのは剣のみ。前転から起き上がった後、冥月は再び影を繰る。あの剣にも影は落ちている。
 ならばそれを操ればそこから破壊させる事は出来るはず。
 ……いや、だが待てよ? 影が幻覚をすり抜けるなら、あの剣もあの手から落ちるはず。幻覚が剣を持っているのはおかしい。
 つまり、あの剣も幻覚で、どこか別の場所に本体がある……?
 そう考えた冥月が本体を探そうと、影を辿り始めるが、それに合わせてトライエッジが斬りかかってくる。
「よそ見しないでくれよ? まだまだ付き合ってもらわないと困るんだ」
「貴様のオリジナルが来るなら考えんでもない」
「悪いねぇ。オイラは臆病でさ。お姉さんみたいな怖い人と、二度も真っ向から勝負するなんて無理なんだよ!」
 身体を回転させ、遠心力をつけた斬撃。だがそれを防御する必要は無い。
 あれは幻覚なのだ。身体を素通りするはず。
 そうして、思ったとおり、剣は冥月の身体をすり抜け、傷一つ残さなかった。
「なるほど、見切られてたか。……でも罠はいっぱいあるぜ?」
「……何……っ!?」
 次の瞬間には、冥月の視界がぐらりと揺れる。頭が割れるように痛い。
 これはどういうことだ?
「この剣はオリジナルの剣とリンクしている。つまり幻覚を見せる能力をこの幻覚の剣も持ってるって事だ。そして幻覚って言うのは何も視覚だけじゃない。五感全てに幻を体感させる事が可能だ。まぁ、そこまでやるにはこの剣を触れさせないといけないんだけどな」
「……っく、小太郎が気絶したのはこの所為か……」
 おそらく、ドキツイ痛みか何かを感じたに違いない。不意打ちでこれを喰らえば、気絶してしまうのも無理ないだろう。
「お姉さんにも結構キツイのをプレゼントしたつもりだけどな? まさか耐えるなんてね」
「事前に忠告を受けていたんでね」
 シュラインから聞いた『もしかしたら気絶させるような能力を持っているかも』という情報。アレがここで役に立った。
 覚悟していれば、何とか我慢する事はできる。
「ならもうちょっと別アプローチするんだったなぁ。いろいろ出来るんだぜ、これ。痛くも出来れば気持ち良くも出来る。一種クスリだな。お姉さんのもだえる姿も見てみたいもんだぜ」
「ゲスが……。だが、もうチェックメイトだ」
 冥月の言葉にトライエッジは目を丸くする。その姿に、目に見えてブレが生じ始めた。
 まるで映りの悪いテレビのようだ。
「う、嘘だろ? だって、お姉さんの能力は、今の斬撃で封じたはず……」
 トライエッジが零した言葉の通り、どうやら冥月の能力は一時的に封じられたようだ。これもしばらくすれば消えよう。
 所詮は幻覚。すぐに消えてなくなる。
「剣本体を見つけ出したのは私じゃない。もう一人の方だろうよ」
「あ、あの嬢ちゃんか……しくったなぁ」
 ため息をついて、自分の負けを認めた。トライエッジの身体は最早輪郭がぼやけ始めている。
「おい、お前本体と繋がっているなら覚えておけ。次に会ったら、イの一番にお前を殺してやる」
「……おぉ怖ぇ、本体と繋がってたとしても忘れるぜ、そんな事」
 情けない声を残して、トライエッジの幻影は霧散した。

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「あら、どうやら苦戦したようですね?」
「少しアイツを甘く見ていたようだ。……そういうお前はなんとも無さそうだな」
「おかげさまで」
 冥月の許に魅月姫が戻ってきた。向こうの林で戦っていたので、多少服に木の葉がついていたりしたのを払っている。
 その様子は随分と快勝だったようで、敵の罠にかかって酷い頭痛を抱えている冥月とは対照的だ。
「……それにどうやら幻術にもかかっているようで?」
「ああ、頭は痛いし、それに能力も一時的に封印された。だがすぐに良くなるだろう。所詮は幻影だ」
「おそらくそうでしょうが、すぐに取り払えるに越した事はないでしょう」
 そう言って魅月姫が指を振ると、その途端に冥月の頭痛も能力封印も解かれた。
 幻術ならば魅月姫の方が何倍も上だ。これぐらい、当然と言っては当然か。
「魔法か……。それがあれば最初からトライエッジの幻影にも気付けたのかもな」
「ええ。便利ですよ、魔法」
 微笑む魅月姫。冥月は彼女の表情を見てなんとも言えない複雑な顔を見せた。
 羨んだ所でどうしようもならない事はわかっているのだ。
 今回の反省点はそんな根本的なところではない。敵を甘く見た自分だ。
 反省点がわかれば、すぐに改善は出来る。日々精進を忘れる事はあるまい。
「さぁ、これからは小太郎さんのフォローですよ」
「ああ。あの小僧がヘマをやらかさなければ良いが……」
 言い合いながら、二人は影の扉を開いて小太郎の許へ向かった。

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 息も切れ切れになりながらも、この男はユリの手を放してくれない。
 一体、何処まで連れて行かれるのだろうか。小太郎の事を呼び続けていたユリの声はもう嗄れていた。
「……こ……たろ……く……」
 それでもまだ、彼に届くのではないか、彼が来てくれるのではないか、と信じて声を出す。
 目の前で殺されてしまった彼に、未だにすがり付くのは彼にとって酷だろうか?
 ユリは、今回の件で、自分の無力さを死ぬほど呪った。

 高校生の男がユリを連れて走ってきた道程は、言ってみれば闇雲だった。
 何処にいくことも無い、出来ない。自分が帰る場所なんてないのだ。
 とりあえず、目の前のムカつくガキは殺した。そして、当分の金の成る木も手に入れた。
 男が手に入れた符、この符が教えてくれた記憶。どうやらこの符のオリジナル能力者の記憶らしい。
 それによれば、この少女の符は高く売れる。男が持つ符を使って能力を符に付与し、大量生産すれば金が転がり込んでくる。
「佐田 征夫、なんてオッサンは知らないが、感謝してやっても良いな」
 男は符を握り締めて呟いた。

 また、路地を曲がり、細い横道に入る。
 裏路地は表よりもヒヤリとして、少し肌寒い。その感覚にユリは鬱々とした自分の感情を振り払った。
 諦めてはいけない。きっと助けは来る。それまで何もしない手は無い。
 ユリは引っ張りまわされてほとんど力も残っていない足で、最後の力を振り絞って踏ん張る。
 ピン、と男とユリの腕が張る。だが、その手は離れなかった。
「お? なんだ、このガキ。まだ抵抗するのかよ?」
「……わ……たし……は……あき……め……な」
「何言ってるか聞こえねぇんだよ! 黙ってついて来いや!」
 男はユリの腹を蹴飛ばし、ユリは咳き込んでその場にへたり込んでしまった。
「オラ、立てよ。まだ終点じゃねぇぞ?」
「……ぐ……っは……うぅ……」
 泣いちゃだめだ……。泣いたら負けだ。
「立てって言ってるんだよ!」
 強引に襟首をつかまれ、立ち上がらされる。ユリは震える膝で、だけど立って見せた。
 男はそんなユリの瞳を見据えて言い聞かせるように言う。
「良いか? もう誰もお前を助けない。ずっと俺の傍で金の成る木になるんだ。死ぬまで馬車馬のように働かせてやる」
「……っぐ、ダレが……そんな……っ!」
「じゃあどうする? 精一杯抵抗して見せるか? お前がどう頑張ったって俺から逃げられないだろ?」
「……っ!」
 確かに、単純な力では男に敵わない。
 それに、今の所ユリの能力は封印されいてる。
 どうやら佐田の符を持っているらしい男は、その能力を使ってユリの能力を発動しているのだ。
 触れていれば、他人の能力を別の物に移し変えずに行使出来るようだ。
 小太郎が死んだと思った一瞬を狙って、男は驚いたユリに触れ、先手を打ってユリの能力を封じたのだ。
「俺は絶対生きてみせる。こんな所で、死んでたまるか……っ! あのクソオヤジどもに復讐してやる」
 男は自分を棄てた親を呪っていた。絶対に復讐して見せると心に誓っていた。
 そのためにはまず、生き残らなければいけない。それにはこの少女は必要だ。
 ならば、どうして彼女を逃がす事ができよう?
 男はユリをビルの壁に押し付け、彼女の首に手を当てる。
「良く聞けよ、お前は俺の奴隷だ。どうやっても逃げられないし、逃がすつもりも無い。俺はお前を使って絶対に生き残ってみせる」
「……っく!」
「反抗的な目だな? まだ誰かを信じてるのか? あの死んだガキでも待ってるのかよ?」
 図星だった。未だにユリは小太郎が来てくれると、心のどこかで信じている。
「無理だよ。あのガキは死んだ。お前の王子様は死んだんだよ」
 その言葉を聞いて、ユリの瞳から雫がこぼれる。……死んだんだ。
「……っく、うぅ……こたろう……くん……」
「ははっ、やっぱガキだな。そんなに好きな子が忘れられないかよ? だったら忘れさせてやろうか?」
 下卑た笑みをを見せた男は、ユリの首に当てた手をスルリと唇に動かす。
「よぉ、キスってした事あるか?」
「……っ!? いや! いやぁ! やめて!!」
 これからされるらしい事を悟ったユリは、手を突っ張り、足で男を蹴り退けようと必死にバタつかせる。
 だが、そんな事で男は止まらない。力の差は歴然なのだ。
 そして二人が重なる寸前、ユリはボロボロと涙を零していた。
 こんな、初めてのキスは死んでも嫌だった。だから、今でもまだ信じていた。あの人が……
「……何してる?」
 あの人が来てくれると。

 声に弾かれたようにユリから離れた男。この声は先日嫌と言うほど聞かされた。
『ガキと呼ぶな』『チビというな』そんな風に怒鳴っていたあの声。今、聞けるはずのないその声は、確かに路地の入り口の方から聞こえた。
 声の元を探ろうと、男が首を回す。
 そして、そこに小柄な影を見つける。
「何してる、って訊いたんだが……聞こえなかったか?」
「……こ……こたろ……くん」
 しゃっくり紛れに、ユリが小太郎の名を呼んだ。死んだと思っていた王子様は、やっと来てくれた。
「な、なんで、お前! 死んだはずじゃ!?」
「……質問してるのはこっちだ。何してる?」
 錯乱する男に、小太郎は激情を押し潰した声で尋ねる。
 だが、男はそれに答える事はできない。死んだと思っていた人間が生き返った事による混乱と、あの日、ボコボコにされた恐怖が交じり合って、何も答えられない。
「いや、まぁ、何をしてたんだろうと、もう関係ないけどな?」
 そう言って小太郎が二人に一歩近付く。
 男は逃げようとしたが、身体がすくんで思うように動かない。
 ジリジリと詰め寄る小太郎に、男は小さく悲鳴をあげながら、不恰好に後ずさる。
 ユリを解放し、とりあえずこの場から逃げなくては、と心が思っても、身体がいう事を聞かない。
 その内、男は小太郎が手を触れられる距離まで近付かれていた。
「よぉ、久しぶりだな、クソ野郎」
「っひ……っ!」
 小太郎に手を触れられた途端、男は小太郎に纏わりつく、どす黒い赤を見た。
 その次の瞬間には小太郎の本気パンチが男の頬を貫く。
 男は衝撃で数メートル吹っ飛び、地面を転がる。多分、とてつもなく痛かっただろう。
 やっと自由になったユリはその場にへたり込み、小太郎を見上げる。ああ、やっと来てくれた、と安堵のため息をつく。
 だが、それも束の間。小太郎の様子に変化を感じて、そのため息も途中で飲み込んでしまった。

 殺す殺す殺す。
 ただ、それだけしか考えられない。
 大事な少女をあんなに泣かせたコイツを。ただ、ころすころすころす。
 小太郎は走り出し、未だにうつ伏せている男に掴みかかる。
 仰向けにして、馬乗りになり、その右拳で憎い男の顔面を強か殴りつける。
 コロスコロスコロス。
 純粋な殺人衝動だけで、今は機械的に拳を動かしている。ただ、殺すころすコロス。
 今まで抑えていた何かが、堰を切ったように流れ出す。
 だが黒々とした憎悪の中に、ただ一点、何か気になる白がある。
『殺したらダメだ』
「殺しちゃダメだよ!」
 小太郎の内側から聞こえる声と、背中から抱きついてきたユリの声が重なった気がした。
 だが、小太郎はその振り上げた拳を止めなかった。
 鈍い音がして、血が吹き出る。

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 冥月と魅月姫が駆けつけた時には、もう終わった後だった。
 早急にIO2の息がかかった病院に、男と小太郎を運び込ませ、今に至る。
 スンスン、とすすり泣くユリの泣き声が聞こえる病院のロビーに、冥月とシュライン、武彦がいた。
「そう、そんな事が……」
 話を聞かされたシュラインは少し俯いて言葉をなくした。
「私たちもユリから涙ながらに聞かされた話だ。多少、食い違いはあるのかもしれないが、大事な部分はそのままだろう。あの娘にも強く印象に残ってしまったに違いない」
 冥月が補足を入れる。だが、起こってしまった事実に何の違いもあるまい。
 小太郎は人を殺そうとした。それは紛れもない事実。
「小太郎の病室は?」
「すぐそこだ。魅月姫が向こうにいるはずだ。案内しようか」
「いや……一人で行く」
 そう言った武彦は病院の廊下を歩いていった。
 しばらく沈黙の後、シュラインが冥月に尋ねる。
「で、結局、その高校生はどうなったの?」
「ああ、ほとんど無傷だよ。最初に殴られた一発だけ、口が切れるぐらいの傷を負ったらしい」
「え、でも小太郎くんは何度も殴ったんでしょ?」
「……どうやら、あの小僧は男と自分の拳の間に光の壁を作り出していたらしい。おそらく無意識の内にだろうけどな」
 小太郎の中に残った最後の理性だったのだろう。
 その為、高校生はほぼ無傷であったが、心に深刻な傷を負ったらしい。今は精神科に診てもらっているそうだ。
「で、その壁を殴り続けた結果、壊れたのは小太郎の右手の方だった。寧ろアイツの方が重症だな」
「そう……でも治らないような傷じゃないんでしょ?」
「ああ、全治六ヶ月だそうだ。治癒術なんかを使えばもっと早く回復するだろうが……今回は自業自得だ。誰も回復に手を貸さないだろうし、アイツ自身、誰の助力も断るだろうさ」
「そう。じゃあ小太郎君のほうは大丈夫そうね。……問題はユリちゃんか……」
 今もスンスンと啜り泣きが聞こえる。随分と人の心を締め付ける、可哀想な声だ。
「声をかけるべきなんでしょうね」
「……頼んだ。今の私では優しい言葉なんてかけられそうも無い」
 弟子のこれ以上ない失態に、冥月は思い出しただけでも奥歯を噛み砕きそうな勢いだ。
 苦笑して、シュラインはユリの隣に座った。

 この夜の事は忘れまい。少年と少女に、深い傷を与えた、この夜だけは。


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【2778 / 黒・冥月 (ヘイ・ミンユェ) / 女性 / 20歳 / 元暗殺者・現アルバイト探偵&用心棒】
【4682 / 黒榊・魅月姫 (くろさかき・みづき) / 女性 / 999歳 / 吸血鬼(真祖)/深淵の魔女】
【0086 / シュライン・エマ (しゅらいん・えま) / 女性 / 26歳 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】

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■         ライター通信          ■
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 黒・冥月様、シナリオに参加してくださり、本当にありがとうございます! 『後半、何だが黒々してるぞ』ピコかめです。
 色々書きたい事詰め込んだら、なんともおかしな展開に。次にはこの鬱々展開を取っ払いたいものです。

 なんとも微妙に苦戦風味でしたが、いかがなモンでしょう。
 相手が幻影ゆえに、正攻法ではちょっと攻略しがたかったみたいです。
 その上小僧が大暴走。師匠としては心苦しいかもしれませんが、きっと彼も大変なんですよ。
 ではでは、気が向きましたら次回も是非!